特許第6372275号(P6372275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372275
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】回転機構
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/04 20060101AFI20180806BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   F16C17/04 A
   H02K5/20
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-193189(P2014-193189)
(22)【出願日】2014年9月23日
(65)【公開番号】特開2016-65555(P2016-65555A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 栄太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉本 成香
(72)【発明者】
【氏名】宮武 正明
(72)【発明者】
【氏名】浅見 文哉
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭40−005367(JP,B1)
【文献】 特開2011−169422(JP,A)
【文献】 特開平11−006946(JP,A)
【文献】 特開2000−304078(JP,A)
【文献】 特公昭40−002008(JP,B1)
【文献】 実開昭51−162157(JP,U)
【文献】 特開平08−171068(JP,A)
【文献】 特開昭60−023676(JP,A)
【文献】 特公昭39−005558(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00−17/26
F16C 33/00−33/28
F16C 33/72−33/82
F16J 15/40−15/453
F16J 15/54−15/56
G02B 26/10−26/12
H02K 5/00− 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(30)が装着された回転軸(40)の回転機構であって、
前記回転軸に装着された回転円板(50)と、
前記回転円板と対向して固定配置された固定円板(60)と、
前記ロータ、前記回転円板および前記固定円板を収納するケース(10)と、を備え、
前記回転円板および前記固定円板は交互に配置され、
前記固定円板の面であって前記ロータ側で前記回転円板と対向する面と前記ロータと反対側で前記回転円板と対向する面には流路が設けられ、
前記ロータ側で前記回転円板と対向する面に設けられた流路は、前記回転円板の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かう空気流れを形成する形状となっており、
前記ロータ側と反対側で前記回転円板と対向する面に設けられた流路は、前記回転円板の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かう空気流れを形成する形状となっており、
前記固定円板は、前記回転軸の軸方向への移動が可能となるように構成されており、
前記固定円板は複数設けられており、
前記複数の固定円板の間には、弾性体が設けられていることを特徴とする回転機構。
【請求項2】
前記固定円板は複数設けられ、
前記複数の固定円板は、互いに連結されていることを特徴とする請求項に記載の回転機構。
【請求項3】
前記複数の固定円板の周縁部および前記ケースの一方には、前記回転軸の軸方向に延びるガイド溝が形成されており、前記複数の固定円板の周縁部および前記ケースの他方には、前記回転軸の軸方向に延びるガイド突起が形成されており、前記ガイド溝と前記ガイド突起とが嵌合するように前記複数の固定円板が前記ケース内に組み付けられていることを特徴とする請求項に記載の回転機構。
【請求項4】
前記ロータ側で前記回転円板と対向する面に設けられた流路は、前記回転円板の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かうスパイラル状となっており、
前記ロータ側と反対側で前記回転円板と対向する面に設けられた流路は、前記回転円板の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かうスパイラル状となっていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の回転機構。
