(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリウレタン接着剤が基材に塗布された軟包装用フィルムの製造方法において、該ポリウレタン接着剤がA剤とB剤の混合液であり、一方の基材に塗布されたA剤とB剤の混合液と、他方の基材に塗布されたB剤と触媒の混合液とが接触して圧着する2液分別塗布工程を有し、A剤がポリイソシアネート化合物でありB剤がポリオール化合物であることを特徴とする軟包装用フィルムの製造方法。
前記触媒が、金属系触媒、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン系触媒、又は脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体から選ばれる少なくとも1つの触媒を有する請求項1〜3の何れかに記載の軟包装用フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A剤 ポリイソシアネート化合物)
本発明でA剤として用いるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に少なくとも2つ有する有機化合物が挙げられる。
有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートのアダクト体、これらのポリイソシアネートのビュレット体、または、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)などが挙げられる。
【0011】
本発明に用いるポリイソシアネート化合物は、硬化剤として作用し適宜選択して用いることができるが、芳香族系であっても脂肪族系であってもよい。本発明で好ましく用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のポリイソシアネート、を挙げることができる。
硬化剤は、ポリイソシアネート化合物(B)のみでも性能を発現するが、ポリイソシアネート化合物と後述するエポキシ樹脂とを積極的に併用することより、硬化塗膜により高度な耐加水分解性を付与することも出来る。
【0012】
(B剤 ポリオール化合物)
本発明でB剤として用いるポリオール化合物は、特に限定はないが、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油又はそれらの混合物から選ばれるポリマーポリオールを挙げることができる。
【0013】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール或いはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。 ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテルポリオールを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールが挙げられる。
【0015】
ポリウレタンポリオールとしては、1分子中にウレタン結合を有するポリオールであり、例えば、数平均分子量200〜20,000のポリエーテルポリオールと有機ポリイソシアネートとの反応物で、NCO/OHが1未満が好ましく、より好ましくは0.9以下のものを挙げることができる。有機ポリイソシアネートは後述のポリイソシアネート化合物、特にジイソシアネート化合物を使用することができる。
【0016】
ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオールは、ポリエステルポリオールやポリエーテルエステルポリオール等と有機ポリイソシアネートとの反応物で、NCO/OHが1未満が好ましく、より好ましくは0.9以下のものを挙げることができる。
【0017】
ポリエステルアミドポリオールとしては、上記エステル化反応に際し、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料としてあわせて使用することによって得られる。
アクリルポリオールの例としては、1分子中に1個以上の水酸基を含むアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られる。
【0018】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールAの中から選ばれた1種又は2種以上のグリコールをジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られたものが挙げられる。
【0019】
ポリヒドロキシアルカンとしては、ブタジエン、又はブタジエンとアクリルアミド等と共重合して得られる液状ゴムが挙げられる。
中でも、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオールが特に好ましい。
【0020】
また、本発明に用いられるポリオール化合物として、ポリイソシアネートとビス(ヒドロキシアルキル)アミンの反応物であって末端にウレア結合基を有するものも好ましく用いることができる。
【0021】
前記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との配合割合は、ポリオール化合物の固形分水酸基当量(a)とポリイソシアネート化合物の固形分イソシアネート当量(b)の当量比〔(b)/(a)〕が0.5〜4.0、より好ましくは0.9〜3.0となるように設計する。製造の詳細は、実施例に記載した。
【0022】
本発明で使用する接着剤には、必要であれば、前記以外のその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、フィルムやコーティング膜などを形成する樹脂組成物に一般に使用されている添加剤などが挙げられる。添加剤としては、例えば、コロイド状シリカ;アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;シランカップリング剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤;などが挙げられる。
【0023】
