特許第6382172号(P6382172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382172
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】パンツ型おむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20180820BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20180820BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20180820BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61F13/535
   A61F13/49 312Z
   A61F13/49 410
   A61F13/49 315A
   A61F13/494 100
   A61F13/496
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-197239(P2015-197239)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-64328(P2017-64328A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】向井 敬智
(72)【発明者】
【氏名】二宮 彰秀
(72)【発明者】
【氏名】潮見 明久
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−240695(JP,A)
【文献】 特開平09−271488(JP,A)
【文献】 特開2012−125483(JP,A)
【文献】 特開2013−172861(JP,A)
【文献】 特開2009−178382(JP,A)
【文献】 特開2008−104602(JP,A)
【文献】 特開2011−240054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する幅方向及び長手方向を有し、
前胴回り部材と、後胴回り部材と、前記前胴回り部材から前記後胴回り部材にわたって延びている吸収体本体と、前記吸収体本体に配置されている吸収体と、前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材において前記長手方向に所定間隔を空けて配置された複数の弾性部材とを有するパンツ型おむつであって、
前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材の両側部が接合されてウエスト開口部及び脚開口部が形成されており、
前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材の少なくとも一方において、前記吸収体に重なっており前記吸収体の前記長手方向に沿う両側縁を含む前記幅方向外側の両側に前記弾性部材が伸縮可能な伸縮域を有し、かつ、前記吸収体の前記両側縁よりも前記幅方向内側に前記弾性部材が伸縮不能な非伸縮域を有し、
前記両側縁を含む前記幅方向外側の一方側の前記伸縮域の前記幅方向内側の端部の位置と、前記両側縁を含む前記幅方向外側の他方側の前記伸縮域の前記幅方向内側の端部の位置とが、前記長手方向において互いにずれて設けられていることを特徴とするパンツ型おむつ。
【請求項2】
前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材の少なくとも一方において、一対のシート部材の間に前記弾性部材及び接着剤が積層されており、
前記非伸縮域における前記一対のシート部材の間に配置した前記接着剤の秤量は、前記伸縮域の前記弾性部材に沿って配置した前記接着剤の秤量よりも低くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパンツ型おむつ。
【請求項3】
前記両側縁を含む前記幅方向外側において、前記両側縁側における前記所定間隔は、5mm〜50mmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のパンツ型おむつ。
【請求項4】
前記長手方向において、前記一方側の前記伸縮域の前記幅方向内側の端部及び前記他方側の前記伸縮域の前記幅方向内側の端部が交互に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【請求項5】
前記両側縁を含む前記幅方向外側の一方側及び他方側における前記所定間隔は、等間隔となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【請求項6】
