(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373986
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】液体検査用低コントラストの標準として使用される粒子懸濁液
(51)【国際特許分類】
G01N 15/00 20060101AFI20180806BHJP
G01N 15/06 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
G01N15/00 C
G01N15/06 E
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-525477(P2016-525477)
(86)(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公表番号】特表2016-526689(P2016-526689A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】US2014046096
(87)【国際公開番号】WO2015006532
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年7月7日
(31)【優先権主張番号】61/844,662
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/324,872
(32)【優先日】2014年7月7日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コール フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーンズ ヨハネス ジーエム
(72)【発明者】
【氏名】キーク グレゴリー エル
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウィンフレッド ティー
【審査官】
磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−010832(JP,A)
【文献】
特開2007−114026(JP,A)
【文献】
特開2002−243620(JP,A)
【文献】
特開平11−083724(JP,A)
【文献】
特開2004−111401(JP,A)
【文献】
RIPPLE, D.C. et al.,Standards for the Optical Detection of Protein Particles,Amer. Pharm. Rev.,2011年 7月18日,Vol. 14,pp. 90-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00 − 15/14
G01N 33/48 − 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人による目視検査及び光学分析機器の少なくともいずれかで使用するように構成された標準粒子懸濁液であって、
溶液と、
前記溶液中に懸濁された1つ又は複数の標準粒子であって、各複数の標準粒子は限定された粒度分布及び形状分布を有し、前記標準粒子は生物学的粒子に類似する限定された屈折率及び浮揚性を有する、標準粒子と、
前記溶液中の1つ又は複数の添加物であって、前記添加物は前記溶液中の前記標準粒子の屈折率差を調整して、前記生物学的粒子とそれらの原溶液との屈折率差と同じにする添加物と、
を備え、前記標準粒子の少なくとも1つは、1つ又は複数のパターンを含む、標準粒子懸濁液。
【請求項2】
選択された標準粒子径は1ナノメートルから1ミリメートルの範囲である、請求項1記載の懸濁液。
【請求項3】
前記標準粒子は、PTFE、ETFE、PDMS、及びFEPからなる群から選択されるポリマー材料を含む、請求項1記載の懸濁液。
【請求項4】
前記パターンの少なくとも1つは、前記標準粒子の前記長さに沿って幅及び分離を変えるストライプを含む、請求項1記載の懸濁液。
【請求項5】
前記懸濁液は、光学分析機器の較正及び検証の少なくともいずれかのために使用される、請求項1記載の懸濁液。
【請求項6】
人による目視検査及び光学分析機器の少なくともいずれかで使用するように構成された標準粒子懸濁液であって、
前記溶液中に懸濁された1つ又は複数の標準粒子であって、各複数の標準粒子は限定された粒度分布及び形状分布を有し、前記標準粒子は選択された粒子径近傍の限定された粒度分布を有し、前記標準粒子は生物学的粒子に類似する限定された屈折率及び浮揚性を有する、標準粒子と、
前記溶液中の1つ又は複数の添加物であって、前記添加物は前記溶液中の前記標準粒子の屈折率差を調整して、前記生物学的粒子とそれらの原溶液との屈折率差と同じにする添加物と、
を備え、前記標準粒子の少なくとも1つは、1つ又は複数のパターンを含む、標準粒子懸濁液。
【請求項7】
前記標準粒子の屈折率は、前記標準粒子を溶液中で透明にする値から、溶液中で不透明にする値の範囲である、請求項6記載の懸濁液。
【請求項8】
前記選択された粒子径は、1ナノメートルから1ミリメートルの範囲である、請求項6記載の懸濁液。
【請求項9】
前記標準粒子は、PTFE、ETFE、PDMS、及びFEPからなる群から選択されるポリマー材料を含む、請求項6記載の懸濁液。
【請求項10】
前記パターンの少なくとも1つは、前記標準粒子の前記長さに沿って幅及び分離を変えるストライプを含む、請求項6記載の懸濁液。
【請求項11】
前記懸濁液は、光学分析機器の較正及び検証の少なくともいずれかのために使用される、請求項6記載の懸濁液。
【請求項12】
