特許第6381578号(P6381578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381578
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   A61F13/15 356
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-92757(P2016-92757)
(22)【出願日】2016年5月2日
(65)【公開番号】特開2017-200520(P2017-200520A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】越智 公太
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−185851(JP,A)
【文献】 特開2011−156304(JP,A)
【文献】 特表平10−508548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立した複数の吸収性物品の各々を搬送方向に沿って順次搬送しつつ、各吸収性物品における前記搬送方向に直交する横断方向の外側の折り畳み領域を前記横断方向の内側の非折り畳み領域の上に順次折り畳む折り畳み工程を備え、前記各吸収性物品は、前記折り畳み領域と前記非折り畳み領域とに吸収体が跨って存在しており、前記非折り畳み領域が搬送手段の搬送面に載置されて搬送される、吸収性物品の製造方法であって、
前記折り畳み工程は、
前記搬送方向の下流側に向かうに連れて前記搬送面に対して立ち上がる形状を有し、前記折り畳み領域に接する面が平面又は前記搬送面に対して凸面である立ち上げ部材で、前記折り畳み領域を前記非折り畳み領域に対して立ち上げて、それらの間に折り目を形成する折り目形成工程と、
前記搬送方向の下流側に向かうに連れて前記搬送面に被さるようにひねられた形状を有する無端連続ベルトにおけるベルト表面を、立ち上げられた前記折り畳み領域に接触させつつ前記搬送方向に移動させて、前記立ち上げられた折り畳み領域を前記非折り畳み領域の上に折り重ねる折り重ね工程と、
を備
前記折り畳み領域は、
前記非折り畳み領域の前記横断方向の一端部に連結する第1の折り畳み領域と、
前記非折り畳み領域の前記横断方向の他端部に連結する第2の折り畳み領域と、を備え、
前記折り目形成工程は、
前記立ち上げ部材である第1の立ち上げ部材で、前記第1の折り畳み領域を前記非折り畳み領域に対して立ち上げて、それらの間に折り目を形成する第1の折り目形成工程と、
前記立ち上げ部材である第2の立ち上げ部材で、前記第2の折り畳み領域を前記非折り畳み領域に対して立ち上げて、それらの間に折り目を形成する第2の折り目形成工程と、を含み、
前記折り重ね工程は、
前記無端連続ベルトである第1の無端連続ベルトにおけるベルト表面を、立ち上げられた前記第1の折り畳み領域に接触させつつ前記搬送方向に移動させて、前記立ち上げられた第1の折り畳み領域を前記非折り畳み領域の上に折り重ねる第1の折り重ね工程と、
前記無端連続ベルトである第2の無端連続ベルトにおけるベルト表面を、立ち上げられた前記第2の折り畳み領域に接触させつつ前記搬送方向に移動させて、前記立ち上げられた第2の折り畳み領域を前記非折り畳み領域の上に折り重ねる第2の折り重ね工程と、を含み、
前記第2の折り目形成工程は前記第1の折り目形成工程の後に実施され、かつ、前記第2の折り重ね工程は前記第1の折り重ね工程の後に実施される、
吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記折り重ね工程は、前記搬送方向における前記搬送面の速度成分と、前記搬送方向における前記ベルト表面の速度成分とが所定の範囲内で等しくなるように、前記搬送手段及び前記無端連続ベルトを動作させる工程を含む、
請求項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程において、前記吸収性物品が搬送されているとき、前記吸収性物品が前記搬送面に対する位置関係を保つように前記非折り畳み領域及び前記折り畳み領域の少なくとも一方は保持手段で保持される、
請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記保持手段は、前記吸収性物品を吸引する吸引手段、又は、前記吸収性物品を押圧する押圧手段を備え、
前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程において、前記非折り畳み領域及び前記折り畳み領域の少なくとも一方は前記吸引手段で吸引され、又は、前記非折り畳み領域及び前記折り畳み領域の少なくとも一方は前記押圧手段で押圧される、
請求項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記立ち上げ部材は、前記搬送方向の上流端部が前記搬送面に対して210〜150°の角度を成し、前記搬送方向の下流端部が前記搬送面に対して120〜60°の角度を成すように形成され、
前記無端連続ベルトは、前記搬送方向の上流端部が前記搬送面に対して120〜60°の角度を成し、前記搬送方向の下流端部が前記搬送面に対して30〜0°の角度を成すように形成される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
前記搬送面における前記立ち上げ部材側の端部及び前記無端連続ベルト側の端部と、前記立ち上げ部材及び前記無端連続ベルトにおける前記搬送面の前記端部に対面する部分との距離が、前記吸収性物品の厚みの2倍以下となるように、前記立ち上げ部材又は前記無端連続ベルトは前記搬送面に沿って配置される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
前記折り畳み工程において、折り畳まれる前記吸収性物品は、前記横断方向の寸法が前記搬送方向の寸法より長い、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項8】
前記折り畳み工程は、包装シートで被覆された前記吸収性物品を折り畳む、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程の前に、前記吸収性物品を折り畳む事前折り畳み工程を更に備え、
前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程は、前記事前折り畳み工程で折り畳んだ箇所とは別の箇所で前記吸収性物品を更に折り畳む、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンや使い捨ておむつのような吸収性物品が知られている。このような吸収性物品を製造するとき、吸収性物品を包装するために吸収性物品を折り畳む折り畳み工程がある。折り畳み工程では、例えば吸収性物品(予め包装紙が貼付されたものを含む)を、搬送方向に搬送しつつ、搬送方向に直交する横断方向における吸収性物品の両端部を外側から内側へそれぞれ折り畳む。すなわち、横断方向における吸収性物品の中央領域の両側の側部領域を、中央領域に重なるようにそれぞれ折り畳んでいる。
【0003】
そのような吸収性物品の製造方法に関連して、例えば特許文献1にはおむつ折り畳み装置が開示されている。このおむつ折り畳み装置は、横断方向におけるおむつの中央領域を孔あきベルトで吸引しつつ、中央領域の両側の側部領域を跳ね上げ用の羽根で掬い上げ、内寄せ用の羽根で内側へ折り曲げ、折り込み羽根で中央部分の上に折り畳んで、三つ折りに折り畳んだおむつを製造する。また、特許文献2には物品から延出する柔軟な部材を回転する装置が開示されている。この装置は、物品を搬送する搬送システムと、搬送方向に垂直な軸を有する二つのプーリー及びその二つのプーリーに螺旋状に係合された自在ベルトを含む部材回転システムとを備えており、搬送方向に物品を搬送しつつ、物品から延出する柔軟な部分を自在ベルトの180°回転移動する表面で折り畳む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−301514号公報
