特許第6375093号(P6375093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

特許6375093STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置
<>
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000002
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000003
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000004
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000005
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000006
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000007
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000008
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000009
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000010
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000011
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000012
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000013
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000014
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000015
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000016
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000017
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000018
  • 特許6375093-STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6375093
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】STL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/236 20110101AFI20180806BHJP
   H04H 20/02 20080101ALI20180806BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20180806BHJP
【FI】
   H04N21/236
   H04H20/02
   H04H20/28
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-242894(P2013-242894)
(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-103953(P2015-103953A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月26日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】高田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】実井 仁
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
【審査官】 冨田 高史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−207761(JP,A)
【文献】 特開2008−236399(JP,A)
【文献】 特開2011−176684(JP,A)
【文献】 特開2010−252136(JP,A)
【文献】 特開2009−044356(JP,A)
【文献】 特開2008−288941(JP,A)
【文献】 特開2011−223197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
H04H 20/00 − 20/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて送信するSTL/TTL回線用送信装置であって、
当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち第1のセグメント形式の放送TSのTSPカウンタ値を監視し、該放送TSの伝送パラメータに応じて予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを削除するにあたり、シフトするTSP量が最小となるものを予め選んだ所定の抽出TSPテーブルに基づいてヌルパケットを削除することにより当該放送TSについてデータ圧縮を施して圧縮放送TSを生成し、当該データ圧縮を施した後に所定の付加情報を多重するデータ圧縮・付加情報多重手段と、
当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち当該データ圧縮を施していない第2のセグメント形式の放送TSと、前記圧縮放送TSと、ヌル放送TSとを連結して連結・合成TSを生成する連結合成手段と、
前記連結・合成TSに対して予め定められた伝送路符号化を施してSTL/TTL回線にて外部に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするSTL/TTL回線用送信装置。
【請求項2】
前記連結合成手段は、前記連結・合成TSを生成する際に、前記圧縮放送TSと前記ヌル放送TSとの区別を判別するためのフラグを前記所定の付加情報へ挿入する手段を有することを特徴とする、請求項に記載のSTL/TTL回線用送信装置。
【請求項3】
前記連結合成手段は、前記第2のセグメント形式の放送TSと前記圧縮放送TSの組み合わせによって定める伝送速度に応じて、前記ヌル放送TSの連結数を適応的に定めることにより、前記STL/TTL回線の伝送速度に一致した連結・合成TSを生成するTS合成手段を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のSTL/TTL回線用送信装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のSTL/TTL回線用送信装置から送信された複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて受信するSTL/TTL回線用受信装置であって、
送信側で、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち第1のセグメント形式の放送TSのTSPカウンタ値を監視し、該放送TSの伝送パラメータに応じて予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを削除するにあたり、シフトするTSP量が最小となるものを予め選んだ所定の抽出TSPテーブルに基づいてヌルパケットを削除することによりデータ圧縮が施された圧縮放送TSと、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち当該データ圧縮を施していない第2のセグメント形式の放送TSと、ヌル放送TSとを連結し合成した連結・合成TSを当該複数種のセグメント形式の放送TSへと分離する分離手段と、
前記圧縮放送TSのTSPカウンタ値を監視し、TSPカウンタ値が連続値となっているときには前記圧縮放送TSを分離した順にTSPを連接し、TSPカウンタ値が連続値となっていないときにはTSPカウンタ値が連続値となるまでヌルパケットを挿入して放送TSを復元するデータ伸長手段と、
を備えることを特徴とするSTL/TTL回線用受信装置。
【請求項5】
