特許第6377514号(P6377514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377514
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】パッケージ基板の加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20180813BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20180813BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20180813BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20180813BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 B
   H01L21/78 F
   B23K26/38 A
   B23K26/364
   B23K26/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-254930(P2014-254930)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-115867(P2016-115867A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦充
(72)【発明者】
【氏名】出島 信和
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠司
(72)【発明者】
【氏名】相川 力
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−149165(JP,A)
【文献】 特開2003−249616(JP,A)
【文献】 特表2009−544145(JP,A)
【文献】 特開2013−191712(JP,A)
【文献】 特表2004−526335(JP,A)
【文献】 特開2003−037218(JP,A)
【文献】 特開2005−228892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/00
B23K 26/364
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱拡散基板の表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが配置され、該複数のデバイスを樹脂によって被覆し樹脂層を形成したパッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分断して個々のパッケージ基板に分割するパッケージ基板の加工方法であって、
パッケージ基板の該熱拡散基板側を保持手段によって保持し、切削ブレードを該分割予定ラインに位置付けて該熱拡散基板に達しない深さまで該樹脂に切り込ませて該分割予定ラインに沿って切削することにより該樹脂を残存させ、該分割予定ラインに沿って切削溝を形成する切削溝形成工程と、
該切削溝形成工程が実施され該熱拡散基板側が保持手段によって保持されるパッケージ基板の該分割予定ラインに沿って形成された該切削溝に沿って、該樹脂に対して吸収性を有する波長の赤外レーザー光線を照射し、該残存する樹脂を切断する樹脂切断工程と、
該樹脂切断工程が実施され該熱拡散基板側が保持手段によって保持されたパッケージ基板の該分割予定ラインに沿って、露出した該熱拡散基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射し該分割予定ラインに沿って該熱拡散基板を切断して個々のパッケージデバイスに分割する分割工程と、
からなるパッケージ基板の加工方法。
【請求項2】
前記樹脂切断工程で用いる赤外レーザー光線は、CO2レーザーであり、パルス幅が10ns〜10μsである
請求項1に記載のパッケージ基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱拡散基板上に複数のデバイスを配置し、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等でデバイスを封止して構成されるパッケージ基板は、隣り合うデバイス間を切削等して切断することにより個々のデバイスごとのパッケージデバイスに分割される。熱拡散基板には、放熱性が高く安価である等の理由から、ステンレス、銅等の金属が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、パッケージ基板の分割には、樹脂のみを切削ブレードで切断し、熱拡散基板についてはレーザー加工により切断する方法や(特願2013−168794号)、樹脂及び熱拡散基板の双方をレーザー加工により切断する方法も考えられている(特願2014−153646号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−224683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、回転する切削ブレードをパッケージ基板に切り込ませて切削すると、金属製の熱拡散基板が切断された部分にバリが生じやすい。樹脂のみを切削ブレードで切断し、熱拡散基板をレーザー加工により切断すると、バリの発生を防止することはできるが、樹脂の切断時に切削ブレードの先端が熱拡散基板に接触するために切削抵抗が大きくなり、切削速度を上げることができない。