(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るワーク分割装置について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のワーク分割装置の一実施形態を示す要部断面図である。ワーク分割装置1は、
図7に示したようなワーク2を予め形成された分断予定ラインに沿って分割して各チップに個片化するものである。ワークは、
図7に示したように、半導体ウエーハWの裏面にDAF(Die Attach Film ダイアタッチフィルム)D(以下、DAF(D)と表示する。)が貼着され、粘着シートSを介してフレームFにマウントされている。
【0017】
ここで例えば、半導体ウエーハWは厚さ50μm程度、DAF(D)及び粘着シートSはそれぞれ厚さ数μmから100μm程度であるとする。
【0018】
図1に示すように、ワーク分割装置1は、このようなワーク2のフレームFを保持するフレーム固定機構18、ワーク2の粘着シートSをエキスパンド(拡張)して半導体ウエーハWを分割する突上げ用リング12を備えている。突上げ用リング12は、半導体ウエーハWの周囲の粘着シートSに沿ってリング状に配置され、リング昇降機構16によって昇降可能に構成されている。なお、突上げ用リング12の先端部には摩擦力低減のためのコロ(ローラ)を設けてもよい。
図1では、突上げ用リング12は、下降位置(待機位置)に位置している。
【0019】
なお、半導体ウエーハWの裏面に貼着されたDAF(D)が室温付近では粘性が高く冷却が必要な場合には、DAF(D)を冷却するための冷凍チャックテーブルが突上げ用リング12の内側のワーク2の下面に配置される。
【0020】
また、
図1に示すように、本実施形態のワーク分割装置1は、立ち上がったDAFが半導体ウエーハ面へ倒れ込むのを防止するために、ウエーハカバー20を有している。
【0021】
ウエーハカバー20は、半導体ウエーハWを覆う円形の蓋状の部材で、その周囲に縁部20aを有している。ウエーハカバー20の上部にはカバー保持部材22が形成され、カバー保持部材22はウエーハカバー20を昇降させるカバー昇降手段24に接続している。カバー昇降手段24としては、特に限定されるものではないが、例えばエアーシリンダが好適に例示される。
【0022】
また、カバー保持部材22には、2つのエアーを供給する供給路26(第1供給路26a、第2供給路26b)が接続されている。それぞれの供給路26(第1供給路26a、第2供給路26b)は、図示を省略した空圧制御系に接続されており、所定圧のエアーが供給されるようになっている。
【0023】
それぞれの供給路26(第1供給路26a、第2供給路26b)は、カバー保持部材22の内部に形成された流路(図に2種類の破線で示す)に連通しており、第1供給路26aから供給されたエアーはウエーハカバー20の内側中央部に設けられた吹き出し口28aから噴出され、第2供給路26bから供給されたエアーはウエーハカバー20の縁部20a付近に設けられた吹き出し口28bから噴出されるようになっている。
【0024】
このとき特に、第1供給路26aからはイオナイザーを通してイオン化された除電エアーが供給されるようになっている。このように除電エアーを供給するのは、DAF(D)が割れる際に静電気が発生し、このクーロン力によってデブリが半導体ウエーハW等にくっついているためである。
【0025】
ワーク分割の際には至る所で静電気が発生する。粘着シートSをエキスパンドする際、例えば突上げ用リング12の先端部に取り付けられた摩擦力低減のためのローラとの摩擦によって粘着シートSも帯電する。またDAF(D)も剪断されることによって帯電する。特に粘着シートSは絶縁体なので一度帯電するとなかなか除電することができない。そこで、ここでは除電エアーを流すことによって除電してデブリを除去しやすくしている。
【0026】
なお、本実施形態のワーク分割装置1は、これらの他に、フレーム固定機構18によるワーク2の保持、突上げ用リング12の昇降、ウエーハカバー20の昇降及び供給路26からのエアーの供給等の制御を行うための制御系を備えている。
【0027】
