(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内部容積内に配置され、前記水平軸に対して直角に向けられ、前記水平軸からオフセットされたプレートを備え、前記プレートが、前記バフヘッドが平行移動して前記水平軸から離れたときに前記バフヘッドどうしが接触しないように配置された、請求項1に記載のバフモジュール。
前記内部容積内に配置され、前記水平軸に対して直角に向けられ、前記水平軸からオフセットされたパッドコンディショナーを備え、前記パッドコンディショナーが、前記バフヘッドをそれぞれ同時に調整するように配置された、請求項1に記載のバフモジュール。
前記アクチュエータが、前記水平軸と実質的に同心で整列した位置から、前記内部容積内に配置された前記基板がない位置まで前記バフヘッドをスイープするように構成された運動範囲を含む、請求項5に記載のバフモジュール。
各バフヘッドが、前記基板との接触に応答して前記バフヘッドの回転軸が調節されることを可能にするように動作可能なジンバルを備える、請求項1に記載のバフモジュール。
前記駆動ローラ上に配置された前記基板の両側に流体を導くように配置された少なくとも1つのスプレーバーを有する少なくとも2つのスプレーバーを備える、請求項1に記載のバフモジュール。
前記スプレーバーに結合された少なくとも1つの流体源を備え、前記少なくとも1つの流体源が、前記駆動ローラ上に配置された前記基板の両側に異なる流体を供給するように構成された、請求項8に記載のバフモジュール。
前記ハウジングが、前記ハウジングの前記内部容積を、前記駆動ローラ上に配置された前記基板の両側に供給された前記異なる流体を別々にするように構成された領域に分割するように構成された仕切り壁を備える、請求項9に記載のバフモジュール。
各バフヘッドが、もう一方のバフヘッドにより前記基板に加えられるトルクに対して独立に制御可能なトルクを前記基板に加えるように構成された、請求項1に記載のバフモジュール。
前記駆動ローラに接触させた状態で前記基板を捕える第1の位置と、ロボットによって前記駆動ローラから前記基板を取り外すことができる第2の位置との間で移動可能なアイドラーを備える、請求項1に記載のバフモジュール。
1つのバフヘッドがそれぞれに結合された一対のアームを備え、前記アームが、バフヘッド間の間隔を制御する第1の運動と、前記水平軸に対する前記バフヘッド間の距離を制御する第2の運動とを有する、請求項1に記載のバフモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするため、上記の図に共通する同一の要素を示すのには、可能な限り同一の参照符号を使用した。また、本明細書に記載された他の実施形態で利用するために、1つの実施形態の要素を有利に適合させることができる。
【0013】
化学機械平坦化(CMP)システム内で使用されるバフモジュールの実施形態およびそのようなバフモジュールを使用する方法の実施形態が提供される。このバフモジュールは、基板の両面を同時に洗浄するように構成され、その一方で、CMP後洗浄後に基板表面に見られる欠陥の量を減らすように構成される。このバフモジュールは、ブラシまたは軟かいパッドを含むデュアルバフヘッドであって、基板の両面を同時に洗浄するデュアルバフヘッドを含む。基板は、実質的に垂直な向きまたは傾いた向きに配置することができる。
【0014】
図1は、バフモジュール101の一実施形態を有する例示的な化学機械平坦化(CMP)システム100の平面図である。例示的なCMPシステム100は一般に、ファクトリインターフェース(factory interface)102、装填ロボット104および平坦化モジュール106を備える。装填ロボット104は、ファクトリインターフェース102および平坦化モジュール106の近くに配置されて、ファクトリインターフェース102と平坦化モジュール106の間での基板122の移送を容易にする。
【0015】
CMPシステム100のこれらのモジュールの制御および統合を容易にするためにコントローラ108が提供される。コントローラ108は、中央処理ユニット(CPU)110、メモリ112および支持回路114を備える。コントローラ108はCMPシステム100のさまざまな構成要素に結合されて、例えば平坦化プロセス、洗浄プロセスおよび移送プロセスの制御を容易にする。
【0016】