【請求項5】
前記ロータ側で前記回転円板と対向する面に設けられた流路は、前記回転円板の回転方向に沿って外縁側から中心側に傾斜して向かう直線状となっており、
前記ロータ側と反対側で前記回転円板と対向する面に設けられた流路は、前記回転円板の回転方向に沿って中心側から外縁側に傾斜して向かう直線状となっていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の回転機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動圧軸の外周にヘリングボーン溝を形成することで、動圧軸の回転時に動圧軸の周囲の空気をケースの外部に排出させて、動圧軸の周囲の気圧を低下させ、回転部材の風損を低減するようにした空気軸受がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−134203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような動圧軸の外周にヘリングボーン溝を形成するような構成では、動圧軸の軸方向の長さが長くなってしまうといった問題がある。
【0005】
そこで、スパイラル溝を刻設したスラストワッシャを基台に固着するとともにスラストワッシャと微小な隙間を隔てるようにスリーブを回転自在に保持するようにし、スリーブ、マグネット等により構成される回転体の回転に伴ってスラストワッシャと回転体との間に空気流れを発生させ、スラストワッシャ、基台および回転体を収納したケース内からケースの外部に空気を排出させてケース内を減圧するようにしたものがある(例えば、特開平9−61742号公報)。
【0006】
しかし、このような構成の軸受は、スパイラル溝を刻設したスラストワッシャと、このスラストワッシャと微小な隙間を隔てるように配置されたスリーブとの間に空気流れを発生させるものであり、ケース内の空気が十分に排出されず、十分な減圧機能を得ることができないといった問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、十分な減圧機能を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ロータ(30)が装着された回転軸(40)の回転機構であって、回転軸に装着された回転円板(50)と、回転円板と対向して固定配置された固定円板(60)と、ロータ、回転円板および固定円板を収納するケース(10)と、を備え、回転円板および固定円板は交互に配置され、固定円板の面であってロータ側で回転円板と対向する面とロータと反対側で回転円板と対向する面には流路が設けられ、ロータ側で回転円板と対向する面に形成された流路は、回転円板の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かう空気流れを形成する形状となっており、ロータと反対側で回転円板と対向する面に形成された流路は、回転円板の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かう空気流れを形成する形状となっており、固定円板は、回転軸の軸方向への移動が可能となるように構成されており、固定円板は複数設けられており、複数の固定円板の間には、弾性体が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、回転円板および固定円板は交互に配置され、固定円板の面であってロータ側で回転円板と対向する面とロータと反対側で回転円板と対向する面には流路が設けられ、ロータ側で回転円板と対向する面に設けられた流路は、回転円板の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かう空気流れを形成する形状となっており、ロータと反対側で回転円板と対向する面に設けられた流路は、回転円板の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かう空気流れを形成する形状となっているので、これらの空気流れによって、ケース内からケース外に空気が排出され、十分な減圧機能を得ることができる。
【0010】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータ装置の概略断面図である。
図2】固定円板の様子を示した図である。(a)は、固定円板を減圧側から見た図であり、(b)は、固定円板を常圧側から見た図である。
図3】ハウジングの支持部に形成されたガイド突起を示した図である。
