特許第6377629号(P6377629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6377629二次電池のパラメーター推定装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377629
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】二次電池のパラメーター推定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20060101AFI20180813BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20180813BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180813BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G01R31/36 AZHV
   B60L3/00 S
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H02J7/00 P
   H02J7/00 Q
【請求項の数】23
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-545379(P2015-545379)
(86)(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公表番号】特表2016-506497(P2016-506497A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】KR2013011129
(87)【国際公開番号】WO2014088299
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年6月2日
【審判番号】不服2017-16343(P2017-16343/J1)
【審判請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0139050
(32)【優先日】2012年12月3日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0149258
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウォン−テ・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン−ヨン・チャ
【合議体】
【審判長】 中塚 直樹
【審判官】 中村 説志
【審判官】 清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−223033(JP,A)
【文献】 特開2004−271445(JP,A)
【文献】 特開2011−43460(JP,A)
【文献】 特開2011−018547(JP,A)
【文献】 特開2007−121030(JP,A)
【文献】 特開2010−71703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池及び前記二次電池のパラメーターを推定する装置を含むシステムにおいて、
前記二次電池は、2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含み、前記2つ以上の正極材の混合比率は、前記二次電池の充電状態毎に測定した放電抵抗プロファイルで頂点を前後にして変曲点があるコンベックス(convex)パターンが現れるように選択され、
前記二次電池のパラメーターを推定する装置は、
前記二次電池の動作モードが放電モードから充電モードに変更された後、充電電流の大きさがピーク値まで増加してから減少するパターンで前記二次電池が充電される過程で測定制御信号に従って、複数の電流−電圧データを測定するセンサー手段と、
前記充電電流の大きさがピーク値から減少する間のみに前記測定制御信号を前記センサー手段に出力して前記センサー手段から前記複数の電流−電圧データの入力を受けて、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出し、前記近似線形方程式のY切片を前記二次電池の開放電圧として推定する制御手段と、を含む
ことを特徴とするシステム
【請求項2】
前記制御手段が、推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム
【請求項3】
前記制御手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満に減少した後、前記測定制御信号を前記センサー手段に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム
【請求項4】
前記制御手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/6未満に減少した後、前記測定制御信号を前記センサー手段に出力する
ことを特徴とする請求項に記載のシステム
【請求項5】
前記制御手段が、開放電圧と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム
【請求項6】
前記センサー手段は、前記二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、
前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム
【請求項7】
前記センサー手段は、前記充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少する充電電流プロファイルによって前記二次電池が回生充電されるとき、前記複数の電流−電圧データを測定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム
【請求項8】
前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記充電電流プロファイルによって前記二次電池が回生充電されるとき、前記複数の電流−電圧データを測定する
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム
【請求項9】
二次電池及び前記二次電池のパラメーターを推定する装置を含むシステムにおいて、
前記二次電池は、2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含み、前記2つ以上の正極材の混合比率は、前記二次電池の充電状態毎に測定した放電抵抗プロファイルで頂点を前後にして変曲点があるコンベックス(convex)パターンが現れるように選択され、
前記二次電池のパラメーターを推定する装置は、
前記二次電池の動作モードが放電モードから充電モードに変更された後、充電電流の大きさがピーク値まで増加してから減少するパターンで前記二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定するセンサー手段と、
前記センサー手段から前記電流−電圧データの入力を受けて、前記充電電流の大きさが前記ピーク値から減少する間のみに測定された複数の電流−電圧データを識別し、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出し、前記近似線形方程式のY切片を前記二次電池の開放電圧として推定する制御手段と、を含む
ことを特徴とするシステム
【請求項10】
前記制御手段が、推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定する
ことを特徴とする請求項に記載のシステム
【請求項11】
前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/3未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別する
ことを特徴とする請求項に記載のシステム
【請求項12】
前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/6未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別する
ことを特徴とする請求項に記載のシステム
【請求項13】
前記制御手段が、開放電圧と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定する
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム
【請求項14】
前記センサー手段は、前記二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、
前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定する