ファクトリインターフェース102は一般に、1つまたは複数の基板カセット118と、バフモジュール101を含む洗浄装置116とを含む。基板カセット118、洗浄装置116およびインプットモジュール124間で基板122を移送するため、インターフェースロボット120が使用される。インプットモジュール124は、グリッパ(gripper)、例えば真空グリッパまたは機械式クランプによる平坦化モジュール106とファクトリインターフェース102の間での基板122の移送を容易にするように配置される。
【0017】
平坦化モジュール106は、少なくとも1つの化学機械平坦化(CMP)ステーションまたは電解機械平坦化(electrochemical mechanical planarizing)(CMP)ステーションを含む。この図では、平坦化モジュール106が、環境制御されたエンクロージャ188内に配置された少なくとも1つの化学機械平坦化(CMP)ステーション128を含む。本発明から利益を得るように適合させることができる平坦化モジュール106の例には、REFLEXION(登録商標)、REFLEXION(登録商標) LKおよびREFLEXION(登録商標) GT化学機械平坦化システムが含まれる。これらは全て、米カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から入手可能である。処理パッド、平坦化ウエブまたはこれらの組合せを使用する平坦化モジュール、および平面回転運動、平面直線運動または他の平面運動によって基板を平坦化表面に対して移動させる平坦化モジュールを含むこの他の平坦化モジュールを、本発明から利益を得るように適合させることもできる。
【0018】
図1に示した実施形態では、平坦化モジュール106が、1つのバルクCMPステーション128、第2のCMPステーション130および第3のCMPステーション132を含む。バルクCMPステーション128での化学機械平坦化プロセスによって基板からの導電性材料のバルク除去が実行される。バルクCMPステーション128でのバルク材料除去の後、残留物CMPステーション130での第2の化学機械プロセスによって残留導電性材料が基板から除去される。平坦化モジュール106内で2つ以上のバルクCMPステーション128、例えば第2のCMPステーション130を利用することが企図される。
【0019】
銅を除去する従来のCMPプロセスの一例が、2002年9月17日発行の米国特許第6,451,697号に記載されている。バリアを除去する従来のCMPプロセスの一例が、2002年6月27日出願の米国特許出願第10/187,857号に記載されている。代わりに他のCMPプロセスを実行することも企図される。CMPステーションは事実上従来のものであるため、簡潔にするためにCMPステーションのさらなる説明は省いた。
【0020】
例示的な平坦化モジュール106はさらに、機械ベース140の上面ないし第1の面138に配置された移送ステーション136および回転ラック134を含む。一実施形態では、移送ステーション136が、インプットバッファステーション144、アウトプットバッファステーション142、移送ロボット146およびロードカップアセンブリ(load cup assembly)148を含む。インプットバッファステーション144は、装填ロボット104を介してファクトリインターフェース102から基板を受け取る。装填ロボット104は、研磨した基板を、アウトプットバッファステーション142からファクトリインターフェース102へ戻す目的にも利用される。移送ロボット146は、バッファステーション144、142とロードカップアセンブリ148の間で基板を移動させる目的に利用される。
【0021】
一実施形態では、移送ロボット146が、基板のエッジのところで基板を保持する空気圧式のグリッパフィンガをそれぞれが有する2つのグリッパアセンブリを含む。移送ロボット146は、これから処理する基板をインプットバッファステーション144からロードカップアセンブリ148に移送し、同時に、処理した基板をロードカップアセンブリ148からアウトプットバッファステーション142に移送することができる。有利に使用することができる移送ステーションの一例が、2000年12月5日にTobinに発行された米国特許出願第6,156,124号に記載されている。
【0022】
回転ラック134は、機械ベース140の中心に配置される。回転ラック134は通常、平坦化ヘッドアセンブリ152をそれぞれが支持した複数のアーム150を含む。バルクCMPステーション128の平坦化面126および移送ステーション136が見えるように、
図1に示されたアーム150のうちの2本のアーム150は破線で示されている。回転ラック134は、CMPステーション128、132と移送ステーション136の間で平坦化ヘッドアセンブリ152を移動させることができるような態様で割出し可能(indexable)である。有利に利用することができる1つの回転ラックが、1998年9月8日にPerlov他に発行された米国特許第5,804,507号に記載されている。
