(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合性の、または重合した構成成分をさらに含むことを特徴とし、ここで重合した構成成分が、重合性構成成分の重合によって得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のLC媒体。
少なくとも1つの基板が光に対して透明である2つの基板および少なくとも2つの電極を有するLCセル、ならびに基板間に配置された請求項1〜7のいずれか一項に記載のLC媒体の層を含むLCディスプレイ。
負の誘電異方性を有するLC媒体および相対する基板上に配置された電極を含むVAディスプレイであることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載のLCディスプレイ。
正の誘電異方性を有するLC媒体および少なくとも1つの基板上に配置されたインターデジタル電極を含むVA−IPSディスプレイであることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載のLCディスプレイ。
2つの基板および少なくとも2つの電極を有し、ここで少なくとも1つの基板が光に対して透明であり、および少なくとも1つの基板が1つまたは2つの電極を有するLCセルを含むLCディスプレイの製造方法であって、以下のプロセスステップ:
− セルを、基板表面に対してホメオトロピック配向を採る請求項1〜7のいずれか一項に記載のLC媒体で充填すること、および任意に
− 重合性構成成分を、任意に電圧のセルへの印加を以ってまたは電場の作用の下で、重合させること
を含む、前記方法。
【背景技術】
【0002】
電気的に制御された複屈折、ECB効果またはまたDAP(配向相の変形(deformation of aligned phase))効果の原理は、1971年に初めて記載された(M.F. SchieckelおよびK. Fahrenschon, "Deformation of nematic liquid crystals with vertical orientation in electrical fields", Appl. Phys. Lett. 19 (1971), 3912)。これに、J.F. Kahn (Appl. Phys. Lett. 20 (1972), 1193)ならびにG. LabrunieおよびJ. Robert (J. Appl. Phys. 44 (1973), 4869)による研究論文が続いた。
【0003】
J. RobertおよびF. Clerc (SID 80 Digest Techn. Papers (1980), 30), J. Duchene (Displays 7 (1986), 3)およびH. Schad (SID 82 Digest Techn. Papers (1982), 244)による研究論文によって、ECB効果に基づく高度情報表示素子における使用に好適であるために、液晶相が弾性定数K
3/K
1の比率に対する高い値、光学異方性Δnに対する高い値およびΔε≦−0.5の誘電異方性に対する値を有していなければならないことが示された。ECB効果に基づく電気光学的表示素子は、ホメオトロピック端部配向(VA技術=垂直配向(
vertical
alignment))を有する。
【0004】
例えばMVA(マルチドメイン垂直配向(
multi-domain
vertical
alignment):例えばYoshide, H. et al.、研究論文3.1:"MVA LCD for Notebook or Mobile PCs ...", SID 2004 International Symposium, Digest of Technical Papers, XXXV, Book I、6〜9頁およびLiu, C.T. et al. 、研究論文15.1:"A 46-inch TFT-LCD HDTV Technology ...", SID 2004 International Symposium, Digest of Technical Papers, XXXV, Book II、750〜753頁)、PVA(パターン化垂直配向(
patterned
vertical
alignment)、例えば:Kim, Sang Soo、研究論文15.4:"Super PVA Sets New State-of-the-Art for LCD-TV", SID 2004 International Symposium, Digest of Technical Papers, XXXV, Book II、760〜763頁)、ASV(発展型スーパービュー(
advanced
super
view):例えば:Shigeta, MitzuhiroおよびFukuoka, Hirofumi、研究論文15.2:"Development of High Quality LCDTV", SID 2004 International Symposium, Digest of Technical Papers, XXXV, Book II、754〜757頁)モードにおける、いわゆるVAN(垂直配向ネマチック(
vertical
alignment
nematic))ディスプレイのような、ECB効果を使用するディスプレイは、IPS(面内切換(
in-
plane
switching))ディスプレイ(例えば:Yeo, S.D. 、研究論文15.3:"An LC Display for the TV Application", SID 2004 International Symposium, Digest of Technical Papers, XXXV, Book II、758および759頁)および長きに知られているTN(ねじれネマチック)ディスプレイに加えて、特にテレビ用途のために現在最も重要である3つのより最近のタイプの液晶ディスプレイの1つとしての地位を確立した。
【0005】
技術は、例えばSouk, Jun, SID Seminar 2004、セミナーM−6:"Recent Advances in LCD Technology", Seminar Lecture Notes、M−6/1〜M−6/26およびMiller, Ian, SID Seminar 2004、セミナーM−7:"LCD-Television", Seminar Lecture Notes、M−7/1〜M−7/32において、一般的形態において比較される。近年のECBディスプレイの応答時間は、オーバードライブを伴うアドレッシング方法によって既に著しく改善されているが、例えば:Kim, Hyeon Kyeong et al.、研究論文9.1:"A 57-in. Wide UXGA TFT-LCD for HDTV Application", SID 2004 International Symposium, Digest of Technical Papers, XXXV, Book I、106〜109頁、特にグレーシェードの切換の際のビデオ適合性(video-compatible)応答時間の達成は、尚満足に解決されていない問題である。
【0006】
異なる優先的方向の2つまたは3つ以上のドメインを有するVAディスプレイの生産には相当の努力が伴う。本発明の目的は、生産プロセスおよびディスプレイデバイス自体を、VA技術の利点、例えば比較的迅速な応答時間および良好な視野角依存性をあきらめることなく単純化することにある。
【0007】
正の誘電異方性を有するLC媒体を含むVAディスプレイは、S.H. Lee et al. Appl. Phys. Lett. (1997), 71, 2851-2853に記載されている。これらのディスプレイは、とりわけ商業的に入手できるIPS(面内切換)ディスプレイにおいて使用されているように(例えばDE 40 00 451およびEP 0 588 568に開示されているように)、基板表面上に配置されたインターデジタル(interdigital)電極(櫛形構造を有する面内アドレッシング電極配置)を使用し、液晶媒体のホメオトロピック配列を有し、それは電場の印加の際にプラナー配列に変化する。
【0008】
前述のディスプレイのさらなる開発を、例えばK.S. Hun et al. J. Appl. Phys. (2008), 104, 084515 (DSIPS: 'double-side in-plane switching' for improvements of driver voltage and transmission)、M. Jiao et al. App. Phys. Lett (2008), 92, 111101 (DFFS: 'dual fringe field switching' for improved response times)およびY.T. Kim et al. Jap. J. App. Phys. (2009), 48, 110205 (VAS: 'viewing angle switchable' LCD)中に見出すことができる。
さらに、VA−IPSディスプレイはまた、正のVAおよびHT−VAの名称の下で知られている。
【0009】
すべてのそのようなディスプレイ(以下で一般的にVA−IPSディスプレイと称する)において、配向層は、LC媒体のホメオトロピック配向のための両方の基板表面に適用されている;この層の生産は、現在まで相当な努力を伴っている。
【0010】
本発明の目的は、生産プロセス自体を、VAディスプレイ技術の利点、例えば比較的短い応答時間、良好な視野角依存性および高いコントラストをあきらめることなく単純化することにある。
【0011】
これらの効果の電気光学的ディスプレイ素子における産業的適用は、多様な要件を満たさなければならない、LC相を必要とする。特にここで重要なのは、湿気、空気、基板表面における物質ならびに物理的影響、例えば熱、赤外線、可視線および紫外線ならびに直流および交流電場に対する耐化学性である。
【0012】
さらに、産業的に使用可能なLC相は、好適な温度範囲における液晶中間相および低い粘度を有することが必要である。
VAおよびVA−IPSディスプレイは、一般的に、極めて高い比抵抗を広汎な作業温度範囲、短い応答時間および低いしきい値電圧と同時に有することが意図され、その補助によって様々なグレーシェードを発生させることができる。
【0013】
慣用のVAおよびVA−IPSディスプレイにおいて、基板表面上のポリイミド層によって、液晶のホメオトロピック配向が確実になる。ディスプレイにおける好適な配向層の生産は、相当な努力を必要とする。さらに、配向層のLC媒体との相互作用によって、ディスプレイの電気抵抗が損なわれ得る。このタイプの可能な相互作用のために、好適な液晶構成成分の数は、相当に低減される。したがって、ポリイミドなしでLC媒体のホメオトロピック配向を達成することが、所望されるであろう。
【0014】
頻繁に使用されるアクティブマトリックスTNディスプレイの欠点は、それらの比較的低いコントラスト、比較的高い視野角依存性およびこれらのディスプレイにおいてグレーシェードを創出させる困難さによる。
VAディスプレイは、著しくより良好な視野角依存性を有し、したがって主にテレビおよびモニターに使用される。
【0015】
さらなる開発は、いわゆるPS(ポリマー保持(
polymer
sustained))またはPSA(ポリマー保持配向(polymer sustained alignment))ディスプレイであり、それに対しに用語「ポリマー安定化」をまた、時々使用する。PSAディスプレイは、他のパラメーター、例えば特にコントラストの好ましい視野角依存性に対する著しい悪影響を伴わない応答時間の短縮によって識別される。
【0016】
これらのディスプレイにおいて、少量(例えば0.3重量%、典型的に<1重量%)の1種または2種以上の重合性化合物(単数または複数)を、LC媒体に加え、LCセル中への導入の後に、印加された電圧を伴う、または伴わない電極間でのUV光重合によって、通常、in situで重合させるかまたは架橋させる。反応性メソゲンまたは「RM」としても知られている重合性のメソゲン性または液晶性化合物のLC混合物への添加は、特に好適であると明らかになった。PSA技術は、現在まで負の誘電異方性を有するLC媒体のために主に使用されている。
【0017】
他に示さない限り、用語「PSA」を、以下でPSディスプレイおよびPSAディスプレイを表すものとして使用する。
【0018】
その一方で、PSA原理は、種々の古典的なLCディスプレイにおいて使用されている。したがって、例えば、PSA−VA、PSA−OCB、PSA−IPS、PSA−FFSおよびPSA−TNディスプレイが、知られている。重合性化合物(単数または複数)の重合は、好ましくは、PSA−VAおよびPSA−OCBディスプレイの場合においては印加された電圧を以って、およびPSA−IPSディスプレイの場合においては印加された電圧を以って、または以ってせずに起こる。試験セルにおいて例証することができるように、PS(A)方法の結果、セルにおける「プレチルト」がもたらされる。
