(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な具現例によるリチウム電池電解質用添加剤、それを含む有機電解液及び該電解液を採用したリチウム電池についてさらに詳細に説明する。
【0020】
一具現例によるリチウム二次電池電解質用添加剤は、下記化学式2で表示されるジスルトン系化合物である。
【0022】
前記化学式2で、A
1、A
2、A
3及びA
4は、それぞれ独立して、置換基で置換もしくは非置換のC
1−C
5アルキレン基、カルボニル基、またはスルフィニル基である。
【0023】
前記ジスルトン系化合物である添加剤がリチウム電池電解液に添加されることによって、リチウム電池の寿命特性などの電池性能を向上させることができる。前記ジスルトン系化合物は、2つのスルトン環がスピロ(spiro)形態に連結された構造を有することができる。
【0024】
前記ジスルトン系化合物が電解液に添加され、リチウム電池の性能を向上させる理由について、以下でさらに具体的に説明するが、それは、本発明の理解の一助にするためのものであり、本発明の範囲が以下の説明範囲に限定されるものではない。
【0025】
前記ジスルトン系化合物に含まれたスルホネートエステル基は、充電過程において、負極表面から電子を受容してそれ自身が還元されるか、あるいはすでに還元された極性溶媒分子と反応することによって、負極表面に形成されるSEI(solid electrolyte interface)膜の性質に影響を与える。例えば、前記スルホネートエステル基を含むジスルトン系化合物は、極性溶媒に比べ、負極から電子をさらに容易に受容することができる。すなわち、前記ジスルトン系化合物は、極性溶媒よりも低い電圧において還元され、極性溶媒が還元される前に還元される。
【0026】
例えば、前記ジスルトン系化合物は、スルホネートエステル基を含むことにより、充電時に、ラジカル及び/またはイオンに、さらに容易に還元及び/または分解される。従って、ラジカル及び/またはイオンがリチウムイオンと結合し、負極に適当なSEI層を形成し、溶媒のさらなる分解産物の形成を抑制することができる。前記ジスルトン系化合物は、例えば、炭素系負極の表面に存在する各種作用基または炭素系負極と共有結合を形成し、あるいは電極表面に吸着される。そのような結合及び/または吸着によって、有機溶媒によってのみ形成されるSEI層に比べて、長期間の充放電後にも、堅固な状態を維持する、安定性が向上した変性SEI層が形成される。また、そのような堅固な変性SEI層は、リチウムイオンを吸蔵するときに、前記リチウムイオンを溶媒化させた有機溶媒が、電極内部に入ることをさらに効果的に遮断することができる。従って、前記変性SEI層が、有機溶媒と負極との直接的な接触をさらに効果的に遮断するので、リチウムイオン吸蔵/放出の可逆性がさらに向上し、その結果として、電池の放電容量が増加し、寿命特性が向上する。
【0027】
また、前記ジスルトン系化合物は、スルホネートエステル基を含むことにより、正極表面に配位されるので、正極表面に形成される保護層の性質に影響を与える。例えば、前記スルホネートエステル基が、正極活物質の遷移金属イオンに配位され、複合体(complex)を形成することができる。そのような複合体によって、有機溶媒によってのみ形成される保護層に比べ、長期間の充放電後にも、堅固な状態を維持する安定性が向上した変性(modified)保護層が形成される。また、そのような堅固な変性保護層は、リチウムイオンの吸蔵時に、前記リチウムイオンを溶媒化させた有機溶媒が、電極内部に入り込むことを、さらに効果的に遮断することができる。従って、前記変性保護層が、有機溶媒と正極との直接的な接触をさらに効果的に遮断するので、リチウムイオン吸蔵/放出の可逆性がさらに向上し、結果的に、電池の安定性が良好になり、寿命特性が向上する。
【0028】
また、前記ジスルトン系化合物は、一般的なスルトン系化合物に比べ、複数の環がスピロ形態に結合されており、相対的に大きい分子量を有するので、熱的に安定することができる。
【0029】
結果として、前記ジスルトン系化合物は、負極表面にSEI層を形成し、あるいは正極表面に保護層を形成することができ、向上した熱安定性を有することによって、高温でのリチウム電池の寿命特性が向上する。
【0030】
前記化学式2で表示されるジスルトン系化合物において、アルキレン基の置換基は、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC3−C20シクロアルケニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC3−C20飽和されたヘテロ環基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
40アリール基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
40ヘテロアリール基、または一つ以上のヘテロ原子を含む極性作用基でもある。
【0031】
例えば、前記アルキレン基の置換基は、ハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、フェニル基、ナフチル基、テトラフルオロフェニル基、ピロリル基及びピリジニル基などでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で、アルキレン基の置換基として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0032】
前記化学式2で表示されるジスルトン系化合物において、アルキレン基の置換基は、ヘテロ原子を含む極性作用基であり、前記極性作用基のヘテロ原子は、酸素、窒素、リン、硫黄、シリコン及びボロンからなる群から選択された一つ以上である。
【0033】
例えば、前記ヘテロ原子を含む極性作用基は
【0034】
【化3】
からなる群から選択された1つ以上を含み、
R
11及びR
15は、それぞれ独立して、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキレン基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニレン基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニレン基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