前記両側縁を含む前記幅方向外側の両側の少なくとも一方側において、前記伸縮域の前記幅方向の長さが前記長手方向で異なるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【請求項7】
前記吸収体は、肌当接面側に配置された第1層吸収体と、前記第1層吸収体よりも非肌当接面側に配置された第2層吸収体とを有し、
前記弾性部材は、前記吸収体が配置されている領域のうち、少なくとも前記第1層吸収体及び前記第2層吸収体のいずれか一方のみが配置されている領域における前記両側縁を含む前記幅方向外側に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【請求項8】
前記吸収本体は、前記両側縁よりも前記幅方向外側に位置する両側部を有し、
前記両側部を含む前記吸収体本体の両側部には、前記長手方向に沿って延びる固定端と、カフ弾性部材が前記長手方向に配置されて肌当接面側に起立する自由端とを有する防漏カフを有し、
前記前胴回り部材又は前記後胴回り部材と前記自由端の配置領域とが重なる部分において、前記伸縮域は、前記自由端よりも前記幅方向外側に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【請求項9】
前記弾性部材のうち、前記脚開口部側に配置された複数の脚周り弾性部材は、前記弾性部材よりも前記長手方向の間隔が狭く、かつ、前記一方側における前記脚周り弾性部材の前記長手方向の位置と同じ位置に前記他方側における前記脚周り弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【請求項10】
前記伸縮域の前記幅方向内側の端部は、前記両側縁に重なるように形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のパンツ型おむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前胴回り部材の幅方向の中央領域(吸収体が配置されている領域)において、幅方向に伸縮可能な弾性部材(フィットギャザー用弾性部材)を切断することによって、かかる弾性部材の幅方向における伸縮性を部分的に抑制して吸収体を極力平坦な状態に維持し、吸収体の有効吸収幅を広く確保するように構成されているパンツ型おむつが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-221122号公報(段落0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の前胴回り部材の幅方向の中央領域において弾性部材を切断し、かかる弾性部材が伸縮不能な非伸縮域を形成したとしても、かかる非伸縮域の幅方向外側の両側で長手方向の等しい位置に等しい長さの伸縮域となるよう長手方向の等しい位置に弾性部材が配置されていると、弾性部材の収縮による吸収体の有効吸収幅の低減を抑えることができるものの、かかる非伸縮域に弾性部材が存在すると仮想した部分に吸収体の幅方向に皺が生じる傾向にあることで、吸収体にたくれが生じ、着用者と吸収体との間に隙間ができ易いという問題点があった。
【0005】
さらに、着用者が、パンツ型おむつを片側ずつ引き上げようとする場合に、かかるパンツ型おむつを手に持った一方側にかかる力が他方側に設けられている弾性部材に伝わり、かかるパンツ型おむつの引き上げに際して着用者が感じる抵抗を増大させる傾向がある。このことは、身体の不自由な高齢者にとって不便であるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、吸収体の有効吸収幅を広く確保するとともに、着用者と吸収体との間の隙間の形成を抑制し、併せて、着用時に感じる抵抗を低減することのできるパンツ型おむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、互いに直交する幅方向及び長手方向を有し、前胴回り部材と、後胴回り部材と、前記前胴回り部材から後胴回り部材にわたって延びる吸収体本体と、前記吸収体本体に配置されている吸収体と、前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材において前記長手方向に所定間隔を空けて配置された複数の弾性部材とを有するパンツ型おむつであって、前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材の両側部が接合されてウエスト開口部及び脚開口部が形成されており、前記前胴回り部材及び前記後胴回り部材の少なくとも一方において、前記吸収体に重なっており前記吸収体の前記長手方向に沿う両側縁を含む前記幅方向外側の両側に前記弾性部材が伸縮可能な伸縮域を有し、かつ、前記吸収体の前記両側縁よりも前記幅方向内側に前記弾性部材が伸縮不能な非伸縮域を有し、前記両側縁を含む前記幅方向外側の一方側の前記伸縮域の前記幅方向内側の端部の位置と、