(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374743
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】色域変換装置および色域変換方法
(51)【国際特許分類】
H04N 9/64 20060101AFI20180806BHJP
H04N 1/46 20060101ALI20180806BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
H04N9/64 Z
H04N1/46
G06T1/00 510
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-194498(P2014-194498)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-66902(P2016-66902A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年7月31日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
(72)【発明者】
【氏名】正岡 顕一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 有希子
(72)【発明者】
【氏名】西田 幸博
【審査官】
大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−010889(JP,A)
【文献】
特開2000−354171(JP,A)
【文献】
特開2013−131921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00−1/40
G06T 3/00−5/50
G06T 9/00−9/40
G09G 5/00−5/36
G09G 5/377−5/42
H04N 1/40−1/409
H04N 1/46−1/62
H04N 9/44−9/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広色域の表色系で取得した映像におけるハイライト部の黄色の色度点を、該広色域の表色系よりも色域が狭い狭色域の表色系の映像における、対応する黄色の色度点に変換する色域変換装置において、
前記広色域の表色系における黄色の色度点を、CIELAB色空間のa*-b*平面における色度点として設定し、該設定された色度点のa*値を該a*-b*平面上で所定値だけ変化させて、所定のシフト点に移動せしめる色度点移動手段と、
該色度点移動手段によって移動された前記所定のシフト点を、該シフト点および前記a*-b*平面における原点を結ぶ同一位相直線と、前記狭色域の外形線との交点に移動せしめて、前記狭色域の対応する黄色の色度点として設定する狭色域対応点変換手段と、
を備えていることを特徴とする色域変換装置。
【請求項2】
前記色度点移動手段は、前記広色域の黄色の色度点の明度が所定の値以上のハイライト部である該色度点を移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の色域変換装置。
【請求項3】
前記色度点移動手段による、前記広色域の黄色の色度点の前記所定のシフト点までの移動量が下式(C1)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の色域変換装置。
P≒−kb(tan((α-90)-tan(β-90)) (C1)
ここで、bは、シフト点のb*値であり、kは、スケーリングファクタであり、
αは、広色域黄色の色相角であり、βは、狭色域黄色の色相角である。
【請求項4】
前記広色域がスーパーハイビジョンの色域であり、前記狭色域がハイビジョンの色域であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の色域変換装置。
【請求項5】
広色域の表色系で取得した映像におけるハイライト部の黄色の色度点を、該広色域の表色系よりも色域が狭い狭色域の表色系の映像における、対応する黄色の色度点に変換する場合に、
前記広色域の表色系における黄色の色度点を、CIELAB色空間のa*-b*平面における色度点として設定し、該設定された色度点のa*値を該a*-b*平面上で所定値だけ変化させて、所定のシフト点に移動せしめ、
この後、該所定のシフト点と前記a*-b*平面における原点とを結ぶ同一位相直線と、前記狭色域の外形線との交点を、狭色域の対応する黄色の色度点として設定することを特徴とする色域変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スーパーハイビジョンに代表される広色域表色系で撮影した映像を、それよりも狭色域表色系のハイビジョン映像などに変換(ダウンコンバート)する色域変換装置および色域変換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーハイビジョン(以下、省略するときはSHVと称する)では、3原色がスペクトル軌跡上に位置した広色域表色系を用いることがITU-R勧告BT.2020(以下、Rec.2020と称する)に規定されている。一方、ハイビジョン(以下、省略するときはHVと称する)では、ITU-R勧告BT.709(以下、Rec.709)で定められた、SHVよりも狭い色域の表色系を用いている。このため、SHV映像をHV映像にコンバートする際に色域変換が必要となる。
