(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373405
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】小型製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20180806BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20180806BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 L
H01L21/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-562646(P2016-562646)
(86)(22)【出願日】2015年12月1日
(86)【国際出願番号】JP2015083828
(87)【国際公開番号】WO2016088786
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年6月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-243315(P2014-243315)
(32)【優先日】2014年12月1日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、経済産業省委託研究「エネルギー使用合理化技術開発等委託費(革新的製造プロセス技術開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】原 史朗
(72)【発明者】
【氏名】前川 仁
【審査官】
鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−054414(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/087760(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、
前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、
前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、
前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、
前記小型製造装置が平面視で略四角形状に構成されており、前記小型製造装置が複数並設されたときに、前記容器搬送手段を有する側の前面が略同一平面上に位置するように並んで配置されるように構成されており、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を略一直線上に貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されていることを特徴とする小型製造装置。
【請求項2】
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、
前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、
前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、
前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、
前記小型製造装置が複数並設されたときに、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されており、
前記筐体には、前面側および側面側が開放され、前面から奥行きに向けて凹んだ凹部が前記装置前室の上方に形成され、
前記凹部に前記容器載置台および前記容器搬送手段が設けられていることを特徴とする小型製造装置。
【請求項3】
前記容器搬送手段は、その非使用時に前記筐体の外形線から外部へ食み出さない状態で前記凹部に収納されていることを特徴とする請求項2に記載の小型製造装置。
【請求項4】
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、
前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、
前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、
前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、
前記小型製造装置が複数並設されたときに、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されており、
前記筐体には、前記基板搬送容器を一時的に保持する仮置きトレイが設けられ、
