特許第6373068号(P6373068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373068
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20180806BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20180806BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180806BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01L21/68 B
   B24B7/04 A
   H01L21/304 622L
   B24B41/06 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-112991(P2014-112991)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-228402(P2015-228402A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】守屋 宗幸
【審査官】 山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−284434(JP,A)
【文献】 特開2003−234392(JP,A)
【文献】 特開2010−118424(JP,A)
【文献】 特開2000−021952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B24B 7/04
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、被加工物を吸引して保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に所定の加工を施す加工手段と、該仮置きテーブルから該チャックテーブルまで被加工物を搬送する搬送手段とを少なくとも備え、該搬送手段は、被加工物よりも大きい直径を有するとともに平坦な吸着面を有する吸着パッドを備えている加工装置において、外周部が中心付近に比べて上方に反った状態の被加工物を該仮置きテーブルから該チャックテーブルに搬送し、該チャックテーブルに保持させる搬送方法であって、
外周部が中心付近に比べて上方に反った状態の被加工物を該仮置きテーブルに載置する載置工程と、
該搬送手段の該吸着パッドを被加工物に向けて下降させて、被加工物における外周部の全周を該吸着パッドに密着させるが被加工物の中心付近を該吸着パッドに密着させない吸着パッド下降工程と、
該吸着パッド下降工程を実施した後に、該吸着パッドで被加工物を吸引して大気圧による力で被加工物を該吸着パッドの吸着面に押し付け、該吸着面に沿って被加工物を平坦に矯正する吸着工程と、
該吸着パッドに吸引された状態の被加工物を該搬送手段で搬送して該チャックテーブルに載置し、被加工物が該チャックテーブルの保持面に密着した状態で、該チャックテーブルで被加工物を吸引するとともに該搬送手段の吸着パッドによる被加工物の吸引を停止する被加工物移し換え工程と、を備えたことを特徴とする搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の板状物をチャックテーブルへと搬送する搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される小型軽量な電子機器では、IC、LSI等の電子回路を備えた半導体チップが必須の構成となっている。半導体チップは、例えば、シリコン等の材料でなる半導体ウェーハの表面をストリートと呼ばれる複数の分割予定ラインで区画し、各領域に電子回路を形成した後、ストリートに沿って半導体ウェーハを切断することで製造される。
【0003】
近年では、半導体チップの小型化、軽量化等を目的として、研削等の方法で半導体ウェーハを薄く加工する機会が増えている。しかしながら、半導体ウェーハを薄く加工すると、内部の応力が顕在化して半導体ウェーハは反り易くなる。この傾向は、大口径化された半導体ウェーハで特に顕著である。
【0004】
半導体ウェーハの反りが大きくなると、加工装置内のチャックテーブルで半導体ウェーハを適切に吸着できなくなり、後の工程に差し障る。例えば、外周部が上方に反った半導体ウェーハでは、チャックテーブルと外周部とに隙間ができて、十分な吸着力を半導体ウェーハに作用させることができない。
【0005】
