(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め取得した外観検査の対象部位の基準画像と、前記二次元画像とを比較し、前記二次元画像の中から外観検査の範囲を特定する検査範囲特定部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の外観検査装置。
前記画像比較部の結果に基づいて、前記ワイヤーハーネスの外観の合否の判定を行うことを特徴とする判定部を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の外観検査装置。
外観検査の対象部位の位置が予め特定された基準画像と、前記二次元画像とを比較し、前記二次元画像の中から外観検査の対象部位を特定することを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の外観検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ワイヤーハーネスの外観検査を目視で行う場合、一定の精度で行うことが困難となる問題があった。また、目視による検査は、作業者の作業時間が長くなることも問題であった。
【0008】
また、特許文献1、2に記載の外観検査装置では、外観検査対象物の二次元の画像を取得し、この取得した画像に基づいて外観検査を行っている。二次元画像を用いた外観検査では、高さ(撮影面に対して垂直方向の高さ)を判定することは困難であり、重ね合わせアース端子の嵌合不良や、バンド締めクリップのバンドカットの寸法不良などに関する外観不良を判定することは困難であった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワイヤーハーネスの外観検査を短時間に一定の精度で行うことが可能な外観検査装置、外観検査システム、及び外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の外観検査装置は、ワイヤーハーネスの製造工程のラインを搬送される組立図板上において、二次元画像を撮像する撮像手段と、光切断法により前記組立図板上を計測する三次元計測手段と、前記ワイヤーハーネスが配設された前記組立図板上を撮像するように前記撮像手段を制御し、前記二次元画像を取得する撮像制御部と、前記ワイヤーハーネスが配設された前記組立図板上を計測するように前記三次元計測手段を制御し、三次元データを算出する第一の演算部と、前記算出した三次元データを、前記取得した二次元画像に割り当てて、前記二次元画像に高さの情報を付与する第二の演算部と、該高さの情報を付与した二次元画像と、予め取得した高さの情報を有する基準画像とを比較する画像比較部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、前記撮像手段及び前記三次元計測手段において、複数の画素を有する一つの撮像素子を備えた受光部が共用されており、該一つの撮像素子の受光面では、前記三次元データの情報を取得するための光を受光する画素領域と、前記二次元画像の情報を取得するための光を受光する画素領域とが分離されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、前記受光面が前記組立図板の面に対して平行となるように設定されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、予め取得した外観検査の対象部位の基準画像と、前記二次元画像とを比較し、前記二次元画像の中から外観検査の範囲を特定する検査範囲特定部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、前記二次元画像が有する画素ごとに、前記三次元データの高さの情報を割り当てることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、前記三次元データに基づいて、所定の採寸点の寸法を測長とする測長部を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、前記画像比較部の結果に基づいて、前記ワイヤーハーネスの外観の合否の判定を行うことを特徴とする判定部を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の外観検査装置の一態様は、前記判定部の判定結果を表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の外観検査システムは、前述の外観検査装置と、前記組立図板上に配設され、前記三次元計測