特許第6381551号(P6381551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6381551-硬化促進剤組成物 図000040
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381551
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】硬化促進剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 22/08 20060101AFI20180820BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20180820BHJP
   C04B 24/30 20060101ALI20180820BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20180820BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20180820BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20180820BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20180820BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20180820BHJP
   C04B 103/14 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   C04B22/08 A
   C04B24/26 B
   C04B24/26 E
   C04B24/26 F
   C04B24/26 H
   C04B24/30 Z
   C04B28/02
   C08L33/02
   C08L71/02
   C08K3/22
   C08K3/34
   C04B103:14
【請求項の数】12
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2015-554175(P2015-554175)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2016-505505(P2016-505505A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2014051485
(87)【国際公開番号】WO2014114782
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】13152685.7
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヘッセ
(72)【発明者】
【氏名】リュック ニコロ
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−501293(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/026720(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/104347(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B7/00−32/02
C04B40/00−40/06
C04B103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化カルシウム、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウム形成化合物から選択されるカルシウム源と水溶性ケイ酸塩化合物とを、アニオン性基および/またはアニオン原性基とポリエーテル側鎖とを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー型分散剤の存在下に反応させることによる硬化促進剤組成物の製造方法において、前記水溶性ケイ酸塩化合物が、式m SiO2・n M2O[式中、Mは、Li、Na、KもしくはNH4またはそれらの混合物であり、mおよびnは、モル数であり、かつm:nの比の値は、3.4〜3.8である]を有するアルカリ金属ケイ酸塩から選択される前記製造方法。
【請求項2】
前記カルシウム源および前記水溶性ケイ酸塩化合物が、前記水溶性ポリマー型分散剤の水溶液へと添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成分が、以下の比率:
i)0.01〜75質量%の水酸化カルシウムまたは酸化カルシウム、
ii)0.01〜75質量%の前記水溶性ケイ酸塩化合物、
iii)0.001〜60質量%の水溶性分散剤、
iv)24〜99質量%の水
で使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
m:nの比の値が、3.4〜3.6である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記水溶性ケイ酸塩化合物が、粉末形で使用される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記分散剤が、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id):
【化1】
[前記式中、
1は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、CH2COOHもしくはCH2CO−X−R3であり、
Xは、NH−(Cn2n)もしくはO−(Cn2n)であり、ここでnは1、2、3もしくは4であり、前記窒素原子もしくは酸素原子は、前記CO基に結合されているか、またはXは、化学結合であり、
2は、OM、PO32またはO−PO32であるが、但し、Xは、R2がOMの場合に化学結合であるものとし、
3は、PO32またはO−PO32である]
【化2】
[前記式中、
3は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
nは、0、1、2、3または4であり、
4は、PO32、O−PO32である]
【化3】
[前記式中、
5は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Zは、OまたはNR7であり、
7は、H、(Cn2n)−OH、(Cn2n)−PO32、(Cn2n)−OPO32、(C64)−PO32または(C64)−OPO32であり、
nは、1、2、3または4である]
【化4】
[前記式中、
6は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Qは、OまたはNR7であり、
7は、H、(Cn2n)−OH、(Cn2n)−PO32、(Cn2n)−OPO32、(C64)−PO32または(C64)−OPO32であり、
nは、1、2、3または4である]
を有し、前記式中の各々のMは、独立してHまたはカチオン等価物である少なくとも1つの構造単位を含むコポリマーである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記分散剤が、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):
【化5】
[前記式中、
10、R11およびR12は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Zは、OまたはSを表し、
Eは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C6−アルキレン、シクロヘキシレン、CH2−C610、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであり、
Gは、O、NHもしくはCO−NHであるか、またはEおよびGは、一緒になって化学結合を形成し、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2CH(C65)であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり、
aは、2〜350の整数であり、かつ
13は、H、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、CO−NH2またはCOCH3である]
【化6】
[前記式中、
16、R17およびR18は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Eは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C6−アルキレン、シクロヘキシレン、CH2−C610、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2CH(C65)であり、
Lは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2−CH(C65)であり、
aは、2〜350の整数であり、
dは、1〜350の整数であり、
19は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
20は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつ
nは、0、1、2、3、4または5である]
【化7】
[前記式中、
21、R22およびR23は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Wは、O、NR25またはNであり、
Yは、WがOまたはNR25の場合に1であり、かつYは、WがNの場合に2であり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、2〜350の整数であり、
24は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
25は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである]
【化8】
[前記式中、
6は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Qは、NR10、NまたはOであり、
Yは、WがOまたはNR25の場合に1であり、かつYは、WがNの場合に2であり、
10は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Mは、Hまたはカチオン等価物であり、
24は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2CH(C65)であり、かつ
aは、2〜350の整数である]
を有する少なくとも1つの構造単位を含むコポリマーである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記分散剤が、構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物であり、前記構造単位(III)は、
【化9】
[前記式中、
Tは、置換もしくは非置換のフェニルもしくはナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
nは、1または2であり、
Bは、N、NHまたはOであるが、但し、nは、BがNの場合に2であるものとし、かつnは、BがNHもしくはOの場合に1であるものとし、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、1〜300の整数であり、
25は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C10−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、アリールまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子であるヘテロアリールである]
であり、その際、前記構造単位(IV)は、構造単位(IVa)および(IVb):
【化10】
[前記式中、
Dは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
Eは、N、NHまたはOであるが、但し、nは、EがNの場合に2であるものとし、かつnは、EがNHもしくはOの場合に1であるものとし、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5であるか、またはCH2CH(C65)であり、
bは、1〜300の整数であり、
Mは、独立してHまたはカチオン等価物である]
【化11】
[前記式中、
Vは、置換もしくは非置換のフェニルもしくはナフチルであり、
7は、COOM、OCH2COOM、SO3MまたはOPO32であり、
Mは、Hまたはカチオン等価物であり、
その際、前記フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールは、場合により、R8、OH、OR8、(CO)R8、COOM、COOR8、SO38、NO2、OC1〜C4−アルキルおよびC1〜C4−アルキルから選択される1または2つの基によって置換されており、かつ
8は、C1〜C4−アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルキルフェニルである]
から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記重縮合生成物が、式
【化12】
[前記式中、
5およびR6は、同一または異なってよく、かつH、CH3、COOH、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1または2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールである]
の更なる構造単位(V)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
引き続き、硬化促進剤組成物を、噴霧乾燥法またはドラム乾燥法によって乾燥するプロセスステップが行われる、請求項1から9までのいずれか1項に記載に記載の方法。
【請求項11】