【特許文献2】国際公開WO2012/088062A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のおむつ折り畳み装置は、おむつの両側の側部領域を複数の羽根に接触させ案内させて中央領域に折り畳んでおり、折り始めから折り終りまで全て羽根(案内部材)を使用する。そのとき、両側の側部領域には、折り畳み動作に抗して元の状態に戻ろうとする復元力が生じる。そのため、両側の側部領域が複数の羽根に押し付けられ、両者が擦れ合うことにより、両者間に摩擦が生じる。その結果、両側の側部領域の搬送方向の速度は摩擦抵抗により低下する。すなわち、搬送方向において、中央領域の速度と比較して、両側の側部領域の速度が遅くなる。そのため、両側の側部領域と中央領域との境界の折り線は、本来は搬送方向と平行になるべきところ、その本来の折り線からずれて曲がるおそれがある。ここで、復元力の大きさは、折り畳みが進むに連れて大きくなり、両側の側部領域が中央領域に対して所定角度(例示:約120〜60°)に立ち上がった後、更に折り畳みが進むときに特に大きくなる。したがって、両側の側部領域を全て案内部材で折り畳もうとすると、上記の所定角度から先では特に折り線がずれて曲がるおそれがある。そのことは、両側の側部領域と中央領域とを跨ぐように吸収体を含むような、特許文献1の側部領域よりも厚く剛性のある部分を折り畳む場合に特に顕著である。
【0006】
特許文献2の装置は、パンツ型の使い捨て吸収性物品の両側の一対のサイドパネルを、それぞれ自在ベルト表面に載置し、自在ベルトで移動させつつ180°ひねって折り畳んでおり、折り始めから折り終わりまで全て自在ベルトを用いる。ここで、自在ベルトが180°ひねられながら移動するときに、自在ベルトや一対のサイドパネルは、それらの一部が吸収性物品の搬送面の位置よりも下側の位置に来るなど、複雑な変形・動作をする。サイドパネルは、薄く柔軟な部材であるため、自在ベルトの複雑な変形・動作に追随でき、適切な折り線で折り畳まれ得る。しかし、吸収体を含む部分の折り畳みの場合には、その吸収体を含む部分が、サイドパネルと比較して厚く剛性のある部分であるため、自在ベルトの複雑な変形・動作に追随できない。そうなると、その吸収体を含む部分が折り線の箇所で適切に折り曲がらない可能性があり、折り線が曲がってしまうおそれがある。
【0007】
また、ひねられている自在ベルトでは、両端部を除き、物品が接触する表面が物品に対して凹面になる。したがって、自在ベルト表面の凹面の搬送面に対する立ち上がり具合は、平面や凸面と比較して緩やかである。ここで、サイドパネルは、薄く柔軟な部材であるため、自在ベルトの表面の立ち上がり具合が緩やかでも、所望の折り位置で適切に立ち上がり、かつ容易に折り畳まれ得る。しかし、吸収体を含む部分の折り畳みの場合には、その吸収体を含む部分が、サイドパネルと比較して厚く剛性のある部分であるため、所望の折り位置で適切に立ち上がらない可能性があり、折り線が曲がってしまうおそれがある。また、サイドパネルは、薄く柔軟な部材であるため、所望の折り位置に折り目を形成していなくても、その所望の折り位置で適切に立ち上がり、そのまま容易に折り畳まれ得る。すなわち、サイドパネルの折り畳みには折り目を形成する必要はない。しかし、吸収体を含む部分が折り畳まれる場合には、その吸収体を含む部分が、サイドパネルと比較して厚く剛性のある部分であるため、所望の折り位置に折り目を形成しないと、所望の折り位置で適切に立ち上がらない可能性があり、折り線が曲がってしまうおそれがある。
【0008】
このように、特許文献1、2の技術では、吸収性物品を搬送方向に搬送しつつ、吸収性物品の吸収体を含む部分を、横断方向の側部から折り畳もうとすると、折り線が曲がってしまい、適切に折り畳めないおそれがある。そうなると、吸収性物品を折り畳んでも、折り畳まれた領域が互いに適切に重ならず、包装が適切にできないおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、吸収性物品を搬送方向に搬送しつつ、吸収性物品の吸収体を含む部分を、折り線を曲げずに、適切に折り畳むことが可能な吸収性物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の吸収性物品の製造方法は次のとおりである。
(1)互いに独立した複数の吸収性物品の各々を搬送方向に沿って順次搬送しつつ、各吸収性物品における前記搬送方向に直交する横断方向の外側の折り畳み領域を前記横断方向の内側の非折り畳み領域の上に順次折り畳む折り畳み工程を備え、前記各吸収性物品は、前記折り畳み領域と前記非折り畳み領域とに吸収体が跨って存在しており、前記非折り畳み領域が搬送手段の搬送面に載置されて搬送される、吸収性物品の製造方法であって、前記折り畳み工程は、前記搬送方向の下流側に向かうに連れて前記搬送面に対して立ち上がる形状を有し、前記折り畳み領域に接する面が平面又は前記搬送面に対して凸面である立ち上げ部材で、前記折り畳み領域を前記非折り畳み領域に対して立ち上げて、それらの間に折り目を形成する折り目形成工程と、前記搬送方向の下流側に向かうに連れて前記搬送面に被さるようにひねられた形状を有する無端連続ベルトにおけるベルト表面を、立ち上げられた前記折り畳み領域に接触させつつ前記搬送方向に移動させて、前記立ち上げられた折り畳み領域を前記非折り畳み領域の上に折り重ねる折り重ね工程と、を備える、吸収性物品の製造方法。
【0011】
本吸収性物品の製造方法は、上記のように折り目形成工程、すなわち折り畳みの領域を立ち上げて折り目を形成する段階では立ち上げ部材を用い、折り重ね工程、すなわち折り畳み領域を非折り畳み領域の上に折り重ねる段階では、無端連続ベルトを用いている。
折り目形成工程では、平面又は凸面を有する立ち上げ部材は、凹面を有する部材やベルト等と比較して、搬送手段の搬送面に対する立ち上がり具合が急である。そのため、折り畳みの初期において、凹面を有する部材やベルト等と比較して、折り畳み領域を非折り畳み領域に対して良好に立ち上げることができる。それにより、吸収性物品の適正な位置に最初の折り目を形成することができる。このとき、立ち上げ部材を使用する場合でも、その使用範囲が、折り畳み領域と立ち上げ部材との間の摩擦抵抗が小さい立ち上げまでなので、折り畳み領域と非折り畳み領域との間の速度差を非常に小さい範囲に抑えることができる。それにより、適正な位置に形成された折り目がずれて曲がることを抑制できる。
一方、折り重ね工程では、無端連続ベルトのベルト表面は、搬送方向に移動されているので、セーラーのような移動しない案内部材を用いる場合よりも、折り畳み領域に対する相対速度を小さくできる。そのため、折り畳み領域を無端連続ベルトで折り畳むときにも、無端連続ベルトによる折り畳み領域の減速を大幅に抑制することができる。このとき、無端連続ベルトを使用する場合でも、無端連続ベルトのひねりの範囲は、折り畳み領域が立ち上がった後から折り畳まれるまでの範囲なので、無端連続ベルトや折り畳み領域に複雑な変形・動作をさせる必要はなくなる。また、折り目形成工程において平面又は凸面を有する立ち上げ部材により所望の折り位置に折り目を形成することができるので、折り畳み領域を非折り畳み領域の上に容易に折り重ねることができる。それにより厚く剛性を有する吸収性物品の吸収体を含む部分を折り線の箇所で適切に折り曲げることができる。
このように本製造方法では、平面又は凸面を形成する立ち上げ部材とひねり範囲の小さい無端連続ベルトとを組み合わせた相乗効果により、折り畳み領域と非折り畳み領域との間の折り線が曲がることを抑制でき、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。その結果、吸収性物品を適切に包装でき、製造において不良品の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(2)前記折り畳み領域は、前記非折り畳み領域の前記横断方向の一端部に連結する第1の折り畳み領域と、前記非折り畳み領域の前記横断方向の他端部に連結する第2の折り畳み領域と、を備え、前記折り目形成工程は、第1の立ち上げ部材で、前記第1の折り畳み領域を前記非折り畳み領域に対して立ち上げて、それらの間に折り目を形成する第1の折り目形成工程と、第2の立ち上げ部材で、前記第2の折り畳み領域を前記非折り畳み領域に対して立ち上げて、それらの間に折り目を形成する第2の折り目形成工程と、を含み、前記折り重ね工程は、第1の無端連続ベルトにおけるベルト表面を、立ち上げられた前記第1の折り畳み領域に接触させつつ前記搬送方向に移動させて、前記立ち上げられた第1の折り畳み領域を前記非折り畳み領域の上に折り重ねる第1の折り重ね工程と、第2の無端連続ベルトにおけるベルト表面を、立ち上げられた前記第2の折り畳み領域に接触させつつ前記搬送方向に移動させて、前記立ち上げられた第2の折り畳み領域を前記非折り畳み領域の上に折り重ねる第2の折り重ね工程と、を含み、前記第2の折り目形成工程は前記第1の折り目形成工程の後に実施され、かつ、前記第2の折り重ね工程は前記第1の折り重ね工程の後に実施される、上記(1)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、第1の折り畳み領域を非折り畳み領域に折り畳むときに、第1の折り畳み領域と非折り畳み領域との間の折り線が曲がることが抑制され、適切に折り畳まれる。したがって、第1の折り畳み領域を非折り畳み領域に折り畳み始めた後に、更に第2の折り畳み領域を非折り畳み領域に折り畳むとき、第1の折り畳み領域の折り畳みが不十分で第1の折り畳み領域と第2の折り畳み領域とが衝突して両者が適正に折り畳まれなくなる、といった事態を抑制できる。加えて、第2の折り畳み領域と非折り畳み領域との間の折り線が曲がることが抑制され、適切に折り畳まれる。これらの結果、複数回の折り畳みのある吸収性物品であっても、折り線が曲がることを抑制でき、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。