手段により走査される光線の走査位置の情報を取得するための走査位置検出体と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の外観検査システムの一態様は、前述の外観検査装置と、前記撮像手段により撮像される位置に配設され、既知の寸法を有する基準寸法体と、を備え、前記撮像制御部は、前記基準寸法体を撮像するように前記撮像手段を制御し、撮像された前記基準寸法体と、予め登録された基準寸法体の像とを比較し、前記二次元画像を補正することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の外観検査システムの一態様は、前述の外観検査装置と、前記三次元計測手段により計測される位置に配設され、既知の寸法を有する基準寸法体と、を備え、前記第一の演算部は、前記基準寸法体を計測するように前記三次元計測手段を制御し、前記基準寸法体の寸法を算出し、該前記基準寸法体の算出値と、予め登録された前記基準寸法体の寸法の値とを比較し、算出された前記三次元データを校正することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の外観検査方法は、ワイヤーハーネスの製造工程のラインを搬送される組立図板上を、撮像手段により撮像して二次元画像を取得するとともに、光切断法を用いた三次元計測手段により前記組立図板上を計測して三次元データを算出し、前記三次元データを取得した前記二次元画像に割り当てて、前記二次元画像に高さの情報を付与し、該高さの情報を付与した二次元画像と、予め取得した基準画像とを比較することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の外観検査方法の一態様は、前記撮像手段及び前記三次元計測手段において、複数の画素を有する一つの撮像素子を備えた受光部を共用し、該一つの撮像素子の受光面において、前記三次元データの情報を取得するための光を受光する画素領域と、前記二次元画像の情報を取得するための光を受光する画素領域とを分離することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の外観検査方法の一態様は、前記受光面を、前記組立図板の面に対して平行に設けることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の外観検査方法の一態様は、外観検査の対象部位の位置が予め特定された基準画像と、前記二次元画像とを比較し、前記二次元画像の中から外観検査の対象部位を特定することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の外観検査方法の一態様は、前記二次元画像が有する画素ごとに、前記三次元データの高さの情報を割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ワイヤーハーネスの外観検査を短時間に一定の精度で行うことが可能な外観検査装置、外観検査システム、及び外観検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である外観検査装置、外観検査システム、及び外観検査方法について説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複した説明を適宜省略する。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る外観検査装置1が配置されたワイヤーハーネスWの製造工程の概略説明図である。
図2は、本発明の実施形態に係る外観検査装置1の概略を示すブロック図である。
図3は、本発明の実施形態に係る外観検査装置1を側面側から見た概略図である。
図4は、本発明の実施形態に係る外観検査装置1を正面側から見た概略図である。
図5は、本発明の実施形態に係る外観検査装置1を上面側から見た概略図である。
【0030】
ワイヤーハーネスWの製造工程は、
図1に示すように、ワイヤーハーネスWの組立図板40が、ループ状に設けられたコンベア50の周に沿って時計回りに搬送され、作業者が組立図板40上に、順にワイヤーハーネスWを組立てるようになっている。組立図板40は、例えば搬送台41に載置されている。
組立てられたワイヤーハーネスWは、組立図板40上に配置されたまま外観検査装置1によって外観検査が行われ、その後、組立図板40から取り外される。なお、本実施形態においては、外観検査装置1により、寸法検査も行われる。
【0031】