【0019】
PSA−OCBディスプレイの場合において、例えば、ベント構造を、オフセット電圧が不必要であるかまたはそれを低下させることができるように安定化させることが可能である。PSA−VAディスプレイの場合において、プレチルトは、応答時間に対して正の効果を有する。標準的なMVAまたはPVA画素および電極レイアウトを、PSA−VAディスプレイに対して使用することができる。さらに、しかしながら、例えば、1つのみの構造化した電極側を以って、かつ突起部なしで成し遂げることがまた可能であり、それによって生産が著しく単純化され、同時に極めて良好な光透過と同時に極めて良好なコントラストがもたらされる。
【0020】
PSA−VAディスプレイは、例えばJP 10-036847 A、EP 1 170 626 A2、US 6,861,107、US 7,169,449、US 2004/0191428 A1、US 2006/0066793 A1およびUS 2006/0103804 A1に記載されている。PSA−OCBディスプレイは、例えばT.-J- Chen et al., Jpn. J. Appl. Phys. 45, 2006, 2702-2704およびS. H. Kim, L.-C- Chien, Jpn. J. Appl. Phys. 43, 2004, 7643-7647に記載されている。PSA−IPSディスプレイは、例えばUS 6,177,972およびAppl. Phys. Lett. 1999, 75(21), 3264に記載されている。PSA−TNディスプレイは、例えばOptics Express 2004, 12(7), 1221に記載されている。PSA−VA−IPSディスプレイは、例えばWO 2010/089092 A1に開示されている。
【0021】
上に記載されている慣用のLCディスプレイと同様に、PSAディスプレイを、アクティブマトリックスまたはパッシブマトリックスディスプレイとして動作させることができる。アクティブマトリックスディスプレイの場合において、個々のピクセルは通常、集積非線形能動素子、例えばトランジスタ(例えば薄膜トランジスタまたは「TFT」)によってアドレスされ、一方パッシブマトリックスディスプレイの場合において、個々のピクセルは通常、マルチプレックス法によってアドレスされ、両方の方法は、従来技術から知られている。
【0022】
特にモニターおよびとりわけテレビ用途のために、LCディスプレイの応答時間、ならびにコントラストおよび輝度(すなわちまた透過)の最適化が、なお求められている。PSA法は、ここに重大な利点を提供することができる。特にPSA−VAディスプレイの場合において、試験セル中で測定することができるプレチルトと相関する応答時間の短縮を、他のパラメーターに対する著しい悪影響なしに達成することができる。
【0023】
従来技術において、例えば以下の式で表される重合性化合物が、PSA−VAのために使用される:
【化1】
式中、P
1およびP
2は、例えばUS 7,169,449に記載されているように、各々重合性基、通常アクリレートまたはメタクリレート基を示す。
【0024】
ポリイミド層の製造、層の処理および突起またはポリマー層についての改善のための努力は、相対的に大きい。それゆえ、一方で生産費用を低下させ、他方で画質(視野角依存性、コントラスト、応答時間)を最適化するのを助ける単純化させる技術が、所望されるであろう。
【0025】
多面体オリゴマーシルセスキオキサン(単にシルセスキオキサン、以下でPSS)に基づくナノ粒子の補助による液晶層の自発的な水平から垂直への配向は、刊行物Shie-Chang Jeng et al. Optics Letters (2009), 34, 455-457によって報告されている。約1重量%の濃度から、事実上のホメオトロピック配向が、観察される。プレチルトは、濃度によって影響され得るに過ぎない。
【0026】
明細書US 2008/0198301 A1には、同様に配向材料としてのPSSが提案されている。自己配向がITOに対して、およびプラナー配向ポリイミドに対して機能することは、明らかである。
【0027】
切換操作の温度依存性および保護層の欠如の問題は、いずれの明細書においても述べられていない。実際に、PSSによって誘発されたホメオトロピック配向の程度が上昇する温度に伴って急速に低下することが、見出された。さらに、ポリイミド層がLC媒体の配向のみならず、電気的絶縁もまた確実にするので、保護層は特に重要である。保護層なしの場合には、ディスプレイの信頼性、例えばR−DC(「残留DC」)についての問題が出現し得る。
【0028】
SID 2010における会議ポスター(H.Y. Gim et al., P-128)には、フェネチル置換多面体オリゴマーシルセスキオキサンを、10重量%の濃度において、PSA−VAタイプの慣用の配向層のないディスプレイにおいて使用することが記載されている。負の誘電異方性を有するLC媒体は、PSSによってホメオトロピック的に配向する。しかしながら、大量のドーパントは、LC媒体の特性に対して相当な効果を有し、それゆえこのタイプのLCディスプレイのために使用することができる液晶構成成分の数は、極めて制限されている。
【0029】
長鎖アルコールは、ガラス表面上で共有結合したエーテル基のための出発物質として既に使用されており(US 4022934 Aを参照)、そこで液晶の垂直の配向が観察された。アルコールの表面への共有結合には、処理ステップにおける基板表面の前処理が必要である。
【0030】
刊行物US 3,972,589には、イミン液晶(MBBA)をガラス基板間で1〜4重量%の濃度でホメオトロピック的に配向させる長鎖カルボン酸、ニトリルおよびアミンについて報告されている。刊行物DE 2356889 A1には、このタイプのさらなる添加剤、例えば没食子酸セチルおよびレシチンについて報告されている。特許明細書US 3,848,966には、式オクタデシル−CH(COOH)
2で表される添加剤について報告されており、それは、≦0.5%の添加の際に液晶のホメオトロピックな表面配向を誘発する。
【0031】
いずれの刊行物も、誘発された配向の安定性の問題に言及していない。実際に、加熱後に、添加剤によって誘発されたホメオトロピック配向の程度が上昇する温度に伴って急速に低下することが、見出された。
それゆえ、配向層(ポリイミド層など)なしでディスプレイ適用を達成するための既存のアプローチは、未だに満足のいくものではない。
【発明の概要】
【0032】
本発明は、第1に、低分子量液晶構成成分ならびに、少なくとも1つの極性アンカー基および少なくとも8個のC原子を有する少なくとも1つの長鎖非極性ラジカルを含む1種または2種以上の有機化合物を含むLC媒体に関する。液晶構成成分またはLC媒体は、正の、または負の誘電異方性のいずれかを有することができる。本発明のLC媒体は、好ましくはネマチックである。さらに、LC媒体は任意に、重合したかまたは重合性の構成成分を含み、ここで重合した構成成分は、重合性構成成分の重合によって得られる。
【0033】
本発明はさらに、LC媒体の調製方法であって、低分子量液晶構成成分を、少なくとも1つの極性アンカー基および少なくとも8個のC原子を有する少なくとも1つの長鎖無極性ラジカルを含む1種または2種以上の有機化合物と混合し、任意に1種または2種以上の重合性化合物および任意に補助剤を加える、前記方法に関する。液晶構成成分またはLC媒体は、正の、または負の誘電異方性のいずれかを有することができる。
【0034】
本発明はさらに、2つの基板および少なくとも2つの電極、ここで少なくとも1つの基板が光に対して透明であり、ならびに基板間に位置しており、低分子量液晶構成成分および1種または2種以上の有機化合物を含み、ここで有機化合物が、それが少なくとも1つの極性アンカー基および少なくとも8個のC原子を有する少なくとも1つの長鎖非極性ラジカルを含み、基板表面に対するLC媒体のホメオトロピック(垂直)配向をもたらすのに適していることを特徴とする液晶媒体(LC媒体)の層を有する液晶セル(LCセル)を含む、液晶ディスプレイ(LCディスプレイ)に関する。
【0035】
さらに、LCディスプレイのLC媒体は、重合したか、または重合性の構成成分を任意に含み、ここで重合した構成成分は、任意に電圧のセルの電極への印加での、または他の電場の作用の下での、LCセルの基板間のLC媒体中の1種または2種以上の重合性化合物の重合によって得られる。この構成成分によって、LC媒体および特にその配向を安定化することができ、所望の「プレチルト」を任意に設定することができる。LCディスプレイを、好ましくは、それが少なくとも1つまたは2つの電極を少なくとも1つの基板上に有するように構築する。
【0036】
本発明はさらに、2つの基板および少なくとも2つの電極を有するLCセルを含み、ここで少なくとも1つの基板が光に対して透明である、好ましくはPSA−VAタイプの、LCディスプレイの製造方法であって、以下のプロセスステップ:
− セルを、有機化合物を含み、基板表面に対するLC媒体のホメオトロピック(垂直)配向をもたらすのに適している、本明細書中に、または特許請求の範囲に記載したLC媒体で充填すること、および任意に
− 任意に存在する重合性構成成分を、任意に電圧のセルの電極への印加を以って、または電場の作用の下で重合させること
を含む、前記方法に関する。
【0037】
少なくとも1つの極性アンカー基および少なくとも8個のC原子を有する少なくとも1つの長鎖非極性ラジカルを含む有機化合物(自己配向添加剤)を、液晶に溶解する。それは、基板表面(例えばガラス表面またはITOもしくはポリイミドで被覆したガラス)に対する液晶のホメオトロピック配向をもたらす。本発明のための調査を考慮すると、極性アンカー基は、基板表面と緩く相互作用すると見られる。その結果、基板表面上の有機化合物は配向し、液晶のホメオトロピック配向を誘発する。
【0038】
自己配向添加剤を、好ましくは、10重量%未満、特に好ましくは≦8重量%および極めて特に≦5重量%の濃度において使用する。それを、好ましくは、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%の濃度において使用する。0.1〜2.5重量%の自己配向添加剤の使用の結果、一般的に既に慣用のセル厚さ(3〜4μm)でLC層の完全なホメオトロピック配向がもたらされる。
極性アンカー基は、好ましくは重合性基、例えばアクリレート基を含まない。
【0039】
自己配向添加剤の極性アンカー基は、好ましくはガラスまたは金属酸化物基板表面との非共有結合的相互作用を受ける基からなる。好適な基は、N、O、SおよびPから選択された原子を有する極性の構造的要素を含む極性基である。当該基は、同時にLC媒体として使用するのに十分に安定でなければならない。さらに、それらは、LCセル中のLC媒体のVHR値(「電圧保持比」)に対して、および長期間安定性(信頼性)に対してわずかな効果を有するのみでなければならない。アンカー基は、好ましくは、1個または2個以上、好ましくは2個または3個以上のこれらのヘテロ原子を含む。
【0040】
極性アンカー基は、特に好ましくは、(N、O)から選択されたヘテロ原子を含む少なくとも2つの構造的要素ならびにヘテロ原子間の、およびヘテロ原子の1個または2個以上と式Iで表される分子の残余(アンカー基を有しない)との間の共有結合構造からなる。極性アンカー基は、好ましくは少なくとも1つのOH構造またはN原子を一級、二級または三級アミノ基中に含む。
【0041】
自己配向添加剤は、好ましくは1つまたは2つの長鎖非極性ラジカル、好ましくはこれらのラジカルの1つを有する。用語「長鎖非極性ラジカル」は、好ましくは、少なくとも8個のC原子の最長の鎖長を有する脂肪族炭化水素ラジカル、また分枝状を包含し、ここで鎖中のある官能基もまた、包含される。当該ラジカルはまた、不飽和であり得、かつ/またはハロゲン化されていてもよい(Cl、Fによって)。長鎖アルキル基中の1つまたは2つ以上の隣接しておらず、かつ末端でないCH
2基は、−O−、−(CO)−またはエステル基によって置き換えられていてもよい。さらに、1つのCH
2基は、3〜8個のC原子を有するシクロアルキレン基によって置き換えられていてもよい。
【0042】
「長鎖非極性ラジカル」は、多くとも30個のC原子を有する。最長の鎖は、20個のC原子の最大の鎖長を有する。ラジカルは、好ましくは8〜18個のC原子を有する。ラジカルは、好ましくは10〜16個のC原子を有する直鎖状アルキル鎖であり、ここで多くとも5個のC原子が、側鎖中で結合している。
【0043】
