特許第6371179号(P6371179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371179
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】インプリント用組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20180730BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20180730BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   C08F2/46
   B29C59/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-193413(P2014-193413)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-66656(P2016-66656A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕史
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−129139(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0161088(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0069330(KR,A)
【文献】 特開2014−143142(JP,A)
【文献】 特開2014−057016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】
(式中、
、R、R、及びRは、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、又はメチル基である。)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーを含むことを特徴とするインプリント用組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系重合性モノマーが、下記式(2)
【化2】
であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント用組成物。
【請求項3】
25℃における粘度が1,000〜50,000,000mPa・secである請求項1または2に記載のインプリント用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のインプリント用組成物を含む塗膜剤を基板上に塗布し、該組成物からなる塗膜を形成する塗膜形成工程、パターンが形成されたモールドのパターン形成面と前記塗膜とを接触させ、その状態で光を照射して塗膜を硬化させる硬化工程、及び該モールドを硬化した塗膜から分離して、該モールドのパターン形成面に形成されているパターンに対応するパターンを基板上に形成するパターン転写工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により基板上に形成したパターンをマスクとして、該基板のパターンを形成した面と塩素系ガスとを接触させてエッチングすることを特徴とする基板の加工方法。
【請求項6】
前記基板がサファイア基板である請求項5に記載の基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なインプリント用組成物に関し、さらに前記インプリント用組成物を用いて基板上にパターンを形成する新規なパターン形成法、及び該パターンを形成した基板をエッチングする新規な基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED基板における光取り出し効率を向上させるために、サファイア基板表面上にミクロンオーダーの凹凸加工を行い、素子からの光の全反射を抑制したり、及び/又は凹凸加工を行ったサファイア基板面上に第13族元素の窒化物層を成長して、該第13族元素の窒化物層、特にGaN層の結晶欠陥を低下させることが検討されている。
【0003】
このような凹凸加工されたサファイア基板は、Patterned Sapphire Substrate(PSS)と呼ばれている。PSSの形状としては、半球状、円錐台状、円錐状とメーカーにより様々な形状が採用されているが、中でも円錐形状が光取り出し効率と積層するGaNの結晶成長を両立する形状であると言われている。円錐の寸法としては、円錐頂点から底面までの長さ(円錐高さ)が1.0〜2.0μm、円錐の側面(側辺)と底面が成す角度が45〜80°の円錐が適しており、円錐の頂点は丸みを帯びず、尖っていることが望まれている。
【0004】
サファイア基板表面上に凹凸加工する方法としては、フォトリソグラフィーでレジストパターンを形成し、その後、ドライエッチング処理を行う方法が一般的に用いられている。近年では、コストダウンを目指しサファイア基板の大口径化が検討されている。しかしながら、既存のフォトリソグラフィー法では、4インチや6インチへの大口径化に伴い歩留まりが低下するという問題点がある。これは、サファイア基板の反りや厚さムラのために露光装置では焦点が合わないことが原因である。そこで、インプリント技術、中でも特にナノインプリント技術が注目されている。
【0005】
ナノインプリント技術とは、基板上に形成したいパターンに対応するパターンの凹凸を有するモールド(ナノサイズの凹凸を有するモールド)を、基板表面に形成された塗膜上に型押しし、剥離することにより、所望のパターンを該基板表面に転写する工程からなり、低コストで量産化が可能な微細加工技術として期待されている。
【0006】
このナノインプリント技術は、基板表面に形成する塗膜材の特性により二種類に大別される。1つは、塗膜材として熱可塑性樹脂を用い、それをガラス転移温度以上に加熱して塑性変形させ、モールドを押し付けた後、冷却して塗膜材を硬化させることによりパターンを転写する熱インプリント法である。もう1つは、モールド、または基板の少なくとも一方が透明であるものを使用し、塗膜材として液状の光硬化性組成物を用い、モールドを押し付けて塗膜と接触させ、次いでモールドまたは基板を介して光を照射して該塗膜材を硬化させることによりパターンを転写する光インプリント法である。
【0007】
熱ナノインプリント法は、加熱・冷却の熱サイクルがあるため、スループットが低く、温度による寸法変化、パターン精度の低下という問題点があるが、光インプリント法は、熱サイクルがないため、スループットに優れ、温度による寸法変化等が小さい。そのため、光インプリント法は、ナノインプリント技術において広く利用されるようになっており、該方法に好適に用いられる光硬化性インプリント用組成物の開発が進められている。
【0008】
サファイア基板にパターンを形成するには、ナノインプリントによってサファイア基板上に付与したパターンをマスクとして、ドライエッチング処理により行われる。ドライエッチング処理では、サファイア基板とサファイア基板上のパターンニングされたレジスト膜も同時にエッチングされることから、サファイア基板とレジスト膜とのエッチング速度比(サファイア選択比)が重要となる。サファイアのドライエッチングに使用するガスとしては、塩素系ガスが一般的であり、パターン形成に使用する光硬化性組成物のレジスト膜に塩素エッチング耐性が高いことが求められる。そのため、塩素エッチング耐性の高いレジスト膜となる光硬化性組成物の開発が数多くなされている。
【0009】
一般的に、エッチング耐性は、レジスト材料中の炭素数(炭素含有率)に比例して向上し、芳香族化合物のような共役二重結合を有する材料は脂肪族化合物に比べてエッチング耐性が高いことが知られている。これらの知見を基に、エッチング耐性の指標として、大西パラメータと呼ばれる全原子数NTに対する炭素原子数NCから酸素原子数NOを引いた差の比率が定義され、この値が小さいほどエッチング耐性が向上する。これはエッチング速度が主に主鎖切断因子によって決まり、芳香族系炭素数が増えることでエッチング速度が下がるためである。このことは芳香族化合物や脂環式化合物等の環状構造では炭素の結合を複数切断しなければ脱離種を生成できないことが理由として考えられている。
【0010】
このように大西パラメータを小さくするという思想から、ナフタレン環等の多環芳香族構造を含むインプリント用組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、その他にエッチング耐性を高める方法として、重合性モノマーに金属アルコキシドを混合したインプリント用組成物も提案されている(特許文献2参照)。
【0011】
しかしながら、これらのインプリント用組成物を用いてサファイア基板上にパターンを形成し、ドライエッチングによりサファイア基板の加工を行った場合、理想的なPSS形状である円錐を作製するのは困難である。これは、インプリント用組成物のエッチング耐性が高過ぎることが原因である。
【0012】
また、インプリントにおいては、インプリント均一性、すなわち残膜厚の均一性も重要なファクターである。残膜厚が不均一であるということは、インプリントにより得られた構造体の高さが不均一ということを意味しており、これはドライエッチング後の構造体の不均一性にも影響する。インプリント均一性の不良は、モールドや基板のうねりが原因となって発生するものである。残膜厚は薄くするのが理想であるため、レジストは、一般的に低粘度のものが用いられている。
【0013】
しかしながら、その場合は、モールドと基板が最初に接触した部分から毛細管現象によって局部的なレジストの充填がはじまり、残膜厚が不均一になってしまう。その結果、インプリント均一性が不良となる。したがって、インプリント均一性を得るには、基板の全領域にわたってのレジストの均一充填を実現する必要がある。
【0014】
その対策として、レジストの高粘度化が挙げられる。レジストを高粘度化すると、モールドと基板が接触しても毛細管現象による充填は起らず、基板の全領域とモールドを完全に接触させることができる。その後、加圧することで充填が開始され、インプリント均一性を得ることができる。レジストを高粘度にすると、残膜厚が厚くなる懸念があるが、塗膜の初期膜厚を最適化することで低残膜厚は実現することができる。したがって、レジストの高粘度化により、インプリント均一性と低残膜厚を両立することが可能である。
【0015】
しかしながら、一般的な重合性モノマーは低粘度のものがほとんどであり、高粘度の重合性モノマーであって、実用化されているものはないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−218550号公報