コンベア50は、例えば、図示しないスプロケットとチェーンとによって構成される。このチェーンが組立図板40の搬送台41の脚に取り付けられ、スプロケットの回転に従って、チェーンが回転することにより、搬送台41が移動する。スプロケットは、例えばモータなどの駆動機構によって回転される。
【0032】
組立図板40には、例えばワイヤーハーネスWを保持する電線保持具42が複数設けられている。電線保持具42としては、例えば、上方が略U字状とされたワイヤーハーネスWを引っ掛ける部材、上端部がワイヤーハーネスWのコネクタを保持する形状の部材、ワイヤーハーネスWに設けられた固定部材を嵌め込んで保持する部材などがある。
【0033】
本実施形態において外観検査の対象としているワイヤーハーネスWは、例えば、車両の電気機器同士を接続する配線部材であり、車両に設けられた配線経路に沿って組み付けられる。この種のワイヤーハーネスWは、電線等の配線が適宜分岐、結束されている。各配線の結束には、例えば粘着テープ等が使用される。また、ワイヤーハーネスWには、ワイヤーハーネスWを車両に組み付ける際に使用する固定部材が取付けられている。また、ワイヤーハーネスWの端末部位には、コネクタが取付けられている。
【0034】
外観検査装置1は、
図2に示すように、三次元計測手段10と、撮像手段15と、パーソナルコンピュータ20とを備えている。本発明の実施形態に係る外観検査装置1は、組立図板40上に配設されたワイヤーハーネスWの外観を、三次元計測手段10及び撮像手段15を用いて検査するものである。外観検査装置1は、例えば、ワイヤーハーネスWの重ね合わせアース端子の嵌合やクリップのバンドカットなどを含む外観を検査する。また、本実施形態においては、外観検査装置1は、ワイヤーハーネスWの所定の位置の寸法の検査も行う。この外観検査装置1は、ワイヤーハーネスWの組立の製造ライン上に配置されているため、ワイヤーハーネスWが配設された組立図板40を他の検査台等に乗せ換えることなく、外観検査を行うことができる。
【0035】
三次元計測手段10は、
図3〜
図5に示すように、光源部11と受光部12とを備えている。これら光源部11と受光部12は、
図3に示すように、搬送台41に配置された組立図板40を覆うように設けられた測定架台13に配置されている。本実施形態において、測定架台13はトンネル状の枠体14を有しており、測定架台13には、光源部11と受光部12とが、組立図板40の面に対して縦方向の中央付近に位置するように取り付けられている。なお、本実施形態において、横方向とはコンベア50の進行方向と平行な方向(
図4において左右方向)であり、縦方向とはコンベア50の進行方向と直交する方向(
図4において上下方向)である。
【0036】
光源部11は、線状光を投光するレーザー光源とレンズとを有している。光源部11は、
図3及び
図5に示すように、組立図板40の面に対して直交するように配置されている。この光源部11から出力される光は、コンベア50の進行方向と直交する方向に線状に投光され、かつコンベア50の進行方向と直交する方向における組立図板40の長さよりも長い範囲を投光するようになっている(
図4参照)。例えば
図4において、L1で示される破線上が、光源部11の線状光が照射される範囲である。
【0037】
受光部12は、複数の画素を有する撮像素子17とレンズで構成された光学系18とを有している。受光部12は、光源部11に対してコンベア50の進行方向に所定の距離離れた位置に配置されている。この受光部12は、光源部11から出力された光の反射光を受光するものであり、本実施形態においては、
図5に示すように、受光部12と組立図板40とが対向配置されている。すなわち、受光部12の撮像素子17により形成される受光面と組立図板40との面が平行となるように配置されているのである。
【0038】
上述のような構成とされた三次元計測手段10においては、光源部11から光を測定対象物に向けて出力し、その反射光を受光部12で受光し、光切断法を用いることで測定対象物の高さの情報が得られる。光源部10から出力された光において、組立図板40で反射される光と、ワイヤーハーネスWで反射される光とでは、
図5に示すように、受光部によって受光される位置が異なる。ここで、
図5の撮像素子17において両矢印で示される長さが、高さの情報となっている。
【0039】
撮像手段15は、
図3〜5に示すように、光源部16と受光部12とを備えている。光源部16は、測定対象物(撮像対象物)に光を照射するためのものであり、光源部11とは異なりレーザー光源ではなく、例えば蛍光灯等である。
本実施形態において、三次元計測手段10と、撮像手段15とが有する受光部12は共用とされており、同じ一つの受光部12によって光が受光されるようになっている。すなわち、受光部12は、光源部16の光も受光し、二次元画像の情報も得られるようになっている。具体的には、この受光部12の撮像素子17は例えばCMOSセンサーやCCDセンサーである。
