(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置状況に関する適用条件は、前記処理室内に収容された被処理体の枚数と位置を示す被処理体の移載レイアウト、トータル移載枚数、ダミー被処理体の枚数と位置を示すダミー被処理体レイアウト、モニター被処理体の枚数と位置を示すモニター被処理体レイアウト、前記処理室内に付着した累積膜厚、および、ダミー被処理体に付着した累積膜厚の少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項1または2に処理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような基板処理システムでは、装置の運用状況、例えば、製品投入枚数が大きく変わったときに、成膜された膜厚をフィードバックし、処理条件を更新すると、膜厚再現性が劣化しまう。これは、製品投入枚数が大きく変わると、ローディング効果の影響で膜厚再現性が劣化するためである。このため、装置の運用状況を考慮しつつ、膜厚再現性(処理の再現性)を向上させることができる処理装置が望まれている。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、装置の運用状況に応じて処理の再現性を向上させることができる処理システム、処理方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる処理システムは、
処理室内に収容された被処理体の処理内容に応じた処理条件および装置状況に関する適用条件を記憶する処理条件記憶手段と、
前記処理条件の変化と、処理結果の変化との関係を示す処理変化モデルを記憶する処理変化モデル記憶手段と、
前記被処理体の目標とする処理結果に関する情報を受信する処理情報受信手段と、
前記処理情報受信手段により受信された目標とする処理結果に関する情報と、前記処理条件記憶手段により記憶された処理条件とに基づいて、必要な処理条件を特定する処理条件特定手段と、
前記処理条件特定手段により特定された処理条件で前記被処理体に処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段で実行した処理における装置状況が、前記処理条件特定手段により特定された処理条件に対応する装置状況に関する適用条件に適合しているか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により装置状況に関する適用条件に適合していると判別されると、前記処理実行手段により実行された処理条件と、当該処理条件で処理した処理結果と、前記処理変化モデル記憶手段に記憶された処理変化モデルとに基づいて、前記目標とする処理結果に近い処理条件を算出する処理条件算出手段と、
前記処理条件算出手段により算出された処理条件を前記処理条件特定手段により特定された処理条件に更新する処理条件更新手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0008】
例えば、前記処理内容は成膜処理であり、
前記処理結果は前記被処理体に形成された薄膜の膜厚または膜中不純物濃度である。
【0009】
前記装置状況に関する適用条件は、例えば、前記処理室内に収容された被処理体の枚数と位置を示す被処理体の移載レイアウト、トータル移載枚数、ダミー被処理体の枚数と位置を示すダミー被処理体レイアウト、モニター被処理体の枚数と位置を示すモニター被処理体レイアウト、前記処理室内に付着した累積膜厚、および、ダミー被処理体に付着した累積膜厚の少なくとも1つである。
【0010】
本発明の第2の観点にかかる処理方法は、
処理室内に収容された被処理体の処理内容に応じた処理条件および装置状況に関する適用条件を記憶する処理条件記憶工程と、
前記処理条件の変化と、処理結果の変化との関係を示す処理変化モデルを記憶する処理変化モデル記憶工程と、
前記被処理体の目標とする処理結果に関する情報を受信する処理情報受信工程と、
前記処理情報受信工程で受信された目標とする処理結果に関する情報と、前記処理条件記憶工程で記憶された処理条件とに基づいて、必要な処理条件を特定する処理条件特定工程と、
前記処理条件特定工程で特定された処理条件で前記被処理体に処理を実行する処理実行工程と、
前記処理実行工程で実行した処理における装置状況が、前記処理条件特定工程で特定された処理条件に対応する装置状況に関する適用条件に適合しているか否かを判別する判別工程と、
前記判別工程で装置状況に関する適用条件に適合していると判別されると、前記処理実行工程で実行された処理条件と、当該処理条件で処理した処理結果と、前記処理変化モデル記憶工程で記憶された処理変化モデルとに基づいて、前記目標とする処理結果に近い処理条件を算出する処理条件算出工程と、
前記処理条件算出工程で算出された処理条件を前記処理条件特定工程で特定された処理条件に更新する処理条件更新工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
コンピュータを、
処理室内に収容された被処理体の処理内容に応じた処理条件および装置状況に関する適用条件を記憶する処理条件記憶手段、
前記処理条件の変化と、処理結果の変化との関係を示す処理変化モデルを記憶する処理変化モデル記憶手段、