一方、レーザー加工により樹脂を切断する場合は、切断面が焼けるのを防止するために、パルスレーザー光線の出力を抑えて複数回アブレーションさせて切断する必要があり、切断に時間が掛かり生産性の点で問題がある。この問題は、樹脂が厚くなるほど顕著となる。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、熱拡散基板上にデバイスが配置され樹脂によって封止されて構成されるパッケージ基板の分割を、バリを発生させることなく、効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱拡散基板の表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが配置され、複数のデバイスを樹脂によって被覆し樹脂層を形成したパッケージ基板を分割予定ラインに沿って分断して個々のパッケージ基板に分割するパッケージ基板の加工方法であって、パッケージ基板の熱拡散基板側を保持手段によって保持し、切削ブレードを分割予定ラインに位置付けて熱拡散基板に達しない深さまで樹脂に切り込ませて分割予定ラインに沿って切削することにより樹脂を残存させ、分割予定ラインに沿って切削溝を形成する切削溝形成工程と、切削溝形成工程が実施され熱拡散基板側が保持手段によって保持されるパッケージ基板の分割予定ラインに沿って形成された切削溝に沿って、樹脂に対して吸収性を有する波長の赤外レーザー光線を照射し、残存する樹脂を切断する樹脂切断工程と、樹脂切断工程が実施され熱拡散基板側が保持手段によって保持されたパッケージ基板の分割予定ラインに沿って、露出した熱拡散基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射し分割予定ラインに沿って熱拡散基板を切断して個々のパッケージデバイスに分割する分割工程と、からなる。
【0008】
樹脂切断工程で用いる赤外レーザー光線は、CO2レーザーであり、パルス幅が10ns〜10μsであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、熱拡散基板を切削ブレードで切削しないため、バリの発生を防止するとともに切削速度が低下するのを防止することができ、樹脂の切断を切削とレーザー加工とで行うため、樹脂の切断に要する時間を短縮することができる。したがって、樹脂の切断と熱拡散基板の切断とに要する時間をそれぞれ短縮することができ、全体としてパッケージ基板の分割に要する時間を短縮することができる。また、切削とレーザー加工とによって樹脂の切断を行うことにより、樹脂が厚いパッケージ基板でも切断に要する時間が長くなることがなく、生産性が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】加工装置の例を示す斜視図である。
図2】パッケージ基板の例を示す拡大断面図である。
図3】切削溝形成工程を示す拡大断面図である。
図4】切削溝が形成されたパッケージ基板を示す拡大断面図である。
図5】樹脂切断工程を示す拡大断面図である。
図6】分割工程を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す加工装置1は、被加工物を保持する保持手段2と、保持手段2に保持された被加工物に対して切削加工を施す切削手段3と、保持手段2に保持された被加工物に対してレーザー加工を施す第1のレーザー加工手段4及び第2のレーザー加工手段5を備えている。
【0012】
保持手段2は、平面状に形成された保持面20と、被加工物の分断すべき分割予定ラインに対応する位置に縦横に形成された溝21と、溝21によって区画された領域にそれぞれ備えた吸引孔22とを備えている。保持手段2の下方には、保持手段2を回転させる回転手段23が配設されている。
【0013】
切削手段3は、Y軸方向の軸心を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、スピンドル30の先端に装着された切削ブレード32とを備えている。
【0014】
第1のレーザー加工手段4は、第1の照射ヘッド40と、第1の照射ヘッド40にアシストガスを流入させるアシストガス導入部41とを備えている。また、第2のレーザー加工手段5は、第2の照射ヘッド50と、第2の照射ヘッド50にアシストガスを流入させるアシストガス導入部51とを備えている。
【0015】
保持手段2は、加工送り手段6によってX軸方向に加工送りされる。加工送り手段6は、X軸方向の軸心を有するボールネジ60と、ボールネジ60と平行に配設された一対のガイドレール61と、ボールネジ60を回動させるモータ62と、ボールネジ60に螺合するナットを内部に備えるとともに底部がガイドレール61に摺接する移動板63とを備え、モータ62がボールネジ60を回動させることにより、ガイドレール61によってガイドされて移動板63がX軸方向に移動する構成となっている。そして、移動板63がX軸方向に移動することにより、移動板63によって支持された回転手段23及び保持手段2もX軸方向に移動する。
【0016】
加工送り手段6及び保持手段2は、インデックス送り手段7によってY軸方向(X軸方向に対して水平に直交する方向)にインデックス送りされる。インデックス送り手段7は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ70と、ボールネジ70と平行に配設された一対のガイドレール71と、ボールネジ70を回動させるモータ72と、ボールネジ70に螺合するナットを内部に備えるとともに底部がガイドレール71に摺接する移動板73とを備え、モータ72がボールネジ70を回動させることにより、ガイドレール71によってガイドされて移動板73がY軸方向に移動する構成となっている。移動板73の上面には加工送り手段6が配設されており、移動板73がY軸方向に移動することにより、加工送り手段6及び保持手段2もY軸方向に移動する。