前記両側縁を含む前記幅方向外側の他方側の前記伸縮域の前記幅方向内側の端部の位置とが、前記長手方向において互いにずれて設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、吸収体の有効吸収幅を広く確保するとともに、着用者と吸収体との間の隙間の形成を抑制し、併せて、着用時に感じる抵抗を低減することのできるパンツ型おむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るパンツ型おむつの一例の外観図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るパンツ型おむつの一例を接合部分で破断して展開した平面図(肌当接面側)である。
図3図2におけるX-X断面図である。
図4】本発明の変更例に係るパンツ型おむつの一例を接合部分で破断して展開した平面図(肌当接面側)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係るパンツ型おむつ1について説明する。
【0011】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0012】
したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0013】
図1図3に示すように、本実施形態に係るパンツ型おむつ1は、互いに直交する幅方向W及び長手方向Lを有し、前胴回り部材(前身頃)4と、後胴回り部材(後身頃)5と、吸収体本体(内装体)3と、吸収体(吸収体コア)30と、複数の弾性部材WG、FG、LGとを有する。
【0014】
また、本実施形態に係るパンツ型おむつ1では、前胴回り部材4及び後胴回り部材5の両側部50Eが接合されてウエスト開口部H2及び脚開口部H1が形成されている。
【0015】
吸収体本体3は、前胴回り部材4及び後胴回り部材5に延びている。例えば、吸収体本体3は、前胴回り部材4及び後胴回り部材5に重なって配置されていてもよいし、前胴回り部材4及び後胴回り部材5の少なくとも一方にのみ重なって配置されていてもよい。なお、吸収体30は、吸収体本体3に配置されている。
【0016】
また、弾性部材WG、FG、LGは、前胴回り部材4及び後胴回り部材5において長手方向Lに所定間隔を空けて配置されている。ここで、弾性部材WGは、ウエスト開口部H2側に配置されておりウェストギャザーを構成する弾性部材(胴回り弾性部材)であり、弾性部材FGは、フィットギャザーを構成する弾性部材であり、弾性部材LGは、脚開口部H1側に配置されておりレッグギャザーを構成する弾性部材(脚周り弾性部材)である。
【0017】
図3に示すように、前胴回り部材4及び後胴回り部材5において、トップシート20及びバックシート10(一対のシート部材)の間に弾性部材WG、FG、LG及び接着剤が積層されるように構成されている。
【0018】
また、吸収体本体3において、トップシート40及びバックシート41(一対のシート部材)の間に吸収体30及び接着剤が積層されるように構成されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、前胴回り部材4及び後胴回り部材5の少なくとも一方において、伸縮域A及び非伸縮域Bが設けられている。本実施形態に係るパンツ型おむつ1では、前胴回り部材4のみにおいて、伸縮域A及び非伸縮域Bが設けられているケースについて説明するが、本発明は、かかるケースに限定されない。
【0020】
ここで、伸縮域Aは、吸収体30に重なっており吸収体30の長手方向Lに沿う両側縁30Eを含む幅方向W外側の両側(両側縁30Eの左右両側)に設けられており、弾性部材FG(或いは、弾性部材LG、以下同じ)が伸縮可能な領域である。伸縮域Aにおいて、弾性部材FGは、バックシート10(及び、トップシート20)に接合されている。本実施形態において、上述の両側縁30Eは、吸収体30の幅方向W外側の縁から幅方向W内側の約10mmの領域を含むものとする。
【0021】
一方、非伸縮域Bは、吸収体30の両側縁30Eよりも幅方向W内側に設けられており、弾性部材FGが伸縮不能な領域である。
【0022】
ここで、弾性部材FGが伸縮不能な非伸縮域Bとは、弾性部材FGが伸張状態で固定配置されていないことを意味し、10%程度までの伸縮率であれば伸縮されていないとみなす。伸縮率の求め方は、弾性部材FGが存在する箇所を、パンツ型おむつ1を長手方向L及び幅方向Wに皺がない状態にまで引張り固定した状態で、弾性部材FGと重なる位置の部材全体をパンツ型おむつ1の幅方向Wの一定長さAmmを切り取り出し、その中に含まれる弾性部材FGのみをトルエン等に浸した後、取り出し、乾燥後の長さBmmを測定する。伸縮率は(A/B×100―100)%となる。マイナスの場合の伸張率はゼロとみなす。すなわち、かかる非伸縮域Bでは、弾性部材FGは、前胴回り部材4のトップシート20及びバックシート10に伸張状態で接合されていない。