【特許文献2】特開2014−57016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、インプリント技術を用いた場合において、インプリント均一性の高いインプリント用組成物を提供すること、また、そのインプリント用組成物の硬化体(硬化膜)を用いて、ドライエッチングによりサファイア基板表面に特定の円錐形状を形成させるのに適したインプリント用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、インプリント均一性が高く、且つドライエッチングによりサファイア基板表面に円錐形状を形成させるのに適したインプリント用組成物について鋭意検討を行った。その結果、特定種類の(メタ)アクリル系重合性モノマーを含むインプリント用組成物を用いることで、インプリント均一性が高く、且つドライエッチングにより容易にサファイア基板表面を円錐形状に加工できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【0020】
【化1】
【0021】
(式中、
、R、R、及びRは、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、又はメチル基である。)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーを含むことを特徴とするインプリント用組成物である。なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、メタクリル、またはアクリルの両方を指す。
【0022】
本発明のインプリント用組成物は、特に、前記(メタ)アクリル系重合性モノマーが、下記式(2)
【0023】
【化2】
【0024】
で示される化合物である場合、特に優れた効果を発揮する。
【0025】
第二の発明は、前記のインプリント用組成物を含む塗膜剤をサファイア等の基板上に塗布し、該組成物からなる塗膜を形成する塗膜形成工程、パターンが形成されたモールドのパターン形成面と前記塗膜とを接触させ、その状態で光を照射して塗膜を硬化させる硬化工程、及び該モールドを硬化した塗膜から分離して、該モールドのパターン形成面に形成されているパターンに対応するパターンを基板上に形成するパターン転写工程を含むことを特徴とするパターン形成方法である。
【0026】
第三の発明は、前記の方法によりサファイア等の基板上に形成したパターンをマスクとして、該基板のパターンを形成した面と塩素系ガスとを接触させてエッチングすることを特徴とする基板の加工方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明のインプリント用組成物を用いると、サファイア等の基板にインプリントした際に、良好なインプリント均一性を得ることができる。さらに、このインプリントしたサファイア等の基板を用いて、ドライエッチングにより容易にサファイア基板表面に円錐形状の凹凸パターンを形成させることができる。具体的には、特定種類の重合性モノマーを含むインプリント用組成物を用いることで、良好なインプリント均一性を得られ、さらにドライエッチングにより容易にサファイア基板表面を円錐形状に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】円錐パターンを有するサファイア基板の模式図
図2】サファイア凹凸パターンの凸部の断面形状
図3】サファイア凹凸パターンの凸部(円錐)を上方からみた場合の配置
図4】サファイア凹凸パターンの凸部(円錐)の断面形状
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、下記式(1)
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、
、R、R、及びRは、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、又はメチル基である。)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーを含むインプリント用組成物である。以下、順を追って説明する。
【0032】
(インプリント用組成物)
本発明のインプリント用組成物は、前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーを含めば特に制限されるものではない。前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーを含むことにより、優れた効果を発揮する。
【0033】
そのため、本発明のインプリント用組成物は、前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマー以外に、重合性基を有する他のモノマーを含むことができる。具体的には、本発明のインプリント用組成物において、重合性基を有する重合性モノマーの全量を100質量%としたとき、前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマー100〜60質量%、重合性基を有する他のモノマー0〜40質量%とすることができる。ただし、より本発明の効果を発揮するためには、前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマー100〜80質量%、重合性基を有する他のモノマー0〜20質量%とすることが好ましく、成形性等を考慮すると、前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーが100質量%であることが好ましい。先ず、前記式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーについて説明する。
【0034】
(式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマー)
本発明のインプリント用組成物は、下記式(1)
【0035】
【化4】
【0036】
(式中、
、R、R、及びRは、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、又はメチル基である。)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマー(以下、単に「式(1)で示されるモノマー」とする場合もある)を含むものである。
【0037】
式(1)で示されるモノマーは、基本骨格が芳香環を4つ有した1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、その融点(1,1,2,2−テトラフェニルエタンの融点)は250℃以上の非常に安定な固体である。そのため、この骨格に重合性基を4つ導入し、対称性を崩した多官能(メタ)アクリル系重合性モノマーは高粘度液体となり、25℃における粘度が5,000mPa・sec以上となる。
【0038】
インプリント均一性を得るには、25℃における粘度が1,000〜50,000,000mPa・secであることが好ましい。そのため、式(1)で示されるモノマーを含むインプリント用組成物は、容易に十分なインプリント均一性を得ることができる。
【0039】
また、式(1)で示されるモノマーを主成分とする本発明のインプリント用組成物を重合して得られる硬化体は、式(1)で示されるモノマーの基本骨格由来の熱安定性と、該モノマーが多官能性であることから架橋性に優れているため、高い耐熱性も有している。
【0040】
式(1)で示されるモノマーは、エッチング耐性の指標である下記式(I)のX値(ただし、以下の値は式(1)で示されるモノマーのみを使用した場合の値)で示される大西パラメータが、式(1)のR、R、R、及びRが、炭素数1〜5のアルキレン基の場合、大西パラメータX値は3.0〜3.1の範囲の値となる。また、R、R、R、及びRが、水酸基を1つ有する炭素数1〜5のアルキレン基の場合、大西パラメータX値は3.4〜3.6の範囲の値となる。
【0041】
そのため、式(1)で示されるモノマーを主成分とするインプリント用組成物は、大西パラメータX値が4.0以下の小さい値を示すようになり、エッチング耐性が高くなる。
【0042】
X=NT/(NC−NO) (I)
(式中、
NTは、式(1)で示されるモノマーの全原子の数であり、
NCは、式(1)で示されるモノマー中の全炭素原子の数であり、
NOは、式(1)で示されるモノマー中の全酸素原子の数である。)。
【0043】
以上の通り、式(1)で示されるモノマーを主成分とするインプリント用組成物(及び該組成物からなる硬化体)は、高い粘度、小さい大西パラメータ値、及び高い耐熱性を示すことから、優れた性能を示す。
【0044】
前記式(1)において、R、R、R、及びRは、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基である。R、R、R、及びRは、それぞれ異なる基であってもよいし、2つ以上の基が同一の基であってもよい。ただし、式(1)で示されるモノマーの生産性を考慮すると、R、R、R、及びRは、全て同一の基となることが好ましい。
【0045】
式(1)において、アルキレン基は、直鎖状、又は分岐状であってもよい。また、該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基において、水酸基の数は、特に制限されるものではないが、大西パラメータを小さくし、エッチング耐性を向上するためには、2個以下とすることが好ましく、1個であることが最も好ましい。
【0046】
具体的には、
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、1−メチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基等のアルキレン基;
