(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の画線群と前記第2の画線群は交差し、前記第3の画線群と前記第4の画線群は交差し、前記第2の画線群及び前記第4の画線群は連続線で繋がっていることを特徴とする請求項1記載の偽造防止印刷物。
前記第1の画線群と前記第3の画線群の画線高さ、画線幅及び画線ピッチは略同一であり、前記第2の画線群と前記第4の画線群の画線高さ、画線幅及び画線ピッチは略同一であることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止印刷物。
前記第1の画線群、前記第2の画線群、前記第3の画線群及び前記第4の画線群の少なくとも一つの画線の画線幅を異ならせ、及び/又は、前記第2の画線群及び前記第4の画線群の少なくとも一つの画線の長さを異ならせることによって印刷物を真上から観察した場合に視認される画像が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の偽造防止印刷物。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書、貴重印刷物等の偽造防止及び改ざん防止が必要である印刷物は、偽造防止技術を付与することが求められ、それらについて、さまざま技術が開示されている。例えば、複雑な配置によって連続階調画像を形成する技術、印刷模様内に潜像画像を埋め込む技術等が知られている。
【0003】
例えば、複雑な配置によって連続階調画像を形成する技術としては、印刷物上の印刷色を点(断線)及び線等の微細図形群で図柄を構成し、微細図形の形状及び大きさを図柄の連続階調の濃度に従って制御しているものである。連続階調の表現には、網点等の正多角形配列からなる微細構成素子群で構成するスクリーン連続階調表現と、図柄中のモティーフのアウトラインや模様等を絵画的な点(断線)及び細線で構成する線画階調表現方法がある。
【0004】
絵画的な点(断線)及び細線で構成する線画階調表現方法は、図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)を、デッサン的描画手法を用いて図柄の明暗(連続階調)や質感を表現するため、図柄中の点(断線)及び細線が交差したり輻輳したりするなど、印刷物上で画線形状及び配置が複雑な様相となる。主な表現方法としては、画線が「線」の場合、画線幅や画線の配置する粗密で図柄の濃度を表現することができる。又、画線が「点」の場合、点の大きさによって図柄の濃度を表現したり、点の粗密によっても図柄の濃度を表現することができる。
【0005】
絵画的な点(断線)及び細線で構成する線画階調表現方法の代表的な技術として、紙幣の凹版印刷画像に見られるような図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)の階調表現方法として用いられている。例えば、線画階調表現方法によって点(断線)及び細線で構成する画線を複雑化した画線を有する印刷物は、画線を複雑化が奏することにより、複製を困難にすることができる。また、市場流通過程において拡大鏡等による観察によって、画線形状が真正なものであるか否かを、識別できる方法であるため、証券印刷物等のデザインにおいて世界的に広く用いられていると同時に、金銭的価値を有する印刷物の模様として古くから用いられ、現在でも一般的に高級感を印象づけるデザインとして重要な模様となっており、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において、線画階調表現方法による模様はデザイン上欠かすことのできない模様となっている。
【0006】
網点等の正多角形配列からなる微細構成素子群で構成するスクリーン連続階調表現は、一般にスクリーンとも呼ばれている。微細構成素子によって印刷物に階調(画線面積率0〜100%のフルレンジ連続階調)の画像を施すには、階調再現素子群として網点(連続円、楕円、菱形、四角、ライン、クロス、砂目)、万線(走査線)等の画線の面積の大小で連続階調を奏する。網点によるスクリーンは微細な点の大小で連続階調表現を可能にしている。
【0007】
しかし、スクリーン形状自体は単純エレメントの集合であり、機能性向上手段は一切存在しない。当然のごとく、一般の印刷手段を用いて有価証券を印刷する場合、これらの画線は既存の製版技術又、は画像処理技術にて容易に作成できるので、偽造防止策として成り得ていない。
【0008】
また、スクリーン連続階調表現と線画階調表現方法は、印刷安定性が高く連続階調再現性の高いものでなくてはならない。例えば、一般的に全ての印刷方式では細線が印刷しにくい現象があり、安定した連続階調再現が不可能になり、条件によって印刷できなくなる場合が生じる。細線が印刷できない原因の殆どは、連続階調再現用の画線が小さく(細く)、印刷インキのレオロジー特性における粘土、降伏価等が影響した転移性が充分に働かなくなるからである。また、凹版印刷方式では印刷インキのレオロジー特性によって凹版版面の凹部から印刷インキが保持されない現象があり、安定した連続階調再現が不可能になり、条件によって印刷できなくなる場合が生じる。印刷インキが保持されない原因の殆どは、連続階調再現用の画線が大きく(太く)、印刷インキの張力による抵抗が働く限界を越えてしまうからである。したがって、印刷インキのレオロジー特性が印刷に有効に働くような画線形状を有することが望ましい。
【0009】
そこで、図案的意図を反映させることができる連続階調表現方法であり、且つ印刷安定性及び連続階調再現性の高い微細構成素子から成る階調再現素子群が必要となる。すなわち網点、万線等の印刷物上の階調再現素子群でありながら、単位階調再現素子の形状が機能性を有する幾何学図形である集合模様が必要となる。
【0010】
線画階調表現方法(以下、凹版画線という。)は、
図1の印刷物a1に示されたように、印刷模様2´の画線群3a´と、印刷模様2´の画線群3b´は、画線群3a´に対して斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線によって配置されている。また、画線幅(すなわち、画線の長手方向と直交する長さ)については、基本画線である画線群3a´の画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、画線群3b´の画線幅は、画線群3a´よりも小さく(細く)及び/又は画線群3a´と同じにさせている。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。
図1に示された凹版画線の階調は、階調が無い状態で表現されている。図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)の表現域を広げるにあたり印刷模様2´の相対的な濃度を上げるため、画線群3a´と、画線群3b´の画線幅を大きく(太く)させることができるが、大きく(太く)させすぎると凹版インキが保持されずに流れ出る原因になるため、所定程度までしか画線幅を大きく(太く)させることはできない。印刷模様2´の相対的な濃度を上げることは、
図3において説明をする。
【0011】
図1に示された凹版画線の階調は、階調が無い状態であったが、