【0017】
切削手段3は、切込み送り手段8によってZ軸方向(X軸方向及びY軸方向に対して直交する方向)に切込み送りされる。切込み送り手段8は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ80と、ボールネジ80と平行に配設された一対のガイドレール81と、ボールネジ80を回動させるモータ82と、ボールネジ80に螺合するナットを内部に備えるとともに側部がガイドレール81に摺接する昇降板83とを備え、モータ82がボールネジ80を回動させることにより、ガイドレール81によってガイドされて昇降板83がZ軸方向に昇降する構成となっている。昇降板83の側面には切削手段3が固定されており、昇降板83がZ軸方向に昇降することにより、切削手段3もZ軸方向に移動する。
【0018】
第1のレーザー加工手段4及び第2のレーザー加工手段5は、昇降手段9によって昇降可能に支持されている。昇降手段9は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ90と、ボールネジ90と平行に配設された一対のガイドレール91と、ボールネジ90を回動させるモータ92と、ボールネジ90に螺合するナットを内部に備えるとともに側部がガイドレール91に摺接する昇降板93とを備え、モータ92がボールネジ90を回動させることにより、ガイドレール91によってガイドされて昇降板93がZ軸方向に昇降する構成となっている。昇降板93の側面には支持台94を介して第1のレーザー加工手段4及び第2のレーザー加工手段5が固定されており、昇降板93がZ軸方向に昇降することにより、第1のレーザー加工手段4及び第2のレーザー加工手段5もZ軸方向に移動する。
【0019】
以下では、このように構成される加工装置1を用いて、図2に示すパッケージ基板10を加工する方法について説明する。このパッケージ基板10は、熱拡散基板11と、熱拡散基板11の表面110に配置された複数のデバイス12と、複数のデバイス12を樹脂によって被覆した被覆層13とから構成されている。熱拡散基板11は、例えばステンレス、銅などにより形成され放熱性が高く安価な金属基板や、アルミナセラミック基板などがある。一方、樹脂層13を構成する樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などであり、その厚さは、例えば1mm程度である。
【0020】
各デバイス12は、熱拡散基板11の表面110に格子状に形成された分割予定ライン14によって区画された領域に配置されている。このパッケージ基板10は、分割予定ライン14に沿って分断することにより、個々のデバイス12ごとのパッケージデバイスに分割される。
【0021】
(1)切削溝形成工程
図2及び図3に示すように、パッケージ基板10は、熱拡散基板10側が保持手段2の保持面20に保持され、樹脂層13の上面が露出した状態となる。そして、図3に示すように、図1に示した切削手段3を構成する切削ブレード32を高速回転させて分割予定ライン14の上方に位置付け、切削ブレード32を樹脂層13に切り込ませ、切削ブレード32の下端が熱拡散基板11に達しない深さまで切削ブレード32を下降させるとともに、図1に示した加工送り手段6によって保持手段2をX軸方向に加工送りする。そうすると、図4に示すように、分割予定ライン14に沿って切削溝15が形成される。熱拡散基板11に達しない深さまで切削ブレード32を切り込ませることにより、樹脂層13には、切削溝15の下方に、切削ブレード32によって切削されない部分である樹脂残存部16が形成される。本工程は、例えば、以下の加工条件で行われる。
切削ブレードの厚み :200[μm]
切削ブレードの直径 :52[mm]
切削ブレードの回転速度 :20000[rpm]
加工送り速度 :100[mm/秒]
【0022】
このような切削を、図1に示したインデックス送り手段7によって、隣り合う分割予定ライン14間の間隔ずつ切削手段3をY軸方向にインデックス送りしながら、同方向のすべての分割予定ライン14に沿って行った後、保持手段2を90度回転させてから同様の切削を行うことにより、すべての分割予定ライン14に沿って切削溝15を形成する。
【0023】
切削溝形成工程では、熱拡散基板11に達しない深さまで切削ブレード32を切り込ませることにより、熱拡散基板11に切削ブレードが切り込まないため、切削抵抗の増加に伴う切削速度の低下を防ぐことができる。
【0024】
(2)樹脂切断工程
次に、図5に示すように、切削溝形成工程が実施されたパッケージ基板10の熱拡散基板11側が保持手段2によって保持された状態で、分割予定ライン14の上方に、第1のレーザー加工手段4を構成する第1のレーザー照射ヘッド40を位置付ける。そして、集光レンズ42を通して、分割予定ライン14に形成された切削溝15に沿って、樹脂層13を構成する樹脂に対して吸収性を有する波長のレーザー光線LB1を樹脂層13に対して照射する。レーザー光線LB1の照射時は、アシストガス導入部41からアシストガスを導入し、照射ヘッド40から噴出させる。本工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の波長 :CO2レーザー(9.2〜10.6[μm])