1−ヒドロキシエチレン基、1,1−ジヒドロキシエチレン基、1,2−ジヒドロキシエチレン基、1−ヒドロキシプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1,1−ジヒドロキシプロピレン基、1,2−ジヒドロキシプロピレン基、1,3−ジヒドロキシプロピレン基、2,2−ジヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、3−ヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、1,2−ジヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、1,3−ジヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、2,3−ジヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、2,2−ジヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、3,3−ジヒドロキシ−1−メチルプロピレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、1,1−ジヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピレン基、1,1−ジヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピレン基、1−ヒドロキシブチレン基、2−ヒドロキシブチレン基、1,1−ジヒドロキシブチレン基、1,2−ジヒドロキシブチレン基、1,3−ジヒドロキシブチレン基、1,4−ジヒドロキシブチレン基、2,2−ジヒドロキシブチレン基、1−ヒドロキシ−1−メチルブチレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルブチレン基、3−ヒドロキシ−1−メチルブチレン基、4−ヒドロキシ−1−メチルブチレン基、1,2−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、1,3−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、1,4−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、2,3−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、2,4−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、2,2−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、3,3−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、4,4−ジヒドロキシ−1−メチルブチレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルブチレン基、2−ヒドロキシ−2−メチルブチレン基、3−ヒドロキシ−2−メチルブチレン基、4−ヒドロキシ−2−メチルブチレン基、1,2−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、1,1−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、2,4−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、3,3−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、3,4−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基、4,4−ジヒドロキシ−2−メチルブチレン基等の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換されたアルキレン基が挙げられる。
【0047】
これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜3のアルキレン基、または1−ヒドロキシエチレン基、1−ヒドロキシプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基等の水酸基を1つ有する炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
【0048】
式(1)において、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、又はメチル基である。R、R、R、及びRは、それぞれ異なる基であってもよいし、同一の基であってもよい。ただし、ただし、式(1)で示されるモノマーの生産性を考慮すると、R、R、R、及びRは、全て同一の基となることが好ましい。そして、中でも、R、R、R、及びRが水素原子であれば、光重合を用いた際、インプリント用組成物の硬化速度を速くすることができる。
【0049】
式(1)で示されるモノマーの例を具体的に例示すれば、
1,1,2,2−テトラキス{4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシフェニル}エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{5−(メタ)アクリロイルオキシペントキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジヒドロキシエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,3−ジヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,3−ジヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,3−ジヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−3,3−ジヒドロキシ−1−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジヒドロキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,3−ジヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,4−ジヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジヒドロキシブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−4−ヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,3−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,4−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,3−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,4−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,3−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−4,4−ジヒドロキシ−1−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−4−ヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,3−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,4−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,4−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,3−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,4−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
1,1,2,2−テトラキス[4−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−4,4−ジヒドロキシ−2−メチルブトキシ}フェニル]エタン
等が挙げられる。
【0050】
これらの中でも、優れた効果を発揮するインプリント用組成物とするためには、
1,1,2,2−テトラキス{4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシフェニル}エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタン等が好ましく、
特に好まくは、1,1,2,2−テトラキス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}フェニル]エタン、
1,1,2,2−テトラキス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ}フェニル]エタンであり、下記式(2)で示される。
【0051】
【化5】
【0052】
また、式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーの中でも、下記式(10)
【0053】
【化6】
【0054】
(式中、
(i)R10、R20、R30、及びR40は、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
50、R60、R70、及びR80は、メチル基であるか、又は
(ii)R10、R20、R30、及びR40は、炭素数1〜5のアルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
50、R60、R70、及びR80は、それぞれ、水素原子、あるいはメチル基である。)で示される(メタ)アクリル系化合物は、新規化合物である。
【0055】
式(10)で示される(メタ)アクリル系化合物において、
(i)R10、R20、R30、及びR40は、それぞれ、炭素数1〜5のアルキレン基、又は該アルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、R50、R60、R70、及びR80は、メチル基である場合、
10、R20、R30、及びR40は、前記R、R、R、及びRで説明した基と同じ基であり、好ましい基も同じである。
【0056】
また、 式(10)で示される(メタ)アクリル系化合物において、
(ii)R10、R20、R30、及びR40は、炭素数1〜5のアルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基であり、
50、R60、R70、及びR80は、それぞれ、水素原子、あるいはメチル基である場合、 R10、R20、R30、及びR40の、炭素数1〜5のアルキレン基の少なくとも1つの水素原子が水酸基に置換された基は、前記R、R、R、及びRで説明した基と同じ基であり、好ましい基も同じである。
【0057】
(式(1)で示されるモノマーの製造方法)
