【文献】
千田裕彦、粘性流領域における真空排気の理論計算とその応用、SEIテクニカルレビュー、2010年1月、第176号、第1−7頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る成膜装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における成膜装置を示す模式正面図であり、図において、符号1は、成膜装置である。
【0018】
なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解可能とするために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、各構成要素の寸法比率などを変更あるいは模式的に示しており、実際のものと同じであるとは限らない。
【0019】
本実施形態における成膜装置1は、
図1に示すように、ロールツーロール法により長尺状の基体Tに対して膜を形成するものとされ、成膜ユニット10と、成膜ユニット10の前段に配される第1搬送ユニット20と、成膜ユニット10の後段に配される第2搬送ユニット30と、第1搬送ユニット20の前段に配される送り出しユニット41と、第2搬送ユニット30の後段に配される巻き取りユニット42と、成膜ユニット10で成膜処理がおこなわれている際の圧力を制御する圧力制御手段50とを有する。
【0020】
成膜ユニット10は真空チャンバとされて、
図1に示すように、その内部を長尺状の基体Tが移動しながら成膜可能とされ、この成膜処理中には成膜ユニット10中に粉体が発生するかまたは粉体が舞った状態で処理がおこなわれる。
成膜ユニット10の内部には、移動する基体Tに対向する位置に陰極プレート11が設けられている。陰極プレート11は、成膜条件に基づいて基体Tと所定の間隔を有するように配置される。
【0021】
これらの陰極プレート11は、スパッタリングターゲットやプラズマCVD用カソード(成膜源)として構成されている。スパッタリングターゲットかプラズマCVD用カソードかの選択、組合せ方、使用する数、配置等は、成膜するべき材料の種類や成膜形態等に応じて適宜設定される。
【0022】
なお、図では基材Tの両面に成膜する構成として示しているが、片面成膜としてもよい。さらに、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等の種々の真空成膜方法が適用可能である。また、陰極プレート11には、電源接続ポイント11aを介して図示しない電源供給ユニットが接続されている。
【0023】
成膜ユニット10には、排気ライン12を介して排気ユニット13が設置されている。排気ユニット13は、気体移送型のポンプとして油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプやロータリーポンプ等を用いることができる。さらに、ポンプとして低温凝縮型の低温排気手段、例えば、クライオパネルやクライオコイル等の低温凝縮源および低温凝縮源を循環する冷却媒体を冷却する冷却器(図示略)を備えた低温排気手段を採用することもできる。この場合、冷却媒体にはフロン系冷媒、液体窒素もしくは液体ヘリウムを用いることができる。さらに、排気ユニット13は、これらの多数の方式とされるポンプ等の排気手段を組み合わせて、あるいは切り替え可能な構造として配することもできる。
【0024】
成膜ユニット10には、スパッタリングやプラズマCVDに必要な所定のプロセスガス(希ガス、反応ガス)を成膜ユニット10内へ導入するためのガス導入手段14が設置されている。
【0025】
第1搬送ユニット20は、成膜ユニット10の前段に配されて送り出しユニット41から送り出された長尺状の基体Tをシール可能な状態を維持しつつ成膜ユニット10まで搬送するものとされる。
第1搬送ユニット20は多段に構成され、一例としては、
図1に示すように、成膜ユニット10に隣接して設けられる搬送室21Aと、搬送室21Aに接続された搬送室21Bと、搬送室21Bに接続された搬送室21Cと、搬送室21Cに接続されて送り出しユニット41から送り出された長尺状の基体Tを受け入れる搬送室21Dとを有するものとできる。
【0026】
これら搬送室21A〜21Dは、
図1に示すように、それぞれ、排気ライン22A〜22Dを介して排気ユニット23A〜23Dが設置されている。また、成膜ユニット10に隣接した搬送室21Aに設けられた排気ライン22Aには、後述する圧力制御手段50として可変バルブ51が設けられる。
