特許第6375596号(P6375596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6375596
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】キャビネットシステム
(51)【国際特許分類】
   A47B 87/02 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   A47B87/02
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-145558(P2013-145558)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-16159(P2015-16159A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】濱野 強
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−524857(JP,A)
【文献】 特開2011−045674(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0074255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 87/02
A47B 67/04
A47B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のキャビネットユニット及び第2のキャビネットユニットを備え、
第1の状態では、前記第1のキャビネットユニット及び前記第2のキャビネットユニットの少なくとも一方を一段で構成されるローキャビネットとして使用可能であると共に、
第2の状態では、前記第1のキャビネットユニットと前記第2のキャビネットユニットとを、上下方向に重ねることでハイキャビネットとして使用可能であるキャビネットシステムであって、
前記第1のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第1の収納部と、第1の幕板部と、を備え、
前記第2のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第2の収納部と、第2の幕板部と、を備え、
少なくとも第1のキャビネットユニットにおいて、前記第1の幕板部は、前記第1の収納部に対して着脱可能な別体として構成され、
前記第1の幕板部は、
前記第1のキャビネットユニットが床の上に配置される場合、前記第1の収納部と床との間に配置可能に構成され、
前記第2の状態において前記第1のキャビネットユニットが前記第2のキャビネットユニットの上方に重ねられる場合、前記第1の収納部と天井との間に配置可能に構成され
前記第1の収納部と前記床との間に配置される場合及び前記第1の収納部と前記天井との間に配置される場合、前記第1の収納部のうち前記第1の幕板部が取り付けられる端部の外周部を露出させるように配置されることを特徴とするキャビネットシステム。
【請求項2】
前記第1の幕板部は、前記第1の収納部に対して、天板側及び底板側の両方に取り付け可能である、請求項1に記載のキャビネットシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャビネットシステムを用いたキャビネット設置構造であって、
前記第1のキャビネットユニットが前記第2のキャビネットユニットの上方に重ねられ、
前記第1の幕板部の下端部が前記第1の収納部と当接し、前記第1の幕板部の上端部が前記天井と当接する、キャビネット設置構造。
【請求項4】
少なくとも第3のキャビネットユニット及び第4のキャビネットユニットを備え、
第1の状態では、前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットの少なくとも一方を一段で構成されるローキャビネットとして使用可能であると共に、
第2の状態では、前記第3のキャビネットユニットと前記第4のキャビネットユニットとを、上下方向に重ねることでハイキャビネットとして使用可能であるキャビネットシステムであって、
前記第3のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第3の収納部と、前記第3の収納部に固定された第3の幕板部と、を備え、
前記第4のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第4の収納部と、前記第4の収納部に固定された第4の幕板部と、を備え、
前記第2の状態において、重ねられた前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットと、天井との間に配置可能な第5の幕板部を備え、
前記第5の幕板部は、前記第3のキャビネットユニット及び第4のキャビネットユニットに対して、着脱可能な別体として構成され、前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットと前記天井との間に配置される場合、前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットのうち前記第5の幕板部が取り付けられる端部の外周部を露出させるように配置されることを特徴とするキャビネットシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のキャビネットシステムを用いたキャビネット設置構造であって、