自己配向添加剤は、好ましくは、物質がより揮発性でないように、≧130g/molの相対的モル質量を有する有機化合物である。それは、特に好ましくは≧150g/molの相対的モル質量を有して、さらにより安定な自己配向効果を達成する。上限として、それは、好ましくは≦500g/molの相対的モル質量を有する。
【0044】
自己配向添加剤は、特に好ましくは、式I:
(R
1)
n−R
2
式中、
R
1は、8〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH
2基は、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−または−C≡C−によって置き換えられていてもよく、ここで1つのCH
2基は、3〜8個のC原子を有するシクロアルキレン基によって置き換えられていてもよく、およびここでさらに、1個または2個以上のH原子は、FまたはClによって置き換えられていてもよく、
R
2は、極性アンカー基を示し、ならびに
nは、1または2、好ましくは1を示す、
で表される構造を有する。
【0045】
ラジカルR
1は、好ましくは8〜20個のC原子を含む。それは、特に好ましくは環を含まず、ならびに:
R
1は、10〜18個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH
2基は、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−または−O−によって置き換えられていてもよく、およびここでさらに、1個または2個以上のH原子は、FまたはClによって置き換えられていてもよい。
【0046】
式I中のラジカルR
2は、例えばアルコール、一級、二級および三級アミン、ケトン、カルボン酸、チオール、エステルおよび(チオ)エーテル、ならびにそれらの組み合わせを包含する。ここでの構造は、直鎖状、分枝状、環状またはそれらの組み合わせであり得る。
【0047】
上記の式中の基R
2は、好ましくは式(A1)
−Sp−[X
2−Z
3−]
kX
1 (A1)
で表される基を包含し、
式中、
Spは、単結合または、式Mに対して以下に定義されるSp
aと同様に定義されたスペーサー基、好ましくは以下で式Mに対して定義される、スペーサー基Sp’’−X’’を示し、これは基X’’を介してラジカルR
1に結合しており、ここでSp’’は、極めて特に単結合または1〜12個のC原子を有するアルキレンを示し、
X
1は、基−NH
2、−NHR
11、−NR
112、−OR
11、−OH、−(CO)OHまたは式
【化2】
で表される基を示し、
R
0は、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
【0048】
X
2は、各場合において独立して−NH−、−NR
11−、−O−または単結合を示し、
Z
3は、各場合において独立して、1〜15個のC原子を有するアルキレン基、5個もしくは6個のC原子を有する炭素環、または1つもしくは2つ以上の環およびアルキレン基の組み合わせを示し、その各々において、水素は、−OH、−OR
11、−(CO)OH、−NH
2、−NHR
11、−NR
112またはハロゲン(好ましくはF、Cl)によって置き換えられていてもよく、
【0049】
R
11は、各場合において独立して、1〜15個のC原子を有するハロゲン化された、または非置換のアルキルラジカルを示し、ここでさらに、このラジカル中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、各々、互いに独立して、−C≡C−、−CH=CH−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、およびここで2つのラジカルR
11は、互いに結合して環を形成してもよく、あるいはHを示し、ならびに
kは、0〜3を示す。
【0050】
上記の式中の基R
2は、特に好ましくは従属式(A2)
【化3】
式中、
Sp、X
1、X
2およびR
11は、R
2(式A1)について上に定義した通りであり、ならびに
nは、1、2または3を示す、
で表される(N/O)ヘテロ原子含有基を包含する。
基R
2は、特に好ましくは式(A1)または(A2)で表される正確に1つの基を示す。
【0051】
特に好ましい窒素非含有基R
2は、−NH
2、−NH−(CH
2)
n3H、−(CH
2)
n−NH
2、−(CH
2)
n−NH−(CH
2)
n3H、−NH−(CH
2)
n−NH
2、−NH−(CH
2)
n−NH−(CH
2)
n3H、−(CH
2)
n1−NH−(CH
2)
n2−NH
2、−(CH
2)
n1−NH−(CH
2)
n2−NH−(CH
2)
n3H、−O−(CH
2)
n−NH
2、−(CH
2)
n1−O−(CH
2)
n−NH
2、−(CH
2)
n1−NH−(CH
2)
n2−OH、−O−(CH
2)
n1−NH−(CH
2)
n2−NH
2、−O−(CH
2)
n1−NH−(CH
2)
n2−OH、−(CH
2)
n1−NH−(CH
2)
n2−NH−(CH
2)
n3Hから選択され、
式中、n、n1、n2およびn3は、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12、特に1、2、3または4を示す。
【0052】
高度に極性の液晶媒体へのより良好な可溶性のために、基−OHおよび−NH
2が、特に好ましい。アンカー基中の酸素含有官能の中で、OH基は、高いアンカー力のために官能−O−、−(CO)−または−(CO)O−に対して好ましい。複数のヘテロ原子(N、O)を含む基は、アンカー基としての特別の強度を有する。それらを、より低い濃度で使用することができる。
【0053】
特に好ましい窒素非含有基R
2は、
−OH、−(CH
2)
n−OH、−O−(CH
2)
n−OH、−[O−(CH
2)
n1−]
n2−OH、−(CO)OH、−(CH
2)
n−(CO)OH、−O−(CH
2)
n−(CO)OHまたは−[O−(CH
2)
n1−]
n2−(CO)OH
から選択され、
ここでn、n1およびn2は、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12、特に1、2、3または4を示す。
本発明の文脈における「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素または塩素を表す。
【0054】
式Iで表される特に好ましい化合物は、以下の例示的な化合物から選択され、それは同時に、自己配向添加剤の特に好ましい基R
1およびR
2を表す:
【化4】
【0062】
本発明のさらなる好ましい態様において、極性アンカー基を含む有機化合物または、極性アンカーに加えて1つまたは2つ以上の重合性基をさらなる官能化として含む式Iで表される化合物を、使用する(以下の基P
aまたはP
bを比較されたい)。好ましい重合性基は、例えばアクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニルオキシまたはエポキシド基などの基、特に好ましくはアクリレートおよびメタクリレートである。式Iで表される化合物の重合における包含によって、化合物が永久に固定され、それらに官能を保持せしめる。
【0063】
本発明のLCディスプレイの利点は、ディスプレイが所望のホメオトロピック配向を、慣用のポリイミド配向層なしに達成することである。LCディスプレイの製造は、このようにしてかなり単純化される。この配向はまた、一般的に高い温度で保持される。
【0064】
ポリマー安定化によって、ホメオトロピック配向がさらに安定化される;それゆえ、電気光学的切換の改善された温度安定性が、達成される。ホメオトロピック配向はまた、媒体の動作範囲内の高い温度(例えば70℃)で保持される。ホメオトロピック配向の長期間安定性もまた、重合性構成成分によって改善される。透明点より高温に多数日加熱した結果、高温においてでさえも、前配向(pre-alignment)の変化はもたらされない。本発明のポリマー安定化ディスプレイは、改善された応答時間(電圧の印加を伴う重合によるプレチルト角度)およびより良好なコントラスト比(コントラストの温度依存性)によって識別される。好ましく存在する重合した構成成分は、同時に保護層としての役割を果たすことができ、それによって電極表面を液晶媒体から分離するため、ディスプレイの信頼性が増大する。
【0065】
相対的に少量であるため、自己配向添加剤または式Iで表される化合物は、LC媒体の特性に対する影響を事実上有しない。したがって、広範囲の液晶構成成分をLCディスプレイにおいて使用することが、可能である。
【0066】
それゆえ本発明のLCディスプレイは、好ましくはホメオトロピック配向のための配向層をLCセルの表面上に有せず、すなわちそれらはポリイミドフリーである。LCディスプレイがそれにもかかわらず一方または両方の側において配向層を有する場合において、これらは、好ましくはポリイミドからなる。配向層は、好ましくはラビングされない。それゆえ、現在まで必要であった配向層のラビング、生産における特に時間を消費するステップは、不必要である。ラビングしていないポリイミド層は、それでもなお保護層として作用することができる。
【0067】
特定の態様において、本発明のLCディスプレイは、負の誘電異方性(Δε≦−1.5)を有するLC媒体を使用する。対応する液晶媒体は、同様に好ましい。一般的に、ディスプレイは、LCセルの対向する側上に配置された電極を有する、好ましくはそれらが基板表面に対して主に垂直に配向した電場を発生することができるように配置された電極を有するVAディスプレイである。使用する典型的な基板は、VANモードおよびPSA−VAから使用されるものである(電極の構築は、したがって可能である)。
【0068】
特定の態様において、本発明のLCディスプレイは、正の誘電異方性(Δε≧1.5)を有するLC媒体を使用する。対応する液晶媒体は、同様に好ましい。一般的に、ディスプレイは、LCセルの一方の側上に配置された電極を有する、好ましくはそれらが基板表面に対して主に平面状に配向した電場を発生することができるように配置された電極、例えばインターデジタル(interdigital)電極(櫛形状構造を有する面内アドレッシング電極配置)を有するVA−IPSディスプレイである。
【0069】
LCディスプレイには、1つまたは2つ以上の偏光子(単数または複数)が慣用の方式で提供され、それによって、LC媒体切換操作が可視的になる。
【0070】
LCセル(ポリマー)の重合した構成成分は、重合性構成成分(モノマー)の重合によって得られる。一般的に、モノマーを、先ずLC媒体に溶解し、LC媒体のホメオトロピック配向または高いチルト角が確立された後にLCセル中で重合させる。所望の配向を支持するために、電圧をLCセルに印加することができる。最も単純な場合において、そのような電圧は不必要であり、所望の配向を、単にLC媒体の性質およびセル形状によって確立する。
【0071】
LC媒体の好適なモノマー(重合性構成成分)は、PSA−VAディスプレイのために使用する従来技術からのもの、特に以下に述べる式Mおよび/または式M1〜M22で表される重合性化合物である。PSAディスプレイにおいて使用する本発明のLC媒体は、好ましくは、<5重量%、特に好ましくは<1重量%および極めてに特に好ましくは<0.5重量%の重合性化合物、特に以下に述べる式で表される重合性化合物を含む。適切な効果を達成するために、0.2重量%以上を、好ましくは使用する。最適な量は、層厚さに依存する。
【0072】
LC媒体の重合性構成成分の好適なモノマーを、以下の式Mによって記載する:
P
a−(Sp
a)
s1−A
2−(Z
1−A
1)
n−(Sp
b)
s2−P
b M
式中、個々のラジカルは、以下の意味を有する:
P
a、P
bは、各々、互いに独立して重合性基を示し、
Sp
a、Sp
bは、各出現において同一に、または異なってスペーサー基を示し、
s1、s2は、各々、互いに独立して0または1を示し、
【0073】
A
1、A
2は、各々、互いに独立して以下の群から選択されたラジカルを示し:
a) トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンおよび4,4’−ビシクロヘキシレンからなる群、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH
2基は、−O−または−S−によって置き換えられていてもよく、およびここでさらに、1個または2個以上のH原子は、Fによって置き換えられていてもよい、
b) 1,4−フェニレンおよび1,3−フェニレンからなる群、ここでさらに、1つまたは2つのCH基は、Nによって置き換えられていてもよく、およびここでさらに、1個または2個以上のH原子は、Lによって置き換えられていてもよい、
c) テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロフラン−2,5−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイルおよびセレノフェン−2,5−ジイルからなる群、その各々はまた、Lによって単置換または多置換されていてもよい、
【0074】
d)5〜20個の環状C原子を有し、その1個または2個以上がさらにヘテロ原子によって置き換えられていてもよい、飽和の、部分的に不飽和の、または完全に不飽和の、および任意に置換された多環式ラジカルからなる群、好ましくはビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【化12】
からなる群から選択され、
【0075】
ここでさらに、これらのラジカル中の1個もしくは2個以上のH原子は、Lによって置き換えられていてもよく、かつ/または1つもしくは2つ以上の二重結合は、単結合によって置き換えられていてもよく、かつ/または1つもしくは2つ以上のCH基は、Nによって置き換えられていてもよい、
【0076】
nは、0、1、2または3を示し、
Z
1は、各場合において互いに独立して−CO−O−、−O−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−または−(CH
2)
n−、式中nは2、3または4である、−O−、−CO−、−C(R
cR
d)−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−または単結合を示し、
【0077】
Lは、各出現において同一に、または異なって、F、Cl、CN、SCN、SF
5または直鎖状もしくは分枝状の、各場合において任意にフッ素化された、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシを示し、
R
0、R
00は、各々、互いに独立して、H、Fまたは1〜12個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルを示し、ここでさらに、1個または2個以上のH原子は、Fによって置き換えられていてもよく、
Mは、−O−、−S−、−CH
2−、−CHY
1−または−CY
1Y
2−を示し、
【0078】
Y
1およびY
2は、各々、互いに独立して、R
0について上に示した意味の1つを有するか、またはClもしくはCN、および好ましくはH、F、Cl、CN、OCF
3またはCF
3を示し、
W
1、W
2は、各々、互いに独立して−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−C(R
cR
d )−または−O−を示し、ならびに
R
cおよびR
dは、各々、互いに独立して、Hまたは1〜6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチルまたはエチルを示す。
【0079】
重合性基P
a,bは、重合反応、例えば遊離基またはイオン性連鎖重合、重付加もしくは重縮合、またはポリマー類似反応、例えば主なポリマー鎖上への付加もしくは縮合に適している基である。特に好ましいのは、連鎖重合のための基、特にC=C二重結合または−C≡C−三重結合を含むもの、および開環を伴う重合に適している基、例えばオキセタンまたはエポキシド基である。
【0080】
好ましい基P
a,bは、
【化13】
からなる群から選択され、
【0081】
式中、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、F、ClまたはCH
3を示し、W
2およびW
3は、各々、互いに独立してHまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルを示し、W
4、W
5およびW
6は、各々、互いに独立してCl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを示し、W
7およびW
8は、各々、互いに独立してH、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを示し、Pheは、1,4−フェニレンを示し、それは、P−Sp−以外である上に定義した1つまたは2つ以上のラジカルLによって任意に置換されており、k
1、k
2およびk
3は、各々、互いに独立して0または1を示し、k
3は、好ましくは1を示し、およびk
4は、1〜10の整数を示す。
【0082】
特に好ましい基P
a,bは、
【化14】
からなる群から選択され、
【0083】
式中、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、F、ClまたはCH
3を示し、W
2およびW
3は、各々、互いに独立してHまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルを示し、W
4、W
5およびW
6は、各々、互いに独立してCl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを示し、W
7およびW
8は、各々、互いに独立してH、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを示し、Pheは、1,4−フェニレンを示し、k
1、k
2およびk
3は、各々、互いに独立して0または1を示し、k
3は、好ましくは1を示し、k
4は、1〜10の整数を示す。
【0084】
極めて特に好ましい基P
a,bは、CH
2=CW
1−CO−O−、特にCH
2=CH−CO−O−、CH
2=C(CH
3)−CO−O−およびCH
2=CF−CO−O−、さらに
【化15】
からなる群から選択される。
【0085】
それゆえ極めて特に好ましい基P
a,bは、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、さらにビニルオキシ、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド基からなる群から選択され、これらの中で、好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基である。
【0086】
好ましいスペーサー基Sp
a,bは、式Sp’’−X’’から選択され、したがってラジカルP
a/b−Sp
a/b−は、式P
a/b−Sp’’−X’’−に適合し、ここで、
Sp’’は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキレンを示し、それは、任意にF、Cl、Br、IまたはCNによって単置換または多置換されており、およびここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH
2基は、各々、互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−N(R
0)−、−Si(R
00R
000)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−N(R
00)−CO−O−、−O−CO−N(R
00)−、−N(R
00)−CO−N(R
00)−、−CH=CH−または−C≡C−によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、
【0087】
X’’は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R
00)−、−N(R
00)−CO−、−N(R
00)−CO−N(R
00)−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
2=CY
3−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合を示し、
【0088】
R
00およびR
000は、各々、互いに独立してHまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ならびに
Y
2およびY
3は、各々、互いに独立してH、F、ClまたはCNを示す。
X’は、好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−または単結合である。
【0089】
典型的なスペーサー基Sp’’は、例えば−(CH
2)
p1−、−(CH
2CH
2O)
q1−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
00R
000−O)
p1−であり、ここでp1は1〜12の整数であり、q1は1〜3の整数であり、およびR
00およびR
000は上に示した意味を有する。
【0090】
特に好ましい基−Sp’’−X’’−は、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−O−CO−、−(CH
2)
p1−O−CO−O−であり、式中p1およびq1は、上に示した意味を有する。
【0091】
特に好ましい基Sp’’は、例えば、各場合において直鎖状エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0092】
特に好ましいモノマーは、以下のものである:
【化16】
【0096】
式中、個々のラジカルは、以下の意味を有する:
P
1およびP
2は、各々、互いに独立して式Iについて定義した重合性基、好ましくはアクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニルオキシまたはエポキシド基を示し、
【0097】
Sp
1およびSp
2は、各々、互いに独立して、好ましくはSp
aについて本明細書中に示した意味の1つを有する単結合またはスペーサー基、および特に好ましくは−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−CO−O−または−(CH
2)
p1−O−CO−O−を示し、式中、p1は1〜12の整数であり、およびここで、最後に述べた基における隣接する環への結合は、O原子を介して起こり、
ここでさらに、ラジカルP
1−Sp
1−およびP
2−Sp
2−の1つまたは2つ以上は、ラジカルR
aaを示してもよく、ただし存在するラジカルP
1−Sp
1−およびP
2−Sp
2−の少なくとも一方は、R
aaを示さず、
【0098】
R
aaは、H、F、Cl、CNまたは1〜25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH
2基は、各々、互いに独立して、C(R
0)=C(R
00)−、−C≡C−、−N(R
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、およびここでさらに、1個または2個以上のH原子は、F、Cl、CNまたはP
1−Sp
1−、特に好ましくは1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状の、任意に一フッ素化または多フッ素化されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシよって置き換えられていてもよく(ここでアルケニルおよびアルキニルラジカルは、少なくとも2個のC原子を有し、分枝状ラジカルは、少なくとも3個のC原子を有する)、
【0099】
R
0、R
00は、各々、互いに独立してHまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
R
yおよびR
zは、各々、互いに独立してH、F、CH
3またはCF
3を示し、
Z
1は、−O−、−CO−、−C(R
yR
z )−または−CF
2CF
2−を示し、
Z
2およびZ
3は、各々、互いに独立して−CO−O−、−O−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−または−(CH
2)
n−を示し、式中nは2、3または4であり、
【0100】
Lは、各出現において同一に、または異なって、F、Cl、CN、SCN、SF
5または1〜12個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状の、任意に一フッ素化もしくは多フッ素化されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、好ましくはFを示し、
【0101】
L’およびL’’は、各々、互いに独立してH、FまたはClを示し、
rは、0、1、2、3または4を示し、
sは、0、1、2または3を示し、
tは、0、1または2を示し、ならびに
xは、0または1を示す。
【0102】
