【実施例】
【0034】
以下、実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
実施例1では、流速1.6m/秒で水平方向に流れる水中に、水の流れに対して垂直方向の上方から
図1に示した気体吹込管11と偏流部材12とを有する気体吹込装置を挿入し、吐出口11aから水中に空気を3L/分の流量で吐出させた。なお、気体吹込管11の直径を7mm、偏流部材12の迎え角θを40°とした。
【0036】
また、気体吹込装置から水中に空気を吐出させたときの気泡の生成挙動の可視化を行った。
図6は、実施例1で生成された気泡を説明するための図である。なお、
図6において、左側が水の流れの上流側であり、右側が水の流れの下流側である。
【0037】
図6に示すように、吐出口11aから水中に吐出された空気は、偏流部材12の下流側において微細な気泡となった後に、速やかに下流側へ流されていることが確認できた。
【0038】
続いて、
図6の画像を用いて解析を行うことにより、気泡の直径(以下「気泡径」ともいう。)を算出した。なお、偏流部材12が設けられた位置よりも下流側に存在する気泡を球と仮定したときの球の体積から気泡径を算出した。
【0039】
算出した結果を
図7及び
図11に示す。
図7は、実施例1で生成された気泡の直径と発生頻度を示すグラフである。
図11は、実施例1及び比較例1で生成された気泡の直径の累積頻度分布を示すグラフである。なお、
図7における横軸は気泡径(mm)を表し、縦軸は頻度(%)を表す。また、
図11における横軸は気泡径(mm)を表し、縦軸は累積頻度(%)を表す。なお、本願でいう頻度および累積頻度は体積基準のものである。
【0040】
図7及び
図11に示すように、吐出口11aから吐出された空気のうちの80%が直径2.1mm以下の気泡になっていることが確認できた。また、吐出口11aから吐出された空気のうちの95%が直径2.8mm以下の気泡になっていることが確認できた。
【0041】
なお、実施例1では、気体吹込管11の先端に取り付けられた偏流部材12の下流下向きに伸びる2つの辺により、液体の流れが三次元的な渦状となったと考えられる。そして、渦状となった液体の流れによるせん断作用によって、吐出口11aから吐出された空気が微細な気泡となったと考えられる。
【0042】
(実施例2)
実施例2では、実施例1で用いた気体吹込装置に代えて、
図3に示した気体吹込装置を用いて、実施例1と同様の方法により、気体吹込装置から水中に空気を吐出させたときの気泡の生成挙動の可視化を行った。
図8は、実施例2で生成された気泡を説明するための図である。なお、
図8において、左側が水の流れの上流側であり、右側が水の流れの下流側である。
【0043】
図8に示すように、吐出口11aから水中に吐出された空気は、気体吹込管11の偏流部材12の下流側において微細な気泡となった後に、速やかに下流側へ流されていることが確認できた。
【0044】
なお、実施例2では、気体吹込管11の先端部分に、気体吹込管11と一体的に形成された偏流部材12により、液体の流れが三次元的な渦状となったと考えられる。そして、渦状となった液体の流れによるせん断作用によって、吐出口11aから吐出された空気が微細な気泡となったと考えられる。
【0045】
(比較例1)
比較例1では、流速1.6m/秒で水平方向に流れる水中に、水の流れに対して垂直方向の上方から偏流部材12を有していない気体吹込装置を挿入し、吐出口11aから水中に空気を3L/分の流量で吐出させた。なお、偏流部材12を有していない点以外は、実施例1の気体吹込装置と同様の構成を用いた。
【0046】
また、実施例1と同様の方法により、気体吹込装置から水中に空気を吐出させたときの気泡の生成挙動の可視化を行った。
図9は、比較例1で生成された気泡を説明するための図である。なお、
図9において、左側が水の流れの上流側であり、右側が水の流れの下流側である。
【0047】
図9に示すように、吐出口11aから水中に吐出された空気は、水の流れに乗ってゆっくりと下流側へと流されていることが確認できた。また、水中に吐出された空気の一部は水の流れによって小さい気泡となって下流側へと流されているが、水中に吐出された空気のほとんどは小さい気泡となることなく下流側へと流されていることが確認できた。
【0048】
続いて、
図9の画像を用いて解析を行うことにより、気泡径を算出した。なお、実施例1と同様の算出方法を用いた。
【0049】
算出した結果を
図10及び
図11に示す。
図10は、比較例1で生成された気泡の直径と発生頻度を示すグラフである。なお、
図10における横軸が気泡径(mm)を表し、縦軸が頻度(%)を表す。
【0050】
図10及び
図11に示すように、吐出口11aから吐出された空気のうちの66%が直径2.1mm以下の気泡になっていることが確認できた。また、吐出口11aから吐出された空気のうちの81%が直径2.8mm以下の気泡になっていることが確認できた。
【0051】
以上により、実施例1及び実施例2では、比較例1の場合と比較して、微細な気泡を安定的に液体中へ供給することができることが確認できた。
【0052】
(実施例3)
実施例3では、流速1.6m/秒で水平方向に流れる水中に、水の流れに対して垂直方向の上方から
図1に示した気体吹込管11と偏流部材12とを有する気体吹込装置を挿入し、吐出口11aから水中に空気を3L/分の流量で吐出させた。なお、気体吹込管11の直径を7mmとした。
【0053】
係る条件下で、迎え角θを25°、40°、70°、90°に変化させたときの気体吹込装置から水中に空気を吐出させたときの気泡の生成挙動の可視化を行った。
図12は、実施例3で生成された気泡を説明するための図である。具体的には、
図12(a)、(b)、(c)及び(d)は、各々、迎え角θを25°、40°、70°、90°としたときの気泡の生成挙動を可視化した画像である。なお、
図12において、左側が水の流れの上流側であり、右側が水の流れの下流側である。
【0054】
図12(a)から(d)に示すように、吐出口11aから水中に吐出された空気は、偏流部材12の下流側において微細な気泡となった後に、速やかに下流側へ流されていることが確認できた。また、迎え角θを40°以上にすることで、特に微細な気泡が得られることが確認できた。
【0055】
続いて、
図12の画像を用いて解析を行うことにより、気泡径を算出した。
【0056】
算出した結果を
図13に示す。
図13は、実施例3で生成された気泡の直径の累積頻度分布を示すグラフである。なお、
図13における横軸は気泡径(mm)を表し、縦軸は累積頻度(%)を表す。
【0057】
図13に示すように、迎え角θを40°以上にした場合、吐出口11aから吐出された空気のうちの90%以上が直径2.8mm以下の気泡となっていることが確認できた。また、迎え角θを25°にした場合、吐出口11aから吐出された空気のうちの85%以上が直径2.8mm以下の気泡となっていることが確認できた。すなわち、迎え角θを40°以上にすることで、特に微細な気泡が得られることが確認できた。
【0058】
また、迎え角θを25°、40°、70°、90°に変化させたときの気体吹込装置から水中に空気を吐出させたときの気泡の直径の平均値(平均気泡径)を算出した。
【0059】
算出した結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
表1に示すように、迎え角θが40°の場合、平均気泡径は1.8mmであり、迎え角θが25°、70°、90°の場合、平均気泡径は2.0mmであった。すなわち、迎え角θが40°の場合、迎え角θが25°、70°、90°の場合よりも微細な気泡が得られることが確認できた。