図2においては、階調を表現される画線構成になっている。
図2の印刷物a2に示されたように、印刷模様2´の画線群3a´と、印刷模様2´の画線群3b´は、画線群3a´に対して斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線によって配置されている。画線群3b´については、連続階調における濃度段階に従って画線の長さ5(すなわち、画線の長手方向と同じ方向の長さ)が変化され、画線群3a´と重ならないよう配置されている。画線の長さ5の変化により凹版画線に階調を表現させることができる。また、画線幅については、基本画線である画線群3a´の画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、画線群3b´の画線幅は、画線群3a´よりも小さく(細く)及び/又は画線群3a´と同じにさせている。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。印刷模様2´の相対的な濃度を上げることは、
図1で説明したように、所定程度までしか画線幅を大きく(太く)することはできない。画線の長さ5が変化されている部分の濃度については、
図1の濃度よりも下がっている。しかし、階調の表現はされている。
【0012】
図3においては、
図1、
図2で示された画線構成では、印刷模様2´の相対的な濃度を上げることはできなかったが、
図3においては、印刷模様2´の相対的な濃度を上げられる画線構成となっている。
図3の印刷物a3に示されたように、印刷模様2´の画線群3a´と、印刷模様2´の画線群3b´は、画線群3a´に対して斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線によって配置されている。さらに、印刷模様2´の相対的な濃度を上げるため、印刷模様2´の画線群3c´は、画線群3a´と、画線群3b´と重ならない位置に画線が配置されている。また、画線幅については、基本画線である画線群3a´の画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、画線群3b´の画線幅は、画線群3a´よりも小さく(細く)及び/又は画線群3a´と同じにさせている。また、画線群3c´の画線幅と画線の長さは、画線群3a´と、画線群3b´と重ならない画線幅と画線の長さであれば、任意である。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。
図3に示された凹版画線の階調は、階調が無い状態で表現されている。印刷模様2´の相対的な濃度は、
図1、
図2の濃度よりも上がっている。
【0013】
図3に示された凹版画線の階調は、階調が無い状態であったが、
図4においては、階調を表現される画線構成になっている。
図4の印刷物a4に示されたように、印刷模様2´の画線群3a´と、印刷模様2´の画線群3b´は、画線群3a´に対して斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線によって配置されている。さらに、印刷模様2´の相対的な濃度を上げるため、印刷模様2´の画線群3c´は、画線群3a´と、画線群3b´と重ならない位置に画線が配置されている。画線群3b´については、連続階調における濃度段階に従って画線の長さ5が変化され、画線群3a´と重ならないよう配置されている。画線の長さ5の変化により凹版画線に階調を表現させることができる。また、画線幅については、基本画線である画線群3a´の画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、画線群3b´の画線幅は、画線群3a´よりも小さく(細く)及び/又は画線群3a´と同じにさせている。また、画線群3c´の画線幅と画線の長さは、画線群3a´と、画線群3b´と重ならない画線幅と画線の長さであれば、任意である。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。印刷模様2´の相対的な濃度は、
図1、
図2の濃度よりも上がっている。画線の長さ5が変化されている部分の濃度については、
図3の濃度よりも下がっている。しかし、階調の表現はされている。
【0014】
図1から
図4で説明した凹版画線については、基本的な構成であり、画線群3b´を画線群3a´に対して斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線で表わされているが、画線群3a´と交差する線であれば、交差角度と平行を限定するものではない。また、画線群3c´を平行線を奏する画線で表わされているが、画線群3a´と、画線群3b´と重ならなければ、線や点の形状及び角度を限定するものではない。これら基本的な凹版画線の構成については、本発明を理解する上で重要なものである。
【0015】
また、ハイライト部が点、中間部からシャドウ部が線で表現され、且つそれら点又は線が互いに並行に配置された第1の画線群と、中間部から始まりシャドウ部にかけて線で表現され且つそれら線が第1の画線群に対して任意の角度をもって交差しながら互いに並行に配置された第2の画線群と、点で表現され且つそれら点の中心点が第1の画線群の画線の中心線及び第2の画線群の画線の中心線とは重ならないよう配置された第3の画線群との、少なくとも三つの画線群で構成された連続階調表現用集合模様を有する印刷物である(例えば、特許文献1)。
【0016】
一方、印刷模様内に潜像画像を埋め込む技術としては、
図5の印刷物a5に示すように印刷基材上に縦横の画線の配列によって構成される背景領域3´及び潜像領域4´から成る印刷模様2´を凹版印刷することで、印刷面を真上から観察した場合に潜像領域4´は印刷物を傾けて観察した場合に比べて確認し難いが、
図6に示すように印刷物を傾けて観察した場合に文字「P」の潜像領域4´が潜像模様として顕像化される印刷物「以下、潜像凹版という。」が開示されている(例えば、特許文献2)。
【0017】
さらに、
図7は、凹版画線と潜像凹版を組み合わせた印刷物a6を示している。枠模様6の楕円の外側が凹版画線の画線構成が示され、枠模様6の楕円の内側が潜像凹版の画線構成が示されている。枠模様6の楕円の外側については、印刷物に示されたように、印刷模様2´の画線群3a´と、印刷模様2´の画線群3b´は、画線群3a´に対して斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線によって配置されている。画線群3b´については、連続階調における濃度段階に従って画線の長さ5が変化され、画線群3a´と重ならないよう配置されている。画線の長さ5の変化により凹版画線に階調を表現させることができる。また、画線幅については、基本画線である画線群3a´の画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、画線群3b´の画線幅は、画線群3a´よりも小さく(細く)及び/又は画線群3a´と同じにさせている。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。枠模様6の楕円の内側については、印刷物に示されたように、印刷模様2´の画線群3a´と、潜像領域4´を成す画線群4a´は、画線群3a´に対して90度の角度を持って平行線を奏する画線によって配置されている。また、画線幅については、基本画線である画線群3a´の画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、画線群4a´の画線幅は、画線群3a´と同じにさせている。さらに、枠模様6の楕円の外側と内側の画線群3a´の画線幅は、同じである。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。この印刷物の印刷面を真正面から見て観察した場合、施されている潜像領域4´の「P」文字がより認識できないように、カモフラージュ模様7を画線群3a´と画線群4a´のそれぞれにまたがるカモフラージュ模様7を施した。このカモフラージュ模様7は、印刷模様2´中の画線群3a´と画線群4a´の画線幅を部分的に変えていることにより、印刷物a6を真正面からの観察した際に模様として認識することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0035】