式(1)で示されるモノマーの製造方法は、特に制限されるものではない。式(1)の中でも、式(2)で示されるモノマー、すなわち、1,1,2,2−テトラキス{4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタンは、新中村化学工業(株)製、NKオリゴ EA−8720を使用することができる。
【0058】
その他、式(1)で示されるモノマーは、Williamsonのエーテル合成法として、一般的に知られている方法にて合成することができる。具体的には、原料化合物として、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキルを用い、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド等の強塩基を作用させることにより製造できる。
【0059】
本発明のインプリント用組成物は、前記の通り、式(1)で示されるモノマー以外の、重合性基を有する他のモノマー(以下、単に他のモノマーとする場合もある)を含むことができる。次に、他のモノマーについて説明する。
【0060】
(他のモノマー)
本発明において、他のモノマーは、特に制限されるものではなく、光重合に使用される公知の(メタ)アクリル基を有する重合性モノマー、及び/又は(メタ)アクリル基以外の重合性基を有するモノマーを使用することができる。
【0061】
(メタ)アクリル基以外の重合性基を有するモノマーとしては、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3−[{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}メチル]オキセタン等が挙げられる。ただし、光重合によりインプリントを実施する場合には、他のモノマーは、式(1)で示されるモノマー以外であって、(メタ)アクリル基を有するモノマーであることが好ましい。そのため、前記(メタ)アクリル基以外の重合性基を有するモノマーを使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲、具体的には、重合性基を有する重合性モノマーの全量を100質量%としたとき、前記(メタ)アクリル基以外の重合性基を有するモノマーは0〜5質量%とすることが好ましく、特に好ましくは0質量%である。
【0062】
((メタ)アクリル基を有する他のモノマー)
次に、他のモノマーの中でも、(メタ)アクリル基を有する重合性モノマーについて説明する。(メタ)アクリル基を有する他のモノマーとしては、1分子中に1つの(メタ)アクリル基を有する単官能重合性モノマー、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリル基を有する多官能重合性モノマーが挙げられ、これら単官能重合性モノマー及び多官能重合性モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0063】
((メタ)アクリル基を有する他のモノマー:単官能重合性モノマー)
1つの(メタ)アクリル基を有する単官能重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート誘導体、(メタ)アクリロイルモルホリン等の脂肪族(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(4−ヒドロキシフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化アルキルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化アルキルフェノール(メタ)アクリレート、ο−フェニルフェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−(ο−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ο−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(ο−フェニルフェノキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2−[2−(ο−フェニルフェノキシ)エトキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(ο−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0064】
((メタ)アクリル基を有する他のモノマー:多官能重合性モノマー)
1分子中に2つの(メタ)アクリル基を有する多官能重合性モノマー(二官能重合性モノマー)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオレフィングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジアクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシメトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチロキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]フルオレン等の芳香環を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0065】
さらに、該多官能重合性モノマーにおいて、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリル基を有する重合性モノマーとしては、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、1,3,5−アダマンタントリオールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0066】
(好適な(メタ)アクリル基を有する他のモノマー)
上記他のモノマーの中でも、塩素系ガスのエッチング耐性を向上させることができる、すなわち大西パラメータを小さくできるという点から、分子内にο−フェニルフェノキシ基、フルオレン等の芳香環を有するモノマー、また環状構造を有するモノマーが好ましい。具体的には、2−(o−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル}プロパン、9,9−ビス[4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−{3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ}フェニル]フルオレン、1,3−アダマンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0067】
前記の通り、本発明のインプリント用組成物は、他のモノマーを含むことができる。そして、他のモノマーを含む場合には、その使用する他のモノマーの種類、配合割合は、エッチング耐性を良好にするためには、次に説明する大西パラメータのX値が4.0以下となるように選択することが好ましい。
【0068】
すなわち、複数種の重合性モノマーを用いた場合の大西パラメータX値は、以下の通り求められる。
【0069】
X=Σ(Xk×Mk) (II)
k=1、2、3、・・・nであり、複数の重合性モノマー中に含まれる重合性モノマーの種類の数であり、Xkは、重合性モノマーのX値を表し、Mkは、重合性モノマーの質量分率(各重合性モノマーの質量/複数の重合性モノマーの総質量)を表す。
【0070】
例えば、前記式(I)のX値が4.0の重合性モノマー20質量%と、前記式(I)のX値が3.0の重合性モノマー80質量%から構成される、複数の重合性モノマーを用いた場合、該複数の重合性モノマーの一般式(II)のX値は、4.0×0.2+3.0×0.8=3.2となる。
ただし、前記の通り、本発明のインプリント用組成物は、式(1)で示されるモノマーが重合性モノマーの全量となってもよい。
【0071】
本発明のインプリント用組成物は、前記重合性モノマー以外に、重合開始剤、その他添加成分を含むことができる。次に、これら配合剤について説明する。
【0072】
(重合開始剤)
本発明のインプリント用組成物は、熱重合、光重合、又は重合の重合方法で硬化させることができる。ただし、パターン形成時の生産性を考慮すると光重合を実施することが好ましい。そのため、該インプリント用組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
【0073】
(光重合開始剤)
本発明において、光重合開始剤は特に制限されるものではなく、(メタ)アクリル系重合性モノマーを光重合できるものであれば、いかなる光重合開始剤も使用できる。
【0074】
光重合開始剤としては、具体的に、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンゾイルギ酸メチル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン等のアセトフェノン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチル、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピル、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のO−アシルオキシム誘導体;ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;2,4−ジエトキシチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン誘導体が好適に使用される。これら光重合開始剤は、1種あるいは2種以上を混合して使用される。
【0075】
また、α−ジケトンを用いる場合には、第3級アミン化合物と組み合わせて用いることが好ましい。α−ジケトンと組み合わせて用いることのできる第3級アミン化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、N,N−ジメチルアントラニル酸メチル、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、p−(ジメチルアミノ)フェネチルアルコール、p−(ジメチルアミノ)スチルベン、5−(ジメチルアミノ)−m−キシレン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−2−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−ジ(エチルアミノ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0076】
