(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年ではワークの微細化等に伴い、更なる焦点合わせの高精度化が要求されている。上記した特許文献1に記載のフォーカス検出ユニットでは、スリットマスクを用いて、照準ダブル線と照準シングル線とがそれぞれ形成されている。従って被検物に投影されるパターンの形状や投影位置等に制限があり、高精度化の要求に対応できない可能性がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高精度に焦点を合わすことが可能となるフォーカス検出ユニット、及び光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るフォーカス検出ユニットは、光学系により結像される対象物の像の焦点を合わせるフォーカス検出ユニットであって、第1の出射部と、第2の出射部と、投射光学系とを具備する。
前記第1の出射部は、入射する光をもとに第1のパターン画像を生成する第1の光変調素子を有し、前記生成された第1のパターン画像を出射する。
前記第2の出射部は、入射する光をもとに第2のパターン画像を生成する第2の光変調素子を有し、前記生成された第2のパターン画像を出射する。
前記投射光学系は、前記出射された第1及び第2のパターン画像を、前記光学系の合焦位置にて所定の位置関係となるようにそれぞれ投射する。
【0007】
このフォーカス検出ユニットでは、光変調素子により焦点合わせを行う際の基準となる第1及び第2のパターン画像がそれぞれ生成される。これにより第1及び第2のパターン画像の形状や投射位置等を適宜設定することができる。この結果、高精度に焦点を合わすことが可能となる。
【0008】
前記第1のパターン画像は、第1の中心部を有してもよい。この場合、前記第2のパターン画像は、第2の中心部を有してもよい。また前記投射光学系は、前記合焦位置にて前記第1及び前記第2の中心部が互いに隣接するように、前記第1及び前記第2のパターン画像をそれぞれ投射してもよい。
これにより焦点の合致を容易に判断することができる。
【0009】
前記第1の光変調素子は、前記第1のパターン画像の形状を変更可能であってもよい。この場合、前記第2の光変調素子は、前記変更された前記第1のパターン画像の形状に対応する形状となるように、前記第2のパターン画像の形状を変更可能であってもよい。
これにより例えば微小な領域や特定の形状を有する領域等に第1及び第2のパターン画像を投射することが可能となる。
【0010】
前記第1の光変調素子は、複数の第1の画素を有し、前記複数の第1の画素のうちの前記第1のパターン画像を生成する第1のパターン画像用画素の位置を変更可能であってもよい。この場合、前記第2の光変調素子は、複数の第2の画素を有し、前記変更された第1のパターン画像用画素の位置に応じた位置に、前記複数の第2の画素のうちの前記第2のパターン画像を生成する第2のパターン画像用画素の位置を変更可能であってもよい。
このように第1及び第2の光変調素子において、第1及び第2のパターン画像を生成する第1及び第2のパターン画像用画素の位置をそれぞれ適宜変更することが可能である。従って合焦位置にて所定の位置関係となる第1及び第2のパターン画像の投射位置を適宜変更することが可能となる。
【0011】
前記第1の光変調素子は、複数の第1のパターン画像を生成してもよい。この場合、前記第2の光変調素子は、前記複数の第1のパターン画像に対応する複数の第2のパターン画像を生成してもよい。また前記投射光学系は、前記光学系の合焦位置にて、前記複数の第1のパターン画像の各々と、これに対応する前記複数の第2のパターン画像の各々とが、異なる投射位置にてそれぞれ前記所定の位置関係となるように、投射を行ってもよい。
これにより例えば対象物の位置を移動させることなく対象物の異なる領域の焦点をそれぞれ合わせることができる。この結果、測定時間の短縮等を図ることができる。
【0012】
前記第1の出射部は、所定の色を有する前記第1のパターン画像を出射してもよい。この場合、前記第2の出射部は、前記所定の色に対応する色を有する第2のパターン画像を出射してもよい。
例えば対象物の色に応じてパターン画像の色を適宜設定することで視認性を高めることができ、高精度に焦点を合わせることが可能となる。
【0013】
