(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貫通孔が形成され、前記貫通孔の内部に並べて設けられる複数の単位配置領域の境界部において、前記貫通孔の内壁から平面視で前記貫通孔の内側に突出する突出部を有するコア層と、
前記貫通孔の内部で、前記突出部によって互いに離間された状態で、前記複数の単位配置領域にそれぞれ収容される複数の電子部品と、
前記貫通孔の内部に充填され、前記電子部品の少なくとも側面を保持する樹脂層と
を含み、
前記突出部は、平面視における断面形状が前記内壁から先端に向かって前記先端まで細くなるテーパ状であるとともに、前記貫通孔の内側に突出する第1方向と、前記貫通孔が前記コア層を貫通する第2方向とを含む平面に対する断面形状が前記内壁から前記先端に向かって前記先端まで細くなるテーパ状であり、
前記突出部の前記先端は、前記コア層の前記第2方向における厚さの中央部に位置する、配線基板。
前記貫通孔は平面視で矩形状であり、前記突出部は、前記境界部において前記複数の単位配置領域が並べられる方向に対する側方に位置する一対の前記内壁から突出している、請求項1記載の配線基板。
前記突出部の突出方向と前記コア層の厚さ方向とで規定される前記突出部の断面の形状は、前記コア層の両方の面からテーパ状に形成される形状である、請求項1乃至3のいずれか一項記載の配線基板。
前記コア層の平面に平行な前記突出部の断面の形状は、当該突出部の両側に位置する一対の前記単位配置領域の内壁面からテーパ状に突出する形状である、請求項1乃至4のいずれか一項記載の配線基板。
貫通孔の内部に並べて設けられる複数の単位配置領域の境界部において内壁から平面視で内側に突出する突出部を有する前記貫通孔をコア層に形成する工程であって、前記突出部の平面視における断面形状が前記内壁から先端に向かって前記先端まで細くなるテーパ状であるとともに、前記貫通孔の内側に突出する第1方向と、前記貫通孔が前記コア層を貫通する第2方向とを含む平面に対する前記突出部の断面形状が前記内壁から前記先端に向かって前記先端まで細くなるテーパ状になるように、かつ、前記突出部の前記先端が前記コア層の前記第2方向における厚さの中央部に位置するように、前記貫通孔をコア層に形成する工程と、
前記貫通孔の内部の前記複数の単位配置領域に、前記突出部によって互いに離間された状態で、複数の電子部品をそれぞれ配置する工程と、
前記貫通孔の内部に樹脂材料を充填することにより、前記電子部品の少なくとも側面を保持する樹脂層を形成する工程と
を含む、配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の配線基板、及び、配線基板の製造方法を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の配線基板100を示す断面図である。以下では、直交座標系の一例として、配線基板100の表面及び裏面と平行なXY平面を含むXYZ座標系を用いて説明を行う。
図1は、配線基板100のY軸方向の中央を通るXZ平面に平行な断面を示す。
【0012】
配線基板100は、コア110、配線層111A、貫通電極120A、120B、絶縁層130A、130B、及びキャパシタチップ200を含む。
【0013】
配線基板100は、さらに、ビア140A1、140A2、140A3、140A4、140A5、140A6、140B1、140B2、140B3、140B4、140B5、140B6を含む。
【0014】
配線基板100は、さらに、配線層150A1、150A2、150A3、150A4、150A5、150A6、150B1、150B2、150B3、150B4、150B5、150B6、及びソルダーレジスト層160A、160Bを含む。
【0015】
以下では、説明の便宜上、図中で上側に位置する面を上面と称し、下側に位置する面を下面と称す。また、説明の便宜上、上方及び下方という表現を用いる。しかしながら、ここで説明する上面、下面、上方、下方、上側、下側は、普遍的な上下関係を示すものではなく、図中における上下関係を表すために用いる用語である。
【0016】
コア110は、例えば、ガラス布基材をエポキシ樹脂に含浸させ、両面に銅箔を貼り付けたものであり、ビルドアップ基板のコアである。コア110の両面に形成される銅箔は、パターニングされることにより、配線層111Aになる。
【0017】
コア110には、貫通孔110Hが形成される。貫通孔110Hは、コア110を厚さ方向(