そこで、半導体ウェーハの中央部を吸着する吸着パッドと、半導体ウェーハの外周部をチャックテーブルに押し付ける押圧ピン(押圧板)と、を備えた搬送機構が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この搬送機構を用いれば、半導体ウェーハの外周部をチャックテーブルに密着させて、十分な吸着力を作用させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−109057号公報
【特許文献2】特開2006−19566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した搬送機構では、吸着パッドとともに押圧ピンを下降させることで、半導体ウェーハの外周部に下向きの力を作用させている。しかしながら、この構成では、外周部をチャックテーブルに密着させるために、押圧ピンを強力なモータ等で下降させなくてはならないので、搬送機構を含む加工装置の価格が高くなってしまう。
【0008】
また、押圧ピンで半導体ウェーハの外周部に下向きの力を作用させると、半導体ウェーハの外周部から押圧ピンに加わる反作用の力で、搬送機構の各部が歪んでしまう。歪みによる故障等の不具合を防ぐには、歪みの発生し易い部分を補強すれば良いが、この場合にも加工装置の価格は高くなる。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工装置を高価格化することなく、被加工物をチャックテーブルで適切に吸引できる搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、板状の被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、被加工物を吸引して保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に所定の加工を施す加工手段と、該仮置きテーブルから該チャックテーブルまで被加工物を搬送する搬送手段とを少なくとも備え、該搬送手段は、被加工物よりも大きい直径を有するとともに平坦な吸着面を有する吸着パッドを備えている加工装置において、外周部が中心付近に比べて上方に反った状態の被加工物を該仮置きテーブルから該チャックテーブルに搬送し、該チャックテーブルに保持させる搬送方法であって、外周部が中心付近に比べて上方に反った状態の被加工物を該仮置きテーブルに載置する載置工程と、該搬送手段の該吸着パッドを被加工物に向けて下降させて、被加工物における外周部の全周を該吸着パッドに密着させるが被加工物の中心付近を該吸着パッドに密着させない吸着パッド下降工程と、該吸着パッド下降工程を実施した後に、該吸着パッドで被加工物を吸引して大気圧による力で被加工物を該吸着パッドの吸着面に押し付け、該吸着面に沿って被加工物を平坦に矯正する吸着工程と、該吸着パッドに吸引された状態の被加工物を該搬送手段で搬送して該チャックテーブルに載置し、被加工物が該チャックテーブルの保持面に密着した状態で、該チャックテーブルで被加工物を吸引するとともに該搬送手段の吸着パッドによる被加工物の吸引を停止する被加工物移し換え工程と、を備えたことを特徴とする搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の搬送方法は、被加工物よりも大径の吸着パッドを下降させて、上方に反った状態の被加工物の外周部を吸着パッドに密着させる吸着パッド下降工程と、この吸着パッドで被加工物を吸引し、吸着パッドの吸着面に沿って被加工物を平坦に矯正する吸着工程と、を備えるので、上方に反った状態の被加工物を吸着パッドで吸引するだけで、被加工物を平坦に矯正できる。
【0012】
そのため、後の被加工物移し換え工程において、吸着パッドで吸引された状態の被加工物をチャックテーブルに載置し、チャックテーブルで被加工物を吸引するとともに吸着パッドによる吸引を停止することで、被加工物をチャックテーブルで適切に吸引できる。このように、本発明の搬送方法によれば、上方に反った状態の被加工物を吸着パッドで吸引して平坦に矯正するので、加工装置を高価格化することなく、被加工物をチャックテーブルで適切に吸引できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る搬送方法を用いる研削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2図2(A)は、本実施形態に係る搬送方法で搬送される被加工物の例を模式的に示す斜視図であり、図2(B)は、被加工物の例を模式的に示す断面図である。
