(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電圧生成部は、前記第1閾電圧に絶対値の等しい負電圧を閾電圧とするデプレッション型のトランジスタを有し、該トランジスタのドレインに前記入力電圧が入力され、前記トランジスタのソースから前記第1電圧が出力される、請求項3に記載のICチップ。
前記第2電圧生成部は、前記第2閾電圧を閾電圧とする整流素子及び抵抗素子のうちの少なくとも一方の素子を有し、該一方の素子の一端に前記入力電圧が入力され、前記一方の素子の他端から前記第2電圧が出力される、請求項6に記載のICチップ。
前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧の一方により作動し、前記第1電圧及び前記第2電圧の他方を入力とするインバータを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のICチップ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る電圧検出回路100の概略構成を示す。電圧検出回路100は、入力電圧V
INが基準電圧より高いか否かを検出する回路であり、電源電圧の変動等に依存せずに基準電圧より高い入力電圧を検出することを目的とする。電圧検出回路100は、入力端子42、第1電圧生成回路10、第2電圧生成回路20、判定回路30、及び出力端子44,46を備える。
【0016】
入力端子42は、入力電圧V
INが入力される端子である。入力端子42は、電圧検出回路100に接続され、これに加えて通常動作の場合に用いられる回路に接続されてもよい。
【0017】
第1電圧生成回路10は、入力端子42に接続され、入力端子42から入力される入力電圧V
INが後述する第1閾電圧より高い場合に、入力電圧V
INに対して一定の参照電圧V
Dを出力する。
【0018】
第2電圧生成回路20は、入力端子42に接続され、入力端子42から入力される入力電圧V
INが後述する第2閾電圧より高い場合に、入力電圧V
INに応じて増大する被検電圧V
Aを出力する。
【0019】
判定回路30は、第1及び第2電圧生成回路10,20に接続され、それらから出力される参照電圧V
D及び被検電圧V
Aに応じて入力電圧V
INが基準電圧より高いか否かを判定し、その結果を出力する。
【0020】
出力端子44は、判定回路30に接続され、判定回路30から出力される判定結果DETHIGH_Nを出力する。判定結果は、後述するように、入力電圧V
INが基準電圧V
refより低い場合、DETHIGH_N=V
D、高い場合、DETHIGH_N=GND(ゼロ)となる。
【0021】
出力端子46は、第1電圧生成回路10に接続され、第1電圧生成回路10から出力される参照電圧V
Dを出力する。
【0022】
図2は、電圧検出回路100、特に第1電圧生成回路10、第2電圧生成回路20、及び判定回路30の詳細構成を示す。
【0023】
第1電圧生成回路10は、入力電圧V
INを抑圧して参照電圧V
Dを出力する回路であり、MOSトランジスタ12及び電流源14を備え、入力電圧V
INをMOSトランジスタ12の閾電圧により制限した参照電圧V
Dを出力する。なお、抑圧とは、回路素子の閾効果(閾電圧)等を利用して電圧を抑えることを意味する。ただし、基準電圧V
refの近傍の入力電圧V
INに対して、これを一定電圧に抑えればよい。
【0024】
MOSトランジスタ12として、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSトランジスタを採用する。MOSトランジスタ12は、負の閾電圧Vth_NDEP(<0)を有する。MOSトランジスタ12のドレインは入力端子42に接続され、ゲート及びバルク(バックゲート)はグランド電位に接続(接地)され、ソースは第1電圧生成回路10の出力端となる。すなわち、出力端(ソース)は出力端子46に接続する。
【0025】
なお、第1電圧生成回路10は、第1電圧生成部の一例であるとともに第1電圧出力部の一例でもある。
【0026】