前記カルシウム源が、更に、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩素酸カルシウム、フッ化カルシウム、グルコン酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、スルファミド酸カルシウム、メタンスルホン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、硫化カルシウム、酒石酸カルシウムおよび/またはアルミン酸カルシウムから選択される水溶性カルシウム化合物を含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法によって得られる硬化促進剤組成物の、セメント、石膏、硬石膏、スラグ、フライアッシュ、シリカ粉、メタカオリン、天然ポゾラン、焼きオイルシェール、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および/またはアルミン酸カルシウムセメントを含有する建材混合物における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化促進剤組成物の製造方法、前記硬化促進剤組成物および前記硬化促進剤組成物の使用に関する。
【0002】
分散剤の形の混和材はしばしば、粉末状の無機物質または有機物質、粘土、ケイ酸塩粉末、白亜、カーボンブラック、粉末化岩石および水硬結合剤の水性スラリーへと、それらの加工性、すなわち混練性、塗布性、吹き付け性、圧送性または流動性を改善するために添加されることは知られている。かかる混和材は、固体集塊物を破壊し、形成された粒子を分散させ、こうして流動性を改善することが可能である。この効果はまた、特に、水硬結合剤を含有する建材混合物、例えばセメント、石灰、石膏、硫酸カルシウム半水和物(バサナイト)、無水硫酸カルシウム(硬石膏)または潜在水硬結合剤、例えばフライアッシュ、高炉スラグもしくはポゾランの製造に対象を絞って利用される。
【0003】
前記結合剤をベースとするこれらの建材混合物を、使用準備ができた加工可能な形態へと変えるためには、結局、後続の水和プロセスと硬化プロセスのために必要とされるであろう水より本質的に多くの混合水が必要とされる。過剰の水によってそれが後に蒸発することによってコンクリート体中に形成される空隙の割合は、より大幅に粗悪な機械的強度および耐久性をもたらす。
【0004】
この過剰な割合の水を予定された加工粘度で減らすために、および/または前記加工性を予定された水/結合剤比で改善するために、一般的に減水剤組成物または可塑剤と呼ばれる混和材が使用される。特に、酸モノマーとポリエーテルマクロモノマーとのフリーラジカル共重合によって製造されるコポリマーが、かかる組成物として実際に使用される。
【0005】
更に、水硬結合剤を含む建材混合物用の混和材は、一般的にまた、前記水硬結合剤の凝結時間を短縮する硬化促進剤を含有する。WO02/070425によれば、ケイ酸カルシウム水和物、特に分散された(微細にまたは特に微細に分散された)形態で存在するケイ酸カルシウム水和物が、かかる硬化促進剤として使用できる。しかしながら、市販されるケイ酸カルシウム水和物または相応のケイ酸カルシウム水和物分散液は、ほとんど効果を有さない硬化促進剤としてみなされうるにすぎない。
【0006】
WO2010/026155には、C−S−Hを基礎とする硬化促進剤のもう一つの製造方法が記載されており、前記文献は、水溶性カルシウム化合物と水溶性ケイ酸塩化合物との反応によって硬化促進剤組成物を製造するための方法であって、前記水溶性カルシウム化合物と前記水溶性ケイ酸塩化合物との反応を、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーを含有する水溶液の存在下に実施する製造方法を開示している。前記水溶性カルシウム化合物は、特に塩化カルシウムまたは硝酸カルシウムである。多くの水溶性ケイ酸塩化合物、なかでもメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の形の水ガラスを使用できる。一実施形態においては、水酸化カルシウムが二酸化ケイ素とアルカリ性条件下に反応される。
【0007】
前記の公知の硬化促進剤は、特に高濃度の塩が生成物中に残留するため欠点を有する。C−S−Hを基礎とする前記カルシウム化合物をカルシウム源として使用して製造される硬化促進剤は、乾燥によりその活性の一部を失う。塩化カルシウムの使用は、腐食性混合物をもたらし、かつ硝酸カルシウムを有機化合物と一緒に使用することが安全性の観点から重要である。酢酸カルシウムをベースとする生成物は吸湿性である一方で、硫酸カルシウムは可溶性の問題を引き起こすことがある。多量のアルカリ金属イオンの存在は、環境的観点から欠点である。
【0008】
これらの欠点のために、公知の硬化促進剤はある特定の条件下で使用できるにすぎない。水は乾燥結合剤、特にセメントのためには不利であるため、前記公知の硬化促進剤懸濁液は乾燥結合剤のために使用できない。
【0009】
従って、本発明の課題は、広く適用可能な硬化促進剤組成物を提供することである。本発明の更なる課題は、低含量のアニオン、特に塩化物アニオンおよび硝酸アニオンしか有さず、かつ低含量のアルカリ金属カチオンしか有さない硬化促進剤組成物を提供することである。本発明の更なる課題は、粉末形で製造でき、こうして乾燥結合剤のために使用できる硬化促進剤組成物を提供することである。
【0010】
前記課題は、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムから選択されるカルシウム源と水溶性ケイ酸塩化合物とを、アニオン性基および/またはアニオン原性基とポリエーテル側鎖とを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー型分散剤の存在下に反応させることによって、ケイ酸カルシウム水和物(C−S−H)をベースとする硬化促進剤組成物を製造する方法によって解決される。
【0011】
本発明の実施形態:
1. 水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムから選択されるカルシウム源と水溶性ケイ酸塩化合物とを、アニオン性基および/またはアニオン原性基とポリエーテル側鎖とを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー型分散剤の存在下に反応させることによる硬化促進剤組成物の製造方法であって、前記水溶性ケイ酸塩化合物が、式m SiO2・n M2O[式中、Mは、Li、Na、KもしくはNH4またはそれらの混合物から選択され、mおよびnは、モル数であり、かつm:nの比の値は、約2.0〜約4である]を有するアルカリ金属ケイ酸塩から選択される前記製造方法。
【0012】
2. 前記カルシウム源および前記水溶性ケイ酸塩化合物が、前記水溶性ポリマー型分散剤の水溶液へと添加される、実施形態1に記載の方法。
【0013】
3. 前記カルシウム源の溶液または懸濁液および前記水溶性ケイ酸塩化合物の溶液が、前記水溶性分散剤の水溶液へと添加される、実施形態1に記載の方法。
【0014】
4. 前記水溶性分散剤を含有する前記カルシウム源の溶液もしくは懸濁液および前記水溶性分散剤を場合により含有する前記水溶性ケイ酸塩化合物の溶液が混合されるか、または前記水溶性分散剤を場合により含有する前記カルシウム源の溶液/懸濁液および前記水溶性分散剤を含有する前記水溶性ケイ酸塩化合物の溶液が混合される、実施形態3に記載の方法。
【0015】
5. 前記水溶性分散剤および前記カルシウム源を含有する水溶液が、前記水溶性ケイ酸塩化合物の溶液と混合されるか、または前記水溶性分散剤および水溶性ケイ酸塩化合物を含有する前記水溶液が、前記カルシウム源の溶液もしくは懸濁液と混合される、実施形態3に記載の方法。
【0016】
6. 前記カルシウム源が、固体形で使用される、実施形態2または5に記載の方法。
【0017】
7. 前記成分が、以下の比率:
i)0.01〜75質量%の、好ましくは0.01〜51質量%の、最も好ましくは0.01〜15質量%の水酸化カルシウムまたは酸化カルシウム、
ii)0.01〜75質量%の、好ましくは0.01〜55質量%の、最も好ましくは0.01〜10質量%の前記水溶性ケイ酸塩化合物、
iii)0.001〜60質量%の、好ましくは0.1〜30質量%の、最も好ましくは0.1〜10質量%の水溶性分散剤、
iv)24〜99質量%の、好ましくは50〜99質量%の、最も好ましくは70〜99質量%の水
で使用される、実施形態1から6までのいずれかに記載の方法。
【0018】
8. 前記水溶液が、追加的に溶解されたアルミニウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを含有する、実施形態1から7までのいずれかに記載の方法。
【0019】
9. 前記水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムが、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩素酸カルシウム、フッ化カルシウム、グルコン酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、スルファミド酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、硫化カルシウム、酒石酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウムおよびそれらの2種以上の混合物から選択される水溶性カルシウム塩と一緒に使用される、実施形態1から8までのいずれかに記載の方法。
【0020】
10. 前記水溶性カルシウム化合物が、スルファミド酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびそれらの2種以上の混合物から選択される、実施形態9に記載の方法。
【0021】
11. 前記水溶性カルシウム化合物が、ケイ酸カルシウム、ケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウムではない、実施形態1から10までのいずれかに記載の方法。
【0022】
12. m:nの比の値が、約2.5〜約4、または約2〜約3.8である、実施形態1から11までのいずれかに記載の方法。
【0023】
13. m:nの比の値が、約2.5〜約3.8、特に約2.5〜約3.6である、実施形態12に記載の方法。
【0024】
14. m:nの比の値が、約3.0〜約3.8、特に約3〜約3.6である、実施形態12に記載の方法。
【0025】
15. 前記水溶性ケイ酸塩化合物が、水ガラス粉末である、実施形態12から14までのいずれかに記載の方法。
【0026】
16. 前記水溶性分散剤が、酸モノマー、好ましくはカルボン酸モノマーおよびポリエーテルマクロモノマーの存在下でのフリーラジカル重合によって製造されるコポリマーであって、こうして全体で、該コポリマーの全ての構造単位の少なくとも45モル%、好ましくは少なくとも80モル%が、酸モノマー、好ましくはカルボン酸モノマーおよびポリエーテルマクロモノマーの重合された単位の形での組み込みによって生成される、実施形態1から15までのいずれかに記載の方法。
【0027】
17. 前記分散剤が、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id):
【化1】
[前記式中、
1は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、CH2COOHもしくはCH2CO−X−R3、好ましくはHもしくはCH3であり、
Xは、NH−(Cn2n)もしくはO−(Cn2n)であり、ここでnは1、2、3もしくは4であり、前記窒素原子もしくは酸素原子は、前記CO基に結合されているか、またはXは、化学結合、好ましくは化学結合もしくはO−(Cn2n)であり、
2は、OM、PO32またはO−PO32であるが、但し、Xは、R2がOMの場合に化学結合であるものとし、
3は、PO32またはO−PO32である]
【化2】
[前記式中、
3は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、好ましくはHもしくはCH3であり、
nは、0、1、2、3または4、好ましくは0または1であり、
4は、PO32、O−PO32である]
【化3】
[前記式中、
5は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、好ましくはHもしくはCH3であり、
Zは、OまたはNR7、好ましくはOであり、
7は、H、(Cn2n)−OH、(Cn2n)−PO32、(Cn2n)−OPO32、(C64)−PO32または(C64)−OPO32であり、
nは、1、2、3または4、好ましくは1、2または3である]
【化4】
[前記式中、
6は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、好ましくはHであり、
Qは、OまたはNR7、好ましくはOであり、
7は、H、(Cn2n)−OH、(Cn2n)−PO32、(Cn2n)−OPO32、(C64)−PO32または(C64)−OPO32であり、
nは、1、2、3または4、好ましくは1、2もしくは3である]
を有し、前記式中の各々のMは、独立してMまたはカチオン等価物である少なくとも1つの構造単位を含むコポリマーである、実施形態1から16までのいずれかに記載の方法。
【0028】
18. 前記分散剤が、アニオン性基またはアニオン原性基として、式(Ia)で示され、その式中、R1がHまたはCH3である少なくとも1つの構造単位、および/または式(Ib)で示され、その式中、R3がHまたはCH3である少なくとも1つの構造単位、および/または式(Ic)で示され、その式中、R5がHまたはCH3であり、かつZがOである少なくとも1つの構造単位、および/または式(Id)で示され、その式中、R6がHであり、かつQがOである少なくとも1つの構造単位を含む、実施形態17に記載の方法。
【0029】
19. 前記分散剤が、アニオン性基またはアニオン原性基として、式(Ia)で示され、その式中、R1がHまたはCH3であり、かつXR2がOMであるか、またはXがO(Cn2n)であり、ここでnは1、2、3または4、特に2であり、かつR2がO−PO32である少なくとも1つの構造単位を含む、実施形態17または18に記載の方法。
【0030】
20. 前記分散剤が、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):
【化5】
[前記式中、
10、R11およびR12は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Zは、OまたはSを表し、
Eは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C6−アルキレン、シクロヘキシレン、CH2−C610、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであり、
Gは、O、NHもしくはCO−NHであるか、またはEおよびGは、一緒になって化学結合を形成し、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5(好ましくはxは2もしくは3)であるか、またはCH2CH(C65)であり、
nは、0、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、
aは、2〜350(好ましくは5〜150)の整数であり、かつ
