【文献】
向井英夫「スリッター・リワインダーの技術読本 増補版」株式会社加工技術研究会、2005年4月23日増補版発行、第37〜39頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記請求項1に記載の多孔質セパレータ長尺を、上記長手方向と直交する横断方向に沿って、所定の長さにカットした多孔質セパレータを備えたことを特徴とするリチウムイオン電池。
多孔質フィルム層と、上記多孔質フィルム層の片面に積層された多孔質耐熱層からなる多孔質セパレータの原反が、上記原反の長手方向に沿って、スリットされた多孔質セパレータ長尺の製造方法であって、
互いに異なる方向に回転可能な上刃と下刃とを備え、上記上刃が、上記長手方向と直交する横断方向において互いに隣接する上記下刃間に形成された空間部において、上記隣接する下刃の一方に接触する、スリット部を用いて、上記上刃を、上記多孔質フィルム層における上記多孔質耐熱層と接する面と対向する表面から入れることで上記多孔質セパレータ長尺の側面を形成する工程を含み、
上記多孔質セパレータ長尺の側面の画像を、上記多孔質セパレータ長尺と上記多孔質セパレータ長尺以外の部分とで2値化処理して得られる、上記多孔質耐熱層における上記多孔質フィルム層と接する面と対向する表面の、長手方向に沿う直線上の2点間の直線距離をPとし、上記長手方向に沿う直線上の2点間の上記側面の形状に沿った距離をRとした場合、R/Pの値が1.04未満であることを特徴とする多孔質セパレータ長尺の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔基本構成〕
リチウムイオン二次電池、セパレータ、耐熱セパレータ、耐熱セパレータの製造方法、スリット装置について順に説明する。
【0024】
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それゆえ、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池として、また、電力の安定供給に資する定置用電池として広く使用されている。
【0025】
図1は、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す模式図である。
【0026】
図1に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、カソード11と、セパレータ12と、アノード13とを備える。リチウムイオン二次電池1の外部において、カソード11とアノード13との間に、外部機器2が接続される。そして、リチウムイオン二次電池1の充電時には方向Aへ、放電時には方向Bへ、電子が移動する。
【0027】
(セパレータ)
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池1の正極であるカソード11と、その負極であるアノード13との間に、これらに挟持されるように配置される。セパレータ12は、カソード11とアノード13との間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする多孔質フィルムである。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
【0028】
図2は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の詳細構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が昇温したときの様子を示し、(c)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0029】
図2の(a)に示されるように、セパレータ12には、多数の孔Pが設けられている。通常、リチウムイオン二次電池1のリチウムイオン3は、孔Pを介し往来できる。
【0030】
ここで、例えば、リチウムイオン二次電池1の過充電、または、外部機器の短絡に起因する大電流等により、リチウムイオン二次電池1は、昇温することがある。この場合、
図2の(b)に示されるように、セパレータ12が融解または柔軟化し、孔Pが閉塞する。そして、セパレータ12は収縮する。これにより、リチウムイオン3の移動が停止するため、上述の昇温も停止する。
【0031】
しかし、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温する場合、セパレータ12は、急激に収縮する。この場合、
図2の(c)に示されるように、セパレータ12は、破壊されることがある。そして、リチウムイオン3が、破壊されたセパレータ12から漏れ出すため、リチウムイオン3の移動は停止しない。ゆえに、昇温は継続する。
【0032】
(耐熱セパレータ)
図3は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の他の構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0033】