前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットが上下方向に重ねられ、
前記第5の幕板部の下端部が前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットのうち上段側のキャビネットユニットと当接し、前記第5の幕板部の上端部が前記天井と当接する、キャビネット設置構造。
【請求項6】
少なくとも第1のキャビネットユニット及び第2のキャビネットユニットを備えたキャビネットシステムの設置方法であって、
第1の状態では、前記第1のキャビネットユニット及び前記第2のキャビネットユニットの少なくとも一方を一段で構成されるローキャビネットとして設置し、
第2の状態では、前記第1のキャビネットユニットと前記第2のキャビネットユニットとを、上下方向に重ねることでハイキャビネットとして設置し、
前記第1のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第1の収納部と、第1の幕板部と、を備え、
前記第2のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第2の収納部と、第2の幕板部と、を備え、
少なくとも第1のキャビネットユニットにおいて、前記第1の幕板部は、前記第1の収納部に対して着脱可能な別体として構成され、
前記第1のキャビネットユニットを床の上に配置する場合、前記第1の収納部と前記床との間に前記第1の幕板部を配置し、
前記第2の状態において前記第1のキャビネットユニットを前記第2のキャビネットユニットの上方に重ねる場合、前記第1の収納部と天井との間に前記第1の幕板部を配置し、
前記第1の幕板部は、前記第1の収納部と前記床との間に配置される場合及び前記第1の収納部と前記天井との間に配置される場合、前記第1の収納部のうち前記第1の幕板部が取り付けられる端部の外周部を露出させるように配置されることを特徴とするキャビネットシステムの設置方法。
【請求項7】
少なくとも第3のキャビネットユニット及び第4のキャビネットユニット備えたキャビネットシステムの設置方法であって、
第1の状態では、前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットの少なくとも一方を一段で構成されるローキャビネットとして設置し、
第2の状態では、前記第3のキャビネットユニットと前記第4のキャビネットユニットとを、上下方向に重ねることでハイキャビネットとして設置し、
前記第3のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第3の収納部と、前記第3の収納部に固定された第3の幕板部と、を備え、
前記第4のキャビネットユニットは、収納空間を構成する第4の収納部と、前記第4の収納部に固定された第4の幕板部と、を備え、
前記第2の状態において、重ねられた前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットと、天井との間に、前記第3のキャビネットユニット及び第4のキャビネットユニットに対して、着脱可能な別体として構成されている第5の幕板部を配置し、
前記第5の幕板部は、前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットと前記天井との間に配置される場合、前記第3のキャビネットユニット及び前記第4のキャビネットユニットのうち前記第5の幕板部が取り付けられる端部の外周部を露出させるように配置されることを特徴とするキャビネットシステムの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャビネットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のキャビネットを横方向に並べてローキャビネットとして使用すると共に、上下に重ねることで床面と天井面との間を塞ぐハイキャビネットとして使用することが可能なキャビネットシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このキャビネットシステムでは、収納部分に対応するキャビネット部分と天井との間に幕板が配置されることで、当該空間が塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−45674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のキャビネットシステムでは、ローキャビネットとして使用されている状態において、キャビネット部分と床面との間に幕板が配置されている。そして、ハイキャビネットとして使用する場合は、上側に配置するキャビネット全体を上下反転させて、下側のキャビネットの上面に配置する。これによって、床面との間に配置されていた幕板を、天井との間に配置される幕板として使用している。