【0040】
上述のような構成とされた撮像手段15は、光源部16から光を測定対象物に向けて出力し、その反射光を受光部12で受光し、二次元画像の情報を得る。二次元画像の測定エリアが複数必要なときは、
図4に示すように、受光部12を複数設けても良い。
図4では、受光部12が縦方向に3つ配置された場合が示されている。
本実施形態においては、
図5に示すように、高さ測定エリアと、画像(二次元画像)測定エリアが異なる位置に設けられており、これにより一つの受光部12内の撮像素子17の受光面が、高さの測定をするためのエリア(高さ測定エリア)と、二次元画像を測定するためのエリア(画像測定エリア)とに、分離することができるようになっている。具体的には、
図5において、撮像素子17の左側の領域が、光源部11からの光を受光し高さの情報を取得するための画素領域となっており、撮像素子17の右側の領域が、光源部16からの光を受光し、二次元画像の情報を得るための画素領域となっている。
【0041】
なお、測定架台13に配置された光源部11と受光部12とが、一体となって組立図板40上を移動する構成としても良いし、光源部11と受光部12とを固定しておいて組立図板40を製造ラインの周に沿って移動させても良い。すなわち、組立図板40上を三次元計測手段10及び撮像手段15によって高さ及び二次元画像が測定される構成となっていればよい。本実施形態においては、
図4に示す矢印のように、組立図板40が移動する構成とされている。
【0042】
また、ワイヤーハーネスWの製造において、組立図板40はコンベア50に積載され移動する間にワイヤーハーネスWの組立が行われるため、組立が終わった直後にコンベア50に載せられたまま、インラインで外観検査を行うことが望ましい。
【0043】
パーソナルコンピュータ20は、
図2に示すように、例えば、寸法検査部21と、外観検査部31とを備えている。
寸法検査部21は、第一の演算部22と、位置特定部23と、測長部24と、合否判定部25とを備えている。
第一の演算部22は、三次元計測手段10に制御信号を出力してワイヤーハーネスWが配設された組立図板40上を計測するように三次元計測手段10を制御し、受光部12が受光した光の情報から三次元計測手段10が光を照射した領域における三次元データを算出する。本実施形態において、三次元データとは、組立図板40の面内方向及び組立図板40の面からの高さ方向における測定対象物の位置情報を示すデータである。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る外観検査装置1によって測定される高さのデータ(輝線の像)の一例を示している。この図は、組立図板40の横方向におけるある位置の高さのデータである。横軸は組立図板40の縦方向の位置、縦軸は高さを示している。このような高さのデータが、組立図板40の横方向の全面にわたって取得されることになる。
【0045】
位置特定部23は、上述した三次元データ(走査位置と縦方向に対する高さのデータ(輝線の像))から、採寸点の位置を特定する。例えば、予め所定の2か所の採寸点の情報を含む三次元データを登録しておき、この登録したデータと、算出された三次元データとを比較し、採寸点の位置を特定する。
【0046】
外観検査装置1により組立図板40上を寸法検査する際には、位置特定部23は、光線の走査ごとに受光部12から逐次情報が入力され、走査位置と縦方向に対する高さのデータ(輝線の像)を取得する。このとき、採寸点位置における予め登録された走査位置及び縦方向に対する高さのデータ(輝線の像)と、取得した走査位置及び縦方向に対する高さのデータ(輝線の像)とが照合され、一致度が高い場合、その近傍の走査位置と縦方向に対する高さのデータ(輝線の像)との一致度も調べたうえで採寸点が特定される。
【0047】
測長部24は、算出された三次元データからワイヤーハーネスWの所定の採寸点の長さを測長する。例えば、ワイヤーハーネスの長さを測長する際には、取得した三次元データのうち、ワイヤーハーネスWの高さ情報の点を連続的な高さのデータとして集め、ワイヤーハーネスWを示すデータに基づいて、例えばスプライン曲線や曲線当てはめ法で補完し、ワイヤーハーネスWの曲がりや弛みが考慮された長さを算出する。
【0048】
寸法合否判定部25は、測長部24によって測長された採寸点の間における測定対象物の長さが、所定の寸法の範囲内にあるか否かを判定する。