図8は、本発明の偽造防止印刷物A1の概略図である。偽造防止印刷物A1は、基材1上に印刷模様2を有する。印刷模様2は背景領域3と潜像領域4に区分けされる。
【0036】
(実施の形態1)
背景領域3は第1の方向に第1のピッチで配列された第1の画線群3aと、第1の画線群3aに対して異なった方向に配列された潜像領域4をカムフラージュするための第2の画線群3bから成る。背景領域3を構成する第2の画線群3bは、第1の画線群3aに対して略45°の異なった方向で配列することが好ましい。潜像領域4は、背景領域3を構成する第1の画線群3aに対して略90°の異なった第2の方向に第2のピッチで配列された第3の画線群4aと、第3の画線群4aに対して異なった方向に配列された潜像領域4をカムフラージュするための画線群4bから成る。潜像領域4を構成する画線群4bは、第3の画線群4aに対して略45°の異なった方向で配列することが好ましい。背景領域3を構成する第2の画線群3bと潜像領域4を構成する画線群4bは、偽造防止印刷物A1を真上から観察した場合に潜像領域4が確認されてしまう問題を防ぐためのカムフラージュ効果を有する。
【0037】
背景領域3を構成する第1の画線群3aと第2の画線群3bの関係、潜像領域4を構成する第3の画線群4aと画線群4bの関係について、さらに詳しく説明する。
図8では、背景領域3を構成する第1の画線群3aと第2の画線群3bは、交差しているが本発明はこの形態に限定されることなく、
図18に示すように第1の画線群3aと第2の画線群3bは交差しない形態であっても本発明の効果を奏することができる。同様に、潜像領域4を構成する第3の画線群4aと画線群4bは、交差しているが本発明はこの形態に限定されることなく、
図18に示すように第3の画線群4aと画線群4bは交差しない形態であっても本発明の効果を奏することができる。交差する形態において、背景領域3を構成する第2の画線群3bと潜像領域4を構成する画線群4bは連続線で繋がっている構成であってもよい。
【0038】
第2の画線群3b及び第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3a及び第3の画線群4aの画線高さよりも低く、第2の画線群3b及び第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3a及び第3の第3の画線群4aの画線幅よりも狭く、第1の画線群3aと第3の画線群4aの画線ピッチは略同一であり、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線ピッチは略同一であり、第2の画線群3bと第4の画線群4bが連続線で繋がっている形態であることが好ましい。この理由は、
図13に示すように偽造防止印刷物A1を傾けて観察した場合に潜像領域4の「P」文字がより認識しやすくするためである。潜像領域4の「P」文字が顕像と視認される理由は、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差によるものであり、この明度差が高く(大きく)なると潜像領域4の「P」文字の視認がしやすくなり、この明度差が低く(小さく)なると潜像領域4の「P」文字の視認がしにくくなり、視認を妨げることになる。すなわち、基材が凹版画線に隠れるか隠れないかによって明度に影響を及ぼすことになる。潜像領域4の「P」文字がより視認しやすくなる条件は、第2の画線群3bと第4の画線群4bの上記の構成要素を充たし、凹版画線のインキが低明度(高濃度)の黒色で、基材が高明度(低濃度)の白色の場合、明度差がもっとも高く(大きく)なるので、より視認しやすくなる条件として最適である。すなわち、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線高さ及び画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aより画線高さを低く、画線幅を狭くすることにより、偽造防止印刷物A1を傾けて観察した場合に第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うことがなくなり、基材を凹版画線が隠すことがなくなり、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が高く(大きく)なり潜像領域4の「P」文字がより認識しやすくなる。
【0039】
第1の画線群3aと第3の画線群4aの画線高さ、画線幅及び画線ピッチは略同一であり、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線高さ、画線幅及び画線ピッチは略同一であることが好ましい。第1の画線群3a、第2の画線群3b、第3の画線群4a及び第4の画線群4bの画線幅は、50μm〜300μmが好ましい。また、第1の画線群3a、第2の画線群3b、第3の画線群4a及び第4の画線群4bの画線ピッチは、100μm〜600μmが好ましい。また、第1の画線群3a、第2の画線群3b、第3の画線群4a及び第4の画線群4bの画線高さは、20μm〜100μmが好ましい。
【0040】
図9は、本発明の特徴である画線の立体的な構成が示された説明図である。また、
図9に示された背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、
図10に示された背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bを示されている。
図9に示されている画線は、
図10に示された画線の一部を示されているので、
図9に示されている画線のことを画線群と称している。