3−C
12シクロアルキレン基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC6−C40アリーレン基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
40ヘテロアリーレン基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
7−C
15アルキルアリーレン基、またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
7−C
15アラルキレン基であり、
R
12、R
13、R
14及びR
16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
3−C
12シクロアルキル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
40アリール基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
40ヘテロアリール基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
7−C
15アルキルアリール基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
7−C
15トリアルキルシリル基、またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
7−C
15アラルキル基でもある。
【0035】
例えば、前記ヘテロ原子を含む極性作用基に含まれたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルアリール基、トリアルキルシリル基またはアラルキル基で置換されたハロゲンは、フッ素(F)でもある。
【0036】
例えば、前記ジスルトン系化合物は、下記化学式4または5で表示される。
【0039】
前記化学式4または5において、B
1、B
2、B
3、B
4、D
1、D
2、D
3、D
4、D
5及びD
6は、それぞれ独立して、−C(E
1)(E
2)−、カルボニル基(−C(=O)−)、またはスルフィニル基(−S(=O)−)であり、E
1及びE
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
3−C
20シクロアルケニル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
3−C
20飽和されたヘテロ環基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
40アリール基、またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
40ヘテロアリール基でもある。
【0040】
例えば、前記E
1及びE
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
10アルキル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
40アリール基、またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
40ヘテロアリール基でもある。
【0041】
例えば、前記E
1及びE
2は、それぞれ独立して、水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、フェニル基、ナフチル基、テトラフルオロフェニル基、ピロリル基、またはピリジニル基でもある。
【0042】
例えば、前記E1及びE2は、ぞれぞれ独立して、水素、フッ素(F)、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基またはフェニル基でもある。
【0043】
例えば、前記ジスルトン系化合物は、下記化学式6及び7で表示される。
【0046】
前記化学式6または7において、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31及びR
32は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン;ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
40アリール基、またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
40ヘテロアリール基でもある。
【0047】
例えば、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31及びR
32は、それぞれ独立して、水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、フェニル基、ナフチル基、テトラフルオロフェニル基、ピロール基またはピリジン基でもある。
例えば、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31及びR
32は、それぞれ独立して、水素、F、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基またはフェニル基でもある。
【0048】
具体的には、前記ジスルトン系化合物は、下記化学式8乃至19で表示される。
【0061】
本明細書において、「C
a−C
b」のa及びbは、特定作用基の炭素数を意味する。すなわち、前記作用基は、aからbまでの炭素原子を含んでもよい。例えば、「C
1−C
4アルキル基」は、1ないし4の炭素を有するアルキル基、すなわち、CH
3−、CH
3CH
2−、CH
3CH
2CH
2−、(CH
3)
2CH−、CH
3CH
2CH
2CH
2−、CH
3CH
2CH(CH
3)−または(CH
3)
3C−を意味する。
【0062】