人による目視検査及び光学分析機器の少なくともいずれかで使用するように構成された標準粒子懸濁液であって、
前記溶液中に懸濁された1つ又は複数の標準粒子であって、各複数の標準粒子は限定された粒度分布及び形状分布を有し、前記標準粒子は生物学的粒子に類似する限定された屈折率及び浮揚性を有し、前記屈折率は前記標準粒子を溶液中で透明にする値から溶液中で不透明にする値の範囲である、標準粒子と、
前記溶液中の1つ又は複数の添加物であって、前記添加物は前記溶液中の前記標準粒子の屈折率差を調整して、前記生物学的粒子とそれらの原溶液との屈折率差と同じにする添加物と、
を備え、前記標準粒子の少なくとも1つは、1つ又は複数のパターンを含む、標準粒子懸濁液。
【請求項13】
前記標準粒子は、選択された粒子径近傍の限定された粒度分布を有する、請求項12記載の懸濁液。
【請求項14】
前記選択された粒子径は、1ナノメートルから1ミリメートルの範囲である、請求項12記載の懸濁液。
【請求項15】
前記標準粒子は、PTFE、ETFE、PDMS、及びFEPからなる群から選択されるポリマー材料を含む、請求項12記載の懸濁液。
【請求項16】
前記パターンの少なくとも1つは、前記標準粒子の前記長さに沿って幅及び分離を変えるストライプを含む、請求項12記載の懸濁液。
【請求項17】
前記懸濁液は、光学分析機器の較正及び検証の少なくともいずれかのために使用される、請求項12記載の懸濁液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本特許は2013年7月10日に出願された米国仮特許出願第61/844,662号の優先権を主張し、当該出願の全内容は引用することにより本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、液体の検査に使用される標準懸濁液に関する。より具体的には、本発明は(1)粒子懸濁液を検査及び分類する装置を較正、検証、及び/又は比較するのを可能にする標準懸濁液、(2)粒子懸濁液の目視検査のための標準に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオ医薬品会社は、多くの場合、ガラス瓶、注射器、又は他の容器に、注射可能な液体の形態で、生物学的医薬品を特徴付ける。これらの容器は、一般的には、外部粒子の存在について検査がされるだけでなく、(例えば、医薬品の安全性を決定するために、)タンパク質薬剤物質自体の凝集によって形成された粒子について検査がされることができる。また、生体適合性物質で医療機器を被覆する医療機器メーカーは、機器を洗浄した後、機器から脱落した粒子を探すために溶液を検査することができる。
【0004】
同様に、ライフサイエンスの分野では、例えば顕微鏡及びフローサイトメータ等の光学機器は、生体細胞、微小胞、細菌及びウイルスを含む生物学的性質の粒子を分析するのに使用される。今後、生物学的粒子と呼ばれるこれらの粒子及びタンパク質凝集体は、溶液の屈折率に近い低屈折率を一般的に有し、溶液中で粒子及びタンパク質凝集体は光学機器に提供される。
【0005】
様々な検査機器と同様に、人間の目による目視検査は、生物学的粒子を検出するために使用される。しかし、人間の検査官の結果と機器の結果とが異なる場合があり、その結果は、生物学的粒子が懸濁された溶液中での小さな屈折率差のために、生物学的粒子の一定の与えられた不規則な形及びサイズ、並びに生物学的粒子が示す比較的低いコントラストを比較することは困難な場合がある。
図1は、容器内のタンパク質凝集の例の写真を示す。
【0006】
非経口薬の有効性及び安全性を保証するために、米国薬局方<788>章は、注射用薬剤の製造業者にタンパク質凝集粒子を含む10μmよりも大きいあらゆる粒子の数の単位体積あたりの数、及び25μmよりも大きい粒子の数の単位体積あたりの数を報告することを要求している。タンパク質凝集体によって引き起こされる免疫原性についての関心の高まりに言及する新しい2013年2月の米国FDA(食品医薬品局)のガイドラインからの情報に基づいて、新しいルールの新しい章は、2μmより大きい粒子の生物学的医薬品の監視を要求する場合がある。タンパク質凝集体の屈折率(n=約1.34〜1.40)はタンパク質ベースの薬物溶液の屈折率(n=約1.34〜1.36)に近いため、タンパク質凝集体は検出が困難な場合がある。また、例えば、楕円形から糸状(アスペクト比0.8から0.1まで)及び非晶質から結晶質のように、形状や外観が異なる多くの異なるタンパク質凝集体の種類がある。
【0007】
現在の目視検査は、生物学的粒子と周囲の液体との間の透明度の違いに依存している。ミクロンサイズの粒子を検査(検出)するのに使用される機器は、一般的には、粒子が透明なフローセルを流れる時、粒子の撮像、又は光散乱、又は光吸光度を伴う。器具は、視覚的及び/又は機械ベースの検査工程を使用することができる。これらの器具の各々は、販売会社又はユーザによってサイズ測定精度及び粒子計数精度を較正/検証される。一般的に、較正/検証は、十分に限定された均一な直径の、及び限定された濃度のポリスチレン球(ビーズ)を用いて提供される。ポリスチレンビーズは、Thermo Fisher Scientific(Waltham, Massachusetts, 米国)、Polysciences, Inc.(Warrington, Pennsylvania, 米国)等の販売会社、及び他の販売会社から市販されている。
【0008】