図1中のZ軸方向)に貫通する。コア110の貫通孔110Hの内壁には、貫通孔110Hの内側に突出する突出部110Aが形成される。
図1に示す断面には突出部110Aは位置しないため、
図1では突出部110Aの一を破線で示す。突出部110Aについては、
図2及び
図3を用いて後述する。
【0018】
配線層111Aは、コア110の上面に形成されている金属層である。配線層111Aは、例えば、コア110の上面に貼り付けられた銅箔をパターニングすることによって形成される。配線層111Aは、平面視で貫通孔110Hの開口を囲む矩形環状の形状を有する。
【0019】
貫通電極120A、120Bは、コア110を厚さ方向に貫通する電極である。貫通電極120A、120Bは、貫通孔110Hの両脇に位置する。貫通電極120A、120Bは、コア110の貫通孔110Hの両脇に形成される貫通孔の内部に、銅めっきを充填することによって形成される。
【0020】
なお、ここでは、貫通電極120A、120Bは銅めっきで充填された構成を有する形態について説明するが、貫通電極120A、120Bの代わりに、貫通孔の内壁に円筒状に銅めっきを形成したスルーホールを用いてもよい。
【0021】
絶縁層130Aは、コア110、配線層111A、貫通電極120A、120B、キャパシタチップ200の上面を覆うように形成される。絶縁層130Aは、例えば、エポキシ系又はポリイミド系等の樹脂材料を加熱及び加圧することにより、熱硬化させることによって形成される。なお、絶縁層130Aは、
図1とは天地を逆にした状態で絶縁層130Bを形成してから形成される。
【0022】
絶縁層130Bは、絶縁層130Aを形成するエポキシ系又はポリイミド系等の樹脂材料と同一の樹脂材料を用いることができる。絶縁層130Bは、加熱溶融した樹脂を貫通孔110Hの内部に充填するとともに、コア110、貫通電極120A、120B、キャパシタチップ200の下面を覆うことによって形成される。絶縁層130Bは、例えば、エポキシ系又はポリイミド系等の樹脂材料を加熱及び加圧することにより、熱硬化させることによって形成される。
【0023】
ビア140A1、140A2、140A3、140A4、140A5、140A6は、絶縁層130Aに形成されるビアホールの内部に形成される。ビア140A1、140A2、140A3は、それぞれ、貫通電極120A、図中左側のキャパシタチップ200の電極202(図中左側)、電極202(図中右側)に接続される。
【0024】
ビア140A4、140A5、140A6は、それぞれ、図中右側のキャパシタチップ200の電極202(図中左側)、電極202(図中右側)、貫通電極120Bに接続される。ビア140A1、140A2、140A3、140A4、140A5、140A6は、例えば、銅めっき膜によって形成される。
【0025】
ビア140B1、140B2、140B3、140B4、140B5、140B6は、絶縁層130Bに形成されるビアホールの内部に形成される。ビア140B1、140B2、140B3は、それぞれ、貫通電極120A、図中左側のキャパシタチップ200の電極202(図中左側)、電極202(図中右側)に接続される。
【0026】
ビア140B4、140B5、140B6は、それぞれ、図中右側のキャパシタチップ200の電極202(図中左側)、電極202(図中右側)、貫通電極120Bに接続される。ビア140B1、140B2、140B3、140B4、140B5、140B6は、例えば、銅めっき膜によって形成される。
【0027】
配線層150A1、150A2、150A3、150A4、150A5、150A6は、絶縁層130Aの上面に形成され、それぞれ、ビア140A1、140A2、140A3、140A4、140A5、140A6に接続される。配線層150A1、150A2、150A3、150A4、150A5、150A6は、例えば、銅めっき膜によって形成される。
【0028】
配線層150B1、150B2、150B3、150B4、150B5、150B6は、絶縁層130Bの下面に形成され、それぞれ、ビア140B1、140B2、140B3、140B4、140B5、140B6に接続される。配線層150B1、150B2、150B3、150B4、150B5、150B6は、例えば、銅めっき膜によって形成される。
【0029】