このような構成にあっては、キャビネット全体を上下反転させるための負荷が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、使用状態を変更する際の作業負担を軽減することができるキャビネットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るキャビネットシステムは、少なくとも第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部を備え、第1の状態では、第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部の少なくとも一方をローキャビネットとして使用可能であると共に、第2の状態では、第1のキャビネット本体部と第2のキャビネット本体部とを、上下方向に重ねることでハイキャビネットとして使用可能であるキャビネットシステムであって、第2の状態において、重ねられた第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部と、天井との間に配置可能な幕板部を備え、幕板部は、第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部に対して、着脱可能な別体として構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るキャビネットシステムは、ハイキャビネットとして使用可能である第2の状態において、重ねられた第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部と、天井との間に配置可能な幕板部を備えている。また、この幕板部は、第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部に対して、着脱可能な別体として構成されている。従って、第1のキャビネット本体部と第2のキャビネット本体部を重ねてハイキャビネットとする場合は、上側のキャビネット本体部の上面に幕板部を取り付けることができるため、当該キャビネット本体部の上下を反転させることなく下側のキャビネット本体部に重ねても、天井との間に幕板部を配置することができる。このように、キャビネット本体部を反転させることなくハイキャビネットを構成することが可能となるため、使用状態を変更する際の作業負担を軽減することができる。
【0008】
また、幕板部は、第1のキャビネット本体部及び第2のキャビネット本体部の少なくとも一方に対して、天板側及び底板側の両方に取り付け可能であってよい。これによって、ローキャビネットとして使用する第1の状態においては、キャビネット本体部と床面との間に幕板部を配置することが可能である一方、ハイキャビネットとして使用する第2の状態においては、キャビネット本体部と天井との間に幕板部を配置することが可能となる。従って、部品の過不足を発生させることなく、第1の状態及び第2の状態のいずれの場合にも対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用状態を変更する際の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャビネットシステムの各構成要素を示す斜視図である。
図2図1に示すキャビネットシステムをハイキャビネットとして使用する第2の状態を示す斜視図である。
図3図1に示すキャビネットシステムの第1の状態及び第2の状態を示す概念図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るキャビネットシステムの各構成要素の斜視図である。
図5図4に示すキャビネットシステムをハイキャビネットとして使用する第2の状態を示す斜視図である。
図6図4に示す幕板部を分解した様子を示すと共に、キャビネット本体部を上下反転させて幕板収納部を底板側から見た斜視図である。
図7図4に示すキャビネットシステムの第1の状態及び第2の状態を示す概念図である。
図8】変形例に係るキャビネットシステムの第1の状態及び第2の状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るキャビネットシステム1は、複数(本実施形態では2つ)のキャビネット本体部2A,2Bを備え、各キャビネット本体部2A,2Bを背の低いローキャビネットとして使用可能であり、各キャビネット本体部2A,2Bを上下方向に重ねることで背の高いハイキャビネットとしても使用可能なシステムである。以下の説明においては、各キャビネット本体部2A,2Bをローキャビネットとして使用可能な状態を「第1の状態」と称し、各キャビネット本体部2A,2Bをハイキャビネットとして使用可能な状態を「第2の状態」と称して説明する。なお、各状態における詳細な説明は後述する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャビネットシステム1の各構成要素を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るキャビネットシステム1は、第1のキャビネット本体部2Aと、第1の幕板部3Aと、第2のキャビネット本体部2Bと、第2の幕板部3Bと、を備えている。本実施形態においては、第1のキャビネット本体部2A及び第1の幕板部3Aによって一の第1のキャビネットユニット4Aが構成されており、第2のキャビネット本体部2B及び第1の幕板部3Bによって他の第2のキャビネットユニット4Bが構成されている。キャビネット本体部2A,2B及び幕板部3A,3Bの材料として木材を用いてもよいが、樹脂材料や金属材料を用いてもよい。