ポリスチレンビーズを用いた光学機器の較正及び検証には、3つの基本的な欠点がある。第1の欠点は、ポリスチレンビーズが、対象とするいくつかの粒子(例えばn=約1.34〜1.40のタンパク質凝集体)よりも高い屈折率(一般的にはn=1.599)を有することである。従って、ポリスチレンビーズの光信号は、(例えば、生物学的粒子等の)同じサイズの低コントラストの粒子によって生成された信号を十分には示さない。生物学的粒子は、粒子間の屈折率と透明度の違いにより、同サイズのポリスチレン球よりも弱い信号を生成する場合がある。結果として、生物学的粒子を誤って分類する場合があり、誤った分析結果をもたらす。更に、低コントラストの粒子(例えば、生物学的粒子)が同じサイズのポリスチレンビーズを使用して確立された分析閾値を下回る信号を生成する場合、低コントラストの粒子の結果を、分析から除外することができる。これは、低コントラストの粒子の誤った計数結果をもたらす場合がある。同様に、低屈折率は生物学的粒子を人間の目で観察することをより困難にし、また誤った計数結果をもたらす。
【0009】
第2の欠点は、いくつかの生物学的粒子は、(ポリスチレンビーズのような)均一な球形の物質ではなく、むしろ不規則な成形三次元(3−D)の物質であるということである。生物学的粒子の不規則な形状は、光学分析機器への特定の課題を提示している。例えば、計器は、3−Dの粒子の2次元(2−D)投影に基づいて信号を生成することだけができる。従って、フロースルー検出器で不規則な形状の粒子を測定することは、測定点での粒子のランダム配向による、計器応答の広い分布を生成する場合がある。更に、不規則な形状の粒子は、同じサイズのポリスチレンビーズの粒度分布に比べて、より広い粒度分布をもたらす場合がある。その結果、(例えば、いくつかの生物学的粒子のような)不規則な形状の粒子は分析から除外され、誤った計数結果をもたらす場合がある。
【0010】
第3の欠点は、懸濁液中のポリスチレンビーズの濃度が、サンプリングの系統的な相違により変化し得ることである。例えば、原ポリスチレンビーズ懸濁液は、懸濁液の中心でサンプリングされ得るが、ビーズが懸濁液から沈降し始めた後、後の試料中では異なる濃度になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6174728号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、(1)目視検査方法の標準化を可能にし、(2)低コントラスの特性、及びできる限り、例えば生物学的粒子等の不規則な形状の粒子に、より密に一致する標準粒子を用いて光学分析機器が較正され、検証され及び/又は比較されることを可能にする、標準懸濁液を作成することが望まれる。標準懸濁液中の標準粒子は、安定性と再現性があるべきであり、及び必要に応じてオペレータが適切に機器や解析ソフトウェアのパラメータを調整できるように重要な特性としての均一性がある必要がある。粒子標準懸濁液は、内部濃度標準を使用することにより、限定された濃度への修正を支援するであろう。機器及び/又は解析ソフトウェアパラメータの適切な調整により、試料間で、分析機器間で、及び/又は測定試験所間で、結果を正確に比較することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
特定の実施形態では、目視検査で又は光学分析機器で使用する標準粒子懸濁液は、溶液及び複数の標準粒子を含むことができる。複数の標準粒子を溶液中に懸濁させてもよい。複数の標準粒子は、限定された粒度分布及び形状分布を有することができる。標準粒子は、生物学的粒子の屈折率と実質的に同じ屈折率を有することができる。
【0014】
特定の実施形態では、標準粒子懸濁液は、現在市販されている製品よりもより密接に生物学的粒子の特性に似ている測定標準を提供する。これらのより代表的な標準は、機器の較正、検証、分析、並びに機器の種類間及び試験所間の、個々の機器間での比較を向上させるであろう。
【0015】
特定の実施形態では、低屈折率を有する生物学的粒子の光学的分析が述べられる。そのような生物学的粒子の例としては、タンパク質凝集体、生体細胞、微小胞、エキソソーム、細菌及びウイルスを含むことができる。
【0016】
特定の実施形態では、標準粒子の屈折率は約1.34と約1.42との間である。標準粒子は、十分に特徴付けられた粒度分布、例えば選択された標準粒子径の約10%内で変化する粒度分布、を有することができる。標準粒子径は、生物学的粒子のサイズの範囲から選択された、例えば2μm、10μm、及び25μm、又は任意の他のサイズ、から具体的に選択されることができる。
【0017】
特定の実施形態では、標準粒子は、PTFE、ETFE、PDMS、及びFEPからなる群から選択されるポリマー材料を含んでもよい。
【0018】
特定の実施形態では、標準粒子及び溶液は、1つ又は複数の添加剤を含んでもよい。添加剤は、標準粒子及び溶液の屈折率差を調整することができ、原溶液中の生物学的粒子の屈折率差と実質的に同じになる。
【0019】
特定の実施形態では、標準粒子の少なくとも1つは、1つ又は複数のパターンを含んでもよい。パターンの少なくとも1つは、標準粒子の長さに沿って幅及び分離を変えるストライプを含むことができる。
【0020】
特定の実施形態では、懸濁液は、光学分析機器の較正及び/又は検証のために使用されることができる。
【0021】
特定の実施形態では、懸濁液は、目視検査員の訓練及び/又は認証のため並びに目視検査手順の検証のために使用されることができる。
【0022】
特定の実施形態では、生物学的粒子を使用する光学分析機器を検証する方法は、光学分析機器を用いて、標準粒子懸濁液の検査を含むことができる。溶液中に懸濁された標準粒子は、限定された粒度分布及び形状分布、濃度、並びに溶液からの屈折率差を有することができる。標準粒子は、生物学的粒子の屈折率と実質的に同様な屈折率を有することができる。この方法は、検査から標準粒子溶液中の標準粒子の濃度評価する工程を含むことができる。方法は、標準粒子の評価濃度と標準粒子の既知濃度との間の差を評価する工程を含むことができる。方法は、濃度間の評価された差に基づいて、光学分析機器の1つ又は複数のパラメータを変更する工程を含むことができる。方法は、機器の検出効率を考慮して、補正係数を定量化する工程を含むことができる。方法は、標準粒子懸濁液中の濃度変化を考慮して、濃度補正係数を定量化する工程を含むことができる。