ソルダーレジスト層160Aは、絶縁層130Aと、配線層150A1、150A2、150A3、150A4、150A5、150A6との上に形成される。配線層150A1、150A2、150A3、150A4、150A5、150A6のうちソルダーレジスト層160Aから表出する部分は、端子として用いられる。
【0030】
ソルダーレジスト層160Bは、絶縁層130Bと、配線層150B1、150B2、150B3、150B4、150B5、150B6との下に形成される。配線層150B1、150B2、150B3、150B4、150B5、150B6のうちソルダーレジスト層160Bから表出する部分は、端子として用いられる。
【0031】
キャパシタチップ200は、電子部品の一例であり、貫通孔110Hの内部に2つ配設される。2つのキャパシタチップ200は、それぞれ、本体201と一対の電極202とを有する。本体201は、例えばセラミック製であり、両側に設けられる電極202を保持している。キャパシタチップ200の誘電率は、本体201の材料によって決まる。
【0032】
電極202は、YZ面視で本体201よりも大きく、本体201よりもY軸正方向及びY軸負方向とZ軸正方向及びZ軸負方向に突出している。また、一対の電極202は、それぞれ、本体201のX軸正方向の面とX軸負方向側の面とを覆うように形成されている。すなわち、一対の電極202は、それぞれ、直方体状の本体201のX軸正方向側及びX軸負方向側を覆うように、キャップ状に形成されている。
【0033】
2つのキャパシタチップ200のうちの1つは、貫通孔110Hの内部のうち、一対の突出部110AよりもX軸負方向側の領域に配設される。また、他方のキャパシタチップ200は、貫通孔110Hの内部のうち、一対の突出部110AよりもX軸正方向側の領域に配設される。
【0034】
また、キャパシタチップ200は、さらに、絶縁層130Bによって側面と下面が保持されるとともに、絶縁層130Aによって上面側が固定されている。
【0035】
2つのキャパシタチップ200は、上述のような状態で、貫通孔110Hの内部で、互いの一対の電極202がX軸正方向側とX軸負方向側に位置するようにX軸方向に並べられており、互いに離間して絶縁されている。
【0036】
次に、
図2及び
図3を用いて、コア110の貫通孔110Hについて説明する。
【0037】
図2は、コア110を示す断面図である。
図2(A)は、平面図(XY平面を示す図)であり、
図2(B)、(C)は
図1(A)に対応するXZ平面に平行な断面を示す図である。
【0038】
図2(B)は、
図2(A)においてY軸の負方向側から正方向側を見た場合のA1−A1断面を示す。
図2(C)は、
図2(A)においてY軸の負方向側から正方向側を見た場合のA2−A2断面を示す。
図2(C)は
図1に対応するXZ平面に平行な断面であり、コア110のY軸方向の中央を通るXZ平面に平行な断面を示す。なお、
図2には、コア110に配線層111Aと貫通電極120A、120Bが形成されている状態を示す。
【0039】
コア110は、上述のように、例えば、ガラス布基材をエポキシ樹脂に含浸させたビルドアップ基板のコアであり、厚さ方向に貫通する貫通孔110Hを有する。
【0040】
貫通孔110Hは、内壁に突出部110Aを有する。突出部110Aは、貫通孔110HのX軸方向(長手方向)の中央におけるY軸正方向側とY軸負方向側の内壁から平面視で貫通孔110Hの内側に突出しており、
図2(A)に示すように、平面視ではテーパ状になっている。
【0041】
貫通孔110Hの内壁は、Z軸に沿って垂直に形成されているが、平面視では一対の突出部110Aがテーパ状に貫通孔110Hの内側に突出した形状を有する。
【0042】
一対の突出部110Aは、貫通孔110Hの内部に2つのキャパシタチップ200を収容する際に、2つのキャパシタチップ200の位置ずれを抑制するために設けられている。貫通孔110Hの内部は、一対の突出部110AによってX軸正方向側の領域とX軸負方向側の領域とに分けられており、それぞれの領域にキャパシタチップ200が収容される。この2つの領域は、単位配置領域の一例である。
【0043】
突出部110Aは、例えば、貫通孔110Hをルータ加工で作製する際に、コア110の一部を除去せずに残存させることによって形成される。
【0044】
図3は、コア110の貫通孔110Hの内部にキャパシタチップ200を配置した状態を示す図である。キャパシタチップ200は、実際には
図1に示すように絶縁層130A及び130B等によって保持されるが、