【0023】
なお、非伸縮域Bの幅方向W外側において、伸縮域Aの幅方向の長さの1/2以下の弾性部材FGは、バックシート10(及び、トップシート20)に接合されていてもよい。このように弾性部材FGがバックシート10(及び、トップシート20)に接合されている領域は、伸縮域Aとはみなさないものとする。
【0024】
このように、非伸縮域Bの幅方向W外側において伸縮域Aの幅方向Wの長さの1/2以下の領域で弾性部材FGがバックシート10(及び、トップシート20)に接合されていたとしても、弾性部材FGの長手方向Lにおけるずれによる皺の低減効果が得られやすい。
【0025】
図2に示すように、両側縁30Eを含む幅方向W外側の一方側(例えば、両側縁30Eの左側)の伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1の位置と、両側縁30Eを含む幅方向W外側の他方側(例えば、両側縁30Eの右側)の伸縮域Aの幅方向W内側の端部E2の位置とが、長手方向Lにおいて互いにずれて設けられている。すなわち、幅方向における同一直線上に伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1と幅方向W内側の端部E2がない。
【0026】
ここで、両側縁30Eを含む幅方向W外側の一方側(例えば、両側縁30Eの左側)の伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1の位置と、両側縁30Eを含む幅方向W外側の他方側(例えば、両側縁30Eの右側)の伸縮域Aの幅方向W内側の端部E2の位置とが、長手方向Lにおいて互いにずれて設けられているか否かについては、各伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1、E2に存在する弾性部材FGのウエスト開口部H2からの距離を測定することによって確認することができる。すなわち、各伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1、E2に存在する弾性部材FGのウエスト開口部H2からの距離が異なる場合はずれているといえる。
【0027】
かかる構成によれば、非伸縮域Bが設けられていることで、吸収体30が配置されている領域における伸縮性が抑制されるため、吸収体30を前胴回り部材4において平坦な状態に維持し、吸収体30の有効吸収幅を広く確保することができる。
【0028】
また、かかる構成によれば、吸収体が配置されている領域の両側縁30Eを含む幅方向W外側の一方側と他方側との間で、弾性部材FGの幅方向W内側の端部E1、E2の位置が、長手方向Lにおいて互いにずれて設けられていることで、吸収体30が配置されている領域に幅方向Wに沿って皺が生じるのを抑制し、着用者と吸収体との間に隙間ができるのを防止することができる。
【0029】
さらに、かかる構成によれば、着用者がパンツ型おむつ1を片側ずつ引き上げようとする場合に、パンツ型おむつ1を手に持った一方側にかかる力が他方側に設けられている弾性部材に伝わり難い状態として、着用時に感じる抵抗を低減することができる。
【0030】
また、本実施形態に係るパンツ型おむつ1では、非伸縮域Bにおけるトップシート20及びバックシート10(一対のシート部材)の間に配置した接着剤の秤量は、伸縮域Aの弾性部材FGに沿って配置した接着剤の秤量よりも低くなるように構成されていてもよい。
【0031】
かかる構成によれば、弾性部材FGが不連続な状態にある非伸縮域Bにおける接着剤の秤量(目付)が、弾性部材FGが連続な状態にある伸縮域Aにおける接着剤の秤量(目付)よりも低いことで、吸収体が配置されている領域の柔軟性を確保し、前胴回り部材4及び後胴回り部材5を全体として柔軟に構成することができる上、伸縮域Aの弾性部材FGがバックシート10(或いは、トップシート20)と強固に接合されているため、パンツ型おむつ1を引き上げようとする力をパンツ型おむつ1全体に伝えやすい。
【0032】
さらに、本実施形態に係るパンツ型おむつ1では、長手方向Lにおいて、両側縁30Eの一方側の伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1及び両側縁30Eの他方側の伸縮域Aの幅方向W内側の端部E2が交互に配置されていてもよい。すなわち、吸収体30の両側縁30Eを含む幅方向W外側の両側(左側及び右側)における弾性部材FGにおいて、吸収体30の幅方向Wの中心に最も距離が近い伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1/E2の位置を左側及び右側で比較した場合、それぞれの伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1/E2の長手方向Lにおいて互いにずれて設けられている。
