特許第6374778号(P6374778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374778
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】アクリル系樹脂ペレット
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20180806BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20180806BHJP
   C08F 297/02 20060101ALI20180806BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   C08L53/00
   C08L33/10
   C08F297/02
   C09J153/00
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-243029(P2014-243029)
(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-104830(P2016-104830A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】金村 英明
【審査官】 水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−253005(JP,A)
【文献】 特開2009−167312(JP,A)
【文献】 特開2006−274131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00−13/08
C08J 3/00−3/28
C08J 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件(c1)〜(c3)を備えるアクリル系ブロック共重合体(C)のペレットに、下記要件(d1)〜(d3)を備えるアクリル系粉体(D)を付着させたアクリル系樹脂ペレット。
アクリル系ブロック共重合体(C):
(c1)メタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックAを少なくとも1つと、アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックBを少なくとも1つ有する;
(c2)重合体ブロックAの含有量が10〜35質量%である;
(c3)分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である。
アクリル系粉体(D):
(d1)メタクリル酸アルキルエステル単位を有し、非架橋型である、メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体からなる;
(d2)前記メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の重量平均分子量(Mw)が10,000〜60,000である;
(d3)平均粒子径が5〜50μmである。
【請求項2】
前記アクリル系ブロック共重合体(C)100質量部に対し、前記アクリル系粉体(D)を0.01〜0.5質量部付着させた請求項1に記載のアクリル系樹脂ペレット。
【請求項3】
アクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体に含まれるメタクリル酸アルキルエステル単位が、メタクリル酸メチル単位である、請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂ペレット。
【請求項4】
前記アクリル系樹脂ペレットの最大径が2mm以上8mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレット。
【請求項5】
前記アクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単位を有する共重合体がランダム共重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレットを成形してなる成形体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレットを有機溶剤に溶解してなる溶剤型粘着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐ブロッキング性に優れるアクリル系樹脂ペレット、及びこれから得られる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル系ブロック共重合体は、柔軟性及び透明性を有し、成形材、粘着剤など種々の用途での検討が進められてきている。この、アクリル系ブロック共重合体などのアクリル系軟質重合体は、工業的には取扱い性などを考慮して、大きさが1mm〜10mm程度の球形、円柱形、角柱形など所望の形状のペレットとして取り扱われることが一般的である。しかし、このアクリル系軟質重合体のペレットの集合物をある程度の時間放置すると、そのアクリル系軟質重合体に含まれる軟質成分などに由来して、自重などによりペレットの膠着、いわゆるブロッキングを起こし、取扱い上問題を生じる場合がある。このような柔軟性を有する重合体のペレットのブロッキングを抑制する方法として、ペレットの製造時又は製造後に、滑剤に代表されるブロッキング防止剤を添加する方法が従来から知られている。
【0003】
アクリル系ブロック共重合体をはじめとするアクリル系軟質重合体のペレットについても、ブロッキング防止剤の添加により、ブロッキング防止性能を発揮させることが検討されている。例えば、特許文献1では、アクリル系ブロック共重合体のペレットをアンダーウォーターカット方式又はストランドカット方式で製造する際に、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、アルミナ、水酸化アルミ、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、及びアクリル系高分子粉体から選ばれる滑剤を冷却水に含有させ、その冷却水によりペレットを冷却する際にアクリル系ブロック共重合体の表面にその滑剤を付着する方法が検討されている。また、特許文献2では、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を含む軟質樹脂ペレットに、シリコーン系ワックス、オレフィンワックス、縮合重合系ワックス、脂肪酸、脂肪酸金属、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどの滑剤を付着させる方法が検討されている。
【0004】
また、特許文献3では、粘着性を有するアクリル樹脂ペレットに、平均粒子径2.5μm以下の粉体を自着防止剤としてペレット表面に被覆した自着防止剤被覆ペレットが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−253005号公報
【特許文献2】特開2000−302937号公報
【特許文献3】特開2009−167312号公報
【特許文献4】特開平11−335432号公報
【特許文献5】特公平7−25859号公報