【0013】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(3)前記折り重ね工程は、前記搬送方向における前記搬送面の速度成分と、前記搬送方向における前記ベルト表面の速度成分とが所定の範囲内で等しくなるように、前記搬送手段及び前記無端連続ベルトを動作させる工程を含む、上記(1)又は(2)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、搬送方向における搬送手段の搬送面の速度成分と、搬送方向における無端連続ベルトのベルト表面の速度成分とが所定の範囲内(例示:両者の速度を同一にしようとしたときの製造装置の誤差の範囲内)で等しい。そのため、ベルト表面と、搬送面と、ベルト表面と非折り畳み領域との間に介在する折り畳み領域及び非折り畳み領域とを概ね等しい速度で搬送方向に搬送することができる。それにより、ベルト表面に対する折り畳み領域の相対速度が概ねゼロとなり、折り畳み領域とベルト表面との間の摩擦抵抗を概ねゼロにすることができる。その結果、折り畳むとき、折り線が曲がることをより抑制でき、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。
【0014】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(4)前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程において、前記吸収性物品が搬送されているとき、前記吸収性物品が前記搬送面に対する位置関係を保つように前記非折り畳み領域及び前記折り畳み領域の少なくとも一方は保持手段で保持される、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、折り畳みに際して非折り畳み領域又は折り畳み領域が保持手段で保持される。そのため、立ち上げ部材及びベルト表面と折り畳み領域との接触により、立ち上げ部材及びベルト表面から折り畳み領域に力が加えられても、吸収性物品のずれや回転などを抑制できる。それにより、搬送面に対する吸収性物品の位置関係が保持された状態、すなわち所望の位置・体勢で吸収性物品を搬送できる。その結果、立ち上げ部材やベルト表面により、吸収性物品を所望の折り線で適切に折り畳むことができる。
【0015】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(5)前記保持手段は、前記吸収性物品を吸引する吸引手段、又は、前記吸収性物品を押圧する押圧手段を備え、前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程において、前記非折り畳み領域及び前記折り畳み領域の少なくとも一方は前記吸引手段で吸引され、又は、前記非折り畳み領域及び前記折り畳み領域の少なくとも一方は前記押圧手段で押圧される、上記(4)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、保持手段として、吸引手段や押圧手段を用いるので、折り目形成工程や移動折り畳み工程においても、非折り畳み領域又は折り畳み領域の保持を確実に実行できる。それにより、折り畳み領域と非折り畳み領域との間の折り線が曲がることを抑制でき、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。
【0016】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(6)前記立ち上げ部材は、前記搬送方向の上流端部が前記搬送面に対して210〜150°の角度を成し、前記搬送方向の下流端部が前記搬送面に対して120〜60°の角度を成すように形成され、前記無端連続ベルトは、前記搬送方向の上流端部が前記搬送面に対して120〜60°の角度を成し、前記搬送方向の下流端部が前記搬送面に対して30〜0°の角度を成すように形成される、上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、上記各角度範囲において、立ち上げ部材での立ち上げと、無端連続ベルトでの折り畳みを実行することで、折り線がずれて曲がることをより抑制しつつ、折り畳み領域を非折り畳み領域に対して良好に折り畳むことができる。
【0017】
本発明の吸収性物品の製造方法は(7)前記搬送面における前記立ち上げ部材側の端部及び前記無端連続ベルト側の端部と、前記立ち上げ部材及び前記無端連続ベルトにおける前記搬送面の前記端部に対面する部分との距離が、前記吸収性物品の厚みの2倍以下となるように、前記立ち上げ部材又は前記無端連続ベルトは前記搬送面に沿って配置される、上記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
搬送面における立ち上げ部材又は前記無端連続ベルト側の端部と、立ち上げ部材又は前記無端連続ベルトにおける搬送面側の部分とが離れ過ぎていて、両者間に大きな隙間が存在していると、その大きな隙間の分だけ、折り目の形成され得る領域が広くなり、折り目の位置に誤差が生じ易くなるおそれがある。しかし、本吸収性物品の製造方法では、両者の距離が吸収性物品の厚みの2倍以下であるので、両者が吸収性物品の厚みを超えて離れている場合と比較して、折り目の形成され得る領域を狭い範囲にほぼ限定することができる。それにより、最初の折り目をより適正な位置に形成することができる。
【0018】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(8)前記折り畳み工程において、折り畳まれる前記吸収性物品は、前記横断方向の寸法が前記搬送方向の寸法より長い、上記(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、横断方向の寸法が搬送方向の寸法より長い吸収性物品を折り畳んでいる。したがって、その逆の場合、すなわち搬送方向の寸法が横断方向の寸法より長い吸収性物品と比較して、ベルト表面と擦れ合う可能性のある折り畳み領域の搬送方向の寸法を相対的に小さくできる。それにより、ベルト表面と折り畳み領域との接触面積を小さくでき、両者の間に生じる摩擦抵抗を小さくすることができる。その結果、折り畳み領域と非折り畳み領域との間に搬送方向の速度差が生じる可能性を抑制でき、折り畳み領域と非折り畳み領域との間の折り線が曲がることを抑制できるので、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。また、仮に折り線が曲がったとしても、搬送方向の寸法が横断方向の寸法より長い吸収性物品と比較して、横断方向の折り線が曲がる幅を小さく抑えることができ、吸収性物品を折り畳んだあとで適切に包装ができない不良品の発生を抑制することができる。
【0019】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(9)前記折り畳み工程は、包装シートで被覆された前記吸収性物品を折り畳む、上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、吸収性物品が包装シートにより覆われて、製品の表面の凹凸の程度が小さくなり、横断方向の表面の均等度を上げることができる。それにより、折り線を所望の位置で折り易く、折り線が曲がることを抑制できるので、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。