繰り返し周波数 :100[kHz]
パルス幅 :10[ns]〜10[μs]
平均出力 :40[W]
集光スポット径 :φ100[μm]
加工送り速度 :600[mm/秒]
アシストガス :1[MPa]
【0025】
レーザー光線LB1は、樹脂層13の樹脂残存部16に集光する。そして、図1に示した加工送り手段6によって保持手段2をX軸方向に加工送りする。そうすると、分割予定ライン14に沿ってアブレーション加工が行われて樹脂切断溝17が形成される。レーザー光線LB1は、樹脂に対して吸収性を有し、熱拡散基板11に対して吸収が小さいため、熱拡散基板11がアブレーション加工されることはなく、樹脂残存部16のみが加工されて樹脂切断溝17が形成され、樹脂層13が切断される。樹脂層13が切断されることにより、その部分から、熱拡散基板11の表面110が露出する。
【0026】
このようなレーザー加工を、図1に示したインデックス送り手段7によって、隣り合う分割予定ライン14間の間隔ずつ切削手段3をY軸方向にインデックス送りしながら、同方向のすべての分割予定ライン14に沿って行った後、保持手段2を90度回転させてから同様の切削を行うことにより、すべての分割予定ライン14に沿って樹脂切断溝17を形成する。
【0027】
樹脂切断工程では、樹脂切断溝17の両側面が焼けるのを防止する観点から、レーザー光線の出力をあまり高くすることができないため、保持手段2を何往復かさせながらレーザー光線LB1の照射を行う必要が生じることもあるが、切削溝形成工程で樹脂層13があらかじめ切削されているため、切削溝形成工程を実施せずレーザー加工のみで樹脂を切断する場合と比較すると、樹脂の切断に要する時間を短縮することができる。
【0028】
(3)分割工程
次に、図6に示すように、樹脂切断工程が実施されたパッケージ基板10の熱拡散基板11側が保持手段2によって保持された状態で、分割予定ライン14の上方に、第2のレーザー加工手段5を構成する第2のレーザー照射ヘッド50を位置付ける。そして、集光レンズ52を通して、分割予定ライン14に形成された樹脂切断溝17に沿って、熱拡散基板11に対して吸収性を有する波長のレーザー光線LB2を照射し、分割予定ライン14に沿って熱拡散基板11を切断する。レーザー光線LB2の照射時は、アシストガス導入部51からアシストガスを導入し、照射ヘッド50から噴出させる。本工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の波長 :YAGレーザーまたはファイバーレーザー
(1.06[μm])
繰り返し周波数 :20[kHz]
パルス幅 :可変
平均出力 :150〜500[W]
集光スポット径 :φ50[μm]
加工送り速度 :160[mm/秒]
アシストガス :1[MPa]
【0029】
レーザー光線の平均出力、パルス幅は、熱拡散基板11の材質又は厚みに応じて変更する。例えば、熱拡散基板11が熱を伝達しやすい銅により構成される場合は、レーザー光線の出力エネルギーによる熱の伝達を抑えるためにパルス幅を短くし、さらに平均出力を大きくすると良い。また、熱拡散基板11の厚みは100〜300μmであり、厚みが厚くなれば、平均出力を大きくするかパルス幅を長くして加工する。
【0030】
レーザー光線LB2は、樹脂切断溝17の下方の熱拡散基板11に集光する。そして、図1に示した加工送り手段6によって保持手段2をX軸方向に加工送りする。そうすると、分割予定ライン14に沿って基板切断溝18が形成される。このとき、レーザー加工により生じたドロスは、溝21に落下するため、基板切断溝18の側面等に付着しない。
【0031】
このようなレーザー加工を、図1に示したインデックス送り手段7によって、隣り合う分割予定ライン14の間隔ずつ保持手段2をY軸方向にインデックス送りしながら、X軸方向に延在するすべての分割予定ライン14に沿って行った後、保持手段2を90度回転させてから同様のレーザー加工を行うことにより、すべての分割予定ライン14に沿って基板切断溝18が形成されると、パッケージ基板10が個々のデバイス12ごとのパッケージデバイスに分割される。
【0032】
分割工程では、切削ブレードを使用せず、レーザー加工により熱拡散基板11を切断するため、基板切断溝18の両側面にバリが発生するのを防止することができる。また、分割工程では、レーザー光線LB2の出力を高くすることが可能であるため、1度の加工送りで基板切断溝18を形成することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:加工装置
2:保持手段
20:保持面 21:溝 22:吸引孔 23:回転手段
3:切削手段
30:スピンドル 31:ハウジング 32:切削ブレード
4:第1のレーザー加工手段
40:第1の照射ヘッド 41:アシストガス導入部 42:集光レンズ
5:第2のレーザー加工手段
50:第2の照射ヘッド 51:アシストガス導入部 52:集光レンズ
6:加工送り手段
60:ボールネジ 61:ガイドレール 62:モータ 63:移動板
7:インデックス送り手段
70:ボールネジ 71:ガイドレール 72:モータ 73:移動板
8:切込み送り手段
80:ボールネジ 81:ガイドレール 82:モータ 83:昇降板
9:昇降手段
90:ボールネジ 91:ガイドレール 92:モータ 93:昇降板 94:支持台
10:パッケージ基板
11:熱拡散基板 110:表面
12:デバイス 13:被覆層 14:分割予定ライン
15:切削溝 16:樹脂残存部 17:樹脂切断溝 18:基板切断溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6