特許第6374097号(P6374097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374097
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】選択可能なメモリアクセス時間
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20180806BHJP
   G11C 7/22 20060101ALI20180806BHJP
   G11C 7/04 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   G06F12/00 564A
   G11C7/22
   G11C7/04
【請求項の数】22
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-508010(P2017-508010)
(86)(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公表番号】特表2017-528814(P2017-528814A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】US2015047645
(87)【国際公開番号】WO2016048586
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】14/493,682
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】タンザワ、トオル
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−211735(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/004647(WO,A1)
【文献】 特開2012−203969(JP,A)
【文献】 特表2016−520226(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/183287(WO,A1)
【文献】 特開2012−099203(JP,A)
【文献】 特開2009−158020(JP,A)
【文献】 特開2007−183816(JP,A)
【文献】 特開2009−140322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G11C 7/04
G11C 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節パラメータを決定し、前記温度調節パラメータをメモリアドレス識別子と関連付け、前記温度調節パラメータをパラメータ記憶部に記憶させ、メモリアクセス要求の受信に応答して前記メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択し、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、前記選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節し要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するメモリコントローラを備え
前記メモリアクセス動作の持続時間幅は、前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している、
装置。
【請求項2】
前記メモリコントローラは更に、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定し、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを前記メモリアドレス識別子と関連付け前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び前記関連付けられたメモリアドレス識別子を前記パラメータ記憶部に記憶させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
メモリアクセス要求の受信に応答してメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択し、現在の動作温度を決定し、前記メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて温度調節パラメータを選択し、前記現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、前記選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節し、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するメモリコントローラを備え、
前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは、前記温度調節パラメータに関係しており、
前記メモリアクセス動作の持続時間幅は、前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している、
装置。
【請求項4】
前記メモリアクセス時間区間は、ターゲットノードを初期状態からターゲット状態に遷移させる事前充電時間区間を含み、前記事前充電時間区間の持続時間幅は前記メモリアレイの結合構造体に関係している、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは前記メモリアレイの結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて予め決められている、請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータはメモリアクセス動作の試行回数に少なくとも部分的に基づいて反復的に決定される、請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
メモリコントローラにより、温度調節パラメータを決定するステップと、
前記メモリコントローラにより、前記温度調節パラメータをメモリアドレス識別子に関連付けるステップと、
前記メモリコントローラにより、前記温度調節パラメータをパラメータ記憶部に記憶させるステップと、
メモリアクセス要求の受信に応答して、前記メモリコントローラにより、前記メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択するステップと、
前記メモリコントローラにより、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、前記選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節するステップと、
前記メモリコントローラにより、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するステップ
を備え、
前記メモリアクセス動作の持続時間幅は前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している
方法。
【請求項8】
前記メモリコントローラにより、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定するステップと、
前記メモリコントローラにより、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを前記メモリアドレス識別子に関連付けるステップと、
前記メモリコントローラにより、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び前記関連付けられたメモリアドレス識別子を前記パラメータ記憶部に記憶させるステップと
を更に備える、請求項に記載の方法。
【請求項9】
メモリアクセス要求の受信に応答して、メモリコントローラにより、メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択するステップと、
前記メモリコントローラにより、現在の動作温度を決定するステップと、
前記メモリコントローラにより、前記メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて温度調節パラメータを選択するステップと、
前記メモリコントローラにより、前記現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、前記選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節するステップと、
前記メモリコントローラにより、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するステップと
を備え、
前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは前記温度調節パラメータに関係しており、
前記メモリアクセス動作の持続時間幅は前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している、
方法。
【請求項10】
前記メモリアクセス時間区間は、ターゲットノードを初期状態からターゲット状態に遷移させる事前充電時間区間を含み、前記事前充電時間区間の持続時間幅は前記メモリアレイの結合構造体に関係している、請求項7から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記メモリアレイは3次元のメモリアーキテクチャを含む、請求項7から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは、前記メモリアレイの結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて予め決められている、請求項7から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは、メモリアクセス動作の試行回数に少なくとも部分的に基づいて反復的に決定される、請求項7から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサと、
前記プロセッサを周辺機器に結合するチップセットと、