【0023】
特定の実施形態では、光学的解析機器のパラメータの少なくとも1つは、閾値コントラストレベルを含むことができる。光学分析機器のパラメータの少なくとも1つは、画像処理パラメータを含むことができる。標準粒子の少なくともいくつかは、1つ又は複数のMTF(変調伝達関数)のテストパターンを含むことができる。方法は、MTFテストパターンを用いて光学分析機器の光学性能を評価する工程、及び評価に基づいて1つ又は複数のパラメータを変更する工程を含むことができる。
【0024】
特定の実施形態において、方法は、検査の標準粒子懸濁液中の標準粒子の粒度分布を含むことができる。
【0025】
特定の実施形態において、方法は、標準粒子溶液中の標準粒子の測定された形状分布を報告する工程を含むことができる。
【0026】
特定の実施形態において、方法は、生物学的粒子と同様な屈折率、又は標準粒子と、生物学的粒子及びそれらの原溶液に類似の溶液との間の屈折率差を有する標準粒子を含むことができる。
【0027】
特定の実施形態において、方法は、既知濃度の標準粒子懸濁液を含むことができる。
【0028】
特定の実施形態において、方法は、それぞれが異なる粒度分布、又は異なる形状分布、又は異なる屈折率、又は異なる濃度を有する標準粒子の複数の集団を有する標準粒子懸濁液を含むことができる。
【0029】
特定の実施形態では、標準粒子懸濁液を形成する方法は、ポリマー材料から複数の標準粒子を形成する工程を含むことができる。方法は、同様のサイズ及び形状を有する複数の標準粒子を提供するように、同様のサイズ及び形状の標準粒子を選択する工程を含むことができる。方法は、溶液中に標準粒子を配置する工程を含むことができ、溶液中の標準粒子は、生物学的粒子の屈折率と実質的に同様である屈折率を有する。方法は、溶液中の標準粒子の濃度を評価する工程を含むことができる。
【0030】
特定の実施形態において、方法は、リソグラフィ工程を使用して、標準粒子を形成する工程を含むことができる。
【0031】
特定の実施形態において、方法は、濾過工程を用いて同様のサイズ及び形状の標準粒子を選択する工程を含むことができる。
【0032】
特定の実施形態では、溶液中の標準粒子の屈折率は約1.34と約1.42との間である。
【0033】
特定の実施形態において、方法は、溶液中の粒子の測定された粒度分布及び/若しくは形状分布、並びに/又は屈折率、並びに/又は濃度を報告する工程を含むことができる。これらの測定のいくつかは、SI単位にトレーサブルであり得る。
【0034】
本発明の方法及び装置の特徴及び利点は、添付図面と併せて、現在好ましいが本発明に従う例示的な実施形態の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】容器内のタンパク質凝集体の例の写真を示す。
【
図2】標準懸濁液中で使用される標準粒子の実施形態の図を示す。標準粒子の形状は、均一又は不均一であってもよく、1つ又は複数の材料を含むことができ、テストパターンを含んでいてもよい。
【
図4】標準粒子溶液を製造するプロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
【
図5】標準粒子溶液を使用して光学分析装置を検証するためのプロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は様々な修正及び代替形態が可能であるが、特定の実施形態が、図面に例として示されており、本明細書で詳細に説明するであろう。図面は縮尺通りではない場合がある。図及び詳細な説明は、開示された特定の形態に本発明を限定するものではないこと、反対に、意図は、添付の特許請求の範囲によって定義さる本発明の精神及び範囲内に入るすべての修正、均等物及び代替物を包括するものであることが、理解されるべきである。
【0037】
図2は、標準懸濁液中で使用される標準粒子の実施形態の図を示す。標準粒子200は、光学分析器のための標準懸濁剤として使用される流体懸濁液に使用することができる。標準懸濁液は、光学分析器の較正、検証、及び/又は比較のために使用されることができる。光学分析器は、視覚的又は機械系のいずれかのプロセスを使用して、粒子の存在のための流体懸濁液を光学的に検査する(例えば、粒子を識別する)器具を含むが、これらに限定されない。このような光学分析器は、識別された粒子の1つ又は複数の特性を測定又は評価することもできる。特性は、例えば、サイズ及び/又は形状、及び/又は透明度/不透明度、及び/又は粒子の濃度を含むことができる。
【0038】
特定の実施形態では、標準粒子200は、生物学的粒子と実質的に同様の材料特性を有する。例えば、標準粒子200は、屈折率 、比重、サイズ、及び/又は生物学的粒子に実質的に類似する形状を有することができる。特定の実施形態では、標準粒子200は、ポリマー材料から形成される。標準粒子200用のポリマー材料の例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)(例えば、Teflon(登録商標))、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)(例えば、Tezfel(登録商標)又はFluon(登録商標))、PDMS(ポリジメチルシロキサン)(例えば、Sylgar(登録商標))、又はFEP(ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンの共重合体である、フッ素化エチレンプロピレン)を含むが、これらに限定されない。これらの材料は、生物学的粒子と実質的に同様の屈折率を有していてもよい。例えば、PTFEは1.350の屈折率nを有することができ、ETFEは1.398の屈折率を有していてもよく、PDMSは、1.4118の屈折率を有していてもよい。