前記被処理体の目標とする処理結果に関する情報を受信する処理情報受信手段、
前記処理情報受信手段により受信された目標とする処理結果に関する情報と、前記処理条件記憶手段により記憶された処理条件とに基づいて、必要な処理条件を特定する処理条件特定手段、
前記処理条件特定手段により特定された処理条件で前記被処理体に処理を実行する処理実行手段、
前記処理実行手段で実行した処理における装置状況が、前記処理条件特定手段により特定された処理条件に対応する装置状況に関する適用条件に適合しているか否かを判別する判別手段、
前記判別手段により装置状況に関する適用条件に適合していると判別されると、前記処理実行手段により実行された処理条件と、当該処理条件で処理した処理結果と、前記処理変化モデル記憶手段に記憶された処理変化モデルとに基づいて、前記目標とする処理結果に近い処理条件を算出する処理条件算出手段、
前記処理条件算出手段により算出された処理条件を前記処理条件特定手段により特定された処理条件に更新する処理条件更新手段、
として機能させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の運用状況に応じて処理の再現性を向上させることができる処理システム、処理方法、及び、プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の処理システム、処理方法、及び、プログラムを、
図1に示すバッチ式の縦型の熱処理装置に適用した場合を例に本実施の形態を説明する。また、本実施の形態では、成膜用ガスとして、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)と一酸化二窒素(N
2O)とを用いて、半導体ウエハにSiO
2膜を形成する場合を例に本発明を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の熱処理装置1は、略円筒状で有天井の反応管2を備えている。反応管2は、その長手方向が垂直方向に向くように配置されている。反応管2は、耐熱及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0016】
反応管2の下側には、略円筒状のマニホールド3が設けられている。マニホールド3は、その上端が反応管2の下端と気密に接合されている。マニホールド3には、反応管2内のガスを排気するための排気管4が気密に接続されている。排気管4には、バルブ、真空ポンプなどからなる圧力調整部5が設けられており、反応管2内を所望の圧力(真空度)に調整する。
【0017】
マニホールド3(反応管2)の下方には、蓋体6が配置されている。蓋体6は、ボートエレベータ7により上下動可能に構成され、ボートエレベータ7により蓋体6が上昇するとマニホールド3(反応管2)の下方側(炉口部分)が閉鎖され、ボートエレベータ7により蓋体6が下降すると反応管2の下方側(炉口部分)が開口されるように配置されている。
【0018】
蓋体6の上部には、保温筒(断熱体)8を介して、ウエハボート9が設けられている。ウエハボート9は、被処理体、例えば、半導体ウエハWを収容(保持)するウエハ保持具であり、本実施の形態では、半導体ウエハWが垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚、例えば、150枚収容可能に構成されている。そして、ウエハボート9に半導体ウエハWを収容し、ボートエレベータ7により蓋体6を上昇させることにより、半導体ウエハWが反応管2内にロードされる。
【0019】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように、例えば、抵抗発熱体からなるヒータ部10が設けられている。このヒータ部10により反応管2の内部が所定の温度に加熱され、この結果、半導体ウエハWが所定の温度に加熱される。ヒータ部10は、例えば、5段に配置されたヒータ11〜15から構成され、ヒータ11〜15には、それぞれ電力コントローラ16〜20が接続されている。このため、この電力コントローラ16〜20にそれぞれ独立して電力を供給することにより、ヒータ11〜15をそれぞれ独立に所望の温度に加熱することができる。このように、反応管2内は、このヒータ11〜15により、
図2に示すような5つのゾーンに区分されている。例えば、反応管2内のTOP(ZONE1)を加熱する場合には、電力コントローラ16を制御してヒータ11を所望の温度に加熱する。反応管2内のCENTER(CTR(ZONE3))を加熱する場合には、電力コントローラ18を制御してヒータ13を所望の温度に加熱する。反応管2内のBOTTOM(BTM(ZONE5))を加熱する場合には、電力コントローラ20を制御してヒータ15を所望の温度に加熱する。
【0020】
また、マニホールド3には、反応管2内に処理ガスを供給する複数の処理ガス供給管が設けられている。なお、
図1では、マニホールド3に処理ガスを供給する3つの処理ガス供給管21〜23を図示している。処理ガス供給管21は、マニホールド3の側方からウエハボート9の上部付近(ZONE1)まで延びるように形成されている。処理ガス供給管22は、マニホールド3の側方からウエハボート9の中央付近(ZONE3)まで延びるように形成されている。処理ガス供給管23は、マニホールド3の側方からウエハボート9の下部付近(ZONE5)まで延びるように形成されている。
