特許第6374612号(P6374612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6374612-リチウム空気電池 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374612
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】リチウム空気電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/08 20060101AFI20180806BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 4/96 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01M12/08 K
   H01M2/16 P
   H01M4/86 B
   H01M4/96 B
   H01M4/96 M
   H01M4/92
   H01M4/90 M
   H01M4/90 B
   H01M2/16 L
   H01M2/16 F
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-543695(P2017-543695)
(86)(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公表番号】特表2018-500751(P2018-500751A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】KR2016000317
(87)【国際公開番号】WO2016117873
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年5月2日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0010018
(32)【優先日】2015年1月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウン・キョン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】トゥ・キョン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ミ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ギ・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ウック・イ
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−011915(JP,A)
【文献】 特表2014−517473(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0171527(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0268327(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0001170(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/08、2/16、4/86−4/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を正極活物質として用いる空気極;
前記正極と離隔して配置される負極;
前記正極と負極と間に介在される分離膜;及び
電解質;を含み、
前記空気極は、ガス拡散層及び前記ガス拡散層の表面を第1導電材でコーティングする第1導電材コーティング層を含み、
前記分離膜は、前記分離膜の表面を第2導電材でコーティングする第2導電材コーティング層を含み、
前記分離膜の第2導電材コーティング層と前記空気極の第1導電材コーティング層は、対向するように配列されるものである、リチウム空気電池。
【請求項2】
前記空気極のガス拡散層は、炭素布、カーボン紙、炭素フェルト、酸素選択的透過性膜及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つを含むものである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【請求項3】
前記空気極のガス拡散層は、多孔性集電体を更に含むものである、請求項2に記載のリチウム空気電池。
【請求項4】
前記負極は、リチウム金属、有機物又は無機化合物で処理されたリチウム金属錯体、リチウム化された金属−カーボン錯体及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【請求項5】
前記分離膜は、ポリエチレン分離膜、ポリプロピレン分離膜、ガラス繊維分離膜及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【請求項6】
前記電解質は、水系電解質、非水系電解質、有機固体電解質、無機固体電解質及びこれらの混合形態からなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【請求項7】
前記第1導電材又は前記第2導電材は、それぞれ独立して、カーボンブラック、ケッチェンブラック、スーパーP、デンカブラック、アセチレンブラック、活性炭素粉末、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤー、微細気孔を有している活性炭、メソポーラスカーボン、グラファイト、銅粉末、銀粉末、ニッケル、アルミニウム粉末、ポリフェニレン誘導体及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【請求項8】
前記空気極は、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Au、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mo、W、Zr、Zn、Ce、La金属、前記金属の酸化物及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つの触媒を更に含むものである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【請求項9】