また、本実施形態において、外観検査装置1は、前述の寸法合否判定部25の判定の結果を表示する寸法合否表示部26を備えている。この寸法合否表示部26は、例えばパーソナルコンピュータ20に接続されたディスプレイなどである。
【0049】
次に、外観検査部31について説明する。
外観検査部31は、撮像制御部32と、第二の演算部33と、画像範囲特定部34と、画像比較部35と、外観合否判定部(判定部)35と、を備えている。
撮像制御部32は、ワイヤーハーネスWが配置された組立図板40上を撮像するように撮像手段15を制御し、組立図板40上の二次元画像を取得する。
【0050】
第二の演算部33は、前述の第一の演算部22によって算出された三次元データを、前述の取得した二次元画像に割り付けて、二次元画像に高さの情報を付与する。これにより、高さの情報を有する二次元画像を取得する。
二次元画像に高さの情報を割り付ける際は、例えば、三次元データに基づいて二次元画像の1画素ごとに高さの情報を割り付ければよい。
【0051】
本実施形態においては、
図5、
図7、
図8に示すように、高さ測定エリアと、画像測定エリアとが異なるため、それぞれの高さと二次元画像を測定すると同時に二次元画像に高さの情報を割り付けることはできないが、次のようにして三次元データを二次元画像に割り付けることができる。
図7に示すように、画像測定エリアで撮像された二次元画像において、破線で囲まれる領域は、組立図板40がZ画素分だけ移動すると、
図8のYで示される領域まで移動する。そして、
図8にYで示される領域において測定される高さのデータを、
図7の破線で囲まれた領域の各画素に割り付けることにより、高さのデータを有する画像を取得することができる。
なお、
図8において実線Aは、Yで示される領域における高さのデータを示しており、ワイヤーハーネスW上で高さが高くなることを意味している。
【0052】
画像範囲特定部34は、予め取得した外観検査の対象部位の基準画像と、撮像制御部32が取得した二次元画像とを比較し、この二次元画像の中から外観検査が対象とする範囲を特定する。基準画像は、組立図板40上における平面上の座標を予め登録しておくことが好ましい。予め座標を登録しておくことで、二次元画像の中から検査対象部位の範囲を特定しやすくなる。本実施形態では、例えば、ワイヤーハーネスWが有する、クリップ等の固定部分、重ね合わせの端子部分などを外観検査の対象とする。
【0053】
画像比較部35は、前述のようにして得られる高さの情報を付与した二次元画像と、予め取得した高さの情報を有する基準画像とを比較する。
例えば、三次元データのパターンの一致度、二次元画像の色、平面方向の寸法、高さ方向の寸法など、必要に応じて適宜比較方法を予め登録しておき、これらの項目について比較する。また、三次元データのパターンの一致度、RGB値の許容範囲、各寸法の許容範囲などの閾値を予め決定しておく。
【0054】
外観合否判定部36は、画像比較部35の結果に基づいて、前記ワイヤーハーネスの外観の合否の判定を行う。
【0055】
本実施形態において、外観検査装置1は、外観合否表示部37を備えている。外観合否表示部37は、外観合否判定部36の判定結果を表示する。この外観合否表示部37は、例えばパーソナルコンピュータ20に接続されたディスプレイなどである。
【0056】
外観検査システム100は、外観検査装置1と、走査位置検出体45とを備えている。走査位置検出体45は、組立図板40の上方に配置されている。具体的には、
図3及び
図4に示すように、走査位置検出体45は組立図板40のフレームに取り付けられており、組立図板40及びコンベア50と一体に移動する。走査位置検出体45は、組立図板40のフレームから上方に伸び、その途中で、組立図板40の面と平行な方向に櫛歯状に伸びるように形成されている。走査位置検出体45の櫛歯は、組立図板40の長手方向に対して、0°超90°以下の角度の方向に伸びている。本実施形態において、櫛歯の角度は、45°とされている。なお、櫛歯の角度が大きい場合、組立図板40の縦方向の測定精度が向上する。また、櫛歯の角度が小さいと、櫛歯の本数が少なくても櫛歯の位置を検出することが可能である。
【0057】
図9は、本発明の実施形態に係る外観検査システム100が備える走査位置検出体45において、光源部11からの光線が走査される際に光線が照射される位置を説明するための概略図である。
図9において左側の図は組立図板40の上側から見たときに光源部11からの光線が照射される位置を示す図であり、
図9において右側の図は組立図板40の側面側から見たときに光源部11からの光線が照射される位置を示す図である。
【0058】
走査位置検出体45は、
図9に示す位置(
図9の破線L2)に光源部11から出力される線状光を受けると、