本発明で使用する接着剤には、通常A剤のポリイソシアネート化合物以外の各成分をあらかじめ配合したB剤のプレミックスを調製しておき、これとA剤のポリイソシアネート化合物とを混合して調製することが出来る。
【0024】
更に、接着性及び硬化を促進する目的でエポキシ基含有化合物を配合されている場合もあり、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物や、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを配合されているケースもある。
【0025】
<その他の添加剤>
本発明では、その他の添加剤として、公知慣用の熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、触媒、燐酸化合物,メラミン樹脂、又は反応性エラストマーを用いることができる。これらの添加剤の含有量は、本発明の接着剤の機能を損なわない範囲内で適宜調整して用いることができる。
【0026】
<フィルム>
本発明に用いられるフィルムとしては、例えば、紙、プラスチックフィルム、金属蒸着フィルム又は銅箔、アルミニウム箔の様な金属箔等を挙げることができる。プラスチックフィルムとは、有機高分子樹脂からなり、溶融押出し後、長手方向および/または幅方向に延伸され、さらに熱固定、冷却を施された二軸延伸フィルム、または溶融押出し後、延伸無しで熱固定、冷却を施された無延伸フィルムであり、有機高分子樹脂としては、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂があり、二軸延伸フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂から得られた合成樹脂フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデンコートOPP(KOP)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニリデンコートナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、二軸延伸ポリスチレン(OPS)等が挙げられる。また、無延伸フィルムとしては、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、CPP(無延伸ポリプロピレン)等が挙げられる。これらの有機高分子樹脂は、他の有機単量体を少量共重合したり、他の有機重合体をブレンドしたりしてもよい。
またアルミ蒸着PET、シリカ蒸着PET、アルミナ蒸着PET、アルミ蒸着CPPのように、前記プラスチックフィルムに蒸着膜を有するフィルム等も挙げられる。
【0027】
前記フィルムとしての透明度は特に限定するものではないが、透明性を要求される場合には、50%以上の光線透過率をもつものが好ましい。また有機層や無機層を積層する前のプラスチックフィルムに、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、表面粗面化処理などの表面処理、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾などを施してもよい。
【0028】
また、前記フィルムの厚みは、3〜500μmの範囲が好ましく、6〜300μmの範囲がより好ましい。
【0029】
本発明で使用するポリウレタン接着剤は、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等の溶解性の高い有機溶剤または分散剤に任意の割合で溶解/分散させて、ダイコート、リップコート、グラビアコート、ダイレクトリバースグラビアコート、キスリバースグラビアコート、ノンソルコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、押出コート等の公知の塗布方式を用いて接着層を形成することができる。
【0030】
また、本発明で使用するポリウレタン接着剤は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等の溶解性の高い有機溶剤を含まない、いわゆる無溶剤型としても用いることができる。
【0031】
本発明で使用するポリウレタン接着剤のフィルムへの塗布量は、特に制限されるものではないが、例えば、0.1〜10g/m
2、中でも0.1〜5.0g/m
2の範囲から選択することが、少量で優れた耐候性等が付与できる点で好ましい。
本発明では、塗布重量が、0.1g/m
2を下回ると連続均一塗布性に難点が生じ、一方、10.0g/m
2を越えると塗布後における溶剤離脱性も低下し、作業性が著しく低下する上に残留溶剤の問題が生じる。
【0032】
<2液分別塗布工程>
本発明における分別塗布工程は、本発明で使用する接着剤がA剤とB剤の混合物、及びウレタン反応を促進する触媒とから構成され、一方の被着体に塗布されたA剤とB液の混合液と他方の被着体に塗布された触媒とが接触して圧着する2液分別塗布工程であって、上記A剤は、前記ポリイソシアネート化合物であり、上記B剤は、前記ポリオール化合物である。
本発明で使用する触媒は、ウレタン化反応を促進するためのものであれば特に制限はないが、例えば、金属系触媒、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、又は脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体等の触媒を用いることができる。
【0033】
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系を挙げることができ、金属錯体系として具体的には、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)及びCo(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩であり、例えば、鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が挙げられるが、これらのうち、毒性と触媒活性の点から、鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)
3)又はマンガンアセチルアセトネート(Mn(acac)
2)が好ましい。
【0034】