前記所定の色及び前記所定の色に対応する色は、互いに同じ色であり、前記対象物の前記第1及び前記第2のパターン画像が投射される領域が有する色と補色の関係にある色であってもよい。
これによりユーザの視認性を十分に向上させることができる。
【0014】
前記第1及び前記第2の光変調素子は、それぞれ液晶パネルであってもよい。
【0015】
前記第1及び前記第2の光変調素子は、それぞれマイクロミラーデバイスであってもよい。
【0016】
本発明の一形態に係る光学装置は、載置部と、結像光学系と、前記フォーカス検出ユニットとを具備する。
前記載置部には、対象物が載置される。
前記結像光学系は、前記載置部に載置された対象物の像を結像する。
【0017】
前記第1の光変調素子は、複数の第1のパターン画像を生成してもよい。この場合、前記第2の光変調素子は、前記複数の第1のパターン画像に対応する複数の第2のパターン画像を生成してもよい。また前記投射光学系は、前記結像光学系の合焦位置にて、前記複数の第1のパターン画像の各々と、これに対応する前記複数の第2のパターン画像の各々とが、異なる投射位置にてそれぞれ前記所定の位置関係となるように、投射を行ってもよい。
【0018】
前記光学装置は、さらに、前記複数の第1のパターンのうちの基準となる第1の基準パターン画像とこれに対応する第2の基準パターン画像とが前記所定の位置関係にて結像されている状態において、他の第1のパターン画像とこれに対応する他の第2のパターン画像との位置関係をもとに、前記第1及び前記第2の基準パターン画像が投射されている第1の投射面に対する、前記他の第1のパターン画像とこれに対応する前記他の第2のパターン画像とが投射されている第2の投射面の高さを算出する算出部を具備してもよい。
このように第1及び第2のパターン画像の位置関係に応じて高さ測定が行われてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、高精度に焦点を合わすことが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
[顕微鏡]
図1は、本発明の一実施形態に係る光学装置としての顕微鏡の外観を模式的に示す図である。顕微鏡100は、載置台200と、顕微鏡本体300とを有する。載置台200は、台座部210と、支柱部220と、X軸移動部230と、Y軸移動部240と、ステージ(載置部)250とを有する。台座部210は、図示しない作業台等に載置されて固定される。支柱部220は、鉛直方向(Z軸方向)に延在するように、台座部210に接続されている。
【0023】
X軸移動部230及びY軸移動部240は、台座部210に配置される。X軸移動部230及びY軸移動部240は、台座部210に対して水平方向(XY平面方向)に移動可能に設けられたステージ250に接続されている。X軸移動部230の回転操作部231への回転操作により、ステージ250がX軸方向に移動される。またY軸移動部240の回転操作部241への回転操作により、ステージ250がY軸方向に移動される。なおステージ250には、観察対象となるワークW(対象物)が載置される。
【0024】
顕微鏡本体300は、支柱部220にZ軸方向に沿って移動可能なように配置される。顕微鏡本体300は、筐体310と、Z軸移動部320と、光源部330と、カメラポート部340と、接眼レンズ350と、対物レンズ360とを有する。筐体310は、Z軸移動部320の回転操作部321への回転操作により、Z軸方向に移動される。
【0025】
光源部330は、例えばハロゲンランプ等の光源、あるいはLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)といった固体光源を有する。光源部330からの出射された光は、筐体310内の図示しない照明光学系を通り、略鉛直方向に沿ってワークWに照射される。ワークWに照射された光は反射され、対物レンズ360や結像レンズ等を含む筐体310内の図示しない結像光学系により所定の倍率で結像される。これによりワークWの像が得られる。
【0026】
ユーザは、接眼レンズ350を覗くことで、ワークWの像を観察することができる。またカメラポート部340にデジタルカメラ等をセットすることで、ワークWの像をデジタル撮影することが可能である。例えば撮影により得られたデジタル画像をもとに観察や測定等が実行可能である。