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム
【請求項15】
前記センサー手段は、前記充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンで前記二次電池が回生充電されるとき、前記充電電流が前記ピーク値から0まで減少する間、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定する
ことを特徴とする請求項に記載のシステム
【請求項16】
前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記二次電池が回生充電されるとき、前記時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定する
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム
【請求項17】
請求項1に記載のシステムを含む電気駆動装置。
【請求項18】
二次電池の動作モードが放電モードから充電モードに変更された後、充電電流の大きさがピーク値まで増加してから減少するパターンで前記二次電池が充電される過程で、前記充電電流の大きさが前記ピーク値から減少する間のみにセンサー手段に測定制御信号を出力する段階と、
前記センサー手段から前記測定制御信号に従って測定された複数の電流−電圧データの入力を受け、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出する段階と、
前記近似線形方程式のY切片を前記二次電池の開放電圧として推定する段階と、を含み、
前記二次電池は、2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含み、前記2つ以上の正極材の混合比率は、前記二次電池の充電状態毎に測定した放電抵抗プロファイルでコンベックス(convex)パターン(頂点を前後にして変曲点がある)が現れるように選択される
ことを特徴とする二次電池のパラメーター推定方法。
【請求項19】
前記推定された開放電圧から前記二次電池の充電状態を推定する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項18に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
【請求項20】
前記推定された開放電圧または前記推定された充電状態を表示、保存、または出力する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
【請求項21】
二次電池の動作モードが放電モードから充電モードに変更された後、充電電流の大きさがピーク値まで増加してから減少するパターンで前記二次電池が充電される間に、センサー手段が時間間隔を置いて繰り返して測定する電流−電圧データの入力を受ける段階と、
前記入力された電流−電圧データの中から、前記充電電流の大きさが前記ピーク値から減少する間のみに測定された複数の電流−電圧データを識別する段階と、
前記識別された複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出する段階と、
前記近似線形方程式のY切片を前記二次電池の開放電圧として推定する段階と、を含み、
前記二次電池は、2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含み、前記2つ以上の正極材の混合比率は、前記二次電池の充電状態毎に測定した放電抵抗プロファイルでコンベックス(convex)パターン(頂点を前後にして変曲点がある)が現れるように選択される
ことを特徴とする二次電池のパラメーター推定方法。
【請求項22】
前記推定された開放電圧から前記二次電池の充電状態を推定する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項21に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
【請求項23】
前記推定された開放電圧または前記推定された充電状態を表示、保存、または伝送する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項21または請求項22に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の開放電圧または充電状態のように、二次電池の充電または放電によって変化する二次電池の電気化学的物性を現すパラメーターを推定する装置と方法に関する。
【0002】
本出願は、2012年12月3日出願の韓国特許出願第10−2012−0139050号、及び2013年12月3日出願の韓国特許出願第10−2013−0149258号に基づく優先権を主張するものであり、該当韓国出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
電池は、電気化学的な酸化及び還元反応を通じて電気エネルギーを生成するものであって、幅広い範囲で多様な用途に用いられる。例えば、電池は携帯電話、ラップトップパソコン、デジカメ、ビデオカメラ、タブレットパソコン、電動工具などのように持ち運び可能な装置;電気自転車、電気バイク、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気船、電気飛行機などのような各種電気駆動動力装置;新再生エネルギーを用いて発電した電力や余剰発電電力を貯蔵するのに使用される電力貯蔵装置;サーバーコンピューターと通信用基地局を含めた各種情報通信装置に電力を安定的に供給するための無停電電源供給装置などに至るまで使用領域が徐々に拡がっている。
【0004】
電池は、3つの基本構成要素を含む。すなわち、放電する間に電子を放出しながら酸化される物質を含む負極(anode)、放電する間に電子を収容しながら還元される物質を含む正極(cathode)、そして負極と正極との間でイオンの移動を可能にする電解質である。
電池は、放電した後は再使用が不可能な一次電池と、電気化学反応が少なくとも部分的には可逆的であって、繰り返して充電と放電が可能な二次電池とに分類することができる。
二次電池としては、鉛‐酸電池、ニッケル‐カドミウム電池、ニッケル‐亜鉛電池、ニッケル‐鉄電池、銀酸化物電池、ニッケル金属水素化物(hydride)電池、亜鉛‐マンガン酸化物電池、亜鉛‐臭化物電池、金属‐空気電池、リチウム二次電池などが知られている。そのうち、リチウム二次電池は、他の二次電池に比べてエネルギー密度及び電池電圧が高く、保存寿命が長いという点で商業的に多大に関心を集めている。
【0005】
リチウム二次電池は、正極と負極とでリチウムイオンの挿入(intercalation)と脱離(de−intercalation)反応が起きるという特性がある。すなわち、放電が行われる間には、負極に含まれた負極材からリチウムイオンが脱離した後、電解質を通じて正極に移動し、正極に含まれた正極材に挿入される。充電が行われるときは、その逆である。
リチウム二次電池においては、正極材として使用される物質が二次電池の性能に重要な影響を及ぼすため、高温で安定性を維持しながらも高いエネルギー容量を提供でき、且つ、製造コストの低い正極材を提供しようとして多様に試みられている。しかし未だ、市場で要求する性能を全て充足するには、ある1つの正極材のみでは限界がある。
【0006】
近年、化石燃料の枯渇と大気汚染の深刻化のため、環境にやさしいエネルギーに対する要求が急増している。それ故に、二次電池から供給される電気エネルギーを使用して運行できる電気自動車やハイブリッド自動車のような電気駆動自動車の商用化が先進国を中心に活発に行われている。
電気駆動自動車が運行するとき、二次電池の充電状態(SOC;State Of Charge)は、電気駆動自動車の走行可能距離を見積り、二次電池の充電または放電の開始と終了を制御するのに必要なパラメーターである。
二次電池の充電状態は、二次電池の開放電圧(Open Circuit Voltage)を測定すれば正確に推定することができる。二次電池の充電状態は開放電圧と1:1の関係にあるためである。しかし、二次電池の充電または放電中には、二次電池の開放電圧を測定することが不可能である。
【0007】
したがって、従来は、複雑な数学的モデルや実験を通じて作成したルックアップテーブル(二次電池の温度と電圧を開放電圧にマッピング)を用いて二次電池の開放電圧を推定する方法が用いられていた。
しかし、前者の方法は、複雑な計算が必要であるという短所があり、後者の方法は、ダイナミックな条件で二次電池が充電または放電するときに適用すれば、正確度が低下するという短所がある。特に、電気自動車やハイブリッド自動車の場合は、運転者がアクセルペダルを踏めば、多様な条件の放電率(C−rate)で二次電池が放電し、運転者がブレーキペダルを踏めば、回生充電(regeneration charging)が行われる過程が繰り返される。したがって、このようなダイナミックな二次電池の使用環境で、充電状態を簡単且つ正確に推定するためには新たなアプローチが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6677082号明細書