前記分離膜の第2導電材コーティング層と前記空気極の第1導電材コーティング層は、互いに直接的に接触されるものである、請求項に記載のリチウム空気電池。
【請求項10】
前記分離膜の第2導電材と前記空気極の第1導電材は、異なる物質からなるものである、請求項1に記載のリチウム空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム空気電池に関し、さらに詳しくは、導電材の使用量を増加させることによって、電池の放電容量を増加させたリチウム空気電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム空気電池は、重量エネルギー密度が約500Wh/kg以上であり、現在のリチウムイオン電池(200Wh/kg)や次世代リチウムイオン電池(300Wh/kg)に比べて格段に高いため、1回充電で長距離走行が可能な電気車用電池として多くの研究が行われてきている。
【0003】
前記リチウム空気電池は、エネルギー密度が高い反面、充電時過電圧が大きく、サイクル寿命が短いという問題点がある。このような問題を解決するために、特許文献1は、電子伝導性物質(導電材)でコーティングされた炭素布、カーボン紙、炭素フェルト、又は酸素選択的透過性膜で構成される正極を使用する技術を開示している。しかし、前記方法は、コーティングされる導電材の量を増やす場合、導電材層が割れるので、導電材のコーティング量が制限されるしかない。
【0004】
前記リチウム空気電池の長所である高エネルギー密度に到達するためには、面積当たり容量を増やさなければならなく、現在の制限された導電材のコーティング量では放電容量を十分に増加させ難く、過電圧問題の解決及びサイクル寿命向上にも大きく寄与するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2013−0001170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の前述のような問題を解決するためのものであり、十分な量の導電材を使用することによって、放電容量の向上及びサイクル寿命の向上効果を提供することができるリチウム空気電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によれば、酸素を正極活物質として用いる空気極;前記正極と離隔して配置される負極;前記正極と負極と間に介在される分離膜;及び電解質;を含むリチウム空気電池を提供する。
【0008】
このとき、前記空気極は、ガス拡散層及び前記ガス拡散層の表面を第1導電材でコーティングする第1導電材コーティング層を含み、前記分離膜は、前記分離膜の表面を第2導電材でコーティングする第2導電材コーティング層を含む。
【0009】
前記空気極のガス拡散層は、炭素布、カーボン紙、炭素フェルト、酸素選択的透過性膜及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つを含んでいてもよい。
【0010】
前記空気極のガス拡散層は、多孔性集電体を更に含んでいてもよい。
【0011】
前記負極は、リチウム金属、有機物又は無機化合物で処理されたリチウム金属錯体、リチウム化された金属−カーボン錯体及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0012】
前記分離膜は、ポリエチレン分離膜、ポリプロピレン分離膜、ガラス繊維分離膜及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0013】
前記電解質は、水系電解質、非水系電解質、有機固体電解質、無機固体電解質及びこれらの混合形態からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0014】
前記第1導電材又は前記第2導電材は、それぞれ独立して、カーボンブラック、ケッチェンブラック、スーパーP、デンカブラック、アセチレンブラック、活性炭素粉末、炭素分子体、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤー、微細気孔を有している活性炭、メソポーラスカーボン、グラファイト、銅粉末、銀粉末、ニッケル、アルミニウム粉末、ポリフェニレン誘導体及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0015】
前記空気極は、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Au、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mo、W、Zr、Zn、Ce、La金属、前記金属の酸化物及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つの触媒を更に含んでいてもよい。
【0016】
前記分離膜の第2導電材コーティング層と前記空気極の第1導電材コーティング層は、対向するように配列されていてもよい。
【0017】
前記分離膜の第2導電材コーティング層と前記空気極の第1導電材コーティング層は、互いに直接的に接触されていてもよい。
【0018】
前記分離膜の第2導電材と前記空気極の第1導電材は、異なる物質からなっていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のリチウム空気電池は、正極の表面及び分離膜の表面に導電材をコーティングし、十分な量の導電材を使用することによって、向上された放電容量を提供し、サイクル寿命の向上効果を提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のリチウム空気電池の一実施例を模式的に示した図である。
図2】本発明の試験例1で実施例1、比較例1及び2で製造されたコインセルの放電容量を測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付した図面を参照して、詳細に説明する。しかし本発明は、種々異なる形態で具現することができ、ここで、説明する実施例に限定されない。