【0027】
筐体310内に配置される各光学系の具体的な構成は限定されない。例えばハーフミラーや全反射ミラー等の光学部材が適宜用いられる。また同じ光学部材が上記した照明光学系にも用いられ、かつ結像光学系にも用いられる、といったこともあり得る。
【0028】
ワークWの像の焦点(フォーカス)は、Z軸移動部320の回転操作部321を操作して、筐体310をZ軸方向に移動させることで合わせられる。例えばユーザは、接眼レンズ350を覗きながら、あるいはワークWの撮影画像を見ながら、筐体310に取り付けられた対物レンズ360の位置をZ軸方向に移動させる。そして観察の対象となるワークWの表面を、結像光学系の合焦位置に移動させることで、焦点が合わせられる。
【0029】
また顕微鏡100は、XYZ軸の位置座標を表示可能な図示しないデジタルカウンタを有する。例えばワークWの表面に手動で焦点が合わせられる。そのときのステージ250のXY平面上の位置座標(X座標、Y座標)と、筐体310の位置座標(Z座標)とがデジタルカウンタに表示される。各座標の基準点(原点)は、任意に設定されてよい。
【0030】
[フォーカス検出ユニット]
上記の顕微鏡100に、本発明に係るフォーカス検出ユニット(以下、単に検出ユニットと記載する)が取付けられる。検出ユニットは、結像光学系により結像されるワークWの像の焦点を高精度に合わせることを可能とする。検出ユニットは、例えは
図1に示すカメラポート340に取り付けて使用される。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る検出ユニット400の構成例を示す模式的な図である。
図2Aは検出ユニット400の概略的な全体構成図であり、
図2Bは検出ユニット400によりワークWに投射される第1及び第2のパターン画像の例を示す図である。第1及び第2のパターン画像は、焦点合わせを行う際の基準となる画像である。
【0032】
図2Aに示すように、検出ユニット400は、第1のパターン画像401を出射する第1の出射部405と、第2のパターン画像402を出射する第2の出射部406と、第1及び第2のパターン画像401及び402を、結像光学系370の合焦位置371にて所定の位置関係となるようにそれぞれ投射する投射光学系407と、制御部408とを有する。
【0033】
第1の出射部405は、バックライト409と、バックライト409から入射される光をもとに第1のパターン画像401を生成する第1の光変調素子としての透過型の液晶パネル(LCD)410と、図示しない出射レンズ等を有する。なお反射型の液晶パネルが用いられてもよい。
【0034】
第2の出射部406は、バックライト411と、バックライト411から入射される光をもとに第2のパターン画像402を生成する第2の光変調素子としての液晶パネル412と、図示しない出射レンズ等を有する。
図2に示すように、第1及び第2の出射部405及び406は、互いの光軸が重なるように対向して配置される。
【0035】
第1及び第2の出射部405及び406の具体的な構成は限定されない。例えばバックライト409及び411として、ハロゲンランプが用いられてもよいし、LED等が用いられてもよい。1つ光源から出射された光が分割されて、液晶パネル410及び412に入射される構成が採用されてもよい。
【0036】
また液晶パネルの具体的な構成も限定されない。その他、第1及び第2の出射部405及び406として、液晶パネルを用いて画像を生成し、その画像を出射することが可能となる任意の構成が用いられてよい。
【0037】
制御部408は、第1及び第2の出射部405及び406内の各機構の動作を制御する。制御部408は、例えばCPU、メモリ(RAM、ROM)、I/O(Input/Output)等が1チップに収められたPIC(Peripheral Interface Controller)等を含む制御回路により実現可能である。
【0038】
制御部408は、例えばユーザの操作等をもとに液晶パネル410及び412等を制御することが可能である。そのために検出ユニット400に、ユーザの操作を受け付ける操作部が設けられる。操作部としては、例えば有線または無線を介して制御部408と通信可能なコンソール等が用いられる。
【0039】