特定ラジカルに係わる命名法は、文脈によって、モノラジカル(mono-radical)またはジラジカル(di-radical)を含んでもよい。例えば、置換基が、残りの分子に対して2つの結合部位(binding sites)を要求すれば、前記置換基は、ジラジカルと理解されなければならない。例えば、2つの結合部位を要求するアルキル基として特定された置換基は、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−のようなジラジカルを含む。「アキレン」のような他のラジカル命名法は、明確に、前記ラジカルがジラジカルであるということを示す。
【0063】
本明細書において、「アルキル基」または「アルキレン基」という用語は、分枝され、あるいは分枝されていない脂肪族炭化水素基を意味する。一具現例において、アルキル基は、置換され得、置換され得ないこともある。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘブチル基などを含むが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、それらそれぞれは、選択的に置換され得、置換され得ないこともある。一具現例において、アルキル基は、1ないし6の炭素原子を有することができる。例えば、C
1−C
6アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基などでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではない。
【0064】
本明細書において、「シクロアルキル基」という用語は、完全に飽和された炭素環または炭素環系を意味する。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を意味する。
【0065】
本明細書において、「アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を含む2乃至20の炭素原子を含む炭化水素基であり、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などを含むが、それらに限定されるものではない。一具現例において、アルケニル基は、置換され得、置換され得ないこともある。一具現例において、アルケニル基は、2乃至40の炭素原子を有することができる。
【0066】
本明細書において、「アルキニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素・炭素三重結合を含む2乃至20の炭素原子を含む炭化水素基であり、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基などを含むが、それらに限定されるものではない。一具現例において、アルキニル基は、置換され得、置換され得ないこともある。一具現例において、アルキニル基は、2乃至40の炭素原子を有することができる。
【0067】
本明細書において、「芳香族」という用語は、共役な(conjugated)π電子系を有する環または環系を意味し、炭素環芳香族(例えば、フェニル基)及びヘテロ環芳香族基(例えば、ピリジン)を含む。前記用語は、全体環系が芳香族であるならば、単環式または融化された(fused)多環式(すなわち、隣接する原子対を共有する環)を含む。
【0068】
本明細書において、「アリール基」という用語は、環骨格が、ただ炭素のみを含む芳香族環または芳香族環系(すなわち、2個の隣接する炭素原子を共有する2つ以上の融化された環)を意味する。前記アリール基が環系であるならば、前記系においてそれぞれの環は、芳香族である。例えば、アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナルトレニル(phenanthrenyl)基、ナフタセニル(naphthacenyl)基などを含むが、それらに限定されるものではない。前記アリール基は、置換され得、置換され得ないこともある。
【0069】
本明細書において、「ヘテロアリール基」という用語は、1つの環または複数の融化された環を有し、一つ以上の環原子が炭素ではなく、すなわち、ヘテロ原子である、芳香族環系を意味する。融化された環系において、一つ以上のヘテロ原子は、ただ1つの環にしか存在しない。例えば、ヘテロ原子は、酸素、硫黄及び窒素を含むが、必ずしもそれらに限定されるものではない。例えば、ヘテロアリール基は、フラニル(furanyl)基、チエニル(thienyl)基、イミダゾリル(imidazolyl)基、キナゾリニル(quinazolinyl)基、キノリニル(quinolinyl)基、イソキノリニル(isoquinolinyl)、キノキサリニル(quinoxalinyl)基、ピリジニル(pyridinyl)基、ピロリル(pyrrolyl)基、オキサゾリル(oxazolyl)基、インドリル(indolyl)基などでもあるが、それらに限定されるものではない。
【0070】
本明細書において、「アラルキル基」、「アルキルアリール基」という用語は、C
7−C
14アラルキル基のように、アルキレン基を介して、置換基として連結されたアリール基を意味し、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルアルキル基を含むが、それらに限定されるものではない。一具現例において、アルキレン基は、低級アルキレン基(すなわち、C
1−C
4アルキレン基)である。
【0071】
本明細書において、「シクロアルケニル基」は、一つ以上の二重結合を有する炭素環または炭素環系であり、芳香族環がない環系である。例えば、シクロヘキセニル基である。
【0072】
本明細書において、「ヘテロ環基」は、環骨格に、一つ以上のヘテロ原子を含む非芳香族環または非芳香族環系である。
【0073】
本明細書において、「ハロゲン」は、元素周期律表の17族に属する安定した元素として例えば、フッ素、塩素、ブロームまたはヨード・ヨジウモであり、特にフッ素及び/または塩素である。
【0074】
本明細書において、置換基は、置換されない母集団(mother group)において、一つ以上の水素が、他の原子や作用基に代替されることによって誘導される。特定して記載されていない限り、ある作用基が「置換された」とするとき、それは、前記作用基が、C
1−C
40アルキル基、C
2−C