【0027】
これら搬送室21A〜21Dは、減圧状態とされる成膜雰囲気である成膜ユニット10側と、大気圧となっている送り出しユニット41側との間でシール可能とするために、最終的に圧力勾配が生じるように圧力差のある差動排気シールとなっている。
【0028】
第2搬送ユニット30は、成膜ユニット10の後段に配されて巻き取りユニット42に巻き取られる長尺状の基体Tをシール可能として成膜ユニット10から搬送するものとされる。なお、第2搬送ユニット30は、
図1に示すように、基体Tの進行方向が逆となる以外は、第1搬送ユニット20と略統一の構成とされるため対応する構成の説明を省略する。ここで、第2搬送ユニット30においては、第1搬送ユニット20の説明における20番代の符号を30番代に読み替えるものとする。また、成膜ユニット10に隣接した搬送室31Aに設けられた排気ライン32Aには、後述する圧力制御手段50として可変バルブ52が設けられる。
【0029】
これら搬送室31A〜31Dは、減圧の成膜雰囲気である成膜ユニット10側と、大気圧となっている巻き取りユニット42側との間で最終的に圧力勾配が生じるように圧力差のある差動排気シールとなっている。
【0030】
送り出しユニット41と巻き取りユニット42とは、
図1に示すように、大気中に設けられる。
【0031】
圧力制御手段50は、成膜ユニット10で成膜処理がおこなわれている際の圧力として、成膜ユニットの内圧をP1、前記第1搬送ユニット20において成膜ユニット10に隣接する搬送室21Aの内圧をP2、前記第2搬送ユニット30において成膜ユニット10に隣接する搬送室31Aの内圧をP3と定義した場合、これらの内圧に対して条件A;P1<P2 かつ P1<P3
を満たすように制御可能なものとされる。
【0032】
本実施形態においては、成膜ユニット10に隣接した搬送室21Aに接続された排気ライン22Aに設けられた流量可変バルブ51を制御することにより、真空などの減圧状態とされた成膜状態の成膜ユニット10に対して、この成膜ユニット10に隣接した搬送室21A内を陽圧になるよう設定する。
【0033】
具体的には、成膜ユニット10の前段に接続された搬送室21Aから成膜ユニット10へのガス流が、分子流領域ではなく粘性流領域の流れとなるように流量可変バルブ51のコンダクタンスを制御する。これにより、搬送室21Aが成膜ユニット10内部よりも陽圧となり、成膜ユニット10から隣接した搬送室21Aへ粉体が移動しない状態を成膜処理中維持することで、粉体が排気ユニット23Aに進入することを防止できる。さらに、成膜ユニット10に対して搬送室21A内を陽圧にすることで、搬送室21Aに隣接した搬送室21B、および、より前段の搬送室21C,21Dへ粉体が進入することを防止できる。
【0034】
同時に、本実施形態においては、成膜ユニット10に隣接した搬送室31Aに接続された排気ライン32Aに設けられた可変バルブ52を制御することにより、真空などの減圧状態とされた成膜状態の成膜ユニット10に対して、この成膜ユニット10に隣接した搬送室31A内を陽圧になるよう設定する。
【0035】
具体的には、搬送室31Aから成膜ユニット10へのガス流が、分子流領域ではなく粘性流領域の流れとなるように流量可変バルブ52のコンダクタンスを制御する。これにより、成膜ユニット10の後段に接続された搬送室31Aが、成膜ユニット10内部よりも陽圧となり、成膜ユニット10から隣接した搬送室31Aへ粉体が移動しない状態として、粉体が排気ユニット33Aに進入することを防止できる。さらに、成膜ユニット10に対して搬送室31A内を陽圧にして、搬送室31Aから隣接した搬送室31B、および、より後段の搬送室31C,31Dへ粉体が進入することを防止できる。
【0036】
本実施形態における成膜装置1においては、このように、成膜ユニット10の前後段に隣接している搬送室21Aおよび搬送室31Aへの粉体浸入を防止して、排気ユニット23A,33Aにおいて粉体に起因する影響が発生することを防止することができる。
【0037】
なお、本実施形態における成膜装置1においては、粉体の発生する成膜状態において上記の圧力状態が実現されていればよく、粉体が発生しない状態においては、他の状態とすることも可能である。
【0038】