【0020】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(10)前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程の前に、前記吸収性物品を折り畳む事前折り畳み工程を更に備え、前記折り目形成工程及び前記折り重ね工程は、前記事前折り畳み工程で折り畳んだ箇所とは別の箇所で前記吸収性物品を更に折り畳む、上記(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、事前に折り畳んだ箇所とは別の箇所で吸収性物品を更に折り畳む、すなわち一度折り畳まれて厚みが増加した吸収性物品を折り畳んでいる。そのとき、吸収性物品の折り線の位置での剛性が高まっているので、一度形成された折り線の位置がずれ難くなる。それにより、折り線が曲がることを抑制でき、吸収性物品を適切に折り畳むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、吸収性物品を搬送方向に搬送しつつ、吸収性物品の吸収体を含む部分を、折り線を曲げずに、適切に折り畳むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態に係る吸収性物品を示す図である。
図2】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する模式図である。
図3】実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の構成を示す側面図である。
図4】実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の構成を示す平面図である。
図5図4のVa−Va断面〜Vd−Vd断面を示す断面図である。
図6図4のVIa−VIa断面〜VId−VId断面を示す断面図である。
図7】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法の作用の一つを説明する図である。
図8】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法の作用の一つを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施の形態に係る吸収性物品について、生理用ナプキンを例として、図面を参照して説明する。ただし、本発明の吸収性物品の種類及び用途はその例に限定されるものではなく、本発明は、本発明の主題を逸脱しない範囲で他の吸収性物品、例えば使い捨ておむつや失禁パッドなどに対しても適用可能である。
【0024】
図1は吸収性物品1を示す図であり、吸収性物品1を展開(開封)した状態での平面図を示す。吸収性物品1は、吸収性物品本体2と包装シート3とから構成され、吸収性物品本体2は略矩形状の包装シート3に取り外し可能に固定される。吸収性物品本体2は、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Hを有し、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる中央軸線CLと、一対のフラップ部2b、2b(後述)の長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる中央軸線CWを有する。図1において向って上方が吸収性物品本体2の前方であり、向って下方が吸収性物品本体2の後方である。吸収性物品本体2の長手方向L及び幅方向Wと包装シート3の長手方向及び幅方向とは一致するので、以下では、吸収性物品本体2及び包装シート3に共通に長手方向L及び幅方向Wを用いる。
【0025】
本明細書において、展開して平坦に拡げた状態の吸収性物品1又は吸収性物品本体2を、上面側から厚さ方向に見ることを単に「平面視」という。「肌側」及び「非肌側」とは、吸収性物品本体2の着用者が吸収性物品本体2を着用したとき、厚さ方向Hにおいて相対的に着用者の肌面に近い側及び遠い側をそれぞれ意味する。また、中央軸線CLに向かう方向及び遠ざかる方向を、それぞれ幅方向Wの内側及び外側の方向とする。また、中央軸線CWに向かう方向及び遠ざかる方向を、長手方向Lの内側及び外側の方向とする。
【0026】
吸収性物品本体2(生理用ナプキン)は、長手方向Lに延びる本体部2aと、長手方向Lの略中央部に幅方向Wの両側に延出する一対のフラップ部2b、2bとを備える。吸収性物品本体2は、少なくとも表面シート2cと裏面シート2dと吸収体4とで構成される。表面シート2cは着用者の肌側に位置する液透過性のシートである。表面シート2cとしては、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなど任意の液透過性シートが挙げられる。裏面シート2dは着用者の非肌側に位置する液不透過性のシートである。裏面シート2dとしては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布など任意の液不透過性シートが挙げられる。吸収体4は表面シート2c及び裏面シート2dとの間に位置する液吸収性及び液保持性の材料である。吸収体4としては、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマなどが挙げられる。吸収体4と表面シート2c及び裏面シート2dとはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート2cと裏面シート2dとはそれらの周縁部分にて接着剤により接合される。表面シート2c、吸収体4及び裏面シート2dの間の接合用の接着剤は、吸収性物品1で一般的に使用される公知の材料、例えば熱可塑性接着剤を使用できる。
【0027】
吸収性物品本体2の本体部2aは裏面シート2dの非肌側に複数の固定部(図示せず)を備える。複数の固定部は幅方向Wに延び、長手方向Lに所定間隔で配置される。吸収性物品本体2の各フラップ部2bは裏面シート2dの非肌側に他の固定部(図示せず)を備える。他の固定部は長手方向Lに延設される。吸収性物品本体2はそれら固定部を介して包装シート3に固定される。包装シート3はそれら固定部と接する部分にそれぞれ剥離シート(図示せず)を有し、吸収性物品本体2は包装シート3に剥離可能に固定される。
【0028】
吸収性物品本体2と包装シート3とは、吸収性物品本体2が包装シート3に固定された状態で、長手方向Lに平行に延びる複数の折り線FLの位置で、吸収性物品本体2を内側にして折り畳まれる。複数の折り線FLは幅方向Wに所定の間隔で設定される。本実施の形態では、最初の折り畳み用の折り線FL1が中央軸線CLの図の左側に設定され、次の折り畳み用の折り線FL2が中央軸線CWの図の右側に設定される。
【0029】
幅方向Wにおいて、中央軸線CLを含んだ折り線FL1、FL2の内側の領域を長手方向中央領域とし、長手方向中央領域の両側であって折り線FL1、FL2の外側の領域を長手方向側部領域とする。吸収性物品1が折り線FL1、FL2の位置で折り畳まれるとき、長手方向中央領域が保持された状態で、両側の長手方向側部領域が長手方向中央領域の上に折り畳まれる。したがって長手方向中央領域は折り畳まれない領域であるから以下では事前非折り畳み領域1dという。一方、長手方向側部領域は折り畳まれる領域であるから以下では事前第1、第2の折り畳み領域1e、1fという。すなわち非折り畳み領域1dは、幅方向Wの一側に折り線FL1を介して事前第1の折り畳み領域1eと連結され、幅方向Wの他側に折り線FL2を介して事前第2の折り畳み領域1fと連結される。
【0030】
吸収性物品本体2と包装シート3とは、吸収性物品本体2が包装シート3に固定された状態で、長手方向Lに平行に延びる複数の折り線FLの位置で折り畳まれた後に、幅方向Wに平行に延びる複数の折り線FWの位置で更に折り畳まれる。複数の折り線FWは長手方向Lに所定の間隔で設定される。本実施の形態では、最初の折り畳み用の折り線FW1が中央軸線CWの後方側に設定され、次の折り畳み用の折り線FW2が中央軸線CWの前方側に設定される。なお包装シート3の後方側の端部の折り線FW2’は吸収性物品1が最初に折り畳まれたときに折り線FW2と重なる線であり、折り線FW2での折り畳み動作により折り線FW2’でも折り畳みが生じる。
【0031】
ここで長手方向Lにおいて、中央軸線CWを含んだ折り線FW1、FW2の内側の領域を幅方向中央領域とし、幅方向中央領域の両側であって折り線FW1、FW2の外側の領域を幅方向側部領域とする。この場合、吸収性物品1が折り線FW1、FW2の位置で折り畳まれるとき、幅方向中央領域が保持された状態で、両側の幅方向側部領域が幅方向中央領域の上に折り畳まれる。したがって、幅方向中央領域は折り畳まれない領域であるから、以下では非折り畳み領域1aという。一方、幅方向側部領域は折り畳まれる領域であるから、以下では第1、第2の折り畳み領域1b、1cという。すなわち、非折り畳み領域1aは、長手方向Lの後方側に折り線FW1を介して第1の折り畳み領域1bと連結され、長手方向Lの前方側に折り線FW2を介して第2の折り畳み領域1cと連結される。
