【実施例】
【0019】
図1は、本発明が適用される自動分析装置の概略構成図である。
【0020】
図1において、反応ディスク1には反応容器2が円周上に並んでいる。試薬ディスク9の中には複数の試薬ボトル10が円周上に配置可能である。また、試薬ディスク9の中には洗剤ボトル10aも配置することができる。反応ディスク1の近くに試料容器15を載せたラック16を移動する試料搬送機構17が設置されている。
【0021】
反応ディスク1と試薬ディスク9の間には回転及び上下動可能な試薬分注機構7、8が設置されており、それぞれ試薬プローブ7aを備えている。試薬プローブ7aは、試薬分注機構7又は8により、上下及び水平移動が行われる。試薬プローブ7aには各々試薬用シリンジ18(吸引吐出機構)が接続されている。この試薬用シリンジ18により、試薬プローブ7aによる試薬の吸引、吐出が行われる。また、試薬用シリンジ18により試薬プローブ7a内に洗浄水又は洗剤ボトル10aから洗浄水又は洗剤の吸引、吐出が行われ、試薬プローブ7a内の洗浄が行われる。
【0022】
また、反応ディスク1と試料搬送機構17の間には、回転及び上下動可能なサンプル分注機構11が設置されており、サンプルプローブ11aを備えている。サンプルプローブ11aには各々試料用シリンジ19が接続されている。サンプルプローブ11aは回転軸を中心に円弧を描きながら水平移動し、上下移動して試料容器から反応容器2への試料分注を行う。
【0023】
反応ディスク1の周囲には、洗浄機構3、反応容器2内の試料を分析するための分光光度計4、攪拌機構5、6、試薬ディスク9、試料搬送機構17が配置され、洗浄機構3には洗浄用ポンプ20が接続されている。試薬分注機構7、8、サンプル分注機構11、攪拌機構5、6の動作範囲上に洗浄槽13、30、31、32、33がそれぞれ配置されている。洗浄槽13はサンプルプローブ11a用の洗浄槽であり、洗浄槽30、31は攪拌機構5、6用の洗浄槽である。そして、洗浄槽32、33は試薬プローブ7a、試薬分注機構8の試薬分注プローブ用の洗浄槽である。
【0024】
試料容器15には血液等の検査試料が含まれ、ラック16に載せられて試料搬送機構17によって運ばれる。また、各機構はコントローラ21に接続され、コントローラ21により動作制御される。
【0025】
試薬ボトル10の試薬プローブ吸引口位置には内部を密閉するためにキャップが取り付けられており、自動分析装置内にセットする時にキャップを取り外して装置内に設置することが一般的であるが、近年、キャップに切り込み状の穴を開けて、試薬プローブ7aが切り込み部に挿入して試薬を吸引する方法がある。試薬ボトル10のキャップの僅かな切り込みが開口部となるため、試薬は外気との接触が最小となり、試薬の劣化は改善される。
【0026】
しかし、試薬プローブ7aの洗浄範囲は試薬ボトル10のキャップから試薬を吸引するために挿入した全範囲となるため、試薬ボトル10にキャップが無い場合と比較すると広範囲の洗浄が必要となる。
【0027】
図2Aは、本発明の一実施例による洗浄槽32の斜視断面図であり、廃液部221の下方に電磁弁302を備えた構造である。また、
図3Aは、洗浄槽32の上面図であり、
図3AのA−A線に沿った断面が
図2Aに示した断面を示している。
図2Aに示した形状の構造物と、この構造物と対称となった形状の構造物とにより洗浄槽32が形成される。ただし、後述する吸引ノズル211は、一方の構造物にのみ形成されている。洗浄槽33も洗浄槽32と同等な構成となっている。
【0028】
図2A、
図3Aにおいて、試薬プローブ7aを洗浄するためには洗浄槽32に試薬プローブ7aを下降させ、洗浄槽32の上面に形成された開口部303及び円形の開口を形成する絞り部301を通過して、洗浄槽32の内部に挿入する。この円形の開口は試薬プローブ7aが挿入される開口(部)であり、絞り部301は当該開口(部)を形成している。なお、この開口(部)は円形でなくてもよい。
【0029】