【0021】
各処理ガス供給管21〜23には、それぞれ、流量調整部24〜26が設けられている。流量調整部24〜26は、処理ガス供給管21〜23内を流れる処理ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラ(MFC)などから構成されている。このため、処理ガス供給管21〜23から供給される処理ガスは、流量調整部24〜26により所望の流量に調整されて、それぞれ反応管2内に供給される。
【0022】
また、熱処理装置1は、反応管2内のガス流量、圧力、処理雰囲気の温度といった処理パラメータを制御するための制御部(コントローラ)50を備えている。制御部50は、流量調整部24〜26、圧力調整部5、ヒータ11〜15の電力コントローラ16〜20等に制御信号を出力する。
図3に制御部50の構成を示す。
【0023】
図3に示すように、制御部50は、モデル記憶部51と、レシピ記憶部52と、ログ記憶部53と、ROM(Read Only Memory)54と、RAM(Random Access Memory)55と、I/O(Input/Output Port)ポート56と、CPU(Central Processing Unit) 57と、これらを相互に接続するバス58と、から構成されている。
【0024】
モデル記憶部51には、ヒータの温度の変化と形成されるSiO
2膜の膜厚変化との関係を示す膜厚変化モデルが記憶されている。
図4に膜厚変化モデルの一例を示す。
図4に示すように、膜厚変化モデルは、所定ZONEの温度を1℃上げたとき、各ZONEに形成されるSiO
2膜の膜厚がどれだけ変化するかを示している。例えば、
図4に示すように、電力コントローラ16を制御してヒータ11を加熱することによりZONE1の温度設定値を1℃上げると、ZONE1に形成されるSiO
2膜の膜厚が2nm増加し、ZONE2に形成されるSiO
2膜の膜厚が0.7nm減少し、ZONE3に形成されるSiO
2膜の膜厚が0.8nm増加し、ZONE4に形成されるSiO
2膜の膜厚が0.05nm減少する。
【0025】
レシピ記憶部52には、この熱処理装置1で実行される成膜処理の種類に応じて、制御手順を定めるプロセス用レシピが記憶されている。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う処理(プロセス)毎に用意されるレシピであり、反応管2への半導体ウエハWのロードから、処理済みの半導体ウエハWをアンロードするまでの温度、時間、ガス流量等を規定する。具体的には、各部の温度の変化、反応管2内の圧力変化、ガスの供給の開始及び停止のタイミング、供給量などを規定する。また、プロセス用レシピには、ウエハボート9上の半導体ウエハWの枚数と位置を示すウエハ移載レイアウト、ウエハボート9上のトータル移載枚数、ダミーウエハの枚数と位置を示すダミーウエハレイアウト、モニターウエハの枚数と位置を示すモニターウエハレイアウト等の適用条件、および、反応管2(プロセスチューブ)、ウエハボート9、ダミーウエハ等の累積膜厚の適用条件が記憶されている。
【0026】
ログ記憶部53には、実施した処理に関する各種のログ、例えば、プロセスログなどが記憶されている。プロセスログには、例えば、処理により作成・登録された日時、プロセス条件(温度、時間、ガス流量等)、ウエハボート9上のトータル移載枚数、半導体ウエハWのウエハ移載レイアウト、ダミーウエハのダミーウエハレイアウト、モニターウエハのモニターウエハレイアウト、反応管2(プロセスチューブ)、ウエハボート9、ダミーウエハの累積膜厚などが記憶されている。
【0027】
ROM54は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU57の動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。
RAM55は、CPU57のワークエリアなどとして機能する。
【0028】
I/Oポート56は、温度、圧力、ガスの流量に関する測定信号をCPU57に供給すると共に、CPU57が出力する制御信号を各部(圧力調整部5、ヒータ11〜15の電力コントローラ16〜20、流量調整部24〜26等)へ出力する。また、I/Oポート56には、操作者が熱処理装置1を操作する操作パネル59が接続されている。
【0029】
CPU57は、制御部50の中枢を構成し、ROM54に記憶された動作プログラムを実行し、操作パネル59らの指示に従って、レシピ記憶部52に記憶されているプロセス用レシピに沿って、熱処理装置1の動作を制御する。
【0030】
CPU57は、モデル記憶部51に記憶されている膜厚変化モデルと、形成されたSiO
2膜の膜厚とに基づいて、目標膜厚が形成される反応管2内の各ZONE(ZONE1〜5)に配置されたヒータ11〜15の設定温度を算出する。
【0031】
バス58は、各部の間で情報を伝達する。
【0032】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用いた熱処理方法(熱処理)について説明する。本発明の熱処理方法は、所定条件を満たす場合に、測定膜厚の結果をレシピにフィードバックして膜厚再現性を向上させる熱処理方法である。