図3では、貫通孔110Hの内部における2つのキャパシタチップ200の位置を示すために、絶縁層130A、130Bを形成する前の状態として示す。
【0045】
図3(A)、(B)は、
図2(A)、(C)に対応する平面図と断面図であり、
図3(B)は
図3(A)においてY軸の負方向側から正方向側を見た場合のA3−A3断面を示す。
図3(B)は
図1に対応するXZ平面に平行な断面であり、コア110のY軸方向の中央を通るXZ平面に平行な断面を示す。
【0046】
2つのキャパシタチップ200は、
図3(A)に示すように貫通孔110Hの内部で、それぞれ、一対の突出部110Aによって分けられるX軸正方向側の領域とX軸負方向側の領域とに収容される。
【0047】
貫通孔110Hの突出部110AよりもX軸正方向側の領域の長さと、X軸負方向側の領域の長さは、それぞれ、キャパシタチップ200のX軸方向の長さよりも長く設定されている。また、貫通孔110Hの突出部110A以外の部分におけるY軸方向の幅は、キャパシタチップ200のY軸方向の幅よりも広く形成されている。
【0048】
また、一対の突出部110AのY軸方向の間隔は、キャパシタチップ200のY軸方向の幅よりも狭く設定されている。
【0049】
これは、貫通孔110Hの内部に収容した2つのキャパシタチップ200のX軸方向における移動を抑制し、キャパシタチップ200が互いに相手側の領域に侵入することを抑制するためである。
【0050】
2つのキャパシタチップ200は、X軸方向に並べて配列されているため、X軸方向に移動すると、互いの電極202同士が接触する場合、又は、電極202とビア140A2〜140A5,140B2〜140B5との接続が取れなくなるおそれがある。
【0051】
このような理由から、実施の形態の配線基板100では、2つのキャパシタチップ200が互いが並べられる方向に対する側部に、貫通孔110Hの内壁から突出する突出部110Aを設け、いずれかのキャパシタチップ200が他方のキャパシタチップ200に近づくように移動しそうになった場合には、キャパシタチップ200に突出部110Aが当接して位置ずれを抑制するようにしている。
【0052】
また、貫通孔110Hの突出部110AよりもX軸正方向側の領域の長さ、及び、X軸負方向側の領域の長さと、キャパシタチップ200のX軸方向の長さとの差は、キャパシタチップ200の電極202と、ビア140A2〜140A5及び140B2〜140B5との位置ずれの許容誤差以下に設定される。
【0053】
同様に、貫通孔110Hの突出部110A以外の部分におけるY軸方向の幅と、キャパシタチップ200のY軸方向の幅との差は、キャパシタチップ200の電極202と、ビア140A2〜140A5及び140B2〜140B5との位置ずれの許容誤差以下に設定される。
【0054】
これは、電極202とビア140A2〜140A5,140B2〜140B5との接続を確保するためである。
【0055】
次に、
図4及び
図5を用いて、実施の形態の配線基板100の製造方法について説明するとともに、
図6を用いて配線基板100にLSI(Large Scale Integrated circuit)チップを実装する工程について説明する。
【0056】
図4及び
図5は、実施の形態の配線基板100の製造工程を示す図である。以下で示す断面は、
図1、
図2(C)、
図3(B)に対応する断面である。すなわち、配線基板100のY軸方向の中央を通るXZ平面に平行な断面である。
【0057】
まず、
図4(A)に示すようにルータ加工によってコア110に貫通孔110Hを形成した後に、コア110を天地逆にして、コア110の配線層111Aが形成されている面に仮付けテープ300を貼り付ける。仮付けテープ300は、
図4(A)における上面に接着層を有する。仮付けテープ300は、例えば、PET等の樹脂フィルム製である。
【0058】
そして、
図4(B)に示すように、コア110の貫通孔110Hの内部に2つのキャパシタチップ200を挿入する。この状態では、キャパシタチップ200は仮付けテープ300に貼り付けられる。キャパシタチップ200を仮止めするためである。
【0059】
次に、
図4(C)に示すように、加熱溶融した樹脂材料を貫通孔110Hの内部に充填するとともに、コア110、貫通電極120A、120B、キャパシタチップ200を覆わせる。このとき、貫通孔110Hを覆うようにコア110の上に樹脂フィルムを積層し、加熱溶融を行う。そして、樹脂材料を加熱及び加圧し、熱硬化させることにより、絶縁層130Bを形成する。
