【文献】
S.Lu et al.,Co-Catalyzed Radical Cycloaddition of [60]Fullerene with Active Dibromides: Selective Synthesis of Carbocycle-Fused Fullerene Monoadducts,Organic Letters,米国,2013年,Vol.15, No.15,p.4030-4033
【文献】
Demeter Tzeli et al.,A theoretical study of complexes of crown ethers with substituted ammonium cations,Progress in Theoretical Chemistry and Physics,米国,2012年,Vol.22,p.599-610
【文献】
Manolis D. Tzirakis et al.,Photochemical Addition of Ethers to C60: Synthesis of the Simplest [60]Fullerene/Crown Ether Conjugates,Angewandte Chemie, International Edition,米国,2010年,Vol.49, No.34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機太陽電池は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層、電子注入層および電子輸送層からなる群から選択される1または2以上の有機物層をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機太陽電池。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0018】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0019】
本明細書の一実施状態において、第1電極、前記第1電極と対向して備えられた第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた光活性層、および前記光活性層と接して備えられるフラーレン誘導体を含む層を含み、前記フラーレン誘導体はクラウン型置換基を有する有機太陽電池を提供する。
【0020】
本明細書の一実施状態において、前記フラーレン誘導体を含む層は自己相分離ユニットを含む。前記自己相分離ユニットは疏水性(hydrophobic)または親水性(hydrophilic)置換基を含む。
【0021】
本明細書において、前記自己相分離ユニットはクラウン型置換基である。
【0022】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層は電子受容物質および電子供与物質からなる群から選択される1または2以上の物質を含む光活性層物質を含み、前記フラーレン誘導体を含む層は前記光活性層物質とフラーレン誘導体を含む層物質の相分離によって形成される。
【0023】
本明細書の一実施状態において、前記相分離によって形成された2層の境界は2層の物質が一部混合されていてもよい。この場合にエネルギーレベルの変化がカスケード(cascade)形式で生じるようにする。よって、電荷の輸送および電荷の収集に有利である。また、前記相分離により、フラーレン誘導体を含む層の物質が光活性層の表面に存在するため、真空準位のシフト(vacuum level shift)による表面エネルギーの変化が発生しうる。
【0024】
本明細書の一実施状態において、前記相分離によって形成された光活性層およびフラーレン誘導体を含む層の界面において、クラウン型置換基を有するフラーレン誘導体の含量は光活性層物質の全体含量に対して1重量%〜15重量%であり、好ましくは3重量%〜7重量%である。
【0025】
本明細書の一実施状態において、前記相分離によって形成された光活性層およびフラーレン誘導体を含む層の界面において、クラウン型置換基を有するフラーレン誘導体の含量が15重量%以上である場合には、相分離された層の厚さが最適厚さより厚くなったり光活性層内に固まり現象が発生して電荷を閉じ込める効果があり、1重量%以下である場合には、相分離による単一層の形成は難しいが、ドーピングによる弱い電荷輸送の増加効果がある。
【0026】
本明細書において、「相分離」とは、2以上の物質の均一な混合状態から互いに異なる親和力によって別途の工程なしで2以上の物質が互いに分離して層状を形成することを意味する。
【0027】
具体的には、前記フラーレン誘導体を含む物質は親水性のクラウン型置換基の量を増やして親水性を大きくして分離してもよく、前記フラーレン誘導体に疏水性置換基を導入して疏水性を大きくして分離してもよい。
【0028】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層と前記フラーレン誘導体を含む層は互いに接して備えられる。接して備えられるということは、物理的な結合または化学的な結合を限定しない。
【0029】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層と前記フラーレン誘導体を含む層の自己相分離を利用して、光活性層と前記フラーレン誘導体を含む層が同時に接して形成される。
【0030】
本明細書の一実施状態において、前記フラーレン誘導体を含む層は光活性層の第1電極と近い一面に備えられる。他の実施状態において、前記フラーレン誘導体を含む層は光活性層の第2電極と近い一面に備えられる。
【0031】
前記フラーレン誘導体を含む層はノーマル(normal)構造に適用されてもよく、逆(Inverted)構造に適用されてもよい。
【0032】
本明細書の一実施状態において、前記フラーレン誘導体を含む層はバッファ層の役割をする。前記フラーレン誘導体を含む層は光活性層と電荷輸送層との間の電子の移動を円滑にする役割をすることができる。また、前記フラーレン誘導体を含む層は電荷輸送層と第1電極または第2電極との間の電荷の移動を円滑にする役割をすることができる。
【0033】
本明細書の一実施状態において、前記相分離で形成されたフラーレン誘導体を含む層の厚さは1nm〜30nmである。好ましくは、3nm〜10nmである。前記範囲内では光活性層のモルホロジー形成に役に立ち、電荷の移動度が増加し、界面では双極子の形成による開放電圧および電荷の収集能力が向上し、電流の密度が増加しうる。また、電荷の再結合を防いでフィルファクタが向上できる。
【0034】
前記フラーレン誘導体を含む層の厚さが30nmを超過する場合には、電荷移動度の減少によって電流密度が減少し、電荷の再結合の増加によってフィルファクタが低下するという問題が発生する。
【0035】
本明細書の一実施状態において、前記フラーレン誘導体を含む層は、下記化学式1〜3で表されるフラーレン誘導体からなる群から選択される1種または2種以上のフラーレン誘導体を含む。
【化1】
【化2】
【化3】
【0036】
化学式1〜3において、
CnはC
60〜C
120のフラーレンであり、
mおよびnは各々0〜3の整数であり、
x、yおよびzは各々1〜10の整数であり、
R1およびR2のうち少なくとも1つは−(L)
a−(Y)であり、
aは0〜4の整数であり、
aが2以上である場合、2以上のLは互いに同一であるかまたは異なり、
Lは置換もしくは非置換の2価のエステル基;置換もしくは非置換の2価のチオエステル基;置換もしくは非置換の2価のチオノエステル基;2価のケトン基;2価のチオン基;2価のカルボニル基;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアルケニレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;または2価の置換もしくは非置換の複素環基であり、
Yはクラウン型置換基であり、
Cyは置換もしくは非置換の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換の単環もしくは多環の複素環であり、
R1およびR2のうち残りおよびRは互いに同一であるかまたは異なり、各々、水素;ハロゲン基;カルボン酸基;ニトロ基;ニトリル基;イミド基;アミド基;イミン基;チオイミド;無水物基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のエステル基;置換もしくは非置換のチオエステル基;置換もしくは非置換のチオノエステル基;置換もしくは非置換のカルボニル基;置換もしくは非置換のチオン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールアルキル基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換の複素環基であり、化学式3においてR1とR2は互いに結合して単環もしくは多環の環を形成してもよく、