【0022】
本明細書で使用される用語「空気(air)」とは、大気空気に制限されなく、酸素を含む気体の組み合わせ、又は純粋酸素気体を含む意味である。このような用語「空気」に対する広い定義が全ての用途、例えば、空気電池、空気正極などに適用され得る。
【0023】
本発明の一実施例に係るリチウム空気電池は、図1に示されたように、酸素を正極活物質として用いる空気極10、前記正極と離隔して配置される負極20、前記正極と負極と間に介在され、導電材でコーティングされた分離膜30、及び電解質(不図示)を含む。
【0024】
このとき、前記空気極10は、ガス拡散層11及び前記ガス拡散層11の表面を第1導電材でコーティングする第1導電材コーティング層10−1を含み、前記導電材でコーティングされた分離膜30は、分離膜31及び前記分離膜31の表面を第2導電材でコーティングする第2導電材コーティング層30−1を含む。
【0025】
前記リチウム空気電池が、前記第1導電材コーティング層10−1及び前記第2導電材コーティング層30−1を含むことを除いては、前記リチウム空気電池に関する他の構成は、この分野で公知されたものを適用することができる。
【0026】
前記空気極10のガス拡散層11は、特に限定されないが、炭素布、カーボン紙、炭素フェルト、酸素選択的透過性膜(メンブレイン)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つを含んでいてもよい。
【0027】
前記空気極10は、前記多孔性集電体の表面に、炭素布、カーボン紙、炭素フェルト、又は酸素選択的透過性膜などのガス拡散層11を付着方法で製造される。しかし、このような方法に本発明が限定されるものではない。
【0028】
また、前記空気極10は、集電体(不図示)を選択的に更に含んでいてもよい。この場合、前記ガス拡散層11は、以下のように形成することができる。例えば、炭素物質或いは炭素物質と触媒を溶媒に分散させ、ニッケルフォーム(foam)のような多孔性3次元集電体に押込む方法、ソニケーションを利用して活物質を多孔性集電体に決着させる方法、活物質をシート状に製造し、多孔性集電体表面に付着する方法などが挙げられる。
【0029】
前記多孔性集電体としては、3次元構造のニッケルフォーム(foam)、平面構造のニッケルメッシュ、アルミニウムメッシュ、カーボン紙(carbon paper)、炭素フォーム、アルミニウムフォーム及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0030】
また、前記空気極10は、酸素の酸化/還元のための触媒を選択的に更に含んでもよく、このような触媒は、例えば、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Au、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mo、W、Zr、Zn、Ce、La金属、前記金属の酸化物及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0031】
また、前記触媒は、担体に担持されていてもよい。前記担体は、酸化物、ゼオライト、粘土系鉱物、カーボン及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。前記酸化物は、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどの酸化物や、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、Tm、Yb、Sb、Bi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、W及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つの金属を含む酸化物であってもよい。前記カーボンは、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック類、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などの黒鉛類、活性炭類、炭素繊維類などであってもよいが、必ずこれらに限定されなく、当該技術分野で担体としても散られるものであればいずれであってもよい。
【0032】
前記負極20は、リチウムを吸蔵及び放出できる物質からなっていてもよく、具体的に、リチウム金属、有機物又は無機化合物で処理されたリチウム金属錯体、リチウム化された金属−カーボン錯体及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つで構成されていてもよい。
【0033】
前記負極20は、選択的に集電体(不図示)を更に含んでもよく、前記集電体としては、この分野で公知されたものを制限なく使用することができる。例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウムなどの金属板又はカーボン紙等を使用することができる。前記集電体は、酸化を防止するために耐酸化性の金属又は合金皮膜で被覆されていてもよい。
【0034】
前記分離膜31は、特に限定されないが、ポリエチレン分離膜、ポリプロピレン分離膜、ガラス繊維分離膜及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つを含んでいてもよい。
【0035】
前記電解質は、特に限定されないが、水系電解質、非水系電解質、有機固体電解質、無機固体電解質及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つの電解質が挙げられる。
【0036】
前記非水系電解質は、非プロトン性溶媒を含んでいてもよい。前記非プロトン性溶媒には、例えば、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アミン系又はホスフィン系溶媒が挙げられる。
【0037】
前記エーテル系溶媒は、非環式エーテル(acyclic ethers)又は環状エーテル(cyclic ethers)を含むものである。
【0038】