【特許文献6】特開平6−93060号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Macromol.Chem.Phys.,2000,201,p1108〜1114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、滑剤として脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、ワックス、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、アルミナなどを用いた場合には、透明性の高い成形品を製造できない場合があり、また、そのアクリル系ブロック共重合体から溶液型粘着剤を作製した場合に、均一溶解性に問題がある場合があった。また、二酸化ケイ素を膠着防止剤と使用した場合にも、アクリル系ブロック共重合体から溶液型粘着剤を作製した場合に、溶剤への溶解性に問題がある場合があった。
【0008】
さらに、アクリル系高分子粉体を用いる場合でも、耐ブロッキング性に優れるペレットが得られない場合、透明性に優れる成形品が得られない場合、溶液型粘着剤を作製した際に溶剤への溶解性に問題がある場合などがあった。
【0009】
しかして、本発明の目的は、耐ブロッキング性が高く、取扱い性に優れるだけでなく、得られる成形品の透明性が高く、また得られる溶剤型粘着剤の溶剤への溶解性に優れ、透明性が要求される用途などに好適なアクリル系ブロック共重合体ペレットを含むアクリル系樹脂ペレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記目的は、
[1]下記要件(c1)〜(c3)を備えるアクリル系ブロック共重合体(C)のペレットに、下記要件(d1)〜(d3)を備えるアクリル系粉体(D)を付着させたアクリル系樹脂ペレット;
アクリル系ブロック共重合体(C):
(c1)メタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックAを少なくとも1つと、アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックBを少なくとも1つ有する;
(c2)重合体ブロックAの含有量が10〜35質量%である;
(c3)分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である;
アクリル系粉体(D):
(d1)メタクリル酸アルキルエステル単位を有し、非架橋型である、メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体からなる;
(d2)前記メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の重量平均分子量(Mw)が10,000〜60,000である;
(d3)平均粒子径が5〜50μmである;
[2]前記アクリル系ブロック共重合体(C)100質量部に対し、前記アクリル系粉体(D)を0.01〜0.5質量部付着させた[1]に記載のアクリル系樹脂ペレット;
[3]アクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体に含まれるメタクリル酸アルキルエステル単位が、メタクリル酸メチル単位である、請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂ペレット;
[4]前記アクリル系樹脂ペレットの最大径が2mm以上8mm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレット;
[5]前記アクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単位を有する共重合体がランダム共重合体である、[1]〜[4]のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレット;
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレットを成形してなる成形体;及び
[7][1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系樹脂ペレットを有機溶剤に溶解してなる溶剤型粘着剤;
を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアクリル系樹脂ペレットは耐ブロッキング性が高く、取扱い性に優れる。また、該アクリル系樹脂ペレットから得られる成形品は透明性が高く、例えば意匠性が要求される用途などに好適である。さらに、本発明のアクリル系樹脂ペレットを原料とした溶剤型粘着剤は溶剤への溶解性に優れ、得られる粘着製品は透明性が高い。したがって、本発明のアクリル系樹脂ペレットは透明性が要求される用途などに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書では、メタクリルとアクリルを総称して「(メタ)アクリル」と記載することがある。また、本明細書において「粘着剤」とは「感圧接着剤(pressure-sensitive adhesive)」を意味する。
【0013】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(C)は、メタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックAを少なくとも1つと、アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックBを少なくとも1つ有する(要件(c1))。
【0014】
上記重合体ブロックAの構成単位であるメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルが好ましく、経済的に入手容易な点、得られる重合体ブロックAが耐久性と耐候性に優れる点などから、メタクリル酸メチルがより好ましい。
【0015】
上記重合体ブロックAの構成単位であるメタクリル酸アルキルエステル単位は、1種単独で構成されていてもよいし、2種類以上から構成されてもよい。重合体ブロックA中に含まれるメタクリル酸アルキルエステル単位の割合は、重合体ブロックA中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロックAはメタクリル酸アルキルエステル単位100質量%であってもよい。
【0016】
上記重合体ブロックAには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位が含まれていてもよい。かかる他の単量体としては、例えばメタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル等のメタクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の、官能基を有するメタクリル酸エステル;後述するアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル等のアクリル酸アルコキシアルキルエステル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の、官能基を有するアクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の、官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。これら単量体を用いる場合は、通常少量で使用されるが、重合体ブロックAの形成に使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