【0033】
また、両側縁30Eを含む幅方向W外側において、両側縁30E側で弾性部材FGが長手方向Lに配置されている所定間隔は、5mm〜50mmの範囲にあってもよい。かかる所定間隔が5mmよりも小さいと、弾性部材FGの長手方向Lにおけるずれによる皺の低減効果が減少し、幅方向Wに皺が形成されやすくなる上、伸長応力が高くなるため、パンツ型おむつ1の引き上げに力を要してしまう。一方、かかる所定間隔が50mmより広いと、着用者の身体へのフィット性が低下してしまう。
【0034】
また、吸収体30の両側縁30Eを含む幅方向W外側の一方側(例えば、左側)及び他方側(例えば、右側)における所定間隔は、ほぼ等間隔になるように構成されていてもよい。かかる構成によれば、両側縁30Eの両側において均等に伸縮域Aを設けることができ、外観を損ねることなく、フィット性を高め着用時のずれを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るパンツ型おむつ1では、吸収体30の両側縁30Eを含む幅方向W外側の両側の少なくとも一方側(例えば、両側縁30Eの左側)において、伸長域Aの幅方向Wの長さが長手方向Lで異なるように構成されていてもよい。
【0036】
かかる構成によれば、長手方向Lに所定間隔を空けて配置している複数の弾性部材FGにより形成される伸縮域Aの幅方向Wの長さが長手方向Lで異なることで、パンツ型おむつ1の伸縮性を幅方向Wで調整することができる。これにより、部位に応じてフィット性を確保しつつ、伸縮域Aの幅方向Wの長さが短い部分は一様に比較的幅方向Wの長さが長い伸縮域Aを設けるよりも弱い力で前胴回り部材4(或いは、後胴回り部材5)を引き伸ばしやすい。
【0037】
また、かかる構成によれば、弾性部材FGが存在すると仮想した部分にあたる非伸縮域Bの幅方向Wの長さが長手方向Lで異なるので、非伸縮域Bに幅方向Wに沿った皺がさらにできにくい。
【0038】
ここで、本実施形態に係るパンツ型おむつ1において、吸収体30は、肌当接面側に配置された第1層吸収体と、第1層吸収体よりも非肌当接面側に配置された第2層吸収体とを有していてもよい。かかる場合、弾性部材FGは、吸収体30が配置されている領域のうち、少なくとも第1層吸収体及び第2層吸収体のいずれか一方のみが配置されている領域における両側縁30Eを含む幅方向W外側に配置されるように構成されていてもよい。
【0039】
かかる構成によれば、吸収体30が配置されている領域のうち、第1層吸収体及び第2層吸収体のいずれか一方のみが配置されている領域に弾性部材FGが備わることで、1つの層のみの吸収体30が配置されている領域があることによる吸収体30着用者の身体へのフィット性を高めつつ、比較的に皺が生じ易い1つの層のみの吸収体30が配置されている領域に皺が形成されるのを防止し、吸収体30の有効吸収幅を効果的に確保することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るパンツ型おむつ1では、吸収性本体3は、吸収体30の両側縁30Eよりも幅方向W外側に位置する両側部S1を有していてもよい。ここで、図2に示すように、両側部S1を含む吸収体本体3の幅方向Wの両側部には、長手方向Lに沿って延びる固定端LSG1と、カフ弾性部材が長手方向Lに配置されて肌当接面側に起立する自由端LSG2とを有する防漏カフLSGを有していてもよい。
【0041】
防漏カフLSGは、液不透過性のサイドシート及び防漏弾性部材によって形成されている。サイドシートの幅方向Wにおける端部は、折り返されており、サイドシート同士が重なり合っている。ここで、サイドシート同士が重なり合っている部分に、長手方向Lに沿って伸長した状態で防漏弾性材が複数設けられている。
【0042】
図2に示すように、前胴回り部材4(或いは、後胴回り部材5)と自由端LSG2の配置領域とが重なる部分において、伸縮域Aは、自由端LSG2よりも幅方向W外側に配置されるように構成されていてもよい。
【0043】
かかる構成によれば、吸収体本体3の両側縁に設けられている防漏カフLSGの起立支点部となる長手方向Lに沿って延びる固定端LSG1を幅方向Wに引張り起立性を高めるとともに、伸縮域Aが防漏カフLSGの起立領域を横断していないので、防漏カフLSGの起立を妨げず横漏れを防止することができる。
【0044】
本実施形態に係るパンツ型おむつ1において、図2に示すように、前胴回り部材4において、複数の脚周り弾性部材LGは、複数の弾性部材FGよりも長手方向Lの間隔が狭く、かつ、両側縁30Eを含む幅方向W外側の一方側(例えば、両側縁30Eの左側)における脚周り弾性部材LGの長手方向Lの位置と同じ位置に、両側縁30Eを含む幅方向W外側の他方側(例えば、両側縁30Eの右側)における脚周り弾性部材LGが配置されていてもよい。
【0045】