電流源14は、設計により予め定められた量の電流を流し、これによって接続された素子に電流を流す電流素子である。電流源14は、MOSトランジスタ12のソースとグランド電位との間に接続され、MOSトランジスタ12のソースからグランド電位に向けて一定量の電流を引き出す。それにより、MOSトランジスタ12がソースフォロアとして機能し、入力電圧V
INが閾電圧(第1閾電圧とも呼ぶ)−Vth_NDEPより高い場合に、ソースに、入力電圧V
INをレギュレートして一定圧に抑圧された参照電圧V
Dを生成する。参照電圧V
Dは、後述する判定回路30に出力される。
【0027】
なお、第1閾電圧(−Vth_NDEP)は高い入力電圧の検出基準となる基準電圧V
refより低く定めることとする。それにより、基準電圧V
refを含む入力電圧V
INの変動範囲において一定の参照電圧V
Dが生成される。また、MOSトランジスタ12のバルクはソースに接続してもよい。電流源14の電流値は、入力リーク電流を抑えるため、小さいことが望ましい。
【0028】
第2電圧生成回路20は、入力電圧V
INを降圧して被検電圧V
Aを出力する回路であり、MOSトランジスタ22,24及び抵抗素子26を備える。なお、降圧とは、回路素子の閾効果、分圧効果等を利用して電圧を下げることを意味する。ただし、基準電圧V
refの近傍の入力電圧V
INに対して、これを一定電圧分或いは一定比率下げればよい。
【0029】
MOSトランジスタ22,24として、例えば、それぞれpチャネルのMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ)及びnチャネルのMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)を採用する。MOSトランジスタ22は、ゲートとドレインが接続されることによりダイオード接続され、ソース及びバルクは入力端子42に接続されている。
【0030】
MOSトランジスタ24は、ゲートとドレインが接続されることによりダイオード接続され、ドレイン(及びゲート)はMOSトランジスタ22のドレイン(及びゲート)に接続され、バルクはグランド電位に接続されている。なお、MOSトランジスタ24のバルクはソースに接続してもよい。MOSトランジスタ24のソースは、第2電圧生成回路20の出力となる。
【0031】
抵抗素子26は、MOSトランジスタ24のソースとグランド電位との間に接続されている。
【0032】
上述の構成の第2電圧生成回路20において、それぞれダイオード接続されて直列するMOSトランジスタ22,24は、入力端子42にアノードが接続され、抵抗素子26にカソードが接続された整流素子として機能する。ここで、整流素子は、カソードからアノードに対して正の閾電圧Vth_Diode(>0)を有し、入力端子42から抵抗素子26に向けて整流する。それにより、入力電圧V
INが閾電圧(第2閾電圧とも呼ぶ)Vth_Diodeより高い場合に、ダイオードの閾電圧分の電圧降下を生じることにより、MOSトランジスタ24のソースに、入力電圧V
INをレギュレートして、すなわち第2閾電圧に等しい電圧分降圧して、入力電圧V
INに応じて増大する被検電圧V
Aが生成される。被検電圧V
Aは、後述する判定回路30に出力される。
【0033】
なお、第2閾電圧(Vth_Diode)は基準電圧V
refより低く定めることとする。それにより、基準電圧V
refを含む入力電圧V
INの変動範囲において入力電圧V
INを模擬する被検電圧V
Aが生成される。また、MOSトランジスタ22,24の閾電圧(Vth_Diode)は、MOSトランジスタ12の閾電圧の絶対値(−Vth_NDEP)に等しい又はより高いことが望ましい。それにより、被検電圧V
Aが増大する第2閾電圧(Vth_Diode)以上の入力電圧V
INに対して参照電圧V
Dが一定であることから、基準電圧V
refを容易に定めることができる。また、MOSトランジスタ22,24の閾電圧(Vth_Diode)は、入力リーク電流を抑えるのに適当な大きさに定めることとする。また、抵抗素子26の抵抗値は、入力リーク電流を抑えるため、大きいことが望ましい。
【0034】
判定回路30は、参照電圧V
D及び被検電圧V
Aに応じて入力電圧V
INが基準電圧V