【特許文献2】米国特許第6680143号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、二次電池がダイナミックに使用される過程で、二次電池の開放電圧及び/または充電状態を簡単且つ正確に推定できる装置及び方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、市場が求める二次電池の性能を考慮して、2つ以上の正極材を混合した混合正極材を含み、前記混合正極材によって特異な電気化学的挙動を示す二次電池の開放電圧及び/または充電状態を簡単且つ正確に推定できる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様による二次電池のパラメーター推定装置は、充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される過程で、前記充電電流が減少する間に複数の電流−電圧データを測定するセンサー手段と、前記センサー手段から前記複数の電流−電圧データの入力を受けて、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出し、前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する制御手段とを含む。
【0011】
望ましくは、前記制御手段は、前記推定された開放電圧から二次電池の充電状態をさらに推定することができる。
一態様によれば、前記センサー手段は、充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少する充電電流プロファイルによって二次電池が充電されるとき、前記充電電流がピーク値から0まで減少する間、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記充電電流プロファイルによって二次電池が充電されるとき、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
さらに別の態様によれば、前記センサー手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満に減少した後、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
さらに別の態様によれば、前記センサー手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/6未満に減少した後、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
望ましくは、前記センサー手段は、2つ以上の電流−電圧データを測定することができる。
【0012】
一態様によれば、前記制御手段は、開放電圧と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することができる。
【0013】
上記の課題を達成するため、本発明の別の態様による二次電池のパラメーター推定装置は、充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定するセンサー手段と、前記センサー手段から前記電流−電圧データの入力を受けて、前記充電電流が前記ピーク値から減少する間に測定された複数の電流−電圧データを識別し、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出し、前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する制御手段とを含むことができる。
【0014】
望ましくは、前記制御手段は、前記推定された開放電圧から二次電池の充電状態をさらに推定することができる。
一態様によれば、前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/3未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別することができる。
別の態様によれば、前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/6未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別することができる。
望ましくは、前記制御手段は、2つ以上の電流−電圧データを識別することができる。
【0015】
一態様によれば、前記制御手段は、開放電圧と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することができる。
一態様によれば、前記センサー手段は、充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンで二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記二次電池が充電されるとき、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定することができる。
【0016】
上述した二次電池のパラメーター推定装置は、前記制御手段と組み合わせられた表示手段をさらに含み得、前記制御手段は、前記表示手段を通じて、前記推定された二次電池の開放電圧及び/または充電状態をグラフィックインターフェース(文字、数字、グラフなど)で出力することができる。
また、上述した二次電池のパラメーター推定装置は、前記推定された二次電池の開放電圧及び/または充電状態を外部のコントロールユニットに伝送することができる。
【0017】
また、上述した二次電池のパラメーター推定装置は、前記制御手段と組み合わせられた保存手段をさらに含み得、前記制御手段は、前記複数の電流−電圧データ、及び/または、前記近似線形方程式の傾き及びY切片、及び/または、前記ルックアップテーブルまたはルックアップ関数、及び/または、前記推定された開放電圧及び/または充電状態を前記保存手段に記録及び/または消去及び/または更新及び/または伝送することができる。
また、上述した二次電池のパラメーター推定装置は、二次電池からエネルギーの供給を受ける多様な電気駆動装置に含まれ得る。
【0018】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様による二次電池のパラメーター推定方法は、充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される過程で、前記充電電流が減少する間に複数の電流−電圧データを測定する段階と、前記測定された複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出する段階と、前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する段階とを含む。
【0019】
上記の課題を達成するため、本発明の別の態様による二次電池の充電状態推定方法は、充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定する段階と、前記測定された電流−電圧データの中から、前記充電電流が前記ピーク値から減少する間に測定された複数の電流−電圧データを識別する段階と、前記識別された複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出する段階と、前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する段階とを含む。
【0020】
望ましくは、二次電池のパラメーター推定方法は、前記推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定する段階をさらに含むことができる。
また、二次電池のパラメーター推定方法は、推定された開放電圧及び/または充電状態を保存及び/または送信及び/または表示する段階をさらに含むことができる。
また、前記二次電池は、作動イオンが含まれた電解質、及び正極と負極とを電気的に分離して作動イオンの移動を許可する分離膜をさらに含むことができる。前記電解質は、作動イオンを含み、作動イオンを介して正極と負極で電気化学的な酸化または還元反応を行えるものであれば、その種類に特に制限がない。
【0021】
また、前記二次電池は、前記正極、負極、及び分離膜を密封する包装材をさらに含むことができる。前記包装材は、化学的に安全性を有するものであれば、その材質に特に制限がない。
前記二次電池の外形は、包装材の構造によって決定される。前記包装材の構造は当業界で知られた多様な構造のうち1つであり得るが、代表的に、円筒型、角形、パウチ型、コイン型などの構造を有し得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、二次電池がダイナミックに充電される間に、二次電池の開放電圧及び/または充電状態を信頼性高く推定することができる。特に、特異な電圧変化パターンを見せる混合正極材を含む二次電池に対しても、信頼性のある開放電圧及び/または充電状態の推定が可能である。また、分極の累積が緩和した状態にある二次電池の電流−電圧データを用いて二次電池のパラメーターを推定するため、パラメーターの信頼性を向上させることができる。