複数のメモリセルを備えるメモリアレイと、
温度調節パラメータを決定し、前記温度調節パラメータをメモリアドレス識別子と関連付け、前記温度調節パラメータをパラメータ記憶部に記憶させ、メモリアクセス要求の受信に応答して前記メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択し、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、前記選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節し、要求されたメモリアクセス動作を前記メモリアレイ上で実施するメモリコントローラと
を備え、
前記メモリアクセス動作の持続時間幅は、前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している、
システム。
【請求項15】
前記メモリコントローラは更に、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定し、前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを前記メモリアドレス識別子と関連付け前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び前記関連付けられたメモリアドレス識別子を前記パラメータ記憶部に記憶させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
プロセッサと、
前記プロセッサを周辺機器に結合するチップセットと、
複数のメモリセルを備えるメモリアレイと、
メモリアクセス要求の受信に応答してメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択し、現在の動作温度を決定し、前記メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて温度調節パラメータを選択し、前記現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、前記選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節し、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するメモリコントローラと
を備え、
前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは、前記温度調節パラメータに関係しており、
前記メモリアクセス動作の持続時間幅は、前記調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している、
システム。
【請求項17】
前記メモリアクセス時間区間は、ターゲットノードを初期状態からターゲット状態に遷移させる事前充電時間区間を含み、前記事前充電時間区間の持続時間幅は前記メモリアレイの結合構造体に関係している、請求項14から16の何れか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記メモリアレイは3次元のメモリアーキテクチャを含む、請求項14から17の何れか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは前記メモリアレイの結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて予め決められている、請求項14から18の何れか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータはメモリアクセス動作の試行回数に少なくとも部分的に基づいて反復的に決定される、請求項14から18の何れか一項に記載のシステム。
【請求項21】
請求項13のいずれか一項に記載の方法を実施する少なくとも1つのデバイスを含むシステム。
【請求項22】
請求項13のいずれか一項に記載の方法を実施する手段を備えるデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はメモリアクセスに関し、特に選択可能なメモリアクセス時間に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ、例えばコンピュータメモリには、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ(NVM)が含まれる。揮発性メモリは、電力が供給されている間は記憶された情報を保持し、電力が取り除かれると記憶された情報を失う。NVMは、電力が取り除かれた後も記憶された情報を保持する。揮発性メモリには、例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(ダイナミックRAM)及びスタティックRAMが含まれる。NVMには、例えば、読出し専用メモリ(ROM)及び幾つかのタイプのRAMが含まれる。NVM技術には、相変化メモリ(PCM)、3次元クロスポイント型メモリ、抵抗性メモリ、ナノワイヤーメモリ、強誘電体トランジスタランダムアクセスメモリ(FeTRAM)、NAND又はNORなどのフラッシュメモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、メモリスタ技術を組み込んだメモリ、スピントランスファートルク(STT)−MRAM、等を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
特許請求された発明の主題の特徴及び利点が、特許請求された発明と整合性のある実施形態の以下の詳細な説明から明らかになり、その説明は添付の図面を参照して考慮されるべきである。
【0004】
図1】本開示の幾つかの実施形態と整合性のあるシステムブロック図を示す。
図2】本開示の様々な実施形態と整合性のある、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間を選択及び/又は調節するための動作の流れ図を示す。
図3】本開示の様々な実施形態と整合性のある、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連したメモリアクセス時間区間を決定するための動作の流れ図を示す。
図4】本開示の様々な実施形態と整合性のある、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連した温度調節パラメータを決定するための動作の流れ図を示す。
【0005】
以下の発明を実施するための形態は、例示的な実施形態を参照して説明されるが、それらの実施形態の多くの代替例、修正例、及び変形例が当業者には明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
メモリは、その物理的構造に応じて、2次元(2D)、即ち平面、又は3次元(3D)として分類されることができる。2Dメモリの平面は、基板及び/又はウェハの平面に相当する。慣習により、2Dメモリの平面は「水平な」平面方向を表す修飾語として定義され、3Dメモリの3番目の次元は「垂直な」方向を表す修飾語として定義される。たとえば、3Dメモリは、複数の垂直に積層され相互接続された2Dメモリ部分の水平層を含むことができる。別の例では、3Dメモリは、メモリセルの複数のグループを含むことができる。この例では、各グループのメモリセルは垂直に積層され得る。1つの階層は、メモリセルの各グループからの1つのメモリセルを含むことができる。本明細書で使用されるように、1つの階層は、基板から概ね等距離に配置された複数のメモリ素子を含む。メモリ素子は、メモリセル、セレクタ、ワード線、ビット線、メモリセル部分等を含むことができるが、これらに限定するものではない。本明細書で説明するように、各階層におけるメモリセルの少なくともサブセットが、それぞれのワード線に結合されることができる。別の例では、3Dメモリは、3Dメモリの複数の相互接続された層を含むことができる。3Dメモリは更に、システムオンチップ(SoC)内に含まれることでもよい。例えば、SoCは、プロセッサ、メモリコントローラ、及びメモリアレイを含む複数の層の積層体を含むことができる。
【0007】
2Dメモリアーキテクチャにおける相互接続部、ワード線、及びビット線などの結合構造体は、ほぼ矩形の形状を有する。したがって、これらの結合構造体に関連するインピーダンスは、各矩形部分についてほぼ均一である。対照的に、3Dメモリアーキテクチャにおける結合構造体は、メモリセル部分に関連した構造体が中を通過することができる開口部(即ち、穴)を規定することができる。垂直構造体は、垂直方向に向いている長軸と、垂直方向位置に応じて変化する水平の寸法とを有することで、ほぼ先細となる形状を有することができる。3Dメモリアーキテクチャでは、垂直メモリセル構造体は、ほぼ水平なワード線及び/又はビット線内に規定された開口部を通過することができる。そのような開口部のサイズは、垂直メモリセル構造体を収容するように設定され、したがって、開口部のサイズは垂直方向位置に応じて変化することがある。ワード線及び/又はビット線に関連する抵抗は、開口部のサイズが増加するにつれて、増加する。したがって、結合構造体に関連する抵抗は、3Dメモリアレイ中の階層によって変化することがある。
【0008】
メモリセルのアクセス時間は、ターゲットノード(例えば、メモリセルの制御ゲート)が、初期状態(例えば、選択解除バイアス電圧)からターゲット状態(例えば、選択バイアス電圧)に遷移し、ある期間の間ターゲット状態に留まり、その後初期状態に戻ることを可能にするように設定される。したがって、メモリセルのアクセス時間区間は、事前充電時間区間、センシング時間区間及び放電時間区間を含むことができる。ターゲットノードがターゲット状態に留まっている間に、メモリセルが読み出される、かつ/又は書き込まれる(即ち、プログラムされる)ことができる。それぞれの遷移の持続時間は、メモリコントローラをターゲットノードに結合している回路のインピーダンスとターゲットノードのインピーダンスとに関連している。例えば、メモリコントローラをターゲットノードに結合している回路は、相互接続部、ワード線、及び/又はビット線(即ち、結合構造体)を含むことができる。つまり、それぞれの遷移の持続時間は、結合構造体及びターゲットノードのRC(抵抗−静電容量)時定数に関連していることがある。したがって、メモリアクセスの持続時間は、RC時定数に関連する場合がある(例えば、比例する場合がある)。結合構造体の抵抗は、少なくとも部分的に形状の変化に起因して、3Dメモリセルアレイ内の位置、例えば階層、に応じて、変化することがある。結合構造体の抵抗は更に、動作温度によって変化することがある。結合構造体の抵抗は更に、ウェハの中やウェハ間で変化することがある。メモリアクセス動作のためにターゲットノードがターゲット状態に到達し、ターゲット状態に留まり、初期状態に戻るのにメモリアクセス時間区間が持続する時間の長さが十分であることを保証するために、メモリセルアクセス時間は、少なくとも部分的に最悪の場合の時定数に基づいて決定されることができる。その結果、そのようなメモリアクセス時間区間が持続する時間の長さにより、平均メモリアクセス時間が比較的に長くなり、メモリアレイに対するスループットが比較的に小さくなる。