非制限的な例において、前記非環式エーテルは、1,2−ジメトキシエタン(1,2−dimethoxyethane)、1,2−ジエトキシエタン(1,2−diethoxyethane)、1,2−ジブトキシエタン(1,2−dibuthoxyethane)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(diethylene glycol dimethyl ether)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(diethylene glycol diethyl ether)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triethylene glycol dimethyl ether)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(triethylene glycol diethyl ether)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether)、テトラエチレングリコールジエチルエーテル(tetraethylene glycol diethyl ether)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)及びジメチルアセトアミド(N,N−dimethyl acetamide)からなる群から選ばれた1種以上の化合物であってもよい。
【0039】
また、非制限的な例において、前記環状エーテルは、1,3−ジオキソラン(1,3−dioxolane)、4,5−ジメチル−ジオキソラン(4,5−dimethyl−dioxolane)、4,5−ジエチル−ジオキソラン(4,5−diethyl−dioxolane)、4−メチル−1,3−ジオキソラン(4−methyl−1,3−dioxolane)、4−エチル−1,3−ジオキソラン(4−ethyl−1,3−dioxolane)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−methyl tetrahydrofuran)、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン(2,5−dimethyl tetrahydrofuran)、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(2,5−dimethoxy tetrahydrofuran)、2−エトキシテトラヒドロフラン(2−ethoxy tetrahydrofuran)、2−メチル−1,3−ジオキソラン(2−methoxy−1,3−dioxolane)、2−ビニル−1,3−ジオキソラン(2−vinyl−1,3−dioxolane)、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(2,2−dimethyl−1,3−dioxolane)、2−メトキシ−1,3−ジオキソラン(2−methoxy−1,3−dioxolane)、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン(2−ethyl−2−methyl−1,3−dioxolane)、テトラヒドロピラン(tetrahydropyran)、1,4−ジオキサン(1,4−dioxane)、1,2−ジメトキシベンゼン(1,2−dimethoxy benzene)、1,3−ジメトキシベンゼン(1,3−dimethoxy benzene)、1,4−ジメトキシベンゼン(1,4−dimethoxy benzene)、及びイソソバイドジメチルエーテル(isosorbide dimethyl ether)からなる群から選ばれた1種以上の化合物であってもよい。
【0040】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルファイド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などが使用されていてもよい。
【0041】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiS等のLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使われることができる。
【0042】
前記電解質には前記電解質上に分散したリチウム塩が含まれていてもよい。
【0043】
前記リチウム塩としては、リチウム空気電池に通常的に適用可能なものであれば特に制限なく使用することができる。好ましくは、前記リチウム塩は、LiSCN、LiBr、LiI、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiCHSO、LiCFSO、LiClO、Li(Ph)、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(SFO、及びLiN(CFCFSOからなる群から選ばれるいずれか一つの化合物であってもよい。
【0044】
また、前記電解質はLiI、NaI及びKIからなる群から選ばれるいずれか一つの酸化還元媒介体(redox mediator)を選択的に更に含んでいてもよい。前記電解質が、前記酸化還元媒介体を更に含む場合、前記リチウム空気電池の充電時過電圧を低減することができる。
【0045】
前記電解質は、前記導電材でコーティングされた分離膜30に含浸されて存在してもよく、前記導電材でコーティングされた分離膜30以外にも前記空気極10又は、前記負極20にも一部吸収されて存在してもよい。
【0046】
前記ガス拡散層11の表面をコーティングする第1導電材と、前記分離膜31の表面をコーティングする第2導電材は、特に限定されないが、それぞれ独立して、カーボンブラック、ケッチェンブラック、スーパーP、デンカブラック、アセチレンブラック、活性炭素粉末、炭素分子体、炭素ナノチューブ、炭素ナノワイヤー、微細気孔を有している活性炭、メソポーラスカーボン、グラファイト、銅粉末、銀粉末、ニッケル、アルミニウム粉末、ポリフェニレン誘導体及びこれらの混合物からなる群から選ばれるいずれか一つが使用されていてもよい。
【0047】
