特許第6373571号(P6373571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6373571ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373571
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/48 20060101AFI20180806BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20180806BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20180806BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20180806BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20180806BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   C08F2/48
   G03F7/004 505
   G03F7/027 502
   G03F7/032 501
   G02F1/1339 500
   C08F2/44 A
【請求項の数】9
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2013-236214(P2013-236214)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93986(P2015-93986A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】山口 尚人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 香織
(72)【発明者】
【氏名】石川 達郎
(72)【発明者】
【氏名】舘野 功
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−134264(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133148(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/031753(WO,A1)
【文献】 特開2004−198717(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/032190(WO,A1)
【文献】 特表2008−517330(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0084751(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光剤を含むブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物であって、
前記(D)遮光剤が、ペリレン系黒色顔料を含有せず、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含有し、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、当該感光性樹脂組成物の固形分に対して、40〜85質量%であり、
前記(B)光重合性モノマーの含有量が、前記(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量と前記(B)光重合性モノマーの含有量と前記(C)光重合開始剤の含有量との合計量100質量部に対して、5〜50質量部であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量と前記(B)光重合性モノマーの含有量と前記(C)光重合開始剤の含有量との合計量100質量部に対して、1〜30質量部であり、
前記カーボンブラックに導入された前記酸性基のモル数が、前記カーボンブラック100gに対して、1〜200mmolであり、
当該感光性樹脂組成物により、ブラックカラムスペーサを形成したときに、当該ブラックカラムスペーサの膜厚1μmあたりのOD値が1.0以上となり、1kHzでの比誘電率が6以下となる、ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記カーボンブラックが、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するものである、請求項1に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)光重合開始剤が、オキシムエステル系光重合開始剤を含む、請求項1又は2に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)光重合開始剤の含有量が、当該感光性樹脂組成物の固形分に対して、0.5〜20質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂がカルド構造を有する樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物からなる膜厚3μmの感光性樹脂層を、100mJ/cmの露光量で露光したときに得られるブラックカラムスペーサの膜厚HFTと、10mJ/cmの露光量で露光したときに得られるブラックカラムスペーサの膜厚HHTとの差ΔH(=HFT−HHT)が5000Å以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物から形成されたブラックカラムスペーサ。
【請求項8】
請求項7に記載のブラックカラムスペーサを備える表示装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
前記感光性樹脂層を所定のスペーサのパターンに応じて露光する露光工程と、
露光後の感光性樹脂層を現像して、スペーサのパターンを形成する現像工程と、を含むブラックカラムスペーサの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物と、当該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を用いるブラックカラムスペーサの形成方法と、当該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックカラムスペーサと、当該ブラックカラムスペーサを備える表示装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置では、2枚の基板間の間隔(セルギャップ)を一定に保つためにスペーサが利用されている。
【0003】
従来、スペーサを形成するには、基板の全面にスペーサとなるビーズ粒子を散布する方法が採られていた。しかし、この方法では高い位置精度でスペーサを形成することが困難であり、画素表示部分にもビーズが付着するため、画像のコントラストや表示画質が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために、スペーサを感光性樹脂組成物により形成する方法が種々提案されている。この方法は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、所定のマスクを介して露光した後、現像して、カラム状等のスペーサを形成するものであり、画素表示部分以外の所定の部分にのみスペーサを形成することができる。また、近年では、カーボンブラック等の遮光剤によってスペーサに遮光性を持たせた、いわゆるブラックカラムスペーサも提案されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−170075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成させるブラックカラムスペーサには、比誘電率が高い問題がある。ブラックカラムスペーサの比誘電率が高い場合、表示装置の表示不良を招きやすい。
【0007】
また、ブラックカラムスペーサには高い遮光性が求められている。この点を考慮すると、特許文献1に記載の感光性樹脂組成物について、カーボンブラックの含有量を増加させるのが好ましい。しかし、この場合には、形成されるブラックカラムスペーサの比誘電率が顕著に高くなってしまう。
【0008】
さらに、液晶表示装置等の表示装置では、基板上に素子が形成されたTFT基板等の基板が使用されることも多い。かかる基板を用いる場合、基板に形成された素子上、又は素子が形成された基板と対になる基板の素子と対向する個所にブラックカラムスペーサを形成する必要がある場合がある。このような場合、素子の高さを考慮して、素子が形成された個所と、その他の個所とで、ブラックカラムスペーサの高さを変える必要がある。
【0009】