図9に示すように走査位置検出体45の2か所(
図9においてR1で示す位置)に光が照射されるため、この2か所(2点)の高さが測定されることになる。そして、
図10に示すように、組立図板がy1の位置からy2の位置に移動し、光源部11から出力される線状光の走査位置が
図10に示す破線L3上になると、走査位置検出体45の3か所(
図10においてR2で示す位置)に光が照射されるため、3か所(3点)の高さが測定される。
すなわち、光源部11からの光線の走査位置が破線L2上の場合、距離x1の範囲内に2点の高さが測定され、走査位置が破線L3上の場合、距離x2の範囲内に3点の高さが測定されるのである。
【0059】
上述のように光線の走査位置に応じて、走査位置検出体45に光が照射される位置と、走査位置検出体45において測定される点の数とが連続的に変化する。そして、走査位置検出体45の測定の開始位置と、前述の測定点の連続的な変化とにより、光源部11から出力される光が、組立図板40上のどの位置を走査しているかが第一の演算部22によって算出され、光源部11からの出力される光の走査位置のデータを取得することができるようになっている。
【0060】
図11は、組立図板40(走査位置検出体45)の移動量の情報を二次元画像から取得する方法を示す概略説明図である。
図11において、四角の一マスが二次元画像の一つの画素を表している。
図11に示すように、A列の画素において3、8、12行目の画素に走査位置検出体が位置している。
そして、
図11の下図に示すように、一画素分だけ組立図板40が左方向に移動すると、走査位置検出体45の位置が左に移動し、A列の4、9、13行目の画素に走査位置検出体45が位置している。
【0061】
このように、組立図板40の位置に応じて、走査位置検出体45が二次元画像の画素上のどの位置にあるかを把握することにより、組立図板40上のどの位置の画像を取得しているかの情報を取得することができる。
【0062】
なお、走査位置検出体45の形状は、上述した走査位置検出体45に限られるものではない。
図12は、走査位置検出体の変形例である走査位置検出体145を示す図である。櫛歯の間隔が、一定の間隔ではなく、異なる間隔で設けられている。この場合測定した二次元画像において、
図12に示すように、B列では1か所、C列では4か所、D列では3か所、走査位置検出体145が位置している。走査位置検出体145が移動すると、二次元画像上における走査位置検出体145が検出される位置も変化し、この変化に応じて測定対象物の移動量を取得することができる。例えば、各列において検出される走査位置検出体145の点の数から例えば、ある原点の位置を決定し、この原点の位置からの距離として、位置の情報を取得することもできる。
【0063】
また、
図13は、走査位置検出体の変形例である走査位置検出体245を示す図である。走査位置検出体245には、
図13に示すように、格子状のスリットSが形成されており、光線のスリットSの通過有無を反射光の強度や位置から判定することにより、走査位置が特定される構成としても良い。
【0064】
なお、光源部11から出力される光の走査位置のデータを取得するために、コンベア50の駆動モータの回転角度を検出するエンコーダのパルスを用いる方法もあるが、コンベアの駆動モータから、チェーン等の動力伝達部を経て、組立図板の走行系までの機械的ながたつきにより、組立図板の移動位置を正確に取得することは困難である。
【0065】
また、本実施形態において、外観検査システム100は、基準寸法体を備えていても良い。この基準寸法体は、予め校正された寸法精度の高い立体形状の部品であり、組立図板40又はその周辺に少なくとも一つ配置され、ワイヤーハーネスWと共に三次元計測手段10により、三次元計測される。
【0066】
外観検査システム100が基準寸法体を備える場合、第一の演算部21は、基準寸法体を計測するように三次元計測手段10を制御し、基準寸法体の寸法を算出し、基準寸法体の算出値と、予め登録された基準寸法体の寸法の値とを比較し、この比較に基づいて算出された三次元データの全体を校正する。また、第二の演算部は、基準寸法体を撮像するように撮像手段を制御し、取得した二次元画像における基準寸法体の寸法と、予め登録された基準寸法体の寸法の値とを比較し、この比較に基づいて二次元画像を校正する。これにより、さらに精度の高い三次元データ及び二次元画像を取得することができる。
なお、走査位置検出体45が基準寸法体を兼ねることもできるし、組立図板40上の治具などが基準寸法体を兼ねることもできる。
【0067】
次に、本発明の実施形態に係る外観検査装置1及び外観検査システム100を用いた外観検査方法について説明する。