【0060】
この工程では、キャパシタチップ200は突出部110AによってX軸方向の位置ずれが抑制されるとともに、仮付けテープ300で仮止めされているため、2つキャパシタチップ200の位置ずれは抑制される。従って、2つのキャパシタチップ200同士の接触が抑制され、キャパシタチップ200間の絶縁性が保持される。
【0061】
また、配線層111Aは、平面視で矩形環状であり、貫通孔110Hの開口を囲んでいるため、絶縁層130Bが配線層111Aよりも外側に回り込むことが抑制される。なお、絶縁層130Bの回り込みが問題にならない場合、又は、回り込みが発生しない場合は、貫通孔110Hの開口を囲む配線層111Aを設けなくてもよい。
【0062】
次に、仮付けテープ300を取り外し、
図4(D)に示すようにコア110を再び天地逆にする。
【0063】
次に、
図4(E)に示すように、コア110、配線層111A、貫通電極120A、120B、キャパシタチップ200の上面を覆うように絶縁層130Aを形成する。絶縁層130Aは、絶縁層130Bと同じ樹脂材料を加熱及び加圧し、熱硬化させることによって形成される。
【0064】
なお、この工程では、キャパシタチップ200は突出部110AによってX軸方向の位置ずれが抑制されるとともに、絶縁層130Bによって保持されているため、2つキャパシタチップ200の位置ずれは抑制される。従って、2つのキャパシタチップ200同士の接触が抑制され、キャパシタチップ200間の絶縁性が保持される。また、
図4(C)〜(E)の工程で、キャパシタチップ200は絶縁層130A及び130Bによって封止される。
【0065】
次に、
図5(A)に示すように、ビアホール131A、131Bを形成する。ビアホール131Aは、後にビア140A1〜140A6を形成する位置に、例えばレーザ加工によって形成すればよい。ビアホール131Bは、コア110を天地逆にして、後にビア140B1〜140B6を形成する位置に、例えばレーザ加工によって形成すればよい。
【0066】
次に、
図5(B)に示すように、ビア140A1〜140A6及び140B1〜140B6と、配線層150A1〜150A6及び150B1〜150B6を形成する。
【0067】
ビア140A1〜140A6及び140B1〜140B6は、それぞれ、ビアホール131A、131Bの内部に、例えば、セミアディティブ法によって形成すればよい。ここで、ビア140A1〜140A6は同時に形成され、ビア140B1〜140B6は同時に形成される。
【0068】
また、配線層150A1〜150A6及び150B1〜150B6は、それぞれ、ビア140A1〜140A6及び140B1〜140B6を形成するめっき処理に連続してセミアディティブ法によって一体的に形成される。
【0069】
次に、
図5(C)に示すように、ソルダーレジスト層160A及び160Bを形成する。
【0070】
ソルダーレジスト層160Aは、絶縁層130Aと、配線層150A1〜150A6との上にレジスト材料を一面に形成した後、配線層150A1〜150A6のうち端子として用いる部分を露光・現像等によって表出させることによって形成される。なお、レジスト材料は、感光性のエポキシ樹脂製、又は、感光性のアクリル樹脂製である。
【0071】
同様に、ソルダーレジスト層160Bは、絶縁層130Bと、配線層150B1〜150B6との上にレジスト材料を一面に形成した後、配線層150B1〜150B6のうち端子として用いる部分を露光・現像等によって表出させることによって形成される。
【0072】
以上で、実施の形態の配線基板100が完成する。
【0073】
図6は、配線基板100にLSIチップ400を実装した状態を示す図である。
【0074】
図6に示すように、配線層150A1〜150A6のうち端子として用いる部分にバンプ401を介して、LSIチップ400を実装することができる。LSIチップ400の下には、アンダーフィル樹脂402を充填すればよい。
【0075】
以上、実施の形態によれば、貫通孔110Hの内壁の突出部110Aによって2つのキャパシタチップ200の位置ずれを抑制した状態で、絶縁層130A、130Bからソルダーレジスト層160A、160Bまでを形成する。
【0076】
このため、X軸方向に並べて配列される2つのキャパシタチップ200の位置ずれが抑制され、互いの電極202同士の接触によるショート、及び、電極202とビア140A2〜140A5,140B2〜140B5との接続不良を抑制できる。