【0023】
各CMPステーション128、130および132に隣接して機械ベース140上に調整装置182が配置される。調整装置182は、均一な平坦化結果を維持するため、CMPステーション128、130、132内に配置された平坦化材料を定期的に調整する。
【0024】
任意選択で、洗浄装置116を出た基板を、ファクトリインターフェース102内に配置された計測システム(metrology system)180内で試験することができる。計測システム180は、米カリフォルニア州SunnyvaleのNova Measuring Instruments,Inc.から入手可能なNovaScan 420などの光学測定装置を含むことができる。光学測定装置または他の計測装置からの基板の出し入れを容易にするため、計測システム180はバッファステーション(図示せず)を含むことができる。このような適当な1つのバッファが、2001年6月12日にPinson他に発行された米国特許第6,244,931号に記載されている。
【0025】
洗浄装置116は、研磨した基板から、研磨後に残った研磨屑および/または研磨流体を除去する。洗浄中に、基板は一般に、基板ハンドラ166によって複数の洗浄モジュール160間を移動する。本発明から利益を得るように適合させることができる1つの洗浄装置が、2002年11月1日出願の米国特許出願第10/286,404号に記載されている。一実施形態では、洗浄装置116が、複数の単一基板洗浄モジュール160、ならびにこれらの複数の洗浄モジュール160の上方に配置されたインプットモジュール124、乾燥装置162および基板ハンドラ166を含む。インプットモジュール124は、ファクトリインターフェース102、洗浄装置116および平坦化モジュール106間の移送ステーションの役目を果たす。乾燥装置162は、洗浄装置116を出た基板を乾燥させ、洗浄装置116とファクトリインターフェース102の間での基板の移送を容易にする。乾燥装置162は、スピンリンス乾燥装置(spin−rinse−dryer)とすることができる。他の例では、適当な乾燥装置162を、Reflexion(登録商標) GT(商標)基板洗浄装置およびDesica(登録商標)基板洗浄装置の一部として見いだすことができる。これらの基板洗浄装置はともに、米カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から入手可能である。
【0026】
図1に示した実施形態では、洗浄装置116が、バフモジュール101、メガソニッククリアリングモジュール164A、第1のブラシモジュール164Bおよび第2のブラシモジュール164Cとして示された4つの洗浄モジュール160を含む。しかしながら、任意の数のモジュールまたは特定のタイプのモジュールを含む洗浄システムとともに本発明を使用することができることを理解すべきである。バフモジュール101、164A〜Cはそれぞれ、垂直に配置された基板、すなわち研磨された表面が実質的に垂直な平面内にある基板を処理するように構成されているが、バフモジュール101は傾いた基板を処理することもできる。
【0027】
動作について説明する。CMPシステム100の動作は、インターフェースロボット120によって1つのカセット118からインプットモジュール124へ基板122を移送することから始まる。次いで、ロボット104が、その基板をインプットモジュール124から取り出し、平坦化モジュール106へ移送する。平坦化モジュール106では、基板が、水平な向きに置かれている間に研磨される。基板が研磨された後、ロボット104は、平坦化モジュール106から基板122を抜き取り、インプットモジュール124内に垂直な向きに置く。基板ハンドラ166が、インプットモジュール124から基板を取り出し、洗浄装置116の洗浄モジュール160うちの少なくとも1つの洗浄モジュール160間で基板を割りふる。洗浄モジュール160はそれぞれ、洗浄プロセスの全体を通じて基板を垂直な向きに支持するように適合されている。洗浄後、基板ハンドラ166は、基板を、アウトプットモジュール156へ移送する。アウトプットモジュール156では基板が水平な向きに傾けられ、インターフェースロボット120によって1つのカセット118に戻される。他の実施形態では、乾燥装置162が基板を水平に傾け、インターフェースロボット120によってカセット118へ移送するために基板を上方へ移動させることにより、乾燥装置162が基板の移送を容易にすることができる。任意選択で、基板をカセット118に戻す前に、インターフェースロボット120または基板ハンドラ166が、計測システム180へ基板を移送してもよい。