図3の(a)に示されるように、セパレータ12は、多孔質フィルム5と、耐熱層4とを備える耐熱セパレータであってもよい。耐熱層4は、多孔質フィルム5のカソード11側の片面に積層されている。なお、耐熱層4は、多孔質フィルム5のアノード13側の片面に積層されてもよいし、多孔質フィルム5の両面に積層されてもよい。そして、耐熱層4にも、孔Pと同様の孔が設けられている。通常、リチウムイオン3は、孔Pと耐熱層4の孔とを介し移動する。耐熱層4は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
【0034】
図3の(b)に示されるように、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温し、多孔質フィルム5が融解または柔軟化しても、耐熱層4が多孔質フィルム5を補助しているため、多孔質フィルム5の形状は維持される。ゆえに、多孔質フィルム5が融解または柔軟化し、孔Pが閉塞するにとどまる。これにより、リチウムイオン3の移動が停止するため、上述の過放電または過充電も停止する。このように、セパレータ12の破壊が抑制される。
【0035】
(耐熱セパレータの製造工程)
リチウムイオン二次電池1の耐熱セパレータの製造は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して行うことができる。以下では、多孔質フィルム5がその材料として主にポリエチレンを含む場合を仮定して説明する。しかし、多孔質フィルム5が他の材料を含む場合でも、同様の製造工程により、セパレータ12を製造できる。
【0036】
例えば、熱可塑性樹脂に可塑剤を加えてフィルム成形した後、該可塑剤を適当な溶媒で除去する方法が挙げられる。例えば、多孔質フィルム5が、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂から形成されてなる場合には、以下に示すような方法により製造することができる。
【0037】
この方法は、(1)超高分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウム等の無機充填剤とを混練してポリエチレン樹脂組成物を得る混練工程、(2)ポリエチレン樹脂組成物を用いてフィルムを成形する圧延工程、(3)工程(2)で得られたフィルム中から無機充填剤を除去する除去工程、及び、(4)工程(3)で得られたフィルムを延伸して多孔質フィルム5を得る延伸工程を含む。
【0038】
除去工程によって、フィルム中に多数の微細孔が設けられる。延伸工程によって延伸されたフィルムの微細孔は、上述の孔Pとなる。これにより、所定の厚さと透気度とを有するポリエチレン微多孔膜である多孔質フィルム5が形成される。
【0039】
なお、混練工程において、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してもよい。
【0040】
その後、塗工工程において、多孔質フィルム5の表面に耐熱層4を形成する。例えば、多孔質フィルム5に、アラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布し、アラミド耐熱層である耐熱層4を形成する。耐熱層4は、多孔質フィルム5の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。また、耐熱層4として、アルミナ/カルボキシメチルセルロース等のフィラーを含む混合液を塗工してもよい。
【0041】
塗工液を多孔質フィルム5に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。耐熱層4の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中の固形分濃度を調節することによって制御することができる。
【0042】
なお、塗工する際に多孔質フィルム5を固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
【0043】
以上のように、多孔質フィルム5に耐熱層4が積層されたセパレータ12(耐熱セパレータ)を製造できる。製造されたセパレータは、円筒形状のコアに巻き取られる。なお、以上の製造方法で製造される対象は、耐熱セパレータに限定されない。この製造方法は、塗工工程を含まなくてもよい。この場合、製造される対象は、耐熱層を有しないセパレータである。
【0044】
(スリット装置)
耐熱セパレータまたは耐熱層を有しないセパレータ(以下「セパレータ」)は、リチウムイオン二次電池1などの応用製品に適した幅(以下「製品幅」)であることが好ましい。しかし、生産性を上げるために、セパレータは、その幅が製品幅以上となるように製造される。これをセパレータの原反という。このセパレータの原反を、一旦製造した後に、スリット装置においては、セパレータの原反の長手方向と厚み方向とに対し略垂直である方向の長さを意味する「セパレータの幅」を製品幅に切断(スリット)し、セパレータ長尺とする。