【0017】
上記重合体ブロックAのガラス転移温度は25℃以上であることが好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。重合体ブロックAのガラス転移温度が上記範囲内であると、ペレットへの加工がしやすく、かつペレットとして保存する際、高温下(例えば50℃)での膠着性が低減する傾向にある。
【0018】
上記アクリル系ブロック共重合体(C)には、重合体ブロックAが2つ以上含まれてもよいが、その場合、それら重合体ブロックAは、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロックAの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1,000〜50,000の範囲にあることが好ましく、4,000〜20,000の範囲にあることがより好ましい。重合体ブロックAの重量平均分子量(Mw)がこの範囲より小さい場合には、得られるアクリル系ブロック共重合体(C)の凝集力が不足する問題がある。また、重合体ブロックAの重量平均分子量(Mw)がこの範囲より大きい場合には、得られるアクリル系ブロック共重合体(C)の溶融粘度が高くなり、アクリル系ブロック共重合体(C)の生産性や、得られるアクリル系樹脂ペレットの成形性などに劣る場合がある。なお、本明細書においてMwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0019】
上記重合体ブロックBの構成単位であるアクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0020】
上記アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の主鎖炭素数が4以下の短鎖アルキル基である場合(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチルなど)には、上記アクリル系ブロック共重合体(C)の流動性、引張り強さが向上する傾向にある。上記アクリル酸アルキルエステルに含まれるアルキル基の主鎖炭素数が6以上の長鎖アルキル基である場合(例えば、アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、及びアクリル酸ステアリルなど)には、上記アクリル系ブロック共重合体(C)の低温特性が向上する傾向にある。
【0021】
上記重合体ブロックBの構成単位であるアクリル酸アルキルエステル単位は、1種単独で構成されていてもよいし、2種類以上から構成されてもよい。重合体ブロックB中に含まれるアクリル酸アルキルエステル単位の割合は、重合体ブロックB中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロックBはアクリル酸アルキルエステル単位100質量%であってもよい。
【0022】
上記重合体ブロックBには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位を含有していてもよい。かかる単位を構成する他の単量体としては、例えば重合体ブロックAの部分で述べた、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないメタクリル酸エステル、官能基を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないアクリル酸エステル、官能基を有するアクリル酸エステル、カルボキシル基を有するビニル系単量体、官能基を有するビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、共役ジエン系単量体、オレフィン系単量体、ラクトン系単量体等が挙げられる。これら単量体を用いる場合は、通常少量で使用されるが、重合体ブロックAの形成に使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
【0023】
上記重合体ブロックBのガラス転移温度は−20℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましい。
重合体ブロックBのガラス転移温度が上記範囲内であると、低温領域でも柔軟性および粘着剤としての特性に優れるアクリル系樹脂ペレットが得られる。重合体ブロックBのガラス転移温度が上記好適範囲内となり、入手が容易である点からは、上記アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチルが好ましい。
【0024】
上記アクリル系ブロック共重合体(C)には、重合体ブロックBが2つ以上含まれてもよいが、その場合、それら重合体ブロックBは、同一であっても異なっていてもよい。
また、アクリル系ブロック共重合体(C)中の重合体ブロックAと重合体ブロックBとのガラス転移温度の差は、70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
【0025】
上記アクリル系ブロック共重合体(C)は、重合体ブロックAを「A」;重合体ブロックBを「B」;としたときに、一般式:
(A−B)n
(A−B)n−A
B−(A−B)n
(A−B)n−Z
(B−A)n−Z
(式中、nは1〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。また、上記nの値は、1〜15であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。上記の構造の中でも、(A−B)n、(A−B)n−A、B−(A−B)nで表される直鎖状のブロック共重合体が好ましく、A−Bで表されるジブロック共重合体又はA−B−Aで表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
【0026】
上記アクリル系ブロック共重合体(C)では、重合体ブロックAの含有量が10〜35質量%である(要件(c2))。
重合体ブロックAの含有量が10質量%未満であると、アクリル系ブロック共重合体(C)の流動性が高く液状であったり、アクリル系ブロック共重合体(C)からペレットを製造する際、例えばアンダーウォーターカッターなどでカットしてもペレット形状を維持することができない場合がある。重合体ブロックAの含有量が35質量%を超えると、柔軟性に優れるアクリル系樹脂ペレットが得られなくなる傾向がある。
【0027】
アクリル系ブロック共重合体(C)における重合体ブロックAの含有量は、柔軟性に優れるアクリル系樹脂ペレットを得る観点からは、10〜25質量%であることが好ましく、10〜18質量%であることがより好ましい。
【0028】
後述するアクリル系粉体(D)との相容性、得られるアクリル系樹脂ペレットの加工性の観点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜300,000であることが好ましく、20,000〜200,000であることがより好ましく、25,000〜170,000であることがさらに好ましく、30,000〜150,000であることがよりさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)が10,000未満であると、アクリル系ブロック共重合体(C)の凝集力が不十分となり、得られる成形品、粘着製品耐久性に劣る場合がある。また、成形品又は粘着製品の表面にアクリル系ブロック共重合体(C)がブリードするなど不具合が生じる場合がある。一方、アクリル系ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)が300,000を超えると、溶融粘度が高くなりすぎ生産性、加工性に劣る。また、後述するアクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単独重合体又はメタクリル酸アルキルエステル共重合体との相容性が低くなり、得られる成形品又は粘着製品の透明性が不十分であったり、得られる成形品又は粘着製品の物性にムラが生じたりする。