洗浄槽32には、この洗浄槽32の内部に洗浄水を供給する洗浄ノズル202、203が接続されている。開口部303には流路絞り部304が形成されている。絞り部301は、開口部303を含み、洗浄ノズル201から吐出される洗浄水が水平方向に流れる流路を形成する。洗浄ノズル201は、絞り部301の上面を流れる洗浄水の吐出を行う。この流路は、絞り部301に含まれる流路絞り部304の入口より下流側の流路幅が上流側の流路幅より小となっている。この流路は、試薬プローブ7aが挿入される開口(部)より下流側の流路幅が上流側の流路幅より小となっていればよい。
【0030】
開口部303から下方には試薬プローブを洗浄する洗浄部205が形成されている。洗浄部205に洗浄ノズル202、203が接続されている。
【0031】
洗浄ノズル202、203から洗浄槽32内部の洗浄部205に洗浄水が供給され、試薬プローブ7aに洗浄水が当てられることにより、試薬プローブ7aが洗浄される。この間、電磁弁302は開状態となっている。そして、試薬プローブ7aの洗浄後は、廃液部221下方の電磁弁302が閉状態とされ、洗浄槽32の洗浄部205に接続された真空ノズル212、213が真空吸引を開始し、この真空吸引を行いながら、試薬プローブ7aを上昇させる。
【0032】
真空ノズル212、213の真空吸引により洗浄槽32内に入り込む空気の吸引速度は、絞り部301により開口が絞られていることで、大とすることができ、試薬プローブ7aに付着した洗浄水を絞り部301で吹き飛ばして洗浄水を除去することができる。ここで、絞り部301により形成される開口の直径が試薬プローブ7aの外径より大きすぎると、洗浄槽32内に入る空気の速度が遅くなるため、試薬プローブ7aの側面に付着した洗浄水を吹き飛ばす効果は低減する。結果として次の液体を吸引する際に、洗浄水の残りで薄めてしまうことになる。
【0033】
この対策として、
図4に示すように、絞り301により形成する開口を小さくすることで、真空吸引による絞り部301の空気の入り込む速度を増加することが出来る。
【0034】
試薬プローブ7aの外径と、絞り部301が形成する穴の径(開口の径)とのクリアランスは0.2mmm〜1.0mmの間とすると、試薬プローブ7aの乾燥効果は上がる。例として、試薬プローブ7aの外径を2mmとすると、最適な絞り部301の穴径は2.4mmから4.0mm程度が良い。
【0035】
しかし、絞り部301を狭めたことにより、
図5の(A)に示すように、試薬プローブ7aが絞り部301を通過前は、絞り部301には液体の付着がないが、
図5の(B)に示すように、試薬プローブ7aが絞り部301を通過後、試薬プローブ7aに付着した液体が絞り部301及びその付近に付着することがある。
【0036】
絞り部301に液体が付着した状態であると、洗浄後の洗浄水除去を目的とした試薬プローブ7aの上昇時に、試薬プローブ7aの側面に液体を付着させてしまい、次の液体吸引時に、プローブ7aに付着した液体が混入してコンタミネーションが発生する。
【0037】
この対策として、
図2Aに示すように、絞り部301の上部と連通する洗浄ノズル201を洗浄槽32に接続し、絞り部301に飛散し付着した液体を洗浄ノズル201から供給される洗浄水により洗い流し洗浄する。洗浄槽32には、洗浄槽32の内部と連通する真空ノズル212、213と、絞り部301の出口側付近に接続された吸引ノズル211が接続されている。洗浄ノズル201で絞り部301を洗い流した後に、試薬プローブ7aを上昇させながら、真空ノズル212、213、吸引ノズル211で吸引させながら上昇させれば、試薬プローブ7aに液体を付着させることなく、試薬プローブ7aを洗浄槽301から引き出すことができる。
【0038】
具体的な洗浄ノズル201の使用方法は、上述したように、洗浄ノズル202、203で試薬プローブ7aを洗浄後に絞り部301を洗い流す。
【0039】
または、