前記容器搬送手段は、前記容器載置台と前記仮置きトレイとの間で前記基板搬送容器を搬送するとともに、前記小型製造装置が複数並設されたときに、任意の小型製造装置の前記容器載置台と当該小型製造装置に隣接する小型製造装置の前記仮置きトレイとの間で前記基板搬送容器を搬送しうるように構成されていることを特徴とする小型製造装置。
【請求項5】
前記仮置きトレイは、前記小型製造装置が複数並設されたときに、任意の小型製造装置の前記容器載置台と当該小型製造装置に隣接する小型製造装置の前記容器載置台との間に位置するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の小型製造装置。
【請求項6】
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、
前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、
前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、
前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、
前記小型製造装置が複数並設されたときに、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されており、
前記容器搬送手段は、その使用時に前記筐体の外形線から前方へ突出しないように構成されていることを特徴とする小型製造装置。
【請求項7】
前記容器搬送手段は、前記筐体に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の小型製造装置。
【請求項8】
前記容器搬送手段は、前記容器搬送経路に沿って前記基板搬送容器を搬送する搬送レールを備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の小型製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、直径が20mm以下の小口径の半導体ウェハを製造するための半導体製造装置などの小型製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造技術では、ウェハの大口径化によって、チップ製造単価の低減が図られてきた。このため、一連の製造プロセスで使用される半導体製造装置は巨大化、高価格化の一途をたどり、製造工場の規模や建設・運営コストを肥大化させることとなった。このような大規模製造システムは、少品種大量生産ではチップの製造単価低減に寄与するが、少量多品種生産の要請に応えにくく、市場状況に応じた生産量の調整を困難にするとともに、中小企業の参入を困難にする。
【0003】
これらの問題を解決するためには、小口径(例えば、直径20mm以下)の半導体ウェハを用いて低コストで半導体チップを製造できる小型の半導体製造装置が望まれる。このような小型の半導体製造装置を用いて生産ラインを構築する場合には、床面上に複数の半導体製造装置を一直線上に並設し、半導体ウェハに対する一連の製造プロセスにおいては、これら複数の半導体製造装置間で、半導体ウェハをウェハ搬送容器に収容した状態で搬送することになる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
このような複数の半導体製造装置からなる生産ラインにおいて、半導体ウェハに対する一連の製造プロセスを効率よく進めるためには、複数の半導体製造装置間でウェハ搬送容器を自動的に搬送することが必要になる。そのためには、例えば、この生産ラインの近傍に1セットの搬送レールを生産ラインの全長にわたって配置し、この搬送レールを用いて複数の半導体製造装置間でウェハ搬送容器を搬送することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−110358号公報
【特許文献2】特開2014−110359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この1セットの搬送レールを用いる方法では、次のような問題点があった。
【0007】
第1に、搬送レールと半導体製造装置との位置調整(特に、搬送レールと垂直な方向の位置調整)が難しいため、搬送系が複雑で繊細で不安定なものとなる。すなわち、搬送レールは非常に長いため、搬送レールは基本的に多くの半導体製造装置に対して1セットで、その搬送レールは天井や床に固定されているため、搬送レールの位置には基本的にフレキシビリティ(柔軟性)がない。このため、床に配置する半導体製造装置が少しでもずれると、搬送ミスが起こりやすくなる。また、半導体製造装置を配置する床も非常にフラットでないと、搬送レールとの位置がずれやすく、調整に手間がかかる。
【0008】
第2に、搬送系が大型化して高コストなものとなる。すなわち、半導体製造装置と搬送レールが離れていると、半導体製造装置の位置決めがその分だけ難しくなり、搬送容器を位置決めするためのずれの許容範囲を大きく取らなければならない。さらに、半導体製造装置と搬送レールが離れているために、搬送容器を天井から吊って降ろしたり、遠くからロボットで半導体製造装置まで搬送するために、搬送系が複雑になる。これは半導体製造装置と搬送系の大型化につながり、精度の悪化もまねく。また、半導体製造装置と搬送レールにさらに、搬送レール上に搬送容器を運搬する移動運搬機が必要となる。