【0028】
基板ハンドラ166は一般に、第1のロボット168および第2のロボット170を含む。第1のロボット168は、少なくとも1つのグリッパ(2つのグリッパ174、176が示されている)を含む。第1のロボット168は、少なくともインプットモジュール124と洗浄モジュール160の間で基板を移送するように構成される。第2のロボット170は、少なくとも1つのグリッパ(グリッパ178が示されている)を含む。第2のロボット170は、少なくとも1つの洗浄モジュール160と乾燥装置162の間で基板を移送するように構成される。任意選択で、乾燥装置162と計測システム180の間で基板を移送するように第2のロボット170を構成してもよい。基板ハンドラ166は、カセット118およびインターフェースロボット120を洗浄装置116から分離する仕切り壁158に結合されたレール172を含む。洗浄モジュール160、乾燥装置162およびインプットモジュール124へのアクセスを容易にするため、ロボット168、170は、レール172に沿って横方向に移動するように構成される。
【0029】
図1に示した実施形態では、平坦化モジュール106内で処理された後、基板122はファクトリインターフェース102に入る。基板122はCMPプロセスの残留材料を有しており、CMPプロセス材料を基板122から除去するため、インターフェースロボット120が基板122をバフモジュール101へ移動させる。バフモジュール101は、基板122の上面と底面とを同時に磨き、さらに基板122のエッジ最端を洗浄することによってプロセス材料を除去する。
図2は、バフモジュール101の動作について論じ、バフモジュール101の動作をより理解するために提供される。さらに、
図3、4および5がバフモジュール101の別の図を提供する。
図3、4および5は、バフモジュール101の追加の詳細を示すために提供される。
【0030】
図2は、
図1に示したバフモジュール101の簡略断面図を示す。分かりやすくするため、バフモジュール101のいくつかの構成要素は省略されており、それらの構成要素については後に
図3、4および5を参照して論じる。例示的なバフモジュール101は一般に、内部容積205を取り囲み、内部容積205を画定するハウジング210を含む。ハウジング210は、排液口207が形成された底部212、および開口211を有する頂部213を有する。内部容積205内には、両面バフ磨き装置(double sided buffer)220、1つまたは複数のスプレーバー260および斜面エッジ洗浄装置(bevel edge cleaner)250が配置されている。
【0031】
開口211は、バフ操作のために基板ハンドラ166(
図1に示されている)が基板122を内部容積に装填するのを可能にするように構成されている。装填後、基板122は、オープンギャップアイドラー(open gap idler)234および駆動ローラ236、233によって支持される。オープンギャップアイドラー234は、装填する間およびバフモジュール101から取り出す間、基板122が傾くことを可能にする隙間を有する。基板ハンドラ166が基板122を解放すると、基板122は、オープンギャップアイドラー234および駆動ローラ236、233上に垂直に載置される。
【0032】
ハウジング210の頂部213には、アイドラー231を有するアーム240が配置されている。アーム240は、基板122が内部容積205に出入りするための隙間を開口211のところに提供するように移動可能である。内部容積205内に基板122が配置されると、アーム240は、アイドラー231が基板122のエッジ254と係合する位置まで、アイドラー231を移動させる。アイドラー231によって加えられた力が、オープンギャップアイドラー234および駆動ローラ233、236に基板122を押し付ける。これによって基板122は垂直に固定されて、バフモジュール101内で処理される。アイドラー231によって加えられる力は、滑ることなく基板が回転することを保証する十分な力であり、一例では、アイドラー231によって加えられる力が約0.5lbfから約3lbfの間である。一実施形態では、アイドラー231によって基板122に加えられる力が約3lbfである。
【0033】