13は、H、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、CO−NH2またはCOCH3である]
【化6】
[前記式中、
16、R17およびR18は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Eは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C6−アルキレン、シクロヘキシレン、CH2−C610、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
Lは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、2〜350、好ましくは5〜150の整数であり、
dは、1〜350、好ましくは5〜150の整数であり、
19は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
20は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつ
nは、0、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2である]
【化7】
[前記式中、
21、R22およびR23は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Wは、O、NR25またはNであり、
Yは、WがOまたはNR25の場合に1であるか、またはWがNの場合に2であり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、2〜350、好ましくは5〜150の整数であり、
24は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
25は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである]
【化8】
[前記式中、
6は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Qは、NR10、NまたはOであり、
Yは、WがOまたはNR25の場合に1であり、かつWがNの場合に2であり、
10は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Mは、Hまたはカチオン等価物であり、
24は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、かつ
aは、2〜350、好ましくは5〜150の整数である]
を有する少なくとも1つの構造単位を含むコポリマーである、実施形態1から19までのいずれかに記載の方法。
【0031】
21. 前記分散剤のポリエーテル側鎖が、
(a)R10およびR12がHであり、R11がHまたはCH3であり、EおよびGが一緒になって化学結合を形成し、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが3〜150であり、かつR13がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IIa)、および/または
(b)R16およびR18がHであり、R17がHまたはCH3であり、Eが分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキレンであり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、LがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが2〜150の整数であり、dが1〜150の整数であり、R19がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつR20がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IIb)、および/または
(c)R21およびR23がHであり、R22がHまたはCH3であり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが2〜150の整数であり、かつR24がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IIc)、および/または
(d)R6がHであり、QがOであり、nが2および/または3であり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、かつaが1〜150の整数であり、かつR24がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IId)
を含む、実施形態20に記載の方法。
【0032】
22. 前記分散剤が、式(IIa)および/または(IIc)の少なくとも1つの構造単位を含む、実施形態20または21に記載の方法。
【0033】
23. 前記分散剤が、構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物であり、前記構造単位(III)は、
【化9】
[前記式中、
Tは、置換もしくは非置換のフェニルもしくはナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
nは、1または2であり、
Bは、N、NHまたはOであるが、但し、nは、BがNの場合に2であるものとし、かつnは、BがNHもしくはOの場合に1であるものとし、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、1〜300、好ましくは5〜150の整数であり、
25は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C10−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、アリールまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子であるヘテロアリールであり、好ましくはHである]
であり、その際、前記構造単位(IV)は、構造単位(IVa)および(IVb):
【化10】
[前記式中、
Dは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
Eは、N、NHまたはOであるが、但し、nは、EがNの場合に2であるものとし、かつnは、EがNHもしくはOの場合に1であるものとし、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
bは、1〜300、好ましくは5〜150の整数であり、
Mは、独立してHまたはカチオン等価物である]
【化11】
[前記式中、
Vは、置換もしくは非置換のフェニルもしくはナフチルであり、
7は、COOM、OCH2COOM、SO3MまたはOPO32であり、
Mは、Hまたはカチオン等価物であり、
その際、前記フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールは、場合により、R8、OH、OR8、(CO)R8、COOM、COOR8、SO38およびNO2、好ましくはOH、OC1〜C4−アルキルおよびC1〜C4−アルキルから選択される1または2つの基によって置換されており、かつ
8は、C1〜C4−アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルキルフェニルである]
から選択される、実施形態1から15までのいずれかに記載の方法。
【0034】
24. 前記分散剤が、Tが置換または非置換のフェニルまたはナフチルであり、EがNHまたはOであり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが1〜150の整数であり、かつR25がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C10−アルキルである構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物を含む、実施形態23に記載の方法。
【0035】
25. Dが置換または非置換のフェニルまたはナフチルであり、EがNHまたはOであり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、かつbが1〜150の整数である、実施形態23に記載の方法。
【0036】
26. Tおよび/またはDが、1または2個のC1〜C4−アルキル、ヒドロキシまたは2個のC1〜C4−アルコキシによって置換されているフェニルまたはナフチルである、実施形態22から25までのいずれかに記載の方法。
【0037】
27. Vが、1または2個のC1〜C4−アルキル、OH、OCH3またはCOOMによって置換されたフェニルまたはナフチルであり、かつR7がCOOMまたはOCH2COOMである、実施形態23に記載の方法。
【0038】
28. 前記重縮合生成物が、式
【化12】
[前記式中、
5およびR6は、同一または異なってよく、かつH、CH3、COOHまたは置換もしくは非置換のフェニルもしくはナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1または2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールである]
の更なる構造単位(V)を含む、実施形態22から27までのいずれかに記載の方法。
【0039】
29. 前記構造単位(V)中のR5およびR6が、同一または異なってよく、かつ好ましくはH、CH3もしくはCOOH、特にHであるか、またはR5およびR6の一方がHであり、かつもう一方がCH3である、実施形態28に記載の方法。
【0040】
30. 前記ポリマー型分散剤が、式(I)および(II)の、特に式(Ia)および(IIa)の構造単位を含む、実施形態1から27までのいずれかに記載の方法。
【0041】
31. 前記ポリマー型分散剤が、式(Ia)および(IIc)の構造単位を含む、実施形態30に記載の方法。
【0042】
32. 前記ポリマー型分散剤が、式(Ic)および(IIa)の構造単位を含む、実施形態30に記載の方法。
【0043】
33. 前記ポリマー型分散剤が、式(Ia)、(Ic)および(IIa)の構造単位を含む、実施形態30に記載の方法。
【0044】
34. 前記ポリマー型分散剤が、(i)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステル、および/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレートリン酸ジエステル、および/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸ジエステルから選択されるモノマーから誘導されるアニオン性もしくはアニオン原性の構造単位と、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル、アリルオキシ−ポリエチレングリコール、アリルオキシ−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル、メタリルオキシ−ポリエチレングリコール、メタリルオキシ−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル、イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテルおよびそれらの2種以上の混合物から誘導されるポリエーテル側鎖構造単位とから形成される、実施形態30に記載の方法。
【0045】
35. 前記ポリマー型分散剤が、構造単位(i)および(ii)から形成され、前記構造単位は、以下のモノマー
(i)ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステルおよび/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルと、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステルおよび/またはC1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)アクリル酸および/またはメタクリル酸と、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステルおよび/またはC1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)アクリル酸、メタクリル酸および/またはマレイン酸と、(ii)ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、アリルオキシ−ポリエチレングリコール、メタリルオキシ−ポリエチレングリコールおよび/またはイソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール
から誘導される、実施形態30に記載の方法。
【0046】
36. 前記ポリマー型分散剤が、構造単位(i)および(ii)から形成され、前記構造単位は、以下のモノマー
(i)ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルと、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステルまたはポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)メタクリル酸と、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステルまたはポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)アクリル酸およびマレイン酸と、(ii)ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸およびマレイン酸と、(ii)イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸と、(ii)ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸と、(ii)イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸と、(ii)メタリルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)マレイン酸と、(ii)イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)マレイン酸と、(ii)アリルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)マレイン酸と、(ii)メタリルオキシ−ポリエチレングリコール
から誘導される、実施形態35に記載の方法。
【0047】