rは0〜2の整数であり、
sは0〜30の整数であり、
rおよびsが各々2以上である場合、括弧内の構造は互いに同一であるかまたは異なり、
化学式1〜3は水素;ハロゲン基;カルボン酸基;ニトロ基;ニトリル基;イミド基;アミド基;イミン基;チオイミド;無水物基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のエステル基;置換もしくは非置換のチオエステル基;置換もしくは非置換のチオノエステル基;置換もしくは非置換のカルボニル基;置換もしくは非置換のチオン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールアルキル基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;および置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択される置換基でさらに置換もしくは非置換されてもよい。
【0037】
本明細書の一実施状態において、前記クラウン型置換基の炭素数は8〜40である。
【0038】
本明細書の一実施状態において、前記Yは下記構造で表される。
【化4】
【0039】
前記構造において、
lは括弧内の構造の反復数として1〜3の整数であり、
lが2以上である場合、2以上の括弧内の構造は互いに同一であるかまたは異なり、
X1〜X4は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立してO、SまたはNRであり、
RおよびR3〜R18は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して水素;ハロゲン基;カルボン酸基;ニトロ基;ニトリル基;イミド基;アミド基;イミン基;チオイミド;無水物基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のエステル基;置換もしくは非置換のチオエステル基;置換もしくは非置換のチオノエステル基;置換もしくは非置換のカルボニル基;置換もしくは非置換のチオン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールアルキル基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換の複素環基であるか、隣接する置換基は互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環;または置換もしくは非置換の複素環を形成し、
前記R3〜R18のいずれか1つは−(L)
a−を通じてフラーレン誘導体と結合する。
【0040】
本明細書の一実施状態において、前記Lは置換もしくは非置換の2価のエステル基;置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0041】
また1つの実施状態において、aは2以上の整数であり、前記2以上のLは互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して2価のエステル基;および置換もしくは非置換のアルキレン基を含む。
【0042】
また1つの実施状態において、前記−(L)
a−は
【化5】
である。
【0044】
また1つの実施状態において、前記pは3である。
【0045】
本明細書の一実施状態において、前記aは2以上の整数であり、前記2以上のLは互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して2価のエステル基;および置換もしくは非置換のアリーレン基を含む。
【0046】
また1つの実施状態において、前記−(L)
a−は
【化6】
である。
【0047】
本明細書の一実施状態において、R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りは水素;または置換もしくは非置換のエステル基である。
【0048】
一実施状態において、前記R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りは水素である。
【0049】
他の実施状態において、前記R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りは置換もしくは非置換のエステル基である。
【0050】
一実施状態において、前記R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りはアルキル基で置換されたエステル基である。
【0051】
また1つの実施状態において、前記R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りはメチル基で置換されたエステル基である。
【0052】
また1つの実施状態において、前記R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りは置換もしくは非置換のアリール基である。
【0053】
他の実施状態において、前記R1およびR2中、−(L)
a−(Y)でない残りはフェニル基である。
【0054】
本明細書の一実施状態において、前記X1はOである。
【0055】
また1つの実施状態において、前記X2はOである。
【0056】
本明細書の一実施状態において、前記X3はOである。
【0057】
他の実施状態において、前記X4はOである。
【0058】
本明細書の一実施状態において、前記X1〜X4のうち少なくとも1つはOである。
【0059】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3のCyは置換もしくは非置換のベンゼン;置換もしくは非置換のナフタレン;または置換もしくは非置換の複素環である。
【0060】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3のCyは置換もしくは非置換のベンゼン、置換もしくは非置換のナフタレン、またはO、SおよびNのうち少なくとも1つを含み、置換もしくは非置換の複素環である。
【0061】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3のCyはベンゼン;ナフタレン;または複素環である。
【0062】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3のCyはベンゼン、ナフタレン、またはO、SおよびNのうち少なくとも1つを含む複素環である。
【0063】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3は下記化学式3aで表されることができる。
【化7】
【0064】
化学式3aにおいて、Cy1およびCy2は互いに同一であるかまたは異なり、各々、置換もしくは非置換の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換の単環もしくは多環の複素環であり、R1、R2、n、z、Cn、rおよびsの定義は化学式3で記載した通りである。
【0065】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3は下記化学式3bで表されることができる。
【化8】
【0066】
化学式3bにおいて、R1、R2、n、z、Cnの定義は化学式3で記載した通りであり、
r1およびs1は0〜4の整数であり、前記r1およびs1が各々2以上である場合、括弧内の構造は互いに同一であるかまたは異なる。
【0067】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3において、CyはO、SおよびNのうち少なくとも1つを含み、置換もしくは非置換の単環もしくは多環の複素環である。
【0068】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3において、CyはO、SおよびNのうち少なくとも1つを含み、置換もしくは非置換の単環の複素環である。
【0069】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3において、Cyは置換もしくは非置換のチオフェン、置換もしくは非置換のフラン、置換もしくは非置換のピロールまたは置換もしくは非置換のイミダゾールである。