駆動ローラ236および233は、モータまたは他の適当な手段によって実質的に水平な軸299で駆動されて、基板122を回転させる。アイドラー231は、基板の回転速度を監視する速度センサを含むことができる。駆動ローラ236、233は、約10rpmから約300rpmで基板を回転させることができる。一実施形態では、これらの駆動ローラが、約100rpmで基板122を回転させる。
【0034】
処理後、アーム240は、基板122および開口211から離れた位置にアイドラー231を移動させる。基板122は、駆動ローラ233、236およびオープンギャップアイドラー234上にゆるく載置され、これにより、基板ハンドラ166(
図2には示されてない)が基板122を取り出すことが可能になる。
【0035】
上で論じたとおり、バフモジュール101は、化学剤源265によって複数のノズル262を通して供給された流体を、内部容積205内に配置された基板122に吹きかけるように配置された1つまたは複数のスプレーバー260を含む。
図2には1つのスプレーバー260だけが示されているが、ハウジング210の反対側に第2のスプレーバー460を配置することができる。第2のスプレーバー460は複数のノズル462を含み、その結果、
図4および5に示されているように、基板122の両面を濡れた状態に有利に維持することができる。続けて
図2、4および5を参照すると、スプレーノズル262、462は、処理の間、選択された化学剤(chemistry)を有する流体を化学剤源265から基板122の表面に供給する。化学剤源265によってスプレーバー260、460を通して基板122に供給される適当な流体の一例が高度精製水(highly purified water)(HPW)である。しかしながら、任意の数の異なる化学剤を供給するように化学剤源265を構成することができることを理解すべきである。供給する化学剤は、基板122内で実行するプロセス、またはバフモジュール101内で処理される基板122の特性(露出している材料、限界寸法(critical dimension)、膜スタックなど)に応じて選択することができる。例えば、可能な化学剤には、水酸化アンモニウム(0.5〜5%)、過酸化水素(0.5〜30%)、クエン酸(0.1〜5%)、水酸化テトラメチルアンモニウム(0.5〜5%)、界面活性剤(10ppm〜1%)、腐食抑制剤、金属キレート剤または他の適当な薬剤が含まれる。スプレーノズル262を通して基板122の上側表面227に供給される化学剤が、第2の化学剤源465に結合されたスプレーバー460を通して基板122の裏側表面427に供給される化学剤とは異なることも企図される(任意選択で第2の化学剤源465は単一の化学剤源265に統合されていてもよい)。
【0036】
ハウジング210の底部212を貫いて形成された排液口207は、スプレーノズル262および462から供給された化学剤をハウジング210の内部容積205から除去するように構成される。一実施形態では、ハウジング210の底部212から上方へ任意選択の仕切り壁206が延びる。仕切り壁206は、バフモジュール101内のアイドラー231、234および駆動ローラ233、236と整列させることができる。仕切り壁206は、基板122と実質的に整列した平面に沿って内部容積205を分割する。したがって、スプレーバー260、460から、基板122のそれぞれ対応する反対側の表面227、427に異なる化学剤が供給されると、それらの異なる化学剤は、ハウジング210の底部211に実質的に別々に集められ、これにより、分離された化学剤を、内部容積205から別々の排液口207、407を通して取り出して、再循環させかつ/または廃棄することができる。
【0037】
例えば、仕切り壁206によって、ハウジング210の底部212を、第1の底部領域440と第2の底部領域450に分割することができる。第1の底部領域440は、基板の上側表面227に吹きかけられた化学剤を集め、集められた化学剤は次いで、排液口207によって第1の底部領域440から除去される。第2の底部領域450は、基板122の裏側表面427に吹きかけられた化学剤を集め、集められた化学剤は次いで、排液口407によって第2の底部領域450から除去される。排液口407を通ってハウジング210を出た化学剤はリザーバ408に集めることができる。このようにして、基板122の反対側の表面227、427に導かれた異なる化学剤を、最小限の相互汚染で互いに別々に集めることができる。一実施形態では、リザーバ208、408に集められた一方または両方の化学剤を再循環させ、再使用しまたは廃棄する。
【0038】