投射光学系407は、三角柱の形状を有するプリズム414と、プリズム414の前方(ワークWに向かう側)に配置された投射レンズ415とを有する。プリズム414は、第1及び第2の出射部405及び406の略中間に配置される。プリズム414は、第1の出射部405から出射された第1のパターン画像401を反射する第1の反射面416と、第2の出射部406から出射された第2のパターン画像402を反射する第2の反射面417とを有する。第1及び第2の反射面416及び417の境界となる頂点部418は、結像光学系370の光軸O(例えば
図1のカメラポート部340に向かう光軸)上に配置される。
【0040】
投射レンズ415は、結像光学系370の光軸O上に配置され、プリズム414により反射された第1及び第2のパターン画像401及び402を、所定の結像位置419に結像する。結像位置419に結像された第1及び第2のパターン401及び402は、結像光学系370に含まれるハーフミラー372及び対物レンズ360により、ワークW上に投射される。所定の結像位置419は、典型的には、結像光学系370により結像されるワークWの中間像の結像位置と略等しい位置である。
【0041】
検出ユニット400の投射光学系407は、結像光学系370の合焦位置371にて、第1及び第2のパターン画像401及び402が所定の位置関係となるように、これらのパターン画像を投射する。所定の位置関係とは、焦点が合っていることを表す位置関係であり、以後この位置関係となる第1及び第2のパターン画像401及び402により形成されるパターンを合焦パターン420と記載する。すなわち第1及び第2のパターン画像401及び402は、合焦位置371において合焦パターン420を形成する。
【0042】
図3Bでは、第1及び第2のパターン画像401及び402により合焦パターン420が形成されている状態が図示されている。
図3Bに示すように、本実施形態では、円形状を有する合焦パターン420が形成され、その上半分の部分が第1のパターン画像401となり、下半分の部分が第2のパターン画像402となる。
【0043】
第1のパターン画像401は、第1の中心部421を有し、第2のパターン画像402は、第2の中心部422を有する。投射光学系407は、合焦位置371にて、第1及び第2の中心部421及び422が互いに隣接するように、第1及び第2のパターン画像401及402をそれぞれ投射する。これにより焦点の合致を容易に判断することができる。
【0044】
第1及び第2のパターン画像401及び402の各形状、及びこれにより形成される合焦パターン420の形状は限定されない。また合焦パターン420が形成される際に、中心部同士が隣接しなくてもよい。例えば上半分の第1のパターン画像401と、下半分の第2のパターン画像402とが合焦パターン420を形成することで、所定の文字やマーク等の視認しやすい形状が構成されてもよい。
【0045】
本実施形態では、液晶パネル401及び412が用いられるので、第1及び第2のパターン画像401の形状を任意に設定/変更することができる。例えば液晶パネル410により、第1のパターン画像401の形状が変更される。そして液晶パネル412により、変更された第1のパターン画像401の形状に対応する形状となるように、第2のパターン画像402の形状を変更される。
【0046】
また液晶パネル410及び412が用いられることで、第1及び第2のパターン画像401及び412の数、サイズ、色、投射位置等を簡単に設定/変更することが可能である。このことは後にも詳しく述べる。
【0047】
図3は、液晶パネル410及び412を模式的に示す図である。液晶パネル410は複数の第1の画素424を有し、液晶パネル41は複数の第2の画素425を有する。制御部408により、第1及び第2の画素424及び425における光の透過率がそれぞれ制御されることで画像が生成される。なお
図3A及びBでは、第1及び第2の画素424及び425が、模式的に大きく図示されている。
【0048】
図3Aに示すように、複数の第1の画素424のうち、第1のパターン画像401を生成する画素を第1のパターン画像用画素426とする(画像と画素の関係は模式的である)。本実施形態では、液晶パネル410の略中央に位置する第1の画素424が、第1のパターン画像用画素426となる。
【0049】