【0009】
一般的に、本開示は、メモリアクセスに関連したメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間を選択するように、かつ/又は、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間を調節するように、構成されるシステム及び方法について記載する。メモリコントローラとメモリセル(例えば、抵抗)及びメモリセル(例えば、静電容量)との間の結合構造体の形状、したがってRC時定数は、メモリアドレスに関連している。一実施形態では、メモリアクセス時間区間が持続する時間の長さは、予め決められていることでもよい。別の実施形態では、メモリアクセス時間区間が持続する時間の長さは、製造中に、例えばウェハ及び/又はLOT(即ち、一緒に製造されたウェハの集合)の試験中に、決定されることができる。次いで、メモリアクセス時間区間は、1つ以上のメモリアドレスに関連付けられることができる。実施形態によっては、温度調節パラメータが決定されることができる。
【0010】
温度調節パラメータは、メモリアドレスに関連した結合構造体の温度による抵抗の変化に関連している。次いで、温度調節パラメータは1つ以上のメモリアドレスに関連付けられる。
【0011】
動作時には、メモリアクセス時間区間が持続する時間の長さは、少なくとも部分的にメモリアドレスに基づいて選択される。次いで、メモリアクセス時間区間が持続する時間の長さは、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて調節される。実施形態によっては、メモリアクセス時間区間が持続する時間の長さは、温度調節パラメータに少なくとも部分的に基づいて調節される。温度調節パラメータは、現在の動作温度に関連している。例えば、比較的により小さな関連する時定数を有する第1のメモリセルの第1のメモリアクセス時間区間が持続する時間の長さは、比較的により大きな関連する時定数を有する第2のメモリセルの第2メモリセルアクセス持続時間よりも、相対的に短いことがある。したがって、最悪の場合の時定数に対応するメモリアクセス時間に比べて、メモリアレイに対する平均メモリアクセス時間が低減され、メモリアレイのスループットを向上させることができる。動作温度を考慮に入れることにより、メモリアレイの動作信頼性を更に向上させることができる。
【0012】
図1は、本開示の幾つかの実施形態と整合性のあるシステムブロック図100を示す。システム100は、サーバ、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ(例えば、iPad(登録商標)、GalaxyTab(登録商標)、等)、超軽量コンピュータ、ウルトラモバイルコンピュータ、ネットブックコンピュータ及び/又はサブノートブックコンピュータ、を含むコンピューティング機器、並びに、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)、Android(登録商標)ベースの電話、Blackberry(登録商標)、Symbian(登録商標)ベースの電話、Palm(登録商標)ベースの電話、等)及び/又はフィーチャーフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、等を含む携帯電話に相当してもよいが、これらに限定するものではない。
【0013】
システム100は、プロセッサ102、メモリコントローラ104、メモリアレイ106、及びチップセット107を含む。実施形態によっては、システム100は、チップセット107によってシステム100に結合された1つ以上の周辺機器109を含むことができる。周辺機器109は、例えば、ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、プリンター、キーパッド、キーボード、等を含むユーザインターフェース機器、通信ロジック、並びに、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、取り外し可能な記憶媒体、等を含む有線及び/又は無線の記憶機器を含むことができる。
【0014】
プロセッサ102は、バス108によってメモリコントローラ104に結合されている。プロセッサ102は、メモリアドレス及び/又は関連データを含む、メモリコントローラ104への読み出し要求及び/又は書き込み要求を提供することができ、メモリコントローラ104から読み出しデータを受け取ることができる。例えば、プロセッサ102は、1つ以上の周辺機器109から1つ以上のメモリアクセス要求を受け取ることができ、対応する読み出し要求及び/又は書き込み要求をメモリコントローラ104に提供することができる。メモリコントローラ104は、例えば1つ以上のターゲットメモリセルの読み出し及び/又は書き込みなどのメモリアクセス動作を実施するように、かつ、ターゲットメモリセルへのアクセスに関連した1つ以上の時間区間の持続時間を決定及び/又は選択するように、構成される。なお、システム100は、図解及び説明を容易にするために、簡略化されている。
【0015】
メモリアレイ106は、複数のワード線(WL)115a、115b、…、115n(集合的に115)、複数のビット線(BL)117a、117b、…、117m(集合的に117)、1つ以上のセレクタ線122、124、及び複数のメモリセル130a、130b、…、130m、132a、132b、…、132m、…、138a、138b、…、138mを含む。メモリアレイ106は、WL115a、115b、…、115nのうちの1つ以上及び/又はBL117a、117b、…、117mのうちの1つ以上によって、メモリコントローラ104に結合される。メモリアレイ106は、複数のセレクタ126a、126b、…、126m及び128a、128b、…、128mを含んでもよい。セレクタ線122、124はそれぞれ複数の個々の線を含んでもよく、個々の線のそれぞれがそれぞれのセレクタ126a、126b、…、126m及び128a、128b、…、128mを制御するように構成される。セレクタ126a、126b、…、126mは、1つ以上のメモリセルを関連するBLに制御可能に結合するように構成され、セレクタ128a、128b、…、128mは、その1つ以上のメモリセルを、例えば基板などの共通部129に制御可能に結合するように構成される。セレクタ126a、126b、…、126m及び128a、128b、…、128mは、オボニック閾値スイッチ、ダイオード、バイポーラ接合トランジスタ、電界効果トランジスタ等を含んでもよい。したがって、各メモリセルはWLに結合され、また、BLに結合されてもよい。
【0016】
実施形態によっては、メモリセルを1つ以上の他のメモリセルを介して、BLに結合することができる。例えば、メモリアレイ106は3D NANDフラッシュメモリを含むことができる。NANDフラッシュメモリでは、複数のメモリセルが直列に結合され(即ち、ストリング)、この直列の最初のメモリセルがBLに制御可能に結合され、この直列の最後のメモリセルが、例えば基板及び/又は接地などの共通部に制御可能に結合されている。例えば、メモリアレイ106において、1番目のストリング140aがメモリセル130a、132a、…、138aを含み、2番目のストリング140bがメモリセル130b、132b、…、138bを含み、m番目のストリング140mがメモリセル130m、132m、…、138mを含む。例えばストリング140aなどの各ストリングは、それぞれの第1のセレクタ、例えばセレクタ126aによって、それぞれのBL、例えばBL117aに、かつ、それぞれの第2のセレクタ、例えばセレクタ128aによって、共通部129に、制御可能に結合される場合がある。
【0017】
この例を続けると、ターゲットメモリセル、例えばメモリセル130aは、ターゲットメモリセルに結合された関連するWL115aにWL選択電圧を印加し、関連するBL117aにBL選択電圧を印加し、セレクタ126aを介して関連するBL117aをストリング140aに結合し、かつセレクタ128aを介してストリング140aを共通部129に結合することにより、選択されることができる。ストリング140a内の他のメモリセル132a、…、138aを、それぞれのWL115b、…、115nを介して、他の各メモリセル132a、…、138aに適切な供給電圧(例えば、Vpass)を印加することにより、BL電流を通過させるように構成することができる。
【0018】
各メモリセル130a、130b、…、130m、132a、132b、…、132m、138a、138b、…、138mは、情報を記憶するように構成される。一実施形態では、各メモリセルは1ビットのバイナリデータを記憶するように構成される。この実施形態では、メモリセルはシングルレベルセル(SLC)として理解することができる。別の実施形態では、各メモリセルはマルチビットのバイナリデータを記憶するように構成されてもよい。この実施形態では、メモリセルはマルチレベルセル(MLC)として理解することができる。1つ以上のメモリセル130a、130b、…、130m、132a、132b、…、132m、138a、138b、…、138mが、書き込まれる(即ち、プログラムされる)かつ/又は読み出されることができる。メモリセル130a、130b、…、130m、132a、132b、132m、…、138a、138b、…、138mは、メモリセルの1つ以上の層(即ち、階層)内に含まれてもよい。各階層は、1つ以上のWL及び1つ以上のBLを更に含んでいてもよい。
【0019】
メモリアレイ106は、関連する密度、即ち、単位面積又は単位体積あたりのメモリセルの数、を有する場合がある。
【0020】