図4】本モータ装置の作動について説明するための図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るモータ装置の概略断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るモータ装置の動圧発生機構について説明するための図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るモータ装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る回転機構について、図1図4を用いて説明する。本回転機構は、高速回転するモータ装置に用いられる。図1に、本発明の第1実施形態に係るモータ装置の概略断面図を示す。
【0014】
本モータ装置は、ハウジング10、ステータ20、ロータ30、回転軸40、回転円板50、固定円板60、ベアリング70a、70b等を備えている。
【0015】
ハウジング10は、ステータ20、ロータ30、回転軸40、回転円板50、固定円板60およびベアリング70a、70b等を収納するものであり、ケースに相当する。ハウジング10は、例えば、金属または樹脂を用いて構成される。ハウジング10には2つの吸排気孔10aが形成されている。ハウジング10の内部とハウジング10の外部は、2つの吸排気孔10aを介して連通している。
【0016】
ステータ20は、ハウジング10の内面に固定されている。ステータ20はステータコア20aと、ステータコイル20bとを有している。ステータコア20aは、複数のリング状の薄い鉄板を回転軸40の軸方向に積層して構成されている。また、図1には示されていないが、ステータコア20aの内側(ロータ30と対向する側)には、積層方向に延びるいくつものスロット(溝)が形成されており、これらのスロットにステータコイル20bを入れるようにしてステータコイル20bがステータコア20aに巻き付けられている。
【0017】
ロータ30は磁石や電磁鋼板により構成され、ステータ20の内側に設けられる。ロータ30は、左右方向に延びる回転軸40に装着されている。ステータコイル20bに電流が流れると、ロータ30に回転磁界が与えられ、ロータ30に回転力が発生し、回転軸40がロータ30と一体に回転する。
【0018】
ベアリング70a、70bは、それぞれハウジング10の内側に固定され、回転軸40を回転可能に支持する。
【0019】
回転円板50は、金属製の円盤状のものであり、回転軸40と同期回転するように回転軸40に連結されている。本モータ装置においては、6つの回転円板50が回転軸40に連結されている。
【0020】
各回転円板50の間には金属製のスペーサ50aが配置されている。各回転円板50の間隔は、各スペーサ50aにより一定となっている。
【0021】
固定円板60は、金属製の円盤状のものであり、複数設けられている。固定円板60は、回転円板50と微小の隙間(例えば、10〜20ミクロン)を設けて対向するように配置されている。本モータ装置においては、5つの固定円板60が設けられている。
【0022】
なお、6つの回転円板50の間には5つの固定円板60が所定の隙間を設けて交互に配置されている。
【0023】
各固定円板60の間には金属製のスペーサ60aが配置されている。各回転円板50の間隔は、各スペーサ60aにより一定となっている。また、各固定円板60と各スペーサ60aは、互いに連結されて一体となっている。
【0024】
各固定円板60の両面には、回転円板50の回転に伴って固定円板60と回転円板50の間の隙間に空気流れを発生させるスパイラル状の溝(スパイラル溝)が形成されている。
【0025】
図2に、固定円板60の様子を示す。(a)は、固定円板60を減圧側(図1において、固定円板60を左側)から見た図を示す。また、図2(b)に、固定円板60を常圧側(図1において、固定円板60を右側)から見た図を示す。図2(a)、(b)に示すように、各固定円板60の減圧側と常圧側の各面には、それぞれスパイラル溝60cが形成されている。
【0026】
図2(a)に示すように、減圧側(ロータ30側)では、固定円板60と対向するように配置された回転円板50が矢印A1方向に回転すると、スパイラル溝60cに沿って、矢印B1方向に示すような固定円板60の外周側から固定円板60の中心側へ向かう空気の流れが発生する。
【0027】
また、図2(b)に示すように、常圧側(ロータ30と反対側)では、固定円板60と対向するように配置された回転円板50が矢印A2方向に回転すると、スパイラル溝60cに沿って、矢印B2方向に示すような固定円板60の中心側から固定円板60の外周側へ向かうの空気の流れが発生する。
【0028】