前記分離手段は、前記所定の付加情報を参照して、前記圧縮放送TSと前記ヌル放送TSとの区別を判別して分離する手段を有することを特徴とする、請求項4に記載のSTL/TTL回線用受信装置。
【請求項6】
前記分離手段は、送信側にて前記STL/TTL回線で伝送可能な一定の伝送速度となるように挿入されたヌルパケットを削除する手段を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のSTL/TTL回線用受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VHF‐Low帯を利用したマルチメディア放送などのセグメント連結方式によるデジタル放送信号を、演奏所から送信所や、送信所から送信所へ伝送するSTL/(Studio Transmitter Link)/TTL(Transmitter to Transmitter Link)回線用の伝送信号である放送トランスポートストリーム(以下、「放送TS」と称する)の信号フォーマットの形式で送信するSTL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
STL/TTL回線用の放送TSの伝送の際の信号フォーマットとしては、地上デジタルテレビジョン放送においては、ARIB標準規格ARIB STD‐B31(2.1版)の付属資料の第5章に記載のような放送TSによる信号フォーマットや、セグメント連結伝送方式による地上マルチメディア放送においては、ARIB標準規格ARIB STD‐B46(1.3版)の付属資料の第5章に記載のような放送TSと12セグメント形式の信号と1セグメント形式の信号を連結し合成した放送TS(以下、「連結・合成TS」と称する)による信号フォーマットが知られている。
【0003】
従来技術として、STL/TTL回線用の放送TSに関して、放送TSのダミーバイト部の情報を変更し、入れ替えることによって、放送TSの有効利用を図る伝送システムに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、放送TSのヌルパケットを利用し情報を伝送する地上デジタルテレビジョン放送ネットワークシステムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−252136号公報
【特許文献2】特開2011−15060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VHF‐Low帯を利用したセグメント連結伝送方式によるマルチメディア放送では、1セグメント形式もしくは3セグメント形式の信号を複数個(最大14セグメント)連結した信号を、STL/回線やTTL回線用に変調して伝送する。
【0006】
しかし、ARIB STD‐B31は、地上デジタルテレビジョン放送用に特化されているため、13セグメント固定のセグメント数の放送TSのフォーマット(伝送速度32.51Mbps(=512/63×4Mbps))の信号しか伝送できない。
【0007】
一方、ARIB STD‐B46は、VHF‐High帯を利用したセグメント連結伝送方式によるマルチメディア放送用の信号フォーマットを規定しており、セグメント連結伝送用に拡張されているが、2個の13セグメント形式の信号と7個の1セグメント形式の信号の合計33セグメントの信号の伝送用に考えられた連結・合成TSの信号フォーマットである。13セグメント形式の放送TSの伝送速度は32.51Mbps(=512/63×4Mbps)、1セグメント形式の放送TSの伝送速度は2.03Mbps(=512/63/4Mbps)であり、これらの放送TSを合成して連結・合成TSを生成するが、その伝送速度は79.24Mbps(=512/63×(4×2+7/4)Mbps)である。VHF‐High帯を利用したセグメント連結伝送方式によるマルチメディア放送では、主に、STL/TTL回線の代わりに衛星配信とすることが意図されている。
【0008】
VHF‐Low帯を利用したセグメント連結伝送方式によるマルチメディア放送は、1セグメント形式もしくは3セグメント形式で構成され、14セグメント以下のセグメント数で各セグメント形式の個数を任意に連結することが考えられている。1セグメント形式の放送TSの伝送速度は2.03Mbps(=512/63/4Mbps)、3セグメント形式の放送TSの伝送速度は8.12Mbps(=512/63Mbps)である。そのまま放送TSを連結し合成した場合、1セグメント形式が14個の場合は連結・合成TSの伝送速度は28.44Mbps(=512/63/4×14 Mbps)となるが、3セグメント形式が4個、1セグメント形式が2個の合計14個で構成された場合は、その連結・合成TSの伝送速度は36.57Mbps(=512/63×4+512/63/4×1 Mbps)となる。したがって、連結し合成された連結・合成TSの伝送速度がセグメント構成によって異なり、且つ地上デジタルテレビジョン放送における伝送速度32.51Mbpsを超えることとなり、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線で伝送することが困難となる。
【0009】
一方、特許文献1の技術では、放送TSのダミーバイト部の情報を変更し、入れ替えることによって放送TSの有効利用を図ることが可能となるが、VHF‐Low帯を利用したセグメント連結伝送方式によるマルチメディア放送において、連結・合成TSの伝送速度がセグメント構成によって異なることによる地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線への利用の問題について解決する手段を提供していない。
【0010】
また、特許文献2の技術では、放送TSのヌルパケットを利用し情報を伝送する点で、放送TSの有効利用を図ることが可能となるが、セグメント連結用放送TSを考慮したものではなく、連結・合成TSの伝送速度がセグメント構成によって異なることによる地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線への利用の問題について解決する手段を提供していない。
【0011】
尚、地上デジタルテレビジョン放送、及びVHF‐High帯を利用したマルチメディア放送の場合、放送TSはARIB STD‐B31の付属資料第5章、及びARIB STD‐B46の付属資料第5章に規定されるように、放送TS伝送時に送信所の制御に必要な付加情報(送信制御情報)を多重することが規定されている。この付加情報は、付加情報内の情報種類に応じて、各TSPのダミーバイトや放送TSの無効階層TSPにおけるIIP(ISDB-T Information Packet)などに多重される。例えば、伝送パラメータはIIPへ、TSPカウンタ値等の情報は、各TSPのダミーバイト部分へ多重される。尚、ARIB STD‐B46(平成24年12月18日改定の1.3版)において、連結送信時のセグメント構成の制御情報(即ち、連結送信制御情報)が、連結・合成TSの生成時にて放送TSの無効階層TSPにおけるCIP(Connected transmission Information Packet)により付加されることが規定されている。ただし、VHF‐Low帯マルチメディア放送の放送TSに多重される付加情報のフォーマットは現段階で規定されていない。
【0012】
そこで、連結・合成TSの伝送速度がセグメント構成によって異なることによる地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線への利用の問題について解決するとともに、STL/TTL回線用の放送TSの伝送の際には当該放送TSに関する所定の付加情報に関して、受信側にとって、より遅延の少ない伝送とすることが望まれる。
【0013】
これらの要望を満たすため、最大14セグメントで構成されているVHF−Low帯マルチメディア放送の放送TSのうち、3セグメント形式の放送TSに含まれるヌルパケットを削除して圧縮放送TSを生成するとともに、放送TSや圧縮放送TSを連結・合成した合計の伝送速度を地上デジタル放送の放送TS以下(32.51Mbps(=512/63×4Mbps)以下)とする態様が可能である。
【0014】
この場合、放送TSや圧縮放送TSを連結・合成した後にレート調整によりヌルパケットを追加して地上デジタル放送の放送TSと同じ伝送速度の連結・合成TSを生成することによって、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線への利用を可能にすることができる。しかしながら、連結・合成TSを生成する処理過程が2段階となり、複雑になるという問題がある。
【0015】