図3Bに示すように、複数の第1の画素425のうち、第2のパターン画像401を生成する画素を第2のパターン画像用画素427とする。本実施形態では、液晶パネル410の略中央に位置する第1の画素424が、第2のパターン画像用画素426となる。第1及び第2のパターン画像用画素426及び427の位置、すなわちどの画素をパターン画像用画素とするかは、合焦位置371で合焦パターン420が形成されるように適宜設定される。
【0050】
液晶パネル410上の第1のパターン画像用画素426の位置は適宜変更可能である。そして変更された第1のパターン画像用画素426に位置に応じた位置に、第2のパターン画像用画素427を変更することも容易に可能である。第1及び第2のパターン画像用画素426及び427の位置を変更させて、液晶パネル410及び412上の第1及び第2のパターン画像401及び402の形成位置を変更させることで、合焦パターン420を形成する第1及び第2のパターン画像401及び420の投射位置を適宜変更させることができる。
【0051】
また第1及び第2の出射部405及び406と、投射光学系407との構成に合わせて、第1及び第2のパターン画像用画素426及び427の位置を変更することも可能である。例えば
図1に例示する構成から第2の出射部406の位置を変更したとする。その変更後の位置から出射される第2のパターン画像402が、合焦位置371にて合焦パターン420を形成するように、第1のパターン画像用画素427の位置が変更される。例えばこのようなことも可能となり、従って検出ユニット400の構成の自由度を高くすることができ、装置の小型化等を図ることができる。
【0052】
ユーザにより焦点が合わせられる場合には、例えば
図2Bに示すように半導体基板等のワークWがステージ250に載置される。そして観察対象となるワークWの所定の領域の表面Sに第1及び第2のパターン画像401及び402が投射される。
図2Aに示すように、ワークWの表面Sが合焦位置371に相対的に移動されると、ワークWの鮮明な像の上に、第1及び第2のパターン画像401及び402が左右にずれることなく鮮明に表示され、円形状の合焦パターン420が形成される。
【0053】
なお結像光学系370の合焦位置371とは、典型的には結像光学系370の焦点位置(ジャスピン)位置である。また焦点深度の範囲に含まれる位置を合焦位置371としてもよい。焦点深度の範囲に含まれる位置では、合焦パターン420が形成される。
【0054】
図2Aに示すように、ワークWの表面Sが、合焦位置371からずれて前ピン373や後ピン374の状態となる場合には、第1及び第2のパターン画像401及び402が、境界線Bに沿って左右にずれる。第1及び第2のパターン画像401及び402が左右にずれる大きさは、合焦位置371からのずれの大きさに対応する。また前ピン373と後ピン374とでは、左右にずれる方向が互いに逆となる。
【0055】
ユーザは、接眼レンズ350を覗きながら、第1及び第2のパターン画像401及び402が合焦パターン420を形成するように焦点を合わせる。ワークWの像のボケ具合を見ながら焦点を合わせるのではなく、第1及び第2のパターン画像401及び402の左右の動きを見て焦点を合わせるので、高精度に焦点を合わすことが可能となる
【0056】
以下、ワークWに投射される第1及び第2のパターン画像401及び402の例を説明する。
【0057】
図4に示す例では、液晶パネル410により複数の第1のパターン画像401a及び401bが生成される。また液晶パネル412により、複数の第1のパターン画像401a及び401bに対応する複数の第2のパターン画像402a及び402bが生成される。
【0058】
すなわち複数の第1のパターン画像401及び401bの各々に対して、合焦パターン420を形成するペアとなる複数の第2のパターン画像402a及び402bが生成される。投射光学系407は、合焦位置371にて、複数の第1のパターン画像401及び401bの各々と、これに対応する複数の第2のパターン画像402a及び402bの各々とが、異なる投射位置にてそれぞれ合焦パターン420となるように、投射を行う。
【0059】
例えば
図4Aに示すように、段差10を有するワークWがステージ250に載置されたとする。ワークWは、段差10を介して隣接する第1表面S1と第2の表面S2とを有する。このような場合に、複数の第1のパターン画像401a及び401bと、複数の第2のパターン画像402a及び402bとを生成することで、第1及び第2の表面S1及びS2の両方に、第1及び第2のパターン画像401及び402を投射することができる。