【0070】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3において、Cyはチオフェン、フラン、ピロールまたはイミダゾールである。
【0071】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3aにおいて、Cy1およびCy2のうち少なくとも1つは、O、SおよびNのうち少なくとも1つを含み、置換もしくは非置換の単環もしくは多環の複素環であり、残りは置換もしくは非置換の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の単環もしくは多環の複素環である。
【0072】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3aにおいて、Cy1およびCy2のうち少なくとも1つは、O、SおよびNのうち少なくとも1つを含み、置換もしくは非置換の単環もしくは多環の複素環であり、残りは置換もしくは非置換のベンゼンである。
【0073】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3aにおいて、Cy1およびCy2のうち少なくとも1つは、O、SおよびNのうち少なくとも1つを含み、置換もしくは非置換の単環の複素環であり、残りは置換もしくは非置換のベンゼンである。
【0074】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3aにおいて、Cy1およびCy2のうち少なくとも1つは置換もしくは非置換のチオフェン、置換もしくは非置換のフラン、置換もしくは非置換のピロールまたは置換もしくは非置換のイミダゾールであり、残りは置換もしくは非置換のベンゼンである。
【0075】
本明細書の一実施状態において、前記化学式3aにおいて、Cy1およびCy2のうち少なくとも1つはチオフェン、フラン、ピロールまたはイミダゾールであり、残りはベンゼンである。
【0076】
本明細書の一実施状態において、前記化学式1〜3で表されるフラーレン誘導体は下記化学式1−1、化学式2−1、化学式2−2および化学式3−1で表される。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0077】
前記化学式1−1、2−1、2−2および3−1において、
Cn、l、x、yおよびzは前述した通りである。
【0078】
本明細書の一実施状態において、前記CnはC60のフラーレン誘導体である。
【0079】
他の実施状態において、lは1である。
【0080】
本明細書の一実施状態において、化学式1および1−1のいずれか1つにおいて、xは1〜10、1〜7、1〜5、1〜3、または1である。
【0081】
本明細書の一実施状態において、化学式2、2−1および2−2のいずれか1つにおいて、yは1〜10、1〜7、1〜5、1〜3、または1である。
【0082】
本明細書の一実施状態において、化学式3および3−1のいずれか1つにおいて、zは1〜10、1〜7、1〜5、1〜3、または1である。
【0083】
一実施状態において、前記化学式2−2で表されたフラーレン誘導体は下記化学式2−2−1で表されることができる。
【化13】
【0084】
本明細書の一実施状態において、前記クラウン型置換基の中心に備えられたイオン性基をさらに含む。すなわち、クラウン型置換基の中心の空いた空間にイオン性基が備えられるものであり、化学的な結合をする。本明細書の一実施状態において、イオンの結合には、クラウン型置換基の単一分子だけでない、2以上の分子が3次元構造を形成して結合に参加することができる。
但し、当業者の必要に応じて、熱処理またはUV処理をして複数のクラウン型置換基を有するフラーレン誘導体の間を架橋させることができる。
【0085】
一実施状態において、前記イオン性基を含むクラウン型置換基は下記のように表されることができる。
【化14】
【0086】
前記構造において、R3〜R18、lおよびX1〜X4は前述した通りであり、
Mはイオン性基である。
【0087】
本明細書の一実施状態において、前記lの反復数、すなわち、クラウン型置換基の大きさを調節して、挿入される金属のイオン数および種類を選択することができる。
【0088】
上記のようにイオン性基を含む場合、入射光の再分配(redistribution)を通じた光吸収が増加し、界面双極子(interfacial dipole)の増加によって電荷の障壁が調節可能である。また、伝導度(conductivity)の増加によって高効率の有機太陽電池が期待できる。
【0089】
本明細書において、前記イオン性基はカチオン性基またはアニオン性基であってもよい。
【0090】
本明細書の一実施状態において、前記イオン性基は1つの分子を含むことができ、2つ以上の分子が3次元構造を形成して、バインディング(binding)する場合も含む。
【0091】
本明細書の一実施状態において、前記イオン性基は、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ランタン(La)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、スズ(Sn)、ニオビウム(Nb)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、サマリウム(Sm)ガリウム(Ga)、カリウム(K)、コバルト(Co)、銅(Cu)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)および鉛(Pb)からなる群から選択される金属の陽イオン;NH
4+およびCH
3NH
3+からなる群から選択されるアンモニウムイオン;またはN
3−、CH
3CO
2−、CN
−、Br
−、Cl
−、I
−、F
−、SCN
−、ClO
4−、NO
3−、CO
32−、SO
42−、PO
43−、H
2PO−
42−、PdCl
62−、Na
−、Cs
−、クエン酸イオン(citrate
3−)、SiF
5−、SiF
62−、GeF
62−およびBF
4−からなる群から選択される陰イオンである。
【0092】
前記置換基の例示は下記で説明するが、それらに限定されるものではない。
【0093】
前記「置換」という用語は化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に換わることを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば特に限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一であるかまたは異なってもよい。
【0094】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;エステル基;カルボニル基;カルボキシル基;ヒドロキシ基;シクロアルキル基;シリル基;アリールアルケニル基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;ホウ素基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;アリールアミン基;ヘテロアリール基;カルバゾール基;アリールアミン基;アリール基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;および複素環基からなる群から選択された1つ以上の置換基で置換もしくは非置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換されることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基はアリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0095】
本明細書において、「隣接した」基は該当置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、該当置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位置に置換された2個の置換基および脂肪族環において同一炭素に置換された2個の置換基は互いに「隣接した」基として解釈することができる。
【0096】