refより高いか否かを判定する回路であり、一例として、MOSトランジスタ32,34を備える。MOSトランジスタ32,34として、例えば、それぞれpNMOSトランジスタ及びnNMOSトランジスタを採用する。MOSトランジスタ32のソース及びバルクは第1電圧生成回路10の出力(MOSトランジスタ12のソース)に接続され、ゲートは第2電圧生成回路20の出力(MOSトランジスタ24のソース)に接続されている。なお、バルクは、入力端子42に接続してもよい。MOSトランジスタ34のドレインはMOSトランジスタ32のドレインに接続され、ゲートは第2電圧生成回路20の出力に接続され、ソース及びバルクはグランド電位に接続されている。なお、MOSトランジスタ32,34のドレインは判定回路30の出力端になり、出力端子44に接続する。
【0035】
上述の構成の判定回路30において、直列するMOSトランジスタ32,34は、第1電圧生成回路10から出力される参照電圧V
Dにより作動し、互いに接続されたMOSトランジスタ32,34のゲートを入力ゲートとし、第2電圧生成回路20から出力される被検電圧V
Aを入力とするインバータとして機能する。ここで、インバータは、参照電圧V
Dより定まる判定電圧V
Lを有する。それにより、判定回路30は、被検電圧V
Aが判定電圧V
Lより低い場合に互いに接続されたMOSトランジスタ32,34のドレインに参照電圧V
Dを生成し、高い場合にゼロ電圧GNDを生成する。判定回路30は、これら生成された電圧を判定結果DETHIGH_Nとして出力する。
【0036】
なお、判定電圧V
Lは、参照電圧V
DとMOSトランジスタ32,34のトランジスタサイズによって一意にスケーリングされる。スケーリング倍率は、1以下である。すなわち、判定電圧V
Lは、参照電圧V
Dに1以下の定数を乗じた電圧値をとってよい。判定電圧V
L(スケーリング倍率)は、入力端子42からモード設定信号(に対応する入力電圧V
IN)が入力された際に条件V
A>V
Lを満たすように、定めることとする。つまり、条件V
A=V
Lを満たす被検電圧V
Aを生成する入力電圧V
INが基準電圧V
refとなる。それにより、入力電圧V
INが基準電圧より高いか否かを判定することが可能となる。
【0037】
図3は、電圧検出回路100における入力電圧V
INに対する参照電圧V
D(第1電圧生成回路10の出力)、被検電圧V
A(第2電圧生成回路20の出力)、判定電圧V
L、及び判定結果(判定回路30の出力電圧)DETHIGH_Nの電圧値の変化を示す。図中、第1閾電圧−Vth_NDEP、第2閾電圧Vth_Diode、及び基準電圧V
refが横軸に示されている。
【0038】
参照電圧V
Dは、入力電圧V
INが第1閾電圧(−Vth_NDEP)より低い場合(V
IN≦−Vth_NDEP)、入力電圧V
INとともに増大し(V
D=V
IN)、高い場合(V
IN>−Vth_NDEP)、MOSトランジスタ12がソースフォロワとして機能することで抑圧されて、一定となる(V
D=−Vth_NDEP)。
【0039】
被検電圧V
Aは、入力電圧V
INが第2閾電圧(Vth_Diode)より低い場合(V
IN≦Vth_Diode)、MOSトランジスタ22,24が閉じているためゼロ電圧(V
A=0)となり、高い場合(V
IN>Vth_Diode)、MOSトランジスタ22,24が開くことでその閾電圧によりレギュレート(降圧)され、入力電圧V
INに応じて増大する(V
A=V
IN−Vth_Diode)。
【0040】
判定電圧V
Lは、参照電圧V
Dのスケーリング(スケーリング倍率1以下)であり、参照電圧V
Dと同様に振舞う。なお、基準電圧V
refに等しい入力電圧V
INに対して、被検電圧V
Aが判定電圧V
Lに等しくなる。
【0041】
判定結果DETHIGH_Nは、入力電圧V
INが基準電圧V
refより低い場合(V
IN<V
ref)、被検電圧V
Aが判定電圧V
Lより小さいため、参照電圧V
Dに等しくなり(DETHIGH_N=V
D)、高い場合(V
IN≧V
ref)、被検電圧V
Aが判定電圧V
Lより大きいため、ゼロ電圧(GND)になる(DETHIGH_N=GND)。
【0042】
以上に示したように、本実施形態の電圧検出回路100は、入力電圧V
INが第1閾電圧(−Vth_NDEP)より高い場合に入力電圧V
INを抑圧して一定の参照電圧V
Dを出力する第1電圧生成回路10、入力電圧V