【0014】
キャビネット本体部2A,2Bは、前面開口の箱体であって、少なくとも天板6、側板7,7、底板8、及び背板9を備えている。キャビネット本体部2A,2Bは、特に限定されないが、例えば、上下方向の大きさが600〜1000mm、前後方向(奥行き方向)の大きさが250〜1000mm、幅方向(前後方向及び上下方向と直交する方向)の大きさが300〜1000mm、に設定されている。なお、以下の説明において「幅方向」という語は、特に注記がない限り、キャビネット本体部2A,2Bの幅方向に該当するものとする。天板6及び底板8は矩形状の板状部材であって、上下方向に互いに平行となるように対向している。側板7,7は矩形状の板状部材であって、幅方向に互いに平行となるように対向している。背板9は、矩形状の板状部材であって、天板6、底板8及び側板7,7によって形成される後面側の開口部を塞ぐように設けられる。このような構成により、キャビネット本体部2A,2Bの内部には、収納対象物を収納可能な収納空間SPが形成される。なお、収納空間SP内に一以上の棚板や仕切り板が設けられることによって、収納空間SPが複数の領域に分割されていてよい。また、前面側には、開閉可能な扉板が設けられていてよい。
【0015】
キャビネット本体部2A,2Bの上側において、側板7,7は天板6の上面6aより上方に突出しない構成となっている。図1に示す例では、天板6の幅方向の両端面が側板7の上端付近における内側面7b,7bと連結されており、側板7,7の上端面7aは、天板6の上面6aと同一面(完全に同一でなくともよく僅かな段差が設けられていてもよい)を構成するように配置されている。なお、側板7,7の上端面7aが天板6の下面6bに連結されてもよい。また、背板9は天板6の上面6aより上方に突出しない構成となっている。図1に示す例では、天板6の後側の端面が背板9の上端付近における前面9bと連結されており、背板9の上端面9aは、天板6の上面6aと同一面(完全に同一でなくともよく僅かな段差が設けられていてもよい)を構成するように配置されている。なお、背板9の上端面9aが天板6の下面6bに連結されてもよい。以上によって、キャビネット本体部2A,2Bの上面2aが、上面6a及び上端面7a,7a,9aによって構成される。このキャビネット本体部2A,2Bの上面2aは、幕板部3A,3Bまたは他方のキャビネット本体部2A,2Bと接続される面として機能する。
【0016】
キャビネット本体部2A,2Bの下側において、側板7,7は底板8の下面8aより下方に突出しない構成となっている。図1に示す例では、底板8の幅方向の両端面が側板7の下端付近における内側面7b,7bと連結されており、側板7,7の下端面7cは、底板8の下面8aと同一面(完全に同一でなくともよく僅かな段差が設けられていてもよい)を構成するように配置されている。なお、側板7,7の下端面7cが底板8の上面8bに連結されてもよい。また、背板9は底板8の下面8aより下方に突出しない構成となっている。図1に示す例では、底板8の後側の端面が背板9の下端付近における前面9bと連結されており、背板9の下端面9cは、底板8の下面8aと同一面(完全に同一でなくともよく僅かな段差が設けられていてもよい)を構成するように配置されている。なお、背板9の下端面9cが底板8の上面8bに連結されてもよい。以上によって、キャビネット本体部2A,2Bの下面2bが、下面8a及び下端面7c,7c,9cによって構成される。このキャビネット本体部2A,2Bの下面2bは、幕板部3A,3Bまたは他方のキャビネット本体部2A,2Bと接続される面として機能する。
【0017】
幕板部3A,3Bは、キャビネット本体部2A,2Bに対して、着脱可能な別体として構成されている。幕板部3A,3Bは、キャビネット本体部2A,2Bの前面に対応する位置に設けられる前壁部11と、後面(背板9)に対応する位置に設けられる後壁部12と、側面(側板7,7)に対応する位置に設けられる側壁部13,13と、を有する矩形枠状の部材として構成されている。幕板部3A,3Bの幅方向の大きさ及び前後方向の大きさはキャビネット本体部2A,2Bと同程度の寸法に設定される。幕板部3A,3Bの上下方向の大きさは、特に限定されないが、例えば30〜150mmに設定される。
【0018】
幕板部3A,3Bは、前壁部11を構成する前板21と、後壁部12を構成する後板22と、側壁部13,13を構成する側板23,23と、補強板24,24と、を備えている。前板21及び後板22は、上下方向に立ち上がった状態で幅方向に延びると共に、キャビネット本体部2A,2Bの前後方向の大きさと同程度の寸法で互いに離間するように、前後方向に平行に対向している。側板23,23は、上下方向に立ち上がった状態で前後方向に延びると共に、キャビネット本体部2A,2Bの幅方向の大きさと同程度の寸法で互いに離間するように、幅方向に平行に対向している。前板21の幅方向の両端部は側板23,23の前側の端部と連結され、後板22の幅方向の端部は側板23,23の後側の端部と連結される。図1に示す例では、側板23,23の前後方向の両端面が、前板21の両端付近の後面に連結され、後板22の両端付近の前面に連結されているが、前板21及び後板22の幅方向の両端面が、側板23,23の両端付近の内側面に連結されてもよい。各板21,22,23,23は、幕板として機能する。補強板24,24は、各板21,22,23,23で取り囲まれる領域の内側に設けられており、表面24aが水平となる状態で幅方向に延びて両端が側板23に連結される。補強板24,24は、側板23,23の上下方向における一方の端面23a,23a寄りの位置に配置され、図に示す例では、表面24aが側板23,23の端面23a,23aと同一面となるように配置される。
