特許第6379875号(P6379875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379875
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20180820BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180820BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20180820BHJP
【FI】
   F21V8/00 357
   F21S2/00 233
   F21S2/00 490
   F21Y115:30
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-176633(P2014-176633)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-51617(P2016-51617A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】五味 圭一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 照雄
(72)【発明者】
【氏名】小椋 渉
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−148106(JP,U)
【文献】 特開2004−200120(JP,A)
【文献】 特開平08−082714(JP,A)
【文献】 特開2006−179379(JP,A)
【文献】 特開2001−176305(JP,A)
【文献】 特開2005−258011(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3164552(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0022820(US,A1)
【文献】 特開2011−243348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源部と、前記レーザ光源部から照射されたビーム光が入射する円環状のリングと、を備え、
前記リングは、ベースリング部と当該ベースリング部の内側に拡散リング部とを有する中空のリングであり、
前記ベースリング部は、内周面に反射面を有し、入射した前記ビーム光を前記反射面によって繰り返し反射させることにより円環の周方向に伝搬させ、
前記拡散リング部は、前記反射面に対向して設けられ、
前記ビーム光の一部を前記反射面で拡散反射させ、前記拡散反射させた光は、前記拡散リング部で拡散させ、出射される照明装置。
【請求項2】
前記リングに入射したビーム光が、拡散反射成分と鏡面反射成分とを有し、前記反射面は、前記ビーム光の前記鏡面反射成分が前記ベースリング部を少なくとも1周するように形成された請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記反射面によって鏡面反射を繰り返して伝搬されるビーム光が、前記拡散リング部に当たらないように、前記ビーム光を前記反射面に向かって入射させる請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記レーザ光源部から照射されたビーム光を平行光にするコリメートレンズを備え、前記平行光が前記ベースリング部に入射する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記拡散リング部は、前記ビーム光を異なる波長の光に波長変換する波長変換部材を含有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ベースリング部は、前記反射面に前記ビーム光を導入するための穴部が形成された請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記拡散リング部は、前記ビーム光を導入するための穴部が形成された請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記ベースリング部は、前記穴部の幅方向に、前記ベースリング部を1周伝搬した前記ビーム光を反射させる前記反射面を有する請求項6に記載の照明装置。
【請求項9】
前記拡散リング部は、前記反射面に対向する側が開口して前記反射面を覆ってなる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビーム光を使用した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザダイオード(LD:Laser Diode)を光源とした照明装置が開発されている。レーザを照明用光源として使用する場合、指向性の高いレーザビーム光(以下、ビーム光という)をそのまま使うのではなく、拡散光に一旦変換することで広い範囲を照明できるよう工夫が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、蛍光体を含有した円環状の導光管を用いた照明装置が提案されている。また、特許文献2では、光源部からの励起光を一方の端面から他方の端面に導くとともに、当該励起光を受けて波長変換光を発する蛍光体を含有するコアと、波長変換光と励起光との混合光の少なくとも一部を出射光として出射する光出射面をクラッド外周面に有するクラッドと、を含む蛍光ファイバーを備える照明装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−243549号公報