図5は、本例の熱処理を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、操作者は、操作パネル59を操作して、実行するプロセス種別等の必要な情報を入力する。具体的には、操作者は、実施する処理装置と、プロセス種類、本例では、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)と一酸化二窒素(N
2O)とのSiO
2膜の成膜(DCS−HTO)とを選択するとともに、ターゲットとなるSiO
2膜の膜厚(目標膜厚)を、例えば、ゾーンごとに入力する。
【0034】
制御部50(CPU57)は、プロセス種別等の必要な情報が入力されたか否かを判別する(ステップS1)。CPU57は、必要な情報が入力されていると判別すると(ステップS1;Yes)、入力されたプロセス種別に対応するプロセス用レシピをレシピ記憶部52から読み出す(ステップS2)。プロセス用レシピには、反応管2内の圧力、温度などのプロセス条件が記憶されている。例えば、プロセス用レシピには、反応管2内のZONE1〜5の温度が記憶されている。
【0035】
次に、CPU57は、読み出したプロセス用レシピのプロセス条件で成膜処理を実行する(ステップS3)。具体的には、CPU57は、ボートエレベータ7(蓋体6)を降下させ、少なくとも各ZONEに半導体ウエハW(モニターウエハ)を搭載したウエハボート9を蓋体6上に配置する。次に、CPU57は、ボートエレベータ7(蓋体6)を上昇して、ウエハボート9(半導体ウエハW)を反応管2内にロードする。そして、CPU57は、更新したプロセス条件が記載されたレシピに従って、圧力調整部5、ヒータ11〜15の電力コントローラ16〜20、流量調整部24〜26等を制御して、半導体ウエハWにSiO
2膜を成膜する。
【0036】
CPU57は、成膜処理が終了すると、成膜されたSiO
2膜の膜厚を測定する(ステップS4)。例えば、CPU57は、ボートエレベータ7(蓋体6)を降下させ、SiO
2膜が成膜された半導体ウエハWをアンロードし、半導体ウエハWを、例えば、図示しない測定装置に搬送し、半導体ウエハWに成膜されたSiO
2膜の膜厚を測定させる。測定装置では、半導体ウエハWに成膜されたSiO
2膜の膜厚を測定すると、例えば、測定したSiO
2膜の膜厚データを熱処理装置1(CPU57)に送信する。CPU57は、測定されたSiO
2膜の膜厚データを受信することにより、成膜されたSiO
2膜の膜厚を特定する。なお、操作者が操作パネル59を操作して、測定結果を入力してもよい。
【0037】
CPU57は、成膜されたSiO
2膜の膜厚が測定されると、フィードバック判別処理を実行する(ステップS5)。
図6は、フィードバック判別処理を説明するためのフローチャートである。なお、本例では、後述するように、ウエハ移載レイアウトが合致し、累積膜厚が基準値内である場合に、測定膜厚に基づいてレシピを更新するフィードバック処理を実行する場合を例に説明する。
【0038】
まず、CPU57は、膜厚測定結果に該当する(当該RUNの)プロセスログを読み出す(ステップS21)。次に、CPU57は、読み出したプロセスログに記憶されたウエハ移載レイアウトがプロセス用レシピに規定された適用条件に合致するか否かを判別する(ステップS22)。CPU57は、ウエハ移載レイアウトがプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しないと判別すると(ステップS22;No)、この処理を終了する。
【0039】
CPU57は、ウエハ移載レイアウトがプロセス用レシピに規定された適用条件に合致すると判別すると(ステップS22;Yes)、読み出したプロセスログからチューブ累積膜厚(当該RUN開始時のチューブ累積膜厚)を取得する(ステップS23)。次に、CPU57は、取得したチューブ累積膜厚がプロセス用レシピに規定された適用条件に合致するか否かを判別する(ステップS24)。CPU57は、取得したチューブ累積膜厚がプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しないと判別すると(ステップS24;No)、この処理を終了する。
【0040】
CPU57は、取得したチューブ累積膜厚がプロセス用レシピに規定された適用条件に合致すると判別すると(ステップS24;Yes)、膜厚測定結果と、プロセス用レシピのプロセス条件と、モデル記憶部51に記憶された膜厚変化モデルとに基づいて、入力した目標膜厚に最も近づく温度等のプロセス条件を算出する(ステップS25)。なお、このプロセス条件の算出方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば、米国特許第5,991,525号公報などに開示されているカルマンフィルターによる学習機能による手法を利用することができる。
【0041】
このように、ウエハ移載レイアウト、および、チューブ累積膜厚がプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しているとき、すなわち、装置の運用状況が変化していないときに、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックしているので、膜厚再現性(処理の再現性)を向上させることができる。また、装置の運用状況が変化したときには、測定膜厚の結果をフィードバックし、処理条件を更新することがない。このため、膜厚再現性(処理の再現性)を低下させることがなくなる。