40アルケニル基、C
3−C
40シクロアルキル基、C
3−C
40シクロアルケニル基、C
7−C
40アリール基で選択された一つ以上の置換基によって置換されるということを意味する。作用基が「選択的に置換される」と記載される場合、前記作用基が、前述の置換基で置換されるということを意味する。
【0075】
他の具現例による有機電解液は、リチウム塩と、有機溶媒と、前述のところの添加剤であるジスルトン系化合物と、を含む。
【0076】
前記有機電解液において、添加剤である、化学式2で表示されるジスルトン系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、0.01乃至10重量%でもあるが、必ずしもそのような範囲に限定されるものではなく、必要なときに、適切な量が使用されもする。例えば、前記有機電解液において、ニトリル系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、0.1乃至10重量%でもある。例えば、前記有機電解液において、ニトリル系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、0.1乃至7重量%でもある。例えば、前記有機電解液において、ニトリル系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、0.1乃至5重量%でもある。例えば、前記有機電解液において、ニトリル系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、0.2乃至5重量%でもある。例えば、前記有機電解液において、ニトリル系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、0.5乃至5重量%でもある。例えば、前記有機電解液において、ニトリル系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準として、1乃至5重量%でもある。前記含量範囲内において、さらに向上した電池特性が得られる。
【0077】
前記有機電解液において、有機溶媒は低沸点溶媒を含んでもよい。前記低沸点溶媒は、25℃、1気圧で、沸点が200℃以下である溶媒を意味する。
【0078】
例えば、前記有機溶媒は、ジアルキルカーボネート、環状カーボネート、線形または環状のエステル、線形または環状のアミド、脂肪族ニトリル、線形または環状のエーテル、及びそれらの誘導体からなる群から選択される一つ以上を含んでもよい。
【0079】
さらに具体的には、前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ブチレンカーボネート、エチルプロピオネート、エチルブチレート、アセトニトリル、スクシノニトリル(SN)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ガンマ−バレロラクトン、ガンマ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランから構成された群から選択された一つ以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、技術分野で使用される低沸点溶媒であるならば、いずれも可能である。
【0080】
前記有機電解液において、前記リチウム塩の濃度は、0.01乃至2.0Mでもあるが、必ずしもかような範囲に限定されるものではなく、必要なときに、適切な濃度が使用されもする。前記濃度範囲内で、さらに向上した電池特性が得られる。
【0081】
前記有機電解液として使用されるリチウム塩は、特別に限定されるものではなく、当該技術分野でリチウム塩として使用されるものであるならば、いずれも可能である。例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、LiC
4F
9SO
3、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(x、yは、1ないし20である)、LiCl、LiI、またはそれらの混合物などが使用可能である。
【0082】
前記有機電解液は、液体またはゲル状でもある。前記有機電解液は、前述の有機溶媒に、リチウム塩及び前述の添加剤を添加して製造される。
【0083】
他の具現例によるリチウム電池は、正極と、負極と、前述の有機電解液と、を含む。前記リチウム電池は、その形態が特別に制限されるものではなく、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、またはリチウムスルファ電池のようなリチウム二次電池はもとより、リチウム一次電池も含む。
【0084】
例えば、前記リチウム電池において、負極は黒鉛を含んでもよい。そして、前記リチウム電池は、4.35V以上の高電圧を有することができる。
【0085】
例えば、前記リチウム電池は、次のような方法によって製造される。
【0087】
例えば、正極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒が混合された正極活物質組成物を準備する。前記正極活物質組成物が、金属集電体上に直接コーティングされ、正極板が製造される。あるいは、前記正極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされて正極板が製造される。前記正極は、前記で列挙した形態に限定されるののではなく、前述の形態以外のものでもある。
【0088】
前記正極活物質は、リチウム含有金属酸化物であり、当業界で一般的に使用されるものであるならば、制限なしに、いずれも使用される。例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせから選択される金属と、リチウムとの複合酸化物のうちから1種以上のものを使用することができ、その具体的な例としては、Li
aA
1−bB’
bD
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、及び0≦b≦0.5である);Li
aE
1−bB’
bO
2−cD
c(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE
2−bB’
bO