【0039】
図3は、懸濁液300中の標準粒子200の実施形態の図を示している。標準粒子200を溶液300内に配置して、標準粒子懸濁液(例えば、標準懸濁液)を作成することができる。特定の実施形態では、溶液300は緩衝液である。溶液300は特性を有することができ、及び/又は屈折率差を調節する添加剤、及び/又はより正確に屈折率差を一致させる標準粒子200の浮揚性、及び/又は調合された緩衝液中に選択された生物学的粒子の浮揚性、を含んでいてもよい。例えば、糖、グリセロール、又は他の添加剤は、屈折率差及び/又は溶液中での標準粒子200の浮力を調節するように溶液300に提供されてもよい。特定の実施形態では、溶液300中の標準粒子200は、約1.34と約1.42との間の屈折率を有す。いくつかの実施形態では、溶液300中の標準粒子200は、約1.3と約1.45との間、約1.32と約1.43との間、又は約1.34と約1.4との間の屈折率を有している。
【0040】
特定の実施形態では、溶液300中の標準粒子200は、標準粒子が溶液中の生物学的粒子の分析のための光学分析装置を較正及び/又は検証するために使用することができるような生物学的粒子と、実質的に同様の光学特性を有す。例えば、溶液300中の標準粒子200は、光学分析装置のサイズ応答を較正及び/又は検証するのに使用することができる。特定の実施形態では、標準粒子200は、生物学的粒子と同じ光学的コントラストを提供する。しかし、標準粒子200は、生物学的粒子とは異なり、溶液300中で実質的に均一なサイズと形状を有してもよい。特定の実施形態では、標準粒子200は、選択されたカウント閾値のサイズ周辺に密な粒度分布を示す標準粒子を含む。カウント閾値のサイズは、最大及び/又は最小のサイズ(例えば、直径)であってもよく、そのサイズで粒子の個数をカウントできる(例えば、粒子カウントは粒子がカウント閾値サイズより下及び/又は上かで検索される)。生物学的粒子の一般的なカウント閾値サイズは、例えば約2μm、約10μm、又は約25μmである。従って、いくつかの実施形態では、標準粒子200は、約2μmの近傍に、約10μmの近傍に、又は約25μmの近傍に、密な粒度分布を有する。密な粒度分布は、例えば、選択されたサイズの約1%以内、5%以内、又は約10%以内であることができる。
【0041】
図4は、標準粒子溶液を製造するプロセス400の実施形態のフローチャートを示す。402では、標準粒子(例えば、標準粒子200)は、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを使用して、ポリマー材料から形成される。404では、選択されたサイズ及び形状(例えば、同様のサイズ及び形状)の標準粒子が、類似のサイズ及び形状を有する複数の標準粒子を提供するように選択される。例えば、形成された標準粒子を、本明細書に記載されるように濾過又は選択することができ、同様のサイズ及び形状を有する複数の標準粒子を提供する。406では、標準粒子を溶液中に配置してもよい(例えば、溶液300)。特定の実施形態では、溶液中の標準粒子(例えば、溶液300中の標準粒子200)は、他の所望の性質、例えば特定の屈折率又は比重、を有することができる。408では、標準粒子の濃度を、本明細書に記載の技術を用いて評価(例えば、測定)することができる。いくつかの実施形態では、標準粒子のサイズ及び/又は形状を、本明細書に記載の技術を使用して評価(例えば、測定)する。
【0042】
特定の実施形態では、402での標準粒子の形成は、市販の粉末(例えば、PTFE、ETFE、PDMS、又はFEPの粉末)から標準粒子(例えば、標準粒子200)を作製することを含む。例えば、標準粒子は、粉末を濾過することにより所望の(選択された)粒度分布及び形状分布の選択された粉末粒子に製造されることができる。粉末は、例えば乾式又は湿式ふるい、フィールドフローフラクショネーション(FFF)、他の流体選択方法、及び/又はそれらの組み合わせを使用して、濾過することができる。一例として、PTFE粉末を、Polysciences, Inc. (Warrington, Pennsylvania, U.S.A.)から入手し、Postnova Analytics, Inc. (Salt Lake City, Utah, U.S.A.)から入手したフィールドフローフラクショネーション装置を用いて濾過をして、選択された粒度分布及び形状分布のPTFE標準粒子を製造する。
【0043】
特定の実施形態では、標準粒子は、リソグラフィプロセス及び/又はエッチングプロセスを用いて製造される。例えば、標準粒子は、従来の半導体リソグラフィプロセス及びエッチングプロセスを用いて製造することができる。一実施形態では、シリコンウェハ(例えば、4インチシリコンウエハ)は、ウェーハの表面上にパターン化された硬化フォトレジスト(例えば、SU−8フォトレジスト)を有していてもよい。プラスチック材料(例えば、粉末又は液体プラスチック材料のいずれか)が、フォトレジストによって形成されたパターンに充填され、選択された形状及び/又はサイズの標準粒子を形成する。標準粒子を、例えば、振動、エアーフロー、又は超音波浴中の浸漬を使用して表面から放出することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、粒子は、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)のような型を用いたより新しいエンボスプロセス若しくはスタンピングリソグラフィプロセスで、又は(例えば、LIGA、UV−LIGA、又はForce−LIGAのような)リソグラフィエレクトロプレーティング−モールディング(lithography-electroplating-molding)プロセスで作られる。エンボス加工又はスタンピングリソグラフィプロセスは、FEPのような材料用の標準粒子を製造するのに有用であり得る。より新しいエンボスプロセス又はスタンピングリソグラフィプロセスの内のいくつかは、様々なリソグラフィで生成された型から、大きなアスペクト比を有し、サイズが約50nmまでの型の形状を各種プラスチック材料で生成することができる。