本発明においては、アセトフェノン誘導体、アシルホスフィンオキサイド誘導体、O−アシルオキシム誘導体、α−ジケトンを使用することが好ましい。
【0077】
本発明において、上記光重合開始剤の使用量は、インプリント用組成物中の重合性モノマー100質量部(式(1)で示されるモノマー、及び必要に応じて配合される他のモノマーの合計(以下、単に全重合性モノマーとする場合もある)100質量部)に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがエッチング耐性の観点からより好ましい。
【0078】
(他の添加剤)
本発明のインプリント用組成物には、安定化させる目的、又はその他の目的で溶媒や安定化剤やその他公知の添加剤を配合することもできる。具体的には、界面活性剤、重合禁止剤、等を配合することができる。界面活性剤は塗膜の均一性の点から、重合禁止剤は保存中に重合しないように安定化させるために配合される。
【0079】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、フッ素含有界面活性剤、シリコーン含有界面活性剤、脂肪族系界面活性剤を使用できる。中でも、インプリント用組成物がシリコンウエハ等の基板へ塗布されるものの場合、はじきを生ずることなく、組成物を均一に塗布しやすい点から、脂肪族系界面活性剤を使用することがより好ましい。
【0080】
界面活性剤の例としては、デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸の金属塩類、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪族カルボン酸の金属塩類、ラウリルアルコールとエチレンオキサイドとの付加物を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム等の高級アルキルエーテル硫酸エステルの金属塩類、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホコハク酸ジエステルの金属塩類、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ドデシルアンモニウムクロリド等のアルキルアミン塩酸塩類およびトリメチルドデシルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;ドデシルジメチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド類、ドデシルカルボキシベタイン等のアルキルカルボキシベタイン類、ドデシルスルホベタイン等のアルキルスルホベタイン類、ラウラミドプロピルアミンオキシド等のアミドアミノ酸塩等の両性イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル類、脂肪酸ポリオキシエチレンラウリルエステル等の脂肪酸ポリオキシエチレンエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類等の非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。界面活性剤は、それぞれ単独で使用できるだけでなく、必要に応じて、複数の種類を組み合わせて併用することもできる。
【0081】
界面活性剤を配合する場合には、インプリント用組成物中の全重合性モノマー100質量部対して、0.0001〜1質量部、好ましくは、0.001〜0.1質量量部の割合で配合することができる。
【0082】
(重合禁止剤)
重合禁止剤の例としては、公知のものを挙げることができ、例えば、最も代表的なものは、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができる。
【0083】
重合禁止剤を配合する場合には、インプリント用組成物中の全重合性モノマー100質量部に対して、0.01〜1.0質量部、好ましくは、0.1〜0.5質量部の割合で配合することができる。
【0084】
(上記以外の添加剤)
また、他の添加成分として、モールド(パターン面)からの離型性を向上し、基板上に再現性に優れた形状のパターンを形成できることから、ハイパーブランチポリマーのような球状微粒子を配合することもできる。この場合、直径は1〜10nm、分子量10,000〜100,000の球状ハイパーブランチポリマーを配合することが好ましい。配合量は、インプリント用組成物中の重合性モノマー100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0085】
(有機溶媒の添加:塗膜剤)
本発明のインプリント用組成物は、塗膜の形成を容易にするため、有機溶媒と混合して塗膜剤として使用することもできる。本発明においては、インプリント用組成物からなる塗膜を基板上に形成するが、本発明のインプリント用組成物は高粘度であるため、基板への塗布性や塗膜均一性を考慮すると、溶媒で希釈して塗膜剤とすることが好ましい。ただし、有機溶媒は必須の成分ではなく、インプリント用組成物のみで塗膜を形成できる場合には、有機溶媒を混合する必要はない。
【0086】
(有機溶媒)
有機溶媒を混合する場合、使用される溶媒としては、本発明のインプリント用組成物が溶解する溶媒であれば、何ら制限なく使用できる。例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、t−ブチルアルコール、ポリエチレングリコール、その他のアルコール類を挙げることができる。
【0087】
有機溶媒を使用する場合、使用量は特に制限されず、目的の塗膜の厚みに応じて、適宜選択される。中でも、溶媒およびインプリント用組成物の合計量を100質量%とすると、該溶媒の濃度が10〜99質量%となる範囲とすることが好ましい。
【0088】
(インプリント用組成物・塗膜剤の製造方法)
本発明のインプリント用組成物は、式(1)で示されるモノマーの他、必要に応じて配合される他のモノマー、重合開始剤、その他添加成分を混合することにより製造できる。塗膜剤とする場合には、さらに有機溶媒を混合すればよい。これら成分の添加順序は特に制限されるものではないが、先ず、重合性モノマー、及び必要に応じて配合される有機溶媒を十分に混合して均一な状態とした後、その他の成分を混合するのが好ましい。
【0089】
(インプリント用組成物の物性)
本発明のインプリント用組成物は、インプリント均一性を考慮すると、25℃における粘度が1,000〜50,000,000mPa・secであることが好ましい。
【0090】
(インプリン用組成物・塗膜剤を用いたパターンの形成方法)
本発明のインプリント用組成物を用いたパターン形成方法について説明する。本発明のパターン形成方法は、塗膜形成工程、硬化工程、及びパターン転写工程を含む。これら工程について説明する。
【0091】
(塗膜形成工程)
前記方法に調製したインプリント用組成物、又は必要に応じて有機溶剤を混合した塗膜剤(インプリント用組成物を含む塗膜剤)を、基板上に塗布する。該基板は、特に制限されるものではなく、シリコン基板、炭化ケイ素基板、第13族元素の窒化物単結晶基板、サファイア基板等が挙げられるが、本発明の効果がより顕著に発揮されるのは、サファイア基板である。
【0092】
先ず、インプリント用組成物を含む塗膜剤(インプリント用組成物のみの場合もある)をサファイア等の基板上に公知の方法に従って塗布することにより、塗膜を形成する。なお、サファイア基板は、本発明のインプリント用組成物よりなる硬化膜との密着性をより改善するために、表面処理を施すこともできる。
【0093】
サファイア基板等上に、スピンコート法、ディッピング法、ディスペンス法、インクジェット法、スプレーコート法のような公知の方法により、本発明のインプリント用組成物を塗布することにより、塗膜を形成することができる。塗膜の厚みは、特に制限されるものではなく、使用するモールドのパターンに応じた最適膜厚を適宜決定すればよいが、通常0.1〜5μmである。
【0094】
インプリントでは、パターンが形成されたモールドの反転したパターンが得られる。インプリント用組成物が重合硬化してなる硬化膜のインプリントパターンとしては、円錐台形状、円柱形状が一般的である。したがって、モールドは、円錐台形状、または円柱形状の反転パターンを有するモールドを使用し、インプリントを実施する。すなわち、モールドのパターンとしては、凹型の円錐台形状、または円柱形状のパターンである。このようなモールドは様々なパターンのものが市販されている。
【0095】
また、塗膜形成後に、必要に応じてプリベーク工程を加えてもよい。プリベーク温度は、塗膜が乾燥する温度であれば、特に制限されないが、通常は、40℃〜150℃の範囲から選択できる。揮発による重合性モノマーの組成変化が起こる場合もあるため、乾燥温度は100℃以下が好ましい。
【0096】
(硬化工程)
次に、所望のパターンが形成されているモールドのパターン形成面を、前記塗膜と接触させる。この際、モールドは、光照射が透過し、塗布された組成物(塗膜)を重合硬化して硬化膜を形成できるように、透明な材質、例えば、石英や透明な樹脂フィルムで形成されていることが好ましい。本発明のインプリント用組成物は、モールドを押し付ける際に比較的低圧でパターンを転写することができる。この際の圧力は、特に制限されるものではないが、0.01MPa〜5MPaの圧力でパターンを転写できる。なお、当然のことながら、上記圧力の上限値以上の圧力でもパターンの転写は可能である。
【0097】
その後、モールドのパターン面と塗膜とを接触させた状態のまま、光を照射して、塗膜を硬化させる。照射する光は、波長が500nm以下で、光の照射時間は、0.1〜300秒の範囲から選択される。塗膜の厚み等にもよるが、通常、1〜60秒である。
【0098】
光重合時の雰囲気としては、大気下でも重合可能であるが、光重合反応を促進する上で、酸素阻害の少ない雰囲気下での光重合が好ましい。例えば、窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、凝縮性ガスである1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン等のフッ素系ガス雰囲気下、または真空雰囲気下等が好ましい。
【0099】
(パターン転写工程)
光照射(光重合)した後、硬化した塗膜からモールドを分離(離型)することにより、該モールドのパターン形成面に形成されているパターンに対応するパターンを、例えば、サファイア基板上に形成することができる。以下、基板上に硬化膜よりなるパターンが形成されたものを、単に、積層体とする場合もある。
【0100】
(基板の加工方法)