4−cD
c(前記化学式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cD
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cO
2−αF’
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cO
2−αF’
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cD
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cO
2−αF’
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cO
2−αF’
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
bE
cG
dO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);Li
aNiG
bO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aCoGbO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMnG
bO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMn
2G
bO
4(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO
2;QS
2;LiQS
2;V
2O
5;LiV
2O
5;LiI’O
2;LiNiVO
4;Li
3−fJ
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
3−fFe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);及びLiFePO
4の化学式のうち、いずれか一つで表現される化合物を使用することができる:
【0089】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0090】
例えば、正極活物質は、LiCoO
2、LiMn
xO
2x(x=1または2)、LiNi
1−xMn
xO
2x(0<x<1)、LiNi
1−x−yCo
xMn
yO
2(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFePO
4などである。
【0091】
前記化合物表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできるということは言うまでもない。該コーティング層は、コーティング元素の酸化物、コーティング元素の水酸化物、コーティング元素のオキシ水酸化物、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使用することができる。コーティング層の形成工程は、前記化合物にそのような元素を使用して、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング法、浸漬法など)でコーティングすることができるものであれば、いかなるコーティング方法を使用してもよく、これについては、当該分野の当業者に周知の内容であるので、詳細な説明は省略する。
【0092】
前記導電剤としては、カーボンブラック、黒鉛微粒子などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で導電剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0093】
前記バインダとしては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン及びその混合物、あるいはスチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野でバインダとして使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0094】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0095】
前述の正極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒のそれぞれの含量は、リチウム電池で一般的に使用されるレベルである。リチウム電池の用途及び構成によって、前記導電剤、バインダ及び溶媒のうち一つ以上が省略されもする。
【0097】
例えば、負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒を混合し、負極活物質組成物を準備する。前記負極活物質組成物が、金属集電体上に直接コーティングされて乾燥され、負極板が製造される。あるいは、前記負極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後に、前記支持体から剥離されたフィルムが、金属集電体上にラミネーションされて負極板が製造される。
【0098】
前記負極活物質は、当該技術分野で、リチウム電池の負極活物質として使用されるものであるならば、いずれも可能である。例えば、リチウム金属、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された一つ以上を含んでもよい。
【0099】
例えば、前記リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などでもある。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Re、Fe、Pb、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、またはそれらの組み合わせでもある。
【0100】
例えば、前記遷移金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などでもある。
【0101】
例えば、前記非遷移金属酸化物は、SnO
2、SiO