以下、本実施形態のワーク分割装置の作用として、DAFの半導体ウエーハ面への倒れ込みを防止すると共に、ウエーハ面に接触したDAFを除去してチップの歩留まりを向上させるワーク分割方法について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態のワーク分割装置の作用であるワーク分割方法を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0029】
まず、
図2のステップS100において、
図1に示すように、ワーク2のフレームFをフレーム固定機構18によって保持し、ワーク2をワーク分割装置1に設置する。
【0030】
次に、ステップS110において、図示しない制御系によって空圧制御系を制御して供給路26からエアーを供給する。第1供給路26aからはイオナイザーを通しイオン化された除電エアーが供給される。この除電エアーは、ウエーハカバー20の内側中央部に設けられた吹き出し口28aから噴出され、図に矢印Aで示すようにウエーハカバー20の内側に沿って放射状に広がるように流れる。また、第2供給路26bから供給されるエアーは、ウエーハカバー20の周囲に設けられた吹き出し口28bから矢印Bで示すように下方に向けて噴出される。
【0031】
この2つのエアーの流れによってウエーハカバー20とワーク2との間の空間に中心部から周辺部に向かう気流が発生される。
【0032】
次に、ステップS120において、図示しない制御系によりリング昇降機構16を制御して突上げ用リング12を上昇させ、突上げ用リング12によって粘着シートSをエキスパンド(拡張)する。ここでワーク2にもよるがエキスパンドするために突上げ用リング12を上昇させる距離は10mm〜30mm程度である。また、このときウエーハカバー20は、エキスパンドする前のワーク2の位置より上方100mm程度の距離にある。
【0033】
図3に、突上げ用リング12によって粘着シートSをエキスパンド(拡張)している状態を示す。このように粘着シートSを拡張することにより、粘着シートSが伸びて半導体ウエーハW及びDAF(D)に対して剪断力が作用し、半導体ウエーハW及びDAF(D)が分断予定ラインに沿って各チップTに分割される。
【0034】
このとき、エキスパンド前からウエーハカバー20とワーク2との間の空間に中心部から周辺部に向けた気流を発生させて粘着シートSを拡張するようにしているので、分割の際にDAF(D)のかけらが発生して舞い上がったりしても、半導体ウエーハW上に乗るのを抑制することができる。
【0035】
また、図に示すように、半導体ウエーハWの外周部から外にはみ出したDAF(D0)の一部が粘着シートSから剥離することがある。そして、粘着シートSの拡張を解放する際に、このように一部が剥離したDAF(D0)が立ち上がったり、デブリとなって半導体ウエーハWの表面に接触したりすることがある。
【0036】
そこで、次に、ステップS130において、
図4に示すように、制御系でカバー昇降手段24を制御してウエーハカバー20を次第に下降させる。
【0037】
ウエーハカバー20が下降していき、ウエーハカバー20とワーク2との間隔が狭くなっていくと、吹き出し口28a及び28bから噴出するエアーによって発生した中心部から周辺部に向かう気流の流速が大きくなる。特にウエーハカバー20の縁部20aの下側がDAF(D)(あるいは粘着シートS)に接触する直前、その距離が10mmを切ったあたりから、外に向かって吹き抜ける風速が非常に大きくなる。
【0038】
これにより、図に示すように、粘着シートSから離れて立ち上がっていた周辺部のDAF(D0)が、この風の力によって外側に倒れる。また一方、第1供給路26aから供給
され吹き出し口28aから噴出される除電エアーにより、静電気力で半導体ウエーハW等に付着していた半導体ウエーハWのかけら(デブリ)が除電され、付着していた半導体ウエーハW等から離れやすくなり、風の力によって外へ排出される。
【0039】
次に、ステップS140において、
図5に示すように、ウエーハカバー20をさらに下降させて、その縁部20aを周辺部の粘着シートSに密着させるようにする。このときウエーハカバー20の縁部20aは、風の力によって外側に倒れたDAF(D0)を上から押さえつける。
【0040】
そして、ステップS150において、供給路26からのエアーの供給を停止する。
【0041】
最後にステップS160において、ウエーハカバー20と粘着シートS(DAF(D0