【0003】
広色域から狭色域に変換する最も単純な方法として、広い色域には含まれるが狭い色域からは外れるRGB値を、狭い色域の所定値にクリップする手法が知られている。これは、広色域のRGB値に所定の3×3リニアマトリクスを掛けて狭色域RGB値に変換した後に、レンジ外の値(例えば、8bitレベルで16以上254以下の値)をレンジ端値にクリップする(例えば、16や254に設定する)手法である。
しかし、この手法は知覚的な色空間における変換ではないため、変換後の映像の色相や明度の変化を伴い不自然な画像になる場合がある。
【0004】
より映像品質を重視した変換手法においては、明度、彩度および色相が予測できる色空間モデルを用いる。一般的には広色域のRGB値をCIELAB等の知覚的均等色空間における値に変換し、色相を一定に保持しつつ彩度を下げて、狭色域の色空間内にマッピングする変換を行う(非特許文献1を参照)。
【0005】
ここで、CIELAB色空間における、上記色域変換の例を
図6に示す。
なお、
図6(a)は横軸に彩度C
*をとり、縦軸に明度L
*をとった場合の座標系を示すものであり、
図6(b)は横軸にa
*をとり、縦軸にb
*をとった場合の座標系を示すものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Jan Morovic "Color Gamut Mapping", 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、明度一定の条件下におけるRec.2020色域からRec.709色域への変換では、基準白レベル(8bitレベルで235)を超える黄色で、彩度が著しく低下してしまう。
すなわち、広色域の色度を、明度は一定としつつ彩度を下げて色域変換した場合、黄色の彩度低下が著しく、SHV表色系では黄色として表現される色がHV表色系では白に近い色に変換され(白つぶれ状態となり)、映像制作者の制作意図を良好に表現することが困難という問題があった。
【0008】
このことは、等明度(L
*=104)におけるRec.2020色域とRec.709色域の境界を示す
図7を見ると、Rec.2020色域の黄色は、このRec.2020色域の黄色および原点を結ぶ破線矢印と、Rec.709色域の外形線との交点に色域変換されることとなり、黄色の彩度が著しく低下していることが明らかである。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、広色域の黄色の色度点を、狭色域の黄色の色度点に変換した場合にも、彩度が著しく低下する状況を回避することができ、映像制作者の制作意図を良好に表現し得る色域変換装置および色域変換方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の色域変換装置は、
広色域の
表色系で取得した映像におけるハイライト部の黄色の色度点を、
該広色域の表色系よりも色域が狭い狭色域の
表色系の映像における、対応する黄色の色度点に変換する色域変換装置において、
前記広色域の表色系における黄色の色度点を、CIELAB色空間のa
*-b
*平面における色度点
として設定し、該設定された色度点のa
*値を
該a*-b*平面上で所定値だけ変化させて、所定のシフト点に移動せしめる色度点移動手段と、
該色度点移動手段によって移動された前記所定のシフト点を、該シフト点および前記a
*-b
*平面における原点を結ぶ同一位相直線と、前記狭色域の外形線との交点に移動せしめて、前記狭色域の対応する黄色の色度点として設定する狭色域対応点変換手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
この場合において、前記色度点移動手段は、前記広色域の黄色の色度点の明度が所定の値以上のハイライト部である該色度点を移動させるように構成されていることが好ましい。
【0011】
さらに、前記色度点移動手段による、前記広色域の黄色の色度点の前記所定のシフト点までの移動量が、下式(C1)で表されることが好ましい。
P≒−kb(tan((α-90)-tan(β-90)) (C1)
ここで、bは、シフト点のb
*値であり、kは、スケーリングファクタであり、
αは広色域黄色の色度点の色相角であり、βは狭色域黄色の色度点の位相角である。
【0012】
また、前記広色域をスーパーハイビジョンの色域とし、前記狭色域がハイビジョンの色域とすることが一例として挙げられる。
【0013】
また、本発明の色域変換方法は、
広色域の
表色系で取得した映像におけるハイライト部の黄色の色度点を、
該広色域の表色系よりも色域が狭い狭色域の
表色系の映像における、対応する黄色の色度点に変換する場合に、
前記広色域の表色系における黄色の色度点を、CIELAB色空間のa
*-b
*平面における色度点
として設定し、該設定された色度点のa
*値を
該a*-b*平面上で所定値だけ変化させて、所定のシフト点に移動せしめ、
この後、該所定のシフト点と前記a
*-b
*平面における原点とを結ぶ同一位相直線と、前記狭色域の外形線との交点を、狭色域の対応する黄色の色度点として設定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
CIELAB色空間のa
*-b