【0023】
本明細書に添付される図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による二次電池のパラメーター推定装置の構成を示したブロック図である。
図2】本発明の実施形態による二次電池のパラメーター推定方法を順次示したフロー図である。
図3】二次電池の充放電電流プロファイルと二次電池の電圧変化を測定して示したグラフである(実験例1)。
図4】二次電池が充電される間に測定された二次電池の電流−電圧データを図化したグラフである(実験例1)。
図5】二次電池の充放電電流プロファイルと電圧変化プロファイルを測定して示したグラフである(実験例2)。
図6】二次電池の充電状態毎に測定した二次電池の放電抵抗プロファイルである(実験例2)。
図7】二次電池の放電深度(DoD)毎に測定した開放電圧プロファイルを示したグラフである(実験例2)。
図8】混合正極材を含む二次電池の充放電電流プロファイルと二次電池の電圧変化を測定したグラフである(実験例2)。
図9】混合正極材を含む二次電池が区間Bで充電される間に測定された二次電池の電流−電圧データを図化したグラフである(実験例2)。
図10】近似線形方程式を算出するときに使用した2つの電流−電圧データ(補間データ)を電流−電圧プロファイル上に示した図である。
図11】2つの電流−電圧データを用いて近似線形方程式を算出したとき、Y切片を二次電池の開放電圧として推定する概念を示したグラフである。
図12】LAドライビングをシミュレーションした運転パターンに従って二次電池を放電(走行時)及び回生充電(停車のための制動時)させ、二次電池が回生充電される間に本発明を用いて充電状態を推定したときの正確度を評価した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のより望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないので、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0026】
後述される実施形態は、本発明の技術的思想がリチウム二次電池に適用された場合に関する。ここで、リチウム二次電池とは、充電と放電が行われる間に、リチウムイオンが作動イオンとして働いて正極と負極で電気化学的反応を引き起こす二次電池のことを総称する。前記作動イオンは、二次電池が充電または放電する過程で電気化学的な酸化及び還元反応に参加するイオンを意味し、例えばリチウムイオンが該当する。したがって、リチウム二次電池に使用された電解質や分離膜の種類、二次電池の包装に使用された包装材の種類、リチウム二次電池の内部または外部の構造などによって二次電池の名称が変わっても、リチウムイオンが作動イオンとして使用される二次電池であれば、何れも前記リチウム二次電池の範疇に含まれると解釈できる。
【0027】
また、本発明は、リチウム二次電池以外の他の二次電池にも適用することができる。したがって、作動イオンがリチウムイオンではなくても、本発明の技術的思想が適用可能な二次電池であればその種類に関係なく全て本発明の範疇に含まれると解釈せねばならない。一部の実施形態において、リチウム二次電池の代わりに二次電池との用語を使用する場合、該当実施形態における二次電池は多様な種類の二次電池を含む概念で用いられたことを明らかにしておく。
【0028】
また、二次電池は、それを構成する要素の数によって限定されない。したがって、二次電池は負極、電解質、及び正極を基本単位にする単一セルを始めとして、単一セルのアセンブリ、多数のアセンブリが直列及び/または並列に接続されたモジュール、多数のモジュールが直列及び/または並列に接続されたパック、多数のパックが直列及び/または並列に接続された電池システムなども含むと解釈されねばならない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による二次電池のパラメーター推定装置の構成を示したブロック図である。
図1を参照すれば、二次電池110の高電位及び低電位端子(P+,P−)は、電気駆動装置200の低電位及び高電位接続端子(T+,T−)と電気的に接続される。
前記二次電池110は、リチウム二次電池であり得るが、本発明が電池の種類によって限定されることはない。
【0030】
一実施形態として、前記電気駆動装置200は、携帯電話、ラップトップパソコン、タブレットパソコンなどのモバイルコンピューター装置、またはデジタルカメラ、ビデオカメラ、オーディオ/ビデオ再生装置などを含む手持ち式のマルチメディア装置であり得る。
別の実施形態として、前記電気駆動装置200は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気自転車、電気バイク、電気列車、電気船、電気飛行機などのように電気によって移動可能な電気動力装置、または電気ドリル、電気グラインダーなどのようにモーターを備えるパワーツールであり得る。
さらに別の実施形態として、前記電気駆動装置200は、電力グリッドに設けられて新再生エネルギーや余剰発電電力を貯蔵する大容量電力貯蔵装置、または停電などの非常状況でサーバーコンピューターや移動通信装備などを含む各種の情報通信装置の電源を供給する無停電電源供給装置であり得る。
【0031】
前記電気駆動装置200は、負荷210及び/または充電ユニット220を含む。
前記負荷210は、二次電池110の電気エネルギーを消耗する装置であって、非制限的な例としてモーターのような回転動力装置、コンバータやインバータのような電力変換装置などが挙げられる。
前記充電ユニット220は、二次電池110に充電電流を印加する装置であって、非制限的な例として充電回路、電気駆動自動車のエンジンに組み合わせられた発電機(generator)、電気駆動自動車のブレーキと組み合わせられた回生充電機(regeneration charger)などが挙げられる。
【0032】
前記電気駆動装置200は、負荷210及び/または充電ユニット220の動作を制御するためにコントロールユニット230を含むことができる。前記コントロールユニット230は、電気駆動装置200を制御するためのソフトウェアアルゴリズムを実行可能なマイクロコンピューターを含むことができる。
【0033】
また、前記電気駆動装置200は、二次電池110と負荷210、または二次電池110と充電ユニット220を選択的に接続するため、第1ないし第4スイッチSW1〜SW4を含むことができる。
前記第1及び第2スイッチSW1,SW2は、前記コントロールユニット230から制御信号の印加を受けて二次電池110と負荷210との間の電気的接続をターンオンまたはターンオフさせる。
前記第3及び第4スイッチSW3,SW4は、前記コントロールユニット230から制御信号の印加を受けて二次電池110と充電ユニット220との間の電気的接続をターンオンまたはターンオフさせる。
望ましくは、前記第1ないし第4スイッチSW1〜SW4は半導体スイッチ又は機械式リレースイッチであり得る。
【0034】
前記コントロールユニット230は、二次電池110と負荷210、または二次電池110と充電ユニット220との間の電気的接続をターンオンまたはターンオフさせる。
一例において、前記コントロールユニット230は、二次電池110の充電状態が高いとき、負荷210を二次電池110に貯蔵された電気エネルギーで駆動させるため、第1及び第2スイッチSW1,SW2をターンオンさせて二次電池110を負荷210と接続させる。すると、二次電池110が放電して負荷210に電気エネルギーが供給される。
別の例として、前記コントロールユニット230は、二次電池110の充電状態が低いとき、二次電池110に充電電流を印加するため、第3及び第4スイッチSW3,SW4をターンオンさせて充電ユニット220を二次電池110と接続させる。すると、前記充電ユニット220は充電電流を二次電池110側に印加する。
別の例として、前記コントロールユニット230は、負荷210が駆動される間は、二次電池110を負荷210に接続させ、負荷210の駆動が一時的に中断した場合は、二次電池110を充電ユニット220に接続して二次電池110を充電させることができる。
【0035】
このような実施形態において、前記コントロールユニット230は二次電池110に供給される充電電流が一定ピーク値まで増加してから減少するパターンを有するように充電ユニット220を制御することができる。
一例として、前記コントロールユニット230は、前記充電ユニット220を制御して、充電電流の大きさを0から一定ピーク値まで徐々に増加させてから再び0まで徐々に減少させることができる。
別の例として、前記コントロールユニット230は、前記充電ユニット220を制御して、前記二次電池110の放電電流を0まで徐々に減少させた後、前記充電電流の大きさを0から一定ピーク値まで徐々に増加させてから再び0まで徐々に減少させることができる。