図9に示されたように、印刷模様2は、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bで構成されている。また、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、長手方向に隣合せで配置されている。背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bのそれぞれの構成として、背景領域3を成す背景部8aは、印刷面からの盛り上がりの高さが同じで長手方向に平行して構成された第1の画線群3aは、長手方向に対して垂直方向に沿って所定のピッチで規則的に配置されている。また、第2の画線群3bは、第1の画線群3aよりも盛り上がりの高さが低く、第1の画線群3aに対して斜め45度の角度を持って交差して構成されている。すなわち、第2の画線群3bは、第1の画線群3aの高さ以下とする。潜像領域4を成す潜像部8bは、印刷面からの盛り上がりの高さが同じで垂直方向に平行して構成された第3の画線群4aは、垂直方向に対して長手方向に沿って所定のピッチで規則的に配置されている。また、第4の画線群4bは、第3の画線群4aよりも盛り上がりの高さが低く、第3の画線群4aに対して斜め45度の角度を持って交差して構成されている。すなわち、第4の画線群4bは、第3の画線群4aの高さ以下とする。さらに、背景領域3を成す背景部8aの第1の画線群3aと潜像領域4を成す潜像部8bの第3の画線群4aの高さは同じに構成され、背景領域3を成す背景部8aの第2の画線群3bと潜像領域4を成す潜像部8bの第4の画線群4bは、高さが同じで平行して構成されている。またさらに、画線幅については、背景領域3の基本画線である第1の画線群3aの画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、第2の画線群3bの画線幅は、第1の画線群3aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと同じにさせている。潜像領域4の基本画線である第3の画線群4aの画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、第4の画線群4bの画線幅は、第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第3の画線群4aと同じにさせている。第1の画線群3aと第3の画線群4aの画線幅は、同じにさせ、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線幅は、同じにさせている。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。
【0041】
また、本発明の特徴である第2の画線群3bと第4の画線群4bの構成要素について、さらに詳しく説明する。
図13に示されたように偽造防止印刷物A1を斜めから観察した場合、潜像領域4の「P」文字が顕像と視認される理由は、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差によるものであり、この明度差が高く(大きく)なると潜像領域4の「P」文字の視認がしやすくなり、この明度差が低く(小さく)なると潜像領域4の「P」文字の視認がしにくくなり、視認を妨げることになる。すなわち、基材が凹版画線に隠れるか隠れないかによって明度に影響を及ぼす。この視認の妨げとなり、明度に影響を及ぼす要因は三つある。
【0042】
一つ目は、仮に第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3aと第3の画線群4aより高く(以上)、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにさせ、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線ピッチは、第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より低く(明るく)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して、偽造防止印刷物A1を斜めから観察した場合、画線高さによって第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、基材を凹版画線が隠してしまい、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が低く(小さく)なり、潜像領域4の「P」文字の視認を妨げることになる。
【0043】
二つ目は、仮に第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3aと第3の画線群4aより低く(以下)、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにさせ、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線ピッチは、第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より高く(暗く)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して、偽造防止印刷物A1を斜めから観察した場合、画線ピッチによって第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、基材を凹版画線が隠してしまい、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が低く(小さく)なり、潜像領域4の「P」文字の視認を妨げることになる。
【0044】
三つ目は、仮に第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3aと第3の画線群4aより高く(以上)、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにさせ、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線ピッチは、第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より高く(暗く)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して、偽造防止印刷物A1を斜めから観察した場合、画線高さと画線ピッチによって第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、基材を凹版画線が隠してしまい、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が低く(小さく)なり、潜像領域4の「P」文字の視認を妨げることになる。
【0045】
すなわち、第2の画線群3bと第4の画線群4bの構成要素は、画線高さが第1の画線群3aと第3の画線群4aより低く(以下)、画線幅が第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにし、画線ピッチが第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より低く(明るく)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して構成されている。例えば、
図13に示されたように偽造防止印刷物A1を斜めから観察した場合、潜像領域4の「P」文字が顕像として、より視認しやすくなる条件は、第2の画線群3bと第4の画線群4bの上記の構成要素を充たし、凹版画線のインキが低明度(高濃度)の黒色で、基材が高明度(低濃度)の白色の場合、明度差がもっとも高く(大きく)なるので、より視認しやすくなる条件として最適である。