無機金属系触媒としては、Fe、Mn、Cu、Zr、Th、Ti、Al及びCo等から選ばれる触媒を挙げることができる。
【0035】
有機金属系触媒としては、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が挙げられる。これらのうち好ましい化合物としては有機錫触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートである。
【0036】
第3級アミン触媒は、上記構造を有する化合物であれば良く特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2−メチルキヌクリジン等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ工業的に入手可能なことからトリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミンが好ましい。
【0037】
その他の第3級アミン触媒としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3−キヌクリジノール、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0038】
脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントールラクタム、η−カプリルラクタム、β−プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でも硬化促進効果に優れる点からε−カプロラクタムが好ましい。
【0039】
チタンキレート錯体は、紫外線照射により触媒活性が高められる化合物であり、脂肪族又は芳香族ジケトンをリガンドとするチタンキレート錯体であることが硬化促進効果に優れる点から好ましい。また、本発明ではリガンドとして芳香族又は脂肪族ジケトンに加え、炭素原子数2〜10のアルコールを持つものがより本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
本発明においては、前記触媒を単独でも併用して使用してもよい。
【0040】
。
前記触媒の使用量は、他方の基材に塗布された接着剤のB剤中のポリオール化合物を100部としたとき、0.001〜10部であるが、好ましくは0.01〜10部である。
【0041】
前記触媒は、溶液状或いは分散状にして、塗布工程に用いることができ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコール類、ミネラルターペン等の炭化水素、アセチルアセトン及びそのフッ素化置換体等のβ−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル類等のキレート化可能な溶媒、アセチルアセトン及びそのフッ素化置換体等のβ−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル類等のキレート化可能な有機溶剤、可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸イソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、ポリエチレンポリオール若しくはポリプロピレンポリオール等のポリオール、又は本発明のポリオール化合物等により溶液状或いは分散状にして用いることができる。また触媒は、予めポリオール、イソシアネートやプレポリマーと混合して用いるのが望ましい。
【0042】
本発明で使用する接着剤を塗布した積層体は、作製後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、室温〜100℃で、12〜240時間の間であり、この間に硬化反応が進行する。
【0043】
一方の基材に塗布されたA剤とB剤の混合液と塗工後、他方の基材に触媒を塗布し、圧着することで、A剤とB剤の混合液と触媒とが接触して反応する。圧着方法はドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる方法が好ましく、ラミネートロールの温度は室温〜120℃程度、圧力は、3〜300kg/cm
2程度が好ましい。このようにして軟包装フィルムを得ることができる。
また、本発明で得られる軟包装用フィルムは、作製後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、好ましい温度は25〜80℃、時間は12〜240時間であり、この間に接着強度が生じる。本発明の積層体は、例えば包装用積層層体として用いることができる。
【0044】
本発明の軟包装用フィルムの製造方法によれば、ラミネートフィルムの外観が向上し、軟包装の風合いが良化する軟包装用フィルムの製造が可能となるので、得られる軟包装用フィルムは、食品用包装材としての利用が可能である。その他各種包装材料として工業的に使用することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により、具体的に本発明を説明する。
【0046】
(実施例1)
印刷済みのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム20μm上に接着剤としてDIC(株)製の芳香族系ポリエーテルイソシアネート2K−SF−220A(A剤)とポリエーテルポリオールHA−220B(B剤)の混合液(以下接着剤混合液(1)と称す)を1.5g/m
2塗布し、一方CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上に触媒液としてε−カプロラクタム 6部とHA−220B 94部の混合液を0.2g/m
2塗布し、お互いの塗布面をニップロール(ニップロール温度:50℃)で圧着し、プラスチックフィルム積層体を作製した。加工速度は200m/min、接着剤塗布量は1.7g/m
2であった。
2K−SF−220AとHA−220Bは配合比が10/7になるように調整した。
【0047】
(実施例2)
CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上に塗布する触媒液として光潜在性チタン触媒 1部とε−カプロラクタム 5部とHA−220B 94部の混合液 を0.2g/m