INが第2閾電圧(Vth_Diode)より高い場合に入力電圧V
INを降圧して、入力電圧V
INに応じて増大する被検電圧V
Aを出力する第2電圧生成回路20、及び参照電圧V
D及び被検電圧V
Aに応じて入力電圧V
INが基準電圧V
refより高いか否かを判定する判定回路30を備える。第1閾電圧を基準電圧V
refより低く定めることで、第1閾電圧より高い入力電圧V
INに対して、一定の参照電圧V
D又はこれをスケーリングして得られる判定電圧V
Lを基準電圧V
refに対応する参照電圧として用いることができる。また、第2閾電圧を基準電圧V
refより低く定めることで、第2閾電圧より高い入力電圧V
INに対して、これに応じて増大する被検電圧V
Aを入力電圧V
INに対応する被検電圧として用いることができる。それにより、入力電圧V
INのみから生成される参照電圧V
D及び被検電圧V
Aに応じて、入力電圧V
INが基準電圧V
refより高いか否かを検出することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態の電圧検出回路100は、入力電圧V
INのみから参照電圧V
D及び被検電圧V
Aを生成するので、集積回路を作動するための電源電圧等、入力電圧V
IN以外の電圧を必要としない。それにより、電源電圧等の不安定性、或いは電源電圧等との投入順序による入力電圧V
INの誤検出を防止することができる。
【0044】
なお、第1閾電圧(−Vth_NDEP)、第2閾電圧(Vth_Diode)、判定電圧V
L(スケーリング倍率)は、基準電圧V
refに応じて適当に定めることとする。
【0045】
また、本実施形態では、第1電圧生成回路10が備えるMOSトランジスタ12をソースフォロアとして機能するために、ソースから一定量の電流を引き出す電流源14を接続したが、電流源14に代えて抵抗素子を接続してもよい。抵抗素子によりMOSトランジスタ12のソースから電流が引き出されることで、MOSトランジスタ12がソースフォロアとして機能する。ただし、抵抗素子の抵抗値は、リーク電流を抑えるために高いことが望ましい。
【0046】
また、本実施形態では、第2電圧生成回路20において、それぞれダイオード接続されたMOSトランジスタ22,24を直列して整流素子を構成したが、ダイオード接続されたMOSトランジスタ22,24の一方のみを使用してもよいし、ダイオード接続されたMOSトランジスタ22,24又はそれらの一方を複数直列してもよい。また、MOSトランジスタ22,24に代えてダイオードを使用してもよい。それにより、入力電圧V
INが整流素子の閾電圧より高い場合に、入力電圧V
INに応じて増大する被検電圧V
Aが生成される。また、MOSトランジスタ22,24に代えて抵抗素子を使用してもよい。入力電圧V
INが分圧され、それに応じて増大する被検電圧V
Aが生成される。
【0047】
また、本実施形態では、判定回路30は、MOSトランジスタ32のソースを第1電圧生成回路10の出力に接続し、MOSトランジスタ32,34のゲートを第2電圧生成回路20の出力に接続して、第1電圧生成回路10から出力される参照電圧V
Dにより作動し、第2電圧生成回路20から出力される被検電圧V
Aを入力とするインバータとして機能するよう構成したが、これに限らず、逆に、MOSトランジスタ32のソースを第2電圧生成回路20の出力に接続し、MOSトランジスタ32,34のゲートを第1電圧生成回路10の出力に接続して、第2電圧生成回路20から出力される被検電圧V
Aにより作動し、第1電圧生成回路10から出力される参照電圧V
Dを入力とするインバータとして機能するよう構成してもよい。
【0048】
また、
図4に示すように、第2電圧生成回路20において、抵抗素子26に並列に、MOSトランジスタ24のソースとグランド電位との間に容量素子(コンデンサ)28を接続してもよい。それにより、入力電圧V
INの急峻な変化に伴う被検電圧V
Aのオーバーシュート等の過渡応答を抑えることで、誤検出を防止することができる。容量素子28は、コンデンサに限らず、トランジスタを用いて構成してもよい。
【0049】
また、
