【実施例1】
【0015】
図1は本発明の一実施例としてのおしゃぶり型センサ20の概略を示す構成図であり、
図2は実施例のおしゃぶり型センサ20を構成するセンサ部30とおしゃぶり本体50とを示す説明図である。実施例のおしゃぶり型センサ20は、図示するように、センサ部30とおしゃぶり本体50とに分離可能に構成されている。
【0016】
おしゃぶり本体50は、一般的なおしゃぶりと同様に構成されており、樹脂により形成されて可撓性を有する台座部54と、この台座部54と一体形成された略楕円円盤形状のつまみ部52と、変形自在な材料(例えばシリコンゴム)により形成されてつまみ部52の中央に取り付けられた乳首部58と、を備える。おしゃぶり本体50の台座部54の内側には、おしゃぶり本体50をセンサ部30に取付固定するための取付凹部56a,56bが形成されている。
【0017】
センサ部30は、収納本体32と、収納本体32に取り付けられたセンサ収納部38とにより構成されている。収納本体32は、樹脂により形成されており、コントローラ60や通信モジュール62,バッテリ64を収納している。収納本体32の取り付け面34の両サイド近傍には、おしゃぶり本体50の台座部54の内側に形成された取付凹部56a,56bに嵌め込み可能な取付凸部36a,36bが形成されており、取付凸部36a,36bを取付凹部56a,56bに嵌め込むことにより、おしゃぶり本体50を収納本体32に取り付け固定する。
【0018】
センサ収納部38は、おしゃぶり本体50の乳首部58と同様の材料(例えばシリコンゴム)により、その外側形状が乳首部58の内側形状と略同一となるように、且つ、乳首部58へのセンサ収納部38の挿入を伴っておしゃぶり本体50を収納本体32に取り付けたときに、先端が乳首部52の先端内側に当接するように形成されており、収納本体32の取り付け面34の中央に取り付けられている。したがって、おしゃぶり本体50を収納本体32に取り付けると、センサ収納部38の外周面は乳首部58の内周面に密着し、乳首部58に外力が作用して変形すると、この変形に伴ってセンサ収納部38も変形する。センサ収納部38には、変形自在のわた状部材46が充填されており、先端部近傍のわた状部材46の中央付近に第1センサ42が配置されていると共に中央部近傍のわた状部材の中央付近に第2センサ44が配置されている。
【0019】
わた状部材46は、ポリエステル等により形成されたもの、例えば、ぬいぐるみやパッチワークなどの詰め物に用いる手芸用のわた(株式会社アライ製の「つぶつぶ手芸わた」など)を用いることができる。なお、わた状部材46は、反射型フォトセンサから発する光を反射可能で伸縮変形自在なものであれば如何なるものであっても構わない。
【0020】
第1センサ42および第2センサ44は、小型の反射型フォトセンサとして構成されており、例えばコーデンシ株式会社製のフォトインタラプタSG−105などを用いることができる。
図3に第1センサ42および第2センサ44として用いる反射型フォトセンサの構成の概略を示す。第1センサ42および第2センサ44は、バッテリ64から電力供給され赤外線を発光する発光ダイオードDiと、この発光ダイオードDiに対して直列接続により接地する抵抗R1と、コレクタがバッテリ64に接続されてベースに入光する赤外線の受光量に応じた電流をコレクタ・エミッタ間に流すフォトトランジスタTrと、フォトトランジスタTrのエミッタに対して直列接続により接地する抵抗R2と、により構成されており、フォトトランジスタTrのエミッタと抵抗R2との接続点に接続されたアウトプット端子(Output)から検出信号(電圧)を出力する。前述したように、フォトトランジスタTrは受光量に応じた電流をコレクタ・エミッタ間に流すから、アウトプット端子(Output)からの検出信号は、受光量が値0のときには0Vとなり、受光量が多くなるほど高い電圧となる。実施例では、第1センサ42および第2センサ44は、わた状部材46に包まれているから、発光ダイオードDiから発した赤外線のうちわた状部材46で反射してフォトトランジスタTrに入光する光量に応じた検出信号を出力する。いま、わた状部材46の密度を変化させると、わた状部材46で反射してフォトトランジスタTrに入光する光量も変化するから、検出信号も変化する。したがって、わた状部材46に包まれた第1センサ42および第2センサ44は、センサ回りのわた状部材46の密度の変化を検出信号として出力することになる。実施例では、センサ収納部38が何ら変形していない状態のときに第1センサ42および第2センサ44からの検出信号(電圧)が最大となるようにわた状部材46の充填量(密度)が調節されている。
【0021】
図4は、実施例のおしゃぶり型センサ20を電気的なブロックとして示すブロック図である。図示するように、第1センサ42や第2センサ44からの検出信号は、コントローラ60に入力され、コントローラ60により送信信号(例えば、8ビットデータや10ビットデータなどのデジタル信号)に調整されて通信モジュール62に送られる。そして、送信信号は通信モジュール62により無線通信によって別体のコンピュータ70などに送信される。ここで、コントローラ60は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータであり、CPUの他に図示しないROMやRAM,入出力ポートなどを備える。通信モジュール60は、例えばブルートゥースによる無線通信を行なうモジュールとして構成されている。
【0022】
次に、こうして構成されたおしゃぶり型センサ20の動作について説明する。
図5は、第1センサ42が配置された部分の乳首部58に外力を作用させたときの変形の様子を模式的に示す説明図であり、