図6Aに示したタイムチャートのように、試薬プローブ7aの洗浄前に洗浄ノズル201から洗浄水を出し、次に洗浄ノズル202、203から洗浄水を出しながら、洗浄ノズル201から出ている洗浄水に試薬プローブ7aを当てながら下降させる。洗浄ノズル201から出ている洗浄水で試薬プローブ7aに付着した液体は大半が除去され、更なる洗浄効果を得るために、洗浄ノズル202、203で洗浄を行う。
【0040】
ここで、
図6Aに示した試薬プローブ7aの洗浄動作タイムチャートに基づいて、試薬プローブ7a、洗浄ノズル201〜203、電磁弁302、真空ノズル212、213、吸引ノズル(真空ノズル)211の動作について説明する。
【0041】
図6Aにおいて、時間aにて、洗浄ノズル201からの洗浄水吐出を開始し、続いて、時間bにて、洗浄ノズル202、203から洗浄水吐出を開始する。次に、時間cにて、試薬プローブ7aを洗浄槽32に向けての下降を開始し、洗浄槽32内に挿入していく。そして、時間dにて、試薬プローブ7aから洗浄水を吐出することにより試薬プローブ7a内を洗浄する内洗を開始する。この内洗と、プローブ7aの外側の洗浄は同時に行われている。
【0042】
次に、時間eにて、試薬プローブ7aの下降動作を停止し、その後、時間fにて、洗浄ノズル202、203による洗浄水の吐出を停止する。続いて、時間gにて、洗浄ノズル201による洗浄水の吐出を停止する。
【0043】
次に、時間hにて、電磁弁302を閉状態とし、時間iにて真空ノズル211、212、213による洗浄槽32の内部吸引が開始される。そして、時間jにて、試薬プローブ7aの上昇動作が開始される。続いて、時間kにて、試薬プローブ7aの内部洗浄動作を停止し、時間lにて、試薬プローブ7aの上昇動作が停止されるとともに、真空ノズル211、212、213による洗浄槽32の内部吸引が停止される。そして、時間mにて、電磁弁302が開状態とされる。
【0044】
上述した動作は、コントローラ21に格納されたプログラムに従って、コントローラ21からの指令により実行される。
【0045】
なお、洗浄ノズル202、203から吐出する洗浄水は高圧の流速で試薬プローブ7aに当てる方法も可能である。洗浄ノズル201から吐出された洗浄水は、絞り部301の径が最小となっているため洗浄ノズル201から出た大半の洗浄水は絞り部301から落下することなく通過して、オーバーフロー部222に流れ落ちる。洗浄ノズル201から出た洗浄水は、絞り部301から落下することなく、蓋をするように流れるため、洗浄ノズル202、203から吐出される洗浄水が絞り部301から上部に飛散する心配はない。
【0046】
また、洗浄ノズル201から出た洗浄水は絞り部301に対して蓋の役割を果たすため、試薬プローブ7aの先端が、絞り部301より下部に位置する間は、試薬プローブ7aの内面を洗浄する洗浄水は絞り部301から飛散することはない。また、試薬プローブ7aの上昇中は、真空ノズル211、212、213により洗浄槽32内を真空吸引するため、絞り部301に対して洗浄槽32内に引き込む空気の流れとなる。これによって、試薬プローブ7aの内部をプローブ7aの下降から上昇まで長時間にわたり洗浄することが可能となり、試薬プローブ7aの洗浄を効果的に行うことが出来る。
【0047】
ここで、洗浄ノズル201、202、203が洗浄水の吐出動作を停止し、真空ノズル211、212、213が吸引動作を開始するまでの間に僅かに時間差があるが、サンプルプローブ7aは、洗浄槽32内に下降して停止しているため、サンプルプローブ7aの先端から吐出された洗浄液が絞り部301から飛散することはない。もちろん、洗浄ノズル201の洗浄水吐出動作停止後に、即、真空吸引の動作を行い、時間差をなくしても良い。
【0048】
なお、ここでの高圧の洗浄水とは通常の洗浄水圧の5倍から20倍の水圧をさす。高圧で試薬プローブ7aに洗浄水を当てても、洗浄ノズル201から出る洗浄水が、絞り部301に対して蓋の役割を果たしてくれ、高圧の洗浄水が、絞り部301から飛散することはない。高圧水で試薬プローブ7aを洗浄し、洗浄効果を上げることは、結果として洗浄時間の短縮、もしくはプローブ7a側面に付着した試薬を除去する効果が高くなるので、試薬のキャリーオーバ低減につながり、試薬プローブ7aを備える自動分析装置の動作高速化を図ることができる。