コンベア50上を搬送され、組立図板40上に組立てられたワイヤーハーネスWは、外観検査装置1の位置に搬送される。ここで、光源部11から光が出力され、組立図板40の縦方向に線状に照射される。このとき、組立図板40はコンベアの進行方向に搬送されるので、光源部11から線状光を連続的に照射することにより、組立図板40の横方向全体にわたって線状光を照射する。また、光源部16からも光が出力され、組立図板40上に光が照射される。
【0068】
光源部11、16から出力された光は、組立図板40、ワイヤーハーネスW、走査位置検出体45、電線保持具42などに反射され、この反射光が受光部12へ入力される。光源部11から出力され、組立図板40上で反射した光を受光部12が受光し、この光の情報に基づいて、第一の演算部22が、組立図板40の面内方向及び高さのデータに変換する。具体的には、組立図板40の横方向、縦方向、及び組立図板40の面からの高さの情報が得られることになる。このようにして、組立図板上の三次元データが取得される。
【0069】
一方、光源部16から出力され組立図板40上で反射した光を受光部12が受光し、この光の情報に基づいて、撮像制御部32が二次元画像を形成する。
そして、第二の演算部33が、上記のように取得した二次元画像に、取得した三次元データの情報を割り付ける。これにより、高さの情報が付与された二次元画像が得られる。
【0070】
なお、本実施形態においては、
図4に示すように組立図板40が左方向に移動しながら外観検査が行われる構成とされているため、先に撮像手段15によって二次元画像が撮影され、遅れて三次元計測手段10によって高さのデータが計測されることになる(
図5参照)。
【0071】
このとき、光源部11の走査位置については、上述したように組立図板40上の走査位置検出体45に反射した光の情報から取得すれば良い。また、取得した二次元画像が組立図板40上のどの位置であるかは、二次元画像に表示される走査位置体45が画素のどの位置にあるかを検出することにより、把握できる。このようにして、走査位置の情報を取得し、二次元画像の一画素に対応する高さのデータを割り付ける。
【0072】
次いで、検査対象となる部位の基準画像(基準二次元画像)と、取得した二次元画像とを比較して、検査対象となる位置の画像範囲を特定する。この画像範囲の特定は、画像範囲特定部34により行われる。基準画像については、検査対象物に対して予め検査対象となる部位の二次元画像をマスター画像として取得しておけばよい。取得した二次元画像から検査対象となる部位を特定することは、画像範囲特定部34により行われる。
【0073】
次いで、検査対象となる部位において三次元のデータが割り付けられた基準画像(基準二次元画像)と、取得した二次元画像とを比較する。このとき、予め比較方法を登録しておき、この登録した項目にしたがって比較を行う。例えば、比較方法として三次元データのパターンマッチングを選択した場合、基準画像と、取得した二次元画像とにおける三次元データのパターンマッチングの一致度を比較する。この基準画像と、二次元画像との比較は、画像比較部35により行われる。
【0074】
次いで、画像比較部35の比較結果に基づいて、外観合否判定を行う。例えば、前述のパターンマッチングの一致度が所定の一致度よりも高い場合を合格とする。この外観合否判定は、外観合否判定部36により行われる。
次に、前述の合否判定の結果を表示する。この合否判定の結果は、外観合否表示部37により表示される。
以上のようにして、本実施形態に係る外観検査装置1及び外観検査システム100を用いた外観検査方法が完了する。
【0075】
次に、寸法測定方法について説明する。
採寸点の情報を含む予め登録された三次元データと、前述のようにして算出された三次元データを比較することにより、算出された三次元データにおける採寸点の位置を特定する。例えば検査対象とは異なるワイヤーハーネスが配設された組立図板40に対して、三次元計測を行って三次元データを算出し、三次元データの中から採寸点の位置を特定し、採寸点の情報を含む三次元データを予め位置特定部23に登録しておけば良い。この採寸点の位置の特定は、位置特定部23により行われる。
次いで、採寸点間における検査対象物の長さを測長する。この測長は、測長部24により行われる。
【0076】
次に、測長された検査対象物の長さが所定の寸法の範囲内か否かを判定する。例えば、ワイヤーハーネスWの長さを測定する場合、測長されたワイヤーハーネスWの経路長及び公差と、予め登録された経路長及び公差とを比較して合否の判定を行う。この判定は、寸法合否判定部25により行われる。
次に、前述の合否判定の結果を表示する。この合否判定の結果は、寸法合否表示部25により表示される。なお、このようにして求めた採寸点の寸法を、外観検査において利用しても良い。