本明細書において、ハロゲン基はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0097】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜25が好ましい。具体的には、下記のような構造の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化15】
【0098】
本明細書において、チオイミド基は前記イミド基のC=OがC=Sで置換されたものである。
【0099】
本明細書において、無水物基は前記イミド基のN原子がOで置換されたものである。
【0100】
本明細書において、アミド基はアミド基の窒素が水素、炭素数1〜25の直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖のアルキル基または炭素数6〜25のアリール基で1または2置換されてもよい。具体的には、下記構造式の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化16】
【0101】
本明細書において、前記アミド基はラクタムのような環状基も含む。
【0102】
本明細書において、エステル基の一般式は
【化17】
または
【化18】
で表されることができる。前記R'は水素;炭素数1〜60のアルコキシ基;炭素数1〜60の置換もしくは非置換のアルキル基;炭素数3〜60の置換もしくは非置換のシクロアルキル基;炭素数7〜50の置換もしくは非置換のアリールアルキル基;炭素数2〜60のヘテロアリールアルキル基;炭素数1〜40の置換もしくは非置換のエステル基;炭素数1〜40の置換もしくは非置換のカルボニル基;炭素数6〜60の置換もしくは非置換のアリール基;またはN、OおよびS原子のうち1つ以上を含む炭素数2〜60の置換もしくは非置換の複素環基である。
【0103】
本明細書の前記エステル基はラクトン基のような環状基も含む。
【0104】
本明細書において、チオエステル基はエステル基のC=OがC=Sで置換されたものである。
【0105】
本明細書において、カルボニル基は
【化19】
で表されることができる。前記R'は水素;炭素数1〜20の置換もしくは非置換のアルキル基;炭素数3〜60の置換もしくは非置換のシクロアルキル基;炭素数7〜50の置換もしくは非置換のアリールアルキル基;炭素数6〜60の置換もしくは非置換のアリール基;または炭素数2〜60の置換もしくは非置換の複素環基である。
【0106】
本明細書のチオン基は前記カルボニル基のO原子がS原子で置換された基である。
【0107】
本明細書において、イミン基は
【化20】
または
【化21】
で表されることができる。R'およびR''は互いに同一であるかまたは異なり、水素;炭素数1〜25の直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6〜25の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0108】
本明細書において、前記エーテル基は
【化22】
で表されることができる。Rは炭素数1〜25の直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6〜25の置換もしくは非置換のアリール基である。具体的には、Z1〜Z3は互いに同一であるかまたは異なり、炭素数6〜25の直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6〜25の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0109】
本明細書において、
【化23】
は他の置換基に連結される部位を意味する。
【0110】
本明細書において、前記アルキル基は直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1〜50が好ましい。具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、2−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3〜60が好ましく、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
本明細書において、前記アルコキシ基は直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜20が好ましい。具体的にはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、ベンジルオキシ、p−メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
本明細書において、前記アリールアルキル基は炭素数は特に限定されないが、本明細書の一実施状態において、アリールアルキル基の炭素数は7〜50である。具体的には、アリール部分は炭素数6〜49であり、アルキル部分は炭素数1〜44である。具体的な例としてはベンジル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−エチルベンジル基、m−エチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α,α−メチルフェニルベンジル基、1−ナフチルベンジル基、2−ナフチルベンジル基、p−フルオロベンジル基、3,5−ジフルオロベンジル基、α,α−ジトリフルオロメチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、m−メトキシベンジル基、α−フェノキシベンジル基、α−ベンジルオキシベンジル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルイソプロピル基、ピロリルメチル基、ピロリルエチル基、アミノベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本明細書において、前記アルケニル基は直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2〜40が好ましい。具体的な例としてはビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,3−ブダジエニル、アリル、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
本明細書において、具体的に、シリル基はトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
本明細書において、アリール基は単環式であってもよく、炭素数は特に限定されないが、炭素数6〜60が好ましい。アリール基の具体的な例としてはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの単環式芳香族およびナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、フルオレニル基、アセナフタセニル基、トリフェニレン基、フルオランテン(fluoranthene)基などの多環式芳香族などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されてもよく、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0118】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化24】
および
【化25】
などであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0119】
本明細書において、複素環基またはヘテロアリール基は炭素でない原子、ヘテロ原子を1以上含むものであり、具体的に、前記ヘテロ原子はO、NおよびSなどからなる群から選択される原子を1以上含むことができる。前記複素環基の炭素数は特に限定されないが、炭素数2〜60が好ましい。複素環基の例としてはチオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン(phenanthroline)基およびジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