【0029】
上記アクリル系ブロック共重合体(C)では、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である(要件(c3))。アクリル系ブロック共重合体(C)のMw/Mnが上記範囲にあることにより、成形時の金型汚染を抑制したり、粘着剤として使用した場合に凝集力が高いと同時に、被着体の汚染を抑制することができる。上記の観点から、Mw/Mnは1.0〜1.4であることがより好ましく、1.0〜1.3であることがさらに好ましい。なお、本明細書においてMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
【0030】
アクリル系ブロック共重合体(C)の製造方法は特に制限されず、公知の方法に準じた製造方法により製造できる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位であるモノマーをリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(例えば、特許文献4を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩などの鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(例えば、特許文献5参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合する方法(例えば、特許文献6を参照)、原子移動ラジカル重合方法(ATRP)(例えば、非特許文献1参照)などが挙げられる。
【0031】
上記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合する方法は、重合途中の失活が少ないのでホモポリマーの混入が少なく、得られるブロック共重合体の透明性が高い。また、モノマーの重合転化率が高いので、ブロック共重合体中の残存モノマーが少なく、アクリル系ブロック共重合体(C)からなるペレットを作製する際、気泡の発生を抑制できる。さらに、メタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックの分子構造が高シンジオタクチックとなり、得られるアクリル系樹脂ペレットの耐久性を高める効果がある。そして、比較的温和な温度条件下でリビングアニオン重合が可能なことから、工業的に生産する場合に、環境負荷(主に重合温度を制御するための冷凍機にかかる電力)が少なくて済む利点がある。以上の点から、アクリル系ブロック共重合体(C)は、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法によって好ましく製造される。
【0032】
上記した有機アルミニウム化合物の存在下でのリビングアニオン重合方法としては、例えば、有機リチウム化合物、及び下記一般式(3)
AlR123 (3)
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基又はN,N−二置換アミノ基を表すか、或いはR1が上記したいずれかの基であり、R2及びR3が一緒になって置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を形成している。)
で表される有機アルミニウム化合物の存在下に、必要に応じて、反応系内に、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4などのエーテル化合物;トリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2'−ジピリジルなどの含窒素化合物をさらに添加して、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合させる方法を採用することができる。
【0033】
上記した有機リチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、テトラメチレンジリチウムなどのアルキルリチウム又はアルキルジリチウム;フェニルリチウム、キシリルリチウムなどのアリールリチウム又はアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウムなどのアラルキルリチウム又はアラルキルジリチウム;リチウムジイソプロピルアミドなどのリチウムアミド;メトキシリチウム、などのリチウムアルコキシドを挙げることができる。
【0034】
また、上記の一般式(3)で表される有機アルミニウム化合物としては、重合のリビング性の高さや取扱いの容易さなどの点から、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムなどが好ましい。
【0035】
上記アクリル系ブロック共重合体(C)は、ペレットとして用いられる。アクリル系ブロック共重合体(C)からなるペレットは、上記アクリル系ブロック共重合体(C)を、例えば溶融押出ししてストランドとし、アンダーウォーターカッター、センターホットカッター、ストランドカッターなどによりカットして、ペレットとすることにより製造できる。なお、上記ペレットは、後述するアクリル系粉体(D)を付着することができる限り、その形態については特に制限はないが、通常、略円柱状又は略球状(楕円体)の形態を有し、アクリル系ブロック共重合体(C)のペレットの最大径は、2mm〜8mmであることが好ましく、2mm〜6mmであることがより好ましい。ペレットの最大径は、各形状に応じ、略円柱の場合は最大円柱高さ、略球状の場合は楕円体の最長辺を、市販の長さゲージによる測定により求めることができる。
【0036】
上記ペレット中に含まれるアクリル系ブロック共重合体(C)の含有量は、ペレット中、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0037】
さらに、上記ペレットを作製する際には、アクリル系ブロック共重合体(C)の特性が損なわれない範囲で、上記アクリル系ブロック共重合体(C)に加えて、必要に応じて配合する添加剤、例えば後述する粘着付与樹脂、可塑剤、軟化剤なども配合し、これら混合物からペレットを作製してもよい。
【0038】
本発明で用いるアクリル系粉体(D)は、メタクリル酸アルキルエステル単位を有し、非架橋型である、メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又はメタクリル酸アルキルエステル共重合体からなるものである(要件(d1))。メタアクリル酸アルキルエステル単独重合体は、メタアクリル酸アルキルエステル1種を単独重合することにより得られる。メタアクリル酸アルキルエステル共重合体は、メタアクリル酸アルキルエステル2種以上又はメタアクリル酸アルキルエステルとメタアクリル酸アルキルエステル以外の他の単量体とを共重合することにより得られるものである。また、これら単独重合体又は共重合体は非架橋型であることに特徴がある。ここで非架橋型とは、重合体中に架橋構造(例えば多官能(メタ)アクリレート単位に由来する架橋構造、(メタ)アクリル酸エステル単位に含まれるカルボニル基が関与する架橋構造)を含まないことを意味し、メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又はメタクリル酸アルキルエステル共重合体を良溶媒(例えばトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)に溶解した際に、不溶分が残らない重合体をいう。