以上のようにして、本実施形態に係る外観検査装置1及び外観検査システム100を用いた寸法検査方法が完了する。
【0077】
以上のような構成とされた本実施形態に係る外観検査装置1、及び外観検査方法によれば、三次元計測手段10を用いて三次元データ(走査位置及び縦方向に対する高さのデータ(輝線の像))を取得するとともに、撮像手段15を用いて二次元画像を取得し、この二次元画像に三次元データ(高さ)の情報を割り当てる。そして、この三次元データの情報が割り当てられた二次元画像と、基準画像とを比較し、合否判定を行うことができる。これにより、ワイヤーハーネスの外観を、短時間で正確に検査することができる。
【0078】
例えば、重ね合わせアース端子の嵌合部分や、バンド締めクリップのバンドカットなどの立体的な構造を有する要素の外観検査は、単なる二次元画像では高さの情報が不明のため、正確な検査を行うことが難しい。具体的には、バンド締めクリップにおいて、カットしたバンドが高さ方向に伸びている場合、単なる二次元画像ではその伸びている量を判断することは困難である。しかし、外観検査装置1では、二次元画像に高さの情報が付与されているため、重ね合わせアース端子の嵌合部分や、バンド締めクリップのバンドカットなどについての外観検査も精度良く行うことが可能である。
【0079】
また、本実施形態においては、ワイヤーハーネスWの所定の採寸点の位置の長さも自動で測長するので、短時間かつ一定の精度で採寸点における長さを測長することができる。これにより、ワイヤーハーネスWにおいて、所定の寸法に製造できているかどうかを確認し、短時間で正確な寸法の合否判定をすることができる。よって外観と寸法を同時に、短時間で正確に検査することができる。
【0080】
また、本実施形態の外観検査装置1においては、一つの受光部12内における撮像素子17の受光面では、高さの情報を取得する領域と二次元画像の情報を取得する領域とが分離されているので、一つの撮像素子17を備えた受光部12を三次元計測手段10と撮像手段15の両方に用いることができ、コストを低減するとともに装置を小型化することが可能となる。
【0081】
また、ワイヤーハーネスWの製造ライン上に外観検査装置1を設けることで外観検査を行えるので、製造ラインを大きく変えることなく、簡素かつ安価に外観検査装置1を導入することができる。
【0082】
また、本実施形態においては、外観検査システム100は、走査位置検出体45を備えており、エンコーダなどの外部からの測定により、光源部11から出力される光の走査位置を特定する必要がないため、光の走査位置の測定精度を高めることができる。したがって、組立図板40がコンベア50上を搬送台41などに載置されて搬送される場合であっても、精度良く光の走査位置を特定できる。また、エンコーダなどを使用しないため、外観検査装置1を低コストにできる。
また、撮像手段15により取得される二次元画像においても走査位置検出体45が二次元画像に映ることにより、組立図板40上のどの位置の二次元画像であるかを容易に把握することが可能である。
【0083】
また、組立図板40はコンベア50上を移動するため走行系にガタやズレが生じたり、組立図板40にはゆがみなどが加わったりすることがある。これにより算出される三次元データには、誤差が生じることがあるが、寸法検査システム100が基準寸法体を備える場合には、三次元データを校正する構成とすることができ、精度の高い三次元データを取得することができる。また、二次元データも基準寸法体に基づいて校正することができ、精度の高い二次元データを取得することができ、より精度の高い外観検査を行うことが可能となる。
【0084】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0085】
上記実施の形態では、外観検査装置1は、寸法検査部21を備える場合について説明したが、備えていなくても良い。この場合、外観検査部が第一の演算部を備えていればよい。
また、外観検査装置1は、画像範囲特定部34、外観合否判定部36、外観合否表示部37を備える場合について説明したが、これらを備えていなくても良い。
また、上記実施の形態では、外観検査システム100は、走査位置検出体45を備える場合について説明したが、走査位置検出体45を備えていなくても良い。
【0086】
また、上記の実施形態では、先に撮像手段を用いて二次元画像が取得され、遅れて三次元計測手段を用いて三次元データが取得される場合について説明したが、三次元計測手段と撮像手段との配置を変更して、先に三次元計測手段を用いて三次元データを取得する構成としても良い。