37. 構造単位(I):(II)のモル比が、1:4〜15:1、特に1:1〜10:1である、実施形態17から22までのいずれかに記載の方法。
【0048】
38. 構造単位(III):(IV)のモル比が、4:1〜1:15、特に2:1〜1:10である、実施形態23から29までのいずれかに記載の方法。
【0049】
39. 構造単位(III+IV):(V)のモル比が、2:1〜1:3、特に1:0.8〜1:2である、実施形態23から30までのいずれかに記載の方法。
【0050】
40. 前記ポリマー型分散剤が、式(III)および(IV)の構造単位から形成され、前記式中、TおよびDはフェニルまたはナフチルであり、前記フェニルまたはナフチルは、場合により1もしくは2個のC1〜C4−アルキル、ヒドロキシまたは2個のC1〜C4−アルコキシによって置換されており、BおよびEはOであり、AはCx2xであり、ここでxは2であり、aは3〜150、特に10〜150であり、かつbは1、2または3である、実施形態23から30、38または39までのいずれかに記載の方法。
【0051】
41. 前記ケイ酸カルシウム水和物中のカルシウムのケイ素に対するモル比の値は、0.6〜2、好ましくは0.8〜1.8、より好ましくは0.9〜1.6、特に1.0〜1.5である、実施形態1から40までのいずれかに記載の方法。
【0052】
42. 前記ケイ酸カルシウム水和物中のカルシウムの水に対するモル比の値は、0.6〜6、好ましくは0.6〜4、より好ましくは0.8〜2である、実施形態1から41までのいずれかに記載の方法。
【0053】
43. 前記反応は、完全にまたは部分的に、多糖誘導体および/または500000g/モルを上回る、より好ましくは1000000g/モルを上回る平均分子量Mwを有する(コ)ポリマーの群から選択される増粘剤ポリマーの存在下で実施され、前記(コ)ポリマーは、非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体および/またはスルホン酸モノマー誘導体から(好ましくはフリーラジカル重合によって)誘導される構造単位を含む、実施形態1から42までのいずれかに記載の方法。
【0054】
44. 前記増粘剤ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)の群から選択される多糖誘導体、および/または500000g/モルを上回る、より好ましくは1000000g/モルを上回る平均分子量Mwを有する(コ)ポリマーであり、前記(コ)ポリマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドおよび/またはN−t−ブチルアクリルアミド、好ましくはアクリルアミド、および/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸および/または2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタスルホン酸あるいは上述の酸の塩の群から選択されるスルホン酸モノマー誘導体の群から選択される非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体から(好ましくはフリーラジカル重合によって)誘導された構造単位を含む、実施形態43に記載の方法。
【0055】
45. 前記反応は、完全にまたは部分的に、アルカノールアミン、好ましくはトリイソプロパノールアミンおよび/またはテトラヒドロキシエチルエチレンジアミンの群から選択される硬化促進剤を含有する水溶液の存在下に実施される、実施形態1から44までのいずれかに記載の方法。
【0056】
46. 前記反応は、完全にまたは部分的に、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、ホスホン酸、アミノ−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミノテトラ(メチレンホスホン)酸、ジエチレントリアミノペンタ(メチレンホスホン)酸であって、それぞれの場合に各々の酸の塩を含む酸、ピロリン酸塩、ペンタホウ酸塩、メタホウ酸塩および/または糖類の群から選択される凝結遅延剤の存在下に実施される、請求項1から45までのいずれかに記載の方法。
【0057】
47. 引き続き、硬化促進剤組成物を、好ましくは噴霧乾燥法またはドラム乾燥法によって乾燥するプロセスステップが行われる、実施形態1から46までのいずれかに記載の方法。
【0058】
48. 前記粉末が、100℃に3時間にわたり加熱した後の質量損失によって測定されて、10質量%未満の含水量を有する、実施形態47に記載の方法。
【0059】
49. 実施形態1から48までのいずれかに記載の方法によって得られる硬化剤促進剤組成物。
【0060】
50. 500nm未満、好ましくは300nm未満、より好ましくは200nm未満の粒径を有するケイ酸カルシウム水和物粒子を含有し、前記ケイ酸カルシウム水和物粒子の粒径が、超遠心分析によって測定される、実施形態49に記載の組成物、好ましくは水性硬化剤促進剤懸濁液。
【0061】
51. 前記ケイ酸カルシウム水和物が、フォシャジャイト、ヒレブランダイト、ゾノトライト、ネコアイト、クリノトベルモライト、9Å−トベルモライト(リベルシデライト(riversiderite))、11Å−トベルモライト、14Å−トベルモライト(プロムビエライト(plombierite))、ジェンナイト、メタジェンナイト、カルシウムコンドロダイト、アフウィライト、α−C2SH、デラアイト(dellaite)、ジャフェアイト(jaffeite)、ローゼンハーナイト、キラライト(killalaite)および/またはスオルナイトである、実施形態50に記載の組成物。
【0062】
52. 前記ケイ酸カルシウム水和物が、ゾノトライト、9Å−トベルモライト(リベルシデライト)、11Å−トベルモライト、14Å−トベルモライト(プロムビエライト)、ジェンナイト、メタジェンナイト、アフウィライトおよび/またはジャフェアイトである、実施形態51に記載の組成物。
【0063】
53. 実施形態49から52までのいずれかに記載の硬化促進剤組成物の、セメント、石膏、α型半水塩、α/β型半水塩、β型半水塩、天然硬石膏、煙道ガス脱硫から得られる硬石膏からなる硬石膏、スラグ、好ましくは破砕して粒状化された高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉、メタカオリン、天然ポゾラン、焼きオイルシェール(calcined oil shale)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および/またはアルミン酸カルシウムセメントを含有する建材混合物における、好ましくは水硬結合剤として本質的にセメントを含有する建材混合物における使用。
【0064】
54. 実施形態49から52までのいずれかに記載の硬化促進剤組成物と、セメント、石膏、硬石膏、スラグ、好ましくは破砕して粒状化された高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉、メタカオリン、天然ポゾラン、焼きオイルシェール、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および/またはアルミン酸カルシウムセメントとを含有する建材混合物。
【0065】
55. 実施形態49から52までのいずれかに記載の硬化促進剤組成物の、(ポルトランド)セメント、スラグ、フライアッシュ、石灰、ポゾランまたはそれらの混合物、特に(ポルトランド)セメントの製造における研削剤としての使用。
【0066】
56. 実施形態49から52までのいずれかに記載の硬化促進剤組成物の、油坑およびガス坑における、特に地下の油溜めおよびガス溜めならびに深坑の開発、採掘および竣工における使用。
【0067】
57. 実施形態49から52までのいずれかに記載の硬化促進剤組成物の、油坑井およびガス坑井のセメンチングにおけるセメントスラリーの凝結の促進のための使用。
【0068】
本発明の文脈においては、前記分散剤は、一般に、水硬結合剤用の可塑剤として適した櫛形ポリマーである。櫛形ポリマーは、比較的長い側鎖(それぞれの場合に少なくとも200g/モルの、特に好ましくは少なくとも400g/モルの分子量を有する)を線状の主鎖上に大なり小なり規則的な間隔で有するポリマーとして解されるべきである。これらの側鎖の長さは、しばしばほぼ等しいが、互いに大きく異なっていてもよい(例えば異なる長さの側鎖を有するポリエーテルマクロモノマーが重合された単位の形で組み込まれる場合)。かかるポリマーは、例えば酸モノマーおよびポリエーテルマクロモノマーのラジカル重合によって得ることができる。ポリ(メタ)アクリル酸および同様の(コ)ポリマー、例えばアクリル酸/マレイン酸コポリマーの、好適なモノヒドロキシ官能性またはモノアミノ官能性のポリアルキレングリコール、好ましくはアルキルポリエチレングリコールによるエステル化および/またはアミド化は、かかる櫛形ポリマーへの代替経路である。ポリ(メタ)アクリル酸のエステル化および/またはアミド化によって得られる櫛形ポリマーは、例えばEP1138697B1に記載されており、その内容はここで参照により援用する。
【0069】
好ましくは、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーの、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された平均分子量Mwは、5000〜200000g/モル、より好ましくは10000〜80000g/モル、最も好ましくは20000〜70000g/モルである。該ポリマーは、平均モル質量および転化率に関してはサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した(カラムの組み合わせ:Shodex社(日本)製のOH-Pak SB-G、OH-Pak SB 804 HQおよびOH-Pak SB 802.5 HQ;溶出剤:HCO2NH4の80容量%水溶液(0.05モル/l)および20容量%のアセトニトリル;注入容量100μl;流速0.5ml/分)。平均モル質量を測定するための較正は、線状ポリ(エチレンオキシド)およびポリエチレングリコール標準を使用して行った。転化率の尺度として、該コポリマーのピークを相対高さ1に標準化し、そして未転化のマクロモノマー/PEG含有オリゴマーのピークの高さを、残留モノマーの含量の尺度として使用した。
【0070】
好ましくは、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーは、工業規格EN 934-2(2002年2月)の要件を満たす。
【0071】
原則的に、前記促進剤は、無機成分と有機成分を含有する。前記無機成分は、変性された微分散されたケイ酸カルシウム水和物として見なすことができ、それはマグネシウムおよびアルミニウムなどの異種イオンを含んでよい。前記ケイ酸カルシウム水和物は、前記櫛形ポリマー可塑剤(有機成分)の存在下に製造される。通常は、前記ケイ酸カルシウム水和物を含有する懸濁液は、微分散形態で得られ、その懸濁液は、水硬結合剤の硬化過程を効果的に促進させ、かつ可塑剤として作用することができる。前記懸濁液は、慣用のように、例えば噴霧乾燥またはドラム乾燥によって乾燥させることで、前記懸濁産物の活性に匹敵する促進活性を有する粉末を得ることができる。
【0072】
前記無機成分は、大抵の場合に、その組成に関して以下の実験式:
a CaO,SiO2,b Al23,c H2O,d X,e W
[式中、
Xは、アルカリ金属である
Wは、アルカリ土類金属である
0.1≦a≦2、好ましくは0.66≦a≦1.8
0≦b≦1、好ましくは0≦b≦0.1
1≦c≦6、好ましくは1≦c≦6.0
0≦d≦1、好ましくは0≦d≦0.4もしくは0.2
0≦e≦2、好ましくは0≦e≦0.1]によって記載できる。
【0073】
好ましい一実施形態においては、前記水溶液はまた、ケイ酸塩およびカルシウムイオンに加えて、更なる溶解されたイオンを含み、前記イオンは、好ましくは溶解されたアルミニウム塩および/または溶解されたマグネシウム塩の形で提供される。アルミニウム塩としては、好ましくはハロゲン化アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび/または硫酸アルミニウムを使用することができる。ハロゲン化アルミニウムの群のなかで最も好ましいのは、塩化アルミニウムである。マグネシウム塩は、好ましくは硝酸マグネシウム、塩化マグネシウムおよび/または硫酸マグネシウムであってよい。
【0074】
前記アルミニウム塩およびマグネシウム塩は、ケイ酸カルシウム水和物中の欠陥が、カルシウムおよびケイ素とは異なるイオンの導入を介して生成されうるという利点を有する。これは、改善された硬化促進効果をもたらす。好ましくは、アルミニウムおよび/またはマグネシウムのカルシウムおよびケイ素に対するモル比は小さい。より好ましくは、そのモル比は、先の実験式においてa、bおよびeについての好ましい範囲が満たされる(0.66≦a≦1.8;0≦b≦0.1;0≦e≦0.1)ように選択される。
【0075】
本発明の好ましい一実施形態においては、第一ステップにおいて、前記カルシウム源は、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーを含有する水溶液と混合される。得られた混合物へと、引き続いての第二ステップにおいて前記水溶性ケイ酸塩化合物が添加される。その第二ステップの水溶性ケイ酸塩化合物は、前記水溶性櫛形ポリマーを含有してもよい。
【0076】
前記水溶液は、水の他に、1種以上の更なる溶剤(例えばアルコール、例えばエタノールおよび/またはイソプロパノール)を含有してもよい。好ましくは、水以外の溶剤の、水および更なる溶剤(例えばアルコール)の合計に対する質量割合は、20質量%以下、より好ましくは10質量%未満、最も好ましくは5質量%未満である。しかしながら、最も好ましいのは、如何なる溶剤も含まない水性系である。本方法が行われる温度範囲は、特に制限されない。しかしながら、該系の物理的状態によってある程度の制限はかかる。0〜100℃の範囲、より好ましくは5〜80℃の範囲、最も好ましくは15〜35℃の範囲で作業することが好ましい。粉砕プロセスが適用される場合には特に高温に達することがある。80℃を上回らないのが好ましい。
【0077】
また本方法は、種々の圧力で、好ましくは1〜5バールの範囲で実施できる。
【0078】
pH値は、反応物(カルシウム源と水溶性ケイ酸塩)の量と、沈殿されるケイ酸カルシウム水和物の溶解度に依存する。pH値が合成の終わりに8を上回り、好ましくは8〜13.5の範囲にあることが好ましい。
【0079】
好ましい一実施形態においては、前記櫛形ポリマーを含有する水溶液は、前記カルシウム源および前記水溶性ケイ酸塩化合物を含有する。これはつまり、水酸化カルシウムと水溶性ケイ酸塩化合物が反応してケイ酸カルシウム水和物が沈殿することが、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーを含有する水溶液の存在下で生ずることを意味する。
【0080】