【0049】
また、
図3Aに示すように、洗浄ノズル201から吐出された洗浄水がオーバーフロー222に流れるまでの流路に流路絞り部304を形成することで、絞り部301の上には洗浄ノズル201から出た洗浄水が溜まる構造となる。洗浄水をためることで、洗浄水の厚みが増し、プローブ7aの洗浄範囲を多くすることができる。これにより、洗浄時間の短縮及び上記高圧水での洗浄時に絞り部301からの洗浄水の飛散の危険性をなくすことを可能となる。
【0050】
ここで、洗浄ノズル201〜203の洗浄水の吐出動作、真空ノズル211〜213の吸引動作を行うための機構について説明する。
【0051】
図7は、真空ノズル211〜213の吸引動作を行うための機構の一例を示す図であり、
図8は、真空ノズル211〜213の吸引動作を行うための機構の他の例を示す図である。
【0052】
図7において、真空ノズル211〜213は、管を介して電磁弁240と真空タンク241と、真空ポンプ242に接続されている。真空タンク241は、真空ポンプ242により真空吸引され、電磁弁240を開とすることにより、真空ノズル211〜213が洗浄槽32内を真空吸引する。
【0053】
図7に示した例と、
図8に示した例との相違点は、
図8に示した例においては、電磁弁240と真空ノズル211〜213との間に真空ビン250を配置している点である。
図7、
図8にいずれの例であっても、本発明は適用可能である。
【0054】
図9は、洗浄ノズル201〜203の洗浄水吐出動作を行うための機構の一例を示す図であり、
図10は、洗浄ノズル201〜203の洗浄水吐出動作を行うための機構の他の例を示す図である。
【0055】
図9において、洗浄ノズル201は、管を介して、電磁弁262、低圧ポンプ264、システム水タンク265に接続されている。
【0056】
また、洗浄ノズル202、203は、管を介して、電磁弁261、高圧ポンプ263、システム水タンク265に接続されている。
【0057】
この
図9に示す例は、洗浄ノズル202、203からの洗浄水の吐出圧力を高圧とし、洗浄ノズル201からの洗浄水の吐出圧力を低圧とする例である。
【0058】
また、
図10において、洗浄ノズル201及び203は、管を介して、電磁弁262、低圧ポンプ264、システム水タンク265に接続されている。
【0059】
また、洗浄ノズル202は、管を介して、電磁弁261、高圧ポンプ263、システム水タンク265に接続されている。
【0060】
この
図10に示す例は、洗浄ノズル201、203からの洗浄水の吐出圧力を低圧とし、洗浄ノズル202からの洗浄水の吐出圧力を高圧とする例である。
【0061】
上記電磁弁240、261、262、真空ポンプ242、高圧ポンプ263、低圧ポンプ264は、
図1には示していないが、自動分析装置の構成機構として備えられる。また、上記電磁弁240、261、262、真空ポンプ242、高圧ポンプ263、低圧ポンプ264の動作は、コントローラ21によって制御される。
【0062】
図2Bは、本発明のもう一つの実施例による洗浄槽32の斜視断面図であり、廃液部221の下方に電磁弁302を備えた構造である。また、
図3Bは、洗浄槽32の上面図であり、
図3BのB−B線に沿った断面が
図2Bに示した断面を示している。
図2Bに示した形状の構造物と、この構造物と対称となった形状の構造物とにより洗浄槽32が形成される。洗浄槽33も洗浄槽32と同等な構成となっている。
【0063】
図2B、
図3Bにおいて、試薬プローブ7aを洗浄するためには洗浄槽32に試薬プローブ7aを下降させ、洗浄槽32の上面に形成された開口部303及び円形の開口を形成する絞り部301を通過して、洗浄槽32の内部に挿入する。この円形の開口は試薬プローブ7aが挿入される開口(部)であり、絞り部301は当該開口(部)を形成している。なお、この開口(部)は円形でなくてもよい。