))との密着を維持しつつ、突上げ用リング12を下降させ、粘着シートSの拡張を解放する。このときウエーハカバー20と粘着シートSとの密着を維持するために、ウエーハカバー20も一緒に下降する。
【0042】
もしここで単に粘着シートSの拡張を解放するだけだと、粘着シートSをもどす際に再びDAF(D)が立ち上がってしまう虞があるので、ウエーハカバー20と粘着シートSの密着は維持したままとしている。
【0043】
これにより
図5に示すように、ウエーハカバー20の縁部20aで周辺部のDAF(D0)を上から抑えているので、突上げ用リング12を(ウエーハカバー20とともに)下降させて粘着シートSの拡張を解放しても粘着シートSから離れたDAF(D0)が再び立ち上がるようなことはない。
【0044】
また、ウエーハカバー20と粘着シートS(DAF(D0))との密着を維持したまま、突上げ用リング12を下降させ(ウエーハカバー20も同時に下降させる)、粘着シートSの拡張を解放すると、今まで拡張されていた周辺部の粘着シートSに弛みが生じるが、これに対しては、弛み部分に拡張リング(カシメリング)を挿入して粘着シートSの拡張状態を維持したり、あるいは、粘着シートSの材質に応じて、加熱したり冷却したりすることによって粘着シートSを収縮させて弛みを解消するようにする。
【0045】
このようにしてチップTへの分割が済んだワーク2は、ワーク分割装置1から取り出されて次の工程に搬送される。
【0046】
なお以上説明してきた例は、拡張の前に冷却の必要がないDAFの場合であったが、DAFを冷却する必要がある場合には、
図6に示すように、ワーク2の下側に冷凍チャックテーブル10を配置する。なお、冷凍チャックテーブル10は、300mm〜307mm程度の直径を有する円形をしている。
【0047】
この場合、ワーク2のフレームFをフレーム固定機構18で保持して、ワーク2をワーク分割装置1に設置すると、ワーク2の半導体ウエーハWが貼着されている部分の粘着シートSを冷凍チャックテーブル10で下側から吸引して、この粘着シートSを冷凍チャックテーブル10に接触させる。粘着シートSは冷凍チャックテーブル10に接触することで冷却される。
【0048】
冷凍チャックテーブル10によって冷却されてDAF(D)が脆性化したら、突上げ用リング12を上昇させて粘着シートSをエキスパンドして半導体ウエーハWをDAF(D)とともに分割していく。その後の工程は前述した例と同様である。
【0049】
すなわち、冷却によってDAF(D)が脆性化したら、供給路26からエアーを供給する。第1供給路26aと連通する吹き出し口28aから噴出されるイオン化された除電エアーはウエーハカバー20の内側に沿って放射状に広がり、第2供給路26bと連通する吹き出し口28bから周辺部直下に噴出されるエアーとともに、ウエーハカバー20とワーク2との間の空間に中心部から周辺部に向けた気流を形成する。
【0050】
このようにワーク2の粘着シートSの下側からは冷凍チャックテーブル10で冷却され、ワーク2の上側からは中心から周辺部に向かう除電エアーを含む気流が形成された状態で、突上げ用リング12により粘着シートSをエキスパンドする。
【0051】
その後、ウエーハカバー20を次第に下降させていくと、特にウエーハカバー20の縁部20aの下側の間隔が狭くなるので周辺部における気流が強くなっていき、これによりエキスパンドにより立ち上がった周辺部のDAF(D0)を外側に倒したり、ワーク分割に伴って発生したデブリを除去することができる。
【0052】
このように本例においては、DAF(D)を冷却して脆性化するために冷凍チャックテーブル10を用いているが、エキスパンドによる周辺部のDAFの立ち上がりやデブリを除去するための除電エアーによる気流と、DAF(D)の冷却とを両立させるためには、冷却方法として冷凍チャックテーブル10を用いることが重要である。
【0053】
すなわち、もしDAF(D)の冷却を、ワーク2全体を冷気の中に入れる雰囲気冷却で行おうとすると、雰囲気冷却と除電エアーとはなかなか相容れないという問題がある。雰囲気冷却をしてイオナイザーの中に冷気が流れているときに、ワークの出し入れ等により外の空気が流入したりして雰囲気温度が上がったりすると、例えばイオナイザーの放電針がすぐに結露してしまい、冷たい除電エアーを生成することが難しいからである。
【0054】