2塗布した以外は実施例1と同様にして、プラスチックフィルム積層体を作製した。
【0048】
(実施例3)
CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上に塗布する触媒液としてジブチル錫ジラウレート0.4部とHA−220B 99.6部の混合液を0.2g/m
2塗布した以外は実施例1と同様にして、プラスチックフィルム積層体を作製した。
【0049】
(実施例4)
CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上に塗布する触媒液として光潜在性チタン触媒1部とε−カプロラクタム5部とHA−220B 94部の混合液を0.4g/m
2塗布し、加工速度を200m/min、接着剤塗布量を1.9g/m
2とした以外は実施例1と同様にして、プラスチックフィルム積層体を作製した。
【0050】
(実施例5)
CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上に塗布する触媒液として光潜在性チタン触媒1部とε−カプロラクタム5部とHA−220B 94部の混合液を触媒0.1g/m
2塗布し、加工速度を200m/min、接着剤塗布量を1.5g/m
2とした以外は実施例1と同様にして、プラスチックフィルム積層体を作製した。
【0051】
(比較例1)
印刷済みのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム20μmのインキ面に、2K−SF−220A(A剤)とポリエーテルポリオールHA−220B(B剤)との混合液である接着剤混合液(1)を塗布し、その塗布面とCPP(無延伸ポリプロピレン)30μmのコロナ処理面をニップロール(ニップロール温度:50℃)で圧着しプラスチックフィルム積層体を作製した。加工速度は200m/min、接着剤塗布量は1.5g/m
2であった。2K−SF−220とHA−220Bは配合比が10/7になるように調整した。
【0052】
(比較例2)
印刷済みのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム20μm上に2K−SF−220A(A剤)を1.0g/m
2塗布し、一方CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上にポリエーテルポリオールHA−220B(B剤)を0.7g/m
2 塗布し、お互いの塗布面をニップロール(ニップロール温度:50℃)で圧着し、プラスチックフィルム積層体を作製した。加工速度は200m/min、接着剤塗布量は1.7g/m
2であった。
【0053】
(比較例3)
印刷済みのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム20μm上に2K−SF220A(A剤) 1.0g/m
2とε−カプロラクタム 0.012g/m
2の混合液を塗布し、一方CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上にポリエーテルポリオールHA−220B(B剤)0.7g/m
2 塗布し、お互いの塗布面をニップロール(ニップロール温度:50℃)で圧着し、プラスチックフィルム積層体を作製した。加工速度は200m/min、接着剤塗布量は1.7g/m
2であった。
【0054】
(比較例4)
印刷済みのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム20μm上に2K−SF220A 1.0g/m
2(A剤)を塗布し、一方CPP(無軸延伸ポリプロピレン)30μm上にHA−220B 0.7g/m
2(B剤)とε−カプロラクタム 0.012g/m
2の混合液を塗布し、お互いの塗布面をニップロール(ニップロール温度:50℃)で圧着し、プラスチックフィルム積層体を作製した。加工速度は200m/min、接着剤塗布量は1.7g/m
2であった。
【0055】
積層体製造時におけるポットライフ、硬化速度の評価結果を表1に示した。
(判定方法)
(配合比管理)
下記判断基準とした。
〇:事前に重量換算で配合比管理できる。
△:塗布量計を用いないと配合比管理できない。
×:配合比管理できない。
【0056】
(ポットライフ)
下記、表1の塗工方式の配合に従い、接着剤を配合した直後、レオメーターの測定部位に約0.8g程度乗せて、配合直後の粘度が1,000mPa・s程度となる温度で30分間測定した。スタート時と30分後の粘度値から、以下の評価を行った。
評価◎:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度の1以上2倍未満
評価○:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度の2以上3倍未満
評価△:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度の3以上4倍未満
評価×:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度の4倍以上
合格ライン:〇以上
【0057】
(硬化速度)
圧着後のプラスチックフィルム積層体は40℃雰囲気下で24時間の養生後、透過方式で赤外吸収スペクトル測定を行い、イソシアネート由来の吸収スペクトル(2270cm
−1付近)を測定した。
◎:イソシアネート反応率が90%以上
〇:イソシアネート反応率が80%以上
△:イソシアネート反応率が70%以上
×:イソシアネート反応率が50%以上
合格ライン:〇以上
【0058】
【表1】
【0059】
表1中 略語及び※1は以下を表す。
OPP:二軸延伸ポリプロピレン
CPP:無軸延伸ポリプロピレン
※1 接着剤混合液(1)は、DIC(株)製の芳香族系ポリエーテルイソシアネート2K−SF−220A(A剤)とポリエーテルポリオールHA−220B(B剤)の混合液を表す。
2K−SF220A DIC(株)製の芳香族系ポリエーテルイソシアネート
HA−220B DIC(株)製のポリエーテルポリオール
【0060】
本発明の分別塗布工程を有する軟包装用フィルムの製造方法により得られる軟包装用フィルムは、製造時において、接着剤のポットライフを長くし、硬化速度の速い軟包装用フィルムの製造方法を提供できる。