【0046】
さらに、本実施の形態1では、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、長手方向に隣合せで表わされているが、潜像領域4を成す潜像部8bの潜像になる文字や図形の形状により配置位置は、上下左右のいずれかに配置される。さらに、第2の画線群3bを第1の画線群3aに対して、最も良い形態である斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線で表わされているが、交差角度については限定されるものではない、だだし、本発明の作用の低下を防ぐために、第2の画線群3bを第1の画線群3aに対して略30〜60°又は略120〜150°の異なった方向に配列されることが好ましい。また、第4の画線群4bを第3の画線群4aに対して最も良い形態である斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線で表わされているが、交差角度については限定されるものではない、だだし、本発明の作用の低下を防ぐために、第4の画線群4bを第3の画線群4aに対して、略30〜60°又は略120〜150°の異なった方向に配列されることが好ましい。また、本実施の形態1では、背景領域3を成す背景部8aの第2の画線群3bと潜像領域4を成す潜像部8bの第4の画線群4bは、平行線で表わされているが、第1の画線群3aと第3の画線群4aと交差する線であれば、平行を限定するものではない。
【0047】
図10は、
図9の構成を本発明の構成に配置された説明図である。
図10の偽造防止印刷物A1に示されたように、印刷模様2は、背景領域3を成す背景部8aと、潜像領域4を成す潜像部8bで構成されている。背景領域3を成す背景部8aは、印刷模様2の背景を成す所定の位置に長手方向と垂直方向の両方向に沿って所定のピッチで規則的に配置され、潜像領域4を成す潜像部8bは、印刷模様2の潜像を成す所定の位置に長手方向と垂直方向の両方向に沿って所定のピッチで規則的に配置されている。すなわち、背景領域3を成す背景部8aは、「P」文字以外の所定の位置に同じ背景領域3を成す背景部8aを配置され、潜像領域4を成す潜像部8bは、「P」文字の所定の位置に同じ潜像領域4を成す潜像部8bを配置されている。ただし、
図10に示すように階調が無い場合に限り、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bを所定の位置に同じものを配置できる。しかし、
図18に示すように階調が連続階調における濃度段階を有する場合は、その限りではない。
図18について、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、連続階調における濃度段階に従った背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bを所定の位置に配置されている。
図10に示すような階調が無い場合は、
図12、
図16、
図17にも示されている。
図18に示すような階調が連続階調における濃度段階を有する場合は、
図19、
図20、
図21にも示されている。
【0048】
前述したように
図13は、本発明の
図10に示された偽造防止印刷物A1の斜視図である。この印刷物の印刷面を真正面から見て観察した場合、施されている潜像領域4の「P」文字を容易に認識することができないが、
図13に示されたように、斜めから観察した場合、例えば、凹版インキのような盛り上がった画線では、第1の画線群3aで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、実際の潜像部を成す第3の画線群4aよりも低明度(高濃度)となる。これにより、潜像領域4の「P」文字が顕像となって出現する。
【0049】
(実施の形態2)
図11は、本発明の特徴である画線の立体的な構成が示された説明図である。また、
図11に示された背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、
図12に示された背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bを示されている。
図11に示されている画線は、
図12に示された画線の一部を示されているので、
図11に示されている画線のことを画線群と称している。
図11の偽造防止印刷物A2に示されたように、印刷模様2は、背景領域3を成す背景部8aと、潜像領域4を成す潜像部8bで構成されている。また、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、長手方向に隣合せで配置されている。背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bのそれぞれの構成として、背景領域3を成す背景部8は、印刷面からの盛り上がりの高さが同じで長手方向に平行して構成された第1の画線群3aと、第1の画線群3aよりも低い盛り上がりの高さが同じで長手方向に平行して構成された第1の画線群3a´´が配置されている。また、第2の画線群3bは、第1の画線群3a´´と同じ盛り上がりの高さが同じで、第1の画線群3aと第1の画線群3a´´に対して斜め45度の角度を持って交差して構成されている。すなわち、第2の画線群3bと第1の画線群3a´´は、第1の画線群3aの高さ以下とする。潜像領域4を成す潜像部8bは、印刷面からの盛り上がりの高さが同じで垂直方向に平行して構成された第3の画線群4aと、第3の画線群4aよりも低い盛り上がりの高さが同じで垂直方向に平行して構成された第3の画線群4a´´が配置されている。また、第4の画線群4bは、第3の画線群4a´´と同じ盛り上がりの高さが同じで、第3の画線群4aと第3の画線群4a´´に対して斜め45度の角度を持って交差して構成されている。すなわち、第4の画線群4bと第3の画線群4a´´は、第3の画線群4aの高さ以下とする。さらに、背景領域3を成す背景部8aの第1の画線群3aと潜像領域4を成す潜像部8bの第3の画線群4aの高さは同じに構成され、背景領域3を成す背景部8aの第2の画線群3bと潜像領域4を成す潜像部8bの第4の画線群4bは、高さが同じで平行して構成されている。すなわち、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの高さは、同じとする。またさらに、画線幅については、背景領域3の基本画線である第1の画線群3aの画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、第2の画線群3bと第1の画線群3a´´の画線幅は、第1の画線群3aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと同じにさせている。潜像領域4の基本画線である第3の画線群4aの画線幅は、図柄を形成させる上での所定程度の任意な画線幅であり、第4の画線群4bと第3の画線群4a´´の画線幅は、第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第3の画線群4aと同じにさせている。第1の画線群3aと第3の画線群4aの画線幅は、同じにさせ、第1の画線群3a´´と第3の画線群4a´´の画線幅は、同じにさせ、第2の画線群3bと第4の画線群4bの画線幅は、同じにさせている。ピッチについては、画線面積率に応じて所定のピッチで規則的に配置されている。