【0077】
従って、2つのキャパシタチップ200を1つの貫通孔110Hの内部に配設する際の電気的信頼性を向上させた配線基板100、及び、配線基板100の製造方法を提供することができる。
【0078】
また、配線基板100にCPU等の高周波で動作する半導体チップを搭載する場合には、電気特性の向上のために多数のキャパシタチップ200が内蔵されることになる。
【0079】
ここで、1つの貫通孔110Hに1つのキャパシタチップ200を収容することで、多数のキャパシタチップ200を内蔵させる場合には、貫通孔110Hの数が増え、配線基板100における貫通孔110Hの専有面積が増大する。このため、貫通孔110Hによって配線の引き回しが困難になる。また、多数の貫通孔110Hを設けるため、配線基板100の平面積を増加させる必要が生じる。
【0080】
このような問題を解決するために、実施の形態では、1つの貫通孔110Hに複数のキャパシタチップ200を収容している。
【0081】
なお、貫通孔110Hは複数設けられていてもよい。
【0082】
なお、以上では、1つの貫通孔110Hの内部に2つのキャパシタチップ200を配置する形態について説明した。しかしながら、1つの貫通孔110Hの内部に配置するキャパシタチップ200の数は2つ以上であれば幾つであってもよい。1つの貫通孔110Hの内部に3つ以上のキャパシタチップ200を配置する場合には、各キャパシタチップ200を配置する領域同士の境界に、突出部110Aを形成すればよい。
【0083】
また、以上では、貫通孔110Hの内部にキャパシタチップ200を配設する形態について説明した。しかしながら、貫通孔110Hの内部に配置するものはキャパシタチップ200に限られず、外面に端子等を有する電子部品であれば何であってもよい。例えば、貫通孔110Hの内部に複数のCPU(Central Processing Unit)チップを配置してもよい。
【0084】
また、以上では、貫通孔110Hをルータ加工で形成し、突出部110Aはルータ加工でコア110の一部を残存させる部分である形態について説明した。しかしながら、貫通孔110Hは、レーザ加工又はその他の機械加工によって形成してもよい。
【0085】
また、以上では、コア110の上下に絶縁層130A、130Bが1層ずつ形成される配線基板100について説明した。しかしながら、配線基板100は絶縁層130A、130Bと同様の絶縁層をさらに多層に含んでもよく、さらに多層の配線層を含んでもよい。
【0086】
図7は、実施の形態の変形例による貫通孔110H1〜110H7を示す図である。
図7(A)〜(G)に示す貫通孔110H1〜110H7は、
図2(A)及び
図3(A)に示す貫通孔110Hの代わりにコア110に形成可能なものである。なお、
図7(A)〜(G)にはキャパシタチップ200も示す。
【0087】
図7(A)に示す貫通孔110H1のように、3つのキャパシタチップ200を収納できるようにX軸方向に長く形成するとともに、3つの領域に区分する二対の突出部110Aを形成してもよい。
【0088】
図7(B)に示す貫通孔110H2のように、2つのキャパシタチップ200を短手方向に並べて収納できるようにX軸方向に短く、かつ、Y軸方向に長く形成するとともに、2つの領域に区分する一対の突出部110Aを形成してもよい。
【0089】
図7(C)に示す貫通孔110H3のように、3つのキャパシタチップ200を短手方向に並べて収納できるように形成するとともに、3つの領域に区分する二対の突出部110Aを形成してもよい。
【0090】
図7(D)に示す貫通孔110H4のように、2つのキャパシタチップ200が貫通孔110Hの内壁に係合するY軸方向の幅をキャパシタチップ200のY軸方向の幅に合わせて形成してもよい。
【0091】
図7(E)に示す貫通孔110H5のように、
図7(D)に示す貫通孔110H4をさらにX軸方向に延ばして、3つのキャパシタチップ200を収納できるようにするとともに、3つの領域に区分する二対の突出部110Aを形成してもよい。
【0092】
図7(F)に示す貫通孔110H6のように、
図7(D)に示す貫通孔110H4を変形し、2つのキャパシタチップ200を短手方向に並べて収納できるようにX軸方向に短く、かつ、Y軸方向に長く形成してもよい。
【0093】
図7(G)に示す貫通孔110H7のように、