【0036】
このような実施形態の代表的な例として、電気またはハイブリッド自動車の回生充電が挙げられる。回生充電とは、自動車がブレーキ操作を通じて減速するとき、ブレーキシステムで生成される回生エネルギーを用いて二次電池を充電することを称する。回生充電はブレーキが操作されたときに行われるため、回生充電が開始される前まで二次電池110の放電電流は徐々に0まで減少する。そして、回生充電が行われる間には、充電電流の大きさが0から一定ピーク値まで増加してから再び0まで減少する。このような実施形態において、前記充電ユニット220は、回生エネルギーを生産するブレーキシステムと有機的に結合され、前記コントロールユニット230は回生充電の全般的な過程を制御することができる。前記回生充電技術は、本発明が属した技術分野において周知の技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0037】
前記パラメーター推定装置100は、二次電池110の開放電圧や充電状態のように二次電池110が充電または放電する過程で変化する電気化学的物性を現すパラメーターを推定する装置であって、センサー手段120と制御手段130を含む。
前記センサー手段120は、充電ユニット220から二次電池110側に充電電流が供給される間に、充電電流の大きさと二次電池電圧を測定して制御手段130に提供する。
前記センサー手段120は、充電電流が流れる間に二次電池の電流と電圧を測定するため、測定制御信号を制御手段130から受信することができる。すなわち、前記センサー手段120は、前記測定制御信号が受信される度に、二次電池の電流と電圧を測定して制御手段130に提供する。
【0038】
一例によれば、前記センサー手段120は、前記充電電流の大きさが0から一定ピーク値まで増加してから再び0まで減少する過程で、充電電流が一定ピーク値から0まで減少する間に、時間間隔を置いて数回にかけて充電電流の大きさと二次電池110の電圧を繰り返して測定し、制御手段130に提供する。
別の例によれば、前記センサー手段120は、前記充電電流の大きさが0から一定ピーク値まで増加してから再び0まで減少する過程で、時間間隔を置いて数回にかけて充電電流の大きさと二次電池110の電圧を繰り返して測定し、制御手段130に提供する。
【0039】
以下、説明の便宜上、ある一時点で測定された充電電流の大きさと二次電池110の電圧を電流−電圧データと称する。
上記の例において、充電電流の大きさと二次電池110の電圧は数回にかけて測定されるため、前記制御手段130には複数の電流−電圧データがセンサー手段120から提供される。
一態様によれば、前記センサー手段120は、前記二次電池110の動作モードが放電モードから充電モードに変更された後、数回にかけて充電電流の大きさと二次電池110の電圧を測定することができる。この場合、二次電池110の放電電流が0まで徐々に減少した後に電流−電圧データを測定することができる。
【0040】
上記の例において、前記センサー手段120は、充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満、望ましくは1/6未満に減少した後に、数回にかけて二次電池の電流と電圧を測定することができる。勿論、上記の減少比率は一例に過ぎないため、他の数値に変更可能である。
前記複数の電流−電圧データは、二次電池110の開放電圧と充電状態の推定に使用されるが、上記のような測定条件下で測定された電流−電圧データは二次電池110の分極累積が緩和した状態で得たものであるため、本発明によって推定される開放電圧と充電状態の信頼性を向上させることができる。
【0041】
前記制御手段130は、センサー手段120の動作を制御する。すなわち、前記制御手段130は、二次電池110が充電される間に二次電池110の電流と電圧を数回にかけて測定するため、前記センサー手段120に数回にかけて測定制御信号を伝送することができる。そして、前記センサー手段120が前記測定制御信号に応じて二次電池の電流と電圧を測定及び提供すれば、それを受信する。
【0042】
前記制御手段130は、複数の電流−電圧データを受信した後、受信された電流−電圧データを用いて電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式(V=a*I+b)を算出する。
ここで、前記近似線形方程式の入力変数Iと出力変数Vはそれぞれ二次電池110の電流と電圧であり、傾きaは抵抗特性を示し、Y切片bは二次電池の電流が0のときの電圧、すなわち開放電圧を示す。したがって、前記近似線形方程式が算出されれば、Y切片を二次電池の開放電圧として推定することができる。
【0043】
前記近似線形方程式を算出するとき、使用する電流−電圧データの数は2つ以上であることが望ましい。勿論、開放電圧をより正確に推定するため、電流−電圧データの数を3以上に増加させることも制限されない。
また、前記近似線形方程式を算出するとき、使用する電流−電圧データの測定時点は、充電電流の大きさがピーク値に達する時点をT、ピーク値から0に減少する時点をTとすれば、できればTに近い時点を選択することが望ましい。電流−電圧データの測定時点がTに近い時点であるほど、二次電池110の分極累積が緩和した状態にあり、近似線形方程式のY切片が二次電池110の開放電圧とより近くなるためである。
【0044】
一例として、前記制御手段130は、前記センサー手段120から受信した複数の電流−電圧データの中から、充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満、望ましくは1/6未満に減少した以後の時点で測定された2つ以上の電流−電圧データを選別し、近似線形方程式を算出するときに用いる補間(interpolation)データを得る。この方式は、センサー手段120が提供する複数の電流−電圧データの中から近似線形方程式を算出するときに使用する電流−電圧データをサンプリングする方式である。前記制御手段130は、上記のような方式で得た補間データを用いて近似線形方程式を算出することができる。
【0045】
別の例として、前記制御手段130は、センサー手段120を通じて既定の数の電流−電圧データを得るため、二次電池110に流れる充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満、望ましくは1/6未満に減少する時点以後に、センサー手段120に測定制御信号を周期的に出力して、前記センサー手段120から近似線形方程式の算出に用いる少なくとも2つ以上の電流−電圧データを受信することができる。このように受信された2つ以上の電流−電圧データは、近似線形方程式を算出するときに用いる補間データを構成する。この方式は、上述したサンプリング方式と違って、制御手段130がセンサー手段120を用いて近似線形方程式の算出に使用する複数の電流−電圧データを直接測定する方式である。前記制御手段130は、上記のような方式で得た補間データを用いて近似線形方程式を算出することができる。
【0046】
前記制御手段130は、近似線形方程式を算出した後、算出された近似線形方程式のY切片を二次電池110の開放電圧として推定することができる。
選択的に、前記制御手段130は、開放電圧と充電状態との間の相関関係を予め定義したルックアップテーブルやルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する二次電池の充電状態をさらに推定することができる。
ここで、前記ルックアップテーブルは、実験を通じて二次電池110の開放電圧毎に充電状態を測定し、測定結果をテーブルの形態としたものである。前記ルックアップテーブルで、前記推定された開放電圧に対応する充電状態をマッピングすれば、二次電池110の充電状態を簡単に推定することができる。
前記ルックアップ関数は、実験を通じて二次電池110の開放電圧毎に充電状態を測定し、測定された開放電圧のプロファイルを関数として定義したものである。前記ルックアップ関数の入力変数及び出力変数は、それぞれ開放電圧及び充電状態である。前記ルックアップ関数の入力変数として推定された開放電圧を代入すれば、ルックアップ関数の出力値として充電状態を得ることができる。
【0047】
一方、二次電池110の充電状態は、温度に対して依存性を有する。したがって、前記ルックアップテーブルと前記ルックアップ関数に温度パラメーターをさらに追加することができる。すなわち、実験を通じてルックアップテーブルとルックアップ関数を温度毎に生成することができる。このような場合、前記センサー手段120は、二次電池110に充電電流が流れるとき、二次電池110の温度を測定して制御手段130に提供することができる。すると、制御手段130は、二次電池110の温度に対応するルックアップテーブルまたはルックアップ関数を識別し、識別されたルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて推定された開放電圧に対応する二次電池110の充電状態を推定することができる。
【0048】