このように、固定円板60の面であってロータ30側で回転円板50と対向する面とロータ30と反対側の面で回転円板50と対向する面にスパイラル状の流路が形成される。また、ロータ30側で回転円板50と対向する面(減圧側の面)に形成された流路は、回転円板50の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かうスパイラル状の空気流れを形成する形状となっており、ロータ30と反対側の面で回転円板50と対向する面(常圧側の面)に形成された流路は、回転円板50の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かう空気流れを形成する形状となっている。
【0029】
また、固定円板60には、周縁部の4箇所にガイド溝60dが形成されている。また、図3に示すように、ハウジング10に形成された支持部10bには、4つのガイド突起11が形成されている。各ガイド溝60dおよび各ガイド突起部11は、それぞれ回転軸40の軸方向に延びるように形成されている。
【0030】
ハウジング10の支持部10bに形成された4つのガイド突起11と、固定円板60の周縁部に形成された4つのガイド溝60dとが嵌合するように、5つの固定円板60がハウジング10内に組み付けられている。このような構成により、各固定円板60と各スペーサ60aは、回転軸40の回転方向の移動が規制され、回転軸40の軸方向の移動が可能となっている。
【0031】
図4に、図1中のC部拡大図を示す。次に、図4を参照して、本モータ装置の作動について説明する。
【0032】
ステータ20に設けられたステータコイル20bに電流が流れると、ロータ30に回転磁界が与えられ、ロータ30に回転力が発生し、回転軸40および回転円板50がロータ30と一体に回転する。
【0033】
固定円板60の減圧側には、図2に示したように、固定円板60の周縁部から回転軸方向への空気流れが発生するようにスパイラル溝60cが形成されている。したがって、回転円板50が回転を開始すると、図4中の矢印Dに示すように、固定円板60と、この固定円板60の減圧側(図1における固定円板60の左側)に配置された回転円板50との隙間に、スパイラル溝60cに沿って固定円板60の周縁部から回転軸方向へ向かう空気流れが発生し、固定円板60とスペーサ50aの間の空間へ空気が入り込む。すなわち、固定円板60のロータ30側(減圧側)の面に流路が設けられ、この流路には、回転円板50の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かうスパイラル状の空気流れが形成される。
【0034】
また、固定円板60の常圧側(図1における固定円板60の右側)には、回転軸40から固定円板60の周縁部の方向への空気流れが発生するようにスパイラル溝60cが形成されている。したがって、固定円板60とスペーサ50aの間の空間へ入り込んだ空気は、矢印Dに示すように、固定円板60と常圧側(図1における固定円板60の右側)に配置された回転円板50との隙間を通ってスペーサ60と回転円板50の間の空間へ入り込む。すなわち、固定円板60のロータ30側と反対側(常圧側)の面に形成された流路には、回転円板50の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かうスパイラル状の空気流れが形成される。
【0035】
このようにして、図4の矢印Dに示すような、固定円板60と回転円板50の間の微小な隙間を蛇行しながら常圧側へ移動するような空気流れが発生する。そして、最も右側の固定円板60と回転円板50の隙間を通過した空気は、吸排気孔10aを介してハウジング10の外へ排出され、ハウジング10内の気圧は減圧される。このように、ハウジング10内の気圧が減圧されることで、回転体を構成するロータ30、回転軸40および回転円板50の風損が低減されるようになる。
【0036】
ここで、例えば、固定円板60が回転軸40の軸方向に移動しない構成とした場合、熱膨張や振動等の外乱により、回転円板50が回転軸40の軸方向に移動すると、回転円板50が固定円板60に接触したり、回転円板50と固定円板60の隙間が大きくなり、減圧機能を維持することが困難となってしまう。
【0037】
これに対し、本モータ装置においては、スペーサ60aを介して連結された5つの固定円板60は、回転軸40の軸方向への移動が可能となるように構成されている。したがって、回転円板50が回転を開始し、回転円板50の中に回転円板50が回転軸40の軸方向に移動した場合、回転円板50と固定円板60の間の隙間が狭くなる側の動圧が高まり、回転円板50と固定円板60の間の隙間が広くなる側の動圧が低くなり、回転円板50と固定円板60の間の隙間を元に戻そうとする力が働く。
【0038】