メモリアレイ106としては、相変化メモリ(PCM)、3次元クロスポイント型メモリ、抵抗性メモリ、ナノワイヤーメモリ、強誘電体トランジスタランダムアクセスメモリ(FeTRAM)、NAND又はNORなどのフラッシュメモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、メモリスタ技術を組み込んだメモリ、スピントランスファートルク(STT)−MRAM、等を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
【0021】
一実施形態では、メモリアレイ106は3Dメモリに相当する場合がある。例えば、3Dメモリとしては、3D NANDフラッシュメモリ(例えば、垂直積層アレイトランジスタメモリ、多層垂直ゲートNANDフラッシュメモリ、垂直セルテラビットセルアレイトランジスタNANDフラッシュメモリ、パイプ形状BiCS(Bit Cost Scalable)NANDフラッシュメモリ)、ワンタイムプログラマブルダイオード/アンチヒューズメモリ、垂直抵抗メモリ(VRRAM(登録商標))、3D垂直チェーンセル型相変化メモリ、等を挙げることができるが、これらに限定するものではない。3D NANDフラッシュメモリセルは典型的に、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)トランジスタを含む。本明細書で説明するように、NANDフラッシュメモリセルをプログラミングすることは、関連するMOSFETの閾値電圧を設定することを含み、メモリセルを読み出すことは、閾値電圧を検出することを含む。
【0022】
ダイオード/アンチヒューズメモリセルには、アンチヒューズ及びダイオードを含む、トランジスタ無しの2端子メモリセルが含まれる。ダイオード/アンチヒューズメモリセルをプログラミングすることは、アンチヒューズを壊すことを含み、メモリセルを読み出すことは、アンチヒューズが壊れていない(即ち、開放)か壊れている(即ち、短絡)かということを含む。VRRAM(登録商標)は、ReRAMセルが多層垂直NANDのような構成に一体化された抵抗性RAM(ReRAM)である。ReRAMメモリセルは、特定のタイプのメモリスタであるとみなすことができる。メモリスタの抵抗は、その過去の履歴に依存する。換言すると、メモリスタの抵抗は、メモリスタを通る電荷の束に関連する。ReRAMメモリセルをプログラミングすることは、メモリセルが1つ以上の抵抗値の間で切り替わるように構成された1つ以上の電圧をメモリセルに印加することを含む。ReRAMメモリセルは、複数の離散値的な抵抗状態を有してもよいし、又は、連続的な可変抵抗を有してもよい。
【0023】
3D垂直チェーンセル型相変化メモリでは、各メモリセルはポリシリコントランジスタと、並列に結合された相変化層とを含んでいてもよい。メモリセルは、垂直方向に直列に結合されることができる。プログラミング(即ち、設定/リセット)動作では、オフ電圧が選択されたセルのゲートに印加され、正のオン電圧が選択されていないセルに印加される。設定/リセットパルス電圧がドレインに印加されると、選択されたセルの相変化材料に電流が流れ、温度がジュール加熱により上昇し、設定/リセット動作が行われる。読み出し動作では、読み出し電圧(Vread)をドレインに印加することがあり、選択されたセルにおける相変化膜の抵抗を決定することができる。
【0024】
3D NANDフラッシュメモリは、複数のメモリセルアーキテクチャを含む場合がある。メモリセルアーキテクチャとしては、垂直チャネル、垂直ゲート(即ち、水平チャネル)、フローティングゲート、及び/又は電荷トラップ3D NANDフラッシュメモリが挙げられるが、これらに限定するものではない。垂直チャネル3D NANDフラッシュメモリは、それぞれのドレインノードとソースノードとの間に垂直チャネルを有するMOSFETメモリセルの積層された垂直ストリングを含む。相互接続されたチャネルは、概ね先細の円筒形状を有し、かつストリング内のメモリセル同士を結合させる単一の垂直チャネルとして構成される。各メモリセルは、垂直チャネルを取り囲むゲート構造(「ゲートオールアラウンド」)を含む。積層された水平WLは、ゲート構造に結合されてもよい。垂直チャネル及びそれぞれのゲート構造が、WLによって画定される開口部を通って延在する。本明細書で説明するように、各WLの抵抗は開口部の直径に関連し、開口部の直径は垂直チャネルの直径に関連し、階層に応じて変化する。垂直ゲート3D NANDフラッシュメモリは、垂直ゲートを有する積層された水平チャネルとして構成されるMOSFETメモリセルを含む。例えば、垂直ゲート3D NANDフラッシュメモリは、NANDストリングを形成するために相互接続されたメモリセルの複数の2D層を含むことがある。
【0025】
例えば、MOSFETメモリセルについては、第1のメモリセル130aのドレインが第1のセレクタ126aに結合されてもよく、第1のメモリセル130aのソースが第2のメモリセル132aのドレインに結合されてもよく、第2のメモリセル132aのソースが第3のメモリセルのドレインに結合されてもよく、最後のメモリセル138aのソースがセレクタ128aに結合されるまで、同様である。第1のメモリセル130aの制御ゲートは、第1のWL115aに結合されてもよい。他のメモリセル132a、…、138aの各制御ゲートが、それぞれのWL115b、…115nに結合されてもよい。例えば読み出し動作では、第1のWL115aに印加されるWL選択電圧は、Vreadに一致することがある。他のメモリセル132a、…、138aを導通させる(即ち、オンにする)ように構成された電圧(Vpass)が、他のWL115b、…、115nに印加されてもよい。読み出し電圧Vreadは、ターゲットメモリセルの第1の状態に関連した第1の閾値電圧よりも大きくなるように、かつ、ターゲットメモリセルの第2の状態に関連した第2の閾値電圧よりも小さくなるように、構成される。第1の閾値電圧は、第2の閾値電圧よりも小さい。Vpassは、第2の閾値電圧よりも大きくなるように構成される。したがって、Vreadに応答してストリング内に電流が流れる場合には第1の状態を検出することができ、電流が流れない場合には、第2の状態を検出することができる。SLCメモリセルについては、第1の状態は典型的に論理「1」に相当し、第2の状態は典型的に論理「0」に相当する。
【0026】
メモリセル130a、130b、…、130m、132a、132b、…、132m、…、138a、138b、…、138mの制御ゲートにおける電圧は、瞬時には変化しない。したがって、それぞれのWLに印加される電圧が変化すると、関連する制御ゲートの電圧が、初期電圧から新たに印加された電圧に関連したターゲット電圧に、有限期間で遷移する。この有限期間の持続時間は、本明細書で説明するように、結合構造体及びメモリセルに関連したRC時定数に関連している。特定の結合構造体が、関連するメモリセル、したがって、関連するメモリアドレスに対応する。したがって、関連するメモリアドレスは、関連するメモリセルに加えて結合構造体も特定することができる。したがって、メモリセルアクセス期間の持続時間は、関連するメモリセルのアドレスに関連することがあり、関連するメモリセルのアドレスに少なくとも部分的に基づいて選択される。
【0027】
メモリコントローラ104には、メモリコントローラロジック110、WL制御ロジック114、BL制御ロジック116、センス回路118、時間区間持続幅ロジック112、及びパラメータ記憶部120が含まれる。メモリコントローラロジック110は、メモリコントローラ104に関連した動作を実施するように構成される。例えば、メモリコントローラロジック110は、プロセッサ102との通信を管理することができる。メモリコントローラロジック110は、受け取られた各メモリアドレスに関連した1つ以上のターゲットWL及び/又はBLを特定するように構成される。メモリコントローラロジック110は、ターゲットWL及び/又はターゲットBLの識別子(即ち、アドレス)に少なくとも部分的に基づいて、WL制御ロジック114及びBL制御ロジック116の動作を管理するように構成される。
【0028】
WL制御ロジック114は、メモリコントローラロジック110からターゲットWLのアドレスを受け取るように、かつ、読み出し及び/又は書き込み動作のために1つ以上のWLを選択するように、構成される。例えば、WL制御ロジック114は、WL選択バイアス電圧をターゲットWLに結合することによりターゲットWLを選択するように構成されてもよい。WL制御ロジック114は、ターゲットWLからWL選択バイアス電圧を切り離すことにより、かつ/又はWL選択解除バイアス電圧をWLに結合することにより、WLを選択解除するように構成されてもよい。例えば、WL選択バイアス電圧はVreadに一致することでもよく、WL選択解除バイアス電圧はVpassに一致することでもよい。WL制御ロジック114は、複数のWL115に結合されてもよい。BL制御ロジック116は、メモリコントローラロジック110からターゲットBLのアドレスを受け取るように、かつ、例えば読み出し及び/又は書き込みなどのメモリアクセス動作のために1つ以上のBLを選択するように、構成される。BL制御ロジック116は、BL選択バイアス電圧をターゲットBLに結合することによりターゲットBLを選択するように構成されてもよい。BL制御ロジック116は、ターゲットBLからBL選択バイアス電圧を切り離すことにより、かつ/又はBL選択解除バイアス電圧をBLに結合することにより、BLを選択解除するように構成されてもよい。メモリコントローラロジック110は、WL制御ロジック114及びBL制御ロジック116の選択動作、読み出し動作、及び書き込み動作を管理するように、かつ、センス回路118からセンスデータを受け取るように、構成される。例えば、メモリコントローラロジック110は、セレクタ126a、126b、…、126mのうちの1つ以上を使用して1つ以上のBL117a、117b、…、117mをそれぞれのストリング140a、…、140mに結合することにより、かつ、セレクタ128a、128b、…、128mのうちの1つ以上を使用してストリング140a、…、140mをそれぞれ共通部129に結合することにより、ストリング140a、…、140mのうちの1つ以上を選択することができる。
【0029】