好ましい一実施形態においては、前記カルシウム源の溶液または懸濁液および水溶性ケイ酸塩化合物の溶液は、好ましくは別々に、そして同時に、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーを含有する水溶液へと添加される。この製造方法の利点は、その良好な実施可能性と、得られたC−S−Hの比較的小さい粒度である。
【0081】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、前記カルシウム源の溶液もしくは懸濁液および/または水溶性ケイ酸塩化合物の溶液は、前記水溶性櫛形ポリマーを含有する。この場合には、当業者は、該水溶性櫛形ポリマーが少なくとも2種もしくは3種の溶液または懸濁液に分配されると理解する。前記水溶性櫛形ポリマーの全体の1〜50%、好ましくは10〜25%が、前記カルシウム源の溶液もしくは懸濁液および/またはケイ酸塩化合物の溶液中に含まれることが好ましい。
【0082】
更なる一実施形態においては、水溶性櫛形ポリマーを含有する前記水溶液への、前記カルシウム源および前記水溶性ケイ酸塩化合物の添加は、直列接続された1番目の反応器と2番目の反応器を用いる循環式の半回分法で行われる。前記2番目の反応器は、最初に前記水溶性櫛形ポリマーの水溶液を含む。前記1番目の反応器には、前記水溶性ケイ酸塩化合物の溶液および前記カルシウム源の溶液/懸濁液と、前記2番目の反応器の内容物とが供給される。前記1番目の反応器の流出物は前記2番目の反応器へと添加される。それはつまり、前記2番目の反応器の内容物は、前記1番目の反応器を通じて循環される。
【0083】
その一方で、前記添加は、前記カルシウム源と、前記水溶性ケイ酸塩化合物と、前記水溶性櫛形ポリマーを含有する水溶液とが前記1番目の反応器中で混合され、そして得られた流出物が、混合流反応器または栓流反応器中に供給される連続法で行われる。
【0084】
好ましくは、前記1番目の反応器および2番目の反応器の容量の比率は、1/10〜1/20000である。好ましくは、前記水溶性カルシウムおよび水溶性ケイ酸塩化合物の質量流量は、2番目の反応器を出て1番目の反応器に入る質量流と比較して小さく、その比は、1/5〜1/1000であることが好ましい。一般的に、前記1番目の反応器は、静的または動的な混合ユニットであってよく、前記1番目の反応器中での混合が効果的であることが望ましい。
【0085】
一般に、前記成分は、以下の比率:
i)0.01〜75質量%の、好ましくは0.01〜51質量%の、最も好ましくは0.01〜15質量%のカルシウム源、
ii)0.01〜75質量%の、好ましくは0.01〜55質量%の、最も好ましくは0.01〜10質量%の水溶性ケイ酸塩化合物、
iii)0.001〜60質量%の、好ましくは0.1〜30質量%の、最も好ましくは0.1〜10質量%の、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマー、
iv)24〜99質量%の、好ましくは50〜99質量%の、最も好ましくは70〜99質量%の水
で使用される。
【0086】
好ましくは、前記硬化促進剤組成物は、水硬結合剤、好ましくはセメントに対して、0.01〜10質量%の、最も好ましくは0.1〜2質量%の固体含量で計量供給される。前記固体含量は、オーブン中60℃で、試料が一定の質量に達するまで測定される。
【0087】
前記カルシウム源は、水と接触すると水酸化カルシウムを形成する化合物、例えば炭化カルシウムによって形成することもできる。
【0088】
前記カルシウム源は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩素酸カルシウム、フッ化カルシウム、グルコン酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、スルファミド酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、硫化カルシウム、酒石酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、ケイ酸三カルシウムおよび/またはケイ酸二カルシウムから選択される水溶性カルシウム化合物と一緒に使用してよい。好ましくは、前記水溶性カルシウム化合物は、ケイ酸カルシウムではない。ケイ酸カルシウム、ケイ酸二カルシウムおよび/またはケイ酸三カルシウムといったケイ酸塩は、低い溶解度(特にケイ酸カルシウムの場合)を理由とし、かつ経済的理由(価格)(特にケイ酸二カルシウムおよびケイ酸三カルシウムの場合)のためにあまり好ましくない。
【0089】
前記水溶性カルシウム化合物は、好ましくは、スルファミド酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウムおよび/または硫酸カルシウムである。これらのカルシウム化合物の利点は、その非腐食性である。
【0090】
水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムの前記水溶性カルシウム化合物に対する質量比は、一般的に1:0.01〜1:0.5の範囲、特に1:0.1〜1:0.3の範囲である。
【0091】
式m SiO2・n M2Oを有する水溶性ケイ酸塩化合物において、m:nの比の値は、約2.0〜約4である。好ましくは、m:nの比の値は、約2.0〜約3.8、特に約2.5〜約3.8である。より好ましい一実施形態によれば、前記比の値は、約2.5〜約3.6、特に約3.0〜約3.8、または約3〜約3.6である。好ましくは、前記水溶性ケイ酸塩化合物は水ガラスであり、それは、水溶液または粉末として使用してよい。
【0092】
水溶性アルカリ金属イオン(例えばリチウム、ナトリウム、カリウムイオン)は、前記硬化促進剤組成物から、カチオン交換体によって除去でき、および/または水溶性硝酸イオンおよび/または塩化物イオンは、前記硬化促進剤組成物から、アニオン交換体によって除去できる。好ましくは、前記カチオンおよび/またはアニオンの除去は、硬化促進剤組成物の製造の後の第二のプロセスステップにおいて行われる。カチオン交換体として適した酸性イオン交換体は、例えばナトリウムポリスチレンスルホネートまたはポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ポリAMPS)を基礎とする。塩基性イオン交換体は、例えばアミノ基を基礎とし、例えばポリ(アクリルアミド−N−プロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(ポリAPTAC)である。
【0093】
好ましい一実施形態においては、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーは、主鎖上に、エーテル官能基とアニオン性基および/またはアニオン原性基とを有する側鎖を含むコポリマーである。アニオン性基は、ポリマー型分散剤における脱プロトン化された酸基である。アニオン原性基は、ポリマー型分散剤における酸基である。前記ポリマー型分散剤が、アニオン性基とアニオン原性基を同時に含むこと、例えば少なくとも二塩基性の部分的に脱プロトン化された酸基を含むことも可能である。
【0094】
好ましい一実施形態においては、前記水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーは、酸モノマー、好ましくはカルボン酸モノマーおよびポリエーテルマクロモノマーの存在下でのフリーラジカル重合によって製造されるコポリマーであり、こうして全体で、該コポリマーの全ての構造単位の少なくとも45モル%、好ましくは少なくとも80モル%は、酸モノマー、好ましくはカルボン酸モノマーおよびポリエーテルマクロモノマーの重合された単位の形での組み込みによって生成される。酸モノマーは、フリーラジカル共重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合を有し、少なくとも1つの酸官能基、好ましくはカルボン酸官能基を有し、かつ水性媒体中で酸として反応するモノマーを意味すると解されるべきである。更に、酸モノマーは、フリーラジカル共重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合を有し、少なくとも1つの酸官能基、好ましくはカルボン酸官能基を、加水分解反応の結果として水性媒体中で形成し、かつ水性媒体中で酸として反応するモノマー(例:無水マレイン酸または(メタ)アクリル酸の加水分解可能なエステル)を意味すると解されるべきである。本発明の文脈においては、ポリエーテルマクロモノマーは、フリーラジカル共重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合を有し、かつ少なくとも2つのエーテル酸素原子を有する化合物であるが、但し、前記コポリマー中に存在するポリエーテルマクロモノマー構造単位は、少なくとも2個のエーテル酸素原子、好ましくは少なくとも4個のエーテル酸素原子、より好ましくは少なくとも8個のエーテル酸素原子、最も好ましくは少なくとも15個のエーテル酸素原子を含む側鎖を有する。
【0095】
酸モノマーまたはポリエーテルマクロモノマーを構成しない構造単位は、例えばスチレンおよびスチレンの誘導体(例えばメチル置換された誘導体)、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ブタジエン、ビニルプロピオネート、不飽和炭化水素、例えばエチレン、プロピレンおよび/または(イソ)ブチレンであってよい。好ましいのは、1つ以下の炭素二重結合を有するモノマーである。
【0096】
本発明の好ましい一実施形態においては、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマーは、スチレンおよびマレイン酸の半エステルと一官能性ポリアルキレングリコールとのコポリマーである。好ましくは、かかるコポリマーは、スチレンおよび無水マレイン酸(またはマレイン酸)といったモノマーのフリーラジカル重合によって第一ステップにおいて製造できる。第二ステップにおいて、ポリアルキレングリコール、好ましくはアルキルポリアルキレングリコール(好ましくはアルキルポリエチレングリコール、最も好ましくはメチルポリエチレングリコール)は、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマーと反応されることで、前記酸基のエステル化に至る。スチレンは、完全にまたは部分的に、スチレン誘導体、例えばメチル置換された誘導体によって置き換えることができる。前記の好ましい実施形態のコポリマーは、US5,158,996に記載されており、その内容はここで参照により援用する。
【0097】
一実施形態においては、前記ポリマー型分散剤は、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id):
【化13】
[前記式中、
1は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、CH2COOHもしくはCH2CO−X−R3、好ましくはHもしくはCH3であり、
Xは、NH−(Cn2n)もしくはO−(Cn2n)であり、ここでnは1、2、3もしくは4であり、前記窒素原子もしくは酸素原子は、前記CO基に結合されているか、またはXは、化学結合、好ましくは化学結合もしくはO−(Cn2n)であり、
2は、OM、PO32またはO−PO32であるが、但し、Xは、R2がOMの場合に化学結合であるものとし、
3は、PO32またはO−PO32である]
【化14】
[前記式中、
3は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、好ましくはHもしくはCH3であり、
nは、0、1、2、3または4、好ましくは0または1であり、
4は、PO32、O−PO32である]
【化15】
[前記式中、
5は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、好ましくはHもしくはCH3であり、
Zは、OまたはNR7、好ましくはOであり、
7は、H、(Cn2n)−OH、(Cn2n)−PO32、(Cn2n)−OPO32、(C64)−PO32または(C64)−OPO32であり、
nは、1、2、3または4、好ましくは1、2または3である]
【化16】
[前記式中、
6は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、好ましくはHであり、
Qは、OまたはNR7、好ましくはOであり、
7は、H、(Cn2n)−OH、(Cn2n)−PO32、(Cn2n)−OPO32、(C64)−PO32または(C64)−OPO32であり、
nは、1、2、3または4、好ましくは1、2もしくは3である]
を有し、前記式中の各々のMは、独立してMまたはカチオン等価物である少なくとも1つの構造単位(前記単位は、1つのポリマー分子内と異なるポリマー分子内で同一または異なってよい)を含むコポリマーである。
【0098】
好ましくは、前記ポリマーは、アニオン性基またはアニオン原性基として、式(Ia)で示され、その式中、R1がHまたはCH3である少なくとも1つの構造単位、および/または式(Ib)で示され、その式中、R3がHまたはCH3である少なくとも1つの構造単位、および/または式(Ic)で示され、その式中、R5がHまたはCH3であり、かつZがOである少なくとも1つの構造単位、および/または式(Id)で示され、その式中、R6がHであり、かつQがOである少なくとも1つの構造単位を含む。
【0099】
前記ポリマーは、アニオン性基またはアニオン原性基として、特に好ましくは、式(Ia)で示され、その式中、R1がHまたはCH3であり、かつXR2がOMであるか、またはXがO(Cn2n)であり、ここでnは1、2、3または4、特に2であり、かつR2がO−PO32である少なくとも1つの構造単位を含む。
【0100】
前記ポリマー型分散剤の側鎖は、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):
【化17】
[前記式中、
10、R11およびR12は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Zは、OまたはSを表し、
Eは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C6−アルキレン、シクロヘキシレン、CH2−C610、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであり、
Gは、O、NHもしくはCO−NHであるか、またはEおよびGは、一緒になって化学結合を形成し、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5(好ましくはxは2もしくは3)であるか、またはCH2CH(C65)であり、
nは、0、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、
aは、2〜350(好ましくは5〜150)の整数であり、かつ
13は、H、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキル、CO−NH2またはCOCH3である]