以上説明したように、エキスパンドして半導体ウエーハW及びDAF(D)を分割する際、ワーク上方にウエーハカバーを配置して、ウエーハカバー内側中央部から周辺部に向けて放射状に除電エアーを流すと共に、周辺部では真下に向けてエアーを吹き付けて、この2種類のエアーによる気流を流しながら、エキスパンドし、さらにウエーハカバーを次第に下降させて、その縁部を粘着シート(あるいはDAF)に密着させるようにしたことにより、粘着テープの張力を開放した際のDAFの半導体ウエーハ面への倒れ込みを防止すると共に、ウエーハ面に接触したDAFを除去してチップの歩留まりを向上させることが可能となった。
【0055】
また、特にエキスパンドする前にDAFを冷却して脆性化する必要がある場合には、冷凍チャックテーブルを用いてDAFを冷却することにより、DAFの冷却と除電エアーとを両立させることができ、同様に粘着テープの張力を開放した際のDAFの半導体ウエーハ面への倒れ込みを防止すると共に、ウエーハ面に接触したDAFを除去してチップの歩留まりを向上させることが可能となる。
【0056】
以上、本発明のワーク分割装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0057】
(付記)上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0058】
(付記1)付記1のワーク分割装置は、粘着シートにダイアタッチフィルムを介して貼着されて、リング状のフレームにマウントされ、予め形成された分断予定ラインに沿って個々のチップにダイシング加工された半導体ウエーハからなるワークを固定するフレーム固定手段と、前記ワークの粘着シートをエキスパンドするエキスパンド手段と、前記粘着シートに貼着された前記半導体ウエーハの表面を覆うことが可能なウエーハカバーと、前記ウエーハカバーを昇降させるカバー昇降機構と、前記ウエーハカバーと前記ワークとの間にワーク中央部から周辺部に向かう空気の流れを形成する気流形成機構と、を備えたことを特徴とする。
【0059】
これにより、粘着テープの張力を開放した際のDAFの半導体ウエーハ面への倒れ込みを防止すると共に、ウエーハ面に接触したDAFを除去してチップの歩留まりを向上させることが可能となる。
【0060】
(付記2)また、付記2のワーク分割装置は、一つの実施態様として、前記気流形成機構は、イオン化された除電エアーを前記ウエーハカバー内側中央部から周辺部に向けて放射状に噴出する供給路と、前記ウエーハカバー内側周辺部からエアーを下方に向けて噴出する供給路を備えたことが好ましい。
【0061】
これにより、ワーク分割の際に発生した静電気によって半導体ウエーハ等に付着したダイアタッチフィルムのかけら等を簡単に除去することが可能となる。
【0062】
(付記3)また、付記3のワーク分割装置は、一つの実施態様として、前記エキスパンド手段は、前記ワークの粘着シートを下から押し上げてエキスパンドする突上げ用リングと、該突上げ用リングを昇降させるリング昇降機構とからなり、該突上げ用リングと前記ウエーハカバーの側部の先端面とで前記ワークの粘着シートを抑えることができることが好ましい。
【0063】
このように、突上げ用リングとウエーハカバーの側部の先端面とでワークの粘着シートを抑えることにより、ワーク分割後、エキスパンドを解除しても、外側に倒されていたダイアタッチフィルムが再び立ち上がることを防止することができる。
【0064】
(付記4)また、付記3のワーク分割装置は、一つの実施態様として、本発明のワーク分割装置であって、さらに前記固定されたワークの前記ダイアタッチフィルムの領域の粘着シートを選択的に冷却する冷凍チャックテーブルを備えたことが好ましい。
【0065】
このようにダイアタッチフィルムを脆性化するために冷却する必要がある場合でも、冷凍チャックテーブルを用いて冷却することにより、除電エアーを用いて半導体ウエーハ等に付着したダイアタッチフィルムのかけら等を除去することができる。
【0066】