このため、連結・合成TSの伝送速度がセグメント構成によって異なることによる地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線への利用の問題について解決し、STL/TTL回線用の放送TSの伝送の際には当該放送TSに関する所定の付加情報に関して、受信側にとって、より遅延の少ない伝送とするとともに、如何にして連結・合成TSの生成に要する処理負担を削減するかが課題となる。
【0016】
本発明は、上述の問題を鑑みて為されたものであり、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSを付加情報とともに効率よくSTL/TTL回線にて送信するSTL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述したように、VHF‐Low帯マルチメディア放送は、6MHzの帯域幅で、最大14セグメントで構成されることが考えられている。この放送では、14セグメント以下のセグメント数で各セグメント形式の個数を任意に複数連結して放送される。1セグメント形式の放送TSの伝送速度は2.03Mbps(=512/63/4Mbps)、3セグメント形式の放送TSの伝送速度は8.12Mbps(=512/63Mbps)であり、これらの放送TSをそのまま合成すると、セグメントの構成(1セグメント形式、または3セグメント形式)によって合成された連結・合成TSの伝送速度が異なり、且つ地上デジタルテレビジョン放送における伝送速度32.51Mbpsを超えることになる。
【0018】
そこで、本発明による一態様のSTL/TTL回線用送信装置では、VHF‐Low帯のマルチメディア放送などのセグメント連結方式によるデジタル放送信号を放送TSの形式で演奏所から送信所(STL)、送信所から送信所(TTL)に1つ又は複数のVHF−Low帯マルチメディア放送の放送TSを伝送する際に、8.12Mbps(=512/63Mbps)の3セグメント形式の放送TSを圧縮・変換して6.10Mbps(=512/63/4×3Mbps)の放送TSとし、セグメントの構成(1セグメント形式、または3セグメント形式)によらずに、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線を利用できる一定速度の連結・合成TSを伝送信号として生成して送信する。
【0019】
このとき、当該STL/TTL回線用送信装置は、1セグメント形式のVHF−Low帯マルチメディア放送の放送TSと同じ伝送速度(2.03Mbps(=128/63Mbps))で内容が全てヌルの「ヌル放送TS」を生成し、VHF−Low帯マルチメディア放送の1つまたは複数の放送TSと連結・合成して地上デジタル放送の放送TSと同じ伝送速度(32.51Mbps(=512/63×4Mbps))の連結・合成TSを生成し、VHF−Low帯マルチメディア放送の放送TS(圧縮放送TSを含む)とヌル放送TSとの区別を判別するためのフラグを付加情報へ挿入する。受信側では、この付加情報を参照することにより、放送TS、圧縮放送TS及びヌル放送TSを判別して復調する。
【0020】
即ち、本発明による第1態様のSTL/TTL回線用送信装置は、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて送信するSTL/TTL回線用送信装置であって、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち第1のセグメント形式の放送TSのTSPカウンタ値を監視し、該放送TSの伝送パラメータに応じて予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを削除するにあたり、シフトするTSP量が最小となるものを予め選んだ所定の抽出TSPテーブルに基づいてヌルパケットを削除することにより当該放送TSについてデータ圧縮を施して圧縮放送TSを生成し、当該データ圧縮を施した後に所定の付加情報を多重するデータ圧縮・付加情報多重手段と、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち当該データ圧縮を施していない第2のセグメント形式の放送TSと、前記圧縮放送TSと、ヌル放送TSとを連結して連結・合成TSを生成する連結合成手段と、前記連結・合成TSに対して予め定められた伝送路符号化を施してSTL/TTL回線にて外部に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のSTL/TTL回線用送信装置において、前記第1のセグメント形式は3セグメント形式とし、前記第2のセグメント形式は1セグメント形式とすることができる
【0023】
また、本発明のSTL/TTL回線用送信装置において、前記連結合成手段は、前記連結・合成TSを生成する際に、前記圧縮放送TSと前記ヌル放送TSとの区別を判別するためのフラグを前記所定の付加情報へ挿入する手段を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明のSTL/TTL回線用送信装置において、前記連結合成手段は、前記第2のセグメント形式の放送TSと前記圧縮放送TSの組み合わせによって定める伝送速度に応じて、前記ヌル放送TSの連結数を適応的に定めることにより、前記STL/TTL回線の伝送速度に一致した連結・合成TSを生成するTS合成手段を備えることを特徴とする。
【0025】
更に、本発明による第1態様のSTL/TTL回線用受信装置は、本発明による第1態様のSTL/TTL回線用送信装置から送信された複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて受信するSTL/TTL回線用受信装置であって、送信側で、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち第1のセグメント形式の放送TSのTSPカウンタ値を監視し、該放送TSの伝送パラメータに応じて予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを削除するにあたり、シフトするTSP量が最小となるものを予め選んだ所定の抽出TSPテーブルに基づいてヌルパケットを削除することによりデータ圧縮が施された圧縮放送TSと、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち当該データ圧縮を施していない第2のセグメント形式の放送TSと、ヌル放送TSとを連結し合成した連結・合成TSを当該複数種のセグメント形式の放送TSへと分離する分離手段と、前記圧縮放送TSのTSPカウンタ値を監視し、TSPカウンタ値が連続値となっているときには前記圧縮放送TSを分離した順にTSPを連接し、TSPカウンタ値が連続値となっていないときにはTSPカウンタ値が連続値となるまでヌルパケットを挿入して放送TSを復元するデータ伸長手段と、を備えることを特徴とする。

【0027】
また、本発明のSTL/TTL回線用受信装置において、前記第1のセグメント形式は3セグメント形式とし、前記第2のセグメント形式は1セグメント形式とすることができる
【0028】
また、本発明のSTL/TTL回線用受信装置において、前記分離手段は、前記所定の付加情報を参照して、前記圧縮放送TSと前記ヌル放送TSとの区別を判別して分離する手段を有することを特徴とする。
【0029】
また、本発明のSTL/TTL回線用受信装置において、前記分離手段は、送信側にて前記STL/TTL回線で伝送可能な一定の伝送速度となるように挿入されたヌルパケットを削除する手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した伝送信号、例えば14個以下のセグメントで連結されたマルチメディア放送の伝送信号において、セグメント構成(1セグメント形式か3セグメント形式)によらず、所定の伝送速度(例えば32.51Mbps(=512/63×4Mbps))以下で連結・合成TSを構成することができるので、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線を利用することができるようになる。更に、連結・合成TSの伝送速度を地上デジタル放送の放送TSと同じ伝送速度の調整に要する処理負担を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置を備える送信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置に係る付加情報の種類の一例とその分類例を示す図である。
図3】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置におけるデータ圧縮・付加情報多重部の構成を示すブロック図である。