一方、二次電池がダイナミックに充電される間に正極と負極との間で測定される電圧は、正極と負極の電荷累積による分極(polarization)に起因する電圧成分も含み得る。
したがって、前記分極による電圧成分を考慮して近似線形方程式のY切片を補正すれば、より正確に二次電池の開放電圧を推定することができる。
【0049】
前記二次電池のパラメーター推定装置100は、保存手段160をさらに含むことができる。前記保存手段160は、情報を記録して消去できる保存媒体であれば、その種類に特に制限がない。
一例として、前記保存手段160は、RAM、ROM、レジスタ、ハードディスク、光記録媒体、または磁気記録媒体であり得る。また、前記保存手段160は、前記制御手段130によってアクセスできるように、例えばデータバスなどを通じて前記制御手段130と接続され得る。
【0050】
また、前記保存手段160は、前記制御手段130が実行する各種制御ロジックを含むプログラム及び/または前記制御ロジックが実行されるときに発生するデータを、保存及び/または更新及び/または消去及び/または伝送する。
前記保存手段160は、論理的に2つ以上に分割でき、前記制御手段130内に含まれることを制限しない。
前記保存手段160は、前記センサー手段120が測定した複数の電流−電圧データ、近似線形方程式の算出に用いられた少なくとも2つ以上の電流−電圧データを含む補間データ、または近似線形方程式を用いて推定されたパラメーター(開放電圧及び/充電状態)を保持(maintain)することができる。
【0051】
前記制御手段130は、多様な制御ロジック及び/または計算ロジックを実行するために当業界に周知されたプロセッサ、ASIC(Application−Specific Integrated Circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含むことができる。また、前記制御ロジックがソフトウェアとして具現されるとき、前記制御手段130はプログラムモジュールの集合として具現され得る。このとき、プログラムモジュールはメモリに保存され、プロセッサによって実行され得る。前記メモリは、プロセッサの内部または外部にあり得、周知された多様な手段でプロセッサと接続され得る。また、前記メモリは保存手段160に含まれ得る。また、前記メモリはデバイスの種類に関係なく情報が保存されるデバイスを総称し、特定メモリ装置を称しない。
【0052】
また選択的に、前記二次電池のパラメーター推定装置100は、表示手段150をさらに含むことができる。前記表示手段150は、前記制御手段130が推定した二次電池140の開放電圧及び/または充電状態に関する情報をグラフィックインターフェース(文字、数字、グラフなど)で表示できるものであれば、その種類に特に制限がない。
一例として、前記表示手段150は、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、E−INKディスプレイ、フレキシブルディスプレイなどであり得る。
【0053】
前記表示手段150は前記制御手段130と直接または間接的に接続され得る。後者の方式が採択される場合、前記表示手段150は前記制御手段130が位置する領域と物理的に分離した領域に位置することができる。そして、前記表示手段150と前記制御手段130との間に第3制御手段(図示せず)が介在し、前記第3制御手段が前記制御手段130から表示手段150に表示する情報の提供を受けて表示手段150に表示することができる。そのために、前記第3制御手段と前記制御手段130とを通信線路(例えば、CNN通信網)によって接続することができる。
前記表示手段150は、必ずしも本発明による装置の内部に含まれる必要はなく、本発明による装置と接続された他の装置に含まれてもよい。このような場合、前記表示手段150と前記制御手段130とは直接接続されず、前記他の装置に含まれた制御手段を介して前記表示手段150と間接的に接続される。したがって、前記表示手段150と前記制御手段130との電気的接続は、このような間接接続方式も含むと理解せねばならない。
【0054】
前記制御手段130は、外部の制御装置と通信インターフェースを形成することができる。そして、前記通信インターフェースを通じて前記外部の制御手段に二次電池110の開放電圧及び/または充電状態に関するデータを伝送することができる。前記外部の制御手段は、電気駆動装置200のコントロールユニット230であり得る。
一例として、二次電池110が電気自動車に搭載されている場合、前記制御手段130は二次電池110の開放電圧及び/または充電状態に関するデータを、電気自動車の駆動メカニズムを統合的に制御するコントロールユニット230に伝送することができる。すると、前記コントロールユニット230は受信した二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を用いて二次電池110の充電と放電を制御し、二次電池110の使用効率を極大化することができる。
【0055】
本発明において、二次電池110は正極活物質と負極活物質を含むが、前記正極活物質は単一正極材であってもよく、2種以上の正極材が混合された混合正極材であっても良い。
後者の場合、前記混合正極材は、二次電池の電圧レベル毎に作動イオンと反応する濃度が異なるか、又は、作動電圧範囲が異なる第1正極材と第2正極材を含むことができる。
【0056】
一態様によれば、前記第1正極材は、一般化学式A[A]O2+z(AはLi、Na、及びKのうち少なくとも1つを含む;MはNi、Co、Mn、Ca、Mg、Al、Ti、Si、Fe、Mo、V、Zr、Zn、Cu、Al、Mo、Sc、Zr、Ru、及びCrから選択された少なくとも1つの元素を含む;x≧0、1≦x+y≦2、−0.1≦z≦2;x、y、z、及びMに含まれた成分の化学量論係数は化合物が電気的中性を維持するように選択される)で表されるアルカリ金属化合物であるか、又は、米国特許第6,677,082号(特許文献1)、米国特許6,680,143号(特許文献2)などに開示されたアルカリ金属化合物xLiM‐(1‐x)Li(Mは平均酸化状態3を有する少なくとも1つの元素を含む;Mは平均酸化状態4を有する少なくとも1つの元素を含む;0≦x≦1)であり得る。
【0057】
他方、前記第2正極材は、一般化学式LiFe1‐x1‐y4‐z(MはTi、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、及びAlから選択された少なくとも1つの元素を含む;MはTi、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、Al、As、Sb、Si、Ge、V、及びSから選択された少なくとも1つの元素を含む;MはFを含むハロゲン族元素から選択された少なくとも1つの元素を含む;0<a≦2、0≦x≦1、0≦y<1、0≦z<1;a、x、y、z、M、M、及びMに含まれた成分の化学量論係数は化合物が電気的中性を維持するように選択される)、または、Li(PO(MはTi、Si、Mn、Fe、Co、V、Cr、Mo、Ni、Mg、及びAlから選択された少なくとも1つの元素を含む)で表されるリチウム金属フォスフェートであり得る。
【0058】
別の態様によれば、前記第1正極材はLi[LiNiCoMn2+z](a≧0;a+b+c+d=1;b、c、及びdのうち少なくとも1つは0でない;−0.1≦z≦2)であり、前記第2正極材はLiFePO、LiMnFePO(0<x+y≦1)、またはLiFe(POであり得る。
さらに別の態様によれば、前記第1正極材及び/または前記第2正極材は、コーティング層を含むことができる。前記コーティング層は炭素層を含むか、若しくは、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、Al、As、Sb、Si、Ge、V、及びSからなる群より選択された少なくとも1つの元素を含む酸化物層またはフッ化物層を含むことができる。
【0059】
本発明において、前記第1正極材と第2正極材との混合比率は、製造しようとする二次電池の用途と性能を考慮し、二次電池110の充電状態毎に測定した放電抵抗プロファイルでコンベックス(convex)パターン(頂点を前後にして変曲点がある)が現れるか、又は、二次電池110の放電深度毎に測定した開放電圧プロファイルで少なくとも1つの変曲点が現れるように選択する。
【0060】
一実施形態として、放電出力に優れた二次電池を所望する場合、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]OとLiFePOをそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を5:5に設定することができる。
別の実施形態として、高温安全性に優れた二次電池を所望する場合、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]OとLiFePOをそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を2:8に設定することができる。