この場合、ブラックカラムスペーサが形成される場所に応じて露光量を変化させることによって、異なる高さのブラックカラムスペーサを一度で形成できるため、ハーフトーンマスクを介して露光を行うのが好ましい。このように、ブラックカラムスペーサの形成に用いられる感光性樹脂組成物には、ハーフトーンマスクを介して露光を行うこと、十分に高さに差のあるブラックカラムスペーサを形成できる、良好なハーフトーン特性が求められている。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、比誘電率の低いブラックカラムスペーサを形成することができ、良好なハーフトーン特性を備えるブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物と、当該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を用いるブラックカラムスペーサの形成方法と、当該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックカラムスペーサと、当該ブラックカラムスペーサを備える表示装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光剤を含むブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物に、(D)遮光剤として、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを配合することで上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の第一の態様は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光剤を含み、
前記(D)遮光剤が、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含有する、ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物である。
【0013】
本発明の第二の態様は、第一の態様にかかるブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物から形成されたブラックカラムスペーサである。
【0014】
本発明の第三の態様は、第二の態様にかかるブラックカラムスペーサを備える表示装置である。
【0015】
本発明の第四の態様は、
第一の態様にかかるブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
感光性樹脂層を所定のスペーサのパターンに応じて露光する露光工程と、
露光後の感光性樹脂層を現像して、スペーサのパターンを形成する現像工程と、を含むブラックカラムスペーサの形成方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比誘電率の低いブラックカラムスペーサを形成することができ、良好なハーフトーン特性を備えるブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物と、当該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を用いるブラックカラムスペーサの形成方法と、当該ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックカラムスペーサと、当該ブラックカラムスペーサを備える表示装置とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
≪ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物≫
ブラックカラムスペーサ形成用感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」という。)は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光剤を含有し、前述の遮光剤は酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含む。以下、本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
【0018】
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0019】
(A)アルカリ可溶性樹脂は、上述のアルカリ可溶性を示す樹脂であれば特に限定されず、従来公知の樹脂から適宜選択して使用できる。(A)アルカリ可溶性樹脂として好適な樹脂としては、(A1)カルド構造を有する樹脂が挙げられる。
【0020】
(A1)カルド構造を有する樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】
上記式(a−1)中、Xは、下記式(a−2)で表される基を示す。
【0023】
【化2】
【0024】
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Wは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
【0025】
【化3】
【0026】
また、上記式(a−1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0027】
また、上記式(a−1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
【0028】
(A1)カルド構造を有する樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
【0029】
また、破壊強度や基板への密着性に優れるブラックカラムスペーサを得やすいことから、(A2)(a1)不飽和カルボン酸を少なくとも重合させた共重合体も、(A)アルカリ可溶性樹脂として好適に使用することができる。
【0030】
(a1)不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの(a1)不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
(A2)共重合体は、(a1)不飽和カルボン酸と(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との共重合体であってもよい。(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
具体的に、(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a2−1)〜(a2−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a2−1)〜(a2−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a2−1)〜(a2−4)で表される化合物がより好ましい。
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】
上記式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R13は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。R12としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0037】
(A2)共重合体は、上記(a1)不飽和カルボン酸及び(a2)上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とともに、エポキシ基を有さない(a3)脂環式基含有不飽和化合物を共重合させたものであってもよい。
(a3)脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a3)脂環式基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
具体的に、(a3)脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a3−3)〜(a3−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−3),(a3−4)で表される化合物がより好ましい。
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
上記式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R23は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。R22としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R23としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0042】
また、(A2)共重合体は、上記(a1)不飽和カルボン酸及び上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物、さらには上記(a3)脂環式基含有不飽和化合物とともに、脂環式基を有さない(a4)エポキシ基含有不飽和化合物を重合させたものであってもよい。
【0043】
(a4)エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(a4)エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
また、(A2)共重合体は、上記以外の他の化合物をさらに重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0046】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0047】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0048】