基板122の反対側の表面227、427に異なる化学剤を供給することの1つの利点は、基板の表面に露出した特定の材料、例えば裏側表面427のシリコンおよび上側表面227の金属または酸化物を最もよく洗浄するようにそれぞれの化学剤を選択することができる点である。基板122の反対側の表面227、427が、バフヘッドと基板122との間の摩擦係数など、異なる特性を有することもある。反対側の表面227、427の摩擦係数は、上側表面227および裏側表面427の材料(すなわちむきだしのSi、ガラスなど)上に露出したフィーチャ(feature)に応じて、0.1から0.5μfの間で変動してもよい。したがって、全体を通じて単一の化学剤源を使用する代わりに、反対側の表面227、427に作用する最も適した異なる化学剤を、別個の化学剤源465および265から基板122に供給することができる。
【0039】
図2に戻る。両面バフ磨き装置220は、ハウジング221、アーム223、ピンチアクチュエータ222、平行移動アクチュエータ292およびバフヘッド225を含む。両面バフ磨き装置220はピボット軸224を中心にして回転する。バフヘッド225は、基板122の中心(アイドラー231、234および駆動ローラ233、236によって画定される円の中心でもある)に近い位置へ移動可能とすることができる。バフヘッド225は、ブラシ、軟かいパッド、または基板122を洗浄するのに適した他の材料からなる接触面を含むことができる。それらの接触面(
図3に参照符号340によって示されている)は概ね平らな表面を有し、一実施形態では円形の輪郭を有する。ブラシまたはパッドの交換のため、バフヘッド225は、磁気クランプまたは締め具型クランプからなる取り外し可能な円板を備えることができる。ブラシまたはパッドの形状寸法は円板形とすることができ、約5mmから約150mmの直径を有することができる。
【0040】
バフヘッド225は、アーム223によってハウジング221に接続されている。平行移動アクチュエータ292は、ハウジング221およびアーム223をピボット軸224を中心に回転させるように構成されている。ピボット軸224を中心にしてハウジング221が回転することにより、バフヘッド225は、基板122を処理する間、円弧226に沿って移動する。構成要素の振れ(run out)およびトレランススタックアップ(tolerance stackup)を補償して、ブラシの回転軸が基板122の平面に対して垂直であることを保証するため、バフヘッド225はジンバル(
図5の502)を含むことができる。基板122の両面に配置されたバフヘッド225のパッドまたはブラシが基板のエッジ245よりも外側へ移動したときに互いに接触することを防ぐため、基板122のエッジ254に隣接して支持プレート285が装着されている。支持プレート285は基板122と同様の厚さを有し、円弧形のエッジ290を有し、軸299を起点とする円弧形のエッジ290の半径は基板122の半径よりもわずかに大きい。円弧形のエッジ290は、円弧形のエッジ290の湾曲が、アイドラー231、234および駆動ローラ233、236によって画定される回転中心と同心となるような位置に位置する。円弧226に沿って移動し、回転している基板122を処理するとき、バフヘッド225は、エッジ254を通り過ぎて支持プレート285上の位置へ移動することができる。このようにすると、バフヘッド225は、基板122の上側表面227に対して平行な向きを維持し、したがって基板122のエッジ254から材料を過度に除去しない。
【0041】
次に、
図3に示した両面バフ磨き装置220の上面図を参照する。両面バフ磨き装置220は、バフヘッド225と協力して基板122の両面を同時に処理するための第2のバフヘッド310または反対側のバフヘッド310を有する。第2のアーム370が第2のバフヘッド310をハウジング221に結合し、そのため、アクチュエータ292によって両方のバフヘッド225、310を軸224を中心に同時に回転させることができる。バフヘッド225および第2のバフヘッド310の接触面340すなわちブラシまたはパッド間の距離316が、ハウジング221に形成された開口211の幅の距離315よりも大きい開位置にある両面バフ磨き装置220が示されている。アーム223および第2のアーム370はそれぞれピボット361および371を軸に回転する。
【0042】
アクチュエータ222は、連結棒(
図4に421および422として示されている)およびピン372、362によってアーム223、370に取り付けられている。アクチュエータ222は、ピボット361、371を中心にしてアーム223、370を回転させて、バフヘッド225、310を、ロボットによって基板122をバフモジュール101に装填することができる離隔した位置と、処理のためバフヘッド225、310を基板と接触した状態に置く締め付けられた位置との間で移動させる。アクチュエータ222は電動式または空気圧式とすることができ、バフヘッド225、310が基板122に対して加える力を制御するためのフィードバックを供給するセンサ(図示せず)を含むことができる。
