(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学フィルムが、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはトリアセチルセルロースからなる、請求項1〜9の何れかに記載の静電容量式タッチパネル付き表示装置。
前記基材が、前記第一の導電層と前記光学フィルムとの間に位置する第一のインデックスマッチング層と、前記第二の導電層と前記光学フィルムとの間に位置する第二のインデックスマッチング層との少なくとも一方を有する、請求項1〜12の何れかに記載の静電容量式タッチパネル付き表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。また、各図において、各部材間に位置している空間部分には、本発明の目的を達成し得る範囲内で、追加の層またはフィルムを設けてもよい。ここで、追加の層またはフィルムとしては、例えば、各部材同士を貼りあわせて一体化するための接着剤層または粘着剤層が挙げられ、接着剤層または粘着剤層は、可視光に対して透明であることが好ましく、また、無用な位相差を発生させないものであることが好ましい。
【0017】
<静電容量式タッチパネル付き表示装置(第一実施形態)>
図1に、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置の一例の要部の構造を示す。ここで、
図1に示す静電容量式タッチパネル付き表示装置100は、画面に画像情報を表示する表示機能と、操作者が触れた画面位置を検知して外部へ情報信号として出力するタッチセンサー機能とを重ね備える装置である。
【0018】
静電容量式タッチパネル付き表示装置100は、バックライトが照射される側(
図1では下側。以下、単に「バックライト側」という。)から操作者が画像を視認する側(
図1では上側。以下、単に「視認側」という。)に向かって、バックライト側偏光板10と、表示パネルとしての液晶パネル20と、位相差フィルム30と、視認側偏光板40と、第二の導電層50と、基材60と、第一の導電層70と、カバー層80とを順次積層して有している。そして、この静電容量式タッチパネル付き表示装置100では、第一の導電層70がカバー層80の一方(液晶パネル20側)の表面に形成されており、第二の導電層50が基材60の一方(液晶パネル20側)の表面に形成されている。
なお、バックライト側偏光板10と、液晶パネル20と、位相差フィルム30と、視認側偏光板40と、第二の導電層50が形成された基材60と、第一の導電層70が形成されたカバー層80とは、接着剤層または粘着剤層、或いは、部材表面のプラズマ処理等の既知の手段を用いて各部材同士を互いに貼り合わせることにより、一体化することができる。
【0019】
[バックライト側偏光板]
バックライト側偏光板10としては、偏光フィルムを有する既知の偏光板、例えば、偏光フィルムを2枚の保護フィルムで挟んでなる偏光板を用いることができる。そして、バックライト側偏光板10は、バックライト側偏光板10の偏光フィルムの透過軸と、後に詳細に説明する視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸とが積層方向(
図1では上下方向)に見て直交するように配置されて、液晶パネル20を利用した画像の表示を可能にする。
【0020】
[液晶パネル]
液晶パネル20としては、例えば、バックライト側に位置する薄膜トランジスタ基板21と、視認側に位置するカラーフィルタ基板23との間に液晶層22を挟んでなる液晶パネルを用いることができる。そして、静電容量式タッチパネル付き表示装置100では、バックライト側偏光板10と視認側偏光板40との間に配置された液晶パネル20の液晶層22に通電することにより、操作者に対して所望の画像を表示する。
なお、薄膜トランジスタ基板21およびカラーフィルタ基板23としては、既知の基板を用いることができる。また、液晶層22としては、既知の液晶層を用いることができる。なお、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置に用い得る表示パネルは、上記構造の液晶パネル20に限定されることはない。
【0021】
[位相差フィルム]
位相差フィルム30は、光学補償用のフィルムであり、液晶層22の視野角依存性や、斜視時の偏光板10,40の光漏れ現象を補償して、静電容量式タッチパネル付き表示装置100の視野角特性を向上させる。
そして、位相差フィルム30としては、例えば、既知の縦一軸延伸フィルム、横一軸延伸フィルム、縦横二軸延伸フィルム、または、液晶性化合物を重合させてなる位相差フィルムを用いることができる。具体的には、位相差フィルム30としては、特に限定されることなく、シクロオレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂を既知の方法で製膜してなる熱可塑性樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸したものが挙げられる。そして、市販の熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、「エスシーナ」、「SCA40」(積水化学工業製)、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン製)、「アートンフィルム」(JSR製)などが挙げられる(いずれも商品名)。