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0049】
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0050】
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0051】
(A2)共重合体に占める上記(a1)不飽和カルボン酸由来の構成単位の割合は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜45質量%であることがより好ましい。
また、(A2)共重合体が、上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位と上記(a4)エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位とを含有する場合、(A2)共重合体に占める(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合と上記(a4)エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合との合計は、71質量%以上であることが好ましく、71〜95質量%であることがより好ましく、75〜90質量%であることがさらに好ましい。特に、(A2)共重合体に占める上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合が単独で71質量%以上であることが好ましく、71〜80質量%であることがより好ましい。上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合を上記の範囲にすることにより、感光性樹脂組成物の経時安定性をより向上させることができる。
また、(A2)共重合体が、(a3)脂環式基含有不飽和化合物由来の構成単位を含有する場合、(A2)共重合体に占める上記(a3)脂環式基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0052】
(A2)共重合体の質量平均分子量は、2000〜200000であることが好ましく、3000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0053】
また、(A)アルカリ可溶性樹脂としては、(A3)上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、後述する(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体、又は(A4)上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位と、後述する光重合性モノマー(B)との重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体を含む樹脂も好適に使用できる。(A)アルカリ可溶性樹脂が(A3)共重合体、又は(A4)共重合体を含む場合、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の破壊強度を高めることができる。
【0054】
(A3)共重合体、及び(A4)共重合体は、共重合体(A2)について他の化合物として記載される、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等をさらに共重合させたものであってもよい。
【0055】
(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位は、(B)光重合性モノマーとの重合可能部位としてエチレン性不飽和基を有するものが好ましい。このような構成単位を有する共重合体化は、(A3)共重合体については、上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含む重合体に含まれるカルボキシル基の少なくとも一部と、上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物とを反応させることにより、調製することができる。また、(A4)共重合体は、上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位とを有する共重合体におけるエポキシ基の少なくとも一部と、(a1)不飽和カルボン酸とを反応させることにより、調製することができる。
【0056】
共重合体(A3)における、(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位の占める割合は、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい。共重合体(A3)における、(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位の占める割合は、1〜45質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。共重合体(A3)がこのような比率で各構成単位を含む場合、基板との密着性に優れるブラックカラムスペーサを形成可能な感光性樹脂組成物を得やすい。
【0057】
共重合体(A4)における、(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位の占める割合は、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい。共重合体(A4)における、(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の占める割合は、55質量%以上が好ましく、71質量%以上がより好ましく、71〜80質量%が特に好ましい。
共重合体(A4)における、(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位の占める割合は、1〜45質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。共重合体(A4)がこのような比率で各構成単位を含む場合、基板との密着性に優れるブラックカラムスペーサを形成可能な感光性樹脂組成物を得やすい。
【0058】
(A3)共重合体、及び(A4)共重合体の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0059】
(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して40〜85質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A)アルカリ可溶性樹の含有量と、(B)光重合性モノマーの含有量と、(C)光重合開始剤の含有量との合計量を100質量部とする場合に、感光性樹脂組成物中の(B)光重合性モノマーの含有量が5〜50質量部となるように、感光性樹脂組成物に配合されるのが好ましい。
【0060】
<(B)光重合性モノマー>
光重合性モノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0061】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0062】
(B)光重合性モノマーは、(A)アルカリ可溶性樹の含有量と、(B)光重合性モノマーの含有量と、(C)光重合開始剤の含有量との合計量を100質量部とする場合に、感光性樹脂組成物中の(B)光重合性モノマーの含有量が5〜50質量部、より好ましくは6〜35質量部となるように、感光性樹脂組成物に配合されるのが好ましい。(B)光重合性モノマーの含有量を、このような範囲内の量とすることで、基板に対する密着性に優れるブラックカラムスペーサを形成しやすい。
【0063】
また、形成されるブラックカラムスペーサの基板への密着性の観点からは、(B)光重合性モノマーの含有量は少ないほど好ましい。感光性樹脂組成物は、(D)遮光剤として酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含んでいる。このため、感光性樹脂組成物は、露光された後でもややアルカリ性の現像液に溶解しやすい状態である。遮光性向上等の目的で(D)遮光剤の添加量を増やす場合にはこの傾向はより顕著なものとなる。これに対して、感光性樹脂組成物中の(B)光重合性モノマーの含有量を低減させることで、感光性樹脂組成物の感度を大きく低下させることなく、露光された感光性樹脂組成物のアルカリ性の現像液に対する溶解性が低下する。
なお、(B)光重合性モノマーの含有量を低減させる場合には()アルカリ可溶性樹脂として(A1)のような不飽和二重結合を有する樹脂や(A3)、(A4)のような(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位を有する樹脂を用いると、膜硬度を良好なものとすることができる。
【0064】
<(C)光重合開始剤>
光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0065】
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0066】