【0009】
特に、ミニマルファブのような超小型システムでは、システム全体の小型化は必須であり、工場の天井に搬送レールを這わせるのは、半導体製造装置サイズとウェハサイズ、容器サイズの観点から、搬送レールが非常に遠くにあり、搬送レールと半導体製造装置間の搬送容器の移動距離が相対的に長すぎ、高コスト的になる問題が顕在化する。
【0010】
第3に、ウェハ搬送容器の搬送に1分〜10分程度の時間がかかる。すなわち、搬送レールは固定で、方向切り替え機を作ってもそれを無数には配置できないため、半導体製造装置と半導体製造装置の間の最短搬送ができない。人が運ぶシステムとは本質的に異なるため、人搬送の搬送経路自由度が得られない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、複数の半導体製造装置などの小型製造装置からなる生産ラインにおいて、上述した種々の問題点を発生させることなく、これらの小型製造装置間でウェハ搬送容器を自動的に搬送することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、
処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、
前記小型製造装置が平面視で略四角形状に構成されており、前記小型製造装置が複数並設されたときに、
前記容器搬送手段を有する側の前面が略同一平面上に位置するように並んで配置されるように構成されており、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を
略一直線上に貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されている小型製造装置としたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、前記小型製造装置が複数並設されたときに、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されており、前記筐体には、前面側および側面側が開放され、前面から奥行きに向けて凹んだ凹部が前記装置前室の上方に形成され、前記凹部に前記容器載置台および前記容器搬送手段が設けられている小型製造装置としたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項
2に記載の構成に加え、
前記容器搬送手段は、その非使用時に前記筐体の外形線から外部へ食み出さない状態で前記凹部に収納されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、前記小型製造装置が複数並設されたときに、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されており、前記筐体には、前記基板搬送容器を一時的に保持する仮置きトレイが設けられ、前記容器搬送手段は、前記容器載置台と前記仮置きトレイとの間で前記基板搬送容器を搬送するとともに、前記小型製造装置が複数並設されたときに、任意の小型製造装置の前記容器載置台と当該小型製造装置に隣接する小型製造装置の前記仮置きトレイとの間で前記基板搬送容器を搬送しうるように構成されている
小型製造装置としたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記仮置きトレイは、前記小型製造装置が複数並設されたときに、任意の小型製造装置の前記容器載置台と当該小型製造装置に隣接する小型製造装置の前記容器載置台との間に位置するように設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、
処理室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を処理する際には、この処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記処理室に搬送され、この処理室で処理された後、この処理室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される小型製造装置であって、前記筐体に容器搬送手段が一体に設けられ、前記小型製造装置が複数並設されたときに、これら複数の小型製造装置の並設方向に延伸する容器搬送経路が当該複数の小型製造装置を貫くように形成され、この容器搬送経路に沿って、隣接する小型製造装置へ前記基板搬送容器を受け渡し、または隣接する小型製造装置から前記基板搬送容器を受け取るとともに、前記容器搬送手段は、これら複数の小型製造装置に共通するものになるように構成されており、前記容器搬送手段は、その使用時に前記筐体の外形線から前方へ突出しないように構成されている小型製造装置としたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項