なお、位相差フィルム30は、積層方向に見て、位相差フィルム30の遅相軸と、偏光板10,40の偏光フィルムの透過軸とが、例えば、平行になるように、または、直交するように配置することができる。
【0022】
[視認側偏光板]
視認側偏光板40としては、特に限定されることなく、例えば、偏光フィルム42を2枚の保護フィルム(バックライト側保護フィルム41およびカバー層側保護フィルム43)で挟んでなる偏光板40を用いることができる。
【0023】
[第二の導電層]
第二の導電層50は、基材60の一方の表面に形成されており、視認側偏光板40と、基材60との間、より詳細には視認側偏光板40のカバー層側保護フィルム43と、基材60との間に位置している。そして、第二の導電層50は、基材60を挟んで積層方向に離隔して位置する第一の導電層70と共に静電容量式のタッチセンサーを構成する。
【0024】
ここで、第二の導電層50は、可視光領域において透過度を有し、かつ導電性を有する層であればよく、特に限定されないが、導電性ポリマー;銀ペーストやポリマーペーストなどの導電性ペースト;金や銅などの金属コロイド;酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム:ITO)、アンチモンドープスズ酸化物(ATO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、カドミウム酸化物、カドミウム−スズ酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物;ヨウ化銅などの金属化合物;金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの金属;銀ナノワイヤーやカーボンナノチューブ(CNT)などの無機または有機系ナノ材料;を用いて形成することができる。これらの中でも、酸化インジウムスズ、カーボンナノチューブまたは銀ナノワイヤーが好ましく、光透過性および耐久性の観点からは酸化インジウムスズが特に好ましい。
なお、CNTを使用する場合、用いられるCNTは、単層CNT、二層CNT、三層以上の多層CNTの何れであってもよいが、直径が0.3〜100nmであり、長さが0.1〜20μmであることが好ましい。なお、導電層の透明性を高め、表面抵抗値を低減する観点からは、直径10nm以下、長さ1〜10μmの単層CNTまたは二層CNTを用いることが好ましい。また、CNTの集合体にはアモルファスカーボンや触媒金属などの不純物は極力含まれないことが好ましい。
【0025】
そして、基材60の表面上への第二の導電層50の形成は、特に限定されることなく、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法、ゾル・ゲル法、コーティング法などを用いて行うことができる。
【0026】
[光学フィルムを有する基材]
第二の導電層50が形成された基材60は、(2n−1)λ/4の位相差[但し、nは正の整数である]を有する光学フィルム62と、光学フィルム62の両表面に形成されたハードコート層61,63とを有している。そして、基材60は、第二の導電層50と第一の導電層70との間に位置しており、第一の導電層70および第二の導電層50を用いて構成される静電容量式タッチセンサーの絶縁層として機能する。なお、基材60の光学フィルム62は、当該光学フィルム62の遅相軸と、視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸との交差角が、積層方向から見て、所定の角度となるように配置されている。
【0027】
ここで、「所定の角度」とは、液晶パネル20側から視認側偏光板40を通ってカバー層80側へと進む直線偏光を円偏光または楕円偏光に変えて、操作者が偏光サングラスを装着した状態でも表示内容を視認可能にし得る角度である。具体的には、所定の角度は、約45°程度、より具体的には45°±10°、好ましくは45°±3°、より好ましくは45°±1°、更に好ましくは45°±0.3°の範囲内の角度である。
【0028】
また、「(2n−1)λ/4の位相差[但し、nは正の整数である]を有する」とは、光学フィルム62を積層方向に透過した光に対して与える位相差(レタデーションRe)が光の波長λの約(2n−1)/4倍[但し、nは正の整数であり、好ましくは1である]であることを指す。具体的には、透過する光の波長範囲が400nm〜700nmの場合、Reが波長λの約(2n−1)/4倍であるとは、Reが(2n−1)λ/4±65nm、好ましくは(2n−1)λ/4±30nm、より好ましくは(2n−1)λ/4±10nmの範囲であることをいう。なお、Reは、式:Re=(nx−ny)×d[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の遅相軸に面内で直交する方向の屈折率であり、dは光学フィルム62の厚みである]で表される面内方向レターデーションである。