時間区間持続幅ロジック112は、メモリアクセスに関連したメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間を選択するように構成される。パラメータ記憶部120は、メモリアクセス時間区間及び関連するメモリアドレスに関連した情報を記憶するように構成される。この情報は、1つ以上のメモリアドレス識別子と、メモリアクセス時間区間に関連した1つ以上のパラメータとを含むことがある。実施形態によっては、この情報は、温度によるメモリアクセス時間区間パラメータの変動に関連した1つ以上のパラメータ、即ち、温度パラメータを含むことがある。例えば、メモリアドレス識別子は、メモリアクセス時間区間に関連したパラメータを含むルックアップテーブル内のインデックスに相当することがある。各メモリアドレス識別子は、1つ以上のメモリアドレスに対応することがある。例えば、メモリアドレス識別子は、1つ以上の関連するメモリアドレスの少なくとも一部を含むことがある。1つのメモリアクセス時間区間の持続時間幅は、1つのメモリアドレスに、連続した複数のメモリアドレスに及ぶ範囲に、及び/又は連続していることもしていないこともある複数のメモリアドレスに、関連することがある。例えば、複数のメモリアドレスは、メモリアレイ内の同じ階層に位置する複数のメモリセルに対応することがある。
【0030】
メモリアクセス時間区間に関連したパラメータは、時間幅及び/又はシステムクロックのクロックサイクル数を単位とした時間区間の持続時間幅を含むことがある。パラメータには、事前充電時間区間が持続する時間幅、センシング時間区間が持続する時間幅、プログラミング時間区間が持続する時間幅、放電時間区間が持続する時間幅、及び/又はメモリアクセス時間区間が持続する時間幅を含むことができる。例えば、読み出し動作については、メモリアクセス時間区間は、事前充電時間区間が持続する時間幅、センシング時間区間が持続する時間幅、及び放電時間区間が持続する時間幅を含む場合がある。別の例では、プログラム(即ち、書き込み)動作については、メモリアクセス時間区間は、事前充電時間区間が持続する時間幅、センシング時間区間が持続する時間幅、プログラミング時間区間が持続する時間幅、及び放電時間区間が持続する時間幅を含む場合がある。これらの時間区間の持続時間幅は、メモリアレイアーキテクチャ、メモリセルタイプ、及び/又はメモリアレイ内のメモリセルの位置に関連する場合がある。パラメータのうちの1つ以上のものの値は、結合構造体(例えば、WL及び/又はBL)抵抗値に少なくとも部分的に基づくことがある。
【0031】
温度パラメータには、動作温度をメモリアクセス時間区間に関連付けるように構成される温度調節パラメータを含む。温度パラメータは、現在の動作温度を含むことでもよい。結合構造体の抵抗は、温度によって変動することがある。例えばメモリアレイ106などのメモリアレイは、典型的に、特定の温度範囲、例えば−40℃〜+85℃などに渡って動作するように構成される。結合構造体の抵抗は、この温度範囲の中で変動することがある。例えば、+85℃における結合構造体の抵抗は、+25℃における結合構造体の抵抗よりも、例えば20%、大きくなることがある。そのような抵抗の増加は、同様にメモリアクセス時間を増加させることがある。結合構造体の抵抗の温度感度は、メモリアレイ内の位置に少なくとも部分的に基づいて変動することがある。したがって、温度感度はメモリアドレス識別子に関連する場合がある。
【0032】
温度パラメータは、現在の動作温度(Tcur)及び/又は1つ以上の温度調節パラメータを含むことができる。温度調節パラメータは、温度依存調節係数(AF(T))、温度による結合構造体の抵抗の変化率(ΔR/ΔT)、ΔTに関連しかつ結合構造体の抵抗の変化率に関連している温度範囲、結合構造体の抵抗変化率及び/又は名目(即ち、基準)動作温度(Tnom)に関連した換算係数(SF)、を含む場合があるが、これらに限定するものではない。
【0033】
温度依存調節係数AFは、1つ以上の温度及び/又は温度範囲に関連付けられていることがある。調節係数AFは、選択された(例えば、名目)メモリアクセス時間区間パラメータ(Pnom)を、現在の動作温度Tcurに対して調節されたパラメータ(Padj)に関連付けるように設定される。本明細書で説明するように、例えば、現在の動作温度Tcurを決定することができ、Pnomに関連したメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、かつ現在の動作温度Tcurに少なくとも部分的に基づいて、関連するAF(T=Tcur)を選択することができる。例えば、AFはパラメータ記憶部120内に含まれるルックアップテーブルから選択することができる。次いで、Padjが、現在の動作温度Tcurに対してPadj=Pnom(1+AF(T=Tcur))として決定される。
【0034】
別の例では、Padjは、ΔR/ΔT、Tcur及びTnom、Padjを使用して決定される。現在の動作温度Tcurは、本明細書で説明するように、例えば時間区間持続幅ロジック112によって決定される。次いで、ΔR/ΔT及びTnomが、Pnomに関連したメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、例えばパラメータ記憶部120から選択される。次いで、PadjがPadj=1+(ΔR/ΔT)*(Tcur−Tnom)として決定される。実施形態によっては、ΔR/ΔTは、換算係数SFで修正される場合がある。これらの実施形態では、PadjはPadj=1+SF*(ΔR/ΔT)*(Tcur−Tnom)として決定される。勿論、これらの関係は、例えばTnomが例えば25℃などに固定されて分かっているときには、簡単化することができる。したがって、選択されたメモリアクセス時間区間は、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて調節される。選択されたメモリアクセス時間区間は、1つ以上の温度調節パラメータに少なくとも部分的に基づいて調節される。したがって、選択されたメモリアクセス時間区間パラメータを調節して、結合構造体の抵抗における温度依存の変動を反映することができる。温度調節パラメータのうちの1つ以上が、1つ以上のメモリアドレス識別子に関連づけられ、パラメータ記憶部120に記憶される。
【0035】
時間区間持続幅ロジック112は、メモリコントローラロジック110からメモリアドレス識別子を受け取ることができ、この受け取られたメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、パラメータ記憶部120から1つ以上のメモリアクセス時間区間パラメータを選択することができる。次いで、時間区間持続幅ロジック112は、選択されたメモリアクセス時間区間パラメータをメモリコントローラロジック110に提供することができる。選択されたメモリアクセス時間区間パラメータは、本明細書で説明するように、結合構造体(例えば、WL及び/又はBL)に関連付けられた時定数に関係している。次いで、メモリコントローラロジック110は、受け取られたメモリアドレス識別子に関連付けられたメモリアクセス動作のために、選択及び/又は調節されたメモリアクセス時間区間パラメータを利用することができる。
【0036】
実施形態によっては、本明細書で説明するように、動作中に、時間区間持続幅ロジック112は、名目メモリアクセス時間区間を選択及び/又は決定するように構成される。これらの実施形態では、時間区間持続幅ロジック112は更に、現在の動作温度を決定するように、かつ、決定された現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、名目メモリアクセス時間区間を調節するように、構成される。例えば、時間区間持続幅ロジック112及び/又はメモリコントローラロジック110は、例えば、ベースバンドコントローラ、温度センサ等から温度情報を受け取るように構成される。次いで、時間区間持続幅ロジック112は、受け取られた温度情報、例えば現在の動作温度などに少なくとも部分的に基づいて、名目上のメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節するように構成される。例えば、時間区間持続幅ロジック112は、パラメータ記憶部120から、メモリアドレス識別子に関連付けられた1つ以上の温度調節パラメータを引き出すように構成される。次いで、時間区間持続幅ロジック112は、本明細書で説明するように、引き出された調節パラメータを使用して、選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節することができる。
【0037】
したがって、本明細書で説明するように、動作中に、時間区間持続幅ロジック112は、メモリアクセスに関連したメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間を選択、決定、及び/又は調節するように構成される。時間区間持続幅ロジック112は更に、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間を調節するように構成されてもよい。時間区間持続幅ロジック112は更に、メモリアクセス時間区間パラメータ及び/又は温度パラメータを決定し、このパラメータを1つ以上のメモリアドレス識別子に関連づけるように、かつ/又は情報をパラメータ記憶部120に記憶するように、構成されてもよい。
【0038】
一実施形態では、メモリアクセス時間区間パラメータは、予め決められていることでもよい。例えば、WL抵抗及び/又はBL抵抗がウェハ及び/又はLOT全体に渡って比較的に均一である場合には、メモリアクセス時間区間パラメータは、予め決められていることでもよい。メモリアクセス時間区間パラメータは、例えば、結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて、予め決められてもよい。なお、複数のメモリアレイ、例えばメモリアレイ106を、1つのウェハ上に形成することができる。各メモリアレイのそれぞれのメモリアドレスにおけるメモリセルに関連付けられた結合構造体のWL抵抗及び/又はBL抵抗は、ウェハ及び/又はLOT全体に渡って同様である場合がある。例えば、周辺機器109を介して、予め決められたメモリアクセス時間区間パラメータ及び関連したメモリアドレス識別子がユーザによってシステム100に提供されてもよい。受け取られたパラメータ及び識別子は、例えばメモリコントローラロジック110によって、時間区間持続幅ロジック112に提供されてもよい。次いで、時間区間持続幅ロジック112は、受け取られたパラメータを受け取られたメモリアドレス識別子と関連付けるように、及び/又は情報をパラメータ記憶部120に記憶するように、構成されてもよい。
【0039】
別の実施形態では、メモリアクセス時間区間パラメータは、製造中に決定されることでもよい。各メモリアレイのそれぞれのメモリアドレスにおけるメモリセルに関連した結合構造体の抵抗が、ウェハ及び/又はLOT中で変動する場合には、メモリアクセス時間区間パラメータは、製造中に決定されることでもよい。本明細書で説明するように、結合構造体の抵抗は、結合構造体の形状に関係している。メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアレイ106を含むウェハの試験中に決定されてもよい。この実施形態では、メモリアクセス時間区間パラメータは、1つ以上のトリムバイダイ(trim-by-die)動作を利用して決定されてもよい。トリムバイダイは、ダイ毎にかつ/又はウェハ全体に渡って、特定のメモリアドレスにおける各メモリセルに対してメモリアクセス時間区間パラメータを設定することを可能にするように構成される。