【0032】
また、吸収性物品1では、折り線FW1、FW2を跨るように吸収体4が配置されている。言い換えると、吸収性物品1の後方側では、第1の折り畳み領域1bと非折り畳み領域1aとに吸収体4が跨って存在し、前方側では、第2の折り畳み領域1cと非折り畳み領域1aとに吸収体4が跨って存在している。そのため、吸収性物品1における折り線FW1、FW2の位置の部分は、一般的なサイドフラップのような薄く柔らかい部材と比較して剛性が高いため、吸収性物品1を折り線FW1、FW2の位置で折り畳むとき、サイドフラップのような薄く柔らかい部材と比較して折り難いということができる。
【0033】
包装シート3における長手方向Lの前方側の端部には、リードテープ9が貼り付けられる。包装シート3の材料としては、吸収性物品本体2を包装するために一般的に使用される公知の材料を用いることができる。例えば、樹脂フィルムや紙、不織布が挙げられる。
【0034】
次に、本実施の形態の吸収性物品1の製造方法について説明する。図2はその製造方法を説明する模式図である。図中、吸収性物品1は搬送方向(MD)を右から左へ流れる。
【0035】
本製造方法は、搬送方向(MD)、横断方向(CD)及び厚さ方向(TD)を有する複数の製造装置(図示せず)を用い、吸収性物品1用の資材を搬送方向に搬送しつつ、吸収性物品1を連続的に形成する。本製造方法は、吸収体本体形成工程S1と、第1の折り畳み工程S2と、接合工程S3と、切断工程S4と、90度回転工程S5と、第2の折り畳み工程S6〜S9と、封止工程S10と、を備える。
【0036】
吸収体本体形成工程S1は、複数の吸収性物品本体2の各々を連続的に形成する。吸収性物品本体2の形成方法については特に限定されるものでは無く、公知の様々な方法を使用できる。そして、包装シート3用の連続シート状の連続包装シート3aを搬送方向に搬送しつつ、連続包装シート3aの一面に、連続的に形成された複数の吸収性物品本体2の各々を、吸収性物品本体2の長手方向が搬送方向に沿うように順次載置する。この場合、搬送方向及び横断方向は、それぞれ吸収性物品本体2の長手方向及び幅方向に一致する。
【0037】
第1の折り畳み工程(事前折り畳み工程)S2は、連続包装シート3aと共に吸収性物品本体2を幅方向Wに折り畳む。具体的には、搬送を継続しつつ、セーラーのような案内部材(図示せず)で、横断方向における折り線FL1の外側の吸収性物品本体2及び連続包装シート3a、すなわち事前第1の折り畳み領域1dを、折り線FL1に沿って内側に折り畳み、事前非折り畳み領域1d上に折り重ねる。更に、搬送を継続しつつ、別のセーラーのような案内部材(図示せず)で、横断方向における折り線FL2の外側の吸収性物品本体2及び連続包装シート3a、すなわち事前第2の折り畳み領域1eを、折り線FL2に沿って内側に折り畳み、事前非折り畳み領域1d上に折り重ねる。それにより、複数の吸収性物品本体2の各々が搬送方向に互いに離間した状態で連続包装シート3aと共に折り畳まれた連続吸収性物品10が形成される。
【0038】
接合工程S3は、複数の吸収性物品本体2を内包した連続吸収性物品10を搬送方向に搬送しつつ、連続吸収性物品10における互いに隣り合う吸収性物品本体2同士の間の部分で連続包装シート3aを接合する。接合方法としては、熱溶融などの方法が例示される。それにより横断方向の一端から他端まで延び、搬送方向に所定幅を有する接合部11が形成される。切断工程S4は、接合工程S3で形成された接合部11における搬送方向の略中央の部分を横断方向に切断する。それにより連続吸収性物品10から吸収性物品1が一個ずつ分離され、包装シート3で被覆された個包装の状態の吸収性物品が形成される。
【0039】
90度回転工程S5は、吸収性物品1を90°自転させる。その結果、吸収性物品1は、それまで吸収性物品本体2の長手方向が搬送方向に沿うようにして搬送されていたが、その後は吸収性物品本体2の幅方向が搬送方向に沿うようにして搬送されるようになる。すなわち、搬送方向及び横断方向は、それぞれ吸収性物品本体2の幅方向及び長手方向に一致する。したがって、以下の第2の折り畳み工程S6〜S9では、折り畳まれる吸収性物品1は、横断方向(=長手方向)の寸法が搬送方向(=幅方向)の寸法より長くなる。
【0040】
第2の折り畳み工程S6〜S9は、吸収性物品1を長手方向Lに折り畳む。具体的には、まず、搬送を継続しつつ、第1の立ち上げ部材103及び第1の無端連続ベルト104a(後述)で、互いに独立した複数の吸収性物品1の各々について、非折り畳み領域1aの横断方向の一端部に連結する第1の折り畳み領域1bを立ち上げて(S6)、非折り畳み領域1aの上に順次折り重ねる(S7)。更に、搬送を継続しつつ、第2の立ち上げ部材105及び第2の無端連続ベルト106a(後述)で、吸収性物品1における非折り畳み領域1aの横断方向の他端部に連結する第2の折り畳み領域1cを立ち上げて(S8)、非折り畳み領域1aの上に折り重ねる(S9)。それにより、複数の吸収性物品1の各々が順次折り畳まれる。この第2の折り畳み工程S6〜S9では、第1の折り畳み工程(事前折り畳み工程)S2で折り畳んだ箇所とは別の箇所で吸収性物品1が折り畳まれる。
【0041】
封止工程S10は、包装シート3の端部にリードテープ9を貼り付けて、先に折り畳まれた第1の折り畳み領域1bの表面と、後に折り畳まれた第2の折り畳み領域1cの端部とにリードテープ9を貼り付けて、吸収性物品1の折り畳み状態を固定する。
【0042】
次に、第2の折り畳み工程S6〜S9に使用される製造装置100について図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4は、それぞれ第2の折り畳み工程S6〜S9に使用される製造装置100の構成例を模式的に示す側面図及び平面図である。
【0043】
製造装置100は、複数の吸収性物品1の各々を搬送方向へ順次搬送する搬送手段としての搬送装置101を備える。搬送装置101は、搬送ベルト101aと、搬送ベルト101aが架け渡された複数の搬送ロール(又はプーリー)101bと、を備える。複数の搬送ロール101bのうちの少なくとも一つが回転駆動することで、搬送ベルト101aが搬送方向へ移動する。搬送装置101は受け渡しロール110から搬送され、搬送ベルト101aの搬送面101a0に載置された吸収性物品1を搬送方向へ搬送する。
【0044】
本実施の形態では、製造装置100は、保持手段を更に備える。保持手段は、搬送中の吸収性物品1を、搬送ベルト101a上の所定位置に固定的に保持するもので、本実施の形態では吸引手段、すなわち吸引装置(サクション装置)102である。吸引装置102は、搬送ベルト101aの搬送面101a0に対する吸収性物品1の位置関係を保つように非折り畳み領域1aで吸収性物品1を保持する。吸引装置102は、吸収性物品1が上面に載置される搬送ベルト101aの下面に配置される。搬送ベルト101aには、吸引装置102が搬送ベルト101a越しに吸収性物品1を吸引可能なように複数の孔(図示せず)が開口される。それにより搬送ベルト101aの上面に載置された吸収性物品1を、搬送ベルト101a上の所定位置に固定的に保持しつつ搬送方向へ搬送できる。
【0045】
なお、吸引装置102の設置場所は、搬送ベルト101aの搬送面101a0下に限定されず、他の場所、例えば第1の無端連続ベルト104aや第2の無端連続ベルト106a(後述)の裏側でもよい。その場合、無端連続ベルトには、吸引装置が無端連続ベルト越しに吸収性物品1を吸引可能なように複数の孔が開口される。また、保持手段は、吸引装置102に限定されず、他の保持手段でもよい。他の保持手段としては、例えば、吸収性物品1に対して搬送ベルト101aと反対側に、薄い板状の押圧部材、すなわち押圧手段を配置して、搬送される吸収性物品1を上方から押さえ付ける方法が考えられる。
【0046】
製造装置100は、立ち上げ部材である第1の立ち上げ部材103と、第1のコンベア104とを更に備える。第1の立ち上げ部材103は、搬送方向の下流側に向かうに連れ搬送ベルト101aの搬送面101a0に対して立ち上がる形状を有し、第1の折り畳み領域1bに接する上面103a0が平面又は搬送面101a0に対し凸面である。第1の立ち上げ部材103は、第1の折り畳み領域1bを非折り畳み領域1aに対して立ち上げ、第1の折り畳み領域1bと非折り畳み領域1aとの境界に折り目FWX1を形成する。