図3図3(A)は、載置工程、及び吸着パッド下降工程を模式的に示す断面図であり、図3(B)は、吸着パッド下降工程を模式的に示す断面図であり、図3(C)は、吸着工程を模式的に示す断面図である。
図4図4(A)、図4(B)、及び図4(C)は、被加工物移し換え工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る搬送方法は、載置工程(図3(A)参照)、吸着パッド下降工程(図3(A)、及び図3(B)参照)、吸着工程(図3(C)参照)、及び被加工物移し換え工程(図4(A)、図4(B)、及び図4(C)参照)を含む。
【0015】
載置工程では、上方に反った状態の被加工物を加工装置の仮置きテーブルに載置する。吸着パッド下降工程では、被加工物よりも大径の吸着パッドを下降させて、少なくとも被加工物の外周部を吸着パッドに密着させる。
【0016】
吸着工程では、吸着パッドで被加工物を吸引することで、被加工物を吸着パッドの吸着面に沿って平坦に矯正する。被加工物移し換え工程では、吸着パッドに吸引された状態の被加工物をチャックテーブルに載置し、チャックテーブルで被加工物を吸引するとともに吸着パッドによる吸引を停止する。以下、本実施形態に係る搬送方法について詳述する。
【0017】
まず、本実施形態に係る搬送方法を用いる加工装置の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る搬送方法を用いる研削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、本実施形態に係る搬送方法は、切削装置等の他の加工装置で用いられても良い。
【0018】
図1に示すように、研削装置(加工装置)2は、各構成を支持する基台4を備えている。基台4の上面前端側には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、円盤状の被加工物11(図2参照)を搬送する搬送機構6が設けられている。また、開口4aのさらに前方の領域には、被加工物11を収容可能なカセット8a,8bが載置されている。
【0019】
図2(A)は、本実施形態に係る搬送方法で搬送される被加工物11の例を模式的に示す斜視図であり、図2(B)は、被加工物11の例を模式的に示す断面図である。図2(A)に示すように、被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料で形成された略円形の板状物であり、外周縁には、結晶方位を示すノッチ11aが形成されている。図2(B)に示すように、この被加工物11は、下に凸の状態で反っており、中央部(中心付近)11bに比べて外周部11cが高くなっている。
【0020】
カセット8aが載置される載置領域及び開口4aの後方には、被加工物11の位置合わせを行うアライメント機構10が設けられている。このアライメント機構10は、被加工物11が仮置きされる仮置きテーブル12を含み、例えば、カセット8aから搬送機構6で搬送され、仮置きテーブル12に仮置きされた被加工物11の中心を位置合わせする。
【0021】
アライメント機構10と隣接する位置には、被加工物11を吸引保持して旋回する搬入機構(搬送手段)14が配置されている。この搬入機構14は、被加工物11の上面側全体を吸引する吸着パッド14b(図3(A)等参照)を備え、アライメント機構10で位置合わせされた被加工物11を後方に搬送する。
【0022】
搬入機構14の後方には、鉛直方向に延びる回転軸の周りに回転可能なターンテーブル16が配置されている。ターンテーブル16の上面には、被加工物11を吸引保持する3個のチャックテーブル18が設けられている。なお、ターンテーブル16上に配置されるチャックテーブル18の数は、必ずしも3個に限定されない。
【0023】
搬入機構14の吸着パッド14bで吸引保持された被加工物11は、各チャックテーブル18に搬入される。各チャックテーブル18は、モータ等の回転機構(不図示)と連結されており、鉛直方向に延びる回転軸の周りに回転する。
【0024】
各チャックテーブル18の上面は、被加工物11を吸引保持する保持面18c(図4(B)等参照)となっている。この保持面18cは、チャックテーブル18の内部に形成された流路18d(図4(B)等参照)を通じて吸引源(不図示)と接続されている。チャックテーブル18に搬入された被加工物11は、保持面18cに作用する吸引源の負圧で下面側を吸引される。
【0025】