【0040】
例えば、結合構造体の抵抗を測定してもよく、結合構造体の測定された抵抗に少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間パラメータを決定してもよい。別の例では、メモリアクセス時間区間パラメータを、反復的に決定してもよい。この例では、メモリアクセス時間区間パラメータを、初めは比較的に小さな値に設定する。比較的に小さな値に設定されたメモリアクセス時間区間パラメータにより、WLがメモリアクセス時間区間内でターゲット電圧に達しない場合があるので、比較的に多数回の読み出し不良を生じることがある。ターゲットメモリセルのメモリアクセス動作(例えば、読み出し動作)が多数回試行されることがあり、メモリの読み出し不良が多数回計数されることがある。読み出し不良の回数が読み出し不良の閾値数を超えている場合には、メモリアクセス時間区間パラメータを、増加してもよい。読み出し動作の試行回数を、メモリアクセス時間区間パラメータの増加に伴って繰り返してもよく、メモリ読み出し不良の回数を再度計数してもよい。このプロセスを、メモリ読み出し不良の回数が閾値以下になるまで繰り返してもよい。次いで、現在のメモリアクセス時間区間パラメータを捕捉し、ターゲットメモリセルに対応するメモリアドレス識別子と関連付け、パラメータ記憶部120に記憶してもよい。
【0041】
一実施形態では、温度パラメータを予め決めていてもよい。本明細書で説明するように、温度パラメータを、メモリアクセス時間区間パラメータに関連した事前決定と同様の態様で予め決めてもよい。別の実施形態では、温度パラメータのうちの1つ以上を、メモリアレイ106を含むウェハの試験中に決定してもよい。ウェハを、動作範囲内の1つ以上の温度に加熱してもよく、結合構造体のうちの1つ以上のものの抵抗を決定する。次いで、温度パラメータのうちの1つ以上を捕捉・決定してもよい。次いで、温度パラメータを、ターゲットメモリセルに対応するメモリアドレス識別子と関連付け、パラメータ記憶部120に記憶してもよい。
【0042】
したがって、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを、メモリアクセスに関連したメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいて、選択及び/又は調節してもよい。メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは、メモリアドレスに関連したメモリアドレス識別子に関連付けられた結合構造体の抵抗に関係している。メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて調節してもよい。その結果、メモリアレイに対する平均メモリアクセス時間が低減される場合があり、メモリに対する関連したスループットが向上する場合がある。
【0043】
図2は、本開示の様々な実施形態と整合性のある、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間が持続する時間幅を選択及び/又は調節するための動作の流れ図200を示す。これらの動作を、例えば、メモリコントローラロジック110、時間区間持続幅ロジック112、及び/又はパラメータ記憶部120を含むメモリコントローラ104などのメモリコントローラによって実施してもよい。流れ図200は、本明細書で説明するように、メモリアクセス時間区間の持続時間幅を選択及び/又は調節して、メモリアレイアーキテクチャ及び/又は動作温度に関連した結合構造体の抵抗の変動を吸収するように構成される、例示的な動作を示している。特に、流れ図200は、本明細書で説明するように、メモリアクセス時間区間の持続時間幅を選択及び/又は調節して、結合構造体に関連したRC時定数の変動を吸収するように構成された、例示的な動作を示している。
【0044】
流れ図200の動作は、動作202から開始することができる。動作202は、メモリアクセス要求を受け取ることを含む。例えば、メモリアクセス要求を、プロセッサからメモリコントローラによって受け取ってもよい。メモリアクセス要求は、メモリセル読み出し要求及び/又はメモリセル書き込み要求を含むことがある。メモリアクセス要求は、このメモリアクセス要求に関連した1つ以上のメモリアドレスを更に含むことがある。動作204は、メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択することを含む。メモリアクセス識別子は、受け取られたメモリアドレスに対応及び/又は関係することがある。例えば、メモリアドレス識別子は、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び/又は温度パラメータと関連付けられ、パラメータ記憶部に記憶されてもよい。実施形態によっては、現在の動作温度が動作206において決定される場合がある。実施形態によっては、動作208は、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節することを含む場合がある。要求されたメモリアクセス動作が、動作210で実施される。メモリアクセス動作の持続時間は、選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している。プログラムフローは、動作212で戻ってもよい。
【0045】
図3は、本開示の様々な実施形態と整合性のある、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連したメモリアクセス時間区間を決定するための動作の流れ図300を示す。これらの動作を、例えば、メモリコントローラロジック110及び/又は時間区間持続幅ロジック112を含む、メモリコントローラ104などのメモリコントローラによって実施してもよい。流れ図300は、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連したメモリアクセス時間区間を決定するように構成される例示的な動作を示している。特に、流れ図300は、本明細書で説明するように、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連したメモリアクセス時間区間を決定して、結合構造体に関連したRC時定数の変動を吸収するように構成された、例示的な動作を示している。
【0046】
流れ図300の動作は、動作302から開始することができる。動作302は、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定することを含む。メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは、本明細書で説明するように、結合構造体の抵抗に関係している。例えば、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを、少なくとも部分的に結合構造体の測定された抵抗に基づいて決定してもよい。別の例では、本明細書で説明するように、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを、反復的に決定してもよい。メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを、1つ以上のメモリセルに対して決定してもよい。メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを、動作304で、メモリアドレス識別子に関連付ける。メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び関連付けられたメモリアドレス識別子を、動作306で、パラメータ記憶部に記憶する。プログラムフローは、動作308で戻ってもよい。
【0047】
したがって、メモリアクセス時間区間の持続時間幅が、メモリアドレスに関連付けられてもよい。メモリアクセス時間区間の持続時間幅は、メモリアレイ内の複数のメモリセルに対する、結合構造体の抵抗の変動及びRC時定数の変動を吸収するように構成される。
【0048】
図4は、本開示の様々な実施形態と整合性のある、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連した温度調節パラメータを決定するための動作の流れ図400を示す。これらの動作を、例えば、メモリコントローラロジック110及び/又は時間区間持続幅ロジック112を含む、メモリコントローラ104などのメモリコントローラにより実施してもよい。流れ図400は、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連した温度調節パラメータを決定するように構成される例示的な動作を示している。特に、流れ図400は、本明細書で説明するように、メモリアクセスに関連付けられたメモリアドレスに関連した温度調節パラメータを決定して、温度によるRC時定数の変動を吸収するように構成された、例示的な動作を示している。
【0049】
流れ図400の動作は、動作402から開始することができる。動作402は、温度調節パラメータを決定することを含む。温度調節パラメータは、本明細書で説明するように、動作温度に関係している。例えば、温度調節パラメータを、1つ以上の動作温度において測定された結合構造体の抵抗に少なくとも部分的に基づいて決定してもよい。温度調節パラメータを、1つ以上のメモリセルに対して決定してもよい。温度調節パラメータを、動作404において、メモリアドレス識別子に関連付けてもよい。温度調節パラメータ及び関連付けられたメモリアドレス識別子を、動作406において、パラメータ記憶部に記憶してもよい。プログラムフローは、動作408で戻ってもよい。
【0050】
したがって、温度調節パラメータはメモリアドレスに関連付けられる。温度調節パラメータは、メモリアレイ内の複数のメモリセルに対して、温度による結合構造体の抵抗の変動及びRC時定数の変動を吸収するように構成される。
【0051】