また、本実施形態において、搬送ユニット21および搬送ユニット31はいずれも多段の構成とされているが、この構成に限られるものではなく、1段のみの搬送ユニット20および搬送ユニット30とすることや、その他の構成とすることもできる。1段のみの搬送ユニット20および搬送ユニット30とした場合、搬送ユニット20および搬送ユニット30に接続された排気ライン22,32に設けられた可変バルブ51,52を制御して、搬送ユニット20,30を成膜ユニット10内部よりも陽圧とする。
【0039】
またこれ以外の段数の搬送ユニット20および搬送ユニット30とされた場合でも、搬送ユニット20および搬送ユニット30のうち、成膜ユニット10に隣接した搬送室21,31に接続された排気ライン22,32に設けられた可変バルブ51,52を制御して、搬送ユニット20,30を成膜ユニット10内部よりも陽圧とする。
さらに、成膜ユニット10に隣接した搬送室21A,31Aを成膜ユニット10内部よりも陽圧とした上で、それよりも成膜ユニット10から離れた搬送室をさらに陽圧にすることも可能である。
【0040】
さらに、
図1に破線で示すように、排気ユニット23A,33Aに、排気ユニット23A,33Aから排出される粉体を回収する粉体回収手段24A,34Aを設けることができる。
【0041】
以下、本発明に係る成膜装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図2は、本実施形態における成膜装置を示す模式正面図である。
本実施形態において、
図1に示した第1実施形態と異なるのは、圧力制御手段50に関する部分のみであるので、対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
本実施形態において、圧力制御手段50として、搬送室21Aおよび搬送室31Aに設けられるのは、
図2に示すように、搬送室21Aにガス供給できるように接続可能とされたガス供給手段53、搬送室31Aにガス供給できるように接続可能とされたガス供給手段54とされる。
ガス供給手段53は、図に実線の矢印として示すガス供給ライン53aを介して排気ライン22Aに接続可能とされ、ガス供給手段54は、図に実線の矢印として示すガス供給ライン54aを介して排気ライン32Aに接続可能とされる。
【0043】
本実施形態においては、成膜ユニット10に隣接した搬送室21Aに設けられた排気ライン22Aに設けられたガス供給手段53を制御することにより、真空などの減圧状態とされた成膜状態の成膜ユニット10に対して、この成膜ユニット10に隣接した搬送室21A内が陽圧になるよう設定する。
【0044】
具体的には、搬送室21Aから成膜ユニット10へのガス流が、分子流領域ではなく粘性流領域の流れとなるようにガス供給手段53におけるガス供給量を設定する。これにより、成膜ユニット10の前段に接続された搬送室21Aが、成膜ユニット10内部よりも陽圧となるとともに、排気ライン22Aから搬送室21Aを介して成膜ユニット10へ向かうガス流が形成されることになり、成膜ユニット10から隣接した搬送室21Aへ粉体が移動しない状態として、粉体が排気ユニット23Aに進入することを防止できる。さらに、成膜ユニット10に対して搬送室21A内を陽圧にして、搬送室21Aから隣接した搬送室21B、および、より前段の搬送室21C,21Dへ粉体が進入することを防止できる。
【0045】
同時に、成膜ユニット10に隣接した搬送室31Aに設けられた排気ライン32Aに設けられたガス供給手段54を制御することにより、真空などの減圧状態とされた成膜状態の成膜ユニット10に対して、この成膜ユニット10に隣接した搬送室31A内が陽圧になるよう設定する。
【0046】
具体的には、搬送室31Aから成膜ユニット10へのガス流が、分子流領域ではなく粘性流領域の流れとなるように
ガス供給手段54におけるガス供給量を制御する。これにより、成膜ユニット10の後段に接続された搬送室31Aが、成膜ユニット10内部よりも陰圧となるとともに、排気ライン32Aから搬送室31Aを介して成膜ユニット10へ向かうガス流が形成されることになり、成膜ユニット10から隣接した搬送室31Aへ粉体が移動しない状態として、粉体が排気ユニット33Aに進入することを防止できる。さらに、成膜ユニット10に対して搬送室31A内を陰圧にして、搬送室31Aから隣接した搬送室31B、および、より後段の搬送室31C,31Dへ粉体が進入することを防止できる。