これらの中でも、オキシム系光重合開始剤を用いることが感度の面で特に好ましい。また、(C)光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤の中でも、下記式(c−1)で表される化合物を含むのが好ましい。感光性樹脂組成物が、(C)光重合開始剤として、下記式(c−1)で表される化合物を含むことで、感光性樹脂組成物のハーフトーン特性を特に良好にできる。
【化9】
(式(c−1)中、Rc1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、pは0〜4の整数であり、qは0又は1であり、Rc2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、Rc3は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。)
【0067】
上記式(c−1)中、Rc1が1価の有機基である場合、Rc1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。pが2〜4の整数である場合、Rc1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数は含まない。
【0068】
c1がアルキル基である場合、その炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rc1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0069】
c1がアルコキシ基である場合、その炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rc1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0070】
c1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素原子数は3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。Rc1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0071】
c1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素原子数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rc1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0072】
c1がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素原子数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0073】
c1がフェニルアルキル基である場合、その炭素原子数は7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。またRc1がナフチルアルキル基である場合、その炭素原子数は11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。Rc1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0074】
c1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0075】
c1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc1と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0076】
c1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0077】
c1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であることや、溶媒に対する溶解性が高いこと等から、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、及び炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、ニトロ基、又は炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、ニトロ基、又はメチル基が特に好ましい。
【0078】
c1がフェニル基に結合する位置は、Rc1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、pは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
【0079】
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rc2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
【0080】
c2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0081】
c2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0082】
フェニル基又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1と同様である。
【0083】
c2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0084】
c2の中では、感光性樹脂組成物が感度に優れる点から、下記式(c−2)又は(c−3)で表される基が好ましく、下記式(c−2)で表される基がより好ましく、下記式(c−2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
【0085】
【化10】
(式(c−2)中、Rc4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、rは、0〜4の整数である。)
【0086】
【化11】
(式(c−3)中、Rc5及びRc6は、それぞれ、1価の有機基である。)
【0087】
式(c−2)におけるRc4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c−2)においてRc4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
【0088】
c4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0089】
また、式(c−2)において、rは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。rが1である場合、Rc4の結合する位置は、Rc4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0090】
式(c−3)におけるRc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc5の好適な例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0091】
c5の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0092】
式(c−3)におけるRc6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0093】
c4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0094】
式(c−1)におけるRc3は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基である。Rc3が置換基を有してもよいフェニル基である場合、フェニル基が有してもよい置換基は前述のRc1と同様である。Rc3が置換基を有してもよいフェニル基である場合、フェニル基は2以上の置換基を有していてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基は同一であっても異なっていてもよい。Rc3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rc3がメチル基である場合、式(c−1)で表される化合物からなる光重合開始剤は、特に感度に優れる。
【0095】
式(c−1)で表されるオキシムエステル化合物は、qが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記式(1−1)で表される芳香族化合物を、下記式(1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記式(1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで式(1−4)のオキシム化合物と、下記式(1−5)で表される酸無水物((Rc3CO)O)、又は下記式(1−6)で表される酸ハライド(Rc3COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(1−2)において、Halはハロゲンであり、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、及び(1−7)において、Rc1、Rc2、Rc3、及びpは、式(1)と同様である。