図7(F)に示す貫通孔110H6をさらにX軸方向に延ばして、3つのキャパシタチップ200を収納できるようにするとともに、3つの領域に区分する二対の突出部110Aを形成してもよい。
【0094】
また、以上では、コア110にルータ加工等の機械加工によって貫通孔110H、110H1〜110H7を形成する形態について説明したが、レーザ加工で形成してもよい。
図8及び
図9を用いて説明する。
【0095】
図8は、レーザ加工で貫通孔110HXを形成する工程を示す図である。
【0096】
まず、
図8(A)、(B)に示すように、配線層111Aと貫通電極120A、120Bが形成されたコア110Xを用意し、貫通孔110HXを形成するためにレーザ加工を行う。
【0097】
例えば、
図8(A)、(B)に示すように、1回のレーザショットで穴部110HX1を形成できるようなレーザの径及び出力に調整する。穴部110HX1は、
図8(A)に示すように、例えば、貫通孔110HXのY軸方向の幅の約1/3程度の径を有し、コア110Xの厚さの半分よりも少し深い深さを有する。また、穴部110HX1は、
図8(B)に示すように、深くなるにつれて開口が小さくなるような断面形状を有する。このような穴部110HX1の形状は、レーザ加工で行うことによって実現される。
【0098】
従って、
図8(A)に一点鎖線で示す貫通孔110HXを形成する領域の内部で、破線の円で示すようにレーザショットを行う場所を移動させるとともに、コア110Xを天地反転させて同様のレーザ加工を行うことにより、貫通孔110HXを形成することができる。
【0099】
このときに、コア110Xの両面からのレーザショットにより、貫通孔110HXの内壁に突出部110AXが残存するようにレーザの径及び出力を調整すれば、突出部110AXを有する貫通孔110HXをコア110Xに形成することができる。
【0100】
なお、ここでは、配線層111Aと貫通電極120A、120Bが形成されたコア110Xに対して貫通孔110HXを形成する工程を示す。しかしながら、まずコア110Xに貫通孔110HXを形成してから、配線層111Aと貫通電極120A、120Bを形成してもよい。
【0101】
以上のようにしてレーザ加工で形成した貫通孔110HXと突出部110AXは、
図9に示すような形状を有する。
【0102】
図9は、レーザ加工でコア110Xに形成した貫通孔110HXの断面を示す図である。
図9(A)は、平面図(XY平面を示す図)であり、
図9(B)は、
図9(A)においてY軸の負方向側から正方向側を見た場合のX1−X1断面を示す。
図9(C)は、
図9(A)においてY軸の負方向側から正方向側を見た場合のX2−X2断面を示す。
図9(C)は
図1に対応するXZ平面に平行な断面であり、コア110XのY軸方向の中央を通るXZ平面に平行な断面を示す。なお、
図9には、コア110Xに配線層111Aと貫通電極120A、120Bが形成されている状態を示す。
【0103】
コア110Xの貫通孔110HXの内壁110BXは、平面視で貫通孔110HXの内側に突出しており、
図9(B)、(C)に示すように、断面がテーパ状になっている。テーパ状に突出する内壁110BXは、貫通孔110HXの開口に沿って矩形環状に形成されている。内壁110BXは、コア110Xの(Z軸方向の)厚さの中央部が最も突出して頂部を形成している。
【0104】
また、突出部110AXは、貫通孔110HXのX軸方向の中央において、Y軸正方向側の内壁110BXと、Y軸負方向側の内壁110BXとが、他の部分の内壁110BXよりもさらに貫通孔110HXの内側に突出した構成になっている。
【0105】
図9(B)、(C)に示すように、突出部110AXは、XZ平面において、菱形状であり、先端に向かってX軸方向及びZ軸方向に細くなるような形状である。すなわち、突出部110AXは、YZ平面に平行な断面における形状がテーパ状であるとともに、XY平面に平行な断面における形状がテーパ状である。
【0106】
このようなテーパ状の突出部110AXと内壁110BXは、貫通孔110HXの内壁がZ軸に沿って垂直に形成されるのではなく、コア110Xの上面及び下面の両方から90度未満の角度で形成されることにより、コア110Xの厚さ方向における略中央が最も貫通孔110HXの内側に突出した形状になっている。
【0107】
以上、本発明の例示的な実施の形態の配線基板、及び、配線基板の製造方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。