すなわち、回転円板50と固定円板60の間の隙間が狭くなってくると互いに反発し合う力が大きくなり、反対に、回転円板50と固定円板60の間の隙間が広くなってくると互いに反発し合う力が小さくなり、回転円板50と固定円板60の間の隙間を一定に保持しようとする力が働く。
【0039】
そして、回転円板50の回転軸40の軸方向の移動に追従するように固定円板60も回転軸40の軸方向へ移動し、回転円板50と固定円板60の間の隙間が所定範囲(例えば、10〜20ミクロン)内となるように自動で調整される。
【0040】
なお、モータ装置が作動を停止すると、2つの吸排気孔10aを介してハウジング10の外の空気がハウジング10内へ入り込み、ハウジング10内の気圧は大気圧と同じになる。
【0041】
上記した構成によれば、回転円板50および固定円板60は交互に配置され、固定円板60の面であってロータ30側で回転円板50と対向する面およびロータ30と反対側で回転円板50と対向する面には流路が設けられ、ロータ30側で回転円板50と対向する面に設けられた流路は、回転円板50の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かう空気流れを形成する形状となっており、ロータ30と反対側で回転円板50と対向する面に設けられた流路には、回転円板50の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かう空気流れがを形成する形状となっているので、これらの空気流れによって、ケース10内からケース10外に空気が排出され、十分な減圧機能を得ることができる。また、風損を低減することもできる。
【0042】
なお、固定円板60と回転円板50の間の隙間を極めて微小にすることで、より高い減圧機能を得ることが可能となるが、固定円板60と回転円板50の間の隙間を微小にし過ぎると、固定円板60と回転円板50が接触するなど、安定的に回転する回転機構を実現することができなくなってしまう。
【0043】
しかし、上記した構成では、固定円板60と回転円板50の間の隙間を極めて微小にしなくても十分な減圧機能を得ることができ、安定的に回転する回転機構を実現することもできる。
【0044】
ところで、本モータ装置のような回転機構においては、減圧機能を維持するために固定円板60と回転円板50の間の隙間を所定範囲(例えば、10〜20ミクロン)内となるようにする必要があるが、回転体の回転中に熱膨張や振動等の外乱を受けて回転体が回転軸の軸方向に所定長(例えば、50ミクロン程度)変位してしまう場合がある。この場合、固定円板60と回転円板50の間の隙間が大きくなったり、スリーブがスラストワッシャに接触したりするなど、減圧機能を維持することが困難となってしまう。
【0045】
しかし、上記した構成によれば、固定円板60は、回転軸40の軸方向への移動が可能となるように構成されているので、例えば、回転体の回転中に熱膨張や振動等の外乱を受けて回転軸40が軸方向に伸縮しても固定円板60および回転円板50の隙間が所定範囲内に維持され、回転軸40の軸方向への変位による減圧機能の低下を防止することができる。
【0046】
また、複数の固定円板60は、互いに連結されているので、回転軸40の軸方向に複数の固定円板60を一体的に移動させることができる。
【0047】
また、複数の固定円板60の周縁部には、回転軸40の軸方向に延びるガイド溝60dが形成されており、ハウジング10の支持部10bには、回転軸40の軸方向に延びるガイド突起11が形成されており、ガイド溝60dとガイド突起11とが嵌合するように複数の固定円板60がハウジング10ケース内に組み付けられている。このような構成により、固定円板60の回転軸40の回転方向への移動を規制しつつ、固定円板60の回転軸40の軸方向への移動を可能とすることができる。
【0048】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るモータ装置の概略断面図を図5に示す。上記第1実施形態では、ハウジング10の支持部10bに形成されたガイド突起11と固定円板60の周縁部に形成されたガイド溝60dとを嵌合させるようにして、固定円板60の回転軸40の回転方向の移動を規制し、かつ、回転軸40の軸方向への移動が可能となるようにした。これに対し、本実施形態においては、各固定円板60の間に、シリコン等の弾性体を用いて構成されたスペーサ60bを備えることで、固定円板60の回転軸40の回転方向の移動を規制し、かつ、回転軸40の軸方向への移動が可能となるようにしている。
【0049】
また、各固定円板60および各スペーサ60bは一体化されており、左右に設けられた固定部61により押圧支持されている。なお、各固定部61は、それぞれハウジング10の支持部10bに固着されている。このように、左右に設けられた固定部61により押圧支持されることで、固定円板60の回転軸40の回転方向の移動が規制されるようになっている。