【化18】
[前記式中、
16、R17およびR18は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Eは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C6−アルキレン、シクロヘキシレン、CH2−C610、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
Lは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、2〜350、好ましくは5〜150の整数であり、
dは、1〜350、好ましくは5〜150の整数であり、
19は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
20は、Hまたは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつ
nは、0、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2である]
【化19】
[前記式中、
21、R22およびR23は、互いに独立して、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Wは、O、NR25またはNであり、
Yは、WがOまたはNR25の場合に1であるか、またはWがNの場合に2であり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、2〜350、好ましくは5〜150の整数であり、
24は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
25は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである]
【化20】
[前記式中、
6は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Qは、NR10、NまたはOであり、
Yは、WがOまたはNR25の場合に1であり、かつWがNの場合に2であり、
10は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Mは、Hまたはカチオン等価物であり、
24は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、かつ
aは、2〜350、好ましくは5〜150の整数である]
を有する少なくとも1つの構造単位を含む。
【0101】
好ましくは、前記ポリマーは、
(a)R10およびR12がHであり、R11がHまたはCH3であり、EおよびGが一緒になって化学結合を形成し、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが3〜150であり、かつR13がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IIa)、および/または
(b)R16およびR18がHであり、R17がHまたはCH3であり、Eが分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキレンであり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、LがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが2〜150の整数であり、dが1〜150の整数であり、R19がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつR20がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IIb)、および/または
(c)R21およびR23がHであり、R22がHまたはCH3であり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが2〜150の整数であり、かつR24がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IIc)、および/または
(d)R6がHであり、QがOであり、R7が(Cn2n)−O−(AO)a−R9であり、nが2および/または3であり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、かつaが1〜150の整数であり、かつR9がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである、少なくとも1つの構造単位(IId)
から形成されるポリエーテル側鎖を含む。
【0102】
特に好ましくは、前記ポリマーは、式(IIa)および/または(IIc)の少なくとも1つの構造単位を含む。
【0103】
更なる一実施形態によれば、前記ポリマー型分散剤は、少なくとも1つのポリエーテル側鎖を有する少なくとも1つの芳香族もしくは複素芳香族の構造単位と、少なくとも1つのリン酸基もしくはその塩を有する少なくとも1つの芳香族もしくは複素芳香族の構造単位とを含む重縮合物である。
【0104】
好ましくは、前記ポリマーは、構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物であり、前記構造単位(III)は、
【化21】
[前記式中、
Tは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
nは、1または2であり、
Bは、N、NHまたはOであるが、但し、nは、BがNの場合に2であるものとし、かつnは、BがNHもしくはOの場合に1であるものとし、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
aは、1〜300、好ましくは5〜150の整数であり、
25は、Hまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C10−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、アリールまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子であるヘテロアリールである]
であり、その際、前記構造単位(IV)は、構造単位(IVa)および(IVb):
【化22】
[前記式中、
Dは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1もしくは2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
Eは、N、NHまたはOであるが、但し、nは、EがNの場合に2であるものとし、かつnは、EがNHもしくはOの場合に1であるものとし、
Aは、Cx2xであり、ここでxは、2、3、4もしくは5、好ましくは2もしくは3であるか、またはCH2CH(C65)であり、
bは、1〜300、好ましくは5〜150の整数であり、
Mは、独立してHまたはカチオン等価物である]
【化23】
[前記式中、
Vは、置換もしくは非置換のフェニルまたは置換もしくは非置換のナフチルであり、
7は、COOM、OCH2COOM、SO3MまたはOPO32であり、
Mは、Hまたはカチオン等価物であり、
その際、前記フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールは、場合により、R8、OH、OR8、(CO)R8、COOM、COOR8、SO38およびNO2、好ましくはOH、OC1〜C4−アルキルおよびC1〜C4−アルキルから選択される1または2つの基によって置換されており、かつ
8は、C1〜C4−アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルキルフェニルである]
から選択される。
【0105】
好ましくは、前記ポリマーは、Tが置換または非置換のフェニルまたはナフチルであり、EがNHまたはOであり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、aが1〜150の整数であり、かつR25がHまたは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C10−アルキルである構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物を含む。
【0106】
好ましくは、前記ポリマーは、Dが置換または非置換のフェニルまたはナフチルであり、EがNHまたはOであり、AがCx2xであり、ここでxが2および/または3であり、かつbが1〜150の整数である構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物を含む。
【0107】
殊に好ましくは、前記ポリマーは、Tおよび/またはDが、1または2個のC1〜C4−アルキル、ヒドロキシまたは2個のC1〜C4−アルコキシによって置換されているフェニルまたはナフチルである構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物を含む。
【0108】
前記重縮合生成物は、Vが、1または2個のC1〜C4−アルキル、OH、OCH3またはCOOMによって置換されたフェニルまたはナフチルであり、かつR7がCOOMまたはOCH2COOMである構造単位(IVb)を含んでよい。
【0109】
前記重縮合生成物は、式
【化24】
[前記式中、
5およびR6は、同一または異なってよく、かつH、CH3、COOHまたは置換もしくは非置換のフェニルもしくはナフチルまたは5〜10個の環原子を有し、そのうち1または2個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である置換もしくは非置換のヘテロアリールである]の少なくとも1つの更なる構造単位(V)を含んでよい。
【0110】
前記構造単位(V)中のR5およびR6は、同一または異なってよく、かつ好ましくはH、CH3もしくはCOOH、特にHであるか、またはR5およびR6の一方がHであり、かつもう一方がCH3である。
【0111】
前記構造単位(III)は、好ましくは、アルコキシル化されたヒドロキシ官能化またはアミノ官能化された芳香族もしくは複素芳香族の化合物、例えばアルコキシル化されたフェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、2−アルコキシフェノキシエタノール類、4−アルコキシフェノキシエタノール類、2−アルキルフェノキシエタノール類および4−アルキルフェノキシエタノール類、N,N−(ジヒドロキシエチル)アニリン、N−(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−(ジヒドロキシプロピル)アニリンおよびN−(ヒドロキシプロピル)アニリンから誘導される。特に好ましいのは、アルコキシル化されたフェノール誘導体(例えばフェノキシエタノールまたはフェノキシプロパノール)、特にアルコキシル化された、殊にエトキシル化されたフェノール誘導体であって、300g/モル〜10000g/モルの質量平均分子量を有する誘導体(例えばポリエチレングリコールモノフェニルエーテル)である。
【0112】
前記構造単位(IV)は、好ましくは、リン酸化された、アルコキシル化されたヒドロキシ官能化またはアミノ官能化された芳香族もしくは複素芳香族の化合物、例えばフェノキシエタノールホスフェート、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルホスフェート、N,N−(ジヒドロキシエチル)アニリンジホスフェート、N,N−(ジヒドロキシエチル)アニリンホスフェート、N−(ヒドロキシプロピル)アニリンホスフェートであって、少なくとも1つのリン酸エステル基および/または該リン酸エステル基の塩(例えばリン酸でのエステル化と、任意に塩基の添加による)を有する化合物から誘導される。殊に好ましくは、少なくとも1つのリン酸エステル基および/または該リン酸エステル基の塩を有するアルコキシル化されたフェノール(例えば25個未満のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコールモノフェニルエーテルホスフェート)であり、殊に好ましくは、質量平均分子量200g/モル〜600g/モルを有するアルコキシル化されたフェノール(例えばフェノキシエタノールホスフェート、2〜10個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコールモノフェニルエーテルホスフェート)であり、前記アルコキシル化されたフェノールは、少なくとも1つのリン酸エステル基および/または該リン酸エステル基の塩を有する(例えばリン酸とのエステル化と、任意に塩基の添加による)。
【0113】
前記構造単位(IV)は、好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、グリオキシル酸および/またはベンズアルデヒドから誘導される。ホルムアルデヒドが好ましい。
【0114】
一実施形態においては、前記ポリマーは、式(I)および(II)の、特に式(Ia)および(IIa)の構造単位を含む。
【0115】
一実施形態においては、前記ポリマーは、式(I)および(II)の、特に式(Ia)および(IIc)の構造単位を含む。
【0116】
一実施形態においては、前記ポリマーは、式(I)および(II)の、特に式(Ic)および(IIa)の構造単位を含む。
【0117】
一実施形態においては、前記ポリマーは、式(I)および(II)の、特に式(Ia)、(Ic)および(IIa)の構造単位を含む。
【0118】
前記ポリマーは、(i)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステル、および/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレートリン酸ジエステル、および/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸ジエステルから誘導されるアニオン性もしくはアニオン原性の構造単位と、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル、アリルオキシ−ポリエチレングリコール、アリルオキシ−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル、メタリルオキシ−ポリエチレングリコール、メタリルオキシ−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル、イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコールおよび/またはイソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテルから誘導されるポリエーテル側鎖構造単位とから形成されうる。
【0119】
