(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372290
(24)【登録日】2018年7月27日
    
      
        (45)【発行日】2018年8月15日
      
    (54)【発明の名称】1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 333/28        20060101AFI20180806BHJP        
【FI】
   C07D333/28
【請求項の数】4
【全頁数】8
      (21)【出願番号】特願2014-206028(P2014-206028)
(22)【出願日】2014年10月7日
    
      (65)【公開番号】特開2016-74626(P2016-74626A)
(43)【公開日】2016年5月12日
    【審査請求日】2017年9月13日
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】上田  さおり
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】渡辺  真人
              
            
        
      
    
      【審査官】
        早乙女  智美
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特開2012−188400(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2012−167031(JP,A)      
        
        【文献】
          特表2012−503679(JP,A)      
        
        【文献】
          特表2011−526588(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2009−054810(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2009−227670(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2009−203183(JP,A)      
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D    
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10℃以下で3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライドと塩化亜鉛との反応を開始して3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製し、該3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体をパラジウム触媒の存在下、20℃〜55℃で1,2,4,5−テトラハロベンゼンとクロスカップリング反応させることを特徴とする下記一般式(1)で示される1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法。
【化1】
(ここで、置換基X
1及びX
2は同一又は異なって、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。)
【請求項2】
塩化亜鉛のTHF又はジエチルエーテル溶液を用いて3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製することを特徴とする請求項1に記載の1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法。
【請求項3】
1,2,4,5−テトラハロベンゼン1モルに対し、パラジウム触媒が0.1〜5.0モル%であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法。
【請求項4】
3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライドの溶液を塩化亜鉛溶液に添加して3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、高純度の1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法に関するものであり、特に有機半導体材料として期待され、塗布で高キャリア移動度を与えうるジチエノベンゾジチオフェン誘導体の原材料である1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法に関するものである。
 