【0019】
幕板部3A,3Bの上下方向における一方の端面3aは、キャビネット本体部2A,2Bに対する取付面として機能することができる(床面または天井面と当接する面としてもよい)。具体的には、前板21、後板22、及び側板23,23の上下方向における一方の端面21a,22a,23a,23a及び補強板24,24の表面24a,24aが、同一面(完全に同一でなくともよく僅かな段差が設けられていてもよい)を構成するように配置されており、これらの面によって幕板部3A,3Bの一方の端面3aが構成される。幕板部3A,3Bの上下方向における他方の端面3bは、床面または天井面と当接する面として機能することができる(キャビネット本体部2A,2Bに対する取付面としてもよい)。具体的には、前板21、後板22、及び側板23,23の上下方向における他方の端面21b,22b,23b,23bが、同一面(完全に同一でなくともよく僅かな段差が設けられていてもよい)を構成するように配置されており、これらの面によって幕板部3A,3Bの他方の端面3bが構成される。
【0020】
幕板部3A,3Bは、キャビネット本体部2A,3Bに対して、天板6側及び底板8側の両方に取り付け可能である。幕板部3A,3Bをキャビネット本体部2A,2Bの底板8側に取り付ける場合、幕板部3A,3Bの端面3a(端面3bであってもよい)上に、キャビネット本体部2A,2Bの下面2bを載置して、所定の固定構造によって幕板部3A,3Bとキャビネット本体部2A,2Bとを固定する。幕板部3A,3Bをキャビネット本体部2A,2Bの天板6側に取り付ける場合、キャビネット本体部2A,2Bの上面2a上に、幕板部3A,3Bの端面3a(端面3bであってもよい)を載置して、所定の固定構造によって幕板部3A,3Bとキャビネット本体部2A,2Bとを固定する。幕板部3A,3Bとキャビネット本体部2A,2Bとの固定構造は特に限定されず、公知の構造を採用することができる。例えば、幕板部3A,3Bの取付面に突出部を設け、キャビネット本体部2A,2Bの取付面に溝部を設け、これらの突出部と溝部とを嵌合させることで固定してもよく、取付面同士をネジを用いて固定してもよく、粘着や面ファスナーなどによって固定してもよい。
【0021】
なお、第2のキャビネット本体部2B及び第2の幕板部3Bは、上下方向の大きさ、前後方向の大きさ、及び幅方向の大きさがいずれも第1のキャビネット本体部2A及び第1の幕板部3Aと同じとなっているが、例えば上下方向の大きさを第1のキャビネット本体部2A及び第1の幕板部3Aと異なるものとしてもよい。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して、キャビネットシステム1の使用方法について説明する。図3(a)は、キャビネットシステム1をローキャビネットとして使用する第1の状態を示す概念図である。図3(a)に示すように、第1の状態においては、幕板部3A,3Bをキャビネット本体部2A,2Bの下面2bに取り付けて、各幕板部3A,3Bを床面F上に配置する。これによって、キャビネットユニット4A,4Bは、背が低いローキャビネットとして使用可能となる。なお、図3(a)では、キャビネットユニット4A,4Bを水平方向に隣接するように配置することによって一つのキャビネットとして構成しているが、互いに離間させてもよい。また、各キャビネットユニット4A,4Bを異なる位置にて使用してもよく、キャビネットユニット4A,4Bの一方のみを使用し、他方を撤去してもよい。
【0023】
図2は、キャビネットシステム1をハイキャビネットとして使用する第2の状態を示す斜視図である。図3(b)は、キャビネットシステム1の第2の状態を示す概念図である。図3(b)に示すように、第2の状態においては、第1の幕板部3Aを第1のキャビネット本体部2Aの下面2bに取り付けて、第1の幕板部3Aを床面F上に配置する。このような状態における第1のキャビネット本体部2Aの上面2a上に、第2のキャビネット本体部2Bを重ねる。このとき、第2のキャビネット本体部2Bの上下方向の向きは、ローキャビネットとして使用されている第1の状態から変更する必要はなく、上面2a側(天板6側)が上方に配置され、下面2b側(底板8側)が下方に配置された状態の第2のキャビネット本体部2Bを、第1のキャビネット本体部2A上に載せることができる。図2に示すように、第2のキャビネット本体部2Bの下面2bが、第1のキャビネット本体部2Aの上面2aと接するように配置される。また、キャビネット本体部2A,2B同士で、側板7,7及び背板9の位置が揃うように配置される。また、図2及び図3(b)に示すように、第2の幕板部3Bが、重ねられた第1のキャビネット本体部2A及び第2のキャビネット本体部2Bと、天井との間に配置される。ここでは、第2の幕板部3Bが、第2のキャビネット本体部2Bを持ち上げる前に(あるいは第1のキャビネット本体部2A上に重ねた後)第2のキャビネット本体部2Bの上面2aに取り付けられる。これによって、第2のキャビネット本体部2Bと天井面Cとの間の隙間が、第2の幕板部3Bの各板21,22,23,23によって覆われた状態となる。なお、第1のキャビネット本体部2Aが下側に配置され、第2のキャビネット本体部2Bが上側に配置されていたが、上下を入れ替えてもよい。また、図2では、キャビネット本体部2A,2Bの前面側が同方向を向いていたが、互いに異なる方向に向いていてもよく、(例えば、一方のキャビネット本体部が紙面裏側を向いていてもよい)これによって多方向からキャビネットを利用できる。