【0096】
<スキーム1>
【化12】
【0097】
式(c−1)で表されるオキシムエステル化合物は、qが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記式(2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記式(2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(2−4)で表される酸無水物((Rc3CO)O)、又は下記式(2−5)で表される酸ハライド(Rc3COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(2−1)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)において、Rc1、Rc2、Rc3、及びpは、式(1)と同様である。
【0098】
<スキーム2>
【化13】
【0099】
また、式(c−1)で表されるオキシムエステル化合物は、qが1であり、Rc1がメチル基であって、Rc1が結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、Rc1がパラ位に結合する場合、例えば、下記式(2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記式(2−7)において、Rc2は、式(c−1)と同様である。
【0100】
【化14】
【0101】
式(c−1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記式の化合物が挙げられる。
【化15】
【0102】
【化16】
【0103】
【化17】
【0104】
【化18】
【0105】
【化19】
【0106】
【化20】
【0107】
(C)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、耐熱性、耐薬品性に優れるブラックカラムスペーサを形成しやすく、また感光性樹脂組成物の塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0108】
<(D)遮光剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、ブラックカラムスペーサ形成用であるため(D)遮光剤を含む。(D)遮光剤は、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含有する。カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
【0109】
以上説明した酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックの中では、感光性樹脂組成物を用いて形成されるブラックカラムスペーサの比誘電率が低い点で、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するカーボンブラックが好ましい。
【0110】
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
【0111】
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易且つ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4−アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
【0112】
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1〜200mmolが好ましく、5〜100mmolがより好ましい。
【0113】
酸性基を導入されたカーボンブラックは、樹脂による被覆処理を施されていてもよい。
樹脂により被覆されたカーボンブラックを含む感光性樹脂組成物を用いる場合、遮光性及び絶縁性に優れ、表面反射率が低いブラックカラムスペーサを形成しやすい。なお、樹脂による被覆処理によって、感光性樹脂組成物を用いて形成されるブラックカラムスペーサの誘電率に対する悪影響は特段生じない。カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックと樹脂の合計量を100質量部とする場合、1〜30質量部が好ましい。
【0114】
また(D)遮光剤は、色調の調整の目的等で、酸性基を導入されたカーボンブラックの他に、酸性基を導入されたカーボンブラック以外の黒色顔料や、赤、青、緑、黄、紫等の有彩色の色素を含んでいてもよい。酸性基を導入されたカーボンブラック以外の黒色顔料としては、未処理のカーボンブラック、ペリレン系顔料、銀錫合金、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等を挙げることができる。酸性基を導入されたカーボンブラック以外の色素の使用量は、(D)遮光剤の全質量を100質量部とする場合に、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
【0115】
感光性樹脂組成物における(D)遮光剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5質量部〜50部が好ましい。かかる範囲の量の遮光剤を用いることにより、感光性樹脂組成物を用いて得られるブラックカラムスペーサの遮光性を良好なものとしつつ、感光性樹脂組成物を露光する際の露光不良や硬化不良を抑制しやすい。
【0116】
<(E)式(1)で表される化合物>
感光性樹脂組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有していてもよい。感光性樹脂組成物に下記式(1)で表される化合物を配合する場合、基板への密着性に特に優れるブラックカラムスペーサを形成することができる。下記式(1)で表される化合物は光の作用によりR−NH−Rで表される塩基を発生させる。上記の密着性向上の作用は、露光時に発生する塩基に起因するものと思われる。
【化21】
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は有機基を示す。ただし、R及びRの少なくとも一方は有機基を示す。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R及びRが結合して環状構造を形成する場合、形成される環は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、及び有機基からなる群より選択される、1以上の置換基を有していてもよい。Rは、単結合又は有機基を示す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示し、Arは置換基を有してもよい芳香族基である。)
【0117】
及びRにおける有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
【0118】
及びRは、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
【0119】
及びRの有機基中の炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合が挙げられる。具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
【0120】
耐熱性の観点から、R及びRの有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
【0121】
及びRの有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(−NH、−NHR、−NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
【0122】
及びRの有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基が好ましい。
【0123】
以上の中でも、R及びRとしては、少なくとも一方が炭素数1〜12のアルキル基若しくは炭素数1〜12のアリール基であるか、互いに結合して炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基若しくはヘテロアリール基を形成するものであることが好ましい。ヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、ヘテロアリール基としては、イミダゾリル基、ピラゾリル基等が挙げられる。
【0124】
上記式(1)中、Rは、単結合又は有機基を示す。
【0125】
における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。この有機基は、該有機基中に置換基を含んでいてもよい。置換基としては、R及びRにおいて例示したものが挙げられる。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。
【0126】
以上の中でも、Rとしては、単結合、又は炭素数1〜12のアルキル基若しくは炭素数1〜12のアリール基から1個の水素原子を除いた基であることが好ましい。
【0127】
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