本発明のインプリント用組成物から得られる硬化膜は、サファイア基板を加工するための塩素系ガスに対するエッチング耐性に優れていることから、サファイア基板を表面加工する際のマスクとして用いるのに適している。なお、塩素系ガスとしては、反応性イオンエッチングに用いられる公知のガスを使用することができる。具体的には、塩素、三塩化ホウ素、四塩化炭素を挙げることができ、必要に応じて、酸素ガス、フッ素系ガス、アルゴンガス等を混合して使用することもできる。なお、以下、凹凸パターンを有するサファイア基板の加工方法をPSS加工とも表現し、説明する。
【0101】
具体的な方法としては、まず、積層体の硬化膜の肉薄部分(残膜)をドライエッチングにより除去し、サファイア基板表面を出した後、さらにドライエッチングを行い、硬化膜すべてを除去させることにより、円錐形状の凹凸パターンを有するサファイア基板を作製する。また、残膜を除去する工程を実施せずに、残膜の除去とドライエッチングによるPSS加工を一度に行うことも可能である。特に、残膜が0.2μm以下の薄い場合は、残膜を除去する工程を実施せず、残膜の除去とドライエッチングによるPSS加工を一度に行うことができる。このような工程により、凹凸パターンを有するサファイア基板を製造することができる。
【0102】
ドライエッチングの具体的な条件として、アンテナ電力は100〜800Wの任意の電力を選択することができる。ただし、硬化膜の炭化等の変質防止や、サファイア基板のエッチング速度を高めることを考慮すると、200〜500Wが望ましい。
【0103】
また、バイアス電力は100〜500Wの任意の電力が選択することができる。同様に、硬化膜の炭化等の変質防止や、サファイア基板のエッチング速度を高めることを考慮すると、200〜300Wが望ましい。
【0104】
チャンバー内の圧力としては、0.3〜1.0Paの任意の値を選択することができる。チャンバー内を低圧にすると、排気速度を増大させることができ、サファイア基板のエッチング速度を高めることができる。そのため、チャンバー内の圧力は0.5〜0.8Paに設定するのが望ましい。
【0105】
エッチングガスの流量としては、全ガス流量を50〜150sccmに設定するのが通常である。実際にエッチングを行う塩素系ガスや、希釈を目的とするアルゴン等のガスの割合は任意に設定することができる。ただし、希釈ガスを過剰にすると、サファイアのエッチング速度が著しく低くなるため、希釈ガスは全体の50%以下であることが好ましい。
【0106】
ドライエッチング時間は、硬化膜を完全にドライエッチングにより除去できるまで行う必要がある。通常は、硬化膜が完全に除去される時間(ジャストエッチタイム)より2〜3割長めのエッチング時間を設定する。実際のエッチング時間は、硬化膜が形成する円錐の高さによって異なるが、通常は10〜40分である。
【0107】
ただし、ドライエッチングによりサファイア表面を円錐形状に加工するには、硬化膜のパターン形状、特にアスペクト比等を厳密に制御する必要がある。アスペクト比(円錐台、又は円柱の高さ/円錐台、又は円柱の底面の直径)が1を超えると、円錐形状でなく、円錐台形状や二段階形状(上部が円錐、下部が円錐台、又は円柱形状)になることが多い。また、場合によっては、ドライエッチングの条件、特にアンテナ電力、バイアス電力、ガス組成についても、調整を行う。
【0108】
(加工された基板形状)
次に、ドライエッチングによりサファイア基板表面に形成した円錐形状について説明する(図1)。なお、本発明において、円錐形状とは完全な円錐形状だけでなく、略円錐形状であってもよい。すなわち、円錐の底面形状は真円だけでなく、楕円率0.8以上の楕円であってもよい。ここで、楕円率とは楕円の短径を長径で除した値である。
【0109】
また、サファイア基板表面から最も遠い位置にある部分を頂点とすると、その頂点から任意に垂直に切った場合の断面形状に関して、例えば、(a)断面が三角形である場合以外にも、(b)断面の底辺が直線で、底辺と頂点を結ぶ線が曲線(孤)である場合等は、略円錐形状(前記b)であるとして円錐形状に含めるものとする(図2参照)。すなわち、サファイア基板表面に形成した円錐形状は、厳密な円錐形状でなくてもよく、側辺が丸みを帯びた略円錐形状でも問題ない。ただし、頂点は丸みを帯びず、尖っていることが好ましい形状である。
【0110】
本発明のサファイア基板上に形成された凹凸パターンの凸部は前記した円錐形状であり、凹部は凸部以外の部分を意味する。円錐形状、または略円錐形状の配列は、モールドの形状に依存するが、三角配列であることが好ましい。三角配列は、円錐、または略円錐の頂点間の間隔(ピッチ)を一辺とする正三角形の頂点に円錐、または略円錐を配置する配列方式であり、隣り合う円錐、または略円錐との距離はほぼ一定となる(図3)。
【0111】
円錐形状、または略円錐形状の具体的な寸法としては、円錐の高さ41(図4:円錐の底面から頂点までの長さ)は、好ましくは0.5〜3.0μm、より好ましくは1.0〜2.0μmである。
【0112】
円錐の側辺と底面が成す角度42(図4)は、好ましくは45〜80°、より好ましくは50〜70°である。
【0113】
円錐底面の円の直径31(図3)、41(図4)は、好ましくは0.2〜6.0μm、より好ましくは2.0〜3.0μmである。
【0114】
円錐の頂点間の距離(ピッチ)32(図3)は、通常円錐の底面の直径の好ましくは1.2〜2.0倍、より好ましくは1.4〜1.8倍である。
【0115】
アスペクト比(円錐の高さ/円錐の底面の直径)は、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.6〜1.5である。
【0116】
以上のような基板とすることにより、発光素子ダイオード(LED)として利用した際、光取り出し効率が良好な凹凸パターンを有するサファイア基板を得ることができる。また、サファイア基板表面をPSS加工することにより、LEDの光取り出し効率の向上や結晶転移の少ない均質なGaN(窒化ガリウム)成長やGaN層のクラック防止が期待できる。
【実施例】
【0117】
以下、本発明を実施例および比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0118】
(インプリント用組成物の塗布:塗膜形成工程条件)
ジアセトンアルコール(DAA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、またはシクロヘキサノンにて希釈したインプリント用組成物(塗膜剤)を、2インチのサファイア基板(片面鏡面仕上げ、厚さ430μm、面方位c面)上に、4500rpm、20秒の条件にてスピンコートし、インプリント用組成物を塗布したサファイア基板を得た。ここでは、プリベーク処理は行わなかった。塗布膜厚は、使用するレプリカモールドに合わせて最適な膜厚を設定した。
【0119】
(使用したモールド)
パターンの形成、基板加工においては、以下のモールドを用いた。
FleFimo HOP80−1700/1700(綜研化学(株)製)
凹型円錐台形状フィルムモールド
上部直径D1=1.4μm、下部直径D2=2.0μm、高さH=1.7μm、側面と底面のなす角度θ=80°、アスペクト比=0.85
(インプリント用組成物の粘度の測定)
インプリント用組成物の粘度は、回転型レオメーターCVO120HRNF(ボーリン(株)製)にて測定した。測定温度は25℃であり、コーン・プレート型冶具は角度α=1°のものを用いた。
【0120】
(インプリントの実施方法:硬化工程条件)
ナノインプリント装置(SCIVAX(株)製、X−300)において、各実施例・比較例で得られたインプリント用組成物を塗布したサファイア基板に、真空条件下で、圧力3MPaをかけてモールドを押し付け、LED365nm光源から光を60秒間照射することにより光インプリントを行った。使用するモールドには、上記のFleFimo HOP80−1700/1700を用いた。
【0121】
(インプリント用組成物よりなる硬化体(硬化膜)の熱重量示差熱分析:耐熱性評価)
インプリント用組成物よりなる硬化体(硬化膜)の熱重量示差熱分析は、Thermoplus EVOIIシリーズ差動型示差熱天秤TG8120 TG−DTA(リガク(株)製)を用いて測定した。測定サンプルは、アルミ製パンにインプリント用組成物5〜10mgを秤量し、窒素気流下で、LED(波長365nm、照度25mW/cm)を40秒照射して硬化させたものを用いた。このときの露光量は1J/cmである。リファレンス試料には、α−アルミナを用いた。測定温度は30〜500℃、昇温速度は10℃/分、空気気流下(200ml/分)にて測定を行った。
【0122】
(インプリント均一性の評価方法)
インプリント均一性は、インプリントにより得られたレジスト硬化体積層サファイア基板(積層体)を目視にて、以下のように3段階に評価した。
○:構造色のムラや干渉縞模様が全く見られないもの。
△:構造色のムラや干渉縞模様がわずかに見られるもの。
×:構造色のムラや干渉縞模様が明らかに見られるもの。
【0123】
(ドライエッチングの実施条件)
反応性イオンエッチング装置(サムコ(株)製、RIE−230iPC)を用いて、上記のようにして得られたパターンを形成したレジスト積層サファイア基板(積層体)の塩素系ガスによるドライエッチングを行った。ドライエッチング条件は、アンテナ電力500W、バイアス電力200W、ガス流量 三塩化ホウ素/塩素/アルゴン=30/20/50(sccm)、圧力0.6Paとした。
【0124】
(インプリント形状、エッチング形状の観察(評価方法))
走査型電子顕微鏡(SEM)により、インプリント用組成物を用いてサファイア基板上にインプリントしたパターン形状、またはドライエッチングによりサファイアに作製したパターン形状を観察し、測長した。
【0125】
(サファイア基板のエッチング速度、選択比の算出方法)
ドライエッチングを20分間実施し、そのときのインプリント用組成物の硬化膜、及びサファイアのエッチング量から、それぞれのエッチング速度を算出した。サファイアのエッチング速度を、インプリント用組成物の硬化膜のエッチング速度で除した値を、インプリント用組成物の硬化膜のサファイア選択比とした。サファイア選択比の値が大きいほど、インプリント用組成物の硬化膜は、サファイア基板と比較して、塩素系ガスによるエッチングを受けにくく、エッチング耐性が高いことを示している。
【0126】
(サファイア基板上に作製したパターン形状の評価)
ドライエッチング後のサファイア基板上の形状から、以下のように3段階に評価した。
○:サファイア基板の凸部が円錐形状であり、側面と底面の成す角度が45〜80°のもの。
△:サファイア基板上の凸部が円錐形状であるが、側面と底面の成す角度が45°未満のもの。
×:サファイア基板の凸部が二段階形状、または円錐台形状等であり、円錐形状でないもの。
【0127】
(合成例)
実施例1、5、6で使用した式(1)で示される(メタ)アクリル系重合性モノマーの合成例を以下に示す。
【0128】