【0064】
開口部303には流路絞り部304が形成されている。絞り部301は、開口部303を含み、洗浄ノズル201(洗浄機構)から吐出される洗浄水が水平方向に流れる流路を形成する。洗浄ノズル201は、絞り部301の上面を流れる洗浄水の吐出を行う。この流路は、絞り部301に含まれる流路絞り部304の入口より下流側の流路幅が上流側の流路幅より小となっている。この流路は、試薬プローブ7aが挿入される開口(部)より下流側の流路幅が上流側の流路幅より小となっていればよい。
【0065】
洗浄ノズル201から洗浄水が供給され、試薬プローブ7aに洗浄水が触れることにより、試薬プローブ7aが洗浄される。この間、電磁弁302は開状態となっている。そして、試薬プローブ7aの洗浄後は、廃液部221下方の電磁弁302が閉状態とされ、洗浄槽32の洗浄部205に接続された真空ノズル212、213、214(乾燥機構)が真空吸引を開始し、この真空吸引を行いながら、試薬プローブ7aを上昇させる。なお、この洗浄水の真空吸引を行う真空ノズル212、213、214(乾燥機構)は、絞り部301の下方に配置されている。また、洗浄ノズル201(洗浄機構)は、絞り部301に飛散し付着した液体を当該洗浄ノズルから供給される洗浄水により洗い流し洗浄する。
【0066】
図2Bでは、図示した構造物と対称となった形状の構造物とにより洗浄槽32が形成されることを説明したが、これとは異なる例を
図3Cとして示す。
図3Cは、洗浄ノズル201側から見た洗浄槽の側面図である。
【0067】
図2Bは、
図2Aと異なり絞り部301下方に洗浄ノズルを、絞り部301上方に吸引ノズル211を配置しない構造であり、側面に配置する吸引ノズルは
図3Cのように左右で互い違いに配置しても良いし、左右対称に配置しても、真空吸引による絞り部301の流速は変わらない。ただし、
図2Aや
図2Bに示す洗浄部205の内径を小さくすることで側面の真空ノズルから直接試薬プローブ7aに付着した洗浄水を吸引出来るので、
図3Cのように吸引ノズルは左右で互い違いに配置する方が直接吸引ノズルから洗浄水を吸引出来るので、洗浄水の除去効果は向上する。従い、垂直方向に配置された複数の吸引ノズル212、213、214(第1の吸引ノズル)と、垂直方向に配置され、試薬プローブ7aが開口部に挿入された状態で吸引ノズル(第1の吸引ノズル)とで当該プローブを挟む位置に配置された複数の吸引ノズル212B、213B、214B(第2の吸引ノズル)とを有し、これらのノズルが垂直方向に互い違いに配置されていることが望ましい。
【0068】
図3Cの説明においては吸引ノズルを6本としているが、真空ノズルの内径を太くし吸引効果を上げれば1本でも洗浄水の除去が可能であるし、洗浄ノズルを6本以上配置しても効果は図ることができる。
【0069】
また、絞り部301下方に洗浄ノズルを配置させなくとも洗浄ノズル201から吐出される洗浄液の流速を上げることで、試薬プローブ7aの洗浄効果を上げることができる。流速を上げる手段は
図9、
図10に示す高圧ポンプ263を洗浄ノズル201に接続しても良いし、低圧ポンプ264を洗浄ノズル201に接続しても良い。低圧ポンプを使用する場合は、電磁弁262と洗浄ノズル201の間に可変絞りを取付け(図示はしていない)、試薬プローブ7aに当たる流速を上げて使用することが望ましい。
【0070】
また、絞り部301上方の吸引ノズル211を配置しなくとも、真空ノズルの数を増やす、または真空ノズルの内径を大きくする等で真空吸引圧を大きくすることで、洗浄ノズル201から吐出された洗浄水の残りが絞り部上面にたまっていても、絞り部301上部にたまった洗浄水を絞り部の中に引き込むことができ、試薬プローブ7aが上昇するときには絞り部301の周辺には洗浄液がないので試薬プローブ7aに洗浄水が付着することはない。
【0071】