LC媒体または重合性構成成分は、好ましくは、式M1〜M21からなる群から選択された、特に好ましくは式M2〜M15からなる群から選択された、極めて特に好ましくは式M2、M3、M9、M14およびM15からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
LC媒体または重合性構成成分は、好ましくは、式M10で表され、式中Z
2およびZ
3が−(CO)O−または−O(CO)−を示す化合物を含まない。
【0103】
PSAディスプレイの製造のために、重合性化合物を、LCディスプレイの基板間のLC媒体中でのin-situ重合によって、任意に電圧の印加を以って重合させるかまたは架橋させる(重合性化合物が2つまたは3つ以上の重合性基を含む場合)。重合を、ワンステップで行うことができる。また、先ず重合を第1のステップにおいて電圧の印加を以って実行してプレチルト角を生じせしめ、その後第2の重合ステップにおいて、第1のステップにおいて完全に反応していない化合物を、印加した電圧を以ってせずに重合させるかまたは架橋させる(「最終的な硬化」)ことが、可能である。
【0104】
好適かつ好ましい重合方法は、例えば熱重合または光重合、好ましくは光重合、特にUV光重合である。1種または2種以上の開始剤もまた、任意にここで加えることができる。重合のための好適な条件ならびに開始剤の好適なタイプおよび量は、当業者に知られており、文献に記載されている。フリーラジカル重合に好適なのは、例えば商業的に入手できる光開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba AG)である。開始剤を使用する場合には、その比率は、好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜1重量%である。
【0105】
芳香環を含む重合性化合物(特に式M1〜M15を参照)はまた、開始剤なしの重合に適しており、それはかなりの利点、例えばより低い材料費用および、特に可能な残留量の開始剤またはその分解産物によるLC媒体の低減された汚染を伴う。それゆえ重合をまた、開始剤なしで行うことができる。それゆえLC媒体は、好ましい態様において、重合開始剤を含まない。
【0106】
重合性構成成分またはLC媒体はまた、1種または2種以上の安定剤を含んで、RMの、例えば貯蔵または輸送中の所望されない自発的な重合を防止してもよい。安定剤の好適なタイプおよび量は、当業者に知られており、文献に記載されている。特に好適なのは、例えばIrganox(登録商標)シリーズ(Ciba AG)からの商業的に入手できる安定剤、例えばIrganox(登録商標)1076である。安定剤を使用する場合には、RMまたは重合性構成成分の合計量を基準としたそれらの比率は、好ましくは10〜10,000ppm、特に好ましくは50〜500ppmである。
【0107】
上に記載した添加剤および任意の重合性化合物(RM)に加えて、本発明のLCディスプレイにおいて使用するためのLC媒体は、1種または2種以上、好ましくは2種または3種以上の低分子量(すなわちモノマーまたは重合していない)化合物を含むLC混合物(「ホスト混合物」)を含む。後者は、重合性化合物の重合のために使用する条件下での重合反応に対して安定であるかまたは非反応性である。原則として、好適なホスト混合物は、慣用のVAおよびVA−IPSディスプレイにおける使用に適しているあらゆる誘電的に負の、または正のLC混合物である。
【0108】
好適なLC混合物は、当業者に知られており、文献に記載されている。負の誘電異方性を有するVAディスプレイのためのLC媒体は、EP 1 378 557 A1に記載されている。
LCDおよびとりわけIPSディスプレイに適している、正の誘電異方性を有する好適なLC混合物は、例えば、JP 07-181 439 (A)、EP 0 667 555、EP 0 673 986、DE 195 09 410、DE 195 28 106、DE 195 28 107、WO 96/23 851およびWO 96/28 521から知られている。
【0109】
本発明の負の誘電異方性を有する液晶媒体の好ましい態様を、以下に示す:
a) 式A、BおよびCで表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体
【化20】
式中、
R
2A、R
2BおよびR
2Cは、各々、互いに独立してH、15個までのC原子を有し、非置換であるか、CNもしくはCF
3によって単置換されているか、またはハロゲンによって少なくとも単置換されているアルキルラジカルを示し、ここでさらに、これらのラジカル中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、
【化21】
によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、
【0110】
L
1〜4は、各々、互いに独立してF、Cl、CF
3またはCHF
2を示し、
Z
2およびZ
2’は、各々、互いに独立して単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−を示し、
pは、1または2を示し、
qは、0または1を示し、ならびに
vは、1〜6を示す。
【0111】
式AおよびBで表される化合物において、Z
2は、同一であるかまたは異なる意味を有することができる。式Bで表される化合物において、Z
2およびZ
2’は、同一であるかまたは異なる意味を有することができる。
式A、BおよびCで表される化合物において、R
2A、R
2BおよびR
2Cは、各々好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキル、特にCH
3、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、n−C
5H
11を示す。
【0112】
式AおよびBで表される化合物において、L
1、L
2、L
3およびL
4は、好ましくはL
1=L
2=FおよびL
3=L
4=F、さらにL
1=FおよびL
2=Cl、L
1=ClおよびL
2=F、L
3=FおよびL
4=Cl、L
3=ClおよびL
4=Fを示す。式AおよびB中のZ
2およびZ
2’は、好ましくは各々、互いに独立して単結合、さらに−C
2H
4−架橋を示す。
【0113】
式BにおいてZ
2=−C
2H
4−である場合には、Z
2’は、好ましくは単結合であるか、またはZ
2’ =−C
2H
4−である場合には、Z
2は、好ましくは単結合である。式AおよびBで表される化合物において、(O)C
vH
2v+1は、好ましくはOC
vH
2v+1、さらにC
vH
2v+1を示す。式Cで表される化合物において、(O)C
vH
2v+1は、好ましくはC
vH
2v+1を示す。式Cで表される化合物において、L
3およびL
4は、好ましくは各々Fを示す。
【0114】
式A、BおよびCで表される好ましい化合物を、以下に示す:
【化22】
【0121】
【化29】
式中、AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示す。
【0122】
本発明の特に好ましい混合物は、式A−2、A−8、A−14、A−29、A−35、B−2、B−11、B−16およびC−1で表される1種または2種以上の化合物を含む。
式Aおよび/またはBで表される化合物の全体としての混合物中における比率は、好ましくは少なくとも20重量%である。
【0123】
本発明の特に好ましい媒体は、式C−1で表される少なくとも1種の化合物を、好ましくは>3重量%、特に>5重量%および特に好ましくは5〜25重量%の量で含む。
【0124】
b) 以下の式で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化30】
式中、個々のラジカルは、以下の意味を有する:
【化31】
は、
【化32】
を示し、
【化33】
は、
【化34】
を示し、
【0125】
R
3およびR
4は、各々、互いに独立して1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここでさらに1つまたは2つの隣接していないCH
2基は、−O−、−CH=CH−、−CO−、−O−CO−または−CO−O−によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、
Z
yは、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CH−CH
2O−または単結合、好ましくは単結合を示す。
【0126】
式ZKで表される化合物は、好ましくは以下の従属式からなる群から選択される:
【化35】
【0127】
式中、AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、ならびにAlkenylおよびAlkenyl *は、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示す。Alkenylは、好ましくはCH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を示す。
【0128】
c) 以下の式で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化36】
式中、個々のラジカルは、各出現において同一に、または異なって以下の意味を有する:
R
5およびR
6は、各々、互いに独立してR
3/4に対して上に示した意味の1つを有し、
【0129】
【化37】
は、
【化38】
を示し、
【化39】
は、
【化40】
を示し、
eは、1または2を示す。
【0130】
式DKで表される化合物は、好ましくは以下の従属式からなる群から選択される:
【化41】
【0132】
式中、AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、ならびにAlkenylおよびAlkenyl *は、各々、互いに独立して2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示す。AlkenylおよびAlkenyl *は、好ましくはCH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を示す。
【0133】
d) 以下の式で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化43】
式中、個々のラジカルは、以下の意味を有する:
【化44】
は、
【化45】
を示し、
【0134】
fは、0または1を示し、
R
1およびR
2は、各々、互いに独立して1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つの隣接していないCH
2基は、−O−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CO−、−O(CO)−または−(CO)O−によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、
【0135】
Z
xおよびZ
yは、各々、互いに独立して−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CH−CH
2O−または単結合、好ましくは単結合を示し、
L
1およびL
2は、各々、互いに独立してF、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を示す。
【0136】
好ましくは、ラジカルL
1およびL
2の両方はFを示すか、またはラジカルL
1およびL
2の一方はFを示し、他方はClを示す。
【0137】
式LYで表される化合物は、好ましくは以下の従属式からなる群から選択される:
【化46】
【0141】
式中、R
1は上に示した意味を有し、Alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、(O)は酸素原子または単結合を示し、vは1〜6の整数を示す。R
1は、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル、特にCH
3、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、n−C
5H
11、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を示す。
【0142】
e) 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化50】
式中、alkylはC
1〜6アルキルを示し、L
xはHまたはFを示し、XはF、Cl、OCF
3、OCHF
2またはOCH=CF
2を示す。特に好ましいのは、式G1で表され、式中XがFを示す化合物である。