図2図4は一実施形態に従った様々な動作を示しているが、図2図3、及び/又は図4に示された動作の全てが必ずしも他の実施形態では必要ではないことは言うまでもない。実際に、本開示の他の実施形態では、図2図3、及び/若しくは図4で示された動作並びに/又は本明細書で説明された他の動作が、どの図面にも特に示されてはいないが依然として本開示と完全に整合性のある態様で組み合わされる場合があることも、本明細書では完全に企図されている。したがって、1つの図面に厳密には示されていない機能及び/又は動作に向けられている請求項が、本開示の範囲及び内容の範囲内にあるとみなされる。
【0052】
本明細書の任意の実施形態で使用されるように、「ロジック」という用語は、上述の動作のいずれかを実施するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指すことがある。
【0053】
ソフトウェアは、ソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又は非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記録されたデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリデバイスにハードコードされた(例えば、不揮発性の)、コード、命令若しくは命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。
【0054】
本明細書の任意の実施形態で使用されるように、「回路」は、例えば、物理的に組み込まれた回路、1つ以上の個々の命令処理コアを備えたコンピュータプロセッサなどのプログラマブル回路、ステートマシン回路、及び/又はプログラマブル回路により実行される命令を記憶したファームウェアを、単独で又は任意の組み合わせで含んでもよい。ロジックは、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォン、等のより大きなシステムの一部を形成する回路として、集合的に又は個別に具現化されることでもよい。
【0055】
実施形態によっては、ハードウェア記述言語を使用して、本明細書に記載する様々なロジック及び/又は回路のための回路及び/又はロジックの実装を指定する場合がある。例えば、一実施形態では、ハードウェア記述言語は、本明細書で説明する1つ以上の回路及び/又はロジックの半導体製造を可能にすることができる、超高速集積回路(VHSIC)ハードウェア記述言語(VHDL)に準拠することができる又は互換性をもつことができる。VHDLは、IEEE標準1076−1987、IEEE標準1076.2、IEEE1076.1、VHDL−2006のIEEEドラフト3.0、VHDL−2008のIEEEドラフト4.0、及び/若しくはIEEE VHDL標準の他のバージョン、並びに/又は他のハードウェア記述標準に準拠する場合がある又は互換性をもつ場合がある。
【0056】
したがって、メモリアクセスに関連したメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいて、メモリアクセス時間区間を選択及び/又は調節するように構成されるシステム及び方法について説明した。メモリアクセス時間は、メモリコントローラとメモリセルとの間の結合構造体のRC時定数及びメモリセルの静電容量に関係している。メモリアクセス時間は更に、動作温度に関係している場合がある。次いで、メモリアクセス時間区間は、1つ以上のメモリアドレスに関連付けられてもよい。動作時には、メモリアクセス時間持続時間は、少なくとも部分的にメモリアドレスに基づいて選択されてもよい。次いで、選択されたメモリアクセス時間持続時間は、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて調節されてもよい。したがって、メモリアレイの少なくとも一部に対する平均メモリセルアクセス時間を、最悪の場合のRC時定数に基づくメモリアクセス時間持続時間に比べて改善することができる。
【実施例】
【0057】
本開示の実施例は、以下で説明するように、メモリアクセスに関連したメモリアドレスに少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間を設定及び/又は選択することに関連した、方法、方法の動作を実施するための手段、機器、又は装置若しくはシステムなどの発明の主題を含む。
【実施例1】
【0058】
この実施例に従うと、メモリアクセス要求の受信に応答してメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択し、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節し、かつ、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するように構成されるメモリコントローラを含む装置が提供され、メモリアクセス動作の持続時間幅は、調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している。
【実施例2】
【0059】
この実施例は実施例1の要素を含み、メモリコントローラは、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定し、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータをメモリアドレス識別子と関連付け、かつ、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び関連付けられたメモリアドレス識別子をパラメータ記憶部に記憶するように更に構成される。
【実施例3】
【0060】
この実施例は実施例1又は2の要素を含み、メモリアクセス動作は、メモリセル読み出し動作及びメモリセル書き込み動作のうちの少なくとも1つを含む。
【実施例4】
【0061】
この実施例は実施例1又は2の要素を含み、メモリアクセス時間区間は、ターゲットノードを初期状態からターゲット状態に遷移させるように構成される事前充電時間区間を含み、この事前充電時間区間の持続時間幅はメモリアレイの結合構造体に関係している。
【実施例5】
【0062】
この実施例は実施例2の要素を含み、メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアレイの結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて予め決められている。
【実施例6】
【0063】
この実施例は実施例2の要素を含み、メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアクセス動作の試行回数に少なくとも部分的に基づいて反復的に決定される。
【実施例7】
【0064】
この実施例は実施例2の要素を含み、メモリコントローラは、メモリアクセス時間区間パラメータを複数のメモリアドレス識別子に関連付けるように構成される。
【実施例8】
【0065】
この実施例は実施例7の要素を含み、複数のメモリアドレス識別子は連続的なメモリ位置に対応する。
【実施例9】
【0066】
この実施例は実施例7の要素を含み、複数のメモリアドレス識別子はメモリアレイの1つの階層内に含まれる複数のメモリ位置に対応する。
【実施例10】
【0067】
この実施例は実施例2の要素を含み、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは1つ以上のトリムバイダイ動作を利用して決定される。
【実施例11】
【0068】
この実施例は実施例2の要素を含み、メモリコントローラは、温度調節パラメータを決定し、その温度調節パラメータをメモリアドレス識別子と関連付け、かつ、その温度調節パラメータをパラメータ記憶部に記憶するように更に構成される。
【実施例12】
【0069】
この実施例は実施例1の要素を含み、メモリコントローラは、現在の動作温度を決定し、かつ、メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて温度調節パラメータを選択するように更に構成され、調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは温度調節パラメータに関係している。
【実施例13】
【0070】
この実施例は実施例11又は12の要素を含み、温度調節パラメータは、メモリアドレス識別子に関連した結合構造体の温度による抵抗の変化に関係している。
【実施例14】
【0071】
この実施例は実施例11又は12の要素を含み、温度調節パラメータは、温度依存調節係数(AF(T))、温度による結合構造体の抵抗の変化率(ΔR/ΔT)、ΔTに関連しかつ結合構造体の抵抗の変化率に関連している温度範囲、結合構造体の抵抗の変化率及び/又は基準動作温度(Tnom)に関連した換算係数(SF)、のうちの1つ以上を含む。
【実施例15】
【0072】
この実施例に従うと、メモリコントローラにより、メモリアクセス要求の受信に応答してメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択するステップと、メモリコントローラにより、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節するステップと、メモリコントローラにより、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するステップと、を含む方法が提供され、メモリアクセス動作の持続時間幅は、調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している。
【実施例16】
【0073】
この実施例は実施例15の要素を含み、更に、メモリコントローラにより、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定するステップと、メモリコントローラにより、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータをメモリアドレス識別子と関連付けるステップと、メモリコントローラにより、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び関連付けられたメモリアドレス識別子をパラメータ記憶部に記憶するステップと、を含む。
【実施例17】
【0074】
この実施例は実施例15の要素を含み、メモリアクセス動作は、メモリセル読み出し動作及びメモリセル書き込み動作のうちの少なくとも1つを含む。
【実施例18】
【0075】