本明細書において、前記ヘテロアリールオキシ基中のヘテロアリールは前述したヘテロアリール基の例示の中から選択されることができる。本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基およびアラルキルアミン基中のアリール基は前述したアリール基の例示と同様である。具体的には、アリールオキシ基としてはフェノキシ、p−トリルオキシ、m−トリルオキシ、3,5−ジメチル−フェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、p−tert−ブチルフェノキシ、3−ビフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、4−メチル−1−ナフチルオキシ、5−メチル−2−ナフチルオキシ、1−アントリルオキシ、2−アントリルオキシ、9−アントリルオキシ、1−フェナントリルオキシ、3−フェナントリルオキシ、9−フェナントリルオキシなどが挙げられ、アリールチオキシ基としてはフェニルチオキシ基、2−メチルフェニルチオキシ基、4−tert−ブチルフェニルチオキシ基などが挙げられ、アリールスルホキシ基としてはベンゼンスルホキシ基、p−トルエンスルホキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
本明細書において、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基、アルキルアミン基およびアラルキルアミン基中のアルキル基は前述したアルキル基の例示と同様である。具体的には、アルキルチオキシ基としてはメチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などが挙げられ、アルキルスルホキシ基としてメチルスルホキシ基、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
本明細書において、アミン基は炭素数は特に限定されないが、1〜30が好ましい。アミン基の具体的な例としてはメチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9−メチル−アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
本明細書において、アリールアミン基の例としては置換もしくは非置換のモノアリールアミン基、置換もしくは非置換のジアリールアミン基、または置換もしくは非置換のトリアリールアミン基が挙げられる。前記アリールアミン基中のアリール基は単環式アリール基であってもよく、多環式アリール基であってもよい。前記アリール基が2以上を含むアリールアミン基は単環式アリール基、多環式アリール基、または単環式アリール基と多環式アリール基を同時に含むことができる。
【0124】
アリールアミン基の具体的な例としてはフェニルアミン、ナフチルアミン、ビフェニルアミン、アントラセニルアミン、3−メチル−フェニルアミン、4−メチル−ナフチルアミン、2−メチル−ビフェニルアミン、9−メチル−アントラセニルアミン、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾールおよびトリフェニルアミン基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
本明細書において、ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基は前述した複素環基の例示の中から選択されることができる。
【0126】
本明細書において、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基は、各々、アルキル基、アルケニル基、アリール基に結合位置が2個あるもの、すなわち、2価基を意味する。2価基であることを除いては、前述したアルキル基およびアリール基の説明が適用されることができる。
【0127】
本明細書において、隣接する基が互いに結合して、炭化水素環または複素環を形成するということは、隣接する置換基が互いに結合を形成して、5員〜8員の単環もしくは多環の炭化水素環またはヘテロ原子のうち1以上を含む5員〜8員の単環もしくは多環の複素環を形成することを意味する。
【0128】
本明細書において、炭化水素環はシクロアルキル基;シクロアルケニル基;芳香族環基;または脂環式基を全て含み、単環もしくは多環であってもよく、これらの1または2以上が結合して縮合された環を全て含む。
【0129】
本明細書において形成された複素環は前記炭化水素環中の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたものを意味し、脂肪族環または芳香族環であってもよく、単環もしくは多環であってもよい。
【0130】
他の実施状態において、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであるノーマル(normal)構造である。
【0131】
前記ノーマル構造は基板上にアノードが形成されるものを意味することができる。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池がノーマル構造である場合、基板上に形成される第1電極がアノードであってもよい。
【0132】
図1は、本明細書の一実施状態による有機太陽電池の一例を示すものである。具体的には、
図1はノーマル構造の有機太陽電池を示す。
図1は、基板上にアノードとしてITOを備え、前記アノード上にバッファ層としてPEDOT:PSS層を形成した。また、光活性層としてP3HT:PCBMを用い、クラウン型置換基で置換されたフラーレン誘導体を含む層と光活性層を同時に形成し、Alを用いてカソードを形成した。前記クラウン型置換基で置換されたフラーレン誘導体は光活性層物質と混合され、自己相分離によって別途の層が生成される。
【0133】
但し、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は
図1の構造および材料に限定されるものではなく、追加の層が備えられてもよく、様々な材料を用いて各層を構成してもよい。
【0134】
本明細書の一実施状態において、前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードである逆(inverted)構造である。
【0135】
前記逆構造は基板上にカソードが形成されるものを意味することができる。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池が逆構造である場合、基板上に形成される第1電極がカソードであってもよい。
【0136】
図2は、本明細書の一実施状態による有機太陽電池の一例を示すものである。具体的には、
図2は逆構造の有機太陽電池を示す。
図2は、基板上にカソードとしてITOを備え、前記カソード上にZnOを用いてバッファ層を形成した。また、光活性層としてP3HT:PCBMを用い、クラウン型置換基で置換されたフラーレン誘導体を含む層と光活性層を同時に形成し、アノードとしてMoO
3/Alを形成した。
【0137】
但し、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は
図2の構造および材料に限定されるものではなく、追加の層が備えられてもよく、様々な材料を用いて各層を構成してもよい。
【0138】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層、電子注入層および電子輸送層からなる群から選択される1または2以上の有機物層をさらに含む。
【0139】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池は前記第1電極がカソードであり、前記第2電極がアノードである逆構造であり、前記第1電極と前記光活性層との間にはカソードバッファ層が備えられ、前記第2電極と前記光活性層との間にはアノードバッファ層が備えられる。
【0140】
本明細書の一実施状態において、前記アノードバッファ層およびカソードバッファ層の以外に他の有機物層をさらに含むことができる。他の実施状態において、前記アノードバッファ層およびカソードバッファ層のいずれか1つだけを含んでもよく、バッファ層を含まなくてもよい。
【0141】
他の実施状態において、前記有機太陽電池は、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであるノーマル構造であり、前記第1電極と前記光活性層との間にはアノードバッファ層が備えられ、前記第2電極と前記光活性層との間にはカソードバッファ層が備えられる。
【0142】
本明細書の一実施状態において、前記カソードバッファ層は電子輸送層であってもよい。
【0143】
本明細書の一実施状態において、前記アノードバッファ層は正孔輸送層であってもよい。
【0144】
本明細書の前記第1電極はカソード電極であってもよく、透明導電酸化物層または金属電極であってもよい。