【0047】
なお、圧力制御手段50として、第1実施形態における流量可変バルブ51,52、および、ガス供給手段53,54を併設することも可能であり、よりいっそう、粉体浸入を防止することができる。
【0048】
本実施形態の圧力制御手段50は、ガス供給手段53が、
図2に実線の矢印として示すガス供給ライン53aを介して排気ライン22Aに接続可能とされたが、図に破線の矢印として示すガス供給ライン53bを介して
搬送室21Aに接続可能とされてもよい。また、ガス供給手段54が、
図2に実線の矢印として示すガス供給ライン54aを介して排気ライン32Aに接続可能とされたが、図に破線の矢印として示すガス供給ライン54bを介して
搬送室31Aに接続可能とされてもよい。
【0049】
以下、本発明に係る成膜装置の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図3は、本実施形態における成膜装置を示す模式正面図である。
本実施形態において、
図1に示した第1実施形態および
図2に示した第2実施形態と異なるのは、成膜ユニット10に関する部分のみであるので、対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
本実施形態の成膜装置1としては、長尺薄帯たとえば冷延ないし熱延鋼帯のような長尺材(基体)Tを連続的に送給する間に、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのいわゆるドライプレーティング法によって表面被覆を施すものとし、特に、粉体を基体T表面あるいは表裏面に吹き付けて成膜処理をおこなう成膜ユニット10を有するものとすることができる。
【0051】
成膜ユニット10としては、
図3に示すように、複数のロール15a〜15cと、粉体を噴出するノズル16a,16bとを有するものとされる。成膜ユニット10は、
図3に示すように、ノズル16a,16bから粉体を基体T表裏面に吹きかけて成膜処理をおこなうものとされる。両面成膜においてノズル16a,16bの配置は、基体Tの下側となっている裏面に前段であるロール15b位置で吹き付けるように配置し、基体Tの上側となっている表面に後段であるロール15cで吹き付けるように配置する。
【0052】
ノズル16a,16bには図示しない粉体供給手段が接続され、成膜処理に使用する粉体を噴出するものとされる。これらノズル16a,16bはロール15b、15cの軸方向に所定本数の噴出口を複数有するか、基体Tの幅寸法全体に粉体を噴出できる構成とすることができる。ノズル16aはロール15bの下側から粉体を噴出するとともに、ノズル16bはロール15cの上側から粉体を噴出するように配置される。
【0053】
ロール15aとロール15bとの距離は、ロール15aとロール15b間で張り渡される基体Tの長さがロール半径の2倍から5倍となるようにされ、ロール15bとロール15cとの距離も同様に設定される。
【0054】
ロール15bおよびロール15cの配置としては、ロール15bでの成膜処理をおこなうだき角となるロール15b表面で基体Tの密着する円弧長さがロール中心角で30°〜90°の範囲、あるいは45°程度とされ、ロール15cでも同様のだき角を有するように配置される。
【0055】
さらに、ロール15cの後段は、基体Tとロールとの間に粉体が挟み込まれないように、搬送室31Aまでロールを設けないよう、ロール15cが成膜ユニット10内での最終段とされる。
【0056】
本実施形態の成膜装置としては、搬送室21Aから搬送された基体Tをロール15a〜15cによって送りつつ、ロール15aに続くロール15bに巻き付けた基体Tに対して、このロール15bの下側位置でノズル16aから粉体を噴出し、基体Tの一面(下側)処理をおこない、次いで、ロール15bより後段のロール15cに巻き付けた基体Tに対して、このロール15bの上側位置でノズル16bから粉体を噴出し、基体Tの他面(上側面)処理をおこなう。成膜ユニット10としては、基体Tがロール15cの後段は、直に搬送室31Aへと送られる。
【0057】
本実施形態においては、上述する実施形態に比べて、成膜ユニット10内の粉体が極めて多い場合でも、搬送ユニット21,31を成膜ユニット10内部よりも陽圧として、粉体が搬送ユニット21,31に漏れ出てくることを防止できる。
また、基体T上の粉体がロール15a〜15cと基体Tとの間で挟まれてしまうことを低減することが可能となる。