さらに別の実施形態として、製造コストが安い二次電池を所望する場合、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]OとLiFePOをそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を1:9に設定することができる。
さらに別の実施形態として、放電出力が良く高温安全性に優れた二次電池を所望する場合、[Ni1/3Mn1/3Co1/3]OとLiFePOをそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を4:6に設定することができる。
さらに別の実施形態として、重量当りの容量が大きい二次電池を所望する場合、Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]OとLiFePOをそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を9:1に設定することができる。
【0061】
上述した前記第1及び第2正極材の選択と混合比率の調節方式は、一例に過ぎない。したがって、混合正極材に与えようとする電気化学的物性の相対的加重値とバランスを考慮して前記第1及び第2正極材を適切に選択し、それぞれの正極材の混合比率を適切に設定できることは当業者にとって自明である。
【0062】
本発明において、前記混合正極材に含まれ得る正極材の数は2種に限定されない。一実施形態として、前記混合正極材は3種の相異なる正極材を含むことができ、その例としては、LiMn、Li[LiNiCoMn](a≧0;x+y+z=1;x、y、及びzのうち少なくとも1つは0でない)、及びLiFePOが含まれた混合正極材が挙げられる。さらに別の実施形態として、前記混合正極材は4種の相異なる正極材を含むことができ、その例としては、LiNiO、LiMn、Li[LiNiCoMn](a≧0;x+y+z=1;x、y、及びzのうち少なくとも1つは0でない)、及びLiFePOが含まれた混合正極材が挙げられる。
【0063】
また、混合正極材の物性を改善するために他の添加物、例えば導電材、バインダーなどを混合正極材に添加することは特に制限されない。したがって、少なくとも2つの正極材が含まれた混合正極材であれば、正極材の数と他の添加物の存在如何と関係なく、本発明の範疇に含まれると解釈することができる。
【0064】
本発明の多様な実施様態の説明において、「手段」と称した構成要素は物理的に区分される要素ではなく、機能的に区分される要素であると理解せねばならない。したがって、それぞれの構成要素は他の構成要素と選択的に統合されるか、又は、それぞれの構成要素が制御ロジックの効率的な実行のためにサブ構成要素に分割され得る。しかし、構成要素が統合または分割されても機能の同一性が認められれば、統合または分割された構成要素も本発明の範囲内に属すると解釈されねばならないことは当業者にとって自明である。
前記制御手段130の多様な制御ロジック及び/または計算ロジックは少なくとも1つが選択的に組み合わせられることで、それ自体として本発明による二次電池のパラメーター推定方法の一実施様態になり得る。
【0065】
図2は、本発明の実施形態による二次電池のパラメーター推定方法を順次示したフロー図である。
まず、段階S10において、前記制御手段130は、前記保存手段160から二次電池のパラメーターを推定するのに必要な制御ロジックを読み込んで実行する。
次いで、段階S20において、前記制御手段130は、充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が一時的に充電される間に、センサー手段120を制御して近似線形方程式の算出に使用される少なくとも2つ以上の電流−電圧データ(補間データ)を得る。
【0066】
望ましくは、前記制御手段130は、二次電池110の分極累積が緩和したときに測定された電流−電圧データを得るため、放電状態にある二次電池110の放電電流が0まで徐々に減少してから充電モードに切換したとき、センサー手段120を制御して近似線形方程式の算出に使用される少なくとも2つ以上の電流−電圧データ(補間データ)を得る。
ここで、前記制御手段130は、サンプリング方式または直接測定方式によって補間データを得る。詳しくは、上述した通りである。
望ましくは、前記補間データに含まれた電流−電圧データは、充電電流の大きさがピーク値から0に減少する間に測定された電流−電圧データであり得る。
一例として、前記補間データに含まれた電流−電圧データは、充電電流の大きさがピーク値を基準に、1/3未満、望ましくは1/6未満に低下した後に測定された電流−電圧データであり得る。勿論、電流−電圧データが測定される充電電流の大きさ条件は、二次電池の種類や性能によって変更可能である。
【0067】
次いで、制御手段130は、段階S30において、前記補間データを用いて近似線形方程式を算出する。その後、制御手段130は、段階S40において、近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する。その後、制御手段130は、段階S50において、推定された開放電圧から二次電池110の充電状態をさらに推定することができる。二次電池110の充電状態は、上述したように、ルックアップテーブルやルックアップ関数を用いて算出することができる。
【0068】
二次電池110の充電状態を推定するとき、二次電池110の温度が考慮される場合、図2のフロー図は、制御手段130がセンサー手段120を用いて二次電池110が充電される間に二次電池110の温度に関するデータを取得する段階をさらに含むことができる。二次電池110の温度が考慮される場合の前記制御手段130の動作は上述した通りである。
【0069】
また、図2のフロー図は、選択的な段階として、S60ないしS80段階のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。
すなわち、制御手段130は、段階S60において、推定された二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を保存手段160に記録することができる。また、前記制御手段130は、段階S70において、推定された二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を表示手段150を通じてグラフィックインターフェース(文字、数字、グラフなど)で出力することができる。また、前記制御手段130は推定された二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を電気駆動装置200のコントロールユニット230に伝送することができる。
【0070】
本発明において、前記制御手段130の多様な制御ロジック及び/または計算ロジックは少なくとも1つが組み合わせられ、組み合わせられた制御ロジックはコンピューター可読のコード体系に作成されてコンピューター可読の記録媒体に書き込まれ得る。
前記記録媒体は、コンピューターに含まれたプロセッサによってアクセスが可能なものであれば、その種類に特に制限がない。一例として、前記記録媒体は、ROM、RAM、レジスタ、CD−ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、及び光データ記録装置を含む群から選択された少なくとも1つを含む。
また、前記コード体系は、キャリア信号に変調されて特定時点に通信キャリアに含まれ得、ネットワークで接続されたコンピューターに分散して保存されて実行され得る。また、前記組み合わせられた制御ロジックを具現するための機能的なプログラム、コード、及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論できる。
【0071】
以下、実験例を通じて本発明をより具体的に説明する。しかし、後述される実験例は本発明の一例に過ぎないので、実験例によって本発明の範囲が限定されてはならない。
【0072】
<実験例1>
二次電池の製作
単一正極材を含む二次電池を次のような規格で製作した。
−正極材:LiCo1/3Ni1/3Mn1/3
−負極材:グラファイト
−電解質:EC(エチルカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)が3:4:3の重量比で混合された溶媒にLiPFを添加
−分離膜:両面に無機物粒子がコーティングされた多孔性ポリオレフィンフィルム
−包装材:パウチ包装材
【0073】
充放電実験
図3は、二次電池の充放電電流プロファイルと二次電池の電圧変化を測定して示したグラフである。
前記充放電電流プロファイルは、二次電池がハイブリッド自動車に使用されることを仮定して、米国のハイブリッド自動車業界で車両テストの標準として提示するLA(ロサンゼルス)ドライビングパターンをシミュレーションしたものである。
前記充放電電流プロファイルのうち、区間Aは二次電池が放電する区間、区間Bは二次電池が充電される区間、区間Cは二次電池の充電と放電が中断される区間である。区間Bの充電電流プロファイルは、ハイブリッド自動車の減速時に二次電池が回生充電される状況を示している。したがって、区間Bの充電電流プロファイルは、充電電流の大きさが0から所定のピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンを有する。充電電流の増加はブレーキが踏み込まれる(push)ときに生じ、充電電流の減少はブレーキから足を離した(pull)ときに生じる。