【特許文献2】特開2007−258466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2で提案された照明装置は、いずれも波長変換用の蛍光体を含有する光ファイバー、または導光管を必要とするため高価であるという問題がある。
【0006】
本発明の実施形態は、前記の点に鑑みてなされたものであり、小型かつ安価で、明るさが均一な環状照明光を得ることができる照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の実施形態に係る照明装置は、レーザ光源部と、前記レーザ光源部から照射されたビーム光が入射する円環状のリングと、を備え、前記リングは、ベースリング部と当該ベースリング部の内側に拡散リング部とを有し、前記ベースリング部は、内周面に反射面を有し、入射した前記ビーム光を前記反射面によって繰り返し反射させることにより円環の周方向に伝搬させ、前記拡散リング部は、前記反射面に対向して設けられ、前記ビーム光の一部を前記反射面で拡散反射させ、前記拡散反射させた光は、前記拡散リング部で拡散させ、出射される構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態に係る照明装置によれば、ビーム光を円環状のリング内に導入し、内周面に設けた反射面によってビーム光を繰り返し反射させながら円環の周方向に伝搬させるとともに、反射面によって拡散反射されたビーム光の一部を拡散リング部によってさらに拡散させて外部に出射することができる。これにより、照明装置は、レーザ光源部とリングからなる簡易、小型かつ安価な簡易な構成で、明るさが均一な環状照明光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に係る照明装置の構成を一部断面にして模式的に示す斜視図である。
図1B】本発明の実施形態に係る照明装置のレーザ光源部からビーム光を入射する穴部の構成を一部断面にして模式的に拡大して示す斜視図である。
図2A】本発明の実施形態に係る照明装置におけるリングの構成を示す斜視図であり、図1AのA部拡大図である。
図2B】本発明の実施形態に係る照明装置におけるリング内に伝搬されるビーム光の状況を模式的に示した図1AのB部拡大図である。
図3】本発明の実施形態に係る照明装置において、リング内に導入されたビーム光の反射の状況を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための照明装置を例示するものである。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態において照明装置を以下のものに特定しない。特に、実施の形態に記載されている各部材の寸法、材質、形状、その相対的配置などは特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略することとする。
【0011】
照明装置1は、環状の照明光を生成するためのものである。照明装置1は、図1Aに示すように、レーザ光源部10と、コリメートレンズ20と、中空パイプ30と、リング40と、を備えている。
【0012】
レーザ光源部10は、図1Aに示すように、後記するリング40にビーム光BL(図3参照)を照射するものである。レーザ光源部10の具体的構成は、ビーム光BLを照射できるものであれば特に限定されないが、例えば基板と、当該基板上に固定されたレーザダイオードと、当該レーザダイオードの駆動時における熱を放熱するためのヒートシンクなどから構成することができる。レーザ光源部10は、図1Aに示すように中空パイプ30と接続され、当該中空パイプ30を介してリング40内にビーム光BLを導入する。なお、レーザ光源部10は、キャップに形成したスリット(図示せず)を介してビーム光BLを出射することで、ビーム径を制御するようにしても構わない。なお、本発明の実施形態によれば、ビーム光は、レーザ光と同義であり、レーザ光との表現に置き換えることができる。
【0013】
コリメートレンズ20は、レーザ光源部10から出射されたビーム光BLを平行光にするものである。コリメートレンズ20の具体的構成は、ビーム光BLを平行化(コリメート)できるものであれば特に限定されないが、例えば平凸レンズ、あるいは、複合レンズなどを用いることができる。なお、コリメートレンズ20は、ここでは図1Aに示すように、レーザ光源部10の内部に設けたものを一例として図示したが、コリメートレンズ20の具体的な配置位置は特に限定されず、レーザ光源部10の外部(例えばレーザ光源部10と中空パイプ30の間)に設けても構わない。なお、コリメートレンズ20を用いてビーム光BLを平行化することで、ビーム光BLの幅を狭くできるとともに、照射距離を長くすることができる。
【0014】
中空パイプ30は、レーザ光源部10から出射されたビーム光BLをリング40内に導入するためのものである。この中空パイプ30は、ビーム光BLの直径と等しいか広い径の円筒状に形成されている。中空パイプ30は、図1Aに示すように、その一端がレーザ光源部10に接続され、その他端がリング40に接続されている。
【0015】
リング40は、レーザ光源部10から出射されたビーム光BLが入射されるものである。リング40は、図1Aに示すように円環状に形成され、内部に導入されたビーム光BLが当該円環の周方向に伝搬することで、円環状の照明光を出射するように構成されている。リング40は、具体的には図2A及び図2Bに示すように、ベースリング部41と、その内側に設けられた拡散リング部42と、を備え、中空のリングを構成している。
【0016】