【0047】
第1のコンベア104は、無端連続ベルトである第1の無端連続ベルト104aと、第1の無端連続ベルト104aが架け渡された複数のロール(又はプーリー)104bと、を含む。複数のロール104bの少なくとも一つが回転駆動することで、第1の無端連続ベルト104aのベルト表面104a0が搬送方向へ移動する。第1の無端連続ベルト104aは、搬送方向の下流側に向かうに連れベルト表面104a0が搬送ベルト101aの搬送面101a0に被さるようにひねられた形状を有する。第1の無端連続ベルト104aは、ベルト表面104a0を立ち上げられた第1の折り畳み領域1bに接触させつつ搬送方向に移動させて、立ち上げられた第1の折り畳み領域1bを非折り畳み領域1aの上に折り重ねる。
【0048】
第1の立ち上げ部材103の搬送方向の下流端部と、第1の無端連続ベルト104aの搬送方向の上流端部とは搬送方向に重なり、かつ第1の立ち上げ部材103の下流端部は、第1の無端連続ベルト104aの上流端部よりも横断方向の内側に配置されていることが好ましい。それにより、第1の立ち上げ部材103から第1の無端連続ベルト104aへ、立ち上がった第1の折り畳み領域1bを円滑に受け渡すことができる。
【0049】
製造装置100は、立ち上げ部材である第2の立ち上げ部材105と、第2のコンベア106とを更に備える。第2の立ち上げ部材105は、搬送方向の下流側に向かうに連れ搬送ベルト101aの搬送面101a0に対して立ち上がる形状を有し、第2の折り畳み領域1cに接する上面105a0が平面又は搬送面101a0に対し凸面である。第2の立ち上げ部材105は、第2の折り畳み領域1cを非折り畳み領域1aに対して立ち上げ、第2の折り畳み領域1cと非折り畳み領域1aとの境界に折り目FWX2を形成する。
【0050】
第2のコンベア106は、無端連続ベルトである第2の無端連続ベルト106aと、第2の無端連続ベルト106が架け渡された複数のロール(又はプーリー)106bと、を含む。複数のロール106bの少なくとも一つが回転駆動することで、第2の無端連続ベルト106aのベルト表面106a0が搬送方向へ移動する。第2の無端連続ベルト106aは、搬送方向の下流側に向かうに連れベルト表面106a0が搬送ベルト101aの搬送面101a0に被さるようにひねられた形状を有する。第2の無端連続ベルト106aは、ベルト表面106a0を立ち上げられた第2の折り畳み領域1cに接触させつつ搬送方向に移動させて、立ち上げられた第2の折り畳み領域1cを非折り畳み領域1aの上に折り重ねる。
【0051】
第2の立ち上げ部材105の搬送方向の下流端部と、第2の無端連続ベルト106aの搬送方向の上流端部とは搬送方向に重なり、かつ第2の立ち上げ部材105の下流端部は、第2の無端連続ベルト106aの上流端部よりも横断方向の内側に配置されていることが好ましい。それにより、第2の立ち上げ部材105から第2の無端連続ベルト106aへ、立ち上がった第2の折り畳み領域1cを円滑に受け渡すことができる。
【0052】
本実施の形態では、製造装置100は押圧装置107を更に備える。押圧装置107は押圧ベルト107aと複数のロール107bとを含む。複数のロール107bは、押圧ベルト107aを架け渡され、少なくとも一つが回転駆動することで、押圧ベルト107aのベルト表面107a0を搬送方向へ移動する。押圧ベルト107aは、搬送方向に沿ってベルト表面107a0が搬送ベルト101aの搬送面101a0に平行な形状を有する。ベルト表面107a0と搬送面101a0との距離は非折り畳み領域1aの厚さと第1の折り畳み領域1bの厚さの合計と同じか小さくする。押圧装置107は、第1の無端連続ベルト104aにより非折り畳み領域1a上に第1の折り畳み領域1bが折り畳まれた後に第1の折り畳み領域1bが開いてしまわないよう、非折り畳み領域1aと第1の折り畳み領域1bとの折り目を含む領域を押圧する。これより第1の折り畳み領域1bが再び開くことが無く、より安定的に折り畳むことができる。ただし、第1の折り畳み領域1bの折り畳みが十分に行われ、開くことが無い場合には、押圧装置107が無くてもよい。
【0053】
本実施の形態では、製造装置100は、封止工程S10用の封止装置108を更に備えてもよい。封止装置108は、リードテープ9用の連続シート状の連続テープを、カッターロール及びアンビルロールなどで巻き戻しつつ、カッターロールで切断し、アンビルロール外周面上にリードテープ9を形成し、吸収性物品1上面の所定位置に貼り付ける。
【0054】
本実施の形態では、第1の立ち上げ部材103よりも搬送方向の上流側に折り目ロール120があってもよい。折り目ロール120は、第1の立ち上げ部材103へ搬送直前の吸収性物品1に対し、折り線FW1、FW2の位置に押圧で折り溝を形成する。それにより、造装置100における適正な位置での折り目をより確実に形成することができる。なお、上記の各無端連続ベルトの種類や材質や形状などは、上記第1、第2の無端連続ベルト104a、106aとしての機能を発揮可能であれば特に制限はない。
【0055】
次に、第2の折り畳み工程S6〜S9について図3図6を参照して更に説明する。図5の(a)〜(d)はそれぞれ図4のVa−Va断面〜Vd−Vd断面を示し、図6の(a)〜(d)はそれぞれ図4のVIa−VIa断面〜VId−VId断面を示している。
【0056】
吸収性物品1は、受け渡しロール110により、搬送ベルト101aに載置され、搬送方向に搬送される。このとき横断方向において、非折り畳み領域1aの両端と搬送ベルト101aの両端とが重なるように、吸収性物品1が搬送ベルト101aに載置される。それにより吸収性物品1は、吸引装置102により非折り畳み領域1aを搬送ベルト101a上面に吸着され固定されつつ、搬送ベルト101aの移動と共に搬送方向に移動する。
【0057】
本実施の形態では、第2の折り畳み工程S6〜S9に際して、非折り畳み領域1a(又は第1、第2の折り畳み領域1b、1c)が吸引装置102のような保持手段で保持される。そのため第2の折り畳み工程S6〜S9において、第1、第2の立ち上げ部材103、105及びベルト表面104a0、106a0と各折り畳み領域との接触により、各立ち上げ部材及び各ベルト表面から各折り畳み領域に力が加えられても、吸収性物品1のずれや回転などを抑制できる。それにより、搬送面101a0に対する吸収性物品1の位置関係が保持されて、所望の位置・体勢で吸収性物品1を搬送できる。上記の各立ち上げ部材や各ベルト表面により、吸収性物品1を所望の折り線で適切に折り畳むことができる。
【0058】
第1の折り目形成工程S6において、図5の(a)に示すように、第1の折り畳み領域1bが第1の立ち上げ部材103の搬送方向の上流端部に位置するとき、非折り畳み領域1aが搬送ベルト101a上に位置し、第1の折り畳み領域1bが第1の立ち上げ部材103の上面103a0に位置し、第2の折り畳み領域1cが支持部材101p上に位置する。このとき、第1の立ち上げ部材103の上面103a0は平面であり、搬送ベルト101aの搬送面101a0は平面である。非折り畳み領域1aの両端、すなわち折り線FW1、FW2の位置は搬送ベルト101aの両端の位置と厚さ方向に重なる。本実施の形態では支持部材101pの上面は搬送ベルト101aの上面と同一の平面上にある。
【0059】
このとき、第1の立ち上げ部材103における搬送方向の上流端部での上面103a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角とは、折り畳み前の搬送し易さの観点から、210〜150°であり、好ましくは195〜165°であり、より好ましくは185〜175°である。本実施の形態では180°である。角度の測定において、第1の立ち上げ部材103の上面103a0は、上面103a0が曲面のとき、搬送ベルト101aと最近接の位置での接平面とする。また、搬送ベルト101aの搬送面101a0としては、搬送面101a0が曲面のとき、厚さ方向の底部の接平面とする。
【0060】
次いで、図5の(b)に示すように、吸収性物品1が搬送方向に搬送されるに連れ、第1の立ち上げ部材103により第1の折り畳み領域1bが非折り畳み領域1aに対して徐々に立ち上げられる。それと共に第1の折り畳み領域1bと非折り畳み領域1aとの間に折り目FWX1が形成される。このとき第1の立ち上げ部材103の上面103a0は搬送面101a0に対して凸面を形成する。そして、図5(c)に示すように、吸収性物品1が第1の立ち上げ部材103の搬送方向の下流端部に達すると、第1の立ち上げ部材103により第1の折り畳み領域1bが非折り畳み領域1aに対して立ち上げられ、第1の折り畳み領域1bと非折り畳み領域1aとの間に折り目FWX1が完成する。折り目FWX1は折り線FW1に沿って形成される。このとき第1の立ち上げ部材103における搬送方向の下流端部での上面103a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角は折り目FWX1を適切に形成する観点から120〜60°であり、好ましくは105〜75°であり、より好ましくは95〜85°である。本実施の形態では90°である。