【0045】
以下では、スリットされる前の幅広のセパレータを「セパレータの原反」と称し、セパレータの幅が製品幅にスリットされたものを特に「セパレータ長尺」と称する。また、スリットとは、セパレータの原反を長手方向(製造におけるフィルムの流れ方向、MD:Machine direction)に沿って切断することを意味し、カットとは、セパレータ長尺を横断方向(TD:transverse direction)に沿って切断することを意味する。横断方向(TD)とは、セパレータ長尺の長手方向(MD)と厚み方向とに対し略垂直である方向を意味する。
【0046】
〔実施形態1〕
(スリット装置の構成)
図4の(a)は、シェアカット方式の切断装置7を備えたスリット装置6の構成を示す模式図であり、
図4の(b)は、スリット装置6によって、セパレータ(多孔質セパレータ)の原反12Oが複数のセパレータ長尺(多孔質セパレータ長尺)12a・12bにスリットされる様子を示す図である。
【0047】
なお、本実施形態においては、
図3に示されるように、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、セパレータの原反12Oは、耐熱層4を備えていない多孔質フィルム5であってもよく、多孔質フィルム5の両面に耐熱層4を備えたものであってもよい。
【0048】
図4の(a)に示されるように、スリット装置6は、回転可能に支持された円柱形状の、巻出ローラー63と、複数のローラー64・65・68U・68L・69U・69L、第1タッチローラー81U、第2タッチローラー81L、第1アーム82U、第2アーム82L、第1捲回補助ローラー83U、第2捲回補助ローラー83L、第1巻取ローラー70U、第2巻取ローラー70L、切断装置7を備える。
【0049】
スリット装置6では、セパレータの原反12Oを巻きつけた円筒形状のコアcが、巻出ローラー63に嵌められている。セパレータの原反12Oは、コアcから経路UまたはLで巻き出される。セパレータの原反12OのA面を上面として搬送したい場合には、経路Lで巻き出し、セパレータの原反12OのB面を上面として搬送したい場合には、経路Uで巻き出せばよい。なお、本実施形態においては、セパレータの原反12OのA面を上面として搬送するので、経路Lで巻き出される。
【0050】
なお、本実施形態において、上記A面は、多孔質フィルム5における耐熱層4と接する面と対向する表面であり、上記B面は、耐熱層4における多孔質フィルム5と接する面と対向する表面である。
【0051】
このように巻き出されたセパレータの原反12Oは、ローラー64及びローラー65を介して、切断装置7に搬送され、
図4の(a)及び(b)に示されるように、切断装置7によって複数のセパレータ長尺12a・12bにスリットされる。
【0052】
(切断装置及びスリット部)
図5の(a)は、
図4に示されるスリット装置6に備えられたシェアカット方式の切断装置7を示す図であり、
図5の(b)は、切断装置7に備えられたスリット部Sを示す図であり、
図5の(c)は、切断装置7に備えられたスリット部Sによってセパレータの原反12Oがスリットされる様子を示す図である。
【0053】
図5の(a)に示されるように、シェアカット方式の切断装置7は、互いに異なる方向に回転可能に支持された円柱形状の下側の軸66と上側の軸67とを備えており、上側の軸67には、丸刃である複数(本実施形態においては8個)の上刃67aが取り付けられている。
図5の(b)に示されるように、丸刃である複数の上刃67aは、下側の軸66に備えられた複数(本実施形態においては8個)の各々の空間部に挿入される。なお、
図5の(a)に示されるように、シェアカット方式の切断装置7は、複数(本実施形態においては8個)のスリット部Sを備えている。
【0054】
図5の(c)に示されるように、シェアカット方式の切断装置7に備えられた各々のスリット部Sは、上刃67aと、長手方向(MD)と直交する横断方向(TD)において互いに隣接する下刃66aと、互いに隣接する下刃66a間に形成された空間部66bとを備える。なお、下刃66aと空間部66bとは、下側の軸66に備えられている。
【0055】
そして、各々のスリット部Sにおいては、上刃67aが空間部66bに挿入され、かつ、隣接する2つの下刃66a中、図中左側の下刃66aの側面に接触する。
【0056】
上刃67aの刃先部分は、平坦部67bと傾斜部67cとを有し、平坦部67bが下刃66aと接触する部分である。傾斜部67cは、平坦部67bと対向する部分であり、上刃67aの刃先部分が先端に行くほど徐々に鋭くなるように傾斜している部分である。
【0057】
なお、本実施形態においては、上刃67aが片刃である場合を例に挙げて説明するが、上刃67aは返り刃などであってもよい。
【0058】
このようなスリット部Sによって、セパレータの原反12Oがスリットされると、セパレータ長尺12a・12bの各々は、互いにに対向する、上刃67a(具体的には上刃67aの傾斜部67c)と空間部66bとによって形成される側面12cと、上刃67a(具体的には上刃67aの平坦部67b)と上刃67aが接触する下刃66aとによって形成される側面12dとを有するように形成される。