図6は、第1センサ42が配置された部分の乳首部58に外力を作用させたときの乳首部58の変形量と第1センサ42の検出信号(電圧)の時間的変化の一例を示す説明図である。実施例では、センサ収納部38内のわた状部材46は、乳首部58に外力が作用していないときに(
図5中左側)、第1センサ42からの検出信号(電圧)が最大(以下、この電圧を「最大電圧V0」という。)となるように充填量(密度)が調整されているから、センサ収納部38に何ら変形していないときには、検出信号は最大電圧V0を保持する。乳首部58への外力の作用を開始した時間T1以降では、乳首部58は外力により圧縮方向に変形することによってセンサ収納部38内のわた状部材46の密度が大きくなるから、発光ダイオードDiから発した赤外線のうちわた状部材46で反射してフォトトランジスタTrで受光する光量が小さくなり、検出信号は最大電圧V0から減少する。乳首部58の変形量が最大となる時間T2では、わた状部材46が第1センサ42にほぼ密着するようになり、わた状部材46で反射する赤外線はフォトトランジスタTrに入力されなくなるから、検出信号も最小となる。その後、乳首部58への外力が解除されるに従ってわた状部材42の密度が小さくなるにしたがってフォトトランジスタTrの受光量は増加し、検出信号は大きくなる。そして、外力が完全に解除されて乳首部58が変形から完全に復元する時間T3には、検出信号も最大電圧V0に戻る。なお、第2センサ44が配置された部分の乳首部58に外力を作用させたときも同様である。
【0023】
実施例のおしゃぶり型センサ20では、口唇運動による乳首部58の変形を第1センサ42および第2センサ44からの検出信号により精度よく検出することができる。しかも、乳首部58の先端部近傍に配置された第1センサ42からの検出信号と乳首部58の中央部近傍に配置された第2センサ44からの検出信号とにより口唇運動を検出するから、口唇運動による乳首部58の変形の形態、例えば先端部を中心とした変形や中央部を中心とした変形,先端部から中央部まで略均一な変形などの種々の形態を識別することができる。このため、実施例のおしゃぶり型センサ20を乳児の情報機器操作能力を試験するためのインターフェースに用いるものとすれば、乳児の口唇運動の形態に応じた情報機器操作能力を試験することができる。また、実施例のおしゃぶり型センサ20を玩具に用いるものとすれば、口唇運動の形態に応じた作動を行なわせることができる。さらに、実施例のおしゃぶり型センサ20を音声によるコミュニケーションを行なうことができない者へのコミュニケーションツールに用いるものとすれば、口唇運動の形態に応じてより複雑な内容のコミュニケーションを可能とする。
【0024】
以上説明した実施例のおしゃぶり型センサ20によれば、反射型フォトレジスタとして構成された第1センサ42および第2センサ44をわた状部材46で包んで乳首部58の内側に配置することにより、乳首部58の外力による変形を、この変形に伴うわた状部材46の密度の変化に対するフォトトランジスタTrの受光量の変化として定量的に検出することができる。しかも、乳首部58の先端部近傍に第1センサ42を配置すると共に乳首部58の中央部近傍に第2センサ44を配置するから、口唇運動による乳首部58の種々の変形の形態を識別することができる。この結果、乳児の情報機器操作能力の試験性能や、玩具の性能、コミュニケーションツールの性能などをより向上させることができる。
【0025】
また、実施例のおしゃぶり型センサ20によれば、おしゃぶり本体50とセンサ部30とを別体として構成するから、複数のおしゃぶり本体50を準備すれば、センサ部30に取り付けるおしゃぶり本体50を取り替えて使用することができる。この結果、おしゃぶり本体50の消毒や洗浄を容易に行なうことができる。
【0026】
実施例のおしゃぶり型センサ20では、乳首部58の先端部に第1センサ42とを配置すると共に乳首部58の中央部に第2センサ44を配置するものとしたが、乳首部58の3つ以上の部位に3つ以上のセンサを配置するものとしてもよい。また、乳首部58の中央部あるいは先端部のみに単一のセンサのみを配置するものとしても構わない。なお、この単一のセンサのみを配置するものとする場合には、口唇運動の形態の適正な識別は困難となる。
【0027】
実施例のおしゃぶり型センサ20では、おしゃぶり本体50とセンサ部30とを備え、センサ部30のセンサ収納部38内にわた状部材46と第1センサ42および第2センサ44とを配置するものとしたが、おしゃぶり本体50の乳首部58内にわた状部材46と第1センサ42および第2センサ44とを直接配置するものとしても構わない。この場合、おしゃぶり本体50に直接収納本体32が取り付けられているものとすればよい。
【0028】
実施例のおしゃぶり型センサ20では、わた状部材46としてポリエステル等により形成された手芸用のわたを用いるものとしたが、反射型フォトセンサの光を反射するわた状の部材であれば如何なる部材を用いるものとしても構わない。
【0029】
実施例のおしゃぶり型センサ20では、第1センサ42や第2センサ44として赤外線を発する発光ダイオードDiを用いたコーデンシ株式会社製のフォトインタラプタSG−105を用いるものとしたが、可視光を発する発光ダイオードを用いるなど種々の反射型フォトセンサを用いるものとしてもよい。
【0030】
実施例のおしゃぶり型センサ20では、乳首部58やセンサ収納部38をシリコンゴムにより形成するものとしたが、変形自在な材料であれば如何なる材料によって形成するものとしてもよい。
【0031】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。