【0060】
本例では、第1及び第2のパターン画像401a及び402aのペアが第1の表面S1に投射される。また第1及び第2のパターン画像401b及び402bのペアが第2の表面S2に投射される。各ペアは、投射された面が合焦位置371に移動されると、合焦パターン420を形成する。
【0061】
図4Aは、第1の表面S1が合焦位置371に移動された状態の図である。従って第1の表面S1に投射された第1及び第2のパターン画像401a及び402aにより合焦パターン420が形成されている。第2の表面S2は、第1の表面S1よりも高い位置にあるので、合焦位置371から外れた位置となっている。従って第1及び第2のパターン画像401b及び402bは左右にずれている。
【0062】
例えばユーザは接眼レンズ350を覗きながら、まず第1の表面S1を合焦位置371に移動させ、XYZ座標値を取得する。その後、Z軸移動部320の回転操作部321を操作して、第2の表面S2を合焦位置371に移動させて、XYZ座標値を取得する。例えば取得された両方のXYZ座標値をもとに、第1の表面S1に対する第2の表面S2の高さを算出することが可能である。
【0063】
上記した特許文献1に記載のように、スリットマスクを用いてパターン画像が生成される場合では、ワークの中央の位置にパターン画像が1つ投射される。従って上記したような高さ測定を行うためには、まずパターン画像が第1の表面S1に投射されるように、ステージを移動させる。そして第1の表面の焦点を合わせてXYZ座標値を取得する。次に、第2の表面S2上にパターン画像が投射されるように、ステージを移動させる。そして第2の表面S2の焦点を合わせてXYZ座標値を取得する。このようにステージを移動させる操作が必要となるので、操作の手間がふえ測定時間が長くなってしまう。またステージの移動に伴って測定精度が低下してしまう可能性がある。
【0064】
これに対して本実施形態では、第1及び第2のパターン画像401及び402をそれぞれ複数投射させることができる。また合焦パターン420を形成する第1及び第2のパターン画像401及び402をワークの任意の位置にて投射することができる。従ってワークWの位置を移動させることなくワークWの異なる領域の焦点をそれぞれ合わせることができる。これによりステージ250の移動が不要となり、操作性の向上、測定時間の短縮、測定精度の向上等を図ることができる。なお、第1及び第2の表面S1及びS2のうち一方の表面の焦点が合わせられるときに、他方の表面への第1及び第2のパターン画像401及び402の投射が停止されてもよい。
【0065】
なお本実施形態では、合焦位置371からのずれにより、
図2に示す境界線Bに沿って第1及び第2のパターン画像401及び402が左右にずれる。従って第1及び第2のパターン画像401及び402は、境界線Bに沿う位置に投射される。しかしながら、これに限定されるわけではなく、投射光学系407等の構成に合わせて、任意の位置に第1及び第2のパターン画像401及び402が投射されてよい。また合焦パターン420を形成する第1及び第2のパターン画像401及び402のペアの数も限定されない。
【0066】
図5に示す例では、投射対象となる表面(領域)の大きさに合わせて、サイズの小さい第1及び第2のパターン画像401及び402が生成されている。上で述べたように、液晶パネル410及び412が用いられるので、任意の形状及び任意のサイズを有する第1及び第2のパターン画像401及び402をワークWに投射することが可能である。
【0067】
例えば
図5Aに示すように、ワークWの第1の表面S1の中央に微小な凸部15が形成されているとする。凸部15の表面を第2の表面S2とすると、第2の表面S2の面積は非常に小さい。また凸部15を挟む第1の表面S1の2つの領域R1及びR2の面積も同様に非常に小さくなっている。
【0068】
図5Bに示すように、液晶パネル410により、3つの第1のパターン画像401a、401ba、及び401cが生成される。また液晶パネル412により、これらとペアとなる3つの第2のパターン画像402a、402b、及び402cが生成される。これら第1及び第2のパターン画像401及び402は、面積の小さい微小な領域である第2の表面S2、及び2つの領域R1及びR2に、合焦パターン420が十分に含まれるサイズで形成される。