【0128】
及びRにおける有機基としては、R及びRについて例示したものが挙げられる。この有機基は、R及びRの場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0129】
式(1)において、Arは置換基を有してもよい芳香族基である。芳香族基は、芳香族炭化水素基でも、芳香族複素環基でもよい。芳香族基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、フェナンスレニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が挙げられる。これらの芳香族基の中では、フェニル基、及びチエニル基が好ましい。
【0130】
芳香族基が有してもよい置換基の具体例は、R及びRの具体例と同様である。
【0131】
式(1)で表される化合物の中では、露光されることで、下記式(e1)で表されるイミダゾール化合物を発生させる、下式(2)で表される化合物が好ましい。
【化22】
(式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示し、
、R、及びArは、式(1)と同様である。)
【0132】
【化23】
(式(e1)中、R、R、及びRは、式(2)と同様である。)
【0133】
式(2)中のR、R、及びRにおける有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
【0134】
及びRは、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
【0135】
、R、及びRの有機基に含まれる結合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
【0136】
、R、及びRの有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、イミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
【0137】
、R、及びRが炭化水素基以外の置換基である場合、R、R、及びRは本発明の効果が損なわれない限り特に限定されない。R、R、及びRの具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
【0138】
、R、及びRとしては、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0139】
式(2)で表される化合物の中でも好適な化合物としては、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0140】
【化24】
(式(3)中、R、R、R、R、及びRは、式(2)と同様である。R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。R、R10、R11、R12、及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
【0141】
及びRにおける有機基としては、式(1)中のR及びRについて例示したものが挙げられる。この有機基は、式(1)中のR及びRの場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0142】
以上の中でも、式(3)中のR及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数4〜13のシクロアルキル基、炭素原子数4〜13のシクロアルケニル基、炭素原子数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜11のアミド基、炭素原子数1〜10のアルキルチオ基、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数2〜11のエステル基(−COOR、−OCOR:Rは炭化水素基を示す)、炭素原子数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、R及びRの両方が水素原子であるか、又はRがメチル基であり、Rが水素原子である。
【0143】
式(3)において、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
【0144】
、R10、R11、R12、及びR13における有機基としては、式(1)中のR及びRについて例示したものが挙げられる。この有機基は、式(1)中のR及びRの場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0145】
、R10、R11、R12、及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、R、R10、R11、R12、及びR13は、それらの2つ以上が結合して、R、R10、R11、R12、及びR13が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
【0146】
以上の中でも、R、R10、R11、R12、及びR13としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数4〜13のシクロアルキル基、炭素原子数4〜13のシクロアルケニル基、炭素原子数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜11のアミド基、炭素原子数1〜10のアルキルチオ基、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数2〜11のエステル基、炭素原子数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
【0147】
また、R、R10、R11、R12、及びR13としては、それらの2つ以上が結合して、R、R10、R11、R12、及びR13が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
【0148】
上記式(3)で表される化合物の中では、下記式(4)で表される化合物が好ましい。
【化25】
(式(4)中、R、R、R、R、及びRは、式(2)及び(3)と同義である。R〜R12は式(3)と同義である。R14は、水素原子又は有機基を示す。R及びR10が水酸基となることはない。R、R10、R11、及びR12は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が好ましい。
【0149】
式(4)で表される化合物は、置換基−O−R14を有するため、硬化性組成物中に均一に溶解しやすい。
【0150】
式(4)において、R14は、水素原子又は有機基である。R14が有機基である場合、有機基としては、式(1)中のR及びRについて例示したものが挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。R14としては、水素原子、又は炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0151】
式(1)で表される化合物のうち特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
【0152】
【化26】
【0153】
【化27】
【0154】
【化28】
【0155】
上記の化合物の中では、式(1)で表される化合物として、以下の化合物がより好ましい。
【化29】
【0156】
感光性樹脂組成物における(E)式(1)で表される化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感光性樹脂組成物における(E)式(1)で表される化合物含の有量は、感光性樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.2〜25質量部がより好ましい。
【0157】
<(F)光吸収剤>
感光性樹脂組成物は、光吸収剤を含有していてもよい。光吸収剤としては、特に限定されず、露光光を吸収することができるものを用いることができるが、特に、200〜450nmの波長領域の光を吸収するものが好ましい。例えば、ナフタレン化合物、ジナフタレン化合物、アントラセン化合物、フェナントロリン化合物、染料等が挙げられる。
【0158】
具体的には、桂皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;α−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン誘導体;アントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等のアントラセン及びその誘導体;アゾ系染料、ベンゾフェノン系染料、アミノケトン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料等の染料;等が挙げられる。これらの中でも、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体を用いることが好ましく、桂皮酸誘導体を用いることが特に好ましい。これらの光吸収剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0159】
(F)光吸収剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、硬化後の破壊強度を良好に保ちながら、露光量を変化させたときの膜厚変化の割合を大きくすることができる。