また、絞り部301上部にたまった洗浄水は汚れた洗浄水ではない。なぜならば、試薬プローブ7a側面に付着した試薬等は試薬プローブ7aが下降する動作の時にオーバーフロー部222に流され、試薬プローブ7aが洗浄槽下降停止後も洗浄ノズル201の洗浄水は吐出した状態にしておくため、汚れた洗浄水にはならない。結果として絞り部301上部にたまった洗浄水を絞り部301内に引き込んでも、試薬プローブ7aを汚すことにはならない。
【0072】
図6Bに示した試薬プローブ7aの洗浄動作タイムチャートに基づいて、試薬プローブ7a、洗浄ノズル201、電磁弁302、真空ノズル212、213、214の動作について説明する。
【0073】
図6Bにおいて、時間a’にて、洗浄ノズル201からの洗浄水吐出を開始し、次に、時間c’にて、試薬プローブ7aを洗浄槽32に向けての下降を開始し、洗浄槽32内に挿入していく。そして、時間d’にて、試薬プローブ7aから洗浄水を吐出することにより試薬プローブ7a内を洗浄する内洗を開始する。この内洗と、プローブ7aの外側の洗浄は同時に行われている。試薬プローブ7aを開口部に挿入するタイミングでは、開口部は洗浄水で覆われており、当該プローブ7aが開口部を通過した後の時間である時間d’で試薬プローブ7aから洗浄水を吐出する。
【0074】
つまり、コントローラは、洗浄ノズル201から洗浄水を吐出させながらプローブが挿入される開口部が当該洗浄水で覆われた状態で、当該プローブを開口部に向かって下降させ、当該プローブの先端が上記開口部を通過した後に、開口部が当該洗浄水で覆われた状態、かつ、当該プローブを下降させながら、当該プローブ内から洗浄水を吐出させている。この構造でも
図2A、3A、6Aと同様に洗浄ノズル201から出た洗浄水は絞り部301に対して蓋の役割を果たすため、試薬プローブ7aの先端が、絞り部301より下部に位置する間は、試薬プローブ7aの内面を洗浄する洗浄水は絞り部301から飛散することはない。また、この蓋の役割により、内洗水を早期に吐出することができるようになり、洗浄時間の短縮が可能となる。
【0075】
次に、時間e’にて、試薬プローブ7aの下降動作を停止し、続いて、時間g’にて、洗浄ノズル201による洗浄水の吐出を停止する。
【0076】
次に、時間h’にて、電磁弁302を閉状態とし、時間i’にて真空ノズル212、213、214による洗浄槽32の内部吸引が開始される。そして、時間j’にて、試薬プローブ7aの上昇動作が開始される。続いて、時間k’にて、試薬プローブ7aの内部洗浄動作を停止し、時間l’にて、試薬プローブ7aの上昇動作が停止されるとともに、真空ノズル212、213、214による洗浄槽32の内部吸引が停止される。そして、時間m’にて、電磁弁302が開状態とされる。
【0077】
つまり、コントローラは、試薬プローブ7aの下降動作を停止させた後に、洗浄ノズル201(洗浄機構)の洗浄液の吐出動作を停止させ、真空ノズル212、213、214(乾燥機構)による真空吸引動作を行いながら当該プローブを上昇させている。このように、試薬プローブ7aの上昇中の真空吸引により、乾燥させながらのプローブ引き抜きを行うことができ、洗浄時間を短縮することができる。また、真空吸引中は、絞り部301の開口部を介して、洗浄槽32の外部から内部に空気を引き込む流れになることから、プローブの外部に付着した洗浄水をプローブ先端側へ追い遣ることができ、真空ノズルの吸引力と共に、乾燥効果を高める空気の流れを生じさせることができる。加えて、当該空気の引き込む流れにより、プローブの内洗水が絞り部301から飛散することを抑制することができる。これによって、試薬プローブ7aの内部をプローブ7aの下降から上昇まで長時間にわたり洗浄することが可能となり、試薬プローブ7aの洗浄を効果的に行うことが出来る。
【0078】
また、コントローラは、プローブ7aを上昇させた後、かつ、プローブ7aの先端が開口部を通過する前に、プローブ内からの洗浄水の吐出を停止させている。これにより、内洗水が絞り部301の上方で飛散するのを抑制できる。
【0079】