1乃至6のいずれかに記載の構成に加え、
前記容器搬送手段は、前記筐体に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の構成に加え、
前記容器搬送手段は、前記容器搬送経路に沿って前記基板搬送容器を搬送する搬送レールを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の半導体製造装置などの小型製造装置からなる生産ラインにおいて、これらの小型製造装置間でウェハ搬送容器を自動的に搬送することができる。その結果、半導体ウェハなどの処理基板に対する一連の製造プロセスを効率よく進めることが可能となる。
【0021】
しかも、生産ラインの近傍に1セットの搬送レールを配置する従来技術が招く問題点の発生を未然に回避することができる。すなわち、小型製造装置間の搬送は、隣接する小型製造装置との間で行われるため、容器搬送手段の空間的な位置は、この隣接する小型製造装置とだけで決定することができる。また、搬送距離が小型製造装置間の間隔になるので、搬送経路が最短となり、小型製造装置間の搬送が非常に速くなる(例えば、5秒程度)。さらに、容器搬送手段は着脱可能なカセット式なので、トラブル時や、自由な搬送、すなわち必要な小型製造装置間の所へ持って行くために、手動での搬送にいつでも切り替えて、容器搬送手段のない生産ラインを構築することもできる。また、仮置きトレイがあると、その仮置きトレイで位置決め機能を付加することもできるので、搬送ロボットが位置決め機構を有する必要がなくなり、小型製造装置間の位置精度の悪さをカバーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る生産ラインを示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
[発明の実施の形態1]
図1には、本発明の実施の形態1を示す。なお、
図1(a)においては、中央の半導体製造装置の容器搬送手段の図示を省いている。
【0025】
実施の形態1に係る生産ライン1は、
図1に示すように、この実施の形態1では3個の小型の半導体製造装置(小型製造装置)2が床面16上に一直線上に並設されて構成されている。これら3個の半導体製造装置2(右側の半導体製造装置2A、中央の半導体製造装置2B、左側の半導体製造装置2C)は、互いに所定間隔(例えば、6mm)の隙間を挟んで横向きに対向している。
【0026】
各半導体製造装置2はそれぞれ、
図1に示すように、所定の大きさ(例えば、幅30cm、奥行き45cm、高さ144cm)の略直方体状の筐体3を有しており、筐体3の内部には、処理室5および装置前室6が配設されている。
【0027】
また、筐体3の前部には、
図1に示すように、凹部7が装置前室6の上方に形成されている。この凹部7は、前面側および側面側が開放され、前面から奥行きに向けて凹んでいる。この凹部7には、小口径(例えば、直径20mm以下)の半導体ウェハが密閉状態で収容されたウェハ搬送容器(基板搬送容器)10を載置するための容器載置台9が設置されているとともに、このウェハ搬送容器10を一時的に保持する仮置きトレイ8が設置されている。ここで、仮置きトレイ8は、
図1(a)に示すように、半導体製造装置2が複数並設されたときに、任意の半導体製造装置2の容器載置台9と、その隣の半導体製造装置2の容器載置台9との間に位置するように設けられている。また、任意の半導体製造装置2において、容器載置台9と仮置きトレイ8との位置関係(筐体の幅方向、奥行き方向および高さ方向)は精度よく定められている。
【0028】
また、半導体製造装置2が複数並設されたときには、これら複数の半導体製造装置2の並設方向(
図1(a)左右方向)に延伸する容器搬送経路14が複数の半導体製造装置2の凹部7を貫くように形成される。
【0029】
また、筐体3には、着脱可能なカセット式の容器搬送手段12が一体に設けられており、容器搬送手段12は、容器搬送経路14に沿ってウェハ搬送容器10を搬送する搬送レール12aを備えている。この容器搬送手段12は、その半導体製造装置2の仮置きトレイ8と容器載置台9との間でウェハ搬送容器10を往復搬送することができるとともに、その半導体製造装置2の容器載置台9と隣の半導体製造装置2の仮置きトレイ8との間でウェハ搬送容器10を往復搬送することができるように構成されている。
【0030】
なお、容器搬送手段12は、その非使用時には、
図1に示すように、その半導体製造装置2の筐体3の直方体状の外形線LNから前方(
図1(b)右方)にも左右方向(
図1(a)左右方向)にも食み出さない状態で凹部7に収納されている。また、容器搬送手段12は、その使用時(ウェハ搬送容器10の搬送時)には、
図1に示すように、その半導体製造装置2および隣の半導体製造装置2の筐体3の直方体状の外形線LNから前方(
図1(b)右方)へ突出しないようになっている。
【0031】