【0069】
図5Aに示すように、第1及び第2のパターン画像401a及び402aのペアが第1の表面S1の領域R1に投射される。また第1及び第2のパターン画像401b及び402bのペアが第1の表面S2に投射される。また第1及び第2のパターン画像401c及び402cのペアが第1の表面S1の領域R2に投射される。なお
図5Aは、第1の表面S1(領域R1及びR2)が合焦位置371に移動された状態の図である。
【0070】
ユーザは、第2の表面S2、及び2つの領域R1及びR2に投射される第1及び第2のパターン画像401及び402を見ながら、第1及び第2の表面S1及びS2の焦点を高い精度で合わせることができる。
【0071】
第1及び第2のパターン画像401及び402の形状やサイズを任意に設定することができるので、ワークW上の微小領域や特定の形状を有する領域等の焦点を、高精度に合わせることができる。例えばワークW上に形成された微小な孔や凹部等の高さ等を高精度に測定することができる。
【0072】
図6に示す例では、第1及び第2の出射部405及び406により、所定の色を有する第1及び第2のパターン画像401及び402がそれぞれ出射される。合焦パターン420を形成する第1及び第2のパターン画像401及び402に対しては、互いに対応する色が付される。対応する色とは、典型的には同じ色であるが、互いに関連性のある異なる色が付されてもよい。具体的にどの色が用いられるかは限定されない。
【0073】
第1及び第2の出射部405及び406には、第1及び第2のパターン画像401及び402をカラー画像として出射するための、図示しないカラー画像生成部が配置される。カラー画像生成部の構成は限定されず、周知の技術が用いられてもよい。例えばカラー画像生成部と液晶パネル410(412)とが、一体的に構成されてもよい。カラー画像生成部を構成する部材として、例えばカラーフィルタ等が用いられる。あるいはバックライトからの光をRGBの各色の光も分割する光学系等が用いられてもよい。
【0074】
図6Aに示す例では、ステージ250にワークWとしてカラーフィルタが載置される。カラーフィルタは、赤色のRフィルタFR緑色のGフィルタFG、及び青色のBフィルタFBを有する。各フィルタの高さは略等しい。これらRGBの各フィルタFR、FG、及びFBに第1及び第2のパターン画像401及び402が投射される。
【0075】
図6Bに示すように、液晶パネル410及び412と、第1及び第2の出射部405及び406にそれぞれ設けられたカラー画像生成部により、赤色の補色となるシアンにて第1及び第2のパターン401c及び402cが生成される。また緑色の補色となるマゼンタにて第1及び第2のパターン画像401b及び402bが生成される。また青色の補色となる黄色にて第1及び第2のパターン画像401a及び402aが生成される。なお
図6Bでは、模式的に、液晶パネル410及び412上に色が付された第1及び第2のパターン画像401及び402が図示されている。
【0076】
図6Aに示すように、RフィルタFRには、シアンの第1及び第2のパターン401c及び402cが投射される。GフィルタFGには、マゼンタの第1及び第2のパターン401b及び402bが投射される。BフィルタFBには、黄色の第1及び第2のパターン401a及び402aが投射される。各フィルタFR、FG、及びFBにて補色の関係にある色の第1及び第2のパターン画像401及び402が投射されるので、ユーザの視認性を向上させることができ、高い精度で焦点を合わすことが可能となる。このようにワークWの観察対象となる表面の色に応じて、第1及び第2のパターン画像401及び402の色を適宜設定することが可能である。観察対象となる表面は、焦点合わせの対象となる領域であり、ワークWの第1及び第2のパターン画像が照射される領域に相当する。
【0077】
なお第1及び第2のパターン画像401及び402の、数、形状、サイズ、色、投射位置等は、典型的には、ユーザによりコンソール等を介して設定される。その設定方法は限定されない。例えば色や形状等が予め設定された複数の種類の第1及び第2のパターン画像401及び402が、検出ユニット400の記憶部等に記憶されており、その記憶されている複数の種類の第1及び第2のパターン画像401及び402の中から、ユーザが求める画像が適宜選択されてもよい。