好ましくは、前記ポリマーは、構造単位(i)および(ii)から形成され、前記構造単位は、
(i)ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステルおよび/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルと、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステルおよび/またはC1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)アクリル酸および/またはメタクリル酸と、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールアクリル酸エステルおよび/またはC1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)アクリル酸、メタクリル酸および/またはマレイン酸と、(ii)ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、アリルオキシ−ポリエチレングリコール、メタリルオキシ−ポリエチレングリコールおよび/またはイソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール
から誘導される。
【0120】
殊に好ましくは、前記ポリマーは、構造単位(i)および(ii)から形成され、前記構造単位は、
(i)ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルと、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステルまたはポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)メタクリル酸と、(ii)C1〜C4−アルキル−ポリエチレングリコールメタクリル酸エステルまたはポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、あるいは
(i)アクリル酸およびマレイン酸と、(ii)ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸およびマレイン酸と、(ii)イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸と、(ii)ビニルオキシ−C2〜C4−アルキレン−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸と、(ii)イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)アクリル酸と、(ii)メタリルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)マレイン酸と、(ii)イソプレニルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)マレイン酸と、(ii)アリルオキシ−ポリエチレングリコール、あるいは
(i)マレイン酸と、(ii)メタリルオキシ−ポリエチレングリコール
から誘導される。
【0121】
一実施形態においては、構造単位(I):(II)のモル比は、1:4〜15:1、特に1:1〜10:1である。
【0122】
もう一つの実施形態においては、構造単位(III):(IV)のモル比は、4:1〜1:15、特に2:1〜1:10である。
【0123】
もう一つの実施形態においては、構造単位(III+IV):(V)のモル比は、2:1〜1:3、特に1:0.8〜1:2である。
【0124】
殊に好ましい一実施形態においては、前記ポリマーは、式(III)および(IV)の構造単位から形成される重縮合生成物を含み、前記式中、TおよびDはフェニルまたはナフチルであり、前記フェニルまたはナフチルは、場合により1もしくは2個のC1〜C4−アルキル、ヒドロキシまたは2個のC1〜C4−アルコキシによって置換されており、BおよびEはOであり、AはCx2xであり、ここでxは2であり、aは3〜150、特に10〜150であり、かつbは1、2または3である。
【0125】
構造単位(I)および(II)を含む前記ポリマー型分散剤の製造は、慣用のようにして、例えばEP894811、EP1851256、EP2463314、EP753488に記載されるフリーラジカル重合によって行われる。それら全ての内容はここに参照により援用する。
【0126】
構造単位(III)、(IV)および(V)を含む前記ポリマー型分散剤の製造は、一般的には、構造単位(III)、(IV)および(V)に相当する化合物を反応させる方法に従って行われる。前記重縮合物の製造は、US2008/0108732、WO2006/042709およびWO2010/026155に記載されている。それら全ての内容はここに参照により援用する。
【0127】
アルコキシル化されたイソプレノールおよび/またはアルコキシル化されたヒドロキシブチルビニルエーテルおよび/またはアルコキシル化された(メタ)アリルアルコールおよび/またはビニル化されたメチルポリアルキレングリコールであって、好ましくはそれぞれの場合に算術平均数4〜340個のオキシアルキレン基を有するものが、前記ポリエーテルマクロモノマーとして使用される。メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸のモノエステルまたはこれらの成分の複数の混合物が、前記酸モノマーとして使用される。
【0128】
前記反応後に得られる促進剤組成物は、懸濁液である。好ましくは、前記懸濁液は、乾燥されて、粉末化された形態で使用される。その一方で、前記懸濁液は、懸濁液として使用することができる。その場合に、本発明による方法は、コンクリート製造分野(例えばレディーミクスコンクリート、プレキャストコンクリートプラント、またはモルタル、コンクリートもしくは任意の他のセメント質生成物が製造される任意の他のプラント)で実施できる。その際、計量水として懸濁液を使用することが好ましい。この文脈での計量水は、コンクリート製造または類似のセメント質材料の製造において使用される水である。一般的に、前記計量水は、セメントおよび例えば骨材と、レディーミクスコンクリートプラントまたはプレキャストコンクリートプラントで、建築現場で、またはコンクリートもしくは他のセメント質材料が生産される任意の他の場所で混合される。通常は、前記計量水は、広範な添加剤、例えば可塑剤、硬化促進剤、凝結遅延剤、収縮低減添加剤、空気連行剤および/または脱泡剤などの添加剤を含有してよい。本発明による硬化促進剤を、コンクリートまたは類似の材料の製造のために意図される計量水中で製造することが好ましい。それというのも、それぞれの混和材を輸送する必要がないからである。
【0129】
コンクリート製造の現場(例えばレディーミクスコンクリートまたはプレキャストコンクリートプラント)で行われることが好ましい本発明の更なる好ましい一実施形態においては、カルシウム源と、水溶性ケイ酸塩化合物と、櫛形ポリマーの合計の、水、好ましくは計量水に対する質量比は、1/1000と1/10との間であり、より好ましくは1/500と1/100との間である。
【0130】
反応が行われる水溶液は、前記櫛形ポリマーの他に、第二のポリマーを含有してよい。前記第二のポリマーは、この実施形態の前記文面と以下の実施形態に記載される重縮合物である。好ましくは、前記重縮合物と一緒に使用される櫛形ポリマーは、ラジカル重合によって得ることができる。
【0131】
本発明の更なる一実施形態においては、前記反応は、完全にまたは部分的に、多糖誘導体および/または500000g/モルを上回る、より好ましくは1000000g/モルを上回る平均分子量Mwを有する(コ)ポリマーの群から選択される増粘剤ポリマーを含有する水溶液の存在下で実施され、前記(コ)ポリマーは、非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体および/またはスルホン酸モノマー誘導体から(好ましくはフリーラジカル重合によって)誘導される構造単位を含む。前記増粘剤ポリマーは、本方法の開始時に、本方法の間に、または本方法の終わりに添加される。例えば、前記増粘剤ポリマーは、前記櫛形ポリマーの水溶液に、前記カルシウム化合物に、および/または前記ケイ酸塩化合物に添加することができる。前記増粘剤ポリマーは、またカルシウム化合物、好ましくはカルシウム塩、最も好ましくは水溶性カルシウム塩と、二酸化ケイ素含有成分との反応による硬化促進剤組成物の製造方法の間に使用することもできる。好ましくは、前記増粘剤ポリマーは、如何なる粒子の脱安定化をも抑制し、最良の安定性を保つために、反応の終わりに(反応物添加の終わりに)添加される。前記増粘剤は、例えばケイ酸カルシウム水和物の凝離(凝集および沈殿)を抑制しうる安定化機能を有する。好ましくは、前記増粘剤は、前記硬化促進剤懸濁液の質量に対して、0.001〜10質量%の、より好ましくは0.001〜1質量%の用量で使用される。前記増粘剤ポリマーは、好ましくは、前記硬化促進剤懸濁液の80mPa・sより高い塑性粘度が得られるように計量供給すべきである。
【0132】
多糖誘導体としては、セルロースエーテル、例えばアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロースおよびメチルエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えばメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)およびプロピルヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。セルロースエーテル誘導体であるメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)が好ましく、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)およびメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)が特に好ましい。それぞれの場合においてセルロースの好適なアルキル化またはアルコキシル化によって得ることができる前記のセルロースエーテル誘導体は、好ましくは非イオン性構造として存在するが、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)を使用することも可能である。更にまた、非イオン性デンプンエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプンおよびメチルヒドロキシプロピルデンプンを使用することも好ましい。ヒドロキシプロピルデンプンが好ましい。また微生物産生多糖類、例えばウェランガムおよび/またはキサンタンおよび天然産生多糖類、例えばアルギン酸塩、カラギーナンおよびガラクトマンナンも好ましい。これらは、好適な天然産物から、抽出法によって、例えばアルギン酸塩およびカラギーナンの場合には藻類から、ガラクトマンナンの場合にはイナゴマメ種子から得ることができる。
【0133】
500000g/モルを上回る、より好ましくは1000000g/モルを上回る質量平均分子量Mwを有する増粘剤(コ)ポリマーは、非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体および/またはスルホン酸モノマー誘導体から(好ましくはフリーラジカル重合によって)製造することができる。その都度のモノマーは、例えばアクリルアミド、好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドおよび/またはN−t−ブチルアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、および/または2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸または前記酸の塩の群から選択されるスルホン酸モノマー誘導体の群から選択できる。前記増粘剤は、50モル%を上回る、より好ましくは70モル%を上回る、非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体および/またはスルホン酸モノマー誘導体から誘導される構造単位を含むことが好ましい。前記コポリマー中に含まれることが好ましい他の構造単位は、例えばモノマーの(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と分岐もしくは非分岐のC1〜C10−アルコールとのエステル、ビニルアセテート、ビニルプロピオネートおよび/またはスチレンから誘導されうる。
【0134】
本発明の更なる一実施形態においては、前記増粘剤ポリマーは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)の群から選択される多糖誘導体、および/または500000g/モルを上回る、より好ましくは1000000g/モルを上回る平均分子量Mwを有する(コ)ポリマーであり、前記(コ)ポリマーは、アクリルアミド、好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドおよび/またはN−t−ブチルアクリルアミド、および/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸および/または2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタスルホン酸あるいは上述の酸の塩の群から選択されるスルホン酸モノマー誘導体の群から選択される非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体から(好ましくはフリーラジカル重合によって)誘導された構造単位を含む。
【0135】
非イオン性(メタ)アクリルアミドモノマー誘導体の範囲内では、メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドが好ましく、アクリルアミドが特に好ましい。スルホン酸モノマーの範囲内では、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびその塩が好ましい。前記増粘剤ポリマーは、本方法の開始時に、または他の任意の時点で添加することができる。
【0136】
本発明の更なる一実施形態においては、前記反応は、完全にまたは部分的に、アルカノールアミン、好ましくはトリイソプロパノールアミンおよび/またはテトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)の群から選択される硬化促進剤の存在下に実施される。前記硬化促進剤は、一般的に水溶液の形で添加される。好ましくは、前記アルカノールアミンは、水硬結合剤、好ましくはセメントの質量に対して、0.01〜2.5質量%の用量で使用される。相乗効果は、水硬結合剤系、特にセメント質の系の早期強度発現に対してアミン、特にトリイソプロパノールアミンおよびテトラヒドロキシエチルエチレンジアミンを使用する場合に見出すことができた。好ましくは、前記アミンは、反応の終盤で添加される。