【0143】
f) 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化51】
【0146】
式中、R
5はR
1について上に示した意味の1つを有し、alkylはC
1〜6アルキルを示し、dは0または1を示し、ならびにzおよびmは各々、互いに独立して1〜6の整数を示す。これらの化合物中のR
5は、特に好ましくはC
1〜6アルキルもしくはアルコキシまたはC
2〜6アルケニルであり、dは好ましくは1である。本発明のLC媒体は、好ましくは前述の式で表される1種または2種以上の化合物を≧5重量%の量で含む。
【0147】
g) 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上のビフェニル化合物をさらに含むLC媒体:
【化54】
【0148】
式中、AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、ならびにAlkenylおよびAlkenyl *は、各々、互いに独立して2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示す。AlkenylおよびAlkenyl *は、好ましくはCH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を示す。
【0149】
式B1〜B3で表されるビフェニルのLC混合物中の比率は、好ましくは少なくとも3重量%、特に≧5重量%である。
式B2で表される化合物が、特に好ましい。
【0150】
式B1〜B3で表される化合物は、好ましくは以下の従属式からなる群から選択される:
【化55】
式中、Alkyl*は、1〜6個のC原子を有するアルキルラジカルを示す。本発明の媒体は、特に好ましくは式B1aおよび/またはB2cで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0151】
h) 以下の式で表される1種または2種以上のターフェニル化合物をさらに含むLC媒体:
【化56】
式中、R
5およびR
6は、各々、互いに独立してR
1に対して上に示した意味の1つを有し、ならびに
【0152】
【化57】
は、各々、互いに独立して
【化58】
を示し、
式中、L
5はFまたはCl、好ましくはFを示し、およびL
6はF、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2、好ましくはFを示す。
【0153】
式Tで表される化合物は、好ましくは以下の従属式からなる群から選択される:
【化59】
【0157】
式中、Rは、1〜7個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルコキシラジカルを示し、R*は、2〜7個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示し、(O)は、酸素原子または単結合を示し、ならびにmは、1〜6の整数を示す。R*は、好ましくはCH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を示す。
【0158】
Rは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを示す。
本発明のLC媒体は、好ましくは、式Tおよびその好ましい従属式で表されるターフェニルを0.5〜30重量%、特に1〜20重量%の量で含む。
【0159】
特に好ましいのは、式T1、T2、T3およびT21で表される化合物である。これらの化合物中で、Rは、好ましくは、各々1〜5個のC原子を有するアルキル、さらにアルコキシを示す。
ターフェニルを、好ましくは、混合物のΔn値が≧0.1とすべき場合に本発明の混合物中で使用する。好ましい混合物は、2〜20重量%の好ましくは化合物T1〜T22の群から選択された式Tで表される1種または2種以上のターフェニル化合物を含む。
【0160】
i) 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化63】
【0162】
式中、R
1およびR
2は、式LYについて上に示した意味を有し、好ましくは各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルを示す。
【0163】
好ましい媒体は、式O1、O3およびO4から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0164】
k) 以下の式:
【化65】
式中、
【化66】
は、
【化67】
を示し、
【0165】
R
9はH、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を示し、(F)は任意のフッ素置換基を示し、qは1、2または3を示し、R
7はR
1に対して示した意味の1つを有する、
で表される1種または2種以上の化合物を、好ましくは>3重量%、特に≧5重量%および極めて特に好ましくは5〜30重量%の量でさらに含む、LC媒体。
【0166】
式FIで表される特に好ましい化合物は、以下の従属式からなる群から選択される:
【化68】
【0168】
式中、R
7は、好ましくは直鎖状アルキルを示し、およびR
9は、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を示す。特に好ましいのは、式FI1、FI2およびFI3で表される化合物である。
【0169】
m) 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化70】
式中、R
8は、式LYに対してR
1に対して示した意味を有し、Alkylは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示す。
【0170】
n) テトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含む1種または2種以上の化合物、例えば以下の式からなる群から選択された化合物をさらに含むLC媒体:
【化71】
【0171】
【化72】
式中、R
10およびR
11は、各々、互いに独立して、式LYについてR
1について示した意味の1つを有し、好ましくは1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルもしくはアルコキシまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルを示し、Z
1およびZ
2は、各々、互いに独立して−C
2H
4−、−CH=CH−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CH−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CO−O−、−O−CO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH
2−または単結合を示す。
【0172】
o) 以下の式:
【化73】
式中、R
10およびR
11は、各々、互いに独立して式LY中のR
1に対して上に示した意味を有し、cは、0または1を示す、
で表される1種または2種以上のジフルオロジベンゾクロマンおよび/またはクロマンを、好ましくは3〜20重量%の量で、特に3〜15重量%の量でさらに含むLC媒体。
【0173】
式BCおよびCRで表される特に好ましい化合物は、以下の従属式からなる群から選択される:
【化74】
【0176】
式中、AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、AlkenylおよびAlkenyl *は、各々、互いに独立して2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示す。AlkenylおよびAlkenyl *は、好ましくはCH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を示す。
【0177】
極めて特に好ましいのは、式BC2で表される1種、2種または3種の化合物を含む混合物である。
【0178】
p) 以下の式で表される1種または2種以上のフッ素化されたフェナントレンおよび/またはジベンゾフランをさらに含むLC媒体:
【化77】
式中、R
11およびR
12は、各々、互いに独立して式LY中のR
1に対して上に示した意味を有し、bは0または1を示し、LはFを示し、rは1、2または3を示す。
【0179】
式PHおよびBFで表される特に好ましい化合物は、以下の従属式からなる群から選択される:
【化78】
式中、RおよびR’は、各々、互いに独立して1〜7個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルコキシラジカルを示す。
【0180】
本発明の液晶混合物は、≦−1.5の誘電異方性(Δε)を有して誘電的に負である。式IIIA、IIIB、IIIC、LY1〜LY18、Y1〜Y16、T1〜T24、FI、VK1〜VK4、N1〜N10、BC、CR、PHおよびBFで表される化合物は、誘電的に負の構成成分として好適である。誘電的に負の化合物は、好ましくは式IIIA、IIIBおよびIIICから選択される。LC媒体は、好ましくは−1.5〜−8.0、特に−2.5〜−6.0のΔεを有する。
【0181】
液晶混合物中における複屈折Δnの値は、一般的に0.07〜0.16、好ましくは0.08〜0.12である。重合前の20℃での回転粘度γ
1は、好ましくは≦165mPa・s、特に≦140mPa・sである。
【0182】
本発明の正の誘電異方性を有する液晶媒体の好ましい態様を、以下に示す:
− 式IIおよび/またはIIIで表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化79】
式中、
環Aは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを示し、
aは、0または1であり、
【0183】
R
3は、各場合において互いに独立して、1〜9個のC原子を有するアルキルまたは2〜9個のC原子を有するアルケニル、好ましくは2〜9個のC原子を有するアルケニルを示し、ならびに
R
4は、各場合において互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非置換であるかまたはハロゲン化されたアルキルラジカルを示し、ここでさらに、1つまたは2つの隣接していないCH
2基は、−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−(CO)−、−O(CO)−または−(CO)O−によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、および好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキルまたは2〜9個のC原子を有するアルケニルを示す。
【0184】
式IIで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化80】
【0185】
式中、R
3aおよびR
4aは、各々、互いに独立してH、CH
3、C
2H
5またはC
3H
7を示し、「alkyl」は、1〜8個、好ましくは1、2、3、4または5個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示す。特に好ましいのは、式IIaおよびIIfで表される化合物、特にR
3aがHまたはCH
3、好ましくはHを示すもの、および式IIcで表される化合物、特にR
3aおよびR
4aがH、CH
3またはC
2H
5を示すものである。
【0186】
式IIIで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化81】
式中、「alkyl」およびR
3aは、上に示した意味を有し、R
3aは、好ましくはHまたはCH
3を示す。特に好ましいのは、式IIIbで表される化合物である;
【0187】
− 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化82】
【0188】
式中、
R
0は、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシラジカルを示し、ここでさらに、これらのラジカル中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、各々、互いに独立して
【化83】
によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、およびここでさらに、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンによって置き換えられていてもよく、
【0189】
X
0は、F、Cl、CN、SF
5、SCN、NCS、各々6個までのC原子を有するハロゲン化アルキルラジカル、ハロゲン化アルケニルラジカル、ハロゲン化アルコキシラジカルまたはハロゲン化アルケニルオキシラジカルを示し、
Y
1〜6は、各々、互いに独立してHまたはFを示し、
【0190】
Z
0は、−C
2H
4−、−(CH
2)
4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C
2F
4−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−CF
2O−または−OCF
2−、式VおよびVIにおいてはまた単結合を示し、ならびに
bおよびcは、各々、互いに独立して0または1を示す。
【0191】
式IV〜VIIIで表される化合物において、X
0は、好ましくはFまたはOCF
3、さらにOCHF
2、CF
3、CF
2H、Cl、OCH=CF
2を示す。R
0は、好ましくは、各々6個までのC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルケニルである。
【0192】
式IVで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化84】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。
【0193】
式IVにおいて、R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、およびX
0は、好ましくはF、Cl、OCHF
2またはOCF
3、さらにOCH=CF
2を示す。式IVbで表される化合物において、R
0は、好ましくはアルキルまたはアルケニルを示す。式IVdで表される化合物において、X
0は、好ましくはCl、さらにFを示す。
【0194】
式Vで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化85】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。式Vにおいて、R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、好ましくはFを示す;
【0195】
− 1種または2種以上の式VI−1:
【化86】
で表される化合物、特に好ましくは以下の式:
【化87】
【0196】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する、
からなる群から選択されたものを含むLC媒体。式VIにおいて、R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、およびX
0は、好ましくはF、さらにOCF
3を示す。
【0197】
− 式VI−2:
【化88】
で表される1種または2種以上の化合物、特に好ましくは以下の式:
【化89】
【0198】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する、
からなる群から選択されたものを含むLC媒体。
【0199】
式VIにおいて、R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、およびX
0は、好ましくはFを示す;
【0200】
− 好ましくは式VIIで表され、式中Z
0が−CF
2O−、−CH
2CH
2−または−(CO)O−を示す1種または2種以上の化合物、特に好ましくは以下の式からなる群から選択されたものを含むLC媒体:
【化90】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。式VIIにおいて、R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、およびX
0は、好ましくはF、さらにOCF
3を示す。
【0201】
式VIIIで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化91】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示す。X
0は、好ましくはFを示す。
【0202】
− 以下の式で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化92】
式中、R
0、X
0、Y
1およびY
2は、上に示した意味を有し、ならびに
【0203】
【化93】
は、各々、互いに独立して
【化94】
を示し、ここで環AおよびBは、共に同時にシクロヘキシレンを示さない;
【0204】
式IXで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化95】
【0206】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、およびX
0は、好ましくはFを示す。特に好ましいのは、式IXaで表される化合物である;
【0207】
− 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化97】
式中、R
0、X
0およびY
1〜4は、上に示した意味を有し、ならびに
【0208】
【化98】
は、各々、互いに独立して
【化99】
を示す;
【0209】
式XおよびXIで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化100】
【0211】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、かつ/またはX
0は、好ましくはFを示す。特に好ましい化合物は、Y
1がFを示し、およびY
2がHまたはF、好ましくはFを示すものである;
【0212】
− 以下の式XIIで表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化102】
式中、R
5およびR
6は、各々、互いに独立して、各々9個までのC原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示し、好ましくは各々、互いに独立して1〜7個のC原子を有するアルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルを示す。Y
1は、HまたはFを示す。
【0213】
式XIIで表される好ましい化合物は、以下の式からなる群から選択されたものである:
【化103】
【0214】
式中、
AlkylおよびAlkyl*は、各々、互いに独立して1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルを示し、ならびに
AlkenylおよびAlkenyl*は、各々、互いに独立して2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルラジカルを示す。
【0215】
極めて特に好ましいのは、以下の式で表される化合物である:
【化104】
式中、Alkylは、上に示した意味を有し、およびR
6aは、HまたはCH
3を示す。
【0216】
− 以下の式からなる群から選択された1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化105】
式中、R
0、X
0、Y
1およびY
2は、上に示した意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、好ましくはFまたはClを示す;
【0217】
式XIIIおよびXIVで表される化合物は、好ましくは以下の式からなる群から選択される:
【化106】
式中、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示す。式XIIIで表される化合物において、X
0は、好ましくはFまたはClを示す。
【0218】
− 式D1および/またはD2で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化107】
式中、Y
1、Y
2、R
0およびX
0は、上に示した意味を有する。R
0は、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルを示し、X
0は、好ましくはFを示す。特に好ましいのは、以下の式で表される化合物である:
【0219】
【化108】
式中、R
0は、上に示した意味を有し、好ましくは1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル、特にC
2H
5、n−C
3H
7またはn−C
5H
11を示す。
【0220】
− 以下の式で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化109】
式中、Y
1、R
1およびR
2は、上に示した意味を有する。R
1およびR
2は、好ましくは、各々、互いに独立して1〜8個のC原子を有するアルキルを示す。Y
1は、好ましくはFを示す。好ましい媒体は、1〜15重量%、特に1〜10重量%のこれらの化合物を含む。
【0221】
− 以下の式で表される1種または2種以上の化合物をさらに含むLC媒体:
【化110】
式中、X
0、Y
1およびY
2は、上に示した意味を有し、「Alkenyl」は、C
2〜7アルケニルを示す。特に好ましいのは、以下の式で表される化合物である:
【0222】
【化111】
式中、R
3aは、上に示した意味を有し、好ましくはHを示す;
【0223】
− さらに式XIX〜XXVからなる群から選択された1種または2種以上の四環式化合物を含むLC媒体:
【化112】
【0225】
式中、Y
1〜4、R
0およびX
0は、各々、互いに独立して上に示した意味の1つを有する。X
0は、好ましくはF、Cl、CF
3、OCF
3またはOCHF
2である。R
0は、好ましくは、各々8個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示す。
【0226】
− さらに以下の式で表される1種または2種以上の化合物を含むLC媒体:
【化114】
式中、R
0、X
0およびY
1〜4は、上に示した意味を有する。
【0227】
特に好ましいのは、以下の式で表される化合物である:
【化115】
【0228】
−
【化116】
は、好ましくは
【化117】
である。
【0229】
− R
0は、一般的に好ましくは2〜7個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルケニルである;
− X
0は、好ましくはF、さらにOCF
3、ClまたはCF
3である;
− 媒体は、好ましくは式IIで表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む;
【0230】
− 媒体は、好ましくは式VI−2、VII−1a、VII−1b、IX、X、XIおよびXXVIで表される化合物(CF
2O架橋化合物)の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む;式VI−2、VII−1a、VII−1b、IX、X、XIおよびXXVIで表される化合物の合計含量は、好ましくは35重量%以上、特に好ましくは40重量%以上および極めて特に好ましくは45重量%以上である。
【0231】
− 式II〜XXVIIで表される化合物の全体としての混合物中での比率は、好ましくは20〜99重量%である;
− 媒体は、好ましくは25〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%の式IIおよび/またはIIIで表される化合物を含む;
− 媒体は、好ましくは20〜70重量%、特に好ましくは25〜60重量%の式IIaで表される化合物を含む;
【0232】
− 媒体は、好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜20重量%の式VI−2で表される化合物の群から選択された化合物を含む;
− 媒体は、合計で2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%の式XIおよびXXVIIで表される化合物をともに含む;
【0233】
− 媒体は、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式XXIVで表される化合物を含む;