【0050】
また、本実施の形態の特徴である第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの構成要素について、さらに詳しく説明する。偽造防止印刷物A2を斜めから観察した場合、潜像領域4の「P」文字が顕像と視認される理由は、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差によるものであり、この明度差が高く(大きく)なると潜像領域4の「P」文字の視認がしやすくなり、この明度差が低く(小さく)なると潜像領域4の「P」文字の視認がしにくくなり、視認を妨げることになる。すなわち、基材が凹版画線に隠れるか隠れないかによって明度に影響を及ぼす。この視認の妨げとなり、明度に影響を及ぼす要因は三つある。
【0051】
一つ目は、仮に第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3aと第3の画線群4aより高く(以上)、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにさせ、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線ピッチは、第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より低く(明るく)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して、偽造防止印刷物A2を斜めから観察した場合、画線高さによって第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、基材を凹版画線が隠してしまい、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が低く(小さく)なり、潜像領域4の「P」文字の視認を妨げることになる。
【0052】
二つ目は、仮に第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3aと第3の画線群4aより低く(以下)、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにさせ、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線ピッチは、第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より高く(暗く)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して、偽造防止印刷物A2を斜めから観察した場合、画線ピッチによって第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、基材を凹版画線が隠してしまい、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が低く(小さく)なり、潜像領域4の「P」文字の視認を妨げることになる。
【0053】
三つ目は、仮に第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線高さは、第1の画線群3aと第3の画線群4aより高く(以上)、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線幅は、第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにさせ、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの画線ピッチは、第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より高く(暗く)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して、偽造防止印刷物A2を斜めから観察した場合、画線高さと画線ピッチによって第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第4の画線群4bで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、基材を凹版画線が隠してしまい、凹版画線のインキの明度と基材の明度との明度差が低く(小さく)なり、潜像領域4の「P」文字の視認を妨げることになる。
【0054】
すなわち、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの構成要素は、画線高さが第1の画線群3aと第3の画線群4aより低く(以下)、画線幅が第1の画線群3aと第3の画線群4aよりも小さく(細く)及び/又は第1の画線群3aと第3の画線群4aと同じにし、画線ピッチが第1の画線群3aと第3の画線群4aのそれぞれの画線面積率より低く(明るく)なるよう画線幅に応じてピッチを調整して構成されている。偽造防止印刷物A2を斜めから観察した場合、潜像領域4の「P」文字が顕像として、より視認しやすくなる条件は、第1の画線群3a´´と第2の画線群3bと第3の画線群4a´´と第4の画線群4bの上記の構成要素を充たし、凹版画線のインキが低明度(高濃度)の黒色で、基材が高明度(低濃度)の白色の場合、明度差がもっとも高く(大きく)なるので、より視認しやすくなる条件として最適である。
【0055】
さらに、本実施の形態1では、背景領域3を成す背景部8aと潜像領域4を成す潜像部8bは、長手方向に隣合せで表わされているが、潜像領域4を成す潜像部8bの潜像になる文字や図形の形状により配置位置は、上下左右のいずれかに配置される。さらに、第2の画線群3bを第1の画線群3aに対して最も良い形態である斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線で表わされているが、交差角度については限定されるものではない、だだし、本発明の作用の低下を防ぐために、第2の画線群3bを第1の画線群3aに対して略30〜60°又は略120〜150°の異なった方向に配列されることが好ましい。また、第4の画線群4bを第3の画線群4aに対して最も良い形態である斜め45度の角度を持って交差する平行線を奏する画線で表わされているが、交差角度については限定されるものではない、だだし、本発明の作用の低下を防ぐために、第4の画線群4bを第3の画線群4aに対して、略30〜60°又は略120〜150°の異なった方向に配列されることが好ましい。また、本実施の形態1では、背景領域3を成す背景部8aの第2の画線群3bと潜像領域4を成す潜像部8bの第4の画線群4bは、平行線で表わされているが、第1の画線群3aと第3の画線群4aと交差する線であれば、平行を限定するものではない。
【0056】
図12は、
図11の構成を本発明の構成に配置された説明図である。