【0059】
なお、本実施形態においては、耐熱層4が剥離するのを抑制するため、上刃67aが、多孔質フィルム5における耐熱層4と接する面と対向する表面であるA面から入るようにしたが、これに限定されることはない。
【0060】
また、上刃67aと下刃66aとが接する角度や上刃67aと下刃66aとが接する圧力を、セパレータ長尺12a・12bの製造に適した角度や圧力に適宜調整してもよい。
【0061】
切断装置7に備えられた複数のスリット部Sによってスリットされた複数のセパレータ長尺12a・12bは、
図4の(a)に示されるように、複数のセパレータ長尺12a・12bの一部12aの各々は、ローラー68U、ローラー69U及び第1捲回補助ローラー83Uを経由して、第1巻取ローラー70Uに嵌められた円筒形状の各コアu(ボビン)へ巻き取られる。また、複数のセパレータ長尺12a・12bの他の一部12bの各々は、ローラー68L、ローラー69L及び第2捲回補助ローラー83Lを経由して、第2巻取ローラー70Lに嵌められた円筒形状の各コアl(ボビン)へ巻き取られる。なお、ロール状に巻き取られたセパレータ長尺12a・12bをセパレータ捲回体12U・12Lと称する。
【0062】
なお、セパレータ捲回体12U・12Lにおいては、セパレータ長尺12a・12bのA面が外側を向き、B面が内側を向くように、セパレータ長尺12a・12bが巻き取られる。
【0063】
本実施形態においては、
図4の(b)に示されるように、セパレータの原反12Oを、セパレータの原反の横断方向(TD)において、セパレータの原反の長手方向(MD)に沿って、上述した8個のスリット部Sによって、7個のセパレータ長尺12a・12bにスリットする(スリット工程)ことにより、4つの奇数番目のセパレータ長尺12aと3つの偶数番目のセパレータ長尺12bとを形成し、4つの奇数番目のセパレータ長尺12aは、第1巻取ローラー70Uに嵌められた円筒形状の各コアu(ボビン)へ巻き取られ、3つの偶数番目のセパレータ長尺12bは、第2巻取ローラー70Lに嵌められた円筒形状の各コアl(ボビン)へ巻き取られる場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、セパレータの原反12Oを、スリットして、何個のセパレータ長尺12a・12bを形成するかは、セパレータの原反12Oのサイズやセパレータ長尺12a・12bのセパレータの幅に依存するので、適宜変えることができるのは言うまでもない。なお、本実施形態においては、8個のスリット部Sによってスリットされた両端のセパレータ長尺は使用していない。
【0064】
また、本実施形態においては、第1巻取ローラー70Uに嵌められた円筒形状の各コアu(ボビン)へ巻き取られるセパレータ長尺の数と、第2巻取ローラー70Lに嵌められた円筒形状の各コアl(ボビン)へ巻き取られるセパレータ長尺の数とが、異なる場合を一例に挙げて説明したが、これらの数は同じであってもよい。
【0065】
(捲回部)
第1巻取ローラー70U(捲回部)には、4つの奇数番目のセパレータ長尺12aの数に応じて、4つのコアuが着脱可能に取り付けられている。同様に、第2巻取ローラー70L(捲回部)には、3つの偶数番目のセパレータ長尺12bの数に応じて、3つのコアlが着脱可能に取り付けられている。
【0066】
図4の(a)に示されるように、第1巻取ローラー70Uはコアuと共に
図4の(a)中の矢印の方向に回転することでセパレータ長尺12aを捲回する(捲回工程)。コアuは、そこに巻き付けられたセパレータ長尺12aと共に第1巻取ローラー70Uから取り外すことができる。
【0067】
同様に、第2巻取ローラー70Lはコアlと共に
図4の(a)中の矢印の方向に回転することでセパレータ長尺12bを捲回する(捲回工程)。コアlは、そこに巻き付けられたセパレータ長尺12bと共に第2巻取ローラー70Lから取り外すことができる。
【0068】
(タッチローラー)
図4の(a)に示されるスリット装置6に備えられた第1タッチローラー81U及び第2タッチローラー81Lは、それぞれ第1アーム82U及び第2アーム82Lの一端に回転可能に設けられる(固定される)。第1アーム82U及び第2アーム82Lは、それぞれ他端にある回転軸84U、84L(シャフト)を中心として回動可能である(
図4の(a)中の矢印の方向に回動可能である)。第1捲回補助ローラー83Uは、第1タッチローラー81Uと第1アーム82Uの回転軸84Uとの間に配置され、第1アーム82Uに回転可能に固定される。第2捲回補助ローラー83Lは、第2タッチローラー81Lと第2アーム82Lの回転軸84Lとの間に配置され、第2アーム82Lに回転可能に固定される。
【0069】