【0024】
次に、本実施形態に係るキャビネットシステム1の作用・効果について説明する。本実施形態に係るキャビネットシステム1は、ハイキャビネットとして使用可能である第2の状態において、重ねられた第1のキャビネット本体部2A及び第2のキャビネット本体部2Bと、天井との間に配置可能な幕板部3A,3Bを備えている。また、この幕板部3A,3Bは、キャビネット本体部2A,2Bに対して、着脱可能な別体として構成されている。従って、キャビネット本体部2A,2Bを重ねてハイキャビネットとする場合は、上側に配置される第2のキャビネット本体部2Bの上面2aに第2の幕板部3Bを取り付けることができるため、当該キャビネット本体部2Bの上下を反転させることなく下側の第1のキャビネット本体部2Aに重ねても、天井との間に第2の幕板部3Bを配置することができる。このように、キャビネット本体部2A,2Bを反転させることなくハイキャビネットを構成することが可能となることで、使用状態を変更する際の作業負担を軽減することができる。
【0025】
また、本実施形態に係るキャビネットシステム1において、幕板部3A,3Bは、キャビネット本体部2A,2Bに対して、天板6側及び底板8側の両方に取り付け可能である。これによって、ローキャビネットとして使用する第1の状態においては、キャビネット本体部2A,2Bと床面との間に幕板部3A,3Bを配置することが可能である一方、ハイキャビネットとして使用する第2の状態においては、キャビネット本体部2A,2Bと天井との間に幕板部3A,3Bを配置することが可能となる。従って、部品の過不足を発生させることなく、第1の状態及び第2の状態のいずれの場合にも対応することが可能となる。また、上側の第2のキャビネット本体部2Bの下面2bから第2の幕板部3Bが取り外されるため、図2に示すように、キャビネット本体部2A,2B同士の間には、幕板が配置されず、天板6と底板8が直接接合されるような構成となるため、意匠性を向上できると共に、収納性を向上することもできる。
【0026】
[第2実施形態]
図4図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るキャビネットシステム50について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係るキャビネットシステム50の各構成要素の斜視図である。第2実施形態に係るキャビネットシステム50と第1実施形態に係るキャビネットシステム1との主な相違点は、キャビネット本体部(第3のキャビネットユニット、第4のキャビネットユニット)52A,52Bが、収納空間SPを構成する主収納部55と、幕板部(第5の幕板部)70を分解して収納可能な幕板収納部53と、を備えている点である。具体的に、キャビネットシステム50は、第1のキャビネット本体部52Aと、第2のキャビネット本体部52Bと、幕板部70と、を備えている。キャビネット本体部52A,52Bは、収納空間SPを構成する主収納部(第3の収納部、第4の収納部)55の底板58側に、第1の状態において幕板部70を収容可能な幕板収納部(第3の幕板部、第4の幕板部)53を備えている。幕板収納部53は、底板58よりも下方へ延びた側板57,57の延長部57d,57d及び背板59の延長部59dと、前面側で底板58の縁部に設けられる幕板61と、によって構成される。幕板収納部53は、主収納部55の下側に着脱不能に固定された幕板部としても機能する。なお、側板57,57、背板59、及び幕板61の下端面、及び補強板62(図6参照)の下面は同一面を構成するように配置され、これらの下端面によってキャビネット本体部52A,52Bの下面52bが構成される。本実施形態では、キャビネット本体部52A,52B単独で、キャビネットユニット54A,54Bが構成される。
【0027】
幕板部70は、第1実施形態の幕板部3A,3Bと同趣旨の構成を有しており、幕板部70の各板71,72,73,73,74は、幕板部3A,3Bの各板21,22,23,23,24と同趣旨の構成を有している。幕板部70は、キャビネット本体部52A,52Bに対して着脱可能な別体として構成されている。各板71,72,73,73,74は、互いに分解可能に連結されている。図6は、幕板部70を分解した様子を示すと共に、キャビネット本体部52A,52Bを上下反転させて幕板収納部53を底板58側から見た斜視図である。図6に示すように、幕板収納部53に収納する場合は、各板71,72,73,73,74を個々の板に分解することができる。また、幕板部70として使用する場合は、幕板収納部53から取り出して各板71,72,73,73,74を連結して組み立てることができる。各板71,72,73,73,74を幕板収納部53に収納する場合、幕板収納部53に対して対角方向に各板が延びるように配置する。幕板収納部53の大きさは特に限定されないが、少なくとも、幕板部70を構成する板材の半数を収納可能な大きさがあればよい(各キャビネット本体部52A,52Bの幕板収納部53に半数ずつ収納することで、幕板部70全体を収納可能であるため)。