*平面において、一部を除くほとんどの明度でSHVの規格であるRec.2020の黄色(R信号値とG信号値を等しくしたときの色)の色相は98.9度となり、一方、HVの規格であるRec.709の黄色の色相は102.9度となる。
これらの色相の角度は、各々が一定した値となり、各々、この一定した値の色相の色で彩度が最も高くなる。
【0015】
ところで、色相98.9度の黄色を、この色度点とa
*-b
*平面における原点とを結ぶ直線上で移動させ、この直線と狭色域の外形線との交点を、狭色域の対応する黄色の色度点に変換すると、この直線と狭色域の外形線との交点は、
図7からも明らかなように、大略台形状、または三角形状をなす、狭色域の外形線において右側部の下方に位置することになる。
【0016】
そこで、本発明の装置および方法によれば、まず第1に、CIELAB色空間のa
*-b
*平面における色度点のa
*値を所定値だけ減少させて、所定のシフト点に移動せしめ、第2に、該所定のシフト点と原点とを結ぶ同一位相直線と、前記狭色域の外形線との交点を、狭色域の対応する黄色の変換点として設定しており、この直線と狭色域の外形線との交点は、大略台形状または三角形状をなす狭色域の外形線において最も彩度が高い上底または頂点に位置させることができる。
【0017】
広色域の黄色の色点を、狭色域の黄色の色点に変換した場合にも、彩度が著しく低下する状況を回避することができ、映像制作者の制作意図を良好に表現することが可能となる。
なお、色域変換によっても、高彩度を維持できる一方で、色相は4度程度、増加したものとなるが、ハイライト部の黄色のR値、G値は元々飽和気味で、そもそも正しく色相を表現することにあまり意味を持たず、実際の自然画で4°程度の色相の変化は問題とならない。
このように、本発明の色域変換装置および色域変換方法によれば、彩度の著しい低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る色域変換装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る色域変換方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る色域変換装置および色域変換方法の作用効果を説明するためのグラフである。
【
図4】シフト量のスケーリングファクタ(k)の値を表すグラフである。
【
図5A】a
*値をシフトさせた際のRec.2020色域の境界線(点線)(L
*=96)を示すグラフである。
【
図5B】a
*値をシフトさせた際のRec.2020色域の境界線(点線)(L
*=100)を示すグラフである。
【
図5C】a
*値をシフトさせた際のRec.2020色域の境界線(点線)(L
*=104)を示すグラフである。
【
図6】CIELAB色空間での色域変換の例を示す概略図である。
【
図7】等明度(L
*=104)におけるRec.2020色域とRec.709色域の各領域を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、上記図面を参照しながら説明する。
【0020】
スーパーハイビジョン(SHV)では、広い色域が規定されているため、SHVの映像をHVの映像として用いる場合には、広い色域から狭い色域への色域変換が必要となる。
本実施形態において、このような色域変換は、
図1に示す色域変換装置によって行われる。
すなわち、この色域変換装置10は、SHV広色域の各色度点を、HV狭色域の色度点に変換する装置であって、信号入力部11と、色度点移動手段12と、狭色域対応点変換手段13と、信号出力部14とを備えている。
【0021】
信号入力部11は、パソコン等から入力されたSHV用映像信号を色度点移動手段12に供給するものである。
また、色度点移動手段12は、CIELAB色空間のa
*-b
*平面における色度点のa
*値を所定値だけ減少させて、該色度点を所定のシフト点に移動せしめるものである。
【0022】
また、狭色域対応点変換手段13は、色度点シフト手段12によって移動せしめられた所定のシフト点を、このシフト点および前記a
*-b
*平面における原点を結ぶ同一位相直線と、前記狭色域の外形線との交点に移動せしめて、前記狭色域の対応する黄色の色度点として設定する。
【0023】
また、信号出力部14は、狭色域対応点変換手段13で変換されたHV狭色域の映像信号を装置10の外部に出力するものである。なお、色域変換装置10を構成する各部は、実際には、CPUや各種メモリを含むハード的な手段と、これらのメモリに格納されたプログラムからなるソフト的な手段とを組み合わせて構成される。
ここで、色域を変換するとは、具体的には、SHV広色域の各色度点の色度を、所定の変換式や所定の変換テーブルを用いてHV狭色域の色度点の色度に変換することを意味する。
【0024】
次に、
図2に示すフローチャートを用いて、本発明の実施形態に係る色域変換方法を説明するとともに上記色域変換装置10の動作について説明する。
まず、外部からのSHVの映像信号は、まず信号入力部11に入力され(S1)、次に、SHVの映像信号中の黄色(特にハイライト部)の画素点を抽出し、その画素点の広色域中の色度点について、CIELAB色空間のa
*-b
*平面上でa
*値を所定値だけ減少させて、所定のシフト点に移動せしめる(S2)。
【0025】
次に、所定のシフト点を、後述する手法を用いて、狭帯域の対応する同一色相の黄色の色度点に変換する(S3)。