【0029】
[[光学フィルム]]
光学フィルム62としては、熱可塑性樹脂を製膜および延伸することにより得られる、配向処理が施されたフィルムを用いることができる。
ここで、熱可塑性樹脂の延伸方法としては、既知の延伸方法を用いることができるが、斜め延伸を用いることが好ましい。光学フィルム62は、光学フィルム62の遅相軸と、視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸とが所定の角度で交差するように積層する必要があるところ、一般的な延伸処理(縦延伸処理または横延伸処理)を施した延伸フィルムの光軸の向きは、フィルムの幅方向と平行な方向または幅方向に直交する方向である。そのため、当該一般的な延伸フィルムと、偏光フィルムとを所定の角度で積層するには、延伸フィルムを斜め枚葉に裁断する必要がある。しかし、斜め延伸したフィルムでは、光軸の向きがフィルムの幅方向に対して傾斜した方向になるので、光学フィルム62として斜め延伸フィルムを使用すれば、視認側偏光板40および光学フィルム62を含む積層体をロール・トゥ・ロールで容易に製造することができるからである。なお、視認側偏光板40および光学フィルム62を含む積層体をロール・トゥ・ロールで製造する場合には、光学フィルム62として用いる斜め延伸フィルムの配向角は、積層体を形成した際に光学フィルム62の遅相軸と、偏光フィルム42の透過軸とが上記所定の角度となるように調整すればよい。
【0030】
斜め延伸の方法としては、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報などに記載されたものを用いることができる。斜め延伸に用いる延伸機は特に制限されず、従来公知のテンター式延伸機を使用することができる。また、テンター式延伸機には、横一軸延伸機、同時二軸延伸機などがあるが、長尺のフィルムを連続的に斜め延伸できるものであれば、特に制限されず、種々のタイプの延伸機を使用することができる。
【0031】
また、熱可塑性樹脂を斜め延伸するときの温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の間、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の間である。また、延伸倍率は、通常、1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
【0032】
光学フィルム62の形成に使用し得る熱可塑性樹脂としては、特に限定されることなく、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。この中でも、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびトリアセチルセルロースが好ましく、比誘電率が低いため、シクロオレフィンポリマーが更に好ましく、比誘電率および吸水率の双方が低いため、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基などの極性基を有さないシクロオレフィンポリマーが特に好ましい。
【0033】
シクロオレフィンポリマーとしては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、および、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中でも、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体またはそれらの水素化物、或いは、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体またはそれらの水素化物等を挙げることができる。
【0034】
市販のシクロオレフィンポリマーとしては、例えば、「Topas」(Ticona製)、「アートン」(JSR製)、「ゼオノア(ZEONOR)」および「ゼオネックス(ZEONEX)」(日本ゼオン製)、「アペル」(三井化学製)などがある(いずれも商品名)。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜して、熱可塑性樹脂製の光学フィルム62を得ることができる。製膜には、溶剤キャスト法や溶融押出法など、公知の製膜手法が適宜用いられる。また、製膜されたシクロオレフィン系樹脂フィルムも市販されており、例えば、「エスシーナ」、「SCA40」(積水化学工業製)、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン製)、「アートンフィルム」(JSR製)などがある(いずれも商品名)。延伸前の熱可塑性樹脂フィルムは、一般には未延伸の長尺のフィルムであり、長尺とは、フィルムの幅に対し少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するものをいう。
【0035】
上述した熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃である。また、熱可塑性樹脂の光弾性係数の絶対値は、好ましくは10×10