なお、第1及び第2タッチローラー81U・81Lは、それぞれ捲回されるセパレータ長尺12a・12bを、セパレータ捲回体12U・12Lの捲回面(表面)へ押さえ付ける。ここでは、第1及び第2タッチローラー81U・81Lは、それぞれその自重によってセパレータ長尺12a・12bを押さえ付ける。第1及び第2タッチローラー81U・81Lによって押さえ付けることにより、捲回されるセパレータ長尺12a・12bにしわ等が生じることを抑制する。なお、セパレータ捲回体12U・12Lの外径の変化に応じて、捲回面に接するように第1及び第2タッチローラー81U・81Lの位置は変化(変位)する。
【0070】
(セパレータ長尺の側面の直線性評価)
図6は、セパレータ長尺12a・12bの側面において、直線性を評価した部分を示す図である。
【0071】
本実施形態においては、
図6の(a)に示されるように、セパレータ長尺12a・12bの側面12c(図中A部分)に対して、直線性の評価を行った。より具体的には、側面12c中、B面と接する部分の直線性の評価を行った。
【0072】
この部分は、
図6の(b)に示されるセパレータ捲回体12U・12Lにおいては、端部(図中A部分)に該当し、
図6の(c)に示されるセパレータ長尺12a・12bにおいては、図中A部分に該当する。
【0073】
なお、セパレータ長尺の側面の直線性評価には、耐熱層4を備えていない多孔質フィルム5を上述したシェアカット方式の切断装置7によってスリットしたセパレータ長尺及びセパレータの原反12Oを上述したシェアカット方式の切断装置7によってスリットしたセパレータ長尺12a・12bとともに、比較例として、セパレータの原反12Oを、後述するレザー刃(カミソリ刃)でスリットしたセパレータ長尺も用いた。
【0074】
図7は、従来のレザー刃(カミソリ刃)によるカット(スリット)方法を説明するための図である。
【0075】
図7に示されるように、セパレータの原反12Oは、ローラー101に搬送される。ローラー101には、レザー刃(カミソリ刃)100の刃先の一部が、差し込み可能な溝が設けられている。したがって、セパレータの原反12Oは、レザー刃(カミソリ刃)100と上記溝とによって、セパレータ長尺にスリットされる。
【0076】
図8の(a)は、セパレータ長尺の側面における直線性評価方法を説明するための図であり、
図8の(b)は、耐熱層4を備えていない多孔質フィルム5を、
図5に示されるシェアカット法でスリットしたセパレータ長尺(ここではポリオレフィンセパレータと称する)の側面の直線性評価結果を示す図であり、
図8の(c)は、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを、
図7に示されるレザーカット法と、
図5に示されるシェアカット法とでスリットしたセパレータ長尺12a・12b(ここでは積層セパレータと称する)の側面12cの直線性評価結果を示す図である。
【0077】
以下、セパレータ長尺12a・12bの側面12cに対しての直線性評価方法を一例に挙げて、セパレータ長尺の側面の直線性評価方法について説明する。
【0078】
図8の(a)に示されるように、先ず、セパレータ長尺12a・12bの側面12cに対して元画像を得る。
【0079】
なお、
図8の(a)に示される元画像の下部は、
図6の(a)に示されるセパレータ長尺12a・12bのB面側である。
【0080】
その後、この元画像を、セパレータ長尺12a・12bとセパレータ長尺12a・12b以外の部分とで2値化処理する。
【0081】
この2値化処理によって、セパレータ長尺12a・12bとセパレータ長尺12a・12b以外の部分とが明確に識別できる加工画像を得ることができる。
【0082】
上記加工画像におけるセパレータ長尺12a・12b以外の部分は、左側長さ(O)と長辺長さ(P)と右側長さ(Q)とエッジ長さ(R)とで構成される周囲長(O+P+Q+R)を有する。
【0083】
そこで、エッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値を求め、セパレータ長尺の側面の直線性評価を行った。
【0084】
具体的には、解析ソフトに「WinROOF(MITANI CORPORATION)」を用いて、下記の作業1.〜6.によってエッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値を求めた。
1.元画像を読み込む。
2.カラー分離により緑、赤、青の三色に分離する。
3.緑色に分離された分離画像において自動二値化を実施し背景部を抽出する(判別分析法:モード法)。
4.上記3.で抽出された領域の周囲長(O+P+Q+R)を測定する。
5.上記3.で抽出された領域でサンプルと背景の界面を除く三辺のライン長(O+P+Q)を測定する。
6.上記4.で測定された周囲長(O+P+Q+R)から、上記5.で測定された三辺のライン長(O+P+Q)を引き算しエッジ長さ(R)を算出する。
7.算出されたエッジ長さ(R)を、長辺長さ(P)で除す。
【0085】
長辺長さ(P)は、セパレータ長尺12a・12bの側面12cにおける上記MDに沿う直線上の2点間の直線距離に該当し、エッジ長さ(R)は、上記MDに沿う直線上の2点間の側面12cの形状に沿った距離に該当する。
【0086】
エッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値が大きいことは上記MDと直交する方向の凹凸が大きいことを意味し、この値が小さいことは上記MDと直交する方向の凹凸が小さいことを意味する。
【0087】
なお、セパレータ長尺が、作業中に、裂けてしまう可能性を抑制するためには、エッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値が1.04未満である必要がある。
【0088】
図8の(b)に示されるように、耐熱層4を備えていない多孔質フィルム5を、
図5に示されるシェアカット法でスリットしたセパレータ長尺(ここではポリオレフィンセパレータと称する)の場合においては、エッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値として、理想的な値である1に近い1.007を得ることができた。
【0089】
以上から、耐熱層4を備えていない多孔質フィルム5(ポリオレフィンセパレータ)の場合、シェアカット法でスリットすることにより、十分に満足できる程のセパレータ長尺の側面の直線性を得ることができた。
【0090】
一方、
図8の(c)に示されるように、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを、
図7に示されるレザーカット法でスリットしたセパレータ長尺(ここでは積層セパレータと称する)の場合、エッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値として、理想的な値である1から大きく離れた1.047を得た。
【0091】
したがって、作業中に、裂けてしまう可能性を抑制するという観点から判断すると、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを、
図7に示されるレザーカット法でスリットしたセパレータ長尺(積層セパレータ)は好ましくない。
【0092】
多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを、
図5に示されるシェアカット法でスリットしたセパレータ長尺12a・12b(ここでは積層セパレータと称する)の場合、エッジ長さ(R)/長辺長さ(P)の値として、理想的な値である1を得ることができた。
【0093】
以上から、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oの場合や、多孔質フィルム5の両面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反の場合は、満足できる程のセパレータ長尺の側面の直線性を得るためには、
図5に示されるシェアカット法でスリットする必要がある。
【0094】
図9の(a)は、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを、
図5に示されるシェアカット法でスリットしたセパレータ長尺12a・12b(積層セパレータ)の側面12cの直線性を模式的に示した図であり、
図9の(b)は、多孔質フィルム5の片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータの原反12Oを、
図7に示されるレザーカット法でスリットしたセパレータ長尺(積層セパレータ)12a’・12b’の側面12c’の直線性を模式的に示した図である。
【0095】
図9に示されるように、作業中に、裂けてしまう可能性を抑制するという観点から判断すると、側面の直線性が高いセパレータ長尺12a・12bが、側面の直線性が低いセパレータ長尺12a’・12b’より好ましい。
【0096】
(引張強度測定)
以下、
図10に基づいて、
図8の(c)に図示したR/Pの値を有する多孔質フィルム5の片面に耐熱層4を積層したセパレータ長尺、具体的には、多孔質フィルム5であるポリオレフィンセパレータの片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータ長尺12a’’・12b’’の引張強度の測定方法及びその結果について説明する。
【0097】
図10は、セパレータ捲回体12U’’・12L’’において、ロール状に巻き取られたセパレータ長尺12a’’・12b’’の側面12c’’を一側面とする試験片12eの引張強度の測定方法及びその結果を説明するための図である。
【0098】
図10の(a)に図示されているセパレータ捲回体12U’’・12L’’は、ポリエチレンからなる多孔質フィルムの片面に耐熱層として全芳香族ポリアミドを積層したセパレータの原反をこの原反の長手方向(MD)に沿ってスリットした、セパレータ長尺12a’’・12b’’を、直径3インチのコアu・lに200m捲き付けたものである。
【0099】
試験片12eは、セパレータ長尺12a’’・12b’’を、側面12c’’を一側面として含み、幅1cm×長さ5cmサイズとなるように、カッターを用いて切り出して作製した。
【0100】