この実施例は実施例15の要素を含み、メモリアクセス時間区間は、ターゲットノードを初期状態からターゲット状態に遷移させるように構成されるプリチャージ時間区間を含み、この事前充電時間区間の持続時間幅はメモリアレイの結合構造体に関係している。
【実施例19】
【0076】
この実施例は実施例15の要素を含み、メモリアレイは3次元のメモリアーキテクチャを含む。
【実施例20】
【0077】
この実施例は実施例16の要素を含み、メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアレイの結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて予め決められている。
【実施例21】
【0078】
この実施例は実施例16の要素を含み、メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアクセス動作の試行回数に少なくとも部分的に基づいて反復決定される。
【実施例22】
【0079】
この実施例は実施例16の要素を含み、メモリコントローラは、メモリアクセス時間区間パラメータを複数のメモリアドレス識別子に関連付けるように構成される。
【実施例23】
【0080】
この実施例は実施例22の要素を含み、複数のメモリアドレス識別子は連続的なメモリ位置に対応する。
【実施例24】
【0081】
この実施例は実施例22の要素を含み、複数のメモリアドレス識別子はメモリアレイの1つの階層内に含まれる複数のメモリ位置に対応する。
【実施例25】
【0082】
この実施例は実施例16の要素を含み、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは1つ以上のトリムバイダイ動作を利用して決定される。
【実施例26】
【0083】
この実施例は実施例16の要素を含み、メモリコントローラにより、温度調節パラメータを決定するステップと、メモリコントローラにより、その温度調節パラメータをメモリアドレス識別子と関連付けるステップと、メモリコントローラにより、その温度調節パラメータをパラメータ記憶部に記憶するステップと、を更に含む。
【実施例27】
【0084】
この実施例は実施例15の要素を含み、メモリコントローラにより、現在の動作温度を決定するステップと、メモリコントローラにより、メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて温度調節パラメータを選択するステップとを更に含み、調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは温度調節パラメータに関係している。
【実施例28】
【0085】
この実施例は実施例26の要素を含み、温度調節パラメータは、メモリアドレス識別子に関連した結合構造体の温度による抵抗の変化に関係している。
【実施例29】
【0086】
この実施例は実施例26の要素を含み、温度調節パラメータは、温度依存調節係数(AF(T))、温度による結合構造体の抵抗の変化率(ΔR/ΔT)、ΔTに関連しかつ結合構造体の抵抗の変化率に関連している温度範囲、結合構造体の抵抗の変化率及び/又は基準動作温度(Tnom)に関連した換算係数(SF)、のうちの1つ以上を含む。
【実施例30】
【0087】
この実施例に従うと、プロセッサと、プロセッサを周辺機器に結合するように構成されるチップセットと、複数のメモリセルを含むメモリアレイと、メモリコントローラとを含むシステムが提供される。メモリコントローラは、メモリアクセス要求の受信に応答してメモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいてメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを選択し、現在の動作温度に少なくとも部分的に基づいて、選択されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを調節し、かつ、要求されたメモリアクセス動作をメモリアレイ上で実施するように構成され、メモリアクセス動作の持続時間幅は、調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータに関係している。
【実施例31】
【0088】
この実施例は実施例30の要素を含み、メモリコントローラは、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータを決定し、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータをメモリアドレス識別子と関連付け、かつ、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータ及び関連付けられたメモリアドレス識別子をパラメータ記憶部に記憶するように更に構成される。
【実施例32】
【0089】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリアクセス動作は、メモリセル読み出し動作及びメモリセル書き込み動作のうちの少なくとも1つを含む。
【実施例33】
【0090】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリアクセス時間区間は、ターゲットノードを初期状態からターゲット状態に遷移させるように構成される事前充電時間区間を含み、この事前充電時間区間の持続時間幅はメモリアレイの結合構造体に関係している。
【実施例34】
【0091】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリアレイは3次元(3D)のメモリアーキテクチャを含む。
【実施例35】
【0092】
この実施例は実施例34の要素を含み、メモリアレイは3D NANDフラッシュメモリを含む。
【実施例36】
【0093】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリアレイは、相変化メモリ(PCM)、3次元クロスポイント型メモリ、抵抗性メモリ、ナノワイヤーメモリ、強誘電体トランジスタランダムアクセスメモリ(FeTRAM)、NAND又はNORなどのフラッシュメモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、メモリスタ技術を組み込んだメモリ、及びスピントランスファートルク(STT)−MRAM、のうちの少なくとも1つを含む。
【実施例37】
【0094】
この実施例は実施例34の要素を含み、メモリアレイは、垂直積層アレイトランジスタメモリ、多層垂直ゲートNANDフラッシュメモリ、垂直セルテラビットセルアレイトランジスタNANDフラッシュメモリ、パイプ形状BiCS(Bit Cost Scalable)NANDフラッシュメモリ、ワンタイムプログラマブルダイオード/アンチヒューズメモリ、垂直抵抗メモリ(VRRAM(登録商標))、及び3D垂直チェーンセル型相変化メモリ、のうちの少なくとも1つを含む。
【実施例38】
【0095】
この実施例は実施例31の要素を含み、メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアレイの結合構造体の形状に少なくとも部分的に基づいて予め決められている。
【実施例39】
【0096】
この実施例は実施例31の要素を含み、メモリアクセス時間区間パラメータは、メモリアクセス動作の試行回数に少なくとも部分的に基づいて、反復決定される。
【実施例40】
【0097】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリコントローラは、メモリアクセス時間区間パラメータを複数のメモリアドレス識別子に関連付けるように構成される。
【実施例41】
【0098】
この実施例は実施例40の要素を含み、複数のメモリアドレス識別子は連続的なメモリ位置に対応する。
【実施例42】
【0099】
この実施例は実施例40の要素を含み、複数のメモリアドレス識別子はメモリアレイの1つの階層内に含まれる複数のメモリ位置に対応する。
【実施例43】
【0100】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリセルはシングルレベルセルである。
【実施例44】
【0101】
この実施例は実施例30又は31の要素を含み、メモリセルはマルチプルレベルセルである。
【実施例45】
【0102】
この実施例は実施例31の要素を含み、メモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは1つ以上のトリムバイダイ動作を利用して決定される。
【実施例46】
【0103】
この実施例は実施例31の要素を含み、メモリコントローラは、温度調節パラメータを決定し、その温度調節パラメータをメモリアドレス識別子と関連付け、かつ、その温度調節パラメータをパラメータ記憶部に記憶するように更に構成される。
【実施例47】
【0104】
この実施例は実施例30の要素を含み、メモリコントローラは、現在の動作温度を決定し、かつ、メモリアドレス識別子に少なくとも部分的に基づいて温度調節パラメータを選択するように更に構成され、調節されたメモリアクセス時間区間の持続時間幅のパラメータは温度調節パラメータに関係している。
【実施例48】
【0105】
この実施例は実施例46又は47の要素を含み、温度調節パラメータは、メモリアドレス識別子に関連した結合構造体の温度による抵抗の変化に関係している。
【実施例49】
【0106】
この実施例は実施例46又は47の要素を含み、温度調節パラメータは、温度依存調節係数(AF(T))、温度による結合構造体の抵抗の変化率(ΔR/ΔT)、ΔTに関連しかつ結合構造体の抵抗の変化率に関連している温度範囲、結合構造体の抵抗の変化率及び/又は基準動作温度(Tnom)に関連した換算係数(SF)、のうちの1つ以上を含む。
【実施例50】
【0107】
本開示の別の実施例は、請求項15〜29のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された少なくとも1つのデバイスを含むシステムである。
【実施例51】
【0108】
本開示の別の実施例は、請求項15〜29のいずれか一項に記載の方法を実施する手段を含むデバイスである。
【0109】
様々な特徴、態様、及び実施形態を本明細書で説明した。これらの特徴、態様、及び実施形態は、当業者によって理解されるように、変形及び修正に加えて、互いに組み合わせることが可能である。したがって、本開示は、そのような組み合わせ、変形、及び修正を包含するものとして考えられるべきである。
図1
図2
図3
図4