(合成例1 1,1,2,2−テトラキス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}エタン(1a)の合成)
1Lのガラス製四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、温度計、滴下ロート、ガス導入管を取り付け、反応装置を組み立てた。フラスコに原料である1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(和光純薬工業(株)製)25.0g(0.063mol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド40ml、脱水テトラヒドロフラン400mlを仕込み、窒素フロー下、300rpmで撹拌した。次に、カリウムt−ブトキシド42.2g(0.376mol)をフラスコに投入した。このとき、液温が30℃程度まで発熱した。液温が室温程度になってから、アクリル酸2−ブロモエチル(Alfa Aesar製)67.4g(0.376mol)を30分かけて滴下した。液温は40℃程度になった。滴下終了後2時間反応させた後、1規定の塩酸400mlをゆっくり加えて、反応をクエンチした。反応混合物を分液ロートに移し、クロロホルム700mlを加えて、有機層を分液した。次に有機層を20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥し、ろ過した。エバポレーターにて溶媒を留去し、黄色粘稠体を得た。この黄色粘稠体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、目的物である1,1,2,2−テトラキス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}エタンの無色粘稠体34.9gを得た。収率は70.4%、HPLC純度は99.6%であった。構造はH−NMRにて同定した。結果を示す。
H−NMR(500MHz、CDCl):δ4.4ppm(t、8H)、δ4.5ppm(t、8H)、δ4.8ppm(s、2H)、δ5.6ppm(dd、4H)、δ6.1ppm(dd、4H)、6.3ppm(dd、4H)、δ6.9ppm(d、8H)、δ7.4ppm(d、8H)。
【0129】
(合成例2 1,1,2,2−テトラキス{4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル}エタン(1b)の合成)
1Lのガラス製四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、温度計、滴下ロート、ガス導入管を取り付け、反応装置を組み立てた。フラスコに原料である1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(和光純薬工業(株)製)25.0g(0.063mol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド40ml、脱水テトラヒドロフラン400mlを仕込み、窒素フロー下、300rpmで撹拌した。次に、カリウムt−ブトキシド42.2g(0.376mol)をフラスコに投入した。このとき、液温が30℃程度まで発熱した。液温が室温程度になってから、メタクリル酸2−クロロエチル(Alfa Aesar製)55.7g(0.376mol)を30分かけて滴下した。液温は40℃程度になった。滴下終了後2時間反応させた後、1規定の塩酸400mlをゆっくり加えて、反応をクエンチした。反応混合物を分液ロートに移し、クロロホルム700mlを加えて、有機層を分液した。次に有機層を20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥し、ろ過した。エバポレーターにて溶媒を留去し、黄色粘稠体を得た。この黄色粘稠体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、目的物である1,1,2,2−テトラキス{4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル}エタンの無色粘稠体39.4gを得た。収率は74.1%、HPLC純度は99.2%であった。構造はH−NMRにて同定した。結果を示す。
H−NMR(500MHz、CDCl):δ2.0ppm(s、12H)、δ4.4ppm(t、8H)、δ4.5ppm(t、8H)、δ4.8ppm(s、2H)、δ6.4ppm(d、4H)、6.5ppm(d、4H)、δ6.9ppm(d、8H)、δ7.4ppm(d、8H)。
【0130】
(合成例3 1,1,2,2−テトラキス{4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタン(2b)の合成)
1Lのガラス製四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、温度計、滴下ロート、ガス導入管を取り付け、反応装置を組み立てた。フラスコに原料である1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(和光純薬工業(株)製)25.0g(0.063mol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド40ml、脱水テトラヒドロフラン400mlを仕込み、窒素フロー下、300rpmで撹拌した。次に、カリウムt−ブトキシド42.2g(0.376mol)をフラスコに投入した。このとき、液温が30℃程度まで発熱した。液温が室温程度になってから、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業(株)製)53.5g(0.376mol)を30分かけて滴下した。液温は40℃程度になった。滴下終了後2時間反応させた後、1規定の塩酸400mlをゆっくり加えて、反応をクエンチした。反応混合物を分液ロートに移し、クロロホルム700mlを加えて、有機層を分液した。次に有機層を20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥し、ろ過した。エバポレーターにて溶媒を留去し、黄色粘稠体を得た。この黄色粘稠体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、目的物である1,1,2,2−テトラキス{4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタンの無色粘稠体49.8gを得た。収率は82.1%、HPLC純度は99.6%であった。構造はH−NMRにて同定した。結果を示す。
H−NMR(500MHz、CDCl): δ2.0ppm(s、12H)、δ3.6ppm(s、4H)、4.0〜4.4ppm(m、20H)、δ4.8ppm(s、2H)、δ6.4ppm(d、4H)、6.5ppm(d、4H)、δ6.9ppm(d、8H)、δ7.4ppm(d、8H)。
【0131】
実施例1
前記式(1)のアクリル系重合性モノマーとして、合成例1で合成した1,1,2,2−テトラキス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}エタン(1a)10.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(1)を含む塗膜剤を得た。ここで用いた前記式(1)のアクリル系重合性モノマーの置換基の詳細を表1に示した。また、このインプリント用組成物(1)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0132】
得られたインプリント用組成物(1)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0133】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐形状であり、上部直径DS1=0μm(円錐形状であるため)、下部直径DS2=2.5μm、高さH2=2.0μm、側面と底面のなす角度θ2=60°であった。その評価結果を表3に示した。
【0134】
実施例2
前記式(1)のアクリル系重合性モノマーとして、1,1,2,2−テトラキス{4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタン(2a)(新中村化学工業(株)製、NKオリゴ EA−8720)10.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(2)を含む塗膜剤を得た。ここで用いた前記式(1)のアクリル系重合性モノマーの置換基の詳細を表1に示した。また、このインプリント用組成物(2)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0135】
得られたインプリント用組成物(2)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0136】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐形状であり、上部直径DS1=0μm(円錐形状であるため)、下部直径DS2=2.3μm、高さH2=1.8μm、側面と底面のなす角度θ2=57°であった。その評価結果を表3に示した。
【0137】
実施例3
前記式(1)のアクリル系重合性モノマーとして、1,1,2,2−テトラキス{4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタン(2a)(新中村化学工業(株)製、NKオリゴ EA−8720)8.0g、その他のアクリル系重合性モノマーとして、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−DCP)2.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(3)を含む塗膜剤を得た。ここで用いた前記式(1)のアクリル系重合性モノマーの置換基の詳細を表1に示した。また、このインプリント用組成物(3)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0138】
得られたインプリント用組成物(3)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0139】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐形状であり、上部直径DS1=0μm(円錐形状であるため)、下部直径DS2=2.3μm、高さH2=1.7μm、側面と底面のなす角度θ2=56°であった。その評価結果を表3に示した。
【0140】
実施例4