また、コントローラは、真空ノズル212、213、214(乾燥機構)による真空吸引動作を開始した後、かつ、所定時間(時間i’と時間j’の間の時間)が経過した後に、プローブ7a
を上昇させている。この真空吸引動作により、蓋の役割を果たしていた洗浄ノズル201から出た洗浄水を絞り部301の下方に吸引して、前述の所定時間内に絞り部301を乾燥させることができる。乾燥させた後に、プローブ7aを上昇させることで、より効果的にプローブ外側を乾燥させることができる。洗浄ノズル201の洗浄水の吐出を停止させることで、絞り部301から洗浄水は重力により下方に流れ出すが、真空吸引を行わない場合、プローブと開口部との隙間が狭いため開口部が乾燥するまで時間がかかる。一方、真空吸引動作を絞り部301の乾燥前に行うことでこの時間を短縮することができる。つまり、この真空ノズル212、213、214(乾燥機構)は、プローブ外側を乾燥させるための役割の他、絞り部301を早急に乾燥させる役割も兼ね備えている。
【0080】
なお、
図6Bで示した他の動作も、コントローラ21に格納されたプログラムに従って、コントローラ21からの指令により実行される。
【0081】
なお、
図3Aと同様に
図3Bにおいて、絞り部301は、洗浄ノズル201から吐出される洗浄水が水平方向に流れる流路を形成し、この流路は、開口部より下流側の流路幅が上流側の流路幅より小となっている。これにより、洗浄水が開口部に溜まり易くなり、効果的に開口部を洗浄水で覆うことができる。つまり、プローブ内面を洗浄する洗浄水の絞り部301からの飛散を抑制する液体の蓋としての役割を、早急に担うことができる、若しくは、同じ吐出水量でも蓋を厚く形成できる。
【0082】
図11は、洗浄槽32の変形例を示す図である。
図11の右側には絞り部301の一部を拡大して示し、このように絞り部301により形成する開口の形状をすり鉢形状にすることで洗浄ノズル201から出た洗浄水をすり鉢形状の箇所にためることが出来る。結果として、上記と同様に、洗浄水の飛散の防止等を行うことができる。ここで、すり鉢形状とは、絞り部が形成する開口部の開口径が上部から下部に向かって小となっていく形状を意味する。
【0083】
また、
図3A、
図3Bに示したように、流路絞り部304により流路を絞り、
図11に示すように、絞り部301によりすり鉢形状の開口部とすることを組み合わせることで洗浄ノズル201から吐出された洗浄水が絞り部301のすり鉢形状にあたることで乱流となり、流路絞り部304で流路が絞られることで更なる乱流となるため、更なる洗浄効果を得ることも可能である。
【0084】
なお、試薬プローブ7aの洗浄後、試薬プローブ7aの水滴除去上昇までに、絞り部301の上部の洗浄水がオーバーフロー部222まで流れずに留まった場合は、真空ノズル211で吸引することが可能である。または、オーバーフロー部222に向かって傾斜を設けて、絞り部301の上部には洗浄水がたまりにくく形状とすることも可能である。
【0085】
また、真空ノズル211を設けなくても、試薬プローブ7aの洗浄後に再度、試薬プローブ7aの洗浄ノズル201からの洗浄水で濡れた範囲を絞り部301より下降させる、もしくは下降と同時に、真空吸引させ、絞り部301付近の洗浄水を除去することで、試薬プローブ7aに付着した洗浄水を除去することが出来る。
【0086】
または、試薬プローブ7aの洗浄後に、真空吸引を実施し、洗浄ノズル201での洗浄水で濡れた試薬プローブ7aの範囲の洗浄水を除去し、再度、試薬プローブ7aの洗浄ノズル201で洗浄した範囲を、絞り部301より下降させた後に、真空吸引することで、試薬プローブ7aに付着した洗浄水を除去することも可能である。
【0087】
また、
図11に示すように、洗浄ノズル204をさらに追加することも可能である。
【0088】