-12Pa
-1以下、より好ましくは7×10
-12Pa
-1以下、特に好ましくは4×10
-12Pa
-1以下である。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。光弾性係数がこのような範囲にある透明な熱可塑性樹脂を用いると、光学フィルムの面内方向レターデーションReのバラツキを小さくすることができる。更に、このような光学フィルムを、液晶パネルを用いた表示装置に適用した場合に、表示装置の表示画面の端部の色相が変化する現象を抑えることができる。
【0036】
なお、光学フィルム62の形成に用いる熱可塑性樹脂には、他の配合剤を配合してもよい。配合剤としては、格別限定はないが、層状結晶化合物;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤;等が挙げられる。これらの配合剤は、単独で、或いは、二種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
【0037】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、低吸水性等を低下させることなく、フィルム成形時の酸化劣化等によるフィルムの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、熱可塑性樹脂100質量部に対して通常0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
【0038】
無機微粒子としては、0.7〜2.5μmの平均粒子径と、1.45〜1.55の屈折率を有するものが好ましい。具体的には、クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられ、中でも、シリカ、ゼオライトおよびハイドロタルサイトが好ましい。無機微粒子の添加量は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.001〜10質量部、好ましくは0.005〜5質量部である。
【0039】
滑剤としては、炭化水素系滑剤;脂肪酸系滑剤;高級アルコール系滑剤;脂肪酸アマイド系滑剤;脂肪酸エステル系滑剤;金属石鹸系滑剤;が挙げられる。中でも、炭化水素系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤および脂肪酸エステル系滑剤が好ましい。更に、この中でも、融点が80℃〜150℃および酸価が10mgKOH/mg以下のものが特に好ましい。
融点が80℃〜150℃をはずれ、さらに酸価が10mgKOH/mgよりも大きくなるとヘイズ値が大きくなる虞がある。
【0040】
そして、光学フィルム62として用いられる延伸フィルムの厚みは、例えば、5〜200μm程度となるようにするのが適当であり、好ましくは20〜100μmである。フィルムが薄すぎると強度が不足したりレターデーション値が不足する虞があり、厚すぎると透明性が低下したり目的のレターデーション値が得られ難くなる虞がある。
【0041】
また、光学フィルム62として用いられる延伸フィルムは、フィルム内に残留している揮発性成分の含有量が100質量ppm以下であることが好ましい。揮発性成分含有量が上記範囲にある延伸フィルムは、長期間使用しても表示ムラが発生せず、光学特性の安定性に優れる。ここで、揮発性成分は、熱可塑性樹脂に微量含まれる分子量が200以下の比較的低沸点の物質であり、例えば、熱可塑性樹脂を重合した際に残留した残留単量体や、溶媒などが挙げられる。揮発性成分の含有量は、ガスクロマトグラフィーを用いて熱可塑性樹脂を分析することにより定量することができる。
【0042】
なお、揮発性成分含有量が100質量ppm以下の延伸フィルムを得る方法としては、例えば、(a)揮発性成分含有量が100質量ppm以下の未延伸フィルムを斜め延伸する方法、(b)揮発性成分含有量が100質量ppmを超える未延伸フィルムを用いて、斜め延伸の工程中、または延伸後に乾燥して揮発性成分含有量を低減する方法などが挙げられる。これらの中でも、揮発性成分含有量がより低減された延伸フィルムを得るには、(a)の方法が好ましい。(a)の方法において、揮発性成分含有量が100質量ppm以下である未延伸フィルムを得るには、揮発性成分含有量が100質量ppm以下の樹脂を溶融押出成形することが好ましい。
【0043】
そして、光学フィルム62として用いられる延伸フィルムの飽和吸水率は、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.007質量%以下である。飽和吸水率が0.01質量%を越えると、使用環境により延伸フィルムに寸法変化が生じて内部応力が発生することがある。そして、例えば、液晶パネル20として反射型液晶パネルを用いた場合に、黒表示が部分的に薄くなる(白っぽく見える)などの表示ムラが発生するおそれがある。一方で、飽和吸水率が上記範囲にある延伸フィルムは、長期間使用しても表示ムラが発生せず、光学特性の安定性に優れる。
また、光学フィルム62の飽和吸水率が0.01質量%以下であれば、吸水により光学フィルム62の比誘電率が経時的に変化するのを抑制することができる。従って、