このような非架橋の重合体は、(モノ)メタクリル酸エステルを含む単官能単量体を溶液重合、分散重合等することにより製造することができる。
【0039】
上記メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の原料となる単官能メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。中でも、経済性、入手容易性、得られる粘着剤が耐久性及び耐候性に優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。該単独重合体は、これらメタクリル酸アルキルエステル1種類のみを重合することにより得られ、該共重合体は、これら2種類以上の混合物又はメタクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステル以外の他の単量体を共重合することにより得られる。
【0040】
メタクリル酸アルキルエステル共重合体は、その構成単位として、メタクリル酸アルキルエステル単位を45質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが特に好ましい。メタクリル酸アルキルエステル単位、典型的にはメタクリル酸メチルが上記範囲になることにより、本発明のアクリル系樹脂ペレットの耐ブロッキング性がより優れる傾向になる。
【0041】
メタクリル酸アルキルエステル共重合体を構成するメタクリル酸アルキルエステル以外の他の単量体単位としては単官能単量体が好ましい。該単官能単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、及びアクリル酸ステアリルなどのアクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン化合物;アクリル酸;メタクリル酸などが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸アルキルエステル以外の他の単量体単位としてはアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸がより好ましい。
【0042】
アクリル系粉体(D)となる重合体が、メタクリル酸アルキルエステル共重合体である場合、共重合体の形態には特に制限はなく、例えばランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及び交互共重合体などが挙げられる。中でも、耐ブロッキング性がより優れる点及び入手容易性の観点からは、メタクリル酸アルキルエステルランダム共重合体が好ましく、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸ランダム共重合体が特に好ましい。
【0043】
また、アクリル系粉体となるメタクリル酸アルキルエステル単独重合体又はメタクリル酸アルキルエステルランダム共重合体の立体規則性については特に制限はなく、イソタクチック、ヘテロタクチックあるいはシンジオタクチックであるものを用いることができる。
【0044】
上記アクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜60,000である(要件(d2))。Mwがこのような範囲にあることにより、アクリル系ブロック共重合体(C)との相容性が良好で、成形体、あるいは、溶剤型粘着剤とした場合に透明性が高い。また、アクリル系ブロック共重合体(C)との相容性と耐ブロッキング性とのバランスの点から、Mwは20,000〜60,000であることが好ましく、20,000〜50,000であることがより好ましい。
【0045】
アクリル系粉体(D)となるメタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の製造方法は、特に限定されないが、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法などが挙げられる。また、メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体は、2種以上の異なる組成の重合体、異なる製造方法により得られた重合体の混合物であってもよい。重合時に用いられる開始剤としてはラジカル重合開始剤が好ましく、該ラジカル重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスγ−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、パーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物が挙げられる。重合開始剤は、メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の製造に用いる全単量体100質量部に対して、通常、0.05〜0.5質量部用いられる。重合は、通常50〜140℃の温度で、通常2〜20時間行う。メタクリル酸アルキルエステル単独重合体又は共重合体の分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、エチルチオグリコエート、メルカプトエタノール、チオ−β−ナフトール、チオフェノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、全単量体に対し通常0.005〜0.5質量%の範囲で使用される。
【0046】
上記アクリル系粉体(D)は、平均粒子径が5〜50μmである(要件(d3))。平均粒子径がこのような範囲にあることにより、ペレットに効率的に付着することができ、耐ブロッキング性に優れる。耐ブロッキング性と透明性のバランスの観点から、アクリル系粉体(D)の平均粒子径は5〜35μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。なお、アクリル系粉体(D)の平均粒径は、一般的なレーザー回折・散乱法により測定された体積平均粒子径(メジアン径D50)を意味する。このような平均粒径を有するアクリル系粉体は、例えば上述のようにして重合体を得た後に、必要に応じて該重合体を湿式凍結粉砕法などにより粉砕した後に、所望の粒径の範囲となるようにふるい等を用いて分級することにより製造できる。
【0047】
本発明のアクリル系樹脂ペレットは、アクリル系ブロック共重合体(C)のペレットに、アクリル系粉体(D)を付着させることにより得られる。付着は、例えばアクリル系ブロック共重合体(C)のペレットとアクリル系粉体(D)とをドライブレンドすることにより行うことができる。ドライブレンドは、例えば一般的なリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機により行うことができる。
【0048】