図4】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置に係る各TSPのダミーバイト部分に含まれる付加情報の多重位置を示す図である。
図5】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置における連結合成部の構成を示すブロック図である。
図6】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置における連結・合成TSの時間多重例を示す図である。
図7】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置における連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報及び単位送信波情報のビット割り当ての一例を示す図である。
図8】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置に係る1多重フレームに含まれるTSP数を示す表である。
図9】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置に係るモード1、ガードインターバル1/4、A階層QPSK(符号化率2/3)、B階層 16QAM(符号化率1/2)の場合の放送TSパケット配置を示す図である。
図10】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置におけるモード1、ガードインターバル1/4、A階層QPSK(符号化率2/3)、B階層16QAM(符号化率1/2)における抽出TSPテーブルを示す表である。
図11】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置における伝送パラメータに応じた抽出TSPテーブルの作成方法例の説明図である。
図12】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用受信装置の構成を示すブロック図である。
図13】本発明による実施例1のSTL/TTL回線用受信装置におけるデータ伸長部の構成を示すブロック図である。
図14】本発明による実施例2のSTL/TTL回線用送信装置を備える送信システムの構成を示すブロック図である。
図15】本発明による実施例2のSTL/TTL回線用送信装置における連結合成部の構成を示すブロック図である。
図16】本発明による実施例2のSTL/TTL回線用受信装置の構成を示すブロック図である。
図17】本発明に係る連結合成の組み合わせによるヌル放送TSの個数例を示す図である。
図18】本発明による実施例3のSTL/TTL回線用送信装置におけるデータ圧縮・付加情報多重部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置及びSTL/TTL回線用受信装置について説明する。
【0033】
〔実施例1〕
(STL/TTL回線用送信装置)
図1は、本発明による実施例1のSTL/TTL回線用送信装置1を備える送信システムの構成を示すブロック図である。本実施例では、放送TSの伝送速度の合計が最も大きくなる構成、つまり、3セグメント形式の放送TSを4個、1セグメント形式の放送TSを2個(合計14セグメント)で構成されたVHF−Low帯マルチメディア放送の合成TSを地上デジタル放送のSTL/TTL 1回線で伝送する装置例を説明する。
【0034】
図1を参照するに、本実施例に係る送信システムは、STL/TTL回線用送信装置1と、3セグメント形式(以下、「3seg」とも表す。)のTSに対して所定の付加情報(図2にて詳細に後述する。)から分類された第1付加情報Aを多重して3セグメント形式の放送TSを形成する3seg用TS再多重装置6‐1,6‐2,6‐3,6‐4と、1セグメント形式(以下、「1seg」とも表す。)のTSに対して当該所定の付加情報のうち第1付加情報A及び第2付加情報Bに属する情報を多重して1セグメント形式の放送TSを形成する1seg用TS再多重装置7‐1,7‐2と、各セグメント形式のTSに応じて当該所定の付加情報から分類される、第1付加情報A、第2付加情報B及び第3付加情報C、並びに、第1付加情報A及び第2付加情報Bに属する情報を出力する付加情報挿入制御装置8とを備える。
【0035】
付加情報挿入制御装置8は、セグメント形式判定部81及び付加情報挿入制御部82を備える。セグメント形式判定部81は、伝送するSTL/TTL回線用のTSが1セグメント形式の信号であるか、1セグメント形式の信号であるかを判別し、その判別結果を付加情報挿入制御部82に送出する。付加情報挿入制御部82は、当該判別結果を基に、3セグメント形式の信号に対しては所定の付加情報から分類された第1付加情報A及び第2付加情報Bを出力し、1セグメント形式の信号に対しては当該所定の付加情報のうち第1付加情報A及び第2付加情報Bに属する情報を出力し、3セグメント形式の信号及び1セグメント形式の信号に関して、連結・合成TSの生成時に共通に多重するための第3付加情報Cを出力する。
【0036】
付加情報挿入制御装置8が出力する1セグメント形式の信号用の付加情報(第1付加情報A及び第2付加情報Bに属する情報)は、1seg用TS再多重装置7‐1,7‐2に入力される。また、付加情報挿入制御装置8が出力する3セグメント形式の信号用の第1付加情報A及び第2付加情報Bは、データ圧縮時に削除する予定のTSPがIIP、ACデータ及び事業者独自データとなる場合がないようにするために、第1付加情報Aについてはデータ圧縮前の3seg用TS再多重装置6‐1,6‐2,6‐3,6‐4にて多重し、第2付加情報BについてはSTL/TTL回線用送信装置1にてデータ圧縮後に多重するべくタイミングを変えて出力されることになる。分類する第1付加情報A、第2付加情報B及び第3付加情報Cに関しては、図2にて詳細に後述する。
【0037】
3seg用TS再多重装置6‐1,6‐2,6‐3,6‐4は、単位送信波毎にTS再多重処理を行う装置であり、それぞれ3セグメント形式のTSに対して所定の付加情報から分類された第1付加情報Aを多重して3セグメント形式の放送TSを形成して出力するTS再多重部61を備える。本願明細書中、3seg用TS再多重装置6‐1,6‐2,6‐3,6‐4のそれぞれについて、総括して「3seg用TS再多重装置6」とも称することにする。
【0038】
1seg用TS再多重装置7‐1,7‐2は、3seg用TS再多重装置6と同様に単位送信波毎にTS再多重処理を行う装置であるが、それぞれ1セグメント形式の信号用の付加情報(第1付加情報A及び第2付加情報Bに属する情報)を多重して1セグメント形式の放送TSを形成して出力するTS再多重部71を備える。本願明細書中、1seg用TS再多重装置7‐1,7‐2のそれぞれについて、総括して「1seg用TS再多重装置7」とも称することにする。
【0039】
尚、3seg用TS再多重装置6及び1seg用TS再多重装置7における各TS再多重部61,71は、それぞれに分類された付加情報を用いて単位送信波毎にTS再多重処理を行うにあたり、各放送TSのダミーバイトに放送TSである旨を示す情報を付加する。
【0040】
STL/TTL回線用送信装置1は、VHF‐Low帯のマルチメディア放送などのセグメント連結方式によるデジタル放送信号を放送TSの形式で演奏所から送信所(STL)、送信所から送信所(TTL)に伝送する際に、所定数の3セグメント形式の放送TSと所定数の1セグメント形式の放送TSとを多重連結して合計14セグメントの連結・合成TSを生成して送信するための装置であり、3seg用TS再多重装置6から出力されるそれぞれの3セグメント形式の放送TSに対して設けられるデータ圧縮・付加情報多重部9‐1,9‐2,9‐3,9‐4(本願明細書中、総括して「データ圧縮・付加情報多重部9」とも称する。)と、それぞれのデータ圧縮・付加情報多重部9から送出される圧縮後の放送TS(以下、「圧縮放送TS」とも称する。)及び1seg用TS再多重装置7から出力されるそれぞれの1セグメント形式の放送TSを連結して合成した連結・合成TSを生成する連結合成部3と、STL/TTL用伝送路符号化部4と、RF(Radio Frequency)送信部5とを備える。
【0041】
図1に示すように、まず、STL/TTL回線用送信装置1へ3セグメント形式の放送TSが4個、1セグメント形式の放送TSが2個入力される。3セグメント形式の放送TSは8.12Mbps(=512/63Mbps)、1セグメント形式の放送TSは2.03Mbps(=512/63/4Mbps)の伝送速度をもつ。
【0042】
データ圧縮・付加情報多重部9は、8.12Mbps(=512/63Mbps)の放送TSを6.10Mbps(=512/63/4×3Mbps)の圧縮放送TSにデータ圧縮を行い、更に、データ圧縮時に削除する予定のTSPがIIP、ACデータ及び事業者独自データとなる場合がないようにするために、データ圧縮後に第2付加情報Bを多重して圧縮放送TSとして連結合成部3に出力する。