生産ライン1は以上のような構成を有するので、この生産ライン1において半導体ウェハに一連の製造プロセスを施す際には、例えば、以下に説明するとおり、右側の半導体製造装置2Aから中央の半導体製造装置2Bを経て左側の半導体製造装置2Cへ順送りでウェハ搬送容器10を搬送しつつ、このウェハ搬送容器10内に収容された半導体ウェハに対して一連の製造プロセスを施す。
【0032】
まず、第1処理工程では、右側の半導体製造装置2Aにおいて、半導体ウェハが、容器載置台9から搬入されて装置前室6を経て処理室5に搬送され、処理室5で所定の処理が施された後、処理室5から装置前室6を経て容器載置台9に戻されて搬出される。
【0033】
次に、第1搬送工程に移行し、右側の半導体製造装置2Aの容器搬送手段12と中央の半導体製造装置2Bの容器搬送手段12とが相互に連携して、右側の半導体製造装置2Aの容器載置台9から中央の半導体製造装置2Bの仮置きトレイ8に一時的に仮置きされた後、中央の半導体製造装置2Bの仮置きトレイ8から中央の半導体製造装置2Bの容器載置台9へウェハ搬送容器10が搬送されて載置される。
【0034】
その後、第2処理工程に移行し、中央の半導体製造装置2Bにおいて、半導体ウェハが、容器載置台9から搬入されて装置前室6を経て処理室5に搬送され、処理室5で所定の処理が施された後、処理室5から装置前室6を経て容器載置台9に戻されて搬出される。
【0035】
次いで、第2搬送工程に移行し、中央の半導体製造装置2Bの容器搬送手段12と左側の半導体製造装置2Cの容器搬送手段12とが相互に連携して、中央の半導体製造装置2Bの容器載置台9から左側の半導体製造装置2Cの仮置きトレイ8に一時的に仮置きされた後、左側の半導体製造装置2Cの仮置きトレイ8から左側の半導体製造装置2Cの容器載置台9へウェハ搬送容器10が搬送されて載置される。
【0036】
最後に、第3処理工程に移行し、左側の半導体製造装置2Cにおいて、半導体ウェハが、容器載置台9から搬入されて装置前室6を経て処理室5に搬送され、処理室5で所定の処理が施された後、処理室5から装置前室6を経て容器載置台9に戻されて搬出される。
【0037】
ここで、半導体ウェハに対する一連の製造プロセスが終了する。
【0038】
なお、ウェハ搬送容器10の具体的な搬送方式は種々考えられる。第1の搬送方式としては、ウェハ搬送容器10が搬送レール12a上で走行するのではなく、搬送レール12aの先端にウェハ搬送容器10を脱着保持する機構となっており、搬送レール12aが伸び縮み、または角度を変えることで、ウェハ搬送容器10を隣接の半導体製造装置2へ搬送する搬送方式がある。第2の搬送方式としては、ウェハ搬送容器10が搬送レール12a上で走行し、ウェハ搬送容器10を隣接の半導体製造装置2の搬送レール12aに受け渡す搬送方式がある。第3の搬送方式としては、搬送ロボット(図示せず)がウェハ搬送容器10を隣接の半導体製造装置2へ搬送する搬送方式がある。この際、搬送ロボット同士がウェハ搬送容器10を直接受け取らず、一旦、仮置きトレイ8に置き、そこを介して、隣接の半導体製造装置2の搬送ロボットがウェハ搬送容器10を取って搬送を行う。
【0039】
また、上述した一連の製造プロセスでは、ウェハ搬送容器10を順送りで搬送しつつ半導体ウェハに一連の製造プロセスを施す場合の手順について説明したが、この順送りの他にも任意の順番でウェハ搬送容器10を搬送しつつ半導体ウェハに一連の製造プロセスを施すことが可能である。
【0040】
例えば、生産ライン1において、上述した順送りと逆の手順により、左側の半導体製造装置2Cから中央の半導体製造装置2Bを経て右側の半導体製造装置2Aへ逆送りでウェハ搬送容器10を搬送しつつ半導体ウェハに一連の製造プロセスを施すこともできる。
【0041】
また、生産ライン1において、左側の半導体製造装置2C、右側の半導体製造装置2A、中央の半導体製造装置2Bの順番でウェハ搬送容器10を搬送しつつ半導体ウェハに一連の製造プロセスを施すことも可能である。この場合、左側の半導体製造装置2Cから右側の半導体製造装置2Aへウェハ搬送容器10を搬送する際には、左側の半導体製造装置2Cから中央の半導体製造装置2Bを経由して右側の半導体製造装置2Aへウェハ搬送容器10を搬送してもよく、左側の半導体製造装置2Cから右側の半導体製造装置2Aへ直接(つまり、中央の半導体製造装置2Bを経由せずに)搬送しても構わない。
【0042】
このように、ウェハ搬送容器10を種々の順番で搬送しつつ半導体ウェハに一連の製造プロセスを施すに当たっては、この半導体ウェハの処理情報(3個の半導体製造装置2のうち、どの半導体製造装置2を用いて、どういう順番で処理を進めるかという情報)をRFID、バーコードなどのタグとして半導体ウェハまたはウェハ搬送容器10に持たせることにより、一連の製造プロセスを円滑に進めることが可能となる。或いは、半導体ウェハの処理情報に代えてIDのみを半導体ウェハまたはウェハ搬送容器10に持たせるとともに、そのIDに紐付けされた形で半導体ウェハの処理情報を所定の工程管理用コンピュータ(図示せず)に格納しても構わない。
【0043】