アクリル系ブロック共重合体(C)のペレットに対するアクリル系粉体(D)の付着量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、アクリル系粉体(D)の付着量は、アクリル系ブロック共重合体(C)100質量部に対し、0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがより好ましく、0.2〜0.5質量部であることが好ましい。
【0049】
また、上記アクリル系樹脂ペレットには、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維等の繊維補強剤、無機充填剤等が含まれていてもよい。
【0050】
本発明のアクリル系樹脂ペレットは、種々の用途に用いることができる。
例えば、上記アクリル系樹脂ペレットは取扱い性に優れるため、熱可塑性重合体における一般的な成形加工方法により、所望の成形体を得ることができる。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形などの加熱溶融を経る成形加工法により、型物、パイプ、シート、フイルム、繊維状物、該重合体からなる層を含む積層体等の任意の形状の成形品を得ることができる。
【0051】
このようにして得られる成形体は透明性が高く、例えば厚さが3mmの成形体(典型的には板状の成型体)とした場合に、ヘイズが好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下である。
【0052】
このような本発明のアクリル系樹脂ペレットから得られる成形体は、透明性、耐候性などに優れるため、食品包装シート、キャップライナーなどの食品包装材用途;日用雑貨用途;スキー靴等のスキー用具;ゴルフボールの外皮、コア材などの運動用具又は玩具用途;デスクマットなどの文具用途;バンパーガードなどの自動車内外装用途;土木シート、防水シート、窓枠シーリング材、建築物用シーリング材などの土木建築用途;掃除機用コーナーバンパー、冷蔵庫用ドアシールなどの家電機器用途;AV機器用途;OA事務機器用途;靴底、トップリフト等の履き物・衣料用品用途;テキスタイル用途;医療用機器用途などとして種々の用途に用いることができる。
【0053】
また、上記アクリル系樹脂ペレットを有機溶剤に溶解したものは、例えば、溶剤型粘着剤として用いることができる。該溶液型粘着剤はアクリル系樹脂ペレットを有機溶媒に混合して溶解した後、該有機溶媒を留去することにより粘着剤として用いることができる。溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、エチルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、トルエン−エタノール混合溶媒等が挙げられる。なかでもトルエン、エチルベンゼン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましい。
【0054】
上記溶液型粘着剤中のアクリル系樹脂ペレットの濃度は、粘着剤の溶媒に対する溶解度、得られる溶液の粘度等を考慮して適宜決定されるが、好ましくは5質量%以上であり、好ましくは80質量%以下である。また、本発明の粘着剤を溶液型粘着剤として用いる場合には、従来の溶液型粘着剤に比べて溶液粘度が低く、粘着剤の濃度を60質量%以上に高めて塗工することもでき、有機溶媒の使用量を削減することができる。
【0055】
上記溶液型粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体、粘着付与樹脂、軟化剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染色剤、屈折率調整剤、フィラー、硬化剤などの添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0056】
溶液型粘着剤から溶媒を除去する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができるが、複数の段階に分けて乾燥を行うことが好ましい。複数の段階に分けて乾燥を行う場合には、1段階目の乾燥は、溶媒の急激な揮発による発泡を抑制するために、比較的低い温度で行い、2段階目以降の乾燥は、十分に溶媒を除去するために、高温で乾燥を行う方法がより好ましい。
【0057】
このようにして得られる溶液型粘着剤は、種々の用途に使用できる。また該粘着剤からなる粘着層は、単体で粘着シートとして使用できるし、該粘着層を含む積層体も種々の用途に適用できる。例えば、表面保護用、マスキング用、結束用、包装用、事務用、ラベル用、装飾・表示用、接合用、ダイシングテープ用、シーリング用、防食・防水用、医療・衛生用、ガラス飛散防止用、電気絶縁用、電子機器保持固定用、半導体製造用、光学表示フィルム用、粘着型光学フィルム用、電磁波シールド用、又は電気・電子部品の封止材用の、粘着剤、粘着テープやフィルム等が挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例などにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
以下の合成例においては、常法により乾燥精製した薬品を用いた。
【0059】
以下の合成例で合成した各重合体の分子量、分子量分布、組成、各重合体ブロックのガラス転移温度、重合転化率の測定は、以下の方法によって行った。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
・装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
・カラム:東ソー社製「TSKgel GMHXL、G4000HXL」及び「G5000HXL」を直列に連結
・溶離液:テトラヒドロフラン
・溶離液流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
・検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
【0060】
(2)各共重合体における各共重合成分含有量
1H−NMR分光法により求めた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
・溶媒:重クロロホルム
1H−NMRスペクトルにおいて、3.6ppm及び4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH3)及びアクリル酸n−ブチル単位のエステル基(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)に帰属され、その積分値の比によって共重合成分の含有量を求めた。
【0061】
(3)ガラス転移温度(Tg)
DSC測定で得られた曲線において、外挿開始温度(Tgi)をガラス転移温度(Tg)とした。
・装置:メトラー社製「DSC−822」
・条件:昇温速度10℃/分
【0062】
(4)重合転化率
ガスクロマトグラフィー(GC)により求めた。
・機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
・カラム:GL Sciences Inc.製「INERT CAP 1」(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
・分析条件:injection300℃、detecter300℃、60℃(0分保持)→5℃/分で昇温→100℃(0分保持)→15℃/分で昇温→300℃(2分保持)
【0063】