【0045】
例えば、シリコン、炭化ケイ素、石英、又は金属で型を作ることができる。型はモールドであってもよく、ローラーはモールド若しくはローラーの表面の中に又は表面から突き出て形成された形状でもよい。そして型は、プラスチックフィルムにプレス加工される、又はプラスチック材料(例えば、プラスチック粉末又は液体)で満たされ、所望の形状及びサイズを有するプラスチック材料の標準粒子を形成する。例えば、圧力下で、型(モールド)を、加熱で予め軟化されたプラスチックに加圧し、予備硬化液体状態にあるプラスチックに加圧し、又はプラスチックフィルムにエンボス加工することができる。型上にそのような形状を製造することにより、所望の(選択された)サイズで所望の(選択された)標準粒子形状の大量生産を提供することができる(例えば、標準懸濁液で使用する所望の形状分布及び粒度分布を有する標準粒子200を生成する)。
【0046】
一実施形態では、1〜100μm領域の薄いモールドは、不規則であり、及びに凝集体(例えば、タンパク質凝集体)のように見えるモールドの形状に形成することができる。PDMSなどのプラスチックを、薄いモールドに成形することができる。別の実施形態では、エンボスプロセス又はナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術は、プラスチック材料(例えば、ETFE、PTFE、PDMS)のフィルム又は層に適用されることができる。これらのエンボス加工又はインプリントされたフィルムは、所望の標準粒子を作製するために使用され得る。さらに別の実施形態では、プラスチック材料の異なる形態(例えば、フィルム、粒子、又は液体)の組み合わせは、以下のような特別に調整された特性、例えば屈折率又は浮力、を有する標準粒子を製造するのに使用されてもよいが、これらに限定されない。
【0047】
特定の実施形態では、リソグラフィ技術又はエッチング技術及び、あるいは、追加の処理は、標準粒子の外観及び/又は他の特性の正確な修正を提供するのに使用され得る。従って、これらの技術は、生物学的粒子の特定のタイプの外観を再現するように設計できる制御された生物学的粒子の標準変異体の大量生産を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、エンボス加工又はプレス加工で用いられる型は、標準粒子上により非晶質に(ぼやけて)、又はより結晶質に(シャープに)見せる表面の形状を生成するように設計することができる。
【0048】
型への(及び/又は標準粒子への)他の表面改質は、表面を曇らせる若しくは熱分解するプラズマ処理、又は化学(溶剤)エッチング処理を含む。このような改質は、標準粒子の外観の管理された改質を提供することができる。プラズマ処理又は化学エッチング処理は、プラスチック材料の疎水性を低下させる方法を提供することができる。標準粒子に使用されるプラスチック材料の疎水性を低下させると、生物学的粒子の性質を更に模倣することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、記載されるリソグラフィプロセスは、他の材料を主要なプラスチック材料の中へ、又は一緒に包含することを可能にする。他の材料は、標準粒子中で異なる層に積層してもよい(例えば、標準粒子は、1つ又は複数の層において、異なる材料で複数の層を有す)。これらの含まれた材料は、液体中の標準粒子の光学的外観及び/又は浮力を変化させることができる(例えば、溶液300中の標準粒子200)。これらの改質は、空気又は他の特定のガスが閉じ込められた気泡の包含を含み、及び/又は屈折率や主材料と屈折率若しくは比重が異なる他の材料を使用する混合若しくは共重合を含むことができる。
【0050】
特定の実施形態では、プラスチック材料のモールド内に形成された及び封入された標準粒子は、エッチングプロセスを用いて取り除かれる(例えば、標準粒子に分割される)。例えば、反応性イオンエッチング(RIE)は、フルオロポリマーをエッチングするのに有益であり、所望の標準粒子に形どったプラスチック材料を取り除く(分割又は分離する)。記載のリソグラフィプロセス及び/又はエッチングプロセスを用いて標準粒子200を製造することにより、所望の標準粒子の製造を高スループット(例えば、大量生産)で提供できる。製造された標準粒子は、複数の生産拠点の至る所で標準化され得る、正確で及び限定された製造手順で製造されることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、標準粒子は、固体材料から粒子を研磨することにより作製される。研磨から標準粒子を形成する例は、NIST Gaithersburg, MDのバイオケミカルサイエンス部門のDean C. Ripple, Joshua R. Wayment, Michael J. Carrierにより2011年7月10日に出版されたAmer. Pharm. Rev. 第14巻90〜96ページ「Standards for the Optical Detection of Protein Particles」に見られ、参照することにより全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0052】