図4に示すように、電流源14に代えてMOSトランジスタ16を用いて第1電圧生成回路10を構成してもよい。MOSトランジスタ16として、例えば、nMOSトランジスタを採用する。MOSトランジスタ16のドレインはMOSトランジスタ12のソースに接続され、ゲートは第2電圧生成回路20の出力(MOSトランジスタ24のソース)に接続され、ソース及びバルクはグランド電位に接続される。MOSトランジスタ16のゲートに被検電圧V
Aが入力されることで、MOSトランジスタ12のソースからグランド電位に向けて一定量の電流が引き出され、MOSトランジスタ12がソースフォロアとして機能する。その結果、MOSトランジスタ12のソースに、入力電圧V
INをレギュレートして一定圧に抑圧された参照電圧V
Dが生成される。MOSトランジスタ16のトランジスタサイズは、入力リーク電流を抑制するために適当なサイズに選択することとする。
【0050】
図5は、
図4の電圧検出回路における、入力電圧V
INの投入に対する参照電圧V
D、被検電圧V
A、判定電圧V
L、出力電圧DETHIGH_Nの時間変化を示す。ただし、入力電圧V
INは、時間ゼロにて投入後、基準電圧V
ref以上の高い電圧値まで時間とともに増大するものとする。
【0051】
参照電圧V
Dは、第1閾電圧(−Vth_NDEP)より低い入力電圧V
INに対して入力電圧V
INに等しい(V
D=V
IN)ため、入力電圧V
INが第1閾電圧に達する時間T
th1まで、入力電圧V
INの増大に伴って時間とともに増大する。参照電圧V
Dは、第1閾電圧より高い入力電圧V
INに対してMOSトランジスタ12のソースフォロアによってレギュレートされるため、入力電圧V
INが第1閾電圧に達した時間T
th1以後、一定圧(−Vth_NDEP)に抑圧される。
【0052】
被検電圧V
Aは、第2閾電圧(Vth_Diode)より低い入力電圧V
INに対してMOSトランジスタ22,24が閉じるため、入力電圧V
INが第2閾電圧に達する時間T
th2まで、ゼロ電圧(V
A=0)となる。被検電圧V
Aは、第2閾電圧より高い入力電圧V
INに対してMOSトランジスタ22,24が開くため、入力電圧V
INが第2閾電圧に達した時間T
th2以後、入力電圧V
INの増大に伴って時間とともに増大する。ただし、容量素子28により過渡応答が抑えられるため、被検電圧V
Aは入力電圧V
INの増大に対して緩やかに増大する。
【0053】
判定電圧V
Lは、参照電圧V
Dのスケーリング(スケーリング倍率1以下)であり、参照電圧V
Dと同様に振舞う。
【0054】
判定結果DETHIGH_Nは、時間T
0まで、被検電圧V
Aが判定電圧V
Lに達しないため参照電圧V
Dに等しくなり(DETHIGH_N=V
D)、時間T
0以後、被検電圧V
Aが判定電圧V
Lを超えるためゼロ電圧(GND)になる(DETHIGH_N=GND)。
【0055】
以上に示したように、
図4の電圧検出回路によれば、容量素子28により被検電圧V
Aの応答特性を抑えることで、入力電圧V
INの急峻な変化に伴う被検電圧V
Aの過渡応答が抑えられ、誤検出を防止することができる。
【0056】
図6は、変形例に係る電圧検出回路110の概略構成を示す。電圧検出回路110は、先述の電圧検出回路100と同様に、入力電圧V
INが基準電圧より高いか否かを検出する回路であり、電源電圧の変動等に依存せずに基準電圧より高い入力電圧を検出することを目的とする。電圧検出回路110は、入力端子42、電圧生成回路20、判定回路30、及び出力端子44,46を備える。
【0057】
入力端子42は、入力電圧V
INが入力される端子である。
【0058】
電圧生成回路20は、入力端子42に接続され、入力端子42から入力される入力電圧V
INが閾電圧より高い場合に、入力電圧V
INに応じて増大する被検電圧V
Aを出力する。
【0059】
判定回路30は、入力端子42及び電圧生成回路20に接続され、入力端子42から入力される入力電圧V
INをスケーリングして判定電圧V
L2を生成し、判定電圧V
L2と電圧生成回路20から出力される被検電圧V
Aとに応じて入力電圧V
INが基準電圧より高いか否かを判定し、その結果を出力する。
【0060】
出力端子44は、判定回路30に接続され、判定回路30から出力される判定結果DETHIGH_Nを出力する。
【0061】
出力端子46は、入力端子42に接続され、入力電圧V
INを出力する。