これにより、黄色(特にハイライト部)の画素点について、画素点の彩度が著しく低下するという事態を回避しつつ、広色域の色度点から狭色域の色度点への変換が行われる。
【0026】
この後、黄色の画素についての色度点の変換が行われた映像信号は、次段に出力される(S4)。なお、黄色以外のその他の色相の画素についての、広色域から狭色域への色域変換処理は、本色域変換装置10において上記の変換と同時に行ってもよいし、別途の処理工程において行っても良い。
【0027】
以下、上記S2(ステップ2)および上記S3(ステップ3)の動作について、
図3および
図4を用いて、より詳細に説明する。なお、
図3は、明度L
*を104に設定した場合の例を示すものである。
【0028】
ステップ2では、CIELAB色空間のa
*-b
*平面におけるSHV黄色の色度点21のa
*値を、
図3に示すように、所定値だけ減少(負方向にシフト)させて、シフト点22に移動させる。
図3においては、大略台形状のSHV(Rec.2020)色域の外形線と、これよりも全体的に縮小された、三角形状のHV(Rec.709)色域の外形線が示されており、SHV黄色の色度点21は、a
*軸から原点25周りの角度で98.9度、かつSHV(Rec.2020)色域の外形線の上底上の点として位置する。
【0029】
このSHV黄色の色度点21(色域の外形線が三角形状の場合は、三角形の頂点に合致する)をa
*軸と平行に図上で左方向に移動させてa
*値を減少させ、a
*軸から原点25周りの角度で102.9度になるように位置させる。この位置させた点がシフト点22である。
【0030】
上記色度点21から上記シフト点22までのシフト量Pは、下式(A1)で表される。
P≒−kb(tan(102.9-90)-tan(98.9-90)) (A1)
ここで、bは、シフト点22のb
*値であり、kは、スケーリングファクタである。
【0031】
スケーリングファクタkは、
図4に示す例では、明度が0〜93程度までは0に固定され、93程度〜100の間で直線的に1まで立ち上がり、100以上では1に固定される。このような形状のスケーリングファクタkを上式(1)の要素とした結果、黄色の明度が極めて高い領域(ハイライト部)のみで、上記シフト処理が行われるように設定される。
【0032】
また、ステップ3では、このようにして設定されたシフト点22を、HV色域の色度点に変換する。
すなわち、
図3の例で示すように、シフト点22とa
*-b
*平面の原点25とを直線で結んで得られた直線dが、HV色域の外形線と交差する点を変換点A(23)とし、シフト点22をこの変換点A(23)に変換する。
【0033】
このとき変換点A(23)は、三角形状をなす、HV色域の外形線の頂点に位置することになる(b
*値が大きいほど彩度が高い)ため、明度の高い黄色の色度点をHV色域の色度点に変換した場合にも、変換点の彩度が著しく低下する状況を回避することができ、高い彩度を持つことが重要となる明度が高い黄色の領域についても、映像制作者の制作意図を良好に表現することが可能となる。
【0034】
これに対し、本実施形態のようなシフト処理を行わない従来技術においては、SHV黄色の色度点21とa
*-b
*平面の原点25とを直線で結んで得られた
図3の線分cが、HV色域の外形線と交差する点を変換点B(24)とし、SHV黄色の色度点21をこの変換点B(24)に変換している。このため、黄色の変換点の彩度が著しく低下してしまい、映像制作者の制作意図を良好に表現することが難しい。このような従来技術との比較からも、本実施形態の有用性は明らかである。
【0035】
また、黄色は色相が多少ずれても、知覚されにくい、という特性を持つため、上述したように、SHV黄色の色度点21からシフト点22までの移動量が数度程度であれば、映像制作者が、制作意図と異なったとの感覚を持つことはない。
なお、本実施形態においては、
図3に示す線分dが、HV色域の外形線の上底(色域の外形線が大略台形状の場合)または頂点(色域の外形線が三角形状の場合)と交差し得るように、SHV黄色の色度点21からシフト点22までの移動量を予め設定しておき、このシフト量を、テーブルまたは数式の状態でメモリに記憶させておくことが望ましい。
【0036】
図5A、5B、5Cは、明度L
*を、各々、96、100、104に設定した場合において、SHV色域の外形線と、HV色域の外形線と、シフト処理を行った後のSHV色域の外形線(破線で示されている)と、を示す概略図である。各図において、SHV黄色の色度点21と変換点A(23)の位置関係が示されており、変換点A(23)は、大略台形状をなすHV色域の外形線の上底、もしくは三角形状をなすHV色域の外形線の頂点に位置することになる。いずれも、変換後の彩度が確保されていることが明らかである。
【0037】
なお、上記実施形態においては、SHV黄色の色度点21をa
*軸と平行に図上で左方向に移動させてa
*値を減少させる処理を行うようにしているが、変換する前後の色域によっては、色度点21をa
*軸と平行に図上で右方向に移動させてa
*値を増加させる処理を行う場合があるが、そのような場合にも上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 色域変換装置
11 信号入力部
12 色度点移動手段
13 狭色域対応点変換手段
14 信号出力部
21 SHV黄色の色度点
22 シフト点
23 変換点A
24 変換点B
25 原点