(付記5)また、付記5のワーク分割方法は、粘着シートにダイアタッチフィルムを介して貼着されて、リング状のフレームにマウントされ、予め形成された分断予定ラインに沿って個々のチップにダイシング加工された半導体ウエーハからなるワークのフレームを固定するフレーム固定工程と、前記ワーク上方に、該ワークの半導体ウエーハの部分を覆うことが可能なウエーハカバーを配置して、該ウエーハカバーの内側から空気を噴出し、前記固定されたワークの表面に対して中央部から周辺部に向かう空気の流れを形成する気流形成工程と、前記ワークの粘着シートを、突上げ用リングを上昇させてエキスパンドするエキスパンド工程と、前記ウエーハカバーを次第に下降させて前記ワーク表面上の気流を強めてエキスパンドにより発生した前記ダイアタッチフィルムのデブリを除去すると共に立ち上がった周辺部の前記ダイアタッチフィルムを外側に倒すデブリ除去工程と、前記ウエーハカバーの側部の先端面と前記突上げ用リングとで前記粘着シートを抑え、前記空気の流れを停止すると共に、前記突上げ用リングによるエキスパンドを解除する拡張解放工程と、を備えたことを特徴とする。
【0067】
これにより、粘着テープの張力を開放した際のDAFの半導体ウエーハ面への倒れ込みを防止すると共に、ウエーハ面に接触したDAFを除去してチップの歩留まりを向上させることが可能となる。
【0068】
(付記6)また、付記6のワーク分割方法は、一つの実施態様として、前記気流形成工程は、前記ウエーハカバーの内側中央部から周辺部に向けて放射状にイオン化された除電エアーを噴出すると共に、前記ウエーハカバーの内側周辺部から真下に向けてエアーを噴出することが好ましい。
【0069】
これにより、ワーク分割の際に発生した静電気によって半導体ウエーハ等に付着したダイアタッチフィルムのかけら等を簡単に除去することが可能となる。
【0070】
(付記7)また、付記7のワーク分割方法は、粘着シートにダイアタッチフィルムを介して貼着されて、リング状のフレームにマウントされ、予め形成された分断予定ラインに沿って個々のチップにダイシング加工された半導体ウエーハからなるワークのフレームを固定するフレーム固定工程と、前記固定されたワークの前記ダイアタッチフィルムの領域の粘着シートを冷凍チャックテーブルにより選択的に冷却する選択冷却工程と、前記ワーク上方に、該ワークの半導体ウエーハの部分を覆うことが可能なウエーハカバーを配置して、該ウエーハカバーの内側から空気を噴出し、前記固定されたワークの表面に対して中央部から周辺部に向かう空気の流れを形成する気流形成工程と、前記冷却されたワークの粘着シートを、突上げ用リングを上昇させてエキスパンドするエキスパンド工程と、前記ウエーハカバーを次第に下降させて前記ワーク表面上の気流を強めてエキスパンドにより発生した前記ダイアタッチフィルムのデブリを除去すると共に立ち上がった周辺部の前記ダイアタッチフィルムを外側に倒すデブリ除去工程と、前記ウエーハカバーの側部の先端面と前記突上げ用リングとで前記粘着シートを抑え、前記空気の流れを停止すると共に、前記突上げ用リングによるエキスパンドを解除する拡張解放工程と、を備えたことを特徴とする。
【0071】
(付記8)また、付記8のワーク分割方法は、一つの実施態様として、前記気流形成工程は、前記ウエーハカバーの内側中央部から周辺部に向けて放射状にイオン化された除電エアーを噴出すると共に、前記ウエーハカバーの内側周辺部から下方に向けてエアーを噴出することが好ましい。
【0072】
このようにダイアタッチフィルムを脆性化するために冷却する必要がある場合でも、冷凍チャックテーブルを用いて冷却することにより、除電エアーを用いて半導体ウエーハ等に付着したダイアタッチフィルムのかけら等を除去することができる。
【0073】
(付記9)付記9のワーク分割装置は、粘着シートにダイアタッチフィルムを介して貼着された半導体ウエーハに対して、前記粘着シートをエキスパンドして、個々のチップに分割するワーク分割装置において、前記半導体ウエーハを覆うウエーハカバーであって、周囲に前記半導体ウエーハ側に延びる縁部を備えたウエーハカバーと、前記ウエーハカバーの内側から外側に向けて空気を供給する手段と、を備えた。
【0074】
(付記10)付記10のワーク分割装置は、付記9において、前記縁部は、前記半導体ウエーハの外周部から外にはみだした周辺部の前記ダイアタッチフィルムを覆う位置に備えられる。
【0075】
(付記11)付記11のワーク分割装置は、付記9又は付記10において、前記ダイアタッチフィルムを冷却する手段を更に備えた。
【0076】
(付記12)付記12のワーク分割装置は、付記11において、冷却により前記ダイアタッチフィルムが脆性化した後、前記空気を供給する手段から前記空気が供給され、前記粘着シートがエキスパンドされる。