図1に示すように、静電容量式のタッチセンサーを構成する第一の導電層70と第二の導電層50との間に光学フィルム62を有する基材60を配置した場合であっても、光学フィルム62の比誘電率の変化に起因したタッチセンサーの検出感度の変動を抑制することができる。
なお、延伸フィルムの飽和吸水率は、フィルムの形成に使用する熱可塑性樹脂の種類などを変更することにより調整することができる。
【0044】
また、光学フィルム62として用いられる延伸フィルムの比誘電率は、2以上であることが好ましく、5以下であることが好ましく、2.5以下であることが特に好ましい。
図1に示すように、この一例の静電容量式タッチパネル付き表示装置100では、静電容量式のタッチセンサーを構成する第一の導電層70と第二の導電層50との間に光学フィルム62を有する基材60が配置されている。従って、基材60に含まれる光学フィルム62の比誘電率を小さくすれば、第一の導電層70と第二の導電層50との間の静電容量を低くし、静電容量式タッチセンサーの検出感度を向上させることができるからである。
【0045】
[[ハードコート層]]
光学フィルム62の両表面に形成されたハードコート層61,63は、光学フィルム62の傷つきやカールを防止するためのものである。ハードコート層61,63の形成に用いられる材料としては、JIS K5700に規定される鉛筆硬度試験で、「HB」以上の硬度を示すものが好適である。このような材料としては、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物等の有機系ハードコート層形成材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート層形成材料;等が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、(メタ)アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物のハードコート層形成材料の使用が好ましい。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを指し、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを指す。
【0046】
(メタ)アクリレートとしては、重合性不飽和基を分子内に1つ有するもの、2つ有するもの、3つ以上有するもの、重合性不飽和基を分子内に3つ以上含有する(メタ)アクリレートオリゴマーを挙げることができる。(メタ)アクリレートは、単独で用いられてもよく、2種類以上のものを用いてもよい。
【0047】
ハードコート層の形成方法は特に制限されず、ハードコート層形成材料の塗工液を、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法等、公知の方法により光学フィルム62上に塗工し、空気や窒素などの雰囲気下で乾燥により溶剤を除去した後に、アクリル系ハードコート層材料を塗布し、紫外線や電子線等によって架橋硬化させたり、シリコーン系、メラミン系、エポキシ系のハードコート層材料を塗布し、熱硬化させたりして行われる。乾燥時に、塗膜の膜厚ムラが生じやすいため、塗膜外観を損ねないよう吸気と排気とを調整し、塗膜全面が均一になるように制御することが好ましい。紫外線で硬化する材料を使用する場合、塗布後のハードコート層形成材料を紫外線照射により硬化させる照射時間は、通常0.01秒から10秒の範囲であり、エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、通常40mJ/cm
2から1000mJ/cm
2の範囲である。また、紫外線の照射は、例えば窒素およびアルゴン等の不活性ガス中において行なってもよく、空気中で行ってもよい。
【0048】
なお、ハードコート層61,63を設ける場合、光学フィルム62として用いる延伸フィルムには、ハードコート層61,63との接着性を高める目的で表面処理を施してもよい。該表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられる。とりわけ光学フィルム62が熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる場合には、コロナ処理を用いることで、上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光学フィルム62とハードコート層61,63との密着を強固とすることができる。コロナ処理条件としては、コロナ放電電子の照射量が1〜1000W/m
2/minであることが好ましい。上記コロナ処理後の光学フィルム62の水に対する接触角は、10〜50°であることが好ましい。また、ハードコート層形成材料の塗工液は、コロナ処理をした直後に塗工しても、除電させてから塗工してもよいが、ハードコート層61,63の外観が良好となることから、除電させてから塗工した方が好ましい。
【0049】
光学フィルム62上に形成されるハードコート層61,63の平均厚みは、通常0.5μm以上30μm以下、好ましくは2μm以上15μm以下である。ハードコート層61,63の厚さがこれよりも厚すぎると、視認性で問題になる可能性があり、薄すぎると耐擦傷性が劣る可能性がある。