【0145】
前記第1電極が透明電極である場合、前記第1電極は酸化スズインジウム(ITO)または酸化亜鉛インジウム(IZO(登録商標))などのような導電酸化物であってもよい。さらに、前記第1電極は半透明電極であってもよい。前記第1電極が半透明電極である場合、Ag、Au、Mg、Caまたはこれらの合金のような半透明金属から製造されてもよい。半透明金属が第1電極として用いられる場合、前記有機太陽電池は微細空洞構造を有してもよい。
【0146】
本明細書の前記電極が透明導電酸化物層である場合、前記電極はガラスおよび石英板の以外にPET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、PP(polypropylene)、PI(polyimide)、PC(polycarbornate)、PS(polystyrene)、POM(polyoxymethlene)、AS樹脂(acrylonitrile styrene copolymer)、ABS樹脂(acrylonitrile butadiene styrene copolymer)およびTAC(Triacetyl cellulose)、PAR(polyarylate)などを含むプラスチックのような柔軟で透明な物質上に導電性を有する物質がドーピングされたものが用いられることができる。具体的にはITO(indium tin oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(fluorine doped tin oxide;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(aluminium doped zinc oxide、AZO)、IZO(登録商標)(indium zinc oxide)、ZnO−Ga
2O
3、ZnO−Al
2O
3およびATO(antimony tin oxide)などであってもよく、より具体的にはITOであってもよい。
【0147】
本明細書の一実施状態において、前記第2電極はアノードであってもよく、前記第2電極は金属電極であってもよい。具体的には、前記金属電極は銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、タングステン(W)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ニッケル(Ni)、およびパラジウム(Pd)からなる群から選択される1種または2種以上を含むことができる。より具体的には、前記金属電極は銀(Ag)であってもよい。
【0148】
本明細書の一実施状態において、前記第1電極および/または第2電極を形成するステップは、パターニングされたITO基板を洗浄剤、アセトン、イソプロパノール(IPA)で順次洗浄した後、水分を除去するために加熱板において100〜250℃で1〜30分間、具体的には250℃で10分間乾燥し、基板が完全に洗浄されれば、基板の表面を親水性に改質することができる。そのための前処理技術としては、a)平行平板型放電を用いた表面酸化法、b)真空状態でUV紫外線を用いて生成されたオゾンによって表面を酸化する方法、およびc)プラズマによって生成された酸素ラジカルを用いて酸化する方法などを利用することができる。前記のような表面改質によって接合表面電位を正孔注入層の表面電位に好適なレベルに維持することができ、ITO基板上に高分子薄膜の形成が容易となり、薄膜の品質が向上できる。基板の状態に応じて前記方法のいずれか一つを選択することになり、どの方法を利用しても、いずれも基板表面の酸素離脱を防止し、水分および有機物の残留を最大限抑制してこそ、前処理の実質的な効果が期待できる。
【0149】
本明細書の下記に記述した実施例においては、UVを用いて生成されたオゾンによって表面を酸化する方法を利用し、超音波洗浄後、パターン化されたITO基板を加熱板(hot plate)においてベーキング(baking)してよく乾燥させた後にチャンバーに投入し、UVランプを作用させ、酸素ガスがUV光と反応して発生するオゾンによってパターン化されたITO基板を洗浄することになる。しかし、本発明におけるパターン化されたITO基板の表面改質方法は特に限定させる必要はなく、基板を酸化させる方法であればいかなる方法を利用してもよい。
【0150】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池は逆(inverted)構造である。本明細書の一実施状態による有機太陽電池が逆構造である場合、前記第2電極は銀(Ag)またはMoO
3/Alであってもよい。
【0151】
本明細書の前記逆方向構造の有機太陽電池は、一般的な構造の有機太陽電池のアノードとカソードが逆方向に構成されたものを意味することができる。一般的な構造の有機太陽電池で用いられるAl層は空気中で酸化反応に非常に脆弱し、インク化することが困難であるため、それを印刷工程によって商業化するのに制約がある。しかし、本明細書の前記逆方向構造の有機太陽電池はAlの代わりにAgを用いることができるため、一般的な構造の有機太陽電池に比べて酸化反応に安定的であり、Agインクの製作が容易であるため、印刷工程による商業化に有利な長所がある。
【0152】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池がノーマル構造であってもよい。本明細書の一実施状態による有機太陽電池がノーマル構造である場合、前記第2電極はAlであってもよい。
【0153】
本明細書の一実施状態において、前記電荷輸送層は導電酸化物、金属炭化物および金属からなる群から選択される1または2以上を含む。
【0154】
また1つの実施状態において、前記電荷輸送層は、チタニウム酸化物;亜鉛酸化物;およびセシウムカーボネートからなる群から選択される1または2以上を含む。
【0155】
本明細書において、電荷輸送層は「正孔」または「電子」を輸送する層を意味し、電子輸送層または正孔輸送層であってもよい。
【0156】
本明細書の一実施例によれば、前記電子輸送層の導電酸化物は電子抽出金属酸化物(electron−extracting metal oxides)であってもよく、具体的には、チタニウム酸化物(TiO
x);亜鉛酸化物(ZnO);およびセシウムカーボネート(Cs
2CO
3)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0157】
本明細書の一実施例によれば、前記金属は銀ナノ粒子(Ag nanoparticle)、金ナノ粒子(Au nanoparticle)、Ag−SiO
2、Ag−TiO
2、Au−TiO
2などの金属酸化物を含むコアシェル(core shell)物質であってもよい。前記コアシェル物質は、コアとして金属を含み、Ag−SiO
2、Ag−TiO
2、Au−TiO
2などの金属酸化物をシェルとして含む。
【0158】
前記電子輸送層は、スパッタリング、E−Beam、熱蒸着、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードまたはグラビア印刷法を利用して第1電極の一面に塗布されるか、フィルム形態でコーティングされることによって形成されることができる。
【0159】
本明細書の実施状態において、前記光活性層は、光活性物質として、電子供与物質および電子受容物質を含む。本明細書において、光活性物質は前記電子供与物質および前記電子受容物質を意味することができる。
【0160】
前記光活性層は、光励起によって前記電子供与物質が電子と正孔が対をなしたエキシトン(exciton)を形成し、前記エキシトンが電子供与/電子受容の界面において電子と正孔に分離する。分離した電子と正孔は電子供与物質および電子受容物質に各々移動し、これらが各々第1電極と第2電極に収集されることによって、外部で電気エネルギーとして利用することができる。
【0161】
また、本明細書の一実施状態において、前記光活性層はバルク異種接合構造または二重層接合構造であってもよい。前記バルク異種接合構造はバルクヘテロ接合(BHJ:bulk heterojunction)の接合型であってもよく、前記二重層接合構造はバイレイヤ(bi−layer)接合型であってもよい。
【0162】
本明細書の一実施状態において、前記電子供与物質と電子受容物質の質量比は1:10〜10:1であってもよい。具体的には、本明細書の前記電子受容物質と電子供与物質の質量比は1:0.5〜1:5であってもよい。