特定の実施形態では、404で標準粒子を選択する工程は同様のサイズ及び形状の標準粒子を選択的に分離する工程を含む。例えば、濾過、乾式又は湿式ふるい、フィールドフロー分別、及び/又は他の流体選択方法は、標準懸濁液で使用する同様のサイズ及び形状の標準粒子を選択するのに用いられることができる。サイズ選択のいくつかの追加の例としては、小型の標準粒子の吸引、コンティニュアス・イナーシャル・フォーカシング・イン・フロー(continuous inertial focusing in flow)(例えば、2009年に出版された、Dino DiCarloによる「Inertial Microfluidics」、Lab On A Chip, Royal Society of Chemistry、第9巻、3038〜3046ページを参照、参照することにより全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる)、及び/又はクロスフロー分別に続いて、メッシュサイズ又は電鋳グリッド篩、沈降フィールドフロー分別、遠心分離の手順を用いて懸濁液を濾過する工程を含むが、これらに限定されない。
【0053】
特定の実施形態では、408での標準粒子の評価する工程は、溶液中での標準粒子のサイズ及び/又は濃度を測定する工程を含む。サイズの測定は、SI単位へ戻ってトレーサビリティを確立することができる適切な測定基準(一般的には例えばNIST等の国立標準研究所からの標準物質)と組み合わせて多くの技術を使用することができる。これらの技術は、1つ又は複数の下記の技術を含むことができる:光学顕微鏡、TEM(透過型電子顕微鏡)又は湿式E−TEM顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)顕微鏡、コールターカウンター、ナノポア計測(Izon Science Ltd, Oxford、英国によって作製されたシステム)、マイクロ流体イメージング(例えば、流体イメージング技術によって作製されたシステム(Scarborough, Maine、米国)又はProtein Simple (Santa Clara, California, U.S.A.)、動的光散乱、又は光吸光度法。濃度測定は1つ又は複数の下記の技術の使用を含むことができる:コールターカウンター、ナノポア測定、光学顕微鏡、マイクロ流体イメージング、動的光散乱、又は光吸光度法。いくつかの実施形態では、粒子の形状も測定される。
【0054】
サイズ及び/又は濃度の測定値は、標準粒子のバッチレベルで、又は標準粒子の個々のユニットレベルで計測されることができる。バッチレベル測定値は、単一生産稼働で作られた、又は安定した製造プロセスで作られた大量の標準粒子の代名詞であるサイズ、形状、及び濃度の統計的に有効な測定値であり得る。流通される(出荷される)ユニットは、大規模なバッチ量から抽出されることができる。ユニットレベルの測定値は、単一ユニットの内容物のみを示すサイズ、形状、及び総数について、出荷単位ごとに計測されることができる。
【0055】
特定の実施形態では、光学分析装置のカウント性能は、標準粒子が対象の低コントラストの粒子(例えば、生物学的粒子)に似た既知濃度の標準粒子懸濁液を使用して検証及び/又は較正される。例えば、標準粒子懸濁液は、
図3に示すように、本明細書に記載されるように形成され、溶液300中に配置される標準粒子200を含むことができる。
図5は、標準粒子懸濁液を用いて光学分析機器を検証するプロセス500の実施形態のフローチャートを示している。
【0056】
502において、標準粒子懸濁液は、光学分析機器を用いて検査され得る。標準粒子懸濁液は、溶液中に懸濁された標準粒子の既知濃度を有することができる(例えば、上記408で評価されるように)。504では、光学分析機器で測定する時に、溶液中の標準粒子の濃度を(例えば、光学的検査から)評価することができる。506では、評価濃度と既知濃度との間の差を評価することができる(例えば、数値として求められる)。508では、光学分析機器の1つ又は複数のパラメータを、濃度間の評価の差に基づいて修正することができる。パラメータの修正後、プロセス500は、新たなパラメータを用いて繰り返されることができる。プロセス500は、光学分析機器を用いて求められた評価濃度が、標準粒子懸濁液中の標準粒子の既知濃度に一致するまで繰り返されることができる。プロセス500は、評価濃度が標準粒子懸濁液中の標準粒子の既知濃度と一致しない場合は、光分析機器の検出効率の評価に終わる可能性がある。
【0057】
特定の実施形態では、溶液300中の標準粒子200と対象の生物学的粒子との間の類似性は、サイズ及び形状だけでなく透明性及び屈折率の類似性を有している。実施形態では508では、期待される総数が標準粒子懸濁液(例えば、溶液300中の標準粒子200)を使用して達成されるまで、又は器具の検出効率が定量化され得るまで、光学分析機器の使用者は機器のレシピパラメータ(例えば、閾値のコントラストレベル、画像処理パラメータ等)を修正することができる。その後、光学分析機器は生物学的粒子と同様の特性を有する粒子(例えば、標準粒子200)を用いて較正され及び/又は検証されているので、ユーザは、光学分析機器を用いて、特定のサイズ範囲内の生物学的粒子の実際の総数に、より自信を深めることができる。
【0058】