ターンテーブル16の後方には、上方に伸びる2本の支持構造20が設けられている。各支持構造20の前面には、Z軸移動機構22を介してZ軸移動テーブル24が設けられている。各Z軸移動機構22は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール26を備えており、Z軸ガイドレール26には、Z軸移動テーブル24がスライド可能に設置されている。
【0026】
各Z軸移動テーブル24の後面側(裏面側)には、ナット部(不図示)が固定されており、このナット部には、Z軸ガイドレール26と平行なZ軸ボールネジ28が螺合されている。各Z軸ボールネジ28の一端部には、Z軸パルスモータ30が連結されている。Z軸パルスモータ30でZ軸ボールネジ28を回転させれば、Z軸移動テーブル24はZ軸ガイドレール26に沿ってZ軸方向に移動する。
【0027】
各Z軸移動テーブル24の前面(表面)には、研削機構(加工手段)32が設けられている。各研削機構32は、Z軸移動テーブル24に固定されたスピンドルハウジング34を備えている。各スピンドルハウジング34には、スピンドル(不図示)が回転可能に支持されている。
【0028】
各スピンドルの下端部には、研削ホイール36が装着されている。各研削ホイール36は、アルミニウム、ステンレス等の金属材料で形成された円筒状のホイール基台と、ホイール基台の下面において環状に配置された複数の砥石とを含む。
【0029】
被加工物11がチャックテーブル18に吸引保持されると、ターンテーブル16は回転して被加工物11を研削機構32の下方に位置付ける。その後、チャックテーブル18及び研削ホイール36を回転させた状態で研削機構32を下降させ、研削ホイール36を被加工物11の上面に接触させることで、被加工物11を研削できる。
【0030】
搬入機構14と隣接する位置には、研削後の被加工物11を吸引保持して旋回する搬出機構38が設けられている。搬出機構38の前方、且つ開口4aの後方には、搬出機構38で搬出された研削後の被加工物11を洗浄する洗浄機構40が配置されている。洗浄機構40で洗浄された被加工物11は、搬送機構6で搬送され、カセット8bに収容される。
【0031】
次に、上述した研削装置2で実施される本実施形態の搬送方法を説明する。本実施形態の搬送方法では、まず、上方に反った状態の被加工物11を研削装置2の仮置きテーブル12に載置する載置工程を実施する。図3(A)は、載置工程、及び吸着パッド下降工程を模式的に示す断面図である。
【0032】
図3(A)に示すように、仮置きテーブル12は、支持台12aに固定されたテーブル本体12bを含む。テーブル本体12bは、被加工物11より小径の円盤状に形成されており、上面に凹部を有している。テーブル本体12bの凹部には、多孔質材料でなる円盤状の吸着部材12cが嵌合されている。
【0033】
吸着部材12cの上面は、被加工物11を吸引保持する保持面となっている。この保持面は、支持台12a及びテーブル本体12bの内部に形成された流路12dを通じて吸引源(不図示)と接続されている。
【0034】
載置工程では、カセット8a内の被加工物11を搬送機構6で搬送して仮置きテーブル12に載置した後、保持面に吸引源の負圧を作用させる。具体的には、被加工物11を上方に反った状態で仮置きテーブル12に載置する。
【0035】
その結果、被加工物11は、保持面に作用する負圧で下面側を吸引保持される。なお、仮置きテーブル12は、被加工物11より小径に形成されており、中央部11bの下面側のみを吸引するので、上方に反った状態の被加工物11でも適切に吸引保持できる。
【0036】
載置工程を実施した後には、搬入機構14の吸着パッド14bを下降させて、被加工物11の外周部11cを吸着パッド14bに密着させる吸着パッド下降工程を実施する。図3(B)は、吸着パッド下降工程を模式的に示す断面図である。
【0037】
図3(A)及び図3(B)に示すように、搬入機構14は、支持アーム14aに連結された吸着パッド14bを含む。吸着パッド14bは、被加工物11より大径の円盤状に形成されており、下面に凹部を有している。吸着パッド14bの凹部には、多孔質材料でなる円盤状の吸着部材14cが嵌合されている。
【0038】
吸着部材14cの下面は、被加工物11を吸引保持する吸着面となっている。この吸着面は、支持アーム14a及び吸着パッド14bの内部に形成された流路14dを通じて吸引源(不図示)と接続されている。
【0039】
吸着パッド下降工程では、搬入機構14の支持アーム14aを旋回させて、図3(A)に示すように、仮置きテーブル12の上方に吸着パッド14bを位置付ける。次に、吸着パッド14bを被加工物11に向けて下降させて、図3(B)に示すように、外周部11cを全周にわたって吸着パッド14bに密着させる。
【0040】