【0050】
また、各固定円板60は、弾性体を用いて構成されたスペーサ60bにより、回転軸40の軸方向への移動が可能となっている。
【0051】
上記した構成により、例えば、熱膨張や振動等の外乱により、回転円板50の中に回転円板50が回転軸40の軸方向に移動した場合、回転円板50と固定円板60の間の隙間が狭くなる側の動圧が高まり、回転円板50と固定円板60の間の隙間が広くなる側の動圧が低くなり、回転円板50と固定円板60の間の隙間を元に戻そうとする力が働く。
【0052】
また、各固定円板60は、スペーサ60bの弾性変形により、回転軸40の軸方向への移動が可能となるため、回転円板50の回転軸40の軸方向の移動に追従するように固定円板60も回転軸40の軸方向へ移動し、回転円板50と固定円板60の間の隙間が所定範囲(例えば、10〜20ミクロン)内となるように調整される。
【0053】
上記した構成によれば、複数の固定円板60の間には、弾性体を用いて構成されたスペーサ60bが配置されているので、複数の固定円板60の回転軸40の軸方向への移動を可能とすることができる。
【0054】
また、本モータ装置は、各固定円板60の間に弾性体を用いて構成されたスペーサ60bが配置される構成となっており、スペーサ60bによりシール機能も果たすため、例えば、各固定円板60の間のシール性を確保するために、各固定円板60の間にOリング等の部材を設ける必要がない。
【0055】
なお、本実施形態では、各固定円板60および各スペーサ60bを一体化し、左右に設けられた固定部61で押圧支持させることで、各固定円板60の回転軸40の回転方向の移動を規制するようにしたが、例えば、各固定円板60とハウジング10の支持部10bの両方にキー溝(図示せず)を形成し、このキー溝により各固定円板60の回転軸40の回転方向の移動を規制するようにしてもよい。
【0056】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態では、1つの固定円板60に動圧を発生させる動圧発生機構を備えている。上記第1実施形態に示したように、固体円板60にスパイラル溝60cを形成することで回転軸40の軸方向の動圧を発生させることが可能であるが、固体円板60にスパイラル溝60cを形成しただけでは十分な動圧を得られない場合がある。本実施形態では、図1に示した固定円板60のうち最も右側に位置する固定円板60に動圧を発生させる動圧発生機構を備えている。
【0057】
図6に、この固定円板60の様子を示す。(a)は、常圧側から固定円板60を見た図であり、(a)は、減圧側から固定円板60を見た図である。
【0058】
この固定円板60には、4つの連通孔63が形成されている。また、この固定円板60の減圧側の面に、6つのステップ溝62が形成されている。これらのステップ溝62は、動圧を発生させるためのものである。
【0059】
このようなステップ溝62を固定円板60の減圧側の面に形成することで、くさび効果による回転軸40の軸方向の動圧を発生させることが可能となる。すなわち、ステップ溝62を固定円板60の減圧側の面に形成することで、常圧側と減圧側の圧力差により固体円板60に加わる静圧力に対抗する動圧を発生させることができるため、回転円板50と固定円板60との接触回避効果を高めることができる。
【0060】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係るモータ装置の概略断面図を図7に示す。上記第1実施形態に係るモータ装置は、固定円板60が回転軸40の軸方向へ移動可能となるように構成したが、本実施形態に係るモータ装置は、回転円板50が回転軸40の軸方向へ移動可能となるように構成されている。
【0061】
本実施形態に係るモータ装置は、円筒部材80を有している。この円筒部材80は、回転軸40の外周を囲むように配置され、回転軸40と同期して回転するとともに、回転軸40の軸方向への移動が可能となっている。
【0062】
具体的には、円筒部材80の内壁に回転軸40の軸方向に延びる複数のガイド突起(図示せず)が形成されている。また、回転軸40の外周には、回転軸40の軸方向に延びる複数のガイド溝が形成されている。
【0063】
そして、円筒部材80の内壁に形成された複数のガイド突起と、回転軸40の外周に形成された複数のガイド溝とが嵌合するようになっている。このような構成により、円筒部材80は、回転軸40と同期して回転するとともに、回転軸40の軸方向への移動が可能となっている。
【0064】
また、各回転円板50と各スペーサ50aは、連結して一体化され、円筒部材80の外周に固着されている。
【0065】