【背景技術】
【0002】
  有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されている。この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。そして、有機半導体デバイス性能は、この有機半導体層を構成する有機材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機半導体材料の出現が所望されている。
【0003】
  また、有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機半導体材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機半導体材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法等の方法が一般的に知られている。そして、塗布は高温高真空条件を用いることなく印刷技術を用いても実施することができるため、塗布法は印刷によりデバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることができ、経済的に好ましいプロセスとして期待される。
【0004】
  そして、有機半導体材料、それを用いた有機半導体デバイスとしては、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体(例えば、特許文献1参照。)、ジヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの真空蒸着法によるトランジスタ(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。また、それらジチエノベンゾジチオフェンに関する製造法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
  特許文献3にて提案された製造法に係る合成ルート((A)工程及び(B)工程)によれば、高性能な有機半導体材料として用いられるジチエノベンゾジチオフェンを簡易かつ効率的に得ることが可能になる。
【0006】
  ただし、特許文献3では(A)工程において得られる1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼン(1.4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼン)が(B)工程の原料となるため、該(A)工程の生成物の純度低下は(B)工程(特許文献3に係る最終工程)で得られるジチエノベンゾジチオフェンの純度低下の大きな要因となる。
【0007】
  そして、特許文献3に係る(A)工程で得られる1.4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンは純度が高いものであるが、最終生成物として得られるジチエノベンゾジチオフェンの純度を更に向上させるため、1.4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを更に高純度で得る製造法が求められている。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2011−526588号公報
【特許文献2】特開2009−54810号公報
【特許文献3】特開2012−188400号公報
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
  本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジチエノベンゾジチオフェンの原料として用いられる1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを高純度に得る製造方法を提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0010】
  本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを高純度で製造する方法を見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
  すなわち、本発明は、10℃以下で3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライドと塩化亜鉛との反応を開始して3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製し、該3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体をパラジウム触媒の存在下、20℃〜55℃で1,2,4,5−テトラハロベンゼンと反応させることを特徴とする下記一般式(1)で示される1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンの製造方法に関するものである。
【0012】
【化1】
(ここで、置換基X
1及びX
2は同一又は異なって、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。)
  以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
  本発明は、10℃以下で3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライドと塩化亜鉛との反応を開始して3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製した後、パラジウム触媒の存在下、20℃〜55℃で該3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロベンゼンとをクロスカップリング反応させて、1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを製造する方法に係る発明である。
【0014】
  3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体は、例えば、イソプロピルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド等の有機金属試薬を用い、2,3−ジハロチオフェンの2位のハロゲンをマグネシウムハライドに交換後、塩化亜鉛と金属交換することで調製することができる。また、該有機金属試薬の代わりにマグネシウム金属を用い、2,3−ジハロチオフェンのグリニャール試薬(3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライド)を調製後、塩化亜鉛と金属交換することで調製することも可能である。2,3−ジハロチオフェンのグリニャール試薬を調製する条件としては、例えば、テトラヒドロフラン(以後、THFと記す。)又はジエチルエーテル等の溶媒中で実施することができる。該グリニャール試薬の溶液に塩化亜鉛を反応させることで3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製することができる。
【0015】
  2,3−ジハロチオフェンの具体例としては、2,3−ジブロモチオフェン、2−ブロモ−3−クロロチオフェン、2,3−ジヨードチオフェン、2−ヨード−3−クロロチオフェン等を挙げられるが、入手性の良さから、2,3−ジブロモチオフェン、2−ブロモ−3−クロロチオフェンが好ましい。
【0016】
  塩化亜鉛はそのままの状態でもよいが、より効率的に反応させるため、THFまたはジエチルエーテル溶液であることが好ましい。2,3−ジハロチオフェンのグリニャール試薬(3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライドの溶液)と塩化亜鉛溶液を混合する際、グリニャール試薬を塩化亜鉛溶液に投入してもよいし、塩化亜鉛溶液をグリニャール試薬に投入してもよいが、3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体の収率を向上させるため、グリニャール試薬を塩化亜鉛溶液に投入する方が好ましい。
【0017】
  本発明において、3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体を調製する際の反応開始温度は、10℃以下である。本発明では、該反応開始温度が10℃以下であることで副反応を抑制することができ、高純度の1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンが得られるものである。−80℃〜10℃の範囲であることがさらに好ましく、−80℃〜0℃の範囲が特に好ましい。
【0018】
  3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体のハロゲンとしては、臭素、塩素、フッ素を挙げることができ、3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体の具体例としては、例えば、3−ブロモチオフェン−2−亜鉛クロライド、3−クロロチオフェン−2−亜鉛クロライド、3−フルオロチオフェン−2−亜鉛クロライド、3−ブロモチオフェン−2−亜鉛ブロマイド等を挙げることができる。
【0019】
  本発明において、パラジウム触媒の存在下、調製された3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロベンゼンとをクロスカップリング反応させることにより1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを合成することができる。その際のパラジウム触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等を挙げることができる。本発明において、該クロスカップリング反応における反応温度としては、20℃〜55℃である。本発明において、該反応温度が20℃〜55℃であることで、副反応を抑制することができ、高純度の1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンが得られるものである。本反応では、さらに副反応を抑制するため、20℃〜50℃であることが好ましい。本発明において、該クロスカップリング反応における該パラジウム触媒の使用量は、副反応をより抑制するため、1,2,4,5−テトラハロベンゼン1モルに対し、0.1〜5.0モル%であることが好ましく、0.1〜3.0モル%であることがさらに好ましく、0.1〜2.0モル%であることが特に好ましい。
【0020】
  また、1,2,4,5−テトラハロベンゼンのハロゲンとしては、それぞれ独立して、例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を挙げることができ、具体的には、例えば、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,4,5−テトラヨードベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジクロロベンゼン等を挙げることができ、その中でも1,4位のハロゲンと2,5位のハロゲンとの反応性が異なることから、より容易に1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを製造することが可能となるため、1,4−ジクロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジフルオロベンゼンであることが好ましく、特に1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼンであることが好ましい。
【0021】
  本発明の製造方法により得られる1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンは、具体的には、例えば、1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−クロロ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ビス(3−クロロ−2−チエニル)−2,5−ジクロロベンゼン等を挙げることができる。
【0022】
  本発明の製造方法で得られる1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンは高純度であることを特徴とし、反応後の精製操作により簡易かつ効果的に純度を向上させることができる。精製後の純度としては、後に続く合成反応においてより純度良く目的物を得るため、95%以上の純度であることが好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。
【0023】
  本発明の製造方法により得られる1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンは塗布で高キャリア移動度を与えるジチエノベンゾジチオフェン誘導体の原材料として使用される。ジチエノベンゾジチオフェン誘導体は、例えば、以下の反応スキームにより1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンから合成することができる。
【0024】
【化2】
 