【0078】
以上、本実施形態に係るフォーカス検出ユニット400では、液晶パネル410及び412により焦点合わせを行う際の基準となる第1及び第2のパターン画像401及び402がそれぞれ生成される。これにより第1及び第2のパターン画像401及び402の形状や投射位置等を適宜設定することができる。この結果、高精度に焦点を合わすことが可能となり、顕微鏡の操作性を向上させることができる。なおフォーカス検出ユニット400は、対物レンズ360の倍率に関係なく使用することができる。
【0079】
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0080】
例えば
図7は、本発明の他の実施形態に係る検出ユニットの構成例を示す模式的な図である。この検出ユニット500では、第1及び第2の光変調素子として、反射型のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)510及び512が用いられる。この場合でも、合焦位置371にて合焦パターン520を形成するように、また合焦位置520から外れた位置では左右にずれるように、第1及び第2のパターン画像501及び502を投射することができる。そして上記で説明した効果を発揮することができる。なおDMDの具体的な構成は限定されない。
【0081】
その他、第1及び第2の光変調素子として、液晶パネルやDMD以外のデバイスが用いられてもよい。
【0082】
結像光学系により結像された第1及び第2のパターン画像の位置関係をもとに、当該第1及び第2のパターン画像が投射されている投射面の座標や、基準面からの高さ等が算出されてもよい。そのために顕微鏡に、CPUやROM等からなる算出部が設けられる。
【0083】
例えば、ワークに投射された複数の第1のパターンのうちの基準となる第1の基準パターン画像とこれに対応する第2の基準パターン画像とが、これらが投射される第1の投射面にて合焦パターンを形成しているとする。すなわち第1の投射面の焦点が合っている状態である。この際に、複数の第1のパターン画像のうち、他の第1のパターン画像とこれに対応する他の第2のパターン画像とが、第1の投射面と異なる第2の投射面に投射されているとする。このような状態で、算出部により、第2の投射面に投射されている他の第1及び第2のパターン画像の位置関係をもとに、第1に投射面に対する第2の投射面の高さが算出されてもよい。
【0084】
このことを、
図4Aを例にして説明すると、第1の表面S1にて合焦パターン420を形成する第1及び第2のパターン画像401a及び401bは、第1及び第2の基準パターン画像に相当する。そして第2に表面S2に投射されている第1及び第2のパターン画像401b及び402bが、他の第1及び他の第2のパターン画像に相当する。また第1の表面S1は第1の投射面に相当し、第2の表面S2は第2の投射面に相当する。この
図4Aに示す状態において、算出部により、第1及び第2のパターン画像401b及び402bのずれをもとに、第1の表面S1に対する第2の表面S2の高さが算出されてもよい。これにより第2の表面S2の焦点を合わせる手間を省くことができる。
【0085】
検出ユニットに、ワークの色を検出可能なセンサ等が配置されてもよい。そしてワークの色に応じて自動的に第1及び第2のパターン画像の色が設定されてもよい。
【0086】
上記では、本発明に係る光学装置として、顕微鏡を例にあげて説明をした。しかしながら顕微鏡に限られず、結像された被写体の像を用いて観察や測定を行う装置、あるいは被写体の像を撮影し、その撮影画像を用いて測定や観察等を行う種々の光学装置に本発明は適用可能である。そのような装置としては、例えばCNC(Computer Numerical Control)画像測定機、CNC三次元測定機等が挙げられる。
【0087】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせること
も可能である。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるもの
ではなく、また他の効果が発揮されてもよい。