【0043】
連結合成部3は、第3付加情報Cと、データ圧縮・付加情報多重部9から出力された4個の3セグメント形式の圧縮放送TSを入力するとともに、1seg用TS再多重装置7から出力された2個の1セグメント形式の放送TSを直接入力し、4個の3セグメント形式の圧縮放送TS、2個の1セグメント形式の放送TS、及び、連結合成部3の内部で生成する2個のヌル放送TS(詳細は後述する。)によるヌルパケットを合成することにより、一定の伝送速度を持つ1個の連結・合成TSを生成して、STL/TTL用伝送路符号化部4に出力する。本実施例の場合、放送TS及び圧縮放送TSの合計伝送速度は、28.44Mbps(=512/63/4×(3×4+2)Mbps)であり、その伝送速度に応じた数だけヌル放送TSを伝送速度の比に応じた数だけ多重することにより、32.51Mbps(=512/63×4Mbps)の一定の伝送速度を持つ1個の連結・合成TSが連結合成部3から出力される。
【0044】
STL/TTL用伝送路符号化部4は、この連結・合成TSに対して所定の伝送路符号化(例えばARIB STD‐B31と同様)を施してIF(Intermediate Frequency)信号を生成し、RF送信部5に送出する。
【0045】
RF送信部5は、伝送路符号化を施した連結・合成TSのIF信号を予め定められた周波数のRF信号に変換して放送波を生成し、外部に送出する。
【0046】
図2に、本実施例において利用する所定の付加情報に関して、放送TSの信号へ多重する送信制御情報(付加情報)の種類の一例とその分類例を示す。本実施例では、TMCC識別などのフレーム内で変更されることがないものや、TSPカウンタ値などのフレームにおけるTSPの位置や同期関連の情報は第1付加情報Aに分類され、一方で、ACデータや事業者独自データなどの随時変更される情報、及び、IIPで伝送される情報については第2付加情報Bに分類される。更に、連結・合成TSの生成時にて多重する連結送信時のセグメント構成の制御情報(即ち、連結送信制御情報)やセグメント形式情報・単位送信波情報などは、連結送信に関する情報として第3付加情報Cに分類される。ただし、TSP毎の階層情報は、第1付加情報A及び第2付加情報Bに属することになるが、第1付加情報Aの多重後に第2付加情報Bを多重する際に書き換えられる。また、放送TS/連結・合成TS区別情報は、第1付加情報A、第2付加情報B及び第3付加情報Cに属することになるが、第1付加情報Aの多重後に第2付加情報Bを多重する際に書き換えられ、更に連結・合成TSの生成時にて第3付加情報Cを多重する際に書き換えられる。ただし、本実施例に係る当該所定の付加情報の種類は、図2に例示する種類に限定するものではない。
【0047】
図3は、本実施例のSTL/TTL回線用送信装置1におけるデータ圧縮・付加情報多重部9の構成を示すブロック図である。データ圧縮・付加情報多重部9は、TSPバッファ91と、TSPカウンタ値抽出部92と、抽出TSPテーブル選択制御部93と、抽出TSPテーブル格納部93aと、TSP抽出部94と、付加情報多重部95とを備える。第1付加情報Aが多重された3セグメント形式の放送TSがTSPバッファ91及びTSPカウンタ値抽出部92に入力され、付加情報挿入制御装置8から出力された第2付加情報Bが抽出TSPテーブル選択制御部93及び付加情報多重部95に入力される。
【0048】
TSPバッファ91は、入力された3セグメント形式の放送TSにおける放送TSパケット(以下、「TSP」と称する)を一時格納する機能を有し、後述するTSP抽出部94の制御により所定のTSPカウンタ値を有するTSPが読み出される。
【0049】
TSPカウンタ値抽出部92は、図4に示す各TSPのダミーバイト部分に含まれる第1付加情報A内のTSPカウンタ値を抽出してTSP抽出部94に送出する。
【0050】
抽出TSPテーブル選択制御部93は、付加情報挿入制御装置8から出力された第2付加情報B内のTMCCに含まれる伝送パラメータを入力し、伝送パラメータに応じた複数の抽出TSPテーブルを予め格納している抽出TSPテーブル格納部93aから、抽出TSPテーブル選択制御部93で抽出された伝送パラメータに合致する抽出TSPテーブルを選択して読み出し、TSP抽出部94に出力する。ここで、抽出TSPテーブルとは、3セグメント形式の放送TSを構成するTSPのうち、圧縮放送TSとして抽出するTSPのTSPカウンタ値を示す表であり、その作成方法については詳細に後述する。
【0051】
TSP抽出部94は、TSPカウンタ値抽出部92から出力されたTSPカウンタ値を入力するとともに、抽出TSPテーブル選択制御部93から出力された抽出TSPテーブルを参照して、TSPバッファ91より圧縮放送TSとして該当するTSPを抽出して付加情報多重部95に送出する。
【0052】
付加情報多重部95は、第2付加情報Bに含まれる情報(ACデータ、IIPで伝送されるデータ、及び、事業者独自データなど) が入力される毎にTSP抽出部94で抽出されたTSPのうちヌルパケット(Null_TSP)へ第2付加情報Bを多重する。この際、第1付加情報Aで多重されたTSP毎の階層情報を書き換える。これにより、8.12Mbps(=512/63Mbps)の放送TSが、第1付加情報A及び第2付加情報Bの情報を含む付加情報が多重された6.10Mbps(=512/63/4×3Mbps)の圧縮放送TSへ変換される。
【0053】
図5は、本実施例のSTL/TTL回線用送信装置1における連結合成部3の構成を示すブロック図である。連結合成部3は、付加情報付加部31‐1,31‐2,31‐3,31‐4,32‐1,32‐2と、TS合成部33と、ヌル放送TS生成部34(本実施例では、2個の第1ヌル放送TS生成部34‐1及び第2ヌル放送TS生成部34‐2からなる)とを備える。
【0054】
付加情報付加部31‐1,31‐2,31‐3,31‐4は、データ圧縮・付加情報多重部9‐1,9‐2,9‐3,9‐4からそれぞれ出力される3セグメント形式の圧縮放送TSを入力し、第3付加情報Cに含まれる連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報及び単位送信波情報を圧縮放送TSのダミーバイトに多重してTS合成部33に出力する。
【0055】
付加情報付加部32‐1,32‐2は、1seg用TS再多重装置7‐1, 7‐2からそれぞれ出力される1セグメント形式の放送TSを入力し、第3付加情報Cに含まれる連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報及び単位送信波情報を当該放送TSのダミーバイトに多重してTS合成部33に出力する。
【0056】
ヌル放送TS生成部34(第1ヌル放送TS生成部34‐1、第2ヌル放送TS生成部34‐2)は、ヌル放送TS生成部5では、1セグメント形式の放送TSと同じ伝送速度(2.03Mbps(=128/63Mbps))で情報部分を全てヌルパケットとした放送TSをヌル放送TSとして生成し、TS合成部33に出力する。ヌル放送TS生成部34によるヌル放送TSは、連結・合成TSの伝送速度(32.51Mbps(=512/63×4Mbps))から、連結・合成する圧縮放送TS、放送TSの合計速度を減算し、ヌル放送TSの伝送速度で割った値だけ発生させる。
【0057】
実施例1の場合、圧縮放送TSが4本、放送TSが2本なので、連結・合成する圧縮放送TSと放送TSの合計速度は、28.44Mbps(=128/63×3×4+128/63×2)となる。従って、ヌル放送TSの個数は、(512/63×4−128/63×3×4−128/63×2)/(128/63)=2個となる。さらに、ヌル放送TS生成部5では、受信装置で復調する際にヌル放送TSを判別するためにフラグを付加する。例えば、図2に示される連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報、単位送信波情報のビット割り当て例にて、後述する図7に示すように、連結・合成TS区別情報を示す3ビットのシンタックスの1つに、「ヌル放送TSP」を示すフラグを付加するとよい。
【0058】
TS合成部33は、付加情報付加部31‐1,31‐2,31‐3,31‐4から得られる圧縮放送TSと、付加情報付加部32‐1,32‐2から得られる放送TSと、ヌル放送TSとを、その伝送速度に応じて、CIPとともに時分割多重して合成し、連結・合成TSを生成する。
【0059】