x(0<x<2)などでもある。
【0102】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物でもある。前記結晶質炭素は、無定形(shapeless)、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛でもあり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどでもある。
【0103】
負極活物質組成物において導電剤及びバインダは、前記正極活物質組成物の場合と同一のもの使用することができる。
【0104】
前記負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用されるレベルである。リチウム電池の用途及び構成によって、前記導電剤、バインダ及び溶媒のうち一つ以上が省略されもする。
【0105】
次に、前記正極と負極との間に挿入されるセパレータを準備する。
【0106】
前記セパレータは、リチウム電池で一般的に使用されるものであるならば、いずれも使用可能である。電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液含湿能にすぐれるものが使用される。例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの化合物のうちから選択されたものであり、不織布形態であっても織布形態であってもよい。例えば、リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンのような巻き取り可能なセパレータが使用され、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能にすぐれるセパレータが使用される。例えば、前記セパレータは、下記方法によって製造される。
【0107】
高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合し、セパレータ組成物を準備する。前記セパレータ組成物が、電極上部に直接コーティングされて乾燥され、セパレータが形成される。または、前記セパレータ組成物が支持体上にキャスティングされて乾燥された後、前記支持体から剥離させたセパレータフィルムが電極上部にラミネーションされ、セパレータが形成される。
【0108】
前記セパレータ製造に使用される高分子樹脂は、特別に限定されるものではなく、電極板の結合剤として使用される物質がいずれも使用される。例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物などが使用される。
【0110】
図3から分かるように、前記リチウム電池1は、正極3、負極2及びセパレータ4を含む。前述の正極3、負極2及びセパレータ4が巻き取られ、あるいは折り畳まれ、電池ケース5に収容される。次に、前記電池ケース5に有機電解液が注入され、キャップ(cap)・アセンブリ6で密封され、リチウム電池1が完成される。前記電池ケース5は、円筒状、角形、薄膜型などでもある。例えば、前記リチウム電池は、大型薄膜型電池でもある。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でもある。
【0111】
前記正極及び負極の間にセパレータが配置され、電池構造体が形成される。前記電池構造体がバイセル構造に積層された後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がポーチに収容されて密封されれば、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0112】
また、前記電池構造体は、複数個積層されて電池パックを形成し、そのような電池パックが高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用される。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両(EV)などに使用される。
【0113】
ここで、前記リチウム電池は、寿命特性及び高率特性にすぐれるので、電気車に使用される。また、プラグインハイブリッド車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)のようなハイブリッド車にも使用される。また、多量の電力保存が要求される分野に使用される。例えば、電気自転車、電動工具などにも使用される。
【0114】
以下の実施例及び比較例を介して、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、実施例は、本発明を例示するためのものであり、それらだけによって、本発明の範囲が限定されるものではない。
(添加剤の合成)
製造例1:下記化学式21の化合物合成
【0115】
下記化学式21の化合物は、下記反応スキーム(scheme)1によって製造される。
【0117】
200mlのエチルアルコールに水酸化カリウム10.34g(0.156モル)が溶解された溶液を、200mlエチルアルコールにペンタエリトリトールトリブロミド(pentaerythritol tribromide)が50g(0.154モル)溶解された溶液に滴下させた後、前記混合物を30分間還流(reflux)させた。次に、常温まで冷却させた後で、KBrを濾過し、エチルアルコールを蒸発させ、残留物を真空で蒸溜させ、3,3−ビス(ブロモメチル)オキサシクロブタン28g(0.115モル)を得た(75%、b.p.72〜78℃@10mmHg)。
【0118】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 3.84(s,4H)、4.42(s,4H)、4.58(s,4H)
【0119】
94mlのメタノールと28mlの水との混合溶媒に3,3−ビス(ブロモメチル)オキサシクロブタン28g(0.115モル)が溶解された溶液252mlを、水にNa
2SO
3 44.8g(0.358mol)が溶解された溶液に滴下させた。前記混合物を3.5時間還流させた後、溶媒を真空で取り除いた。残留物を、常温において200ml濃塩酸(conc.HCl)で処理した後、NaClを濾過した。スルホン酸溶液を真空で蒸溜した後、残留オイルを2mmHgの圧力において、210〜220℃で2時間加熱した。得られた黒色塊(mass)を沸騰(boiling)ジオキサンで抽出した後、前記溶液が熱い状態で濾過した。前記濾過された溶液を冷却した後、ジスルトンが結晶化された。