《合成例1》[アクリル系ブロック共重合体(C−1)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素で置換後、室温にてトルエン1040g、1,2−ジメトキシエタン100gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム32mmolを含有するトルエン溶液48gを加え、さらにsec−ブチルリチウム8.1mmolを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル72gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときの反応混合液をサンプリングし、各測定を行った。メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル307gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときの反応混合液をサンプリングし、各測定を行った。アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。この反応混合液に、さらにメタクリル酸メチル72gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール4gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、ブロック共重合体(以下、これを「アクリル系ブロック共重合体(C−1)」と称する)442gを得た。
【0064】
(2)アクリル系ブロック共重合体(C−1)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、PMMA−PnBA−PMMAからなるトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は62,000、数平均分子量(Mn)は52,100であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.19であった。さらに、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)(重合体ブロックA)が32質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロックB(PnBA)(重合体ブロックB)が68質量%であった。また、DSC測定を行った結果、各ブロックのTgは、メタクリル酸メチル重合体ブロック(重合体ブロックA)が104.5℃で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック(重合体ブロックB)が−45.8℃であった。結果を表1に示す。
【0065】
(3)得られたアクリル系ブロック共重合体(C−1)を、市販の押出機で溶融押出し、アンダーウォーターカット方式で平均最大径4.5mmの略円柱状ペレットを得た。得られたペレットは自重でブロッキングする程度に粘着性を有する性状であった。
【0066】
《合成例2》[アクリル系ブロック共重合体(C−2)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素で置換後、室温にてトルエン868g、1,2−ジメトキシエタン43.4gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム40.2mmolを含有するトルエン溶液60.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム5.00mmolを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル35.9gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときの反応混合液をサンプリングし、各測定を行った。メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル240gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときの反応混合液をサンプリングし、各測定を行った。アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。この反応混合液に、さらにメタクリル酸メチル35.9gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール3.50gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、ブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ブロック共重合体(C−2)」と称する]255gを得た。
【0067】
(2)アクリル系ブロック共重合体(C−2)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、PMMA−PnBA−PMMAからなるトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は78,400、数平均分子量(Mn)は72,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。さらに、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(重合体ブロックA)が23.5質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック(重合体ブロックB)が76.5質量%であった。また、DSC測定を行った結果、各ブロックのTgは、メタクリル酸メチル重合体ブロック(重合体ブロックA)が104.2℃で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック(重合体ブロックB)が−46.3℃であった。結果を表1に示す。
【0068】
(3)得られたアクリル系ブロック共重合体(C−2)を、市販の押出機で溶融押出し、アンダーウォーターカット方式で平均最大径4.5mmの略円柱状ペレットを得た。得られたペレットは自重でブロッキングする程度に粘着性を有する性状であった。
【0069】
【表1】
【0070】
《合成例3》[アクリル系粉体(D−1)の合成]
(1)メタクリル酸メチル92質量部、アクリル酸メチル8質量部を、水比1.0で混合、攪拌した。この混合液に、AIBN0.1質量部を加え、懸濁重合した。生成した重合体を精製して、アクリル系ランダム共重合体を得た。重量平均分子量(Mw)は35,800、数平均分子量(Mn)は20,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.74であった。
【0071】
(2)次いで、得られたアクリル系ランダム共重合体を湿式冷凍粉砕した後、目開き440Meshのふるいで分級し、平均粒子径17μmのアクリル系粉体(D−1)を得た。この粉体をトルエンに溶解させることで、非架橋型であることを確認した。結果を表2に示す。
【0072】
《合成例4》[アクリル系粉体(D−2)の合成]
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例3と同様の方法で重合し、アクリル系ランダム共重合体を得た。重量平均分子量(Mw)は66,000、数平均分子量(Mn)は35,900であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.84であった。次いで、得られたアクリル系ランダム共重合体を湿式冷凍粉砕した後、目開き440Meshのふるいで分級し、平均粒子径17μmのアクリル系粉体(D−2)を得た。この粉体をトルエンに溶解させることで、非架橋型であることを確認した。結果を表2に示す。