上記した構成において、回転軸40が回転を開始すると、この回転軸40と同期するように円筒部材80、各回転円板50および各スペーサ50aも回転を開始する。
【0066】
ここで、円筒部材80は、回転軸40の軸方向への移動が可能となっているので、例えば、回転円板50の中に回転軸40が軸方向に伸縮しても固定円板60および回転円板50の隙間が所定範囲内に維持され、回転軸40の軸方向への変位による減圧機能の低下を防止することができる。
【0067】
(他の実施形態)
上記第1〜第4実施形態では、5つの固定円板60と6つの回転円板50を備えた構成を示したが、固定円板60と回転円板50の数は上記実施形態に記載されたものに限定されるものではない。例えば、1つの固定円板60を2つの回転板50で挟むように構成し、回転円板50と対向する固定円板60の面(両面)にスパイラル状の溝を形成するようにしてもよい。また、1つの回転円板50を2つの固定円板60で挟むように構成し、回転板50と対向する各固定円板60の面にスパイラル状の溝を形成するようにしてもよい。
【0068】
また、上記第1〜第4実施形態では、各固定円板60にスパイラル溝60cを形成するように構成したが、例えば、スパイラル溝60cに代えてスパイラル状の突起部を形成するようにしてもよい。
【0069】
また、上記第1〜第4実施形態では、固定円板60のロータ30側の面に、回転円板50の回転方向に沿って外縁側から中心側に向かうスパイラル状の空気流れを形成するスパイラル溝60cを形成し、固定円板60のロータ30側と反対側の面に、回転円板50の回転方向に沿って中心側から外縁側に向かう空気流れを形成するスパイラル溝60cを形成したが、このような、曲線の形状の溝に限定されるものではなく、例えば、固定円板60のロータ30側の面に、回転円板50の回転方向に沿って外縁側から中心側に傾斜して向かう直線状の溝または突起部(いずれも図示せず)を形成し、固定円板60のロータ30側と反対側の面に、回転円板50の回転方向に沿って中心側から外縁側に傾斜して向かう直線状の溝または突起部(いずれも図示せず)を形成するようにしてもよい。
【0070】
また、上記第1〜第3実施形態では、各固定円板60が回転軸40の軸方向に移動可能となるように構成し、第4実施形態では、各回転円板50が回転軸40の軸方向に移動可能となるように構成したが、各固定円板60と各回転円板50の両方が回転軸40の軸方向に移動可能となるように構成することもできる。
【0071】
また、上記第1実施形態では、複数の固定円板60の周縁部に回転軸40の軸方向に延びるガイド溝60dを形成するとともにハウジング10の支持部10bに回転軸40の軸方向に延びるガイド突起11を形成し、ガイド溝60dとガイド突起11とを嵌合させるようにしたが、例えば、複数の固定円板60の周縁部に回転軸40の軸方向に延びる切り欠きを形成したり、鋸歯状のセレーション等を形成して、各固定円板60の回転軸40の回転方向の動きを規制するようにしてもよい。
【0072】
また、上記第1実施形態では、複数の固定円板60の周縁部に回転軸40の軸方向に延びるガイド溝60dを形成するとともにハウジング10の支持部10bに回転軸40の軸方向に延びるガイド突起11を形成し、ガイド溝60dとガイド突起11とを嵌合させるようにしたが、例えば、複数の固定円板60の周縁部に回転軸40の軸方向に延びるガイド突起を形成するとともにハウジング10の支持部10bに回転軸40の軸方向に延びるガイド溝を形成し、ガイド突起とガイド溝とを嵌合させるようにしてもよい。
【0073】
また、上記第4実施形態では、円筒部材80の内壁に複数のガイド突起を形成するとともに回転軸40の外周に複数のガイド溝(いずれも図示せず)を形成し、円筒部材80の内壁に形成した複数のガイド突起と回転軸40の外周に形成した複数のガイド溝を嵌合させるようにしたが、例えば、円筒部材80の内壁に複数のガイド溝を形成するとともに回転軸40の外周に複数のガイド突起(いずれも図示せず)を形成し、円筒部材80の内壁に形成した複数のガイド溝と回転軸40の外周に形成した複数のガイド突起を嵌合させるようにしてもよい。
【0074】
上記第1〜第4実施形態では、本回転機構を高速回転するモータ装置に用いた場合について説明したが、モータに限定されるものではなく、例えば、高速回転するフライホイール等に用いることもできる。
【符号の説明】
【0075】
10 ハウジング
11 ガイド突起
20 ステータ
30 ロータ
40 回転軸
50 回転円板
50a スペーサ
60 固定円板
60a スペーサ
60b スペーサ
60c スパイラル溝
60d ガイド溝
61 固定部
62 ステップ溝
63 連通孔
70a、70b ベアリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7