【0050】
ハードコート層61,63のヘイズは、0.5%以下、好ましくは0.3%以下である。このようなヘイズ値であることにより、ハードコート層61,63をタッチパネル付き表示装置100内で好適に使用することができる。
【0051】
なお、ハードコート層形成材料には、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、有機粒子、無機粒子、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤等を添加してもよい。
【0052】
なお、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置では、基材60は、ハードコート層61,63を有していなくてもよいし、また、ハードコート層61,63に替えて、或いは、加えて、インデックスマッチング層や低屈折率層等の光学機能層を有していてもよい。
【0053】
[[インデックスマッチング層]]
ここで、インデックスマッチング層は、基材60の光学フィルム62と、基材60上に形成された導電層(この一例では第二の導電層50)との間に生じる屈折率の差に起因して起きる層の界面における光の反射を防ぐ目的で、基材60の光学フィルム62と導電層との間(界面)に設けられるものである。インデックスマッチング層としては、交互に配置された複数の高屈折率膜および低屈折率膜を含むものや、ジルコニア等の金属を含む樹脂層が挙げられる。光学フィルム62と第二の導電層50との屈折率が大きく異なっていたとしても、光学フィルム62と第二の導電層50との間で第二の導電層50に隣接配置されたインデックスマッチング層によって、基材60の、導電層が設けられている領域と、導電層が設けられていない領域とで反射率が大きく変化してしまうことを防止することができる。
【0054】
[[低屈折率層]]
低屈折率層は、光の反射を防止する目的で設けられるものであり、例えばハードコート層61,63上に設けることができる。ハードコート層61,63上に設ける場合、低屈折率層とは、ハードコート層61,63の屈折率よりも低い屈折率を有する層を指す。低屈折率層の屈折率は、23℃、波長550nmで1.30〜1.45の範囲であることが好ましく、1.35〜1.40の範囲であることがより好ましい。
【0055】
低屈折率層としては、SiO
2、TiO
2、NaF、Na
3AlF
6、LiF、MgF
2、CaF
2、SiO、SiO
X、LaF
3、CeF
3、Al
2O
3、CeO
2、Nd
2O
3、Sb
2O
3、Ta
2O
5、ZrO
2、ZnO、ZnS等よりなる無機化合物が好ましい。また、無機化合物と、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機化合物との混合物も低屈折率層形成材料として好ましく用いられる。一例として、紫外線硬化樹脂とシリカ中空粒子とを含む組成物を塗布し、紫外線を照射することにより形成した低屈折率層が挙げられる。低屈折率層の膜厚は、膜厚70nm以上120nm以下が好ましく、より好ましくは80nm以上110nm以下である。低屈折率層の膜厚が120nmを超えると、反射色に色味が付き、黒表示の時の色再現性が無くなるため、視認性が低下し、好ましくない場合がある。
【0056】
[第一の導電層]
第一の導電層70は、カバー層80の一方の表面に形成されており、第二の導電層50よりもカバー層80側、より具体的には、基材60と、カバー層80との間に位置している。そして、第一の導電層70は、基材60を挟んで積層方向に離隔して位置する第二の導電層50と共に静電容量式のタッチセンサーを構成する。
【0057】
そして、第一の導電層70は、第二の導電層50と同様の材料を用いて形成することができる。
また、カバー層80の表面上への第一の導電層70の形成は、第二の導電層50と同様の方法を用いて行うことができる。
【0058】
ここで、静電容量式のタッチセンサーを構成する導電層50,70は、パターン化して形成される場合が多い。具体的には、静電容量式タッチセンサーを構成する第一の導電層70および第二の導電層50は、対向配置して積層方向に見た際に、直線格子、波線格子またはダイヤモンド状格子などを形成するパターンで形成することができる。なお、波線格子とは、交差部間に少なくとも一つの湾曲部を有する形状を指す。
【0059】
なお、第一の導電層70および第二の導電層50の厚みは、例えばITOからなる場合には、特に限定されることなく、好ましくは10〜150nmとすることができ、更に好ましくは15〜70nmとすることができる。また、第一の導電層70および第二の導電層50の表面抵抗率は、特に限定されることなく、好ましくは100〜1000Ω/□とすることができる。
【0060】
[カバー層]
第一の導電層70が形成されたカバー層80は、既知の部材、例えば、ガラス製またはプラスチック製の、可視光に対して透明な板を用いて形成することができる。
【0061】