特定の実施形態では、標準粒子懸濁液(例えば、溶液300中の標準粒子200)は、標準光学分析機器のユーザに、1つ又は複数の物理的パラメータに記録されている特徴付けられた基準を提供する。これらのパラメータは、標準粒子径、形状、屈折率、及び濃度の分布に関連がある場合があり、光学分析機器によって実行された測定のタイプごとに1つ又は複数の指標に適用されることができる。これらの指標の例としては、サイズに関するフェレ径及び円相当径(ECD)、並びに形状に関するアスペクト比(AR)及び真円度を含むが、これらに限定されない。基準を記録することは、光学分析機器の感度を定量化するために使用できる正確な基準値として役立ち得る。光学分析機器の感度は、特定のサイズ、形状、又は他の記録された物理的特性及び、基準中のその成分の濃度の標準粒子の検出率に基づいて評価されることができる。
【0059】
特定の実施形態では、標準粒子懸濁液の組合せは、濃度変化を評価するための内部基準を提供する。標準粒子懸濁液は、屈折率を除いたすべての限定されたパラメータが似ている標準粒子の複数の集団を含むことができ、各集団は限定された濃度を有する。光学分析機器で高い検出率を有する、少なくとも1つの不透明な集団を提供できる。方法は、1つ又は複数の不透明な集団の濃度変化を評価する工程、及び1つ又は複数のほぼ透明な標準粒子集団の出発濃度を修正するために、このような測定された修正を適用する工程を含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、標準粒子懸濁液(例えば、溶液300中の標準粒子200)は、異なる機器から若しくは異なる測定実験室からの結果、及び/又は異なる分析方法の中から得られた異なる結果を比較することを可能にする。標準粒子懸濁液は特徴付けられ、並びに決定された粒度分布及び形状分布、並びに屈折率を有しているので、標準粒子懸濁液はこれらの他の(可能な)変数の比較を可能にする。いくつかの実施形態では、標準粒子懸濁液は、経時的に一貫性のある機器の性能の適切な記録を可能にする。
【0061】
いくつかの実施形態では、標準粒子200は、
図2に示すように1つ又は複数のパターン202を含む。パターン202は、空間周波数の広い範囲を生成するように設計されることができる。また、パターン202の画像は、光学分析機器のMTF(変調伝達関数)を測定するのに使用されることができる。光学分析機器のMTFを測定することは、計器を較正するために及び/又は機器を他の機器と一致させるために用いられることができる。いくつかの実施形態では、標準粒子200は溶液300中に浸漬され、この溶液は特性を有し、並びに/又は標準粒子の屈折率差及び/若しくは溶液300中の標準粒子のパターン202を調整する添加剤を含む。
【0062】
特定の実施形態では、
図2に示すように、標準粒子200はパターン202を有する滑らかな棒状の標準粒子である。パターン202は、標準粒子200の長さに沿って幅及び分離を変えるストライプを含むことができる。いくつかの実施形態では、パターン202は、MTFテストパターンを含む。MTFテストパターンは、標準粒子200を使用して顕微鏡の光学性能を測定するために使用されることができる。しかしながら、標準粒子200は、他のパターン202を含むことができ、及び/又は顕微鏡システム(例えば、光学分析機器)の感度を評価するのに使用され得る他の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、パターン202は、標準粒子200中に積層されることができる。積層パターン202は、解像度をテストする及び/又は光学分析機器のカメラ又はスコープから異なる距離に焦点を合わせるのに使用されることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、標準粒子200は長手方向に光学分析機器内の流体の流れに沿って進む(
図2の矢印で示される)。いくつかの実施形態では、標準粒子200は、光学分析機器の視野をカバーするように設計される。例えば、標準粒子200は、光学分析機器のフローセル内に収まることができる。標準粒子200は、丸みを帯びた及び/若しくは滑らかな端部、並びに/又は親水性表面を含むことができ、フローセル内で標準粒子が結合する又は目詰まりの詰まりするのを防ぐ。
【0064】
本発明は、もちろん、変動し得る説明される特定のシステムに限定されるものではないと理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は特定の態様のみを記載する目的のためであり、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。本明細書において使用されるように、内容が明らかに他を示さない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。従って、例えば、「形状」への言及は2つ以上の形状の組合せを含み、及び「液体」への言及は液体の混合物を含む。
【0065】
本発明の更なる修正及び様々な態様の代替の実施形態は、この説明の観点から見て当業者には明らかであろう。従って、この説明は単なる例示として解釈されるべきであり、当業者に本発明を実施する一般的な方法を教示する目的のためである。これは、本明細書に示され、記載された本発明の形態は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることが理解されるべきである。本発明のこの説明の利益を有する後に当業者には明らかであろうすべてのように、要素及び材料は、本明細書に例示され及び記載されたもので置換されることができ、部品及びプロセスは逆にすることができ、及び本発明の特定の特徴は独立して利用することができる。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の要素の変更は可能である。