− 媒体は、合計で15〜65重量%、特に好ましくは30〜55重量%の式VI−2、X、XIおよびXXVで表される高度に極性の化合物から選択された化合物をともに含む。
【0234】
誘電的に負の、または正の本発明のLC媒体のネマチック相は、好ましくは10℃以下から60℃以上までの、特に好ましくは0℃以下から70℃以上までの温度範囲内のネマチック相を有する。
【0235】
本出願において、および以下の例において、液晶化合物の構造を頭字語によって示し、化学式への変換を以下の表AおよびBに従って行う。すべてのラジカルC
nH
2n+1およびC
mH
2m+1は、それぞれn個およびm個のC原子を有する直鎖状アルキルラジカルである;n、m、zおよびkは整数であり、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示す。表B中のコーディングは自明である。表A中で、基本構造についての頭字語のみを示す。個々の場合において、基本構造についての頭字語に、ダッシュによって分離して、置換基R
1*、R
2*、L
1*およびL
2*についてのコードが続く:
【0237】
好ましい混合物構成成分は、表AおよびBにおいて見出される。
表A
【化118】
【0241】
表B
n、m、zは、互いに独立して、好ましくは1、2、3、4、5または6を示す。
【化122】
【0260】
本発明の好ましい態様において、本発明のLC媒体は、表AおよびBからの化合物からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0261】
表C
表Cは、本発明のLC媒体に加えることができる可能なキラルなドーパントを示す。
【化141】
【0264】
LC媒体は、任意に0〜10重量%、特に0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%の、好ましくは表Cからの化合物からなる群から選択されたドーパントを含む。
【0265】
表D
表Dは、本発明のLC媒体に加えることができる可能な安定剤を示す。
(nはここで、1〜12の整数、好ましくは1、2、3、4、5、6、7または8を示す;末端のメチル基は、示さない)。
【化144】
【0270】
LC媒体は、好ましくは、0〜10重量%、特に1ppm〜5重量%、特に好ましくは1ppm〜1重量%の安定剤を含む。LC媒体は、好ましくは表Dからの化合物からなる群から選択された1種または2種以上の安定剤を含む。
【0271】
表E
表Eは、本発明のLC媒体において、好ましくは重合性化合物として使用することができる例示的な化合物を示す。
【化149】
【0275】
本発明の好ましい態様において、メソゲン性媒体は、表Eからの化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0276】
本出願において、「化合物(単数または複数)」としても記載した用語「化合物」は、他に明確に示さない限り1種の、およびまた複数種の化合物の両方を示す。逆に、用語「化合物」は、一般的にまた、これが定義によって可能であり、他に示していない場合には複数種の化合物を包含する。同一のことが、用語LC媒体(単数)およびLC媒体(複数)に該当する。用語「構成成分」は、各場合において1種または2種以上の物質、化合物および/または粒子を包含する。
【0277】
さらに、以下の略語および記号を使用する:
n
e 20℃および589nmでの異常光屈折率、
n
o 20℃および589nmでの常光屈折率、
Δn 20℃および589nmでの光学異方性、
ε
⊥ 20℃および1kHzでのダイレクターに垂直な誘電体誘電率、
ε
‖ 20℃および1kHzでのダイレクターに平行な誘電体誘電率、
Δε 20℃および1kHzでの誘電異方性、
cl.p.、T(N,I) 透明点[℃]、
γ
1 20℃での回転粘度[mPa・s]、
K
1 20℃での弾性定数、「スプレー」変形[pN]、
K
2 20℃での弾性定数、「ねじれ」変形[pN]、
K
3 20℃での弾性定数、「ベント」変形[pN]。
【0278】
他に明確に注記しない限り、本出願におけるすべての濃度を、重量パーセントで引用し、すべての固体または液晶構成成分を含み、溶媒を含まない、全体としての対応する混合物に関する。
【0279】
すべての物性を、"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals"、ステータス1997年11月、Merck KGaA、ドイツ国に従って決定し、および決定してきており、20℃の温度に対して適用する。各場合において他に明確に示されない限り、Δnを589nmで、Δεを1kHzで決定する。
【0280】
重合性化合物を、ディスプレイまたは試験セル中で、所定の強度のUVA光(通常365nm)での照射によってあらかじめ特定した時間にわたって重合させ、電圧を、任意にディスプレイに同時に印加する(通常5〜30Vの交流、1kHz)。例において、他に示されない限り、100mW/cm
2の水銀蒸気ランプを使用し、強度を、320nmまたは340nmのバンドパスフィルターを取り付けた標準的なUVメーター(Ushio UNIメーター)を使用して測定する。
【0281】
以下の例は、本発明を、いかなる様式においてもそれを限定することを意図せずに説明する。しかしながら、物性によって、いかなる特性を達成することができるか、およびいかなる範囲においてそれらを修正することができるかが、当業者に明らかになる。特に、好ましく達成することができる様々な特性の組み合わせは、このように当業者のために十分に定義される。
本明細書による本発明の態様および変法のさらなる組み合わせはまた、特許請求の範囲から生じる。
【0282】
例
使用した化合物は、商業的に入手できない場合には、標準的な実験室手順によって合成する。LC媒体は、Merck KGaA、ドイツ国が起源である。
使用した自己配向長鎖アルコールおよびアミンは、商業的に入手でき、必要ならば、使用前に精製する。
【0283】
以下の自己配向化合物を、本発明のLC媒体において使用する:
【表2】
【0284】
混合物例
本発明のLC媒体の調製のために、述べた重量パーセント比率での低分子量構成成分からなる以下の液晶混合物を、使用する。
【0285】
表1:ネマチックLC媒体M1(Δε<0)
【表3】
【0286】
表2:ネマチックLC媒体M2(Δε>0)
【表4】
【0287】
ポリマー安定化を伴わない混合物例1(a/b)
化合物番号1(2.0重量%)を、表1に示したVAタイプのネマチックLC媒体M1(Δε<0)に加え、混合物を均質化する。
【0288】
前配向層のない試験セルにおける使用:
a) 得られた混合物を、モノドメイン(monodomain)試験セル(ポリイミド配向層なし、層厚さd≒4.0μm、ガラス基板、両側上にITOコーティング、保護層なし)中に導入する。LC媒体は、基板表面に対して自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。この配向は、70℃まで安定を維持する。温度安定範囲において、VAセルを、0〜30Vの電圧の印加によって、交差した偏光子間で可逆的に切り換えることができる。
【0289】
b) 得られた混合物を、2ドメイン(two-domain)試験セル(ポリイミド配向層なし、層厚さd≒4.0μm、ガラス基板、両側上に構築したITOコーティング(10μmのスリット幅)、保護層なし)中に導入する。LC媒体は、基板表面に対して自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。この配向は、40℃まで安定を維持する。温度安定範囲において、VAセルを、0〜30Vの電圧の印加によって、交差した偏光子間で可逆的に切り換えることができる。
【0290】
ポリマー安定化を伴わない混合物例2
化合物番号1(2.0重量%)を、表2に示したVA−IPSタイプのネマチックLC媒体M2(Δε>0)に加え、混合物を均質化する。
前配向層のない試験セルにおける使用:
得られた混合物を、モノドメイン試験セル(ポリイミド配向層なし、層厚さd≒4.0μm、ガラス基板、両側上にITOコーティング、保護層なし)中に導入する。LC媒体は、基板表面に対して自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。
【0291】
ポリマー安定化を伴わない混合物例3〜10(a/b)
化合物番号2〜9を、混合物例1と同様にして表1に示したネマチックLC媒体M1(Δε<0)に加え、混合物を均質化する。化合物の媒体中での重量比を、表3に示す。得られたLC媒体を、各場合において前配向層のない1つのモノドメイン試験セル(a)および1つの2ドメイン試験セル(b)中に導入する。基板表面に対する得られた配向(ホメオトロピック(垂直)またはプラナー)を、表3に示す。温度安定範囲において、VAセル(ホメオトロピック配向)を、0〜30Vの電圧の印加によって交差した偏光子間で可逆的に切り換えることができる。
【0292】
表3:M1におけるドーピングについての重量比ならびに20℃および70℃での得られたLC混合物の配向。
【表5】
【0293】
ホメオトロピック配向を有するセルを、可逆的に切り換えることができる。
【0294】
混合物例11〜18
化合物番号2〜9を、混合物例2と同様にして表1に示したネマチックLC媒体M2(Δε>0)に加え、混合物を均質化する。化合物の媒体中での重量比を、表4に示す。得られたLC媒体を、前配向層のないモノドメイン試験セル中に導入する。基板表面に対する得られた配向(ホメオトロピック(垂直)またはプラナー)を、表4に示す。
【0295】
表4:M2におけるドーピングについての重量比および20℃での得られたLC混合物の配向。モノドメイン試験セル。
【表6】
【0296】
混合物例19〜21(混合物例1、4および6のポリマー安定化)
重合性化合物(RM−1、0.5重量%)ならびに表5.aおよび5.bに示す自己配向化合物を、表1に従ってネマチックLC媒体M1(Δε<0)に加え、混合物を均質化する。
【0297】
前配向層のない試験セルにおける使用:
a) 得られた混合物(表5a)を、モノドメイン試験セル(ポリイミド配向層なし、層厚さd≒4.0μm、ガラス基板、両側上にITOコーティング、保護層なし)中に導入する。LC媒体は、基板表面に対して自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。セルを、光学的しきい値電圧より大きい電圧の印加を以って、40℃で100mW/cmの
2の強度を有するUV光で15分間照射する。これによって、モノマーの、重合性化合物の重合が生じる。ホメオトロピック配向をこのようにさらに安定化し、「プレチルト」を確立する。得られたPSA−VAセルを、0〜30Vの電圧の印加を以って70℃まで可逆的に切り換えることができる。応答時間は、重合していない例と比較して短縮される。
【0298】
表5.a:M1におけるポリマー安定化のための重量比ならびに120℃での加熱試験前後の20℃および70℃での得られたLC混合物の配向。モノドメインセル(a)。
【表7】
【0299】
ホメオトロピック配向を有するセルを、可逆的に切り換えることができる。
【0300】
b)得られた混合物(表5b)を、2ドメイン試験セル(ポリイミド配向層なし、層厚さd≒4.0μm、ガラス基板、両側上に構築したITOコーティング(10μmのスリット幅)、保護層なし)中に導入する。LC媒体は、基板表面に対して自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。セルを、光学的しきい値電圧より大きい電圧の印加を以って、40℃で100mW/cmの
2の強度を有するUV光で15分間照射する。これによって、モノマーの、重合性化合物の重合が生じる。ホメオトロピック配向をこのようにしてさらに安定化し、「プレチルト」を確立する。得られたPSA−VAセルを、0〜30Vの電圧の印加を以って70℃まで可逆的に切り換えることができる。応答時間は、重合していない例と比較して短縮される。
【0301】
混合物例1、6、19〜21の加熱試験
混合物例1、6、19〜21のLC媒体を、モノドメインおよび2ドメイン試験セル中に導入する。重合性化合物を、示したように重合する。すべてのセルに、示した日数にわたって(表5.aおよび5.b)120℃での加熱試験を施す。電気光学的曲線を、加熱前および後に調査する。応答曲線における有意の差異またはさらに自己誘発されたホメオトロピック配向の完全な喪失が、ポリマー安定化せずに加熱した後に観察される一方、ポリマー安定化セルの特性は、20℃〜70℃で事実上不変せずにいる。
【0302】
表5.b:M1におけるポリマー安定化のための重量比ならびに得られたLC混合物の120℃での加熱前および後の20℃および70℃での配向。2ドメインセル(b)。
【表8】
【0303】
ホメオトロピック配向を有するセルを、可逆的に切り換えることができる。