【0062】
図7は、電圧検出回路110、特に第2電圧生成回路20及び判定回路30の詳細構成を示す。
【0063】
電圧生成回路20は、先述の電圧検出回路100における電圧生成回路20と同様に構成されている。
【0064】
判定回路30も、先述の電圧検出回路100における判定回路30と同様に構成されている。ただし、MOSトランジスタ32のソース及びバルクは入力端子42に接続されている。それにより、判定回路30を構成するMOSトランジスタ32,34は、入力電圧V
INにより作動し、電圧生成回路20から出力される被検電圧V
Aを入力とするインバータとして機能する。ここで、インバータは、入力電圧V
INをスケーリングして定まる判定電圧V
L2を有する。それにより、判定回路30は、被検電圧V
Aが判定電圧V
L2より低い場合に判定結果DETHIGH_N=V
IN、高い場合にDETHIGH_N=GNDを出力する。なお、条件V
A=V
L2を満たす被検電圧V
Aを生成する入力電圧V
INが基準電圧V
refとなる。
【0065】
なお、電圧検出回路110において、入力端子42を判定回路30のMOSトランジスタ32のソース及びバルクに短絡する部分は第1電圧出力部の一例でもある。
【0066】
図8は、電圧検出回路110における入力電圧V
INの強度に対する被検電圧V
A(電圧生成回路20の出力)、判定電圧V
L2、及び判定結果(判定回路30の出力電圧)DETHIGH_Nの強度の変化を示す。図中、閾電圧Vth_Diode、及び基準電圧V
refが横軸に示されている。
【0067】
被検電圧V
Aは、入力電圧V
INが閾電圧(Vth_Diode)より低い場合(V
IN≦Vth_Diode)、MOSトランジスタ22,24が閉じているためゼロ電位(V
A=0)となり、高い場合(V
IN>Vth_Diode)、MOSトランジスタ22,24が開くことでその閾電圧によりレギュレート(降圧)され、入力電圧V
INに応じて増大する(V
A=V
IN−Vth_Diode)。
【0068】
判定電圧V
L2は、入力電圧V
INのスケーリングであり(スケーリング倍率1以下)、入力電圧V
INに比例して増大する(V
L2∝V
IN)。なお、基準電圧V
refに等しい入力電圧V
INに対して、被検電圧V
Aが判定電圧V
L2に等しくなる。
【0069】
判定結果DETHIGH_Nは、入力電圧V
INが基準電圧V
refより低い場合(V
IN<V
ref)、被検電圧V
Aが判定電圧V
L2より小さいため、入力電圧V
INに等しくなり(DETHIGH_N=V
IN)、高い場合(V
IN≧V
ref)、被検電圧V
Aが判定電圧V
L2より大きいため、ゼロ電圧(GND)になる(DETHIGH_N=GND)。
【0070】
図9は、先述の電圧検出回路100又は変形例に係る電圧検出回路110を備えるICチップ200の構成を示す。ICチップ200は、モード設定信号を入力することで試験モード等の目的のモードに移行する集積回路(デジタル回路)が組み込まれたチップであり、電源端子122、信号端子124、信号処理回路130、電圧検出回路100(110)、反転論理素子140、抵抗素子150、及びデジタル回路160を備える。
【0071】
電源端子122は、信号処理回路130及びデジタル回路160を作動させるための電源電圧V
DDが供給される端子である。
【0072】
信号端子124は、電源端子122と独立の端子であり、モード設定信号及び後述する信号処理回路130に入力される信号が入力される。なお、信号端子124は、モード設定信号のみが入力される専用端子としてよい。また、信号を入力するだけでなく、信号処理回路130からの信号を出力する、或いは入出力する端子としてもよい。
【0073】
なお、接地電位が供給される接地端子をさらに備えることとしてもよい。
【0074】
信号処理回路130は、信号端子124及び電源端子122が接続され、電源端子122から供給される電源電圧V
DDにより作動し、信号端子124から入力される信号を処理する。ここで、信号処理回路130は、通常モード、すなわち入力電圧V
INが基準電圧V
ref以下の場合に作動する通常動作用の回路であってよい。
【0075】
電圧検出回路100(110)は、入力電圧V
INが基準電圧V