【0160】
<(S)有機溶剤>
感光性樹脂組成物は、希釈のための有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の尿素誘導体が挙げられる。
【0161】
これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0162】
(S)有機溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0163】
<その他の成分>
感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0164】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
【0165】
以上説明した感光性樹脂組成物を用いることにより、比誘電率の低いブラックカラムスペーサを形成することができる。また、以上説明した感光性樹脂組成物は、良好なハーフトーン特性を備える。具体的には、感光性樹脂組成物を以上説明した構成とすることで、感光性樹脂組成物からなる膜厚3μmの感光性樹脂層を、100mJ/cmの露光量で露光したときに得られるブラックカラムスペーサの膜厚HFTと、10mJ/cmの露光量で露光したときに得られるブラックカラムスペーサの膜厚HHTとの差ΔH(=HFT−HHT)が5000Å以上とすることができる。
【0166】
≪ブラックカラムスペーサ、表示装置、ブラックカラムスペーサの形成方法≫
ブラックカラムスペーサは、前述の感光性樹脂組成物から形成されたことを除き、従来のブラックカラムスペーサと同様である。また、表示装置は、前述の感光性樹脂組成物から形成されたブラックカラムスペーサを備えることを除き、従来の表示装置と同様である。以下では、ブラックカラムスペーサの形成方法についてのみ説明する。
【0167】
本発明に係るブラックカラムスペーサの形成方法は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、感光性樹脂層を所定のブラックカラムスペーサのパターンに応じて露光する露光工程と、露光後の感光性樹脂層を現像して、ブラックカラムスペーサのパターンを形成する現像工程と、を含む。
【0168】
まず、塗布工程では、ブラックカラムスペーサが形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感光性樹脂層を形成する。
【0169】
次いで、露光工程では、ネガ型のマスクを介して、感光性樹脂層に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、感光性樹脂層をブラックカラムスペーサのパターンに応じて部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm程度が好ましい。
【0170】
なお、基板がTFT基板等の、基板上に素子が形成されたものである場合、素子上又は、素子が形成された基板と対になる基板の素子と対向する個所にブラックカラムスペーサを形成する必要がある場合がある。かかる場合、素子の高さを考慮して、素子が形成された個所と、その他の個所とで、ブラックカラムスペーサの高さを変える必要がある。そこで、このような場合には、ハーフトーンマスクを介して露光を行うのが好ましい。本発明に係る感光性樹脂組成物を用いれば、ハーフトーンマスクを介して露光を行うことにより、高さの異なるブラックカラムスペーサを容易に形成できる。
【0171】
次いで、現像工程では、露光後の感光性樹脂層を現像液で現像することにより、ブラックカラムスペーサを形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0172】
その後、現像後のブラックカラムスペーサにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークは、150〜250℃で15〜60分間が好ましい。
【0173】
このようにして、前述の感光性樹脂組成物を用いて形成されるブラックカラムスペーサは、比誘電率が低く、OD値が高い。かかるブラックカラムスペーサの1kHzでの比誘電率は、具体的には、6以下であるのが好ましく、2〜5.5であるのがより好ましい。また、ブラックカラムスペーサの膜厚1μmあたりのOD値は、1.0以上が好ましく、1.0〜4.5がより好ましい。
【実施例】
【0174】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0175】
実施例及び比較例において、遮光剤として、下記のCB−A、CB−B、CB−C、及びCB−Dを用いた。CB−Dは、CB−C100質量部を10質量部のエポキシ基含有化合物(質量平均分子量10,000)で被覆処理して得られたものである。遮光剤は、カーボンブラック分散液として使用した。カーボンブラック分散液の調製方法を、調製例3として以下に記す。
CB−A:下記調製例1で得られたベンゼンスルホン酸基が導入されたカーボンブラック。
CB−B:下記調製例2で得られたベンゼンカルボン酸基が導入されたカーボンブラック。
CB−C:酸性基導入処理を施されていないカーボンブラック(Regal 250R、Cabot社製)
CB−D:樹脂で被覆されたカーボンブラック。
【0176】
実施例及び比較例において、アルカリ可溶性樹脂としては、下記調製例4で得られた樹脂(A−1)を用いた。
【0177】
実施例及び比較例において、光重合性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
【0178】
実施例及び比較例において、以下に説明するPI−Aと、PI−Bとを光重合開始剤として用いた。
PI−A:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)「IRGACURE OXE−02」(商品名:BASF社製)
PI−B:下記式の化合物
【化30】
【0179】
実施例及び比較例において、有機溶剤としては、3−メトキシブチルアセテート(60質量%)と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(40質量%)とからなる混合溶剤を用いた。
【0180】
(調整例1:CB−Aの調製)
カーボンブラック(Regal 250R、Cabot社製)550g、スルファニル酸31.5g、及びイオン交換水1000gを、ジャケット温度60℃に設定された、ジャケットと撹拌装置とを備える反応容器に加えた。亜硝酸ナトリウム12.6gを脱イオン水100gに溶解させた溶液をブラウミキサー内に加えた後、ミキサー内の混合物60℃、50回転/分の条件で2時間撹拌し、ジアゾカップリング反応を行った。撹拌後、ミキサーの内容物を室温まで冷却した。次いで、ミキサーの内容物に含まれるカーボンブラックを、脱イオン水を用いてダイアフィルトレーション法で精製した。洗浄水からは、スルファニル酸に由来するベンゼンスルホン酸類は検出されず、ジアゾカップリング反応によりカーボンブラックにベンゼンスルホン酸基が導入されたことが分かった。精製されたカーボンブラックを、75℃で一晩乾燥させた後に粉砕して、ベンゼンスルホン酸基が導入されたカーボンブラック(CB−A)を得た。
【0181】
(調製例2:CB−Bの調製)
スルファニル酸31.5gを、4−アミノ安息香酸24.9gに変えることの他は、調製例1と同様にして、ベンゼンカルボン酸基が導入されたカーボンブラック(CB−B)を得た。
【0182】
(調製例3:カーボンブラック分散液の調製)
カーボンブラックとして前述のCB−A、CB−B、CB−Cを用いて、以下の処方に従ってカーボンブラックブラック分散液を調整した。
カーボンブラック15g、分散剤(BYK−167、ビックケミー・ジャパン株式会社製)7.5g、及び3−メトキシブチルアセテート50gを均一に混合し、3−メトキシブチルアセテート中にカーボンブラックを分散させた。その後、3−メトキシブチルアセテートで、固形分濃度が30質量%となるように混合物を希釈して、カーボンブラック分散液を得た。
【0183】
(調製例4:樹脂(A−1)の調製)
樹脂(A−1)の合成法は下記のとおりである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0184】
【化31】
【0185】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(A−1)を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂(A−1)は、上記式(a−1)で表される樹脂に相当する。
【0186】
〔実施例1〜8及び比較例1〜5〕
アルカリ可溶性樹脂50質量部と、光重合性モノマー35質量部と、光重合開始剤(PI−A)15質量部と、表1に記載の種類及び量のカーボンブラックを含むカーボンブラック分散液とを均一に混合した。なお、アルカリ可溶性樹脂は、固形分濃度55質量%の3−メトキシブチルアセテート溶液の形態で使用した。3−メトキシブチルアセテート(60質量%)と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(40質量%)とからなる混合溶剤で、得られた混合液を固形分濃度15質量%となるように希釈した後、希釈された液を孔径5μmのメンブレンフィルターでろ過して感光性樹脂組成物を得た。得られた各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法に従って、遮光膜の1μm当たりのOD値と、遮光膜の比誘電率と、感光性樹脂組成物のハーフトーン特性とを評価した。これらの評価結果を表1に記す。