また、洗浄ノズル202、203、204と真空ノズル212、213を洗浄槽32の内部に突出する突起物となるように配置すれば、洗浄槽32の上方位置にある洗浄ノズル202から吐出された洗浄水は、洗浄槽32内に挿入された試薬プローブ7aを中心として、流速の分布が生じる乱流となり落下することになる。このため、突起を設けることなく、上部から洗浄水を試薬プローブ7aに向けて落下あるいは噴出させるよりも洗浄効果を向上することができる。サンプルプローブ7aに付着する洗浄水はどう残水しようとも、洗浄ノズル202〜204からの洗浄水の吐出停止後、真空ノズル211〜213により真空吸引により除去するため、問題にはならない。
【0089】
なお、
図11に示した例において、洗浄ノズル202〜204と真空ノズル211〜213の位置を左右に配置しているが、配置の方法においても、洗浄ノズル202〜204と真空ノズル211〜213とを交互に配置しても、洗浄ノズルと真空ノズルを上下に組み合わせても、試薬プローブ7aの洗浄効果は同等に得ることができる。よって、洗浄ノズルと真空ノズルの配置による制約はない。
【0090】
また、試薬プローブ7aを洗浄槽32内に挿入したときの、真空ノズル211〜213と試薬プローブ7aとの距離を1mm以下となるように構成すれば、試薬プローブ7aの側面に付着した洗浄水を直接吸引することも可能となる。よって、試薬プローブ7aの上昇中は、常に真空吸引させておけば、試薬プローブ7aに付着した洗浄水を直接吸引し、さらに、絞り部301で吹き飛ばしの効果が得られる。これによる洗浄水の付着除去効果は絶大であり、洗浄水の付着を最小限に留めることが可能となる。
【0091】
本発明の一実施例は、上述したように、洗浄槽32の絞り部301に洗浄ノズル201から洗浄水を供給し、絞り部301を洗浄し、かつ、絞り部301及び洗浄後の試薬プローブ7aに付着した液滴を吸引ノズル211で吸引するように構成したので、プローブの洗浄から乾燥を同一の洗浄槽により行い、かつ、洗浄後のプローブが洗浄槽32の開口部から引き出される際に液体が付着することが回避可能な洗浄装置を有する自動分析装置を実現することができる。
【0092】
さらに、本発明の一実施例によれば、試薬プローブ7aを洗浄槽32内に挿入し、下降動作させながら、プローブ7aの内面洗浄動作を行うと同時に洗浄ノズル201〜203によりプローブ7aの外側洗浄を実施し、試薬プローブ7aの上昇中にも真空ノズル211、212による乾燥動作を行うように構成したので、試薬プローブ7aの洗浄、乾燥動作を高速化し、短時間とすることができる。
【0093】
なお、
図2Aに示した例では、洗浄ノズル203、真空ノズル212、213の取り付けに洗浄槽32の側面に対して垂直ではなく角度を持たせているが、この取り付け角度は、角度を持たせても、水平に配置しても、必要な性能は得ることが出来る。
【0094】
例えば、真空吸引ノズル211、212、213の配置に関しては、数量も互い違いに対角に配置することも可能であるし、真空吸引ノズルの数を増やすことで絞り部301からの空気の入り込む速度を変化させることが出来るので取り付け角度に制限はない。
【0095】
絞り部301の下部に配置した洗浄ノズルの数も
図2Aに示した例では2本、
図11に示した例では3本としているが、高圧ポンプからの洗浄ノズルを1本、もしくは低圧ポンプからの洗浄ノズルを2本、もしくは3本と洗浄ノズルの配置数を変えても必要な洗浄効果は得ることが出来る。
【0096】
また、絞り部301の下部の洗浄ノズル、真空ノズルが配置されている洗浄槽32の内部形状は、円筒形状でも、四角形状で使用しても良い。
【0097】
また、本発明の洗浄槽32を試薬プローブ7aに関して記述したが、サンプルプローブ11aを試料容器15の検体内に深く突っ込み、試料容器15の底部から試料を吸引する分注方式もある。この場合、サンプルプローブ11aの洗浄範囲は広範囲に亘る。従って、本発明の洗浄槽は試薬プローブの洗浄みに限定されるものではなく、サンプルプローブ等の広範囲の洗浄を要するプローブの洗浄に関して有効である。
【0098】
なお、吸引ノズル211、洗浄ノズル201は第1の洗浄乾燥機構を構成し、真空ノズル(吸引ノズル)212、213、洗浄ノズル202、203は第2の洗浄乾燥機構を構成する。