図10の(b)に図示されているように、試験片12eの上下1.5cmずつは、チャック(掴み台)14a・14b上に載り、チャック14aとチャック14bとは、2cmのチャック間距離を有する。
【0101】
なお、引張強度は、「JIS K 7161プラスチック?引張特性の試験方法」に基づいて測定した。用いた具体的な測定装置及び測定条件は、以下の通りである。
装置:テンシロン万能材料試験機(株式会社エー・アンド・デイ、RTF−1210型)
試験片:5cm×1cm
試験速度(チャック14aの速度):100mm/min
測定回数:3回
チャック間距離:2cm
試験方向:セパレータ長尺の長手方向(MD)
試験片12eの破断時の応力A(N)から引張強度X(MPa)を算出した。具体的には以下の(式1)を用いて、引張強度X(MPa)を算出した。
【0102】
引張強度X(MPa)=荷重A(N)/(試験片の幅(mm)×試験片の膜厚(mm)) (式1)
図10の(c)に図示されているように、ポリエチレンからなる多孔質フィルムの片面に耐熱層として全芳香族ポリアミドを積層したセパレータの原反をレザーカット法でスリットしたセパレータ長尺から得た試験片(エッジ長さ(R)/長辺長さ(P):1.047、レザーn=1・レザーn=2・レザーn=3)と比較すると、ポリエチレンからなる多孔質フィルムの片面に耐熱層として全芳香族ポリアミドを積層したセパレータの原反をシェアカット法でスリットしたセパレータ長尺から得た試験片12e(エッジ長さ(R)/長辺長さ(P):1.000、シェアカットn=1・シェアカットn=2・シェアカットn=3)の破断時の荷重(N)の方が大きいことがわかる。
【0103】
図10の(d)に図示されているように、試験片(レザーn=1・レザーn=2・レザーn=3)の引張強度X(MPa)の平均値は、212Mpaであり、試験片12e(シェアカットn=1・シェアカットn=2・シェアカットn=3)の引張強度X(MPa)の平均値は、224Mpaであることから、シェアカットでスリットされた側面を有する試験片12eの引張強度は、レザーカット法でスリットされた側面を有する試験片より明らかに引張強度が大きい。
【0104】
引張強度が大きいほど引張に対して強靭であると言え、レザーカット法でスリットされた側面を有する試験片のように、スリットされた側面が不均一である場合、引張時に応力集中が発生し破断しやすくなると考えられる。
【0105】
(シャルピー衝撃試験)
以下、
図11に基づいて、
図8の(c)に図示したR/Pの値を有する多孔質フィルム5の片面に耐熱層4を積層したセパレータ長尺、具体的には、多孔質フィルム5であるポリオレフィンセパレータの片面に耐熱層4として全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を積層したセパレータ長尺12a’’・12b’’のシャルピー衝撃試験の測定方法及びその結果について説明する。
【0106】
図11は、セパレータ捲回体12U’’・12L’’において、ロール状に巻き取られたセパレータ長尺12a’’・12b’’の側面12c’’を一側面とする試験片12fのシャルピー衝撃試験の測定方法及びその結果を説明するための図である。
【0107】
図11の(a)に図示されているセパレータ捲回体12U’’・12L’’は、ポリエチレンからなる多孔質フィルムの片面に耐熱層として全芳香族ポリアミドを積層したセパレータの原反をこの原反の長手方向(MD)に沿ってスリットした、セパレータ長尺12a’’・12b’’を、直径3インチのコアu・lに200m捲き付けたものである。
【0108】
試験片12fは、セパレータ長尺12a’’・12b’’を、側面12c’’を一側面として含み、幅1cm×長さ8cmサイズとなるように、カッターを用いて切り出して作製した。
【0109】
なお、シャルピー衝撃試験は、「JIS K 7111−1 プラスチック?シャルピー衝撃特性の求め方」に基づいて測定した。用いた具体的な測定装置および測定条件は、以下の通りである。
装置:万能衝撃試験機(安田精機製作所、No.258)
試験片:8cm×1cm
持ち上げ角度:150°
測定回数:5回
振り子(ハンマー)容量:1J
試験片の枚数:1枚
試験片のノッチ:なし
試験方向:横断方向(TD)
なお、通常、シャルピー衝撃試験用の試験片には、ノッチを入れるが、本実験では試験片のスリット端部形状自身を評価するため、長方形に切り出したサンプルに追加のノッチは入れなかった。
【0110】
図11の(b)は、試験片12fのシャルピー衝撃試験の測定方法を説明するための概略図であり、
図11の(c)は、試験片12fのシャルピー衝撃試験の結果を示す図である。
【0111】
図11の(b)に図示されているように、試験片12fに対して、重量のある振り子(ハンマー)15を高さh’から振り下ろすと、振り子15は試験片12fを破壊した後、再び、高さhまで振り上がる。なお、距離kは、振り子15の回転中心から振り子15の重心までの距離である。
【0112】