【0163】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子供与物質は少なくとも1種の電子供与体;または少なくとも1種の電子受容体と少なくとも1種の電子供与体の重合体を含むことができる。前記電子供与物質は少なくとも1種の電子供与体を含むことができる。また、前記電子供与物質は少なくとも1種の電子受容体と少なくとも1種の電子供与体の重合体を含む。
【0164】
具体的には、前記電子供与物質は、MEH−PPV(poly[2−methoxy−5−(2'−ethyl−hexyloxy)−1,4−phenylene vinylene])を始めとするチオフェン系、フルオレン系、カルバゾール系などの様々な高分子物質および単分子物質であってもよい。
【0165】
具体的には、前記単分子物質は、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(zinc phthalocyanine)、トリス[4−(5−ジシアノメチリデンメチル−2−チエニル)フェニル]アミン(tris[4−(5−dicyanomethylidenemethyl−2−thienyl)phenyl]amine)、2,4−ビス[4−(N,N−ジベンジルアミノ)−2,6−ジヒドロキシフェニル]スクアレイン(2,4−bis[4−(N,N−dibenzylamino)−2,6−dihydroxyphenyl]squaraine)、ベンズ[b]アントラセン(benz[b]anthracene)、およびペンタセン(pentacene)からなる群から選択される1種以上の物質を含むことができる。
【0166】
具体的には、前記高分子物質は、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT:poly 3−hexyl thiophene)、PCDTBT(poly[N−9'−heptadecanyl−2,7−carbazole−alt−5,5−(4'−7'−di−2−thienyl−2',1',3'−benzothiadiazole)])、PCPDTBT(poly[2,6−(4,4−bis−(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b']dithiophene)−alt−4,7−(2,1,3−benzothiadiazole)])、PFO−DBT(poly[2,7−(9,9−dioctyl−fluorene)−alt−4,7−bis(thiophen−2−yl)benzo−2,1,3−thiadiazole)])、PTB7(Poly[[4,8−bis[(2−ethylhexyl)oxy]benzo[1,2−b:4,5−b']dithiophene−2,6−diyl][3−fluoro−2−[(2−ethylhexyl)carbonyl]thieno[3,4−b]thiophenediyl]])、PSiF−DBT(Poly[2,7−(9,9−dioctyl−dibenzosilole)−alt−4,7−bis(thiophen−2−yl)benzo−2,1,3−thiadiazole])からなる群から選択される1種以上の物質を含むことができる。
【0167】
本明細書の一実施状態において、前記電子受容物質はフラーレン誘導体または非フラーレン誘導体であってもよい。
【0168】
本明細書の一実施状態において、前記フラーレン誘導体はC60〜C90のフラーレン誘導体である。具体的には、前記フラーレン誘導体はC60フラーレン誘導体またはC70フラーレン誘導体であってもよい。
【0169】
本明細書の一実施状態によれば、前記C60フラーレン誘導体またはC70フラーレン誘導体は、各々独立して水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;および置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成する置換基でさらに置換されてもよい。
【0170】
本明細書の一実施状態において、前記フラーレン誘導体は、C76フラーレン誘導体、C78フラーレン誘導体、C84フラーレン誘導体およびC90フラーレン誘導体からなる群から選択されることができる。
【0171】
本明細書の一実施状態において、前記C76フラーレン誘導体、C78フラーレン誘導体、C84フラーレン誘導体およびC90フラーレン誘導体は、各々独立して水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;および置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成する置換基でさらに置換されてもよい。
【0172】
前記フラーレン誘導体は、非フラーレン誘導体に比べて、電子−正孔対(exciton、electron−hole pair)を分離する能力と電荷移動度に優れて効率特性に有利である。
【0173】
本明細書の一実施状態による光活性層は、電子供与物質および電子受容物質がバルクヘテロ接合(BHJ:bulk heterojunction)を形成することができる。本明細書の前記光活性層は、前記電子供与物質および電子受容物質が混合された後に特性を最大化させるために30℃〜300℃で1秒〜24時間アニーリングを行うことができる。
【0174】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層は、ポリ3−ヘキシルチオフェン[P3HT:poly 3−hexyl thiophene]を電子供与物質とし、[6,6]−フェニル−C
61−ブチル酸メチルエステル(PC
61BM)および/または[6,6]−フェニル−C
71−ブチル酸メチルエステル(PC
71BM)を電子受容物質として含むことができる。
【0175】
本明細書の一実施状態において、前記電子供与物質と電子受容物質の質量比は1:0.4〜1:2であってもよく、具体的には1:0.7であってもよい。但し、前記光活性層は上記の物質にのみ限定されるものではない。
【0176】
前記のような光活性物質は、有機溶媒に溶解させた後、溶液をスピンコーティングなどの方法によって50nmから280nm範囲の厚さで光活性層を導入する。この時、光活性層はディップコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、ドクターブレード、はけ塗り法などの方法を応用することができる。
【0177】
また、前記電子受容体はPC
61BMを含み、C70、C76、C78、C80、C82、C84などの他のフラーレン誘導体を用いてもよく、コーティングされた薄膜は80℃〜160℃で熱処理して導電性高分子の結晶性を高めることが良い。具体的には、本明細書の有機太陽電池は逆方向(inverted)構造であり、この場合、120℃でアニーリング前処理(pre−annealing)を行うことができる。
【0178】
本明細書の前記正孔輸送層および/または電子輸送層物質は、電子と正孔を光活性層に効率的に伝達させることによって、生成される電荷が電極に移動する確率を高める物質であることができるが、特に制限されるものではない。
【0179】
本明細書の一実施状態によれば、前記正孔輸送層はアノードバッファ層であってもよい。
【0180】
前記前処理された光活性層の上部には、正孔輸送層がスピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、スプレーコーティング、ドクターブレード、バーコーティング、グラビアコーティング、はけ塗り法、熱蒸着などの方法によって導入されることができる。この場合、主に導電性高分子溶液としてはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホネート)[PEDOT:PSS]が用いられ、正孔抽出金属酸化物(hole−extracting metal oxides)物質としてはモリブデン酸化物(MoO
x)、バナジウム酸化物(V
2O
5)、ニッケル酸化物(NiO)、タングステン酸化物(WO
x)などが用いられることができる。本明細書の一実施例によれば、前記正孔輸送層はMoO
3を熱蒸着システムによって5nm〜10nmの厚さに形成することができる。
【0181】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池は基板をさらに含むことができる。具体的には、前記基板は第1電極の下部に備えられることができる。
【0182】