【0187】
[OD値評価]
以下の方法に従って、実施例1〜8及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物を用いて形成される遮光膜の膜厚1μm当たりのOD値を評価した。
まず、ガラス基板(10cm×10cm)上に感光性樹脂組成物をスピン塗布した。スピン塗布後、ガラス基板を90℃で120秒間加熱した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(TME−150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、露光量100mJ/cm、ギャップ200μmの条件で、感光性樹脂層を露光した。露光された感光性樹脂層を、230℃で30分間ポストベークして、遮光膜を形成した。形成された遮光膜の厚さは1.0μmであった。形成された遮光膜のOD値を、透過率測定器(D−200II、グレタグマクベス社製)を用いて測定した。OD値の値が大きいほど、遮光性に優れていることを意味する。
【0188】
[比誘電率評価]
以下の方法に従って、実施例1〜8及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物を用いて形成される遮光幕の比誘電率を評価した。
まず、6インチのシリコンウエハー基板(信越化学工業株式会社製)の表面に、感光性樹脂組成物をスピン塗布した。スピン塗布後、シリコンウエハー基板を90℃で120秒間加熱した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(TME−150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、露光量100mJ/cm、ギャップ200μmの条件で、感光性樹脂層を露光した。露光された感光性樹脂層を230℃で30分間ポストベークして、遮光膜を形成した。形成された遮光膜の厚さは1.0μmであった。形成された遮光膜の1kHzにおける比誘電率を、誘電率測定装置(SSM495、日本SSM社製)を用いて測定した。比誘電率が5.5以下である場合を○と判定し、比誘電率が5.5超である場合を×と判定した。
【0189】
[ハーフトーン特性評価]
以下の方法に従って、実施例1〜8及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物のハーフトーン特性を評価した。
まず、ガラス基板(10cm×10cm)上に感光性樹脂組成物をスピン塗布した。スピン塗布後、ガラス基板を90℃で120秒間加熱して、膜厚3.0μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(TME−150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、露光量10mJ/cm、及び露光量100mJ/cmで、感光性樹脂層を露光した。露光された感光性樹脂層を、26℃の濃度0.04質量%のKOH水溶液60秒間スプレー現像した。現像された感光性樹脂層を、230℃で30分間ポストベークして、ブラックカラムスペーサを形成した。露光量100mJ/cmで形成されたブラックカラムスペーサの膜厚HFTと、露光量10mJ/cmで形成されたブラックカラムスペーサの膜厚HHTとの差ΔH(=HFT−HHT)を求めて、ハーフトーン特性の指標とした。
【0190】
【表1】
【0191】
表1から、遮光剤として酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含む実施例の感光性樹脂組成物と、酸性基を導入する処理を施されていないカーボンブラックを含む比較例の感光性樹脂組成物とについて、ハーフトーン特性や、形成されるブラックカラムスペーサのOD値について遜色がないことが分かる。
【0192】
また、表1から、酸性基を導入する処理を施されていないカーボンブラックを含む比較例の感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックカラムスペーサでは、カーボンブラックの含有量の増加にともなって比誘電率が急激に高くなるのに対して、遮光剤として酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを含む実施例の感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックカラムスペーサでは、カーボンブラックを増量する場合でも、5.5以下の低い誘電率を維持できることが分かる。
【0193】
比較例6〜9と、比較例1〜5との比較から、樹脂で被覆されたカーボンブラックを遮光剤として用いる場合、樹脂で被覆されていないカーボンブラックを遮光剤として用いる場合に対して、遮光剤の増量にともなう形成されるブラックカラムスペーサの比誘電率の上昇を僅かに抑制できるだけであることが分かる。
【0194】
〔実施例9〜11〕
光重合開始剤を、PI−A15質量部から、表2に記載の量のPI−A及びPI−Bの組み合わせに変えることの他は、実施例4と同様に実施例9及び10の感光性樹脂組成物を調製した。光重合開始剤を、PI−A15質量部から、PI−B15質量部に変えることの他は、実施例4と同様に実施例11の感光性樹脂組成物を調製した。得られた、感光性樹脂組成物について、遮光膜の1μm当たりのOD値と、遮光膜の比誘電率と、感光性樹脂組成物のハーフトーン特性とを評価した。これらの評価結果を、表2に記す。
【0195】
【表2】
【0196】
表2から、感光性樹脂組成物が前述の式(c−1)で表される化合物を含む場合、感光性樹脂組成物のハーフトーン特性が特に優れることが分かる。また、表2から、感光性樹脂組成物中について、光重合開始剤中の式(c−1)で表される化合物の含有量が多いほど、ハーフトーン特性が良好であることが分かる。
【0197】
〔実施例12〕
さらに、下式の化合物5質量部を前述の式(1)で表される化合物として感光性樹脂組成物に加えることの他は、実施例4と同様に実施例12の感光性樹脂組成物を調製した。得られた、感光性樹脂組成物について、遮光膜の1μm当たりのOD値、遮光膜の比誘電率、及び感光性樹脂組成物のハーフトーン特性に加え、形成されるブラックカラムスペーサの基板への密着性を評価した。ブラックカラムスペーサの基板への密着性の評価は、下記方法に従って行った。形成されるブラックカラムスペーサの基板への密着性の評価は、実施例4の感光性組成物についても行った。これらの評価結果を、表3に記す。
【0198】
【化32】
【0199】
[密着性評価]
感光性樹脂組成物を用いて形成されるブラックカラムスペーサの基板への密着性の評価を、下記方法に従って行った。
まず、ガラス基板(10cm×10cm)上に感光性樹脂組成物をスピン塗布した。スピン塗布後、ガラス基板を90℃で120秒間加熱して、膜厚3.0μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(TME−150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、露光量50mJ/cmで、ネガマスクを介して感光性樹脂層を露光した。次いで、露光された感光性樹脂層を、濃度0.04質量%のKOH水溶液を用いて25℃でスプレー現像した。現像時間は、未露光部が完全に溶解されるまでの時間(BP:ブレイクポイント)を基準として、BPの約1.5倍とした。その後、現像された感光性樹脂層を230℃で20分間ポストベークして、ブラックカラムスペーサを形成した。上記の手順に従って、ガラス基板上にブラックカラムスペーサを形成可能なマスクの最小寸法を調べた。形成されるブラックカラムスペーサが密着性に優れるほど、マスクの最小寸法が小さい。密着性について、マスクの最小寸法が10μm以下である場合を◎と判定し、10μm超40μm以下である場合を○と判定し、40μ超である場合を×と判定した。
【0200】
【表3】
【0201】
表3から、感光性樹脂組成物が、前述の式(1)で表される化合物を含む場合、基板への密着性に特に優れるブラックカラムスペーサを形成できることが分かる。
【0202】
[実施例13〜17及び比較例10]
光重合性モノマーの使用量を35質量部から、表4に記載の量に変更することの他は、実施例3と同様にして実施例13〜17の感光性樹脂組成物を得た。
また、感光性樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量を5質量部から12.5質量部に変えることと、光重合性モノマーの使用量を35質量部から50質量部に変えることとの他は、比較例1と同様にして比較例10の感光性樹脂組成物を得た。
実施例13〜17及び比較例10の感光性樹脂組成物について、アルカリ可溶性樹脂の含有量と、光重合性モノマーの含有量B、光重合開始剤の含有量Cとの合計量を100質量部とする場合の、感光性樹脂中の光重合性モノマーの質量部数Dを表5に記す。
得られた、感光性樹脂組成物について、遮光膜の1μm当たりのOD値と、遮光膜の比誘電率と、感光性樹脂組成物のハーフトーン特性と、形成されるブラックカラムスペーサの基板への密着性とを評価した。これらの評価結果を、表4に記す。
【0203】
【表4】
【0204】
【表5】
【0205】
実施例13〜17によれば、アルカリ可溶性樹脂の含有量と、光重合性モノマーの含有量と、光重合開始剤の含有量との合計を100質量部とする場合の、感光性樹脂組成物中の光重合性モノマーの含有量が少ないほど、形成されるブラックカラムスペーサの基板への密着性が良好であることが分かる。