以上説明したとおり、半導体ウェハに対する一連の製造プロセスにおいては、生産ライン1を構成する3個の半導体製造装置2の容器搬送手段12が相互に連携することにより、これらの半導体製造装置2間でウェハ搬送容器10が搬送される。その結果、3個の半導体製造装置2間でウェハ搬送容器10を自動的に搬送することができ、半導体ウェハに対する一連の製造プロセスを効率よく進めることが可能となる。また、各半導体製造装置2はそれぞれ仮置きトレイ8が設けられているため、生産ライン1で複数の半導体ウェハを連続的に処理する場合に、各半導体ウェハに対する一連の製造プロセスの途中でウェハ搬送容器10を仮置きトレイ8に仮置きすることにより、容器搬送手段12の待機時間、ひいては、すべての半導体ウェハに対する一連の製造プロセス全体の所要時間を短縮することができる。
【0044】
しかも、生産ライン1の近傍に1セットの搬送レールを配置する従来技術が招く問題点の発生を未然に回避することができる。すなわち、半導体製造装置2間の搬送は、隣接する半導体製造装置2との間で行われるため、容器搬送手段12の空間的な位置は、この隣接する半導体製造装置2とだけで決定することができる。すなわち、遠くの半導体製造装置2は関係なく、工場建屋が経時変化や天災などで歪んでも、ほとんど搬送に影響を与えない。また、半導体ウェハ(ウェハ搬送容器10)の搬送距離が半導体製造装置2間の間隔になるので、搬送経路が最短となり、半導体製造装置2間の搬送が非常に速くなる(5秒程度)。さらに、容器搬送手段12は着脱可能なカセット式なので、トラブル時や、自由な搬送、すなわち必要な半導体製造装置2間の所へ持って行くために、手動での搬送にいつでも切り替えて、容器搬送手段12のない生産ライン1を構築することもできる。また、仮置きトレイ8があると、その仮置きトレイ8で位置決め機能を付加することもできるので、搬送ロボットが位置決め機構を有する必要がなくなり、半導体製造装置2間の位置精度の悪さをカバーすることができる。
【0045】
さらに、生産ライン1においては、
図1(a)に示すように、仮置きトレイ8は、隣接する2個の半導体製造装置2の容器載置台9間に位置しているので、容器載置台9間で直接(仮置きトレイ8を介さずに)ウェハ搬送容器10を搬送する場合と異なり、容器搬送手段12の可動範囲をオフセットすることが可能になり、その機構設計・製作にかかる制約を低減することができる。すなわち、容器搬送手段12は、隣の半導体製造装置2の仮置きトレイ8までを可動範囲とすればよく、隣の半導体製造装置2の容器載置台9まで到達する必要はない。
【0046】
また、容器搬送手段12は、上述したとおり、その非使用時には、その半導体製造装置2の筐体3の直方体状の外形線LNから前方にも左右方向にも食み出さない状態で凹部7に収納されているので、3個の半導体製造装置2を並設して生産ライン1を構築するときには、これらの半導体製造装置2の据え付け作業や取り替え作業を円滑に行うことができる。
【0047】
さらに、容器搬送手段12は、上述したとおり、その使用時には、その半導体製造装置2および隣の半導体製造装置2の筐体3の直方体状の外形線LNから前方へ突出しないようになっているので、容器搬送手段12を用いて半導体製造装置2間でウェハ搬送容器10を搬送するときに、この容器搬送手段12が作業者の邪魔になる事態を回避することができる。
【0048】
また、ウェハ搬送容器10の搬送中においては、半導体ウェハは、常にウェハ搬送容器10内に密閉状態で収容されているので、空気中の微粒子がウェハ搬送容器10内に侵入して半導体ウェハに付着する恐れはない。そのため、生産ライン1全体を密閉する必要がなく、生産ライン1を低廉に構築することができる。
【0049】
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、3個の半導体製造装置2からなる生産ライン1について説明したが、生産ライン1を構成する半導体製造装置2の個数は、3個に限るわけではなく、複数(2個以上)であれば何個でも構わない。
【0050】
また、上述した実施の形態1では、本発明を小口径の半導体ウェハに適用する場合について説明したが、8インチや12インチ等の大口径の半導体ウェハ等にも本発明を同様に適用することができる。
【0051】
さらに、上述した実施の形態1では、半導体ウェハを用いる半導体製造装置2を例に採って説明したが、本発明は、他の種類の基板(例えば、サファイア基板などの絶縁性基板や、アルミニウム基板などの導電性基板)や、非円盤形状(例えば、矩形)の処理基板からデバイスを製造する製造装置にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、半導体製造装置のみならず、様々な分野で多品種少量生産をする生産ラインに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1……生産ライン
2……半導体製造装置(小型製造装置)
3……筐体
5……処理室
6……装置前室
7……凹部
8……仮置きトレイ
9……容器載置台
10……ウェハ搬送容器(基板搬送容器)
12……容器搬送手段
12a……搬送レール
14……容器搬送経路
16……床面
LN……筐体の外形線