【0061】
次いで、第1の折り重ね工程S7において、図5(d)に示すように、吸収性物品1は、第1の折り畳み領域1bが第1の立ち上げ部材103から第1の無端連続ベルト104aに受け渡される。吸収性物品1の第1の折り畳み領域1bが第1の無端連続ベルト104aの搬送方向の上流端部に達したときには、非折り畳み領域1aが搬送ベルト101aの搬送面101a上に位置し、第1の折り畳み領域1bが第1の無端連続ベルト104a0のベルト表面104a0側に位置する。このとき、第1の無端連続ベルト104aにおける搬送方向の上流端部でのベルト表面104a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角とは、第1の立ち上げ部材103の上面103a0との角度の継続性の観点から、120〜60°であり、好ましくは105〜75°であり、より好ましくは95〜85°である。本実施の形態では90°である。角度の測定において、第1の無端連続ベルト104aのベルト表面104a0は、ベルト表面104a0が曲面のときには、搬送ベルト101aと最近接の位置での接平面とする。
【0062】
次いで、図6の(a)に示すように、吸収性物品1が搬送方向に搬送されるに連れて、第1の無端連続ベルト104aにより第1の折り畳み領域1bが非折り畳み領域1aに対して徐々に折り畳まれる。このとき、第1の無端連続ベルト104aのベルト表面104a0は、搬送面101a0に対して凹面を形成する。そして、図6(b)に示すように、吸収性物品1が第1の無端連続ベルト104aの搬送方向の下流側の端部に達したとき、第1の無端連続ベルト104aにより第1の折り畳み領域1bが非折り畳み領域1aに対して折り重ねられる。それにより、図1における吸収性物品1の折り線FW1での折り畳みが終了する。このとき、第1の無端連続ベルト104aにおける搬送方向の下流端部でのベルト表面104a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角とは、折り畳みを完成させる観点から、30〜0°であり、好ましくは20〜0°であり、より好ましくは10〜0°である。本実施の形態では10°である。
【0063】
一方、第2の折り目形成工程S8において、図5(d)に示すように、吸収性物品1の第2の折り畳み領域1cが支持部材101pから第2の立ち上げ部材105に受け渡される。第2の折り畳み領域1cが2の立ち上げ部材105の搬送方向の上流端部に達すると、非折り畳み領域1aが搬送ベルト101a上に位置し、第2の折り畳み領域1cが第2の立ち上げ部材105の上面105a0に位置する。このとき第2の立ち上げ部材105における搬送方向の上流端部での上面105a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角については、第1の立ち上げ部材103における搬送方向の上流端部での上面103a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角の場合と同様である。
【0064】
次いで、図6の(a)に示すように、吸収性物品1が搬送方向に搬送されるに連れて、第2の立ち上げ部材105により第2の折り畳み領域1cが非折り畳み領域1aに対して徐々に立ち上げられる。それと共に第2の折り畳み領域1cと非折り畳み領域1aとの間に折り目FWX2が形成される。このとき第2の立ち上げ部材105の上面105a0は搬送面101a0に対して凸面を形成する。そして、図6(b)に示すように、吸収性物品1が第2の立ち上げ部材105の搬送方向の下流端部に達すると、第2の立ち上げ部材105により第2の折り畳み領域1cが非折り畳み領域1aに対して立ち上げられ、第2の折り畳み領域1cと非折り畳み領域1aとの間に折り目FWX2が完成する。折り目FWX2は折り線FW2に沿って形成されている。このとき、第2の立ち上げ部材105における搬送方向の下流端部での上面105a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角とについては、第1の立ち上げ部材103における搬送方向の下流端部での上面103a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角の場合と同様である。
【0065】
次いで、第2の折り重ね工程S9において、図6(c)に示すように、吸収性物品1は、第2の折り畳み領域1cが第2の立ち上げ部材105から第2の無端連続ベルト106aに受け渡される。吸収性物品1の第2の折り畳み領域1cが第2の無端連続ベルト106aの搬送方向の上流端部に達したとき、非折り畳み領域1aが搬送ベルト101aの搬送面101a0上に位置し、第2の折り畳み領域1cが第2の無端連続ベルト106aのベルト表面106a0側に位置する。このとき第2の無端連続ベルト106aにおける搬送方向の上流端部でのベルト表面106a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角とは、第1の無端連続ベルト104aにおける搬送方向の上流端部でのベルト表面104a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角の場合と同様である。
【0066】
次いで吸収性物品1が搬送方向に搬送されるに連れ、第2の無端連続ベルト106aで第2の折り畳み領域1cが非折り畳み領域1aに対して徐々に折り畳まれる。このとき、第2の無端連続ベルト106aのベルト表面106a0は、搬送面101a0に対し凹面を形成する。そして図6(d)に示すように、吸収性物品1が第2の無端連続ベルト106aの搬送方向の下流端部に達するとき、第2の無端連続ベルト106aにより第2の折り畳み領域1cが非折り畳み領域1aに対して折り重ねられる。それにより図1における吸収性物品1の折り線FW2での折り畳みが終了する。なお第2の折り畳み領域1cの折り畳みにより、図1における吸収性物品1の後側の折り線FW2’での折り畳みも生じるが、その説明は図示も含めて省略する。このとき第2の無端連続ベルト106aにおける搬送方向の下流端部でのベルト表面106a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角は、第1の無端連続ベルト104aにおける搬送方向の下流端部でのベルト表面104a0と搬送ベルト101aの搬送面101a0とが成す角の場合と同様である。
【0067】
本実施の形態では、第1の折り重ね工程S7の後、封止工程S10の前まで、第1の折り畳み領域1b側にて更に押圧工程が実行される。押圧工程では図6(c)に示すように、吸収性物品1は、第1の折り畳み領域1bが第1の無端連続ベルト104aから押圧装置107の押圧ベルト107aに受け渡される。第1の折り畳み領域1bが押圧ベルト107aの搬送方向の上流側の端部に達するとき、非折り畳み領域1aが搬送ベルト101aの搬送面101a0上に位置し、第1の折り畳み領域1bが押圧ベルト107aに接するように位置する。次いで、吸収性物品1が搬送方向に搬送されるに連れ、吸収性物品1は、第1の折り畳み領域1b(折り目FWX1を含む)が押圧装置107の押圧ベルト107aに押圧され続ける。それにより押圧ベルト107aに押圧しない場合と比較して、第2の折り重ね工程S9の間中、折り目FWX1を安定的に維持できる。
【0068】
本実施の形態では、搬送ベルト101aの搬送面101a0の搬送方向の速度成分と、第1の無端連続ベルト104aのベルト表面104a0の搬送方向の速度成分、及び、第2の無端連続ベルト106aのベルト表面106a0の搬送方向の速度成分とを、所定の範囲内で等しくする。ただし、所定の範囲内とは、例えば両者の速度を同一にしようとしたときの製造装置100の制御誤差の範囲内である。それにより、第1の折り畳み領域1b及び第2の折り畳み領域1cと非折り畳み領域1aとを概ね等しい速度で搬送方向に搬送することができる。それによりベルト表面104a0に対する第1の折り畳み領域1bの相対速度、及び、ベルト表面106a0に対する第2の折り畳み領域1cの相対速度が概ねゼロとなり、それぞれ両者の間の摩擦抵抗を概ねゼロにできる。その結果、折り線又は折り目が曲がることをより抑制でき、吸収性物品1を適切に折り畳むことができる。このとき、第1の無端連続ベルト104aのベルト表面104a0及び第2の無端連続ベルト106aのベルト表面106a0の移動速さは、搬送ベルト101aの搬送面101a0の移動速さよりも速くなる。本実施の形態では、吸収性物品1の折り畳みの迅速化の観点から、第2の折り目形成工程S8は第1の折り重ね工程S7とほぼ同時に実施されるが、第2の折り目形成工程S8は第1の折り重ね工程S7の途中から又は終了後に実施されてもよい。第2の折り目形成工程S8は第1の折り目形成工程S6と同時でもよい。