【0073】
《合成例5》[アクリル系粉体(D−3)の合成]
合成例3で得たアクリル系ランダム共重合体を湿式冷凍粉砕し、平均粒子径93μmのアクリル系粉体(D−3)を得た。この粉体をトルエンに溶解させることで、非架橋型であることを確認した。結果を表2に示す。
【0074】
《合成例6》[アクリル系粉体(D−4)の合成]
(1)容量0.5Lの三口フラスコの内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン245g、1,2−ジメトキシエタン12.2gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム13mmolを含有するトルエン溶液29gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム1.27mmolを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル30.3gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときの反応混合液をサンプリングし、各測定を行った。メタクリル酸メチルの転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル31.2gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときの反応混合液をサンプリングし、各測定を行った。アクリル酸n−ブチルの転化率は99.9%以上であった。メタノール1.67gを添加して重合反応を停止した。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、ブロック共重合体61.2gを得た。
【0075】
(2)上記で得られたブロック共重合体について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、PMMA−PnBAからなるブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は58,500、数平均分子量(Mn)は39,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.47であった。また、ブロック共重合体における各重合体ブロックの含有割合は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(重合体ブロックA)が50.1質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック(重合体ブロックB)が49.9質量%であった。結果を表1に示す。
【0076】
(3)次いで、得られたブロック共重合体を湿式冷凍粉砕した後、目開き440Meshのふるいで分級し、平均粒子径17μmのアクリル系粉体(D−4)を得た。結果を表2に示す。
以下のアクリル系粉体(D−5)及び(D−6)並びにアクリル系粉体以外の粉体(ブロッキング防止剤)(E−1)〜(E−3)は市販品を用いた。詳細は以下の通りである。
(D−5):ケミスノーMP−1000 架橋アクリル粉体(綜研化学株式会社製)
(D−6):ダイヤナールLP−3106 非架橋アクリル粉体(三菱レイヨン株式会社製)
(E−1):アルフローH−50T 脂肪酸アミド(エチレンビスステアリン酸アミド)(日油株式会社製)
(E−2):オーラブライトCA−65 ステアリン酸カルシウム(日油株式会社製)
(E−3):アエロジルR−972 ヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製)
【0077】
【表2】
【0078】
《実施例1》
(1)アクリル系ブロック共重合体(C−1)のペレット100質量部と、アクリル系粉体(D−1)0.03質量部を市販のタンブラーを使用して室温下で10分混合して、アクリル系樹脂ペレットを作製した。得られたアクリル系樹脂ペレット表面には、アクリル系粉体(D−1)が全量付着していた。なお、アクリル系粉体の付着量は、粉体付着前のペレットの質量と粉体付着後のペレットの質量とから算出した。
【0079】
<物性評価>
(2)上記(1)で得られたアクリル系樹脂ペレットをCUSTOM SCIENTIFIC INSTRUMENTS社製ミニマックス成形機CS-183MMX-168にて成形温度190℃で、長さ30mm、幅6mm、厚み3mmの透明試験片を作製した。得られた透明試験片を、23℃、相対湿度50%の室内で24時間以上状態調節した後、アクリル系粉体(D−1)の透明試験片中の分散状態について、均一分散性と透明性を評価した。均一分散性の評価としては、射出成形時の粉体未溶融物による成形不良(流れ模様)の有無、粉体凝集物の有無について、○(成形不良、凝集体もなく、均一に分散している)、×(成形不良、もしくは、凝集体があり、均一に分散していない)で目視評価したところ、○判定であった。また、JIS K7136に準拠し、日本電色工業社製濁度計NDH5000にて透明試験片の厚さ方向の透明性を評価した結果、ヘイズ値(拡散透過率/全光線透過率)が1.8%であった。
【0080】
(3)上記(1)で得られたアクリル系樹脂ペレットを、トルエンに溶解し、固形分濃度30質量%の溶液とした。得られた溶液を常温で2週間静置し、静置後のアクリル系粉体(D−1)の分散状態を評価した。分散状態の評価としては、沈殿物、凝集浮遊物の有無について、○(沈殿物、凝集浮遊物がなく、均一に分散している)、△(沈殿物、凝集浮遊物が少し見られる)、×(沈殿物、凝集浮遊物が多く見られる)で目視評価したところ、○判定であった。
【0081】
(4)上記(1)で得られたアクリル系樹脂ペレット30gを内径5cmのプラスチック容器に細密充填し、50g/cm2の荷重をかけ50℃、48時間熱処理した。得られた円柱状にブロッキングしたペレット集合体を、INSTRON社製インストロン5566を使用し圧縮破壊試験を実施した。その結果、破壊荷重は8.3Nであった。破壊荷重が低いほど耐ブロッキング性に優れることを意味する。これらの結果を表3に示す。
【0082】
《実施例2〜7、比較例1〜8》
アクリル系ブロック共重合体及びブロッキング防止剤の種類と量を表3及び4に示す通りに変更する以外は実施例1と同様にアクリル系樹脂ペレットを作製し評価した。結果を表3及び4に示す。
【0083】
《参考例1、2》
アクリル系ブロック共重合体(C−1)、(C−2)を表3及び4に示すように、粉体を添加することなく、評価に使用した。結果を表3及び4に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
表3及び4のとおり、アクリル系ブロック共重合体(C)からなるペレットに特定のアクリル系粉体を添加することにより、耐ブロッキング性が高く、取扱い性に優れたアクリル系樹脂ペレットが得られる。また、該アクリル系粉体は、アクリル系ブロック共重合体(C)との相容性が高く、該アクリル樹脂ペレットから得られる成形品は透明性が高く、例えば意匠性が要求される用途などに好適である。さらに、本発明で使用するアクリル系粉体(D)は溶剤への溶解性に優れるため、本発明のアクリル系樹脂ペレットを原料とした溶剤型粘着剤から得られる粘着製品は透明性が高い。したがって、本発明のアクリル系樹脂ペレットは透明性が要求される用途などに好適である。