refより高いか否かを検出してその結果DIGITAL_N(=DETHIGH_N)を出力する。電圧検出回路100(110)の入力端子42に信号端子124が接続され、電源電圧V
DDが入力される電源端子から独立している。
【0076】
反転論理素子140は、先述の判定回路30と同様に2つのMOSトランジスタ142,144を用いて構成されたインバータである。反転論理素子140は、電圧検出回路100(110)の出力端子44,46(44,48)に接続されている。反転論理素子140は、電圧検出回路100(110)の出力端子46(48)から出力される参照電圧V
D(入力電圧V
IN)により作動し、出力端子44から出力される判定結果DIGITAL_N(=DETHIGH_N)を入力とするインバータとして機能する。すなわち、反転論理素子140は、電圧検出回路100(110)の出力DIGITAL_Nを論理反転して、出力信号DIGITALを生成する。
【0077】
なお、反転論理素子140の構成は、インバータに限定されるものではない。また、反転論理素子140は、電圧検出回路100(110)からの出力V
D(V
IN)に限らず、電源電圧V
DD或いは別の電源電圧により作動するよう構成してもよい。また、反転論理素子140は、電圧検出回路110(110)に含めて構成してもよい。
【0078】
抵抗素子150は、反転論理素子140の出力端とグランド電位との間に接続されている。抵抗素子150の抵抗値は、反転論理素子140の出力端からのリーク電流を抑制するために高いことが望ましい。
【0079】
デジタル回路160は、電源端子122及び反転論理素子140の出力端に接続され、電源端子122から供給される電源電圧V
DDにより作動し、反転論理素子140から出力される出力信号DIGITAL、すなわち電圧検出回路100(110)から出力される判定結果DIGITAL_Nの論理反転が入力され、出力信号DIGITALがV
D(V
IN)に等しい場合に診断モード、試験モード等の目的のモードに設定又は移行される。そして、デジタル回路160は、当該診断モード/試験モードが設定されたことに応じて、ICチップ200内の回路を診断又は試験する。ICチップ200は、モード設定に応じて、通常機能と異なる別の機能を提供してもよい。
【0080】
なお、デジタル回路160は、信号処理回路130に含めて構成してもよい。また、ICチップ200は信号処理回路130を備えなくてもよい。また、反転論理素子140の出力信号DIGITALの論理値はV
D(V
IN)であるため、反転論理素子140とデジタル回路160との間に論理値をデジタル回路160の電圧レベルにシフトするレベルシフタを設けてもよい。
【0081】
上述の構成のICチップ200によると、入力電圧V
IN及び基準電圧V
refがデジタル回路160を作動する電源電圧V
DDから独立しており、電圧検出回路100(110)により電源電圧V
DDに依存することなく入力電圧V
INが基準電圧V
refより高いか否かを検出し、その結果を入力することでデジタル回路160を誤ることなくモード遷移することができる。また、電源電圧V
DDを広い範囲で変動するデジタル回路160のテストが可能になる。
【0082】
なお、基準電圧V
refは、電源電圧V
DDよりも高く定めることとする。それにより、電源電圧V
DDに依存するノイズが基準電圧V
refに含まれても、誤ることなくデジタル回路をモード遷移することができる。また、基準電圧V
refは、モード設定信号に対応する入力電圧V
INに対して低く定めることとする。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本明細書によれば、以下の各項目に記載の事項もまた開示される。
[項目1]
入力電圧が予め定められた基準電圧より高いか否かを検出する電圧検出回路であって、
電源電圧が供給される電源端子と、
前記電源端子とは別の端子であり、前記入力電圧が入力される入力端子と、
前記電源電圧は供給されず、前記入力電圧から第1電圧を出力する第1電圧生成部と、
前記電源電圧は供給されず、前記入力電圧から第2電圧を出力する第2電圧生成部と、
前記第1及び第2電圧に応じて、前記入力電圧が前記基準電圧より高いか否かを判定する判定部と、
を備える電圧検出回路。
[項目2]