【0043】
次に
図4を簡単に参照する。アクチュエータ222は、ピン372に取り付けられた連結棒421およびピン362に取り付けられた連結棒422を移動させる(延ばす)。アーム223および370はそれぞれピボット361および371に固定されている。連結棒421および422が延ばされ、連結棒421および422がピン372および362を外方へ変位させると、アーム223および370はそれぞれピボット361および371を中心に回転する。アーム223および370のこの回転によってバフヘッド225、310は基板122と接触する。一実施形態では、アクチュエータ222が、連結棒421と連結棒422を等しい力で移動させて、基板122に作用する力を釣り合わせる。しかしながら、アクチュエータ222が、連結棒421と連結棒422を独立に移動させてもよく、アイドラー231により大きな圧力を加えることによって、またはバフヘッド225もしくは第2のバフヘッド310の回転速度を個別に調節することによって、釣り合っていない力に対処するようにバフモジュール101を構成することもできる。洗浄の間、バフヘッド225および第2のバフヘッド310は、約0.5kPaから約25kPaの接触圧力を基板122に加えることができる。
【0044】
バフヘッド225および第2のバフヘッド310の位置は、基板に関して、および基板122の中心からエッジ254を過ぎるまでの洗浄範囲を提供するために直線ステージまたは回転ステージによって制御される位置に関して同じ半径のところに一致する。バフヘッド225および第2のバフヘッド310が基板122に沿ってエッジ254まで移動すると、プレート285(
図2に示されている)が、バフヘッド225と第2のバフヘッド310が互いに接触しないようにする。
【0045】
軸224を軸に回転することに加えて、バフヘッド225および第2のバフヘッド310はさらに、
図2に示した矢印228によって示されているように、バフヘッドの軸390を軸に回転する。加えて
図3を参照すると、軸390を中心にして、モータ313がバフヘッド225を駆動し、モータ312が第2のバフヘッド310を駆動する。バフヘッド225および第2のバフヘッド310のこの回転によって、回転平面に対して直角な方向に力が働く。一実施形態では、バフヘッド225および第2のバフヘッド310を約0rpmから約3000rpmの速度で回転させる。バフヘッド225が回転する方向を、第2のバフヘッド310が回転する方向と反対にすることができる。したがって、バフヘッド225と第2のバフヘッド310とを逆回転させて、バフヘッド225が基板122に加えるねじり力を釣り合わせることができる。基板上の垂直力および/またはバフヘッド225、310の回転速度を調節して、基板122上のトルクのレベルを釣り合わせて、基板が軸299を軸とした自由回転を維持することができるように、トルクセンサ311、314は、それぞれのバフヘッド225、310が基板に加えるトルクを示す測定値を提供することができる。
【0046】
前述のとおり、基板122の上側表面227を裏側表面427とは異なるようにすることができ、基板122の上側表面227は異なる摩擦係数を有することができる。したがって、基板122の両側に代替化学剤を使用する代わりに、または基板122の両側に代替化学剤を使用することに加えて、モータ313は、モータ312によって駆動される第2のバフヘッド310の角速度とは異なる角速度でバフヘッド225を駆動することができる。角速度の差は、基板122の反対側の表面227、427の摩擦係数が異なることによって生じる基板122に作用する正味の力を釣り合わせるように選択することができる。
【0047】
図2を参照して、両面バフ磨き装置220を使用して基板122を処理する手順を説明することができる。一実施形態では、基板ハンドラ166によって基板122をバフモジュール101内に移動させる。基板122の上方の位置にアイドラー231を移動させ、基板のエッジ254に約3lbfの力を加えて、駆動ローラ236、233に対して基板を保持する。回転しているバフヘッド225、310が基板122と接触しているときに、駆動ローラ236、233によって基板122を回転させる。両面バフ磨き装置220の回転しているバフヘッド225、310が、基板122の反対側の表面227、427にわたって平行移動するときに、スプレーバー260、460によって基板122に化学剤を吹きかけて、強く付着した欠陥(例えば50nm未満のスラリ粒子)および有機残留物を基板122から除去する。あるいは、そのときにバフヘッド225、310と接触している基板122のエリアだけに化学剤の塗布を限定するため、バフヘッド225、310内から基板122の反対側の表面227、427に化学剤を直接に供給してもよい。