【0120】
収率:10g(38%、m.p.244〜246℃)
【0121】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ 3.87(s,2H)、3.88(s,2H)、4.58(s,4H)
【0122】
【化21】
(有機電解液の製造)
実施例1
【0123】
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の3:5:2体積比混合溶媒に、リチウム塩としての0.90M LiPF
6、及び下記化学式22で表示される化合物0.5重量%を添加して有機電解液を製造した。
【0125】
添加剤である前記化学式22の化合物の添加量を1重量%に変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で有機電解液を製造した。
実施例3
【0126】
添加剤である前記化学式22の化合物の添加量を2.5重量%に変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で有機電解液を製造した。
比較例1
【0127】
添加剤である前記化学式22の化合物を添加しないことを除いては、実施例1と同一の方法で有機電解液を製造した。
比較例2
【0128】
添加剤である前記化学式22の化合物代わりに、下記化学式23のプロパンスルトンを2.5重量%添加したことを除いては、実施例1と同一の方法で有機電解液を製造した。
【0129】
【化23】
(リチウム電池の製造)
実施例4
(負極の製造)
【0130】
人造黒鉛(BSG−L,Tianjin BTR New Energy Technology Co.,Ltd)98重量%、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)バインダ(ZEON)1.0重量%及びカルボキシメチルセルロース(CMC,日本エイアンドエル(株))1.0重量%を混合した後、蒸溜水に投入し、機械式撹拌機を使用して60分間撹拌し、負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレードを使用して、10μm厚の銅集電体上に、約60μm厚に塗布し、100℃の熱風乾燥機で0.5時間乾燥させた後、真空、120℃の条件で、4時間さらに1回乾燥させ、圧延(roll press)して負極板を製造した。
(正極の製造)
【0131】
LiCoO
2 97.45重量%、導電剤として人造黒鉛(SFG6,Timcal)粉末0.5重量%、カーボンブラック(Ketjenblack,ECP)0.7重量%、改質アクリロニトリルゴム(BM−720H,Zeon Corporation)0.25重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF,S6020,Solvay)0.9重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF,S5130,Solvay)0.2重量%を混合し、N−メチル−2−ピロリドン溶媒に投入した後、機械式撹拌機を使用して、30分間撹拌して正極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレードを使用して、20μm厚のアルミニウム集電体上に、60μm厚ほどに塗布し、100℃の熱風乾燥機で、0.5時間乾燥させた後、真空、120℃の条件で、4時間さらに1回乾燥させ、圧延して正極板を製造した。
【0132】
セパレータとして正極側にセラミックスがコーティングされた14μm厚のポリエチレンセパレータ、及び電解液として、前記実施例1で製造された有機電解液を使用してリチウム電池を製造した。
実施例5及び6
【0133】
実施例1で製造された有機電解液の代わりに、実施例2及び3で製造された有機電解液をそれぞれ使用したことを除いては、実施例4と同一の方法でリチウム電池を製造した。
比較例3及び4
【0134】
実施例1で製造された有機電解液の代わりに、比較例1及び2で製造された有機電解液をそれぞれ使用したことを除いては、実施例4と同一の方法でリチウム電池を製造した。
評価例1:高温(45℃)充放電特性の評価
【0135】
前記実施例4乃至6、並びに比較例3及び4で製造されたリチウム電池を、25℃で0.1Cレート(C rate)の電流で、電圧が4.35V(Li対比)に至るまで定電流充電し、次に定電圧モードで、4.35Vを維持しながら、0.05Cレートの電流でカットオフ(cut-off)した。次に、放電時に、電圧が2.8V(Li対比)に至るまで、0.1Cレートの定電流で放電した(化成段階(formation process)、第1のサイクル)。
【0136】
前記化成段階の第1のサイクルを経たリチウム電池に対して、25℃で0.2Cレートの電流で、電圧が4.35V(Li対比)に至るまで定電流充電し、次に定電圧モードで、4.35Vを維持しながら、0.05Cレートの電流でカットオフした。次に、放電時に、電圧が2.8V(Li対比)に至るまで、0.2Cレートの定電流で放電した(化成段階、第2のサイクル)。
【0137】
前記化成段階を経たリチウム電池に対して、25℃で1.0Cレートの電流で、電圧が4.35V(Li対比)に至るまで定電流充電し、次に定電圧モードで、4.35Vを維持しながら、0.05Cレートの電流でカットオフした。次に、放電時に、電圧が2.75V(Li対比)に至るまで、1.0Cレートの定電流で放電するサイクルを300回目のサイクルまで反復した。
【0138】
前記全充放電サイクルにおいて、1回の充電/放電サイクル後、10分間の停止時間をおいた。
【0139】
前記充放電実験結果の一部を、下記表1、並びに
図1及び2に示した。200回目のサイクルでの容量維持率は、下記数式1で定義する。
【0142】
前記表1、並びに
図1及び2から分かるように、本発明の添加剤を含む実施例4乃至6のリチウム電池は、添加剤のない比較例3、及び従来の添加剤を含む比較例4のリチウム電池に比べ、高温での放電容量及び寿命特性が顕著に向上している。