【0074】
図4は、二次電池が図3のB区間で充電される間に測定された二次電池の電流−電圧データを図化したグラフである。図4を参照すれば、電流−電圧データはヒステリシスループの形状を有するプロファイルとして図化され、充電電流の大きさがピーク値から0まで減少する区間で測定された電流−電圧データは、二次電池の実際の開放電圧(X表示地点)に向かって近似的に接近することが確認できる。
【0075】
<実験例2>
二次電池の製作
混合正極材を含む二次電池を次のような規格で製作した。
−正極材:LiCo1/3Ni1/3Mn1/3とLiFePOとが7:3の重量比で混合された混合正極材
−負極材:グラファイト
−電解質:EC/DMC/EMCが3:4:3の重量比で混合された溶媒にLiPFを添加
−分離膜:両面に無機物粒子がコーティングされた多孔性ポリオレフィンフィルム
−包装材:パウチ包装材
【0076】
二次電池の特性観察
二次電池の充電中には、正極材からリチウムイオンが脱離して負極材に挿入される。ところが、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3とLiFePOは、二次電池の充電電圧の変化に従ってリチウムイオンの脱離濃度が変化する。すなわち、電圧が低い充電区間ではLiFePOからリチウムイオンが脱離し、電圧が高い充電区間ではLiCo1/3Ni1/3Mn1/3からリチウムイオンが脱離する。したがって、中間電圧区間でリチウムイオンが脱離する正極材の種類がLiFePOからLiCo1/3Ni1/3Mn1/3に変わる。
このような現状の発生は、二次電池の充電過程で測定される電圧プロファイルに変曲点が生じることから間接的に確認できる。変曲点が生じる理由は、リチウムイオンの脱離反応に関わる正極材が変われば、二次電池の内部抵抗が変わって、同じ充電電流が二次電池に流れても電圧の変化幅が変わるためである。
【0077】
図5は、二次電池の充放電電流プロファイルと電圧変化プロファイルを測定して示したグラフである。
図面を参照すれば、二次電池は10〜20秒区間で放電した後、20秒から定電流で充電され、20秒から測定された電圧プロファイルで変曲点(3.35V付近)が観察される。点線プロファイルは正極材としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3のみが使用された二次電池の電圧変化プロファイルである。点線プロファイルは実線プロファイルと相当な対照を成す。
変曲点の付近では、電圧の変化率が速く変化する。したがって、変曲点付近の電圧帯域でリチウムイオンが脱離する正極材がLiFePOからLiCo1/3Ni1/3Mn1/3に変更されたと見られる。変曲点が生じる電圧帯域は、正極材を構成する正極材の種類と混合比率によっていくらでも変更され得る。
2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含む二次電池は、放電抵抗プロファイル及び開放電圧プロファイルでも独特の変化様相を呈する。
【0078】
図6及び図7は、それぞれ二次電池の充電状態毎に測定した二次電池の放電抵抗プロファイルと二次電池の放電深度(DoD;Depth of Discharge)毎に測定した開放電圧プロファイルを示したグラフである。
図面において、SOCは充電状態を、DoDは放電深度を示し、DoDは(1−SOC)に該当する。
図6を参照すれば、二次電池の内部抵抗が局所的に増加してから減少するコンベックスパターンが現れ、コンベックスパターンの頂点を前後にして2つの変曲点(点線の円を参照)が生じることが観察できる。また、図7を参照すれば、開放電圧プロファイルでも変曲点が観察できる。
このように、放電抵抗及び開放電圧プロファイルでコンベックスパターンと変曲点が観察される理由は、二次電池が充電されるとき、リチウムイオンが脱離する正極材の種類が変わりながら二次電池の内部抵抗特性が変わるためである。
【0079】
充放電実験
図8は、混合正極材を含む二次電池の充放電電流プロファイルと二次電池の電圧変化を測定したグラフである。
前記充放電電流プロファイルは、二次電池がハイブリッド自動車に使用されると仮定して、米国のハイブリッド自動車業界で車両テストの標準として提示するLAドライビングパターンをシミュレーションしたものである。
前記充放電電流プロファイルのうち、区間Aは二次電池が放電する区間、区間Bは二次電池が充電される区間、区間Cは二次電池の充電と放電が中断される休止区間である。区間Bの充電電流プロファイルは、ハイブリッド自動車の減速時に二次電池が回生充電される状況を示している。したがって、区間Bの充電電流プロファイルは、充電電流の大きさが0から所定のピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンを有する。
【0080】
図8の電圧変化を参照すれば、区間Bに対応する二次電池の電圧プロファイルで変曲点(点線の円)が観察される。したがって、区間Bで充電が行われるとき、変曲点の付近でリチウムイオンが脱離する正極材がLiFePOからLiCo1/3Ni1/3Mn1/3に変更されると見られる。
図9は、混合正極材を含む二次電池が区間Bで充電される間に測定された二次電池の電流−電圧データを図化したグラフである。図9を参照すれば、電流−電圧データはヒステリシスループの形状を有するプロファイルとして図化され、充電電流の大きさがピーク値から0まで減少する区間で測定された電流−電圧データは、二次電池の実際の開放電圧(X表示地点)に向かって近似的に接近することが確認できる。このような実験結果は、単一正極材を含む二次電池の実験結果と同じである。
【0081】
<実験例3>
本実験では、本発明によって実験例1で製作した二次電池の充電状態を推定したとき、二次電池の実測された充電状態とどれ位の誤差を有するのかを測定してみた。
図10は、近似線形方程式を算出するときに使用した2つの電流−電圧データ(補間データ)を電流−電圧プロファイル上に示した図である。1つは充電電流の大きさがピーク値から15Aまで低下したときに測定したデータであり、他の1つは電流の大きさがピーク値から5Aまで低下したときに測定したデータである。前記補間データを構成する電流−電圧データは、すべて充電電流の大きさがピーク値(65A)対比1/3未満(20A)に低下したときに測定したデータである。
【0082】
図11は、2つの電流−電圧データを用いて近似線形方程式を算出したとき、Y切片を二次電池の開放電圧として推定する概念を示したグラフである。
図12は、LAドライビングをシミュレーションした運転パターンに従って二次電池を所定時間放電(走行時)及び回生充電(制動時)させる過程を繰り返し、二次電池が回生充電される間に本発明を用いて充電状態を推定したときの正確度の程度を評価した結果を示したグラフである。
二次電池の充電状態を推定するときは、二次電池が回生充電される間に図10に示された条件に従って2つの電流−電圧データをサンプリングし、サンプリングされたデータを用いて近似線形方程式のY切片を求めて、Y切片を二次電池の開放電圧として推定し、開放電圧毎に充電状態を予め定義したルックアップテーブルを参照して推定された開放電圧に対応する充電状態をマッピングする方式で二次電池の充電状態を推定した。
【0083】
図12において、横軸は時間(分)を、縦軸は放電深度(DoD)を示す。放電深度(DoD)は(1−SOC)に該当するため、図12は充電状態の測定結果であると見做してもよい。
図12には2つのプロファイルが示されているが、三角形で示されたプロファイルは本発明によって推定された充電状態の変化を、円で示されたプロファイルは実際の充電状態の変化を示している。
図12には4つのタイムライン(縦点線)が示されているが、それぞれのタイムラインが示されたポイントで、二次電池の放電と回生充電を1時間休止させた。
【0084】
図12を参照すれば、本発明によって推定された二次電池の充電状態が実際の充電状態によく追従することが見られ、誤差も5%以内であることが確認できる。
アンペアカウンティングを通じて二次電池の充電状態を推定する場合、電流カウンティングの誤差が経時的に累積するのに対し、本発明は、誤差の累積なく、二次電池の充電状態を5%以内の誤差範囲内で比較的正確に推定できることが分かる。
以上の実験結果は、本発明による二次電池のパラメーター推定装置及び方法が、二次電池が充電及び放電するダイナミックな状況でも、二次電池の開放電圧及び/または充電状態を簡単且つ正確に推定できることを裏付けている。
【0085】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
110 二次電池
120 センサー手段
130 制御手段
150 表示手段
160 保存手段
210 負荷
220 充電ユニット
230 コントロールユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12