【0048】
バフヘッド225、310の状態を維持することは一貫したプロセス制御を保証するのに役立つ。基板122を処理する前および/または基板122を処理した後に、バフヘッド225、310を調整しかつ/または洗浄することができる。バフヘッド225、310のブラシを調整するために両面パッドコンディショナー280が提供されている。両面パッドコンディショナー280は、ブラシまたはパッドを洗浄および保守することで、バフヘッド225および第2のバフヘッド310を調整し、そのようにしてバフヘッド225、310の実用寿命を延ばす。パッドコンディショナー280は、露出した調整面をパッドコンディショナー280の両側に有する調整パッド281を含む。一実施形態では、調整パッド281が、バフモジュール101の内部容積205内のバフヘッド225、310の運動範囲内、例えばアクチュエータ292によって提供される軸224を軸とした運動範囲内に動かないように取り付けられた2面ブラシまたは2面ダイヤモンド円板である。この例では、調整パッド281が、基板122に対するバフヘッド225、310のスイープ経路上のプレート285よりも外側に配置されている。あるいは、バフヘッド225、310をインシトゥ(in−situ)で洗浄または調整するため、プレート285が石英などの表面材料を含んでもよい。
【0049】
ハウジング221を円弧226に沿って回転させると、バフヘッド225、310が調整パッド281と整列する。矢印282によって示されているように、モータ(図示せず)によって調整パッド281をある角速度で駆動して、バフヘッド225、310を洗浄することができる。あるいは、調整パッド281が回転せず、バフヘッド225、310が調整パッド281と接触したときに、軸390を中心としたバフヘッド225、310の回転に依存して、バフヘッド225、310を洗浄するのでもよい。
【0050】
2面パッドコンディショナー280は、この調整プロセスにさまざまな化学剤を含めることもできる。これらの化学剤は、スプレーバー260から供給し、または2面パッドコンディショナー280内から供給することができる。したがって、2面パッドコンディショナー280の第1の面で使用される化学剤が、2面パッドコンディショナー280の第2の面で使用される化学剤と異なってもよい。
【0051】
バフモジュール101はさらに、基板122のエッジ254を洗浄する手段を提供する。斜面エッジ洗浄装置250によって、また支持プレート285の位置を制御してエッジ254に対するバフヘッド225、310の係合を制御することによって、基板122のエッジ254を洗浄する能力を提供することができる。一実施形態では、斜面エッジ洗浄装置250が、斜面輪郭を横断して基板122のエッジ254から5mm以内に達する能力を備える。
【0052】
斜面エッジ洗浄装置250は、ハウジング255、洗浄ヘッド252およびエッジ洗浄装置流体源253を含む。ハウジング255はピン251を中心に回転し、それによって洗浄ヘッド252が、基板122のエッジ254と接触したり、基板122のエッジ254との接触を解除したりする。斜面エッジ洗浄装置250の洗浄ヘッド252は、約1psiから約5psiの範囲の圧力で基板122のエッジ254と接触することができる。洗浄ヘッド252は、研磨パッドの一部分などのブラシまたはパッドとすることができ、洗浄ヘッド252は、例えばその周囲に溝またはV字形のノッチを有することによって基板122の両面と接触するように構成されたエッジを含む。モータを備えていないように示されているが、洗浄ヘッド252を駆動して回転させることが企図される。
【0053】
エッジ洗浄装置流体源253は、斜面エッジ洗浄装置250に化学剤を供給する。この化学剤は、洗浄ヘッド252を通して基板122のエッジ254に塗布される。エッジ洗浄装置流体源253から供給される化学剤は、HPWまたは他の適当な化学剤とすることができる。少し例を挙げると、他の適当な化学剤には、水酸化アンモニウム(0.5〜5%)、過酸化水素(0.5〜30%)、クエン酸(0.1〜5%)、水酸化テトラメチルアンモニウム(0.5〜5%)、界面活性剤(10ppm〜1%)、腐食抑制剤、金属キレート剤などがある。