そして、静電容量式タッチパネル付き表示装置100によれば、視認側偏光板40とカバー層80との間に所定の位相差を有する光学フィルム62を備えた基材60を配置しているので、視認側偏光板40を通ってカバー層80側へと進む直線偏光を円偏光または楕円偏光に変えることができる。従って、静電容量式タッチパネル付き表示装置100は、操作者の偏光サングラスの透過軸と視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸とが直交し、所謂クロスニコル状態になった場合でも、操作者が表示内容を視認することができる。
また、静電容量式タッチパネル付き表示装置100では、第二の導電層50が基材60に設けられているので、第二の導電層を形成するための透明基板を別途設ける必要が無い。更に、第一の導電層70がカバー層80に設けられているので、第一の導電層を形成するための透明基板も設ける必要が無い。従って、タッチセンサーの構造を簡素化し、視認側偏光板40とカバー層80との間に存在する部材の数を削減して、液晶パネル20とカバー層80との間の厚さを薄くすることができる。その結果、表示装置の薄厚化を達成することができる。なお、この表示装置100では、基材60の一方側の面のみに導電層を形成しているので、基材60の両面に導電層を形成する場合と比較し、均一な厚みの導電層を容易に形成することができる。
【0062】
更に、上記一例の表示装置100では、静電容量式タッチセンサーを構成する第一の導電層70および第二の導電層50を視認側偏光板40とカバー層80との間に配設しているので、視認側偏光板40よりも液晶パネル20側に第一の導電層70および第二の導電層50を設けた場合と比較し、装置を薄厚化した場合であっても、液晶パネル20と、タッチセンサーを構成する第一の導電層70および第二の導電層50との間の距離を確保して、液晶パネル20側から受ける電気的なノイズの影響によるタッチセンサーの感度低下を抑制することができる。
また、表示装置100では、第一の導電層70と第二の導電層50との間に基材60を配設しているので、静電容量式タッチセンサーを容易に構成することができる。また、基材60の光学フィルム62として、比誘電率が低く、また、飽和吸水率が小さいフィルムを用いることができるので、静電容量式タッチセンサーを良好に形成することができる。
【0063】
<静電容量式タッチパネル付き表示装置(第二実施形態)>
次に、上述した静電容量式タッチパネル付き表示装置100の変形例について、要部の構造を
図2に示す。
図2に示す静電容量式タッチパネル付き表示装置200は、
・視認側偏光板40がカバー層側保護フィルム43を有しておらず、偏光フィルム42が視認側偏光板40のカバー層80側の表面(
図2では上面)に位置している点、
・基材60が視認側偏光板40と第二の導電層50との間に位置しており、第二の導電層50が基材60のカバー層80側の表面に形成されている点、
・基材60が視認側偏光板40の偏光フィルム42のカバー層80側の表面に貼り合わされている点、
・第一の導電層70と第二の導電層50とが、比誘電率の低い接着剤層または粘着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている点、
において先の一例の静電容量式タッチパネル付き表示装置100と構成が異なっており、他の点では、静電容量式タッチパネル付き表示装置100と同様の構成を有している。
【0064】
ここで、基材60の偏光フィルム42上への貼り付けは、既知の接着剤層または粘着剤層を用いて行うことができる。
【0065】
また、第一の導電層70と第二の導電層50とを貼り合わせる接着剤層または粘着剤層としては、比誘電率の低い、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ビニルアルキルエーテル系、シリコーン系およびフッ素系の樹脂などからなる接着剤層または粘着剤層を用いることができる。なお、静電容量式のタッチセンサーを良好に形成する観点からは、接着剤層または粘着剤層は、比誘電率が2以上5以下であることが好ましい。
【0066】
そして、上述した静電容量式タッチパネル付き表示装置200によれば、先の一例の静電容量式タッチパネル付き表示装置100と同様に、操作者の偏光サングラスの透過軸と視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸とが直交し、所謂クロスニコル状態になった場合でも、操作者が表示内容を視認することができる。また、タッチセンサーの構造を簡素化し、視認側偏光板40とカバー層80との間に存在する部材の数を削減して、液晶パネル20とカバー層80との間の厚さを薄くすることができる。更に、表示装置200では、静電容量式タッチパネル付き表示装置100と同様に、液晶パネル20側から受ける電気的なノイズの影響によるタッチセンサーの感度低下を抑制することができる。
【0067】
なお、この表示装置200では、基材60を偏光フィルム42の保護フィルムとして機能させることができるので、視認側偏光板40のカバー層側保護フィルムを不要として、視認側偏光板40の厚さを薄くことができる。従って、液晶パネル20とカバー層80との間の厚さを更に薄くすることができる。