このとき、前記第1導電材コーティング層10−1が含む前記第1導電材と前記第2導電材コーティング層30−1が含む前記第2導電材は、異なる物質からなっていてもよい。前記第1導電材としては、前記空気極10で引き起こされる反応性を向上させることができる導電材を使用することが好ましく、前記第2導電材としては、前記分離膜31と前記空気極10の界面抵抗を低減することができる導電材を使用することが好ましい。
【0048】
前記第1導電材コーティング層10−1と前記第2導電材コーティング層30−1を形成する方法は、例えば、減圧ろ過法、浸漬法、スクリーンプリンティング法、金属の熱蒸発を利用した真空熱蒸着、電子ビームを利用した真空電子ビーム蒸着、スパッタリングによる蒸着又は化学蒸着などこの分野に公知された多様な薄膜製造工程が使用され得る。
【0049】
また、図1に示されるように、前記第1導電材コーティング層10−1と前記第2導電材コーティング層30−1は、互いに隣接して積層されていてもよい。即ち、前記導電材でコーティングされた分離膜30の前記第2導電材コーティング層30−1と前記空気極10の前記第1導電材コーティング層10−1は対向するように配列されていてもよく、好ましくは、前記導電材でコーティングされた分離膜30の前記第2導電材コーティング層30−1と前記空気極10の前記第1導電材コーティング層10−1は、互いに直接的に接触されていてもよい。前記第2導電材コーティング層30−1と前記第1導電材コーティング層10−1が、互いに接触し、対向するように配列される場合、十分な量と厚さの導電材を使用することによって、リチウム空気電池の放電容量とサイクル寿命を向上させることができる。
【0050】
以下、発明の理解を助けるために好ましい実施例及び比較例を提示する。しかし、下記実施例は発明を例示するためだけのものであり、発明をこれらに限定されるものではない。
【0051】
[製造例:リチウム空気電池の製造]
(実施例1:リチウム空気電池の製造)
導電材であるスーパーPをカーボン紙に0.412mg/cm量でコーティングして空気極を製造し、スーパーPをPE分離膜の片面に、0.626mg/cmの量でコーティングし、分離膜を製造した。負極としては、150μm厚さのリチウム金属を準備し、エーテル系溶媒であるテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)に、リチウム塩として1.0MのLiN(CFSOを添加し、電解質溶液を製造した。前記電解質に前記分離膜を含浸させた。
【0052】
前記製造された空気極、負極、電解質に含浸された分離膜を分離膜のスーパーPコーティング面と空気極のスーパーPコーティング面が対向するように、電池ケースに収納し、リチウム空気電池を製造した。
【0053】
(比較例1:リチウム空気電池の製造)
導電材であるスーパーPをカーボン紙に、0.674mg/cm量でコーティングして空気極を製造し、PE分離膜と負極として150μm厚さのリチウム金属を準備し、エーテル系溶媒であるテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)に、リチウム塩として1.0MのLiN(CFSOを添加し、電解質溶液を製造した。電解質に前記分離膜を含浸させた。
【0054】
前記製造された空気極、負極、電解質に含浸された分離膜を分離膜のスーパーPコーティング面と空気極のスーパーPコーティング面が対向するように電池ケースに収納し、リチウム空気電池を製造した。
【0055】
(比較例2:リチウム空気電池の製造)
カーボン紙を空気極として製造し、スーパーPをPE分離膜の片面に0.669mg/cm量でコーティングして分離膜を製造した。負極としては150μm厚さのリチウム金属を準備し、エーテル系溶媒であるテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)にリチウム塩として1.0MのLiN(CFSOを添加し、電解質溶液を製造した。前記電解質に前記分離膜を含浸させた。
【0056】
前記製造された空気極、負極、電解質に含浸された分離膜を分離膜のスーパーPコーティング面と空気極のスーパーPコーティング面が対向するように電池ケースに収納し、リチウム空気電池を製造した。
【0057】
[試験例:リチウム空気電池の性能試験]
実施例1及び比較例1〜2で製造されたリチウム空気電池の放電容量を測定するために、電気化学的測定が可能なボックス内に挿入した。ボックスは、1atm酸素圧力、25℃の恒温が維持されるようにした。
【0058】
放電容量は、ボックス外部に連結された正極と負極の電線を利用して、電気化学的方法で測定しており、それぞれのセルはコーティングされたカーボン量対比100mA/gの電流を流して放電容量を測定した。
【0059】
前記実験結果は図2に示した。
【0060】
図2に示されたように、分離膜又は空気極一面のみに導電材がコーティングされた比較例1及び比較例2の電池は、略同等の放電容量を示した反面、分離膜と空気極の両面に導電材がコーティングされ、比較例1及び2に比べて二倍の量の導電材を含む実施例1の電池は、比較例1及び比較例2の電池より略2倍の放電容量を示した。前記の結果から本願発明のリチウム空気電池は、非常に顕著な面積当たり放電容量を有していることを確認することができた。
【0061】
また、比較例1及び比較例2の電池で、略同じ量の導電材がそれぞれ異なるコーティング面にコーティング材として使用されたことから、面積当たり放電容量は導電材のコーティング面の状態に影響されなく、使用された導電材の量に影響されることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、リチウム空気電池に関するものであり、前記リチウム空気電池は、正極の表面及び分離膜の表面に導電材をコーティングし、十分な量の導電材を使用することによって、放電容量及びサイクル寿命に優れる。
【0063】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれらに限定されるものではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0064】
10 空気極
10−1 第1導電材コーティング層
20 負極
30 導電材でコーティングされた分離膜
30−1 第2導電材コーティング層
31 分離膜
図1
図2