【0069】
以上のようにして、吸収性物品1が折り畳まれる。
【0070】
図7は本実施の形態の製造方法の作用の一つを説明する断面模式図である。図7(a)は第1の立ち上げ部材103における第1の折り畳み領域1bに接する面が搬送ベルト101aの搬送面に対して凸面の場合を示す。図7(b)は立ち上げ部材103における第1の折り畳み領域1bに接する面が平面の場合を示す。図7(c)は立ち上げ部材103における第1の折り畳み領域1bに接する面が搬送ベルト101aの搬送面に対して凹面の場合を示す。各立ち上げ部材103は、比較のために、搬送面101a0を含む平面に対して所定角度θで交わる平面PL内において、第1の折り畳み領域1bと非折り畳み領域1aとが交わる交点の位置FWPから所定距離の位置P0を通るように形成される。
【0071】
本実施の形態では、図7(a)に示すように、第1の立ち上げ部材103の第1の折り畳み領域1bに接する面が凸面の場合、位置FWPでの立ち上げ部材103の接平面と、搬送面を含む平面との成す角はαとなる。また、図7(b)に示すように、仮に立ち上げ部材103の第1の折り畳み領域1bに接する面が平面の場合、位置FWPでの立ち上げ部材103の接平面と、搬送面101a0を含む平面との成す角はβとなる。また、図7(c)に示すように、仮に立ち上げ部材103の第1の折り畳み領域1bに接する面が凹面の場合、位置FWPでの立ち上げ部材103の接平面と、搬送面101a0を含む平面との成す角はγとなる。この場合、α>β>γが成り立つ。
【0072】
ここで、角度α、β、γは、搬送ベルト101aの搬送面に対する、第1の立ち上げ部材103における第1の折り畳み領域1bに接する面(立ち上げ部材103の上面)の立ち上がり度合を示している。したがって、α>β>γが成り立つので、凸面や平面の場合、凹面の場合と比較して、第1の立ち上げ部材103の上面の立ち上がり具合が急であることが分る。したがって、本実施の形態では、凸面(平面でも可)を有する第1の立ち上げ部材103を用いることで、折り畳みの初期において、凹面を有する部材やベルト等と比較して、第1の折り畳み領域1bを非折り畳み領域1aに対して良好に立ち上げることができる。それにより、吸収性物品1の適正な位置に最初の折り目FWX1を形成することができる。また、第2の立ち上げ部材105についても第1の立ち上げ部材103と同様であるので、凸面(平面でも可)を有する第2の立ち上げ部材105を用いることで、吸収性物品1の適正な位置に最初の折り目FWX2を形成することができる。このとき、第1の立ち上げ部材103や第2の立ち上げ部材105を使用する場合でも、その使用範囲が、第1の折り畳み領域1bや第2の折り畳み領域1cの立ち上げまでなので、各折り畳み領域と各立ち上げ部材との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。それにより、適正な位置に形成された折り目FWX1、FWX2がずれて曲がることを抑制できる。
【0073】
また、本実施の形態では、第1、第2の折り重ね工程S7、S9では、第1、第2の無端連続ベルト104a、106aのベルト表面104a0、106a0は、吸収性物品1と同様に搬送方向に移動されている。そのため、セーラーのような移動しない案内部材を用いる場合よりも、第1、第2の折り畳み領域1b、1cに対する相対速度を小さくできる。折り畳ねるときにも、各無端連続ベルトによる各折り畳み領域の減速を大幅に抑制することができる。このとき、無端連続ベルトを使用する場合でも、各無端連続ベルトのひねりの範囲は、各折り畳み領域が立ち上がった後から折り重ねられるまでの範囲なので、各無端連続ベルトや各折り畳み領域に複雑な変形・動作をさせる必要はなくなる。また、第1、第2の折り目形成工程S6、S8において平面又は凸面を有する立ち上げ部材により所望の折り位置に折り目FWX1、FWX2を形成できるので、各折り畳み領域を非折り畳み領域の上に容易に折り重ねることができる。それにより厚く剛性を有する吸収性物品の吸収体を含む部分を折り線の箇所で適切に折り曲げることができる。
【0074】
本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法の好ましい形態として、第1の折り畳み領域1bを非折り畳み領域1cに折り畳むときに適切に折り畳むことができるので、更に第2の折り畳み領域1cを非折り畳み領域1aに折り畳むとき、第1の折り畳み領域1bの折り畳みが不十分で第1の折り畳み領域1bと第2の折り畳み領域1cとが衝突して両者が適正に折り畳まれなくなる、といった事態を抑制できる。
【0075】
図8は本実施の形態の製造方法の作用の他の一つを説明する断面模式図である。本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法では、好ましい形態として、搬送ベルト101aの搬送面における第1の無端連続ベルト104a側の端部と、第1の無端連続ベルト104aにおける搬送ベルト101aの搬送面に対面する部分との距離が、吸収性物品1の厚みdの2倍(2d)以下となるよう、第1の無端連続ベルト104aが搬送ベルト101aの搬送面101a0に沿って配置される。仮に、搬送ベルト101aの搬送面における第1の無端連続ベルト104a側の端部と、第1の無端連続ベルト104aにおける搬送ベルト101aの搬送面側の部分とが離れ過ぎて、両者間に大きな隙間が存在していると、その大きな隙間の分だけ、折り目の形成され得る領域が広くなり、折り目の位置に誤差が生じ易くなるおそれがある。そこで、吸収性物品1が少なくとも二つ折りされることを考慮して、両者の距離が吸収性物品1の厚みdの2倍以下とする(両者は接しても可)ことで、両者が吸収性物品1の厚みdの2倍を超えて離れている場合と比較して、折り目の形成され得る領域を狭い範囲にほぼ限定でき、最初の折り目をより適正な位置に形成できる。
【0076】
このことは、搬送ベルト101aの搬送面における第2の無端連続ベルト106a側の端部と、第2の無端連続ベルト106aにおける搬送ベルト101aの搬送面側の部分との距離に対しても同様に適用できる。更に、搬送ベルト101aの搬送面における第1の立ち上がり部材103側の端部及び第2の立ち上がり部材105側の端部と、第1の立ち上がり部材103及び第2の立ち上がり部材105における搬送ベルト101aの搬送面側の部分との距離に対しても同様に適用できる。
【0077】
本実施の形態の製造方法の好ましい形態として、吸収性物品1を包装シート3で覆うことで、製品の表面の凹凸の程度を小さくする。そのため吸収性物品1の横断方向の表面の均等度を上げることができる。それにより折り線を所望の位置に設定したとき、その折り線で折り畳んでも折り目が曲がることを抑制でき、吸収性物品1を適切に折り畳める。また本実施の形態の製造方法の好ましい形態として、横断方向の寸法が搬送方向の寸法より長い吸収性物品1を折り畳む。そのため、その逆である、搬送方向の寸法が横断方向の寸法より長い場合と比較して、ベルト表面と擦れ合う可能性のある折り畳み領域の搬送方向の寸法を小さくできる。それによりベルト表面と折り畳み領域との接触面積を小さくでき、両者の間に生じる摩擦抵抗を小さくできる。その結果、折り畳み領域と非折り畳み領域との間の折り線が曲がることを抑制でき、吸収性物品を適切に折り畳める。また本実施の形態の製造方法の好ましい形態として、一度折り畳んだ箇所とは別の箇所で吸収性物品1を更に折り畳む。一度折り畳まれて厚みが増加した吸収性物品1を折り畳むので、折り線の位置での剛性が高まっており、一度形成された折り線の位置がずれ難くなる。それにより折り線が曲がることを抑制でき、吸収性物品1を適切に折り畳むことができる。
【符号の説明】
【0078】
1 吸収性物品
1a 非折り畳み領域
1b 折り畳み領域
1c 折り畳み領域
101a0 搬送面
103 立ち上げ部材
104a 第1の無端連続ベルト
104a0 ベルト表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8