【0058】
以下、本発明に係る成膜装置の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態における搬送ユニットを示す模式正面図である。
本実施形態において、
図3に示した第3実施形態と異なるのは、搬送ユニット20および搬送ユニット30に関する部分のみであるので、対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
本実施形態の成膜装置1としては、長尺薄帯たとえば冷延ないし熱延鋼帯のような長尺材を連続的に送給する間に、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのいわゆるドライプレーティング法によって表面被覆を施すものとすることができる。
搬送ユニット20,30は、複数の、圧力差のある空間領域相互(以下差圧室と呼ぶ)によって、ドライプレーティング領域(成膜ユニット)10に至る間に、順次真空度をあげ、ついで下げていく、エア・トウ・エア(Air-to-Air)方式が用いられ、このような差圧室相互間における圧力差を維持しつつ長尺材の連続的な通過を誘導する差圧シールとされている。
【0060】
なお本実施形態では、搬送ユニット30について図示して説明する。
搬送ユニット30は、圧力差のある空間領域相互間の境界にて長尺薄帯の巻きがけ案内を司る単一のガイドロールを備え、このガイドロールに、その外周をほぼ半周にわたって取り囲み、長尺薄帯の巻きがけ域を除いて該ガイドロールの外周面に対してのみ極く微小なすき間を形成する凹円弧状シール面と長尺薄帯の巻きがけ域にて該長尺薄帯の背面並びに両側縁に対して極く微小なすき間を直接形成する第2の凹円弧状シール面を有するシーリングアタッチメントを配置してなる。
【0061】
このシーリングアタッチメントは、第2の凹円弧状シール面に、長尺薄帯の断面寸法よりもやや大きいがガイドロールのロール幅よりも狭い幅にて開口し、ガイドロールに巻きがけられた長尺薄帯を圧力差のある空間領域へ誘導する細長い通路を備える。
上記単一のガイドロールは、ロール外周面に多数の小孔を有する中空ロールからなり、該中空ロールの内部には、中空ロールの内周に面した吸引口を有し、巻がけ域における長尺薄帯をロール外周面に吸引密着させる円筒部材を備えたものである。
【0062】
本実施形態の搬送ユニット30は、多段の差圧状態を維持する搬送室31A〜31Eを有し、それぞれの搬送室31A〜31Eに、ガイドロール35A〜35F、シーリングアタッチメント36A〜36F、差圧室ケーシング37A〜37Eを有する。搬送室31A〜31Eはいずれも多段に圧力差を設定可能にほぼ同一の構造を有しているので、搬送室31Aについて説明する。
搬送室31Aには、この搬送室31Aの基体Tの入口側に相当する境界、つまり、成膜ユニット10側にガイドロール35Aが軸受け支持される。このガイドロール35Aの外周には、長尺状の基体Tが所定の巻付き接触角を有して巻きがけされる巻きがけ領域351を有するように巻き付けられる。
【0063】
シーリングアタッチメント36Aは、巻きがけ領域351で基体Tを介してガイドロール35Aと対向して極く微小なすき間δ1を形成するとともに、基体Tの巻きがけ領域351と異なる位置で、ガイドロール35Aの外周で所定の円弧長を有するように取囲んで、シーリングアタッチメント36Aとガイドロール35Aとの外周面に対して極く微小なすき間δ2を形成する凹円弧状シール領域361を有している。また、シーリングアタッチメント36Aは、巻きがけ領域351でガイドロール35Aに巻きがけられた基体Tを圧力差のある減圧側となる空間(成膜ユニット)10へ誘導する細長い通路を備えている。
【0064】
搬送室31Aの圧力P3は、成膜ユニット10の圧力P1よりも高く設定され、次段の搬送室31Bの圧力P3Bは、搬送室31Aの圧力P3よりも高く設定され、次段の搬送室31Cの圧力P3Cは、搬送室31Bの圧力P3Bよりも高く設定され、次段の搬送室31Dの圧力P3Dは、搬送室31Cの圧力P3Cよりも高く設定され、次段の搬送室31Eの圧力P3Eは、搬送室31Dの圧力P3Dよりも高く設定されるとともに、搬送室31Eの圧力P3Eは、後段の巻き取りユニット42のある大気圧P0よりも低くなるよう設定される。
つまり、P1<P3<P3B<P3C<P3D<P3E とされている。
【0065】