【0137】
もう一つの実施形態においては、前記反応は、完全にまたは部分的に、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、ホスホン酸、アミノ−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミノテトラ(メチレンホスホン)酸、ジエチレントリアミノペンタ(メチレンホスホン)酸であって、それぞれの場合に各々の酸の塩を含む酸、ピロリン酸塩、ペンタホウ酸塩、メタホウ酸塩および/または糖類(例えばグルコース、糖蜜)の群から選択される凝結遅延剤の存在下に実施される。前記凝結遅延剤は、一般的に水溶液の形で添加される。凝結遅延剤の添加の利点は、オープンタイムを制御でき、特に必要であればオープンタイムを延長できることである。用語「オープンタイム」は、当業者により、水硬結合剤混合物の調製後であって、適切な加工性および該水硬結合剤混合物の設置を可能にするにはもはや流動性が不十分と見なされる時点までの時間間隔と理解される。前記オープンタイムは、現場での特別な要件と適用のタイプに依存する。概して、プレキャスト産業は、30〜45分のオープンタイムを必要とし、そしてレディーミクスコンクリート産業は、約90分のオープンタイムを必要とする。好ましくは、前記凝結遅延剤は、水硬結合剤、好ましくはセメントの質量に対して、0.01〜0.5質量%の用量で使用される。前記遅延剤は、本方法の開始時に、または他の任意の時点で添加することができる。
【0138】
好ましい一実施形態においては、上述の実施形態のいずれかに従って得られた硬化促進剤組成物は、好ましくは噴霧乾燥法またはドラム乾燥法によって乾燥される。前記乾燥法は特に制限されるものではなく、別の考えられる乾燥法は、例えば流動床乾燥機の使用である。水は、たとえ少量だけであっても、不所望の早期の水和プロセスのため、多くの結合剤、特にセメントに対して有害であることは一般に知られている。一般的に非常に低い水の含量を有する粉末生成物は、水性系と比較して好ましい。それというのも、それらをセメントおよび/または他の結合剤、例えば石膏、硫酸カルシウム半水和物(バサナイト)、無水硫酸カルシウム、スラグ、好ましくは粉砕して粒状化された高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉、メタカオリン、天然ポゾラン、焼きオイルシェール、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および/またはアルミン酸カルシウムセメント中に混合できるからである。
【0139】
本発明は、更に、前記方法によって得られる硬化促進剤組成物に関する。
【0140】
本発明のもう一つの態様によれば、前記促進剤組成物は、500nm未満の、好ましくは300nm未満の、より好ましくは200nm未満の粒径を有する粒子を含有する。粒径の測定は、25℃の温度で分析用超遠心分離器Beckman Model Optima XLI(Beckman Coulter GmbH社製)を介してH. Coelfen, 「ナノ粒子の超遠心分析(Analytical Ultracentrifugation of Nanoparticles)」, Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology, (American Scientific Publishers, 2004), 第67〜88頁以降の記載に従って行われる。
【0141】
好ましくは、前記促進組成物は、水硬結合剤を含まない、特にセメント(ケイ酸カルシウム、ケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウム)を含まない。「含まない」とは、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、特に1質量%未満、特に0質量%を意味する。
【0142】
好ましくは、前記組成物は、
i)0.1〜75質量%の、好ましくは0.1〜50質量%の、最も好ましくは0.1〜10質量%のケイ酸カルシウム水和物、
ii)0.001〜60質量%の、好ましくは0.1〜30質量%の、最も好ましくは0.1〜10質量%の、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性櫛形ポリマー、
iii)24〜99質量%の、より好ましくは50〜99質量%の、最も好ましくは70〜99質量%の水
を含有する。
【0143】
一般的に、前記組成物、好ましくは水性硬化促進剤懸濁液中のケイ酸カルシウム水和物は、フォシャジャイト、ヒレブランダイト、ゾノトライト、ネコアイト、クリノトベルモライト、9Å−トベルモライト(リベルシデライト)、11Å−トベルモライト、14Å−トベルモライト(プロムビエライト)、ジェンナイト、メタジェンナイト、カルシウムコンドロダイト、アフウィライト、α−C2SH、デラアイト、ジャフェアイト、ローゼンハーナイト、キラライトおよび/またはスオルナイトである。
【0144】
より好ましくは、前記組成物、好ましくは水性硬化促進剤懸濁液中のケイ酸カルシウム水和物は、ゾノトライト、9Å−トベルモライト(リベルシデライト)、11Å−トベルモライト、14Å−トベルモライト(プロムビエライト)、ジェンナイト、メタジェンナイト、アフウィライトおよび/またはジャフェアイトである。
【0145】
本発明の好ましい一実施形態においては、前記組成物、好ましくは水性硬化促進剤懸濁液中のケイ酸カルシウム水和物におけるカルシウムのケイ素に対するモル比の値は、0.6〜2、好ましくは0.8〜1.8、最も好ましくは0.9〜1.5である。
【0146】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、ケイ酸カルシウム水和物におけるカルシウムの水に対するモル比の値は、0.6〜6、好ましくは0.6〜2、より好ましくは0.8〜2である。前記範囲は、セメントの水和の間に形成される、例えばケイ酸カルシウム水和物相中に見られる範囲と同様である。利点は、水硬結合剤に関する良好な促進効果である。
【0147】
本発明による硬化促進剤を、比較的高い含量の可溶性硫酸塩(セメントに対して0.1〜5質量%)を含有するセメントと組み合わせて使用することが特に好ましい。かかるセメントは市販されているか、または該水溶性硫酸塩をセメントに添加することもできる。前記セメントは、好ましくは無水アルミン酸塩相に富んでいる。好ましくは、前記水溶性硫酸塩は、硫酸ナトリウムおよび/または硫酸カリウムから選択される。前記可溶性硫酸塩と本発明による硬化促進剤とを組み合わせることで、セメントの相乗的硬化促進効果が得られる。
【0148】
前記組成物は、好ましくはクエン酸、酒石酸、グルコン酸、ホスホン酸、アミノ−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミノテトラ(メチレンホスホン)酸、ジエチレントリアミノペンタ(メチレンホスホン)酸であって、それぞれの場合に各々の酸の塩を含む酸、ピロリン酸塩、ペンタホウ酸塩、メタホウ酸塩および/または糖類(例えばグルコース、糖蜜)の群から選択される凝結遅延剤を含有する。凝結遅延剤の添加の利点は、オープンタイムを制御でき、特に必要であればオープンタイムを延長できることである。好ましくは、前記凝結遅延剤は、水硬結合剤、好ましくはセメントの質量に対して、0.01〜0.5質量%の用量で使用される。
【0149】
前記組成物は、建築化学の分野で一般的に使用される任意の配合成分、好ましくは脱泡剤、空気連行剤、凝結遅延剤、収縮低減剤、再分散性粉末、他の硬化促進剤、凍結防止剤および/または風解防止剤を含有してもよい。
【0150】
本発明は、また粉末形である硬化促進剤組成物に関連する。前記粉末生成物は、前記の水性生成物から、例えば噴霧乾燥または流動床乾燥機での乾燥によって得ることができる。
【0151】
本発明は、本発明の方法のいずれかに従って得られる硬化促進剤組成物または本発明による組成物の、セメント、石膏、硬石膏、スラグ、好ましくは破砕して粒状化された高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉、メタカオリン、天然ポゾラン、焼きオイルシェール、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および/またはアルミン酸カルシウムセメントを含有する建材混合物における、好ましくは水硬結合剤として本質的にセメントを含有する建材混合物における使用を含む。
【0152】
本発明は、更に、本発明の硬化促進剤組成物の、(ポルトランド)セメント、スラグ、フライアッシュ、石灰、ポゾランまたはそれらの混合物、特に(ポルトランド)セメントの製造における研削剤としての使用を含む。
【0153】
本発明は、更に、本発明の硬化促進剤組成物の、油井およびガス井における、特に地下の油溜めおよびガス溜めならびに深井戸の開発、採掘および竣工における使用を含む。前記組成物は、無機結合剤用の凝結促進剤として有用であり、特に油坑井およびガス坑井のセメンチングにおけるセメントスラリーの凝結の促進のために有用である。
【0154】
好適な無機結合剤は、特にポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメント、石膏、硬石膏、高炉スラグ、破砕して粒状化された高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、メタカオリン、天然ポゾランおよび人工ポゾラン、および/または焼きオイルシェール、好ましくはポルトランドセメントである。
【0155】
前記硬化促進剤組成物の使用は、好ましくは、坑井のセメンチングにおいて有用な他の添加剤、例えば減水剤、保水剤および/またはレオロジー調節剤と一緒に行われる。
【0156】
石膏は、この文脈においては、種々の量の結晶水分子を有する全ての考えられる硫酸カルシウム担体、例えば硫酸カルシウム半水和物も含む。
【0157】
本発明は、また、本発明による組成物、好ましくは本発明による水性硬化促進剤懸濁液と、セメント、石膏、硬石膏、スラグ、好ましくは破砕して粒状化された高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉、メタカオリン、天然ポゾラン、焼きオイルシェール、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および/またはアルミン酸カルシウムセメントとを含有する建材混合物に関連する。好ましくは、前記建材混合物は、本質的に水硬結合剤としてセメントを含有する。前記硬化促進剤組成物は、前記建材混合物中に、クリンカーの質量に対して、好ましくは0.05質量%〜5質量%の用量で含まれている。
【0158】
説明のためには、建材混合物という用語は、乾燥形または水性形の、かつ硬化状態または塑性状態の混合物を意味しうる。乾燥建材混合物は、例えば前記結合剤、好ましくはセメントと、本発明による硬化促進剤組成物(好ましくは粉末形)との混合物であってよい。水性形の混合物、通常はスラリー形、ペースト形、フレッシュモルタルまたはフレッシュコンクリートの形の混合物は、前記1種以上の結合剤成分および前記硬化促進剤組成物に水を添加することによって製造され、該混合物は次いで塑性状態から硬化状態へと変わる。
【0159】
本発明の方法は広範に適用でき、かつ容易に実施することができる。本発明の方法によって得られる硬化促進剤組成物は、粉末形で得ることができ、低い塩含量を有し、従って腐食性が低く、かつ安全性の観点および環境的観点から危険性が低い。更に、該組成物は廉価な製品である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
図1】種々の硬化促進剤組成物の、ポルトランドセメントの硬化に対する影響を示している。
【0161】
実施例
出発材料:
ケイ素源:ナトリウム水ガラス − SiO2/Na2O率=3.4(固体含有率:36質量%)
カルシウム源:
− Ca(OH)2(純度:97%)
− 酢酸カルシウム(純度:99.9%)
− ギ酸カルシウム(純度:99.9%)。
【0162】
ポリマー:
ポリマー1:
ポリマー1は、マレイン酸、アクリル酸、およびビニルオキシブチルポリエチレングリコール−5800のモノマーを基礎とする櫛形ポリマーである。アクリル酸のマレイン酸に対するモル比の値は7である。Mwは、GPCによって測定して40000g/モルである。固体含有率は、45質量%である。その合成は、例えばEP0894811に開示されている。電荷密度は、930マイクロ当量/gである。
【0163】
ポリマー2:
ポリマー2は、PhenolPEG5000およびフェノキシエタノールホスフェートの成分の縮合物である櫛形ポリマーである。分子量は、23000g/モルである。その合成は、例えばDE102004050395に開示されている。固体含有率は、31%である。電荷密度は、745マイクロ当量/gである。
【0164】
ポリマー3:
ポリマー3は、アクリル酸、およびビニルオキシブチルポリエチレングリコール−3000のモノマーを基礎とする櫛形ポリマーである。Mwは、GPCによって測定して40000g/モルである。固体含有率は、52質量%である。電荷密度は、1410マイクロ当量/gである。
【0165】
製造手順:
a. 前記ポリマーを水と混合して、反応器中に装入した。
b. カルシウム源を、水酸化カルシウムおよび任意に別のカルシウム源と、水および任意にポリマーとを混合することによって製造した。
c. ケイ酸塩溶液を、ナトリウム水ガラスと水とを混合することによって製造した。
d. 前記水性ポリマー溶液(a)を、8000rpmのローター・ステーター型混合器具を備えたIka Ultra Turraxが取り付けられた20ml混合セルを通して循環させた。
e. 前記ケイ酸塩源(c)および前記カルシウム源(b)を、前記混合セルの剪断帯域中に導入した。
合成時間:20分
使用された成分とそれらの量を第1表に示す。
【0166】
第1表:
【表1】
【0167】
促進剤懸濁液の特性決定
前記促進剤懸濁液のセメント(CEM I Milke 52.5 R)の硬化に対する効果を、熱流熱量計を使用して放熱量を測定することによって試験した。結果は図1に示す。その図1は、種々の硬化促進剤組成物の、ポルトランドセメントの硬化に対する影響を示している。純粋なセメントの時間(t)に対する熱流(HF)は、線Aによって表される。H1は、参照促進剤の影響を示しており、その一方で、H10およびH11は、本発明による促進剤の影響を表している(純粋なセメントと比較した、懸濁液H1、H10およびH11についての熱流熱量測定)。前記懸濁液を計量水と混合し、得られた懸濁液を20gのセメントと混合した。水/セメント比を0.32に調整した。前記促進懸濁液の用量は、常に0.3質量%の活性物がセメントに供給されるように選択した。硬化の効果的な促進(H. F. W. Taylor (1997): Cement Chemistry, 第2版, 第212頁以下参照に定義される)が観察された。結果を第2表に表す。
【0168】
第2表:
【表2】
図1