ベースリング部41は、リング形状を保持するとともに、ビーム光BLの反射及び拡散をするためのものである。ベースリング部41は、図1Aに示すように、リング40の外周側を構成し、円環状に形成されている。また、ベースリング部41は、リング形状の中心軸方向について、ビーム光BLの直径と等しいか広い幅で形成されており、図2Aに示すように、内周面に反射面41aが設けられている。すなわち、ベースリング部41は、それ自体が反射性を有する材料で形成されるか、または内周面(ここでは全面)に反射性を有する材料が設けられている。反射面41aを構成する材料としては、例えばアルミニウム、錫、銀、亜鉛、マグネシウム、白金などを用いることができる。
【0017】
反射面41aは、レーザ光源部10から中空パイプ30を介して入射したビーム光BLを繰り返し反射し、ベースリング部41の円環の周方向に伝搬させるものである。ここで、反射面41aは、100%の完全反射面ではなく、入射光の数%は拡散する。すなわち、反射面41aに入射するビーム光BLは、鏡面反射成分(90%以上)と拡散反射成分(数%程度)とを有しており、反射面41aは、ビーム光BLの大部分をベースリング部41の円環の周方向に反射すると同時に、ビーム光BLの一部分を拡散反射する。そして、反射面41aは、後記するように、ビーム光BLの鏡面反射成分がベースリング部41を少なくとも1周するように形成されている。なお、反射面41aによるビーム光BLの反射の詳細については後記する。
【0018】
ここで、ベースリング部41は、図1Aに示すように、反射面41aに穴部Hが形成され、外部のレーザ光源部10からビーム光BLを導入できるように構成されている。図1Bに示すように、穴部Hは、ビーム光BLのビーム径に合わせて、幅方向において反射面41aの一部を切欠いて形成されている。したがって、穴部Hの開口する位置に隣接する部分には、反射面41aが他の部分よりも狭い幅で残存している状態となる。すなわち、穴部Hの幅方向にも反射面41aを有する。この穴部Hからビーム光BLが反射面41aに入射してベースリング部41を1周すると、最初の入射位置側に戻る。そのため、一周したビーム光BLが穴部Hから漏出しないようにビーム光BLを斜めに入射させるように構成している。したがって、穴部Hから入射したビーム光BLは、反射面41aを螺旋状に伝搬する。つまり、穴部Hから入射したビーム光BLは、反射面41aを一周以上伝搬することができるように、ビーム光BLを、反射面41aに対して斜めに入射させ反射面41aを螺旋状に伝搬させている。なお、斜めに入射させるとは、光軸を反射面41aの長手方向における中心線に対して傾斜させることである。
【0019】
このように構成することで、図2Bに示すように、穴部Hから入射したビーム光BL0がベースリング部41を1周伝搬し、その後のビーム光BL1が反射面41aの幅方向にずれて螺旋軌道で伝搬し、さらに周回するように反射面41aを反射して進む。そして、ビーム光BL0,LB1は、反射面41aで反射するときに拡散する拡散光を均等に出射することになる。ここで、ビーム光BLの直径を5mm、ベースリング部41の直径(内径)を140mmと仮定した場合、反射面41aに対するビーム光BLの入射角度は、例えば0.33度に設定することが好ましい。
【0020】
以下、図3を参照しながらリング40のベースリング部41に導入されたビーム光BLの反射の詳細について説明する。ここで、レーザダイオードを光源とし、コリメートレンズ20を通過したビーム光BLは、平行光線に近似することができ、例えば数mmの直径を持つものが知られている。このようなビーム光BLの直径の定義は一定ではないが、ビームプロファイルは正規分布として扱われることが知られているため、ここではその標準偏差をσとし、ビーム中心に対して±2σ、すなわち4σの幅(直径)を有するものとして考える。
【0021】
そして、例えば図3に示すビーム光BLの直径を5mm、ベースリング部41の直径(内径)を140mmとし、ビーム光BLの直径の上下方向における中心の入射位置を、ベースリング部41の接線から平行に5mmだけベースリング部41の中心方向(ここでは上方向)に平行移動した点とする。
【0022】
ビーム光BLとベースリング部41とをこのような配置関係とした場合、ベースリング部41に導入されたビーム光BLが最初に内周面の反射面41aに入射する角度(反射面41aの法線とのなす角)は、ビーム光BLの直径の上下方向における下端(図3における実線)で約75度(角度θ1)、ビーム光BLの直径の上下方向における中心(図3における一点鎖線)で約68度(角度θ2)、ビーム光BLの直径の上下方向における上端(図3における破線)で約63度(角度θ3)、となる。
【0023】
このように平行なビーム光BLが円弧状の反射面41aに入射する場合、図3に示すように、ビーム光BLの光線の位置によって入射角θ1,θ2,θ3がそれぞれ異なり、反射面41aで反射されたビーム光BLはベースリング部41の周方向に拡がり角を持つことになる。そして、図3に示すように、反射を繰り返すごとにその拡がり角が大きくなるため、円環状の反射面41a全体にビーム光BLが照射されることになる。
【0024】
ここで、前記したビーム光BLの直径、ベースリング部41の直径などの数値は一例であり、具体的な条件に合わせて適宜調整可能である。また、図3では、ビーム光BLがベースリング部41の反射面41aに入射した後の2回目の反射までを示しており、それ以降の反射については図示を省略している。実際には、反射面41aに入射したビーム光BLは、その拡がり角を拡大させながら反射面41aによって反射を繰り返し、円環の周方向に少なくとも1周以上伝搬されることになる。ここで、反射面41aの反射率を調整すること、及び、入力するビーム光の強度を調整することで、ビーム光BLを1周伝搬させることが可能となる。
【0025】