図12の偽造防止印刷物A2に示されたように、印刷模様2は、背景領域3を成す背景部8aと、潜像領域4を成す潜像部8bで構成されている。背景領域3を成す背景部8aは、印刷模様2の背景を成す所定の位置に長手方向と垂直方向の両方向に沿って所定のピッチで規則的に配置され、潜像領域4を成す潜像部8bは、印刷模様2の潜像を成す所定の位置に長手方向と垂直方向の両方向に沿って所定のピッチで規則的に配置されている。すなわち、背景領域3を成す背景部8aは、「P」文字以外の所定の位置に同じ背景領域3を成す背景部8aを配置され、潜像領域4を成す潜像部8bは、「P」文字の所定の位置に同じ潜像領域4を成す潜像部8bを配置されている。
【0057】
図14は、画線の角度と形状のバリエーションを示した説明図である。本発明の画線は、
図14(a)に示されたように長手方向で直線のW0と、長手方向で波線の振幅の大きさが違うW1からW10と、長手方向で直線の画線の途中で画線幅の違うW11の中からの画線の選択で構成されている。また、
図14(b)に示されたように垂直方向で直線のW0と、垂直方向で波線の振幅の大きさが違うW1からW10と、垂直方向で直線の画線の途中で画線幅の違うW11の中からの画線の選択で構成されている。これら画線の角度と画線の形状の違う画線を組み合わせることで本発明の画線として構成されている。しかし、同じ画線の形状の組み合わせで構成されてもかまわない。また、本実施の形態では、画線の角度を長手方向と垂直方向で表わされているが、角度を限定するものではない。さらに、本実施の形態では、画線幅を任意の幅で表わされているが、画線幅を限定するものではない。またさらに、本実施の形態では、画線の形状を波線の形状で表わされているが、画線の形状を限定するものではない。
【0058】
図15は、画線の角度と形状のバリエーションを示した説明図である。
図15は、
図14に示された画線幅よりも小さい(細い)画線幅で示されている。本発明の画線は、
図15(a)に示されたように長手方向で直線のW12と、長手方向で波線の振幅の大きさが違うW13からW22の中からの画線の選択で構成されている。また、
図15(b)に示されたように垂直方向で直線のW12と、垂直方向で波線の振幅の大きさが違うW13からW22の中からの画線の選択で構成されている。
図14(a)と
図14(b)で示されていた長手方向で直線の画線の途中で画線幅の違うW11が
図15(a)と
図15(b)でW23として示されていないのは、画線幅が小さい(細い)ため、図で示されると視認しづらいので、示されていないだけで、構成としては可能である。これら画線の角度と画線の形状の違う画線を組み合わせることで本発明の画線として構成されている。しかし、同じ画線の形状の組み合わせで構成されてもかまわない。また、本実施の形態では、画線の角度を長手方向と垂直方向で表わされているが、角度を限定するものではない。さらに、本実施の形態では、画線幅を任意の幅で表わされているが、画線幅を限定するものではない。またさらに、本実施の形態では、画線の形状を波線の形状で表わされているが、画線の形状を限定するものではない。
【0059】
図14と
図15に示された画線のバリエーションは、
図10及び
図12に示された本発明の基本的な画線構成から成る第1の画線群3a、第2の画線群3b、第3の画線群4a、第4の画線群4bの画線として置換えて構成されることもできる。また、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に組み合わせることもできる。その自由に組み合わせた画線構成を斜めから観察すると、潜像模様が視認される。
【0060】
(実施の形態3)
図16は、本発明の画線構成のバリエーションを示した説明図である。
図16は、
図10に示された本発明の基本的な画線構成から成る第1の画線群3aと第3の画線群4aを波線に置き換えて構成された偽造防止印刷物A3である。波線に置き換えた第1の画線群3aと第3の画線群4aは、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に変更させることもできる。
図16の画線構成を斜めから観察すると、
図10に示された偽造防止印刷物A1と同様に潜像画像が視認される。
【0061】
(実施の形態4)
図17は、本発明の画線構成のバリエーションを示した説明図である。
図17は、
図12に示された画線構成から成る第1の画線群3a、第1の画線群3a´´、第3の画線群4a、第3の画線群4a´´を波線に置き換えて構成された偽造防止印刷物A4である。波線に置き換えた第1の画線群3a、第1の画線群3a´´、第3の画線群4a、第3の画線群4a´´は、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に変更させることもできる。
図17の画線構成を斜めから観察すると、
図10に示された偽造防止印刷物A1と同様に潜像画像が視認される。
【0062】
(実施の形態5)
図18は、本発明の画線構成のバリエーションを示した説明図である。
図18は、
図10に示された本発明の基本的な画線構成から成る第2の画線群3b、第4の画線群4bを連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えて構成された偽造防止印刷物A5である。連続階調における濃度段階を有する場合の階調を簡単に示されると
図2に示された画線の長さ5のように構成される。連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えた第2の画線群3b、第4の画線群4bは、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に変更させることもできる。
図18の画線構成を斜めから観察すると、
図10に示された偽造防止印刷物A1と同様に潜像画像が視認される。
【0063】
(実施の形態6)
図19は、本発明の画線構成のバリエーションを示した説明図である。
図19は、
図12に示された画線構成から成る第1の画線群3a´´、第2の画線群3b、第3の画線群4a´´、第4の画線群4bを連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えて構成された偽造防止印刷物A6である。連続階調における濃度段階を有する場合の階調を簡単に示されると
図2に示された画線の長さ5のように構成される。連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えた第1の画線群3a´´、第2の画線群3b、第3の画線群4a´´、第4の画線群4bは、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に変更させることもできる。
図19の画線構成を斜めから観察すると、
図10に示された偽造防止印刷物A1と同様に潜像画像が視認される。
【0064】
(実施の形態7)
図20は、本発明の画線構成のバリエーションを示した説明図である。
図20は、
図12に示された画線構成から成る第1の画線群3a´´、第3の画線群4a´´を連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えて構成された偽造防止印刷物A7である。連続階調における濃度段階を有する場合の階調を簡単に示されると