このように、ヌル放送TSを予め生成することで、3セグメント形式の圧縮放送TSと1セグメント形式の放送TSの連結時において、STL/TTL回線で伝送可能な一定の伝送速度とするためのヌルパケット挿入によるレート調整が必要なくなる。また、ヌル放送TSを1セグメント形式の放送TSと同じ伝送速度にすることで、どのような放送TSの組み合わせで連結する場合でも、ヌル放送TSの個数は整数となる(図17を参照して後述する。)。図6に、TS合成部33で生成される連結・合成TSの時間多重順の例を示す。伝送速度が遅い1セグメント形式の放送TSの1TSパケット転送時間(約0.8ms=204×8/(128×63×1e−6)×1e3)を単位時間とし、その1単位時間内に連結・合成する全ての圧縮放送TS、放送TS、ヌル放送TSを伝送速度の比に応じた数だけ多重する。圧縮放送TSは1単位時間内に3パケット、1セグメント形式の放送TSとヌル放送TSは1単位時間内に1パケット多重する。多重したパケットは次の単位時間で連結・合成TSの伝送速度で転送される。
【0060】
尚、上述の図5に示す連結合成部3に関する説明では、3セグメント形式の圧縮放送TSや1セグメント形式の放送TSのダミーバイトに第3付加情報Cに含まれる連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報及び単位送信波情報を当該放送TSのダミーバイトに多重した後、これらの3セグメント形式の圧縮放送TS及び1セグメント形式の放送TSを合成するとして説明したが、3セグメント形式の圧縮放送TS及び1セグメント形式の放送TSを合成した後に、3セグメント形式の圧縮放送TSや1セグメント形式の放送TSのダミーバイトに第3付加情報Cに含まれる連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報及び単位送信波情報を多重するように構成してもよい。
【0061】
また、連結・合成TS区別情報、セグメント形式情報及び単位送信波情報のビット割り当てに関して、図7に例示するように、第3付加情報Cに含まれる連結・合成TS区別情報(第5ビット〜第7ビット)、セグメント形式情報(第4ビット)及び単位送信波情報(第0ビット〜第3ビット)とすることができ、連結・合成TS区別情報内に、「ヌル放送TSP」及び「圧縮放送TSP」を示すフラグを付加することができる。
【0062】
(伝送パラメータに応じた抽出TSPテーブルの作成方法の一例)
次に、抽出TSPテーブル格納部93aに予め格納しておく伝送パラメータに応じた抽出TSPテーブルの作成方法について述べる。3セグメント形式のVHF‐Low帯マルチメディア放送は1セグメントと2セグメントの2つの階層(A階層・B階層)で構成されることが予定されている。このため、放送TSはA階層のTSP、B階層のTSP、ヌルパケットが連結された多重フレーム構造となる。尚、ヌルパケットは伝送パラメータによらず一定のクロックでTSPのインタフェースをとるために挿入される。多重フレームに含まれるTSP数はモードとガードインターバル比により異なり、多重フレームにおける各階層のTSPやヌルパケットの配置は、伝送パラメータ(モード、ガードインターバル比、各階層の変調方式、符号化率)により異なる。換言すれば、多重フレームにおける各階層のTSPやヌルパケットの配置は、伝送するコンテンツによらず、伝送パラメータ(モード、ガードインターバル比、各階層の変調方式、符号化率)によって一意に定まる。
【0063】
ここで、図8に1多重フレームに含まれるTSP数、図9にモード1、ガードインターバル1/4、A階層QPSK(符号化率2/3)、B階層16QAM(符号化率1/2)の場合の放送TSパケット配置を示す。放送TSから圧縮放送TSへデータ圧縮するには、1多重フレームに含まれる放送TSパケット数の4分の1のヌルパケットを削除すればよい。遅延を少なくするためには、削除する放送TSパケットを等間隔に分散させるのが望ましいが、A階層及びB階層が等間隔で挿入されていないため、本実施例では、予め、圧縮放送TSとして構成するために抽出するTSPのTSPカウンタ値(即ち、放送TSにおける削除しないTSPのTSPカウンタ値)を示す抽出TSPテーブルを作成して抽出TSPテーブル格納部93aに格納しておくようにする。
【0064】
まず、削除するTSPとして、遅延量を短くすることを鑑みて、TSPカウンタ値が4n,4n+1,4n+2,4n+3(n:正の整数)の4通りのうちのいずれかを持つTSPを基準に削除対象のTSPとすることが考えられる。これら4通りの削除基準のTSPカウンタ値のそれぞれについて、削除するTSPカウンタ値のTSPの種類を確認していくことで、4通りの削除基準のうち最小の遅延量となるものを事前に決定することができる。例えば、TSPカウンタ値が4nを持つTSPを基準に削除対象のTSPとするとき、削除する放送TSパケットがヌルパケットではなく、A階層・B階層のTSPとなるTSPカウンタ値の際には、次のTSPカウンタ値のTSPを削除することとする。さらに続くTSPについてもA階層、もしくはB階層であった場合、さらに次のTSPカウンタ値のTSPを削除することとする。このようにTSPカウンタ値をシフトすることでヌルパケットのみを削除できるが、シフトするTSP量の最大値がTSバッファの大きさとなり、そのまま遅延量となる。そのため、TSPカウンタ値が4nを持つTSPを基準に削除対象のTSPとしたときの遅延量を把握することができる。同様に、TSPカウンタ値が4n+1,4n+2,4n+3を持つTSPを基準に削除対象のTSPとしたときのそれぞれの遅延量を把握することができる。したがって、4通りの削除基準のうちシフトするTSP量が最小となるものを予め選ぶことで、最小の遅延量となる抽出TSPテーブルを作成することができる。
【0065】
具体的に、図9(モード1、ガードインターバル1/4、A階層QPSK(符号化率2/3)、B階層16QAM(符号化率1/2))の放送TS配置を例にとって説明する。まず、削除するTSPカウンタ値が4n+1に該当するTSPを基準に削除するとして仮定した場合について考える。図9より、TSPカウンタ値が1(n=0)のTSP種類はヌルパケットなので削除できる。一方、TSPカウンタ値が17(n=4)のTSP種類はB階層のTSPなので削除せずに次のTSPカウンタ値を調べると、TSPカウンタ値18のTSP種類はヌルパケットとなるので、このパケットを削除する。このときシフト量は1パケット分となる。
【0066】
また、TSPカウンタ値が37(n=9)のTSP種類はA階層のTSPなので、次のTSPを調べると、さらにB階層のTSPとなる。そこで、削除するTSPのTSPカウンタ値は39となり、シフト量は2パケット分となる。このように確認していくと、削除するTSPカウンタ値を4n+1と仮定した場合、最大シフト量は2パケットとなる。TSバッファ量は2パケットに設定すればよい。削除するTSPカウンタ値を4n、4n+2としても最大シフト量は2パケットとなる。一方、削除するTSPカウンタ値を4n+3と仮定すると、最大シフト量は1パケットで済む。従って、この伝送パラメータの削除するTSPカウンタ値は4n+3を基準とすれば、遅延量を短くすることができる。以上の手順で作成した抽出TSPテーブルの一例を図10に示す。このように4通りの削除基準を仮定しても最大シフト量が同じ場合、いずれを選択してもよいが、例えばシフトする回数が少ないものを選ぶようにするのが好適である。
【0067】
以上の要領で、抽出TSPテーブルを伝送パラメータごと、つまり3(モード)×4(ガードインターバル比)×3(A階層の変調方式・内符号)×3(B階層の変調方式・内符号)=108個の表を作成することができる。
【0068】
(伝送パラメータに応じた抽出TSPテーブルの作成方法の別例)
上記の抽出TSPテーブルの作成方法の例では、抽出TSPテーブルを伝送パラメータ毎に設定したため、108個の表が必要となった。この別例として、遅延時間の増加を最低限にしながら、抽出TSPテーブルの表の数を12個(モード・ガードインターバル比の組み合わせのみ)に抑える抽出TSPテーブルを利用する例について説明する。
【0069】
具体的に、抽出TSPテーブル格納部93aに予め格納しておく伝送パラメータに応じた抽出TSPテーブルの作成方法について述べる。図11に示すように、削除するTSPとして、遅延量を短くすることを鑑みて、TSPカウンタ値が4n,4n+1,4n+2,4n+3(n:正の整数)の4通りのうちのいずれかを持つTSPを基準に削除対象のTSPとすることが考えられる。これら4通りの削除基準のTSPカウンタ値のそれぞれについて、削除するTSPカウンタ値のTSPの種類を確認していくことで、4通りの削除基準のうち最小の遅延量となるものを事前に決定することができる。
【0070】