【0028】
次に、図5及び図7を参照して、キャビネットシステム50の使用方法について説明する。図7(a)は、キャビネットシステム50をローキャビネットとして使用する第1の状態を示す概念図である。図7(a)に示すように、第1の状態においては、幕板部70を分解してキャビネット本体部52A,52Bの何れか一方の幕板収納部53に収納する。なお、キャビネット本体部52A,52Bの両方の幕板収納部53に対して、幕板部70の板を分けて収納してもよい。そして、各キャビネット本体部52A,52Bの下面52bを床面F上に配置することでローキャビネットとして使用可能となる。図5は、キャビネットシステム50をハイキャビネットとして使用する第2の状態を示す斜視図である。図7(b)は、キャビネットシステム50の第2の状態を示す概念図である。図7(b)に示すように、第2の状態においては、床面F上に配置された第1のキャビネット本体部52Aの上面52a上に、第2のキャビネット本体部52Bを重ねる。このとき、第2のキャビネット本体部52Bの上下方向の向きは、ローキャビネットとして使用されている第1の状態から変更する必要はなく、上面52a側(天板56側)が上方に配置され、下面52b側(底板58側)が下方に配置された状態の第2のキャビネット本体部52Bを、第1のキャビネット本体部52A上に載せることができる。また、図5及び図7(b)に示すように、幕板部70が、重ねられた第1のキャビネット本体部52A及び第2のキャビネット本体部52Bと、天井との間に配置される。ここでは、幕板部70が、上側に重ねられる第2のキャビネット本体部52Bの上面52aに取り付けられる。
【0029】
以上により、第2実施形態に係るキャビネットシステム50においても、第1実施形態と同様に、キャビネット本体部52A,52Bを上下反転させる必要なくハイキャビネットを構成することができるため、使用状態を変更する際の作業負担を軽減することができる。また、幕板部70が使用されない第1の状態においては、分解して幕板収納部53に収納することができるため、余剰部材の発生を防止することができる。
【0030】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上述の実施形態ではキャビネット本体部を二段重ねる例について説明したが、三段以上であってもよい。例えば、図8に示すキャビネットシステム80は、キャビネット本体部82A,82B,82C及び別体の幕板部83A,83B,83Cで構成される三組のキャビネットユニット84A,84B,84Cを有している。このようなキャビネットシステム80では、図8(a)に示すように第1の状態において、各キャビネット本体部82A,82B,82Cの底板側に幕板部83A,83B,83Cを取り付けて床面F上に配置することでローキャビネットとして使用可能である。一方、図8(b)に示すように、第2の状態では、第1のキャビネット本体部82A上に第2のキャビネット本体部82Bが重ねられ、その上に第3のキャビネット本体部82Cが配置され、当該キャビネット本体部82Cと天井面Cとの間に第3の幕板部83Cが配置される。このとき、第2の幕板部83Bが余るため、分解して幕板部83A,83C内に収納してもよい。このように、キャビネット本体部82A,82B,82Cとは別体の幕板部83A,83B,83Cを幕板収納部として機能させることができる。
【0031】
また、キャビネット本体部と幕板部が別体となっているキャビネットユニットと、主収納部と幕板収納部が一体になっているキャビネットユニットとを両方用いてキャビネットシステムを構成してもよい。例えば、第1実施形態に係るキャビネットユニットの一方を、第2実施形態に係るキャビネットユニットに置き換えてもよい。
【0032】
また、キャビネット本体部と別体の幕板部の構造は限定されず、幕板部としての機能を発揮できる限りあらゆる構造を採用してよい。幕板部は、幅方向に延びる板材と、前後方向に延びる板材とが連結されて構成されていればよく、板材の枚数や形状は特に限定されない。また、幕板部の全体形状は枠状であったが、上下方向に天板や底板を設けて箱状としてもよい。また、各板を分解する必要のない場合は、幕板部は板を組み立てることで構成されていなくともよく、幕板部の形状を一体形成したような部材を採用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1,50,80…キャビネットシステム、2A,2B,52A,52B,82A,82B,82C…キャビネット本体部、3A,3B,70,83A,83B,83C…幕板部、4A,4B,54A,54B,84A,84B,84C…キャビネットユニット、6,56…天板、7,57…側板、8,58…底板、9,59…背板、53…幕板収納部、55…主収納部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8