なお、反射面41aで反射を繰り返しながらリング40内を周回するビーム光BLは、常に反射面41aの幅方向における同じ位置で周方向に伝搬するのではなく、リング40内を周回するごとに位置が変化する。すなわち、図2Bに示すように、最初に反射面41aの幅方向の手前側の位置でビーム光BL0が入射した場合、1周伝搬する過程で反射面41aの幅方向の奥側に移動し、2周目はビーム光BL1の位置となる。このように、リング40内に導入されたビーム光BLは、反射面41aの幅方向に移動しながら螺旋状に伝搬することになる。
【0026】
また、レーザダイオードを光源とし、コリメートレンズ20を通過してリング40に入射したビーム光BL0は、図2Bに示すように楕円状の断面を有しているが、リング40内を周回するごとにアスペクト比が変化し、幅方向に太くなって行く。つまり、ビーム光BLは、縦方向と横方向とで発散角が異なる。したがって、光軸に対称なレンズを用いて縦横両方向ともにコリメート(平行化)できない。本例では、縦方向に平行化しているため、横方向に徐々に広がることとなる。
【0027】
さらに、照明装置1のその他の構成について説明する。拡散リング部42は、ビーム光BLを拡散して出射するためのものである。本発明の実施形態でいう拡散は、広義には、リングに入射した光が広がって外部に出射するものであり、屈折等による光の広がりを含むものであり、狭義には、拡散材や蛍光体や顔料などの添加剤を含み、添加剤により拡散して外部に出射するものである。拡散リング部42は、図1Aに示すように、リング40の内周側を構成し、円環状に形成されている。また、拡散リング部42は、図2Aに示すように、四角筒の一部が開口した断面に形成され、反射面41aに対向して設けられている。そして、拡散リング部42は、反射面41aに対向する側が開口して当該反射面41a全体を覆い、ベースリング部41と一体となることで、一つの四角筒状の円環を形成している。拡散リング部41は、四角筒の一部が開口した断面に限定されず、円筒、楕円形の筒、多角形状の筒の一部が開口した断面をもつ筒状であってもよい。拡散リング部41の材料としては、たとえばアクリル、塩ビ、ABS、ポリエチレン等の少なくとも光が透過する材料が用いられる。また、たとえばこれらの材料は、蛍光体、TiO2などの拡散もしくは白色化のための添加剤、あるいは各種の色をだす顔料などを含むか、これらを表面に有することができる。
【0028】
拡散リング部42は、ビーム光BLを異なる波長の光に波長変換する波長変換部材、具体的には蛍光体を含有してもよい。あるいは、拡散リング部42は、その表面に波長変換部材を塗布してもよい。例えば、前記したレーザ光源部10として青色のレーザダイオードを用い、波長変換部材として黄色の蛍光体を用いることで、白色照明光を得ることができる。ただし、拡散リング部42は、入射したビーム光BLをさらに拡散させて照明光として利用するためのものであり、必ずしも波長変換を行う必要はないため、蛍光体を含有させるあるいは塗布するか否かは条件に応じて適宜選択することができる。このような構成を備える拡散リング部42は、反射面41aによって拡散反射されたビーム光BLが入射し、当該ビーム光BLをさらに拡散しながら外部に出射する。これにより拡散リング部42全体が発光し、環状照明光を得ることができる。
【0029】
ここで、照明装置1は、反射面41aによって鏡面反射を繰り返して伝搬されるビーム光BLが、前記した拡散リング部42に当たらないように、ビーム光BLを反射面41aに向かって入射させる。すなわち、照明装置1においては、ベースリング部41にビーム光BLを導入する際に、拡散リング部42にビーム光BLの鏡面反射成分が入射しないように、ビーム光BLの直径、ベースリング部41の直径、ベースリング部41への入射角度などを調整する。
【0030】
以上の構成を備える照明装置1によれば、ビーム光BLを円環状のリング40内に導入し、内周面に設けた反射面41aによってビーム光BLを繰り返し反射させながら円環の周方向に伝搬させるとともに、反射面41aによって拡散反射されたビーム光BLを拡散リング部42によってさらに拡散させて外部に出射させることができる。これにより、照明装置1は、レーザ光源部10とリング40からなる簡易、小型かつ安価な構成で、明るさが均一な環状照明光を得ることができる。
【0031】
なお、照明装置1は、内側に向かって光を照射するものであるため、例えば、拡散リング部42の内側に、拡散リング部42から支持手段を介して図示しないオブジェを設けることもできる。そして、支持したオブジェは、その外周に光を反射する鏡面やあるいは蛍光体を設けることで、拡散リング部42からの光を反射して陰影によりその外形を際立たせ、装飾的効果を高めて表示することができる。
【0032】
以上、照明装置1について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、例えば、照明装置1は、図1Aに示すように、ベースリング部41の反射面41aにビーム光BLを導入するための穴部Hが形成されていたが、当該穴部Hの位置、すなわちビーム光BLをリング40内に導入する位置は特に限定されない。穴部Hは、例えば拡散リング部42に形成されていてもよい。この場合、拡散リング部42の側面、すなわち拡散リング部42において反射面41aと対向する開口部の両壁の一方に穴部Hを形成し、ビーム光BLをリング40内に導入する構成とすることができる。
【0033】
また、前記した照明装置1はコリメートレンズ20を備えていたが、照明装置1が少なくともビーム光BLをリング40内に導入できればなくてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 照明装置
10 レーザ光源部
20 コリメートレンズ
30 中空パイプ
40,40A リング
41 ベースリング部
41a 反射面
42 拡散リング部
BL ビーム光
H 穴部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3