このとき、同じモード・ガードインターバル比の組み合わせを持つ伝送パラメータは、A/B階層の変調方式・内符号の組み合わせがそれぞれ3通りあるため、9通り存在する。そこで、同じTSPカウンタ値を持つ9個のTSPの種類について確認していく。削除対象となるTSPカウンタ値のTSPのうち、1つでもA階層・B階層のTSPが存在する場合には次のTSPカウンタ値のTSPを削除することとする(例:図9におけるTSPカウンタ値=5)。さらに続くTSPについてもA階層、もしくはB階層のTSPがある場合、さらに次のTSPカウンタ値のTSPとし、これを繰り返す。例えば図9におけるTSPカウンタ値=20の場合は3パケットシフトしたTSPカウンタ値=23のヌルパケットを削除することとする。
【0071】
このようにTSPカウンタ値をシフトすることでヌルパケットのみを削除対象とすることができるが、シフトするTSP量の最大値がTSバッファの大きさとなり、そのまま遅延量となる。そのため、4通りのTSPカウンタ値のうち、シフトするTSP量が最小となるものを選ぶ。モード3、ガードインターバル1/8の場合、4n、4n+1、4n+2については遅延量が3パケット分となるのに対して、4n+3を基本として抽出TSPテーブルを作成すれば、遅延量が2パケット分とすることができる。
【0072】
以上の要領で、抽出TSPテーブルの表の数を削減し、遅延量を減らすことが可能となる。
【0073】
また、地上デジタルテレビジョン放送、及びVHF‐High帯を利用したマルチメディア放送と同じように伝送する場合、放送TSはA階層のTSP、B階層のTSP、ヌルパケットの他に、伝送パラメータ等のTMCC情報を示すIIP、ACデータ、事業者独自データを多重する無効階層のTSPが存在する。これらのデータの多重位置は規格では定められていない。本実施例では、削除する予定のTSPがIIP、ACデータ及び事業者独自データとなる場合がないように、付加情報の内容に応じて第1付加情報A、第2付加情報B及び第3付加情報Cに分類し、第1付加情報A、第2付加情報B及び第3付加情報Cの多重するタイミングを変えることにより、放送TSの圧縮・伸長時の処理遅延を少なくすることができる。
【0074】
以上のように、本実施例のSTL/TTL回線用送信装置1は、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて送信する際に、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうち所定のセグメント形式の放送TSのTSPカウンタ値を監視し、該放送TSの伝送パラメータに応じて予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを削除することにより当該放送TSについてデータ圧縮を施しつつ、付加情報の内容に応じて分類された第1付加情報A、第2付加情報B及び第3付加情報Cのタイミングを変えて多重した圧縮放送TSを生成し、この圧縮放送TSと、当該複数種のセグメント形式の放送TSのうちデータ圧縮を施していない放送TSと、これらの伝送速度に応じて挿入されるヌル放送TSとを連結し、連結・合成TSを生成する。これにより、所定の伝送速度(例えば32.51Mbps(=512/63×4Mbps))以下で連結・合成TSを構成することができるので、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線を利用することができ、更に、当該圧縮放送TSの伸長時における付加情報の遅延を最小化させることができるので、効率的な放送TS及び付加情報の伝送が可能となる。
【0075】
(STL/TTL回線用受信装置)
図12は、本発明による実施例1のSTL/TTL回線用受信装置10の構成を示すブロック図である。本実施例のSTL/TTL回線用受信装置10は、RF受信部11と、STL/TTL用伝送路復号部12と、連結・合成TSに合成されているそれぞれの3セグメント形式の圧縮放送TS及びそれぞれの1セグメント形式の放送TSを分離する分離部13と、それぞれの3セグメント形式の圧縮放送TSに対して設けられるデータ伸長部14とを備える。
【0076】
RF受信部11は、STL/TTL回線用送信装置1から伝送される連結・合成TSのRF信号の放送波を受信し、IF信号に変換してSTL/TTL用伝送路復号部12に出力する。
【0077】
STL/TTL用伝送路復号部12は、IF信号に変換された連結・合成TSの伝送路符号化信号に対して所定の伝送路復号(例えばARIB STD‐B31と同様)を施し、復調・復号された連結・合成TSを分離部13に出力する。
【0078】
分離部13は、多重した順に圧縮放送TS、放送TS、ヌル放送TSを分離する。より具体的には、分離部13は、まず、STL/TTL回線用送信装置1における連結合成部3で追加されたヌルパケットを削除する。例えば、STL/TTL回線用送信装置1における連結合成部3で多重フレームの先頭から数えて7個のTSPにつき1個のヌルパケットが追加されている場合、分離部13においても、多重フレームの先頭を検知したのちに、8個のTSPにつき1個のヌルパケットを削除すればよい。尚、ヌル放送TSは判別フラグを用いて分離すると確実である。
【0079】
続いて、分離部13は、ヌルパケットを削除した後、4個の3セグメント形式の圧縮放送TSと2個の1セグメント形式の放送TSに分離し、分離した4個の3セグメント形式の圧縮放送TSの各々については、それぞれのデータ伸張部14に出力し、分離した2個の1セグメント形式の放送TSについては外部に出力する。
【0080】
データ伸張部14は、TSPカウンタ値に応じてヌルパケットを挿入して圧縮放送TSを伸長し、3セグメント型式の放送TSとして出力する。
【0081】
図13は、本実施例のSTL/TTL回線用受信装置10におけるデータ伸長部14の構成を示すブロック図である。データ伸長部14は、TSPバッファ15と、TSPカウンタ値抽出部16と、ヌルパケット生成部17と、ヌルパケット挿入部18とを備える。3セグメント形式の圧縮放送TSがそれぞれTSPバッファ15とTSPカウンタ値抽出部16に入力される。
【0082】
TSPバッファ15は、入力された3セグメント形式の圧縮放送TSにおけるTSPを一時格納する機能を有し、後述するヌルパケット挿入部18の制御によりTSPカウンタ値に応じてTSPが読み出される。
【0083】
TSPカウンタ値抽出部16は、第1付加情報A内のTSPカウンタ値を抽出し、ヌルパケット挿入部18に送出する。
【0084】
ヌルパケット生成部17は、ヌルパケット挿入部18からのヌルパケット挿入要求に応じてヌルパケットを生成してヌルパケット挿入部18に出力する。
【0085】
ヌルパケット挿入部18は、TSPカウンタ値が連続値となっているときにはTSPバッファ15から順番にTSPを読み出し、TSPカウンタ値が連続値となっておらず抜けがあったときにはTSPカウンタ値が連続値となるまでヌルパケット生成部17から必要な分のヌルパケットを挿入して放送TSを復元する。本実施例では、3セグメント形式の放送TSを圧縮した後に第2付加情報Bや第3付加情報Cが多重されているため、付加情報の位置を変えることなく放送TSを復元することができ、送信側で用いた抽出TSPテーブルを保持する必要がない。
【0086】
これにより6.10Mbps(=512/63/4×3Mbps)の圧縮放送TSが8.12Mbps(=512/63Mbps)の放送TSへ変換される。
【0087】
このようにして、本実施例のSTL/TTL回線用受信装置10は、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて受信する際に、圧縮放送TSを含む連結・合成TSを分離し、この圧縮放送TSのTSPカウンタ値を監視して、予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを挿入することにより当該圧縮放送TSについてデータ伸長を施して元の放送TSを復元する。
【0088】
以上の構成により、3セグメント形式の放送TSを4個、1セグメント形式の放送TSを2個で構成されたVHF‐Low帯マルチメディア放送の連結・合成TSを地上デジタルテレビジョン放送のSTL/TTLの1回線で伝送することができる。
【0089】
〔実施例2〕
(STL/TTL回線用送信装置)
図14は、本発明による実施例2のSTL/TTL回線用送信装置1を備える送信システムの構成を示すブロック図である。図14において、図1と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。本実施例では、連結・合成するセグメント数が少なく、3セグメント形式の放送TSと1セグメント形式の放送TSの合計伝送速度が、連結・合成TSの伝送速度より小さい場合に、VHF−Low帯マルチメディア放送の合成TSを地上デジタル放送のSTL/TTL 1回線で伝送する装置例を説明する。
【0090】