本明細書の一実施状態によれば、前記基板は透明性、表面平滑性、取り扱い容易性および防水性に優れた基板を用いることができる。具体的には、ガラス基板、薄膜ガラス基板または透明プラスチック基板を用いることができる。前記プラスチック基板は、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(Polyethylene naphthalate)、PEEK(Polyether ether ketone)およびPI(Polyimide)などのフィルムが単層または複層の形態で含まれることができる。但し、前記基板はこれらに限定されず、有機太陽電池に通常用いられる基板を用いることができる。
【0183】
本明細書の一実施例によれば、前記有機太陽電池は巻き取られた構造であってもよい。具体的には、前記有機太陽電池は柔軟なフィルム形態で製造することができ、それを円筒形に巻いて、中が空いた巻き取られた構造の太陽電池に作ることができる。前記有機太陽電池が巻き取られた構造である場合、それを地面に立てておく方式で設置することができる。この場合、前記有機太陽電池を設置した位置の太陽が東方から西方に移動する間、光の入射角が最大となる部分を確保できる。よって、太陽が浮かんでいる間、最大限多くの光を吸収して効率を高めるという利点がある。
【0184】
本明細書は、基板を準備するステップ、前記基板上に第1電極を形成するステップ、前記第1電極上に光活性層およびクラウン型置換基を有するフラーレン誘導体を含む層を含む2層以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含む前述した有機太陽電池の製造方法を提供する。
【0185】
本明細書の一実施状態において、前記有機物層を形成するステップは光活性層物質およびフラーレン誘導体を含む層物質を含む組成物をコーティングするステップを含み、前記光活性層および前記フラーレン層は前記光活性層物質と前記フラーレン誘導体を含む層物質の相分離によって同時に形成される。
【0186】
有機太陽電池の工程において、光活性層と第1電極または第2電極との間に備えられるバッファ層を製造する場合に、バッファ層は厚さが薄いため、工程上でバッファ層の厚さを調節したり、均一に製造したりすることが容易ではなかった。
【0187】
本明細書の一実施状態において、クラウン型置換基を含むフラーレン誘導体を含む層物質は光活性層物質と混合されて光活性層の製造時に共にコーティングされることができる。
【0188】
この場合、フラーレン誘導体を含む層物質は自己相分離ユニット、すなわち、クラウン型置換基を含んでいるため、光活性層/フラーレン誘導体を含む層の二重層を形成することができる。前記フラーレン誘導体を含む層はバッファ層として有機太陽電池において作用するため、バッファ層を製造する別途の工程なしで単一工程により光活性層とフラーレン誘導体を含む層の二重層を形成することができる。
【0189】
この場合、光活性層物質とフラーレン誘導体を含む層物質の混合溶液においてフラーレン誘導体を含む層物質の量を調節して、フラーレン誘導体を含む層の厚さを調節することができ、均一な層を形成することができる。
【0190】
また、フラーレン誘導体を含む層の濃度および/またはフラーレン誘導体に置換される置換基を調節して、光活性層の第1電極と近い一面に備えられるか、光活性層の第2電極と近い一面に備えられるように調節することができるため、バッファ層として役割をするフラーレン誘導体を含む層の位置を調節することができる。
【0191】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層物質の電子供与物質とフラーレン誘導体を含む層物質の比率は0.01wt%〜0.2wt%である。本明細書の一実施状態において、前記光活性層物質の電子供与物質とフラーレン誘導体を含む層物質の比率は0.05wt%〜0.1wt%である。
【0192】
本明細書の一実施状態による有機太陽電池において、フラーレン誘導体を含む層、第1電極、第2電極、光活性層、フラーレン誘導体を含む層、フラーレン誘導体およびクラウン型置換基は前述したものと同様である。
【0193】
本明細書において、前記光活性層およびフラーレン誘導体を含む層を含む2層以上の有機物層を形成するステップを除いては、一般的に用いられる方法を利用することができる。
【実施例】
【0194】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明することにする。但し、本明細書による実施例は色々な他の形態に変形できるものであって、本明細書の範囲が下記に記述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0195】
製造例1.化学式2−2−1の製造
【化26】
1gのPCBMを80mlのクロロベンゼンに入れ、180℃で1時間還流反応させた。8mlの塩酸と20mlの酢酸を添加した後、180℃で16時間還流反応させた。PCBMが無くなったかをTLCで確認した後、溶媒が30ml程度残る時まで濃縮させた。メタノールで沈殿して得た固体試料であるPCBAはフィルタして乾燥させた。(yield=89%)
【0196】
乾燥されたPCBA 120mgを5ml程度のo−ジクロロベンゼンに入れ、0℃で0.067mlのヒドロキシメチル12−C−4(hydroxymethyl 12−C−4)、33mgの4−ジメチルアミノピリジン(4−Dimethylaminopyridine)、51.4mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI;1−Ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide)を添加した。0℃から室温に温度を徐々に上げ、12時間攪拌させた。反応が終結すれば、カラムで精製して所望の化合物を得た。(yield=10%)
【0197】
図3は、前記製造された化学式2−2−1のフラーレン誘導体のMSグラフを示す図である。
【0198】
有機太陽電池の製造例
ITOガラスをアセトン(Aceton)およびエタノールに各々30分ずつ超音波処理(sonication)をして洗浄した。洗浄後、UVOを用いて15分間表面処理し、表面処理したITOガラス上にPEDOT:PSSコーティングした後に200℃で5分間熱処理した。熱処理した後、1:0.7の比率で混合したP3HT:PCBM溶液をコーティングして220nm程度の薄膜を形成した後、110℃で10分間熱処理した。1×10
−7torrでAl電極を100nm蒸着した。
【0199】
[実施例1]
前記有機太陽電池の製造例においてP3HT:PCBM溶液に前記製造例によって製造された化学式2−2−1のフラーレン誘導体のLi
+イオン錯体を前記光活性層の総重さに対比して1%で添加したことを除いては、同様の方法によって有機太陽電池を製造した。
【0200】
[実施例2]
前記有機太陽電池の製造例においてP3HT:PCBM溶液に前記製造例によって製造された化学式2−2−1のフラーレン誘導体のLi
+イオン錯体を前記光活性層の総質量に対比して3%で添加したことを除いては、同様の方法によって有機太陽電池を製造した。
【0201】
[実施例3]
前記有機太陽電池の製造例においてP3HT:PCBM溶液に前記製造例によって製造された化学式2−2−1のフラーレン誘導体のLi
+イオン錯体を前記光活性層の総質量に対比して5%で添加したことを除いては、同様の方法によって有機太陽電池を製造した。
【0202】
[実施例4]
前記有機太陽電池の製造例においてP3HT:PCBM溶液に前記製造例によって製造された化学式2−2−1のフラーレン誘導体を前記光活性層の総質量に対比して1%で添加したことを除いては、同様の方法によって有機太陽電池を製造した。
【0203】
[比較例1]
前記有機太陽電池の製造例においてLiFを1×10
−7torrの真空度で0.7nm真空蒸着し、真空蒸着後1×10
−7torrでAl電極を100nm蒸着したことを除いては、同様の方法によって有機太陽電池を製造した。
【0204】
前記実験例および比較例により製造された有機太陽電池の光電変換性を下記表1に示す。
【0205】
【表1】
【0206】
本明細書において、V
ocは開放電圧を、J
scは電流密度または短絡電流を、FFは充填率(Fill factor)を、PCEはエネルギー変換効率を意味する。開放電圧と短絡電流は各々電圧−電流密度曲線の四象限においてX軸とY軸の切片であり、この2つの値が高いほど太陽電池の効率は好ましく高くなる。また、充填率(Fill factor)は、曲線内部に描ける長方形の広さを短絡電流と開放電圧の積で分けた値である。この3つの値を照射された光の強さで分けるとエネルギー変換効率を求めることができ、高い値であるほど好ましい。
【0207】
前記表1の比較例および実施例による有機太陽電池の物性を比較すると、前記実施例1〜4の有機太陽電池が比較例1に比べて高い充填率および/または効率を示すことが分かる。