【発明の効果】
【0025】
  本発明の製造方法は、塗布で高いキャリア移動度を与えると共に容易に効率よく有機半導体層を製膜することが可能となるジチエノベンゾジチオフェン誘導体の原材料である1,4−ビス(3−ハロ−2−チエニル)−2,5−ジハロベンゼンを高純度で製造できることから、その効果は極めて高いものである。
 
 
【実施例】
【0026】
  以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】
  生成物の同定には
1H−NMRスペクトル及びマススペクトルを用いた。なお、
1H−NMRスペクトルの測定はBruker製のAVANCEIIIHD500(装置名)(500MHz)を用いた。マススペクトル(MS)は日本電子製の(商品名)JEOL  JMS−700を用いて、試料を直接導入し、電子衝突(EI)法で測定した。
【0028】
  実施例1
  (1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの合成)  窒素雰囲気下、500ml反応容器に2,3−ジブロモチオフェン(和光純薬工業)15gおよびTHF160mlを添加した。この溶液に氷冷下エチルマグネシウムクロリド(シグマアルドリッチ製、2.0M)のTHF溶液32ml(63mmol)を添加し、同温で10分撹拌し、3−ブロモチオフェン−2−マグネシウムクロライド(3−ハロチオフェン−2−マグネシウムハライド)を調製した。別の1l反応容器に塩化亜鉛(和光純薬工業)10g(73mmol)およびTHF100mlを添加し、氷冷下撹拌して白色微スラリーとした。次に3−ブロモチオフェン−2−マグネシウムクロライドの氷冷溶液(水浴温度10℃)を塩化亜鉛溶液に移液し、30分撹拌した。さらに室温まで昇温し、10分撹拌し、3−ブロモチオフェン−2−亜鉛クロライド(3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体)を調製した。この混合物に1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン(和光純薬工業)5.5g(20mmol)、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業)350mg(0.30mmol)(1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンに対し1.5モル%)を添加した。50℃で25時間クロスカップリング反応を実施した後、容器を水冷し1N塩酸90mlを添加することで反応を停止させた。トルエンで抽出し、有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣を少量のシリカゲルでろ過し、濃縮した結晶をさらにヘキサンで洗浄した。ヘプタン/トルエン=2/1から再結晶精製し、1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの薄黄色固体5.3gを得た(収率61%)。
【0029】
  得られた1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの純度はガスクロマトグラフィーより98.5%と高純度であった。
1H−NMR(CDCl
3):δ=7.44(d,J=  Hz,2H),7.42(t,J=  Hz,2H),7.12(d,J=  Hz,2H)
MS  m/z:  346(M
+,100%)
  実施例2
  実施例1でクロスカップリング反応を55℃とした以外は実施例1と同じ操作を繰り返し、収率58%で1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの薄茶色固体を得た。
【0030】
  得られた1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの純度はガスクロマトグラフィーより98.1%と高純度であった。
【0031】
  比較例1
  実施例1で3−ブロモチオフェン−2−亜鉛クロライドを調製する際の温度を25℃とした以外は実施例1と同じ操作を繰り返し、収率50%で1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの茶色固体を得た。
【0032】
  得られた1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの純度はガスクロマトグラフィーより91.1%であり、実施例ほど高い純度にすることはできなかった。
【0033】
  比較例2
  実施例1でクロスカップリング反応を60℃とした以外は実施例1と同じ操作を繰り返し、収率52%で1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの茶色固体を得た。
【0034】
  得られた1,4−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの純度はガスクロマトグラフィーより94.0%であり、実施例ほど高い純度にすることはできなかった。