また、ガイドロール35A〜35Eを、ロール外周面に多数の小孔を有する中空ロールとして、この中空ロール内部に、複数の吸引口を有する固定式の円柱部材を組込み、円柱部材の吸引口が、この円柱該部材を保持する固定支持軸に設けた吸引口と連通し、吸引口が真空ポンプに接続され、基体Tの送り中、基体Tが巻きがけ領域351においてロール35Aの外面に吸引密着される構造とすることもできる。
【0066】
このような構成とすることで、差動排気可能なシール手段を構成することができる。
また、具体的な差動排気の圧力状態の設定例を
図5に示す。
図においては、多段の搬送室31A〜31Eにおける圧力を示している。
【0067】
本実施形態では、多段の搬送ユニットを圧力差を単純に増加または減少するように設定したが、搬送室31Bの圧力P3Bを、搬送室31Aの圧力P3よりも低く設定することもできる。
つまり、P1<P3,P3>P3B とすることもできる。
【0068】
この場合、次段の搬送室31Cの圧力P3Cは、搬送室31Bの圧力P3Bよりも高く設定され、次段の搬送室31Dの圧力P3Dは、搬送室31Cの圧力P3Cよりも高く設定され、次段の搬送室31Eの圧力P3Eは、搬送室31Dの圧力P3Dよりも高く設定されるとともに、搬送室31Eの圧力P3Eは、後段の巻き取りユニット42のある大気圧P0よりも低くなるよう設定される。
つまり、P3B<P3C<P3D<P3E となることができる。
【0069】
このように、成膜ユニット10に隣接する搬送室の内圧を陽圧に設定してあれば,それ以外の圧力設定は任意に設定することができる。
【0070】
以下、本発明に係る成膜装置の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における成膜装置を示す模式正面図である。
本実施形態において、
図3に示した第3実施形態と異なるのは、成膜ユニット10に関する部分のみであるので、対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
本実施形態の成膜ユニット10は、
図6に示すように、その底部に設けられた粉体回収手段17を有するものとされる。成膜ユニット10は、
図6に示すように、ノズル16a,16bから粉体を基体T表裏面に吹きかけて成膜処理をおこなうが、その際、大量の粉体が成膜処理後に残るものとされる。
【0072】
粉体回収手段17は、成膜ユニット10の底部に設けられた漏斗状の傾斜底17aと、回収された粉体を貯留する粉体タンク17bとを有する。
この構成によれば、ノズル16a,16bから吐出した粉体のうち、基体Tの成膜に使用されなかった分が落下し、漏斗状の傾斜底17aによって集められて粉体タンク17bに貯留される。これにより、成膜ユニット10の上側で、搬送ユニット21,31に接続される付近に滞留する粉体を低減することが可能となる。
【0073】
以下、本発明に係る成膜装置の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。
図7は、本実施形態における成膜装置を示す模式正面図である。
本実施形態において、
図1に示した第1実施形態、
図2に示した第2実施形態、
図3に示した第3実施形態、
図6に示した第5実施形態と異なるのは、粉体回収手段14,17,24A,34Aに関する部分のみであるので、対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図において、搬送ユニット20および搬送ユニット30は一部を省略してある。
【0074】
本実施形態の粉体回収手段14,17,24A,34Aは、
図7に示すように、成膜ユニット10および搬送室21A、搬送室31Aから回収した粉体を再利用する構成とされている。
【0075】
本実施形態の粉体回収手段17は、
図7に示すように、成膜ユニット10の底部のうち前段側の略半分となるように設けられた漏斗状の傾斜底17aを有する切替粉体回収手段17Aと、成膜ユニット10の底部のうち残りの後段側の略半分となるように設けられた漏斗状の傾斜底17aを有する切替粉体回収手段17Bとを有する。これら切替粉体回収手段17A,17Bはいずれも、傾斜底17aの底部と粉体タンク17bとの間にバルブ17cを有し、また、粉体タンク17bのさらに下部にバルブ17dが設けられて、このバルブ17dを介して粉体再生手段17Fに接続されている。