【0042】
次に、CPU57は、算出したプロセス条件(温度)でプロセス用レシピを更新し(ステップS26)、フィードバック判別処理を終了する。
【0043】
続いて、CPU57は、所定の処理(成膜)が終了したか否かを判別する(ステップS6)。CPU57は、成膜が終了していないと判別すると(ステップS6;No)、ステップS3に戻り、更新したプロセス条件(温度)で成膜処理を実行する(ステップS3)。CPU57は、成膜が終了したと判別すると(ステップS6;Yes)、この処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ウエハ移載レイアウト、および、チューブ累積膜厚がプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しているときに、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックしているので、膜厚再現性(処理の再現性)を向上させることができる。また、これ以外の場合には、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックしないので、膜厚再現性(処理の再現性)を低下させることがなくなる。
【0045】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0046】
上記実施の形態では、ウエハ移載レイアウト、および、チューブ累積膜厚がプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しているときに、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックした場合を例に本発明を説明したが、例えば、ウエハ移載レイアウト、ダミーウエハのレイアウト、モニタウエハのレイアウト、ウエハボート9のトータル移載枚数の少なくとも1つがプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しているときに、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックしてもよい。また、チューブ累積膜厚、ウエハボート9の累積膜厚、ダミーウエハの累積膜厚の少なくとも1つがプロセス用レシピに規定された適用条件に合致しているときに、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックしてもよい。プロセス用レシピに規定された適用条件は、測定膜厚の結果をプロセス用レシピにフィードバックすると、膜厚再現性(処理の再現性)が低下するようなものであればよく、これらの条件に限定されるものではない。
【0047】
上記実施の形態では、ジクロロシランと一酸化二窒素とを用いてSiO
2膜を形成する場合を例に本発明を説明したが、例えば、ジクロロシランとアンモニア(NH
3)とを用いたSiN膜の成膜にも本発明を適用可能である。
【0048】
上記実施の形態では、SiO
2膜を形成する場合を例に本発明を説明したが、処理の種類は任意であり、他種類の膜を形成するCVD(Chemical Vapor Deposition)装置、酸化装置などの様々な熱処理装置に適用可能である。
【0049】
上記実施の形態では、目標とする処理結果について、SiO
2膜の膜厚を例に本発明を説明したが、例えば、SiO
2膜中に含まれる不純物濃度(膜中不純物濃度)であってもよい。この場合、モデル記憶部51には、ヒータの温度の変化とガス流量の調整と形成されるSiO
2膜の膜中不純物濃度の変化との関係を示す変化モデルが記憶されている。
【0050】
上記実施の形態では、ヒータの段数(ゾーンの数)が5段の場合を例に本発明を説明したが、4段以下であっても、6段以上であってもよい。また。各ゾーンから抽出する半導体ウエハWの数などは任意に設定可能である。
【0051】
上記実施の形態では、単管構造のバッチ式熱処理装置の場合を例に本発明を説明したが、例えば、反応管2が内管と外管とから構成された二重管構造のバッチ式縦型熱処理装置に本発明を適用することも可能である。また、枚葉式の処理装置に本発明を適用することも可能である。本発明は、半導体ウエハの処理に限定されるものではなく、例えば、FPD(Flat Panel Display)基板、ガラス基板、PDP(Plasma Display Panel)基板などの処理にも適用可能である。
【0052】
本発明の実施の形態にかかる制御部50は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)など)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部50を構成することができる。
【0053】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS:Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。