本実施例の場合、3セグメント形式の放送TSを圧縮せずに連結・合成が可能である。図14に示すように、実施例2では、3セグメント形式の放送TSが2つ、1セグメント形式の放送TSが3つの場合の連結・合成TSを1つのSTL/TTL回線用送信装置1で伝送する例を示す。実施例2のSTL/TTL回線用送信装置1は、図1におけるデータ圧縮・付加情報多重部9を、3セグメント形式の放送TSを圧縮せずに所定の付加情報(第2付加情報B)を多重する付加情報多重部9a‐1,9a‐2(本願明細書中、総括して「データ圧縮・付加情報多重部9a」とも称する。)に置き換えた構成となる。
【0091】
図15は、実施例2の連結合成部3の構成例である。図15において、図5と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。連結合成部3は、付加情報付加部31‐1,31‐2,32‐1,32‐2,32‐3、ヌル放送TS生成部34‐1,・・・,34‐5、TS合成部33で構成され、各機能部はそれぞれ実施例1と同様に動作する。実施例2では、ヌル放送TSを5個発生させてTS合成を行うことにより、実施例1で示す連結・合成TSと同じ伝送速度となる。したがって、連結合成部3は、3セグメント形式の放送TSと、1セグメント形式の放送TSとを連結したときの伝送速度の合計に応じて定められたヌル放送TSの連結数(この連結数として0個を含む。)にしたがって、連結・合成TSの伝送速度の合計がSTL/TTL回線の伝送速度以下となるように各放送TSを連結し合成することにより連結・合成TSを生成するように構成することができる。
【0092】
尚、実施例2として、3セグメント形式の放送TSを圧縮せずに所定の付加情報(第2付加情報B)を多重する付加情報多重部9aを設ける例を説明したが、この第2付加情報Bについて、3seg用TS再多重装置6にて、予め第1付加情報Aとともに第2付加情報Bを再多重するように構成すれば、3seg用TS再多重装置6の出力を直接、連結合成部3に入力するように構成することができる。
【0093】
(STL/TTL回線用受信装置)
図16は、本発明による実施例2のSTL/TTL回線用受信装置10の構成を示すブロック図である。図17において、図11と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。実施例2のSTL/TTL回線用受信装置10における各機能部はそれぞれ実施例1と同様に動作する。したがって、本実施例のSTL/TTL回線用受信装置10は、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した連結・合成TSをSTL/TTL回線にて受信する際に、圧縮放送TSを含む連結・合成TSを分離し、この圧縮放送TSのTSPカウンタ値を監視して、予め定められたTSPカウンタ値のヌルパケットを挿入することにより当該圧縮放送TSについてデータ伸長を施して元の放送TSを復元することができる。
【0094】
〔実施例3〕
図17に、連結・合成の組み合わせによるヌル放送TSの個数を示す。TS合成部33は、連結・合成の組み合わせに応じて、図17に示す個数のヌル放送TSを発生させることで、放送TSと同じようにヌル放送TSを多重することができる。したがって、図17に示す連結・合成の組み合わせに応じて、STL/TTL回線用送信装置1及びSTL/TTL回線用受信装置10を構成することができる。
【0095】
また、連結合成部3は、図17に示す連結・合成の組み合わせに応じて、3セグメント形式の放送TSと、1セグメント形式の放送TSとを連結したときの伝送速度の合計に応じてヌル放送TSの連結の可否を適応的に定め、連結・合成TSの伝送速度の合計がSTL/TTL回線の伝送速度以下となるように各放送TSを連結し合成することにより連結・合成TSを生成するように構成することができる。
【0096】
例えば、図17に示す連結・合成の組み合わせのうち、連結・合成する放送TSについて複数種の組み合わせでも動作可能なSTL/TTL回線用送信装置1を構成することができる。図18に示すように、連結合成部3において、3セグメント形式の圧縮放送TSと1セグメント形式の放送TSにおける連結・合成の組み合わせに応じて選択的に動作可能な数の付加情報付加部31‐K(0≦K≦4),32‐M(0≦M≦14)を設けるとともに、ヌル放送TS生成部34−N(0≦N≦15)を設けるように構成する。これにより、連結・合成する放送TSについて複数種の組み合わせでも動作可能なSTL/TTL回線用送信装置1を構成することが可能となる。
【0097】
以上のように、本発明によるSTL/TTL回線用送信装置1及びSTL/TTL回線用受信装置10は、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した伝送信号、例えば14個以下のセグメントで連結されたマルチメディア放送の伝送信号において、セグメント構成(1セグメント形式か3セグメント形式)によらず、所定の伝送速度(例えば32.51Mbps(=512/63×4Mbps))以下で連結・合成TSを構成することができるので、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線を利用することができるようになる。更に、連結・合成TSの伝送速度を地上デジタル放送の放送TSと同じ伝送速度の調整に要する処理負担を削減することができる。
【0098】
以上、特定の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の各実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述の各実施例では、STL/TTL回線用送信装置1において、圧縮放送TSとして抽出するTSPのTSPカウンタ値(即ち、放送TSにおける削除しないTSPのTSPカウンタ値)を示す抽出TSPテーブルを保持する例を説明したが、この代わりに、圧縮放送TSとして構成するために削除するTSPのTSPカウンタ値を示す抽出TSPテーブルを保持するようにしてもよい。また、上述の実施例では、3seg用TS再多重装置6及び1seg用TS再多重装置7としてTS再多重装置を区別して説明したが、総括して、TS再多重装置において、3セグメント形式の放送TSについては第1付加情報Aを多重する第1のTS再多重部61と、1セグメント形式の放送TSについては第1付加情報A及び第2付加情報Bの分類に属する付加情報を多重する第2のTS再多重部71のいずれか一方又は双方を備えるように構成すればよい。ここで、第1のTS再多重部61と第2のTS再多重部71の双方を備えるように構成したTS再多重装置において、前述のセグメント形式判定部81と同様な機能ブロックを設けて、放送TSに関して3セグメント形式であるか1セグメント形式であるかを判定し、セグメント形式に応じて予め分類された付加情報を多重するように構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明によれば、複数種のセグメント形式の放送TSについて所定のセグメント数以下で任意に連結し合成した伝送信号、例えば14個以下のセグメントで連結されたマルチメディア放送の伝送信号において、セグメント構成(1セグメント形式か3セグメント形式)によらず、所定の伝送速度(例えば32.51Mbps(=512/63×4Mbps))以下で連結・合成TSを構成することができるので、地上デジタルテレビジョン放送と同様のSTL/TTL回線を利用する用途に有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 STL/TTL回線用送信装置
3 連結合成部
4 STL/TTL用伝送路符号化部
5 RF送信部
6,6‐1,6‐2,6‐3,6‐4 3seg用TS再多重装置
7,7‐1,7‐2 1seg用TS再多重装置
8 付加情報挿入制御装置
9,9‐1,9‐2,9‐3,9‐4 データ圧縮・付加情報多重部
9a,9a‐1,9a‐2 データ圧縮・付加情報多重部
10 STL/TTL回線用受信装置
11 RF受信部
12 STL/TTL用伝送路復号部
13 分離部
14 データ伸長部
31‐1,31‐2,31‐3,31‐4,31‐K 付加情報付加部
32‐1,32‐2,32‐3,32‐M 付加情報付加部
34,34‐1,34‐2,34‐5,34‐N ヌル放送TS生成部
33 TS合成部
50 比較例のSTL/TTL回線用送信装置
61 TS再多重部
71 TS再多重部
81 セグメント形式判定部
82 付加情報挿入制御部
91 TSPバッファ
92 TSPカウンタ値抽出部
93 抽出TSPテーブル選択制御部
93a 抽出TSPテーブル格納部
94 TSP抽出部
95 付加情報多重部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18