粉体再生手段17Fは、回収した粉体を再生処理するものとされ、図示しない粉体供給手段に接続されている。
【0076】
本実施形態の粉体回収手段は、切替粉体回収手段17Aまたは切替粉体回収手段17Bの2系統のうち、一方の系統のバルブ17cを開放、バルブ17dを閉塞の状態とするとともに、切替粉体回収手段17Aまたは切替粉体回収手段17Bのうち他方の系統のバルブ17cを閉塞、バルブ17dを開放の状態とする。これにより、バルブ17dを開放した系統の切替粉体回収手段において、粉体タンク17b内に貯留された粉体を粉体再生手段17Fに移送することができる。
【0077】
しかも、この粉体再生手段17Fへの回収粉体の移送は、バルブ17dを閉塞した系統の切替粉体回収手段において粉体回収を続行しながらおこなうことが可能なので、成膜ユニット10での成膜を持続しながら順次粉体回収を実行することが可能である。
【0078】
本実施形態の粉体回収手段14は、
図7に示すように、排気ライン12を介して排気ユニット13に接続され、成膜ユニット10の排気からの粉体を回収するようになっている。粉体回収手段14においても、粉体回収手段17と同様に、高性能集塵機(フィルタ)14a、粉体回収タンク14b、および、高性能集塵機(フィルタ)14c、粉体回収タンク14dのように2系列で切り替えて粉体再生手段17Fへ接続可能なように配置されている。これにより、系統を切り替えることで、粉体再生手段17Fへの回収粉体の移送を成膜ユニット10での成膜をおこないながら実行可能となる。
【0079】
本実施形態の粉体回収手段24Aは、
図7に示すように、排気ライン22Aを介して排気ユニット23Aに接続され、搬送室21Aの排気からの粉体を回収するようになっている。粉体回収手段24Aにおいても、粉体回収手段14,17と同様に、高性能集塵機(フィルタ)24a、粉体回収タンク24b、および、高性能集塵機(フィルタ)24c、粉体回収タンク24dのように2系統で切り替えて粉体再生手段17Fへ接続可能なように配置することで、粉体再生手段17Fへの回収粉体の移送を成膜ユニット10での成膜をおこないながら実行可能である。
【0080】
本実施形態の粉体回収手段34Aは、
図7に示すように、排気ライン32Aを介して排気ユニット33Aに接続され、搬送室31Aの排気からの粉体を回収するようになっている。粉体回収手段34Aにおいても、粉体回収手段14,17,24Aと同様に、高性能集塵機(フィルタ)34a、粉体回収タンク34b、および、高性能集塵機(フィルタ)34c、粉体回収タンク34dのように2系統で切り替えて粉体再生手段17Fへ接続可能なように配置することで、粉体再生手段17Fへの回収粉体の移送を成膜ユニット10での成膜をおこないながら実行可能である。
【0081】
本実施形態においては、成膜処理をおこないながら、排出された粉体を回収・再生することが可能なので、大量の粉体を必要とする処理、成膜処理時の粉体利用効率の低い処理をおこなうときに効率的に粉体再生をおこなうことができる。
【0082】
以下、本発明に係る成膜装置の第7実施形態を、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態における成膜装置を示す模式正面図である。
本実施形態において、
図7に示した第6実施形態と異なるのは、粉体回収手段17C,17Dに関する部分のみであるので、対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
本実施形態の粉体回収手段は、
図8に示すように、成膜ユニット10の底部のうち基体Tの進行方向に沿った略半分となるように設けられた右側の漏斗状の傾斜底17aを有する切替粉体回収手段17Dと、成膜ユニット10の底部のうち残りの左側略半分となるように設けられた漏斗状の傾斜底17aを有する切替粉体回収手段17Cとを有する。これら切替粉体回収手段17C,17Dはいずれも、傾斜底17aの底部と粉体タンク17bとの間にバルブ17cを有し、また、粉体タンク17bのさらに下部にバルブ17dが設けられて、このバルブ17dを介して粉体再生手段17Fに接続されている。粉体再生手段17Fは、図示しない粉体供給手段に接続されている。
【0084】
本実施形態においては、このように2系列で切り替えて粉体再生手段17Fへ接続可能なように粉体回収手段を配置することで、粉体再生手段17Fへの回収粉体の移送を成膜ユニット10での成膜をおこないながら実行可能である。