前記式(1)のアクリル系重合性モノマーとして、1,1,2,2−テトラキス{4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタン(2a)(新中村化学工業(株)製、NKオリゴ EA−8720)6.0g、その他のアクリル系重合性モノマーとして、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−DCP)4.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(4)を含む塗膜剤を得た。ここで用いた前記式(1)のアクリル系重合性モノマーの置換基の詳細を表1に示した。また、このインプリント用組成物(4)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0141】
得られたインプリント用組成物(4)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0142】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐形状であり、上部直径DS1=0μm(円錐形状であるため)、下部直径DS2=2.3μm、高さH2=1.5μm、側面と底面のなす角度θ2=53°であった。その評価結果を表3に示した。
【0143】
実施例5
前記式(1)のメタクリル系重合性モノマーとして、合成例2で合成した1,1,2,2−テトラキス{4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)エタン(1b)10.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(5)を含む塗膜剤を得た。ここで用いた前記式(1)のメタクリル系重合性モノマーの置換基の詳細を表1に示した。また、このインプリント用組成物(5)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0144】
得られたインプリント用組成物(5)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0145】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐形状であり、上部直径DS1=0μm(円錐形状であるため)、下部直径DS2=2.5μm、高さH2=2.0μm、側面と底面のなす角度θ2=58°であった。その評価結果を表3に示した。
【0146】
実施例6
前記式(1)のメタクリル系重合性モノマーとして、合成例3で合成した1,1,2,2−テトラキス{4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル}エタン(2b)10.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(6)を含む塗膜剤を得た。ここで用いた前記式(1)のメタクリル系重合性モノマーの置換基の詳細を表1に示した。また、このインプリント用組成物(6)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0147】
得られたインプリント用組成物(6)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0148】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐形状であり、上部直径DS1=0μm(円錐形状であるため)、下部直径DS2=2.4μm、高さH2=1.7μm、側面と底面のなす角度θ2=55°であった。その評価結果を表3に示した。
【0149】
比較例1
アクリル系重合性モノマーとして、9,9−ビス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレン(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−BPEF)10.0g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(7)を含む塗膜剤を得た。このインプリント用組成物(7)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0150】
得られたインプリント用組成物(7)をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0151】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は円錐台形状であり、上部直径DS1=0.7μm、下部直径DS2=2.4μm、高さH2=2.2μm、側面と底面のなす角度θ2=72°であり、望ましいPSS形状ではなかった。その評価結果を表3に示した。
【0152】
比較例2
アクリル系重合性モノマーとして、9,9−ビス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレン(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−BPEF)5.0g、ビニル系重合性モノマーとして、9−ビニルカルバゾール5.0g(東京化成工業(株)製)、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、シクロヘキサノン15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(8)を含む塗膜剤を得た。このインプリント用組成物(8)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0153】
得られたインプリント用組成物(8)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。インプリント均一性は良好であった。
【0154】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は二段形状であり、上部直径DS1=0.9μm、下部直径DS2=2.3μm、高さH2=2.1μm、側面と底面のなす角度θ2=71°であり、望ましいPSS形状ではなかった。その評価結果を表3に示した。
【0155】
比較例3
オキセタン系重合性モノマーとして、1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メチル}メチル]ベンゼン(東亞合成(株)製、アロンオキセタン OXT−121)7.0g、エポキシ系重合性モノマーとして、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル(株)製、セロキサイド2021P)3.0g、増感剤として、9−メチルアントラセン0.1g(東京化成工業(株)製)、光酸発生剤として、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート0.2g(東京化成工業(株)製)、希釈溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(9)を含む塗膜剤を得た。このインプリント用組成物(9)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0156】
得られたインプリント用組成物(9)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。構造色のムラ、干渉縞模様が観察され、インプリント均一性は不良であった。
【0157】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は二段形状であり、上部直径DS1=0μm、下部直径DS2=2.3μm、高さH2=1.5μm、円錐部の側面と底面のなす角度θ2=50°であり、望ましいPSS形状ではなかった。その評価結果を表3に示した。
【0158】
比較例4
アクリル系重合性モノマーとして、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル AMP−10G)2.7g、エトキシ化ο−フェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−LEN−10)2.8g、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル ABE−300)4.0g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−TMPT)0.5g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE OXE02)0.2g、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.015g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.002g、希釈溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)15.0gを均一に混合した。その後、孔径0.2μmのシリンジフィルターにてろ過し、インプリント用組成物(10)を含む塗膜剤を得た。このインプリント用組成物(10)の配合割合を表2に示した(表中の値は、すべて質量部である)。
【0159】
得られたインプリント用組成物(10)を含む塗膜剤をサファイア基板に塗布し、レプリカモールドFleFimo HOP80−1700/1700にてインプリントを行った。インプリント後の形状は円錐台形状であり、上部直径DR1=1.4μm、下部直径DR2=2.0μm、高さH1=1.7μm、側面と底面のなす角度θ1=80°、アスペクト比=0.85、残膜R=0.1μmの積層体を得た(パターン転写工程)。構造色のムラ、干渉縞模様が観察され、インプリント均一性は不良であった。
【0160】
次いで、ドライエッチングを40分間実施し、サファイア基板のPSS加工を行った。得られたPSS加工基板の形状は二段形状であり、上部直径DS1=0μm、下部直径DS2=2.2μm、高さH2=1.7μm、円錐部の側面と底面のなす角度θ2=51°であり、望ましいPSS形状ではなかった。その評価結果を表3に示した。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【符号の説明】
【0164】
11 サファイア基板
12 サファイア基板の凹部(基板表面)
13 サファイア基板の凸部(円錐部分)
31 円錐底面の円の直径
32 円錐の頂点間の距離(ピッチ)
41 円錐の高さ(円錐の底面から頂点までの長さ)
42 円錐の側辺と底面が成す角度
43 円錐底面の円の直径
図1
図2
図3
図4