図中の角度αは、試験片が変わっても、不変な角度で、持ち上げ角度に該当する。一方、図中の角度βは、振り子15の角度であり、試験片を破壊する際に消費されるエネルギーが大きい場合は、振り子15の角度(β)は小さくなり、試験片を破壊する際に消費されるエネルギーが小さい場合は、振り子15の角度(β)は大きくなる。
【0113】
すなわち、振り子15は、試験片の種類に関係なく、決められた高さh’から振り下ろされるので、振り子15の初期状態のエネルギー(位置エネルギー)は一定で、この初期状態のエネルギーから試験片を破壊する際に消費されたエネルギーを引いた後の残りのエネルギーが振り子15の角度(β)として表現されるのである。
【0114】
図11の(c)に図示されているように、ポリエチレンからなる多孔質フィルムの片面に耐熱層として全芳香族ポリアミドを積層したセパレータの原反をシェアカット法でスリットしたセパレータ長尺から得た試験片(エッジ長さ(R)/長辺長さ(P):1.000)の振り子15の角度(β)は、5回の平均値が114.9°であり、ポリエチレンからなる多孔質フィルムの片面に耐熱層として全芳香族ポリアミドを積層したセパレータの原反をレザーカット法でスリットしたセパレータ長尺から得た試験片(エッジ長さ(R)/長辺長さ(P):1.047)の振り子15の角度(β)は、5回の平均値が117.4°であった。
【0115】
以上から、直線性が高い側面を有する試験片12fに比べると、直線性が劣る側面を有する試験片は容易に破れることがわかる。
【0116】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る多孔質セパレータ長尺は、多孔質セパレータ長尺の側面において、上記多孔質セパレータ長尺の側面の画像を、上記多孔質セパレータ長尺と上記多孔質セパレータ長尺以外の部分とで2値化処理して得られる、長手方向に沿う直線上の2点間の直線距離をPとし、上記長手方向に沿う直線上の2点間の上記側面の形状に沿った距離をRとした場合、R/Pの値が1.04未満であることを特徴としている。
【0117】
上記構成によれば、上記多孔質セパレータ長尺の側面において、上記R/Pの値が1.04未満であるので、多孔性材料であるにも関わらず、その側面の直線性は高いので、作業中に、上記セパレータ長尺が裂けてしまう可能性を抑制できる。
【0118】
本発明の態様2に係る多孔質セパレータ長尺は、上記態様1において、上記多孔質セパレータ長尺は、複数の層からなってもよい。
【0119】
上記構成によれば、複数の層からなる多孔質セパレータ長尺を実現できる。
【0120】
本発明の態様3に係る多孔質セパレータ長尺は、上記態様2において、上記複数の層は、多孔質フィルム層の片面に多孔質耐熱層が積層された層であってもよい。
【0121】
上記構成によれば、片面に多孔質耐熱層が積層された多孔質セパレータ長尺を実現できる。
【0122】
本発明の態様4に係る多孔質セパレータ長尺は、上記態様2において、上記複数の層は、多孔質フィルム層の両面に多孔質耐熱層が積層された層であってもよい。
【0123】
上記構成によれば、両面に多孔質耐熱層が積層された多孔質セパレータ長尺を実現できる。
【0124】
本発明の態様5に係る多孔質セパレータ長尺は、上記態様1から4の何れかにおいて、上記多孔質セパレータ長尺の側面は、互いに異なる方向に回転可能な上刃と下刃とを備え、上記上刃が、上記長手方向と直交する横断方向において互いに隣接する上記下刃間に形成された空間部において、上記隣接する下刃の一方に接触する、スリット部によって、スリットされた側面であってもよい。
【0125】
上記構成によれば、その側面の直線性が高い多孔質セパレータ長尺を実現できる。
【0126】
本発明の態様6に係る多孔質セパレータ捲回体は、上記態様1から5の何れかに記載の多孔質セパレータ長尺を、コアに捲回した構成である。
【0127】
上記構成によれば、その側面の直線性が高い多孔質セパレータ長尺を、コアに捲回した多孔質セパレータ捲回体を実現できる。
【0128】
本発明の態様7に係るリチウムイオン電池は、上記態様1から5の何れかに記載の多孔質セパレータ長尺を、上記長手方向と直交する横断方向に沿って、所定の長さにカットした多孔質セパレータを備えた構成である。
【0129】
上記構成によれば、その側面の直線性が高い多孔質セパレータを備えたリチウムイオン電池を実現できる。
【0130】
本発明の態様8に係る多孔質セパレータ長尺の製造方法は、多孔質セパレータの原反が、上記原反の長手方向に沿って、スリットされた多孔質セパレータ長尺の製造方法であって、互いに異なる方向に回転可能な上刃と下刃とを備え、上記上刃が、上記長手方向と直交する横断方向において互いに隣接する上記下刃間に形成された空間部において、上記隣接する下刃の一方に接触する、スリット部を用いて、上記多孔質セパレータ長尺の側面を形成する工程を含むことを特徴としている。
【0131】
上記方法によれば、多孔性材料であるにも関わらず、直線性が高い多孔質セパレータ長尺の側面を形成することができるので、作業中に、上記セパレータ長尺が裂けてしまう可能性を抑制できる。
【0132】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。