ここで、この表示装置200では、基材60として、光学フィルム62の偏光フィルム42側にハードコート層61を有さない基材(即ち、光学フィルム62が液晶パネル20側の表面に位置する基材)を使用し、光学フィルム62と偏光フィルム42とを貼り合わせてもよい。視認側偏光板40のカバー層側保護フィルムに加えて基材60のハードコート層61も不要とすれば、液晶パネル20とカバー層80との間の厚さをより一層薄くすることができる。
【0068】
<静電容量式タッチパネル付き表示装置(第三実施形態)>
図3に、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置の他の例の要部の構造を示す。
ここで、
図3に示す静電容量式タッチパネル付き表示装置300は、
・第二の導電層50が、基材60の表面に形成されておらず、視認側偏光板40のカバー層80側の表面(具体的には、カバー層側保護フィルム43のカバー層80側の表面)に形成されている点、
・第一の導電層70が、カバー層80の表面に形成されておらず、基材60のカバー層80側の表面に形成されている点、
において先の一例の静電容量式タッチパネル付き表示装置100と構成が異なっており、他の点では、静電容量式タッチパネル付き表示装置100と同様の構成を有している。
【0069】
ここで、視認側偏光板40上への第二の導電層50の形成、および、基材60上への第一の導電層70の形成は、静電容量式タッチパネル付き表示装置100における導電層の形成で用いたのと同様の方法を用いて行うことができる。
【0070】
そして、上述した静電容量式タッチパネル付き表示装置300によれば、先の一例の静電容量式タッチパネル付き表示装置100と同様に、操作者の偏光サングラスの透過軸と視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸とが直交し、所謂クロスニコル状態になった場合でも、操作者が表示内容を視認することができる。また、タッチセンサーの構造を簡素化し、視認側偏光板40とカバー層80との間に存在する部材の数を削減して、液晶パネル20とカバー層80との間の厚さを薄くすることができる。更に、表示装置300では、静電容量式タッチパネル付き表示装置100と同様に、液晶パネル20側から受ける電気的なノイズの影響によるタッチセンサーの感度低下を抑制することができる。また、表示装置300では、基材60を用いて、静電容量式タッチセンサーを、容易に且つ良好に形成することができる。
【0071】
<静電容量式タッチパネル付き表示装置(第四実施形態)>
次に、上述した静電容量式タッチパネル付き表示装置300の変形例について、要部の構造を
図4に示す。
図4に示す静電容量式タッチパネル付き表示装置400は、
・基材60が第一の導電層70とカバー層80との間に位置している点、
・第一の導電層70と第二の導電層50とが、比誘電率の低い接着剤層または粘着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている点、
において先の他の例の静電容量式タッチパネル付き表示装置300と構成が異なっており、他の点では、静電容量式タッチパネル付き表示装置300と同様の構成を有している。
【0072】
ここで、第一の導電層70と第二の導電層50とを貼り合わせる接着剤層または粘着剤層としては、静電容量式タッチパネル付き表示装置200で使用したのと同様の、比誘電率の低い、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ビニルアルキルエーテル系、シリコーン系およびフッ素系の樹脂などからなる接着剤層または粘着剤層を用いることができる。なお、静電容量式のタッチセンサーを良好に形成する観点からは、接着剤層または粘着剤層は、比誘電率が2以上5以下であることが好ましい。
【0073】
そして、上述した静電容量式タッチパネル付き表示装置400によれば、先の一例の静電容量式タッチパネル付き表示装置300と同様に、操作者の偏光サングラスの透過軸と視認側偏光板40の偏光フィルム42の透過軸とが直交し、所謂クロスニコル状態になった場合でも、操作者が表示内容を視認することができる。また、タッチセンサーの構造を簡素化し、視認側偏光板40とカバー層80との間に存在する部材の数を削減して、液晶パネル20とカバー層80との間の厚さを薄くすることができる。更に、表示装置400では、静電容量式タッチパネル付き表示装置300と同様に、液晶パネル20側から受ける電気的なノイズの影響によるタッチセンサーの感度低下を抑制することができる。
【0074】
以上、一例を用いて本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置について説明したが、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置は、上記一例に限定されることはなく、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置には、適宜変更を加えることができる。具体的には、本発明の静電容量式タッチパネル付き表示装置は、視認側偏光板とカバー層との間に基材以外の任意の追加部材を有する場合には、第一の導電層および第二の導電層のうち基材の表面に形成されていない側の導電層を、当該追加部材の表面に形成してもよい。