図2に示された画線の長さ5のように構成される。連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えた第1の画線群3a´´、第3の画線群4a´´は、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に変更させることもできる。
図20の画線構成を斜めから観察すると、
図10に示された偽造防止印刷物A1と同様に潜像画像が視認される。
【0065】
(実施の形態8)
図21は、本発明の画線構成のバリエーションを示した説明図である。
図21は、
図12に示された画線構成から成る第1の画線群3a´´、第3の画線群4a´´を連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えて構成された偽造防止印刷物A8である。さらに、
図21は、
図20に示された第1の画線群3a´´、第3の画線群4a´´の角度を変更させたものである。連続階調における濃度段階を有する場合の階調を簡単に示されると
図2に示された画線の長さ5のように構成される。連続階調における濃度段階に従った画線の長さに置き換えた第1の画線群3a´´、第3の画線群4a´´は、画線の角度や画線の形状、画線幅についても自由に変更させることもできる。
図21の画線構成を斜めから観察すると、
図10に示された偽造防止印刷物A1と同様に潜像画像が視認される。
【0066】
図16から
図21に示された本発明の画線構成のバリエーションは、ほんの一部であり、画線の角度や画線の形状、画線幅の組み合わせを変更すれば、無数のバリエーションの画線構成が作製される。すなわち、本発明の印刷模様の画線構成を用いれば、連続階調における濃度段階を有する図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)や地紋などの階調が無いものに文字や図形などの潜像模様を自由に入れることができる。階調が連続階調における濃度段階を有する階調は、
図18、
図19、
図20、
図21にも示されている。階調が無いものは、
図10、
図12、
図16、
図17にも示されている。
【0067】
(実施の形態9)
図22は、本発明の画線構成を図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)に入れたときの画線構成の一部の拡大図である。
図22の偽造防止印刷物A9に示されたように、印刷模様2の背景領域3を成す階調模様9aに潜像領域4の「P」文字を入れた構成になっている。潜像領域4の「P」文字の一部を拡大すると拡大
図10aのように示される。拡大
図10aに示されている画線構成は、本発明の画線構成である
図18と同様である。拡大
図10aに示されている第2の画線群3bと第4の画線群4bは、階調模様の連続階調における濃度段階に従った画線の長さに変化される。また、階調模様の連続階調における濃度段階によって第1の画線群3aは、
図14に示されたW11のように画線幅が画線の途中から変化される場合や
図3に示された画線群3cも加わる場合もある。この偽造防止印刷物A9の印刷面を真正面から見て観察した場合、施されている潜像領域4の「P」文字を容易に認識することができないが、斜めから観察した場合、例えば、凹版インキのような盛り上がった画線では、第1の画線群3aで隣り合う画線との視角によって重なり合うため、実際の潜像部を成す第3の画線群4aよりも低明度(高濃度)となる。これにより、潜像領域4の「P」文字が顕像となって出現する。
【0068】
図23は、本発明の画線構成を図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)に入れたときの画線構成の一部の拡大図である。
図23の偽造防止印刷物A9に示されたように、印刷模様2の背景領域3を成す階調模様9aに潜像領域4の「P」文字を入れた構成になっている。潜像領域4の「P」文字以外の一部を拡大すると拡大
図10bのように示される。拡大
図10bに示されている画線構成は、本発明の画線構成である
図18と同様である。拡大
図10bに示されている第2の画線群3bは、階調模様の連続階調における濃度段階に従った画線の長さに変化される。また、階調模様の連続階調における濃度段階によって第1の画線群3aは、
図14に示されたW11のように画線幅が画線の途中から変化される場合や
図3に示された画線群3cも加わる場合もある。さらに、拡大
図10bに示されている潜像領域4の「P」文字以外の画線構成は、
図2に示されるように凹版画線の画線構成とも同様である。
【0069】
すなわち、
図22と
図23に示されたように、本発明の印刷模様の画線構成を用いれば、凹版画線の画線構成で作製されている階調模様9aに潜像領域4の「P」文字を入れることができる。また、
図7に示したように凹版画線の画線構成と潜像凹版の画線構成の組み合わせのように画線構成の違いによる違和感が生じるのではなく、凹版画線の画線構成と潜像凹版の画線構成の違いを本発明の印刷模様の画線構成を用いることにより画線どうしをなじませ、違和感なく意匠性に優れた偽造防止印刷物A9ができる。
【0070】
(実施の形態10)
図24は、本発明の画線構成を図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)に入れたときのバリエーションを示した説明図である。
図24の偽造防止印刷物A10に示されたように、印刷模様2の第1の背景を成す階調模様9aと第2の背景を成す階調模様9bと第3の背景を成す階調模様9cで構成されている。また、第1の背景を成す階調模様9aには、潜像領域4の「P」文字を入れ、第2の背景を成す階調模様9bには、潜像領域4を入れず、第3の背景を成す階調模様9cには、潜像領域4の「A」文字を入れている。階調模様9aと階調模様9cに入れている潜像領域4は、「P」文字と「A」文字のように違うが、画線構成については
図22に示された拡大
図10aの画線構成と同等である。階調模様9bには、潜像模様を入れていないので、画線構成については
図23に示された拡大
図10bと同等である。このように
図24に示された偽造防止印刷物A10は、階調模様9a、階調模様9b、階調模様9cで構成され、それぞれ潜像模様の違いや潜像模様が入っていなかったりするが、この偽造防止印刷物A10の印刷面を真正面から見て観察した場合、この四つすべての階調模様は、同じ階調模様に視認される。すなわち、本発明の印刷模様の画線構成を用いれば、好みの図柄にあるモティーフ(人物、風景、物体、模様等)に複数違う情報の潜像模様である文字や図形などを自由に違和感なく画線になじませ、意匠性に優れた偽造防止印刷物を作製することができる。また、この四つすべての階調模様の見た目と画線構成は同じであるが、潜像模様を「P」文字と「A」文字のように違えたり、潜像模様を入れなかったりするなど、複数違う情報を入れることができる。これは、本発明の印刷模様の画線構成によるものであり、凹版画線の画線構成と潜像凹版の画線構成の違いを本発明の印刷模様の画線構成を用いることにより画線どうしをなじませ、各偽造防止技術の画線構成等の分割が困難になり偽造や変造が容易でなくなるなど、偽造防止策が高い印刷物を作製することができる。