吸着パッド下降工程を実施した後には、吸着パッド14bで被加工物11を吸引して、被加工物11を吸着部材14c(吸着パッド14b)の吸着面に沿って平坦に矯正する吸着工程を実施する。図3(C)は、吸着工程を模式的に示す断面図である。
【0041】
吸着工程では、被加工物11の外周部11cを吸着パッド14bに密着させた状態で、吸着部材14c(吸着パッド14b)の吸着面に吸引源の負圧を作用させる。その結果、被加工物11は、大気圧による上向きの力で吸着部材14c(吸着パッド14b)の吸着面に押し付けられる。
【0042】
これにより、被加工物11を吸着部材14c(吸着パッド14b)の吸着面に沿って平坦に矯正できる。なお、この吸着工程では、被加工物11の吸引に合わせて搬入機構14の吸着パッド14bを僅かに下降させると良い。これにより、被加工物11の上面を吸着部材14c(吸着パッド14b)の吸着面全体に密着できる。同様の理由で、仮置きテーブル12による被加工物11の吸引を停止させても良い。
【0043】
吸着工程を実施した後には、吸着パッド14bに吸引された状態の被加工物11をチャックテーブル18に載置し、チャックテーブル18で被加工物11を吸引するとともに吸着パッド14bによる吸引を停止する被加工物移し換え工程を実施する。図4(A)、図4(B)、及び図4(C)は、被加工物移し換え工程を模式的に示す断面図である。
【0044】
図4(B)及び図4(C)に示すように、チャックテーブル18は、支持台18aに連結されたテーブル本体18bを含む。テーブル本体18bの上面は、被加工物11を吸引保持する保持面18cとなっている。保持面18cは、支持台18a及びテーブル本体18bの内部に形成された流路18dを通じて吸引源(不図示)と接続されている。
【0045】
図4(A)及び図4(B)に示すように、被加工物移し換え工程では、まず、仮置きテーブル12による被加工物11の吸引を停止させる。そして、吸着パッド14bで吸引保持した被加工物11を搬送し、チャックテーブル18の保持面18cに載置する。
【0046】
その後、図4(B)に示すように、被加工物11の下面がチャックテーブル18の保持面18cに密着した状態で、この保持面18cに吸引源の負圧を作用させる。吸着パッド14bによって被加工物11は平坦に矯正されているので、被加工物11の下面全体をチャックテーブル18で適切に吸引保持できる。
【0047】
さらに、吸着パッド14bによる被加工物11の吸引を停止して、図4(C)に示すように、チャックテーブル18で吸引保持された被加工物11の上面から吸着パッド14bを分離させる。
【0048】
以上のように、本実施形態の搬送方法は、被加工物11よりも大径の吸着パッド14bを下降させて、上方に反った状態の被加工物11の外周部11cを吸着パッド14bに密着させる吸着パッド下降工程と、この吸着パッド14bで被加工物11を吸引し、吸着パッド14b(吸着部材14c)の吸着面に沿って被加工物11を平坦に矯正する吸着工程と、を備えるので、上方に反った状態の被加工物11を吸着パッド14bで吸引するだけで、被加工物11を平坦に矯正できる。
【0049】
そのため、後の被加工物移し換え工程において、吸着パッド14bで吸引された状態の被加工物11をチャックテーブル18に載置し、チャックテーブル18で被加工物11を吸引するとともに吸着パッド14bによる吸引を停止することで、被加工物11をチャックテーブル18で適切に吸引できる。このように、本実施形態の搬送方法によれば、上方に反った状態の被加工物11を吸着パッド14bで吸引して平坦に矯正するので、研削装置(加工装置)2を高価格化することなく、被加工物11をチャックテーブル18で適切に吸引できる。
【0050】
なお、上記実施形態に係る構成、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0051】
11 被加工物
11a ノッチ
11b 中央部(中心付近)
11c 外周部
2 研削装置(加工装置)
4 基台
4a 開口
6 搬送機構
8a,8b カセット
10 アライメント機構
12 仮置きテーブル
12a 支持台
12b テーブル本体
12c 吸着部材
12d 流路
14 搬入機構(搬送手段)
14a 支持アーム
14b 吸着パッド
14c 吸着部材
14d 流路
16 ターンテーブル
18 チャックテーブル
18a 支持台
18b テーブル本体
18c 保持面
18d 流路
20 支持構造
22 Z軸移動機構
24 Z軸移動テーブル
26 Z軸ガイドレール
28 Z軸ボールネジ
30 Z軸パルスモータ
32 研削機構(加工手段)
34 スピンドルハウジング
36 研削ホイール
38 搬出機構
40 洗浄機構

図1
図2
図3
図4