前記第1電圧生成部は、前記入力電圧を抑圧して前記第1電圧を出力し、
前記第2電圧生成部は、前記入力電圧を降圧して前記第2電圧を出力する、項目1に記載の電圧検出回路。
[項目3]
前記第1電圧生成部は、前記入力電圧が第1閾電圧より高い場合に、前記入力電圧に対して一定の前記第1電圧を出力する、項目2に記載の電圧検出回路。
[項目4]
前記第1電圧生成部は、前記第1閾電圧に絶対値の等しい負電圧を閾電圧とするデプレッション型のトランジスタを有し、該トランジスタのドレインに前記入力電圧が入力され、前記トランジスタのソースから前記第1電圧が出力される、項目3に記載の電圧検出回路。
[項目5]
前記第1電圧生成部は、さらに、前記トランジスタのソースから電流を引き出す電流素子を有し、
前記電流素子は、電流源、抵抗素子、及び前記第2電圧がゲートに入力されるMOSトランジスタのうちの少なくとも1つである、項目4に記載の電圧検出回路。
[項目6]
前記第2電圧生成部は、前記入力電圧が第2閾電圧より高い場合に、前記入力電圧に応じて増大する前記第2電圧を出力する、項目3から5のいずれか一項に記載の電圧検出回路。
[項目7]
前記第2電圧生成部は、前記第2閾電圧を閾電圧とする整流素子及び抵抗素子のうちの少なくとも一方の素子を有し、該一方の素子の一端に前記入力電圧が入力され、前記一方の素子の他端から前記第2電圧が出力される、項目6に記載の電圧検出回路。
[項目8]
前記第2電圧生成部は、さらに、前記一方の素子の他端に接続される容量素子を有する、項目7に記載の電圧検出回路。
[項目9]
前記第2閾電圧は、前記第1閾電圧に等しい又はより高い、項目6〜8のいずれか一項に記載の電圧検出回路。
[項目10]
前記第1閾電圧及び前記第2閾電圧は、前記基準電圧より低い、項目6〜9のいずれか一項に記載の電圧検出回路。
[項目11]
前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧の一方により作動し、前記第1電圧及び前記第2電圧の他方を入力とするインバータを有する、項目1〜10のいずれか一項に記載の電圧検出回路。
[項目12]
項目1〜11のいずれか一項に記載の電圧検出回路と、
前記電源端子及び前記電圧検出回路に接続され、前記電源電圧により作動し、前記電圧検出回路の検出結果によりモード遷移する電子回路と、
を備えるICチップ。
[項目13]
前記基準電圧は、前記電源電圧より高い、項目12に記載のICチップ。
[項目14]
入力電圧が予め定められた基準電圧より高いか否かを検出する電圧検出回路であって、
前記入力電圧を降圧して被検電圧を出力する電圧生成部と、
前記入力電圧をスケーリングして判定電圧を生成し、該判定電圧及び前記被検電圧に応じて、前記入力電圧が前記基準電圧より高いか否かを判定する判定部と、
を備える電圧検出回路。
[項目15]
入力電圧が予め定められた基準電圧より高いか否かを検出する電圧検出回路であって、
前記入力電圧を入力として第1電圧を出力する第1電圧出力部と、
前記入力電圧が入力される入力端子にアノードが接続された整流素子を有し、該整流素子のカソードから第2電圧を出力する第2電圧生成部と、
前記第1及び第2電圧に応じて、前記入力電圧が前記基準電圧より高いか否かを判定する判定部と、
を備える電圧検出回路。
[項目16]
前記第1電圧出力部は、前記入力端子にドレインが接続された負の閾電圧を有するデプレッション型のトランジスタを有し、該トランジスタのソースから第1電圧を出力する、項目15に記載の電圧検出回路。
[項目17]
入力電圧及び電源電圧がそれぞれ入力される入力端子及び電源端子と、
前記入力端子に接続された項目14〜16のいずれか一項に記載の電圧検出回路と、
前記電源端子及び前記電圧検出回路に接続され、前記電源電圧により作動し、前記電圧検出回路の検出結果によりモード遷移する電子回路と、
を備えるICチップ。
[項目18]
前記基準電圧は、前記電源電圧より高い、項目17に記載のICチップ。
[項目19]
電源電圧が供給される電源端子と、接地電位が供給される接地端子と、通常動作時に信号を入力、出力、又は、入出力する信号端子と、を備えるICチップにおいて、
前記信号端子に、前記電源電圧よりも高い電圧を入力してテストモードに遷移させて前記ICチップをテストするICチップのテスト方法。