かかる構成によれば、着用者がウエスト開口部H2を手で引き上げるときに、もっとも手から離れ吸収体30を引き上げる力が必要となる脚開口部H1においては、脚周り弾性部材LGの間隔を小さくすることで引き上げる力を吸収体30に伝えやすくし、伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1、E2同士が長手方向Lにおいて同じ位置にあることで、装着後に脚開口部H1においては長手方向Lに均等に弾性部材LGによる伸長応力を設定できるので、片側だけお尻にくいこむような違和感がなく体にフィットさせられる。
【0046】
本実施形態に係るパンツ型おむつ1において、伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1、E2が、吸収体30の両側縁30Eに重なるように形成されていてもよい。
【0047】
かかる構成によれば、着用者がウエスト開口部H2を手で引き上げるときに、もっとも手から離れ吸収体30を引き上げる力が必要となる脚開口部H1においては、弾性部材FGの伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1、E2を吸収体30の両側縁30Eに形成させることで、非伸縮域Bの幅を狭くすることができるので引き上げる力を伝えやすくするとともに、吸収体30の両側縁30Eを弾性部材FGにより引っ張ることになるため皺を確実に伸ばすことができる。
【0048】
(変更例)
以下、図4を参照して、本発明の変更例について、上述の第1の実施形態に係るパンツ型おむつ1との相違点に着目して説明する。
【0049】
図4に示すように、本変更例に係るパンツ型おむつにおいて、前胴回り部材4及び後胴回り部材5の少なくとも一方は、第1領域R1及び第2領域R2を有している。図4の例では、前胴回り部材4のみにおいて、第1領域R1及び第2領域R2が設けられているケースについて説明するが、本発明は、かかるケースに限定されない。
【0050】
ここで、第1領域R1は、吸収体30が配置されている領域の長手方向Lに沿う両側縁30Eを含む幅方向W外側に設けられている領域であり、第2領域R2は、第1領域R1よりも幅方向W外側に設けられている領域である。
【0051】
図4に示すように。本変更例に係るパンツ型おむつにおいて、第1領域R1及び第2領域R2に渡って幅方向Wに延びている伸縮域A1及び第2領域R2内でのみ幅方向Wに延びている伸縮域A2が設けられている。
【0052】
本変更例に係るパンツ型おむつでは、両側縁30Eよりも幅方向W外側の一方側(例えば、両側縁30Eの左側)と他方側(例えば、両側縁30Eの右側)との間で、伸縮域A1に設けられている弾性部材FGの吸収体30に近い幅方向W内側の端部E1、E2同士は、長手方向Lにおいて互いにずれて設けられている。すなわち、幅方向Wにおける同一直線上に伸縮域Aの幅方向W内側の端部E1と幅方向W内側の端部E2がない。
【0053】
かかる構成によれば、吸収体30が配置されている領域に幅方向Wに沿って皺が生じるのを抑制し、着用者と吸収体30との間に隙間ができるのを防止することができる。一方、本変更例に係るパンツ型おむつでは、両側縁30Eよりも幅方向W外側の一方側(例えば、両側縁30Eの左側)と他方側(例えば、両側縁30Eの右側)との間で、伸縮域A2に設けられている弾性部材FGの幅方向W内側の端部E1、E2は、幅方向Wにおいて互いにずれて設けられていてもよいし、幅方向Wにおいて互いにずれずに設けられていてもよいが第1領域R1及び第2領域R2に渡って幅方向Wに延びている伸縮域A1及び第2領域R2内でのみ幅方向Wに延びている伸縮域A2が設けられている構成が長手方向Lに交互に形成されることで、第1領域R1の伸長応力を低くする一方、第2領域R2の伸張応力を強くすることが可能となるので、伸縮性を幅方向Wで調整することができる。この結果、例えば、パンツ型おむつ1を着用するに際し、伸長応力の小さい第1領域R1からパンツ型おむつ1を広げることが可能となり、吸収体30を含むより広い範囲に亘って皺が生じるのを抑制し、吸収体30を大きく広げた状態で着用可能として、吸収体30の装着性をより良好なものとすることができる。
【0054】
また、本変更例に係るパンツ型おむつ1では、第1領域において、所定間隔は、5mm〜50mmの範囲にあってもよい。第1領域において、かかる所定間隔が5mmよりも小さいと、弾性部材FGの長手方向Lにおけるずれによる皺の低減効果が減少し、幅方向Wに皺が形成されやすくなる上、伸長応力が高くなるため、パンツ型おむつ1の引き上げに力を要してしまう。一方、第1領域において、かかる所定間隔が50mmより広いと、着用者の身体へのフィット性が低下してしまう。
【0055】
ここで、本変更例に係るパンツ型おむつ1において、吸収体30は、肌当接面側に配置された第1層吸収体30Aと、第1層吸収体よりも非肌当接面側に配置された第2層吸収体30Bとを有していてもよい。かかる場合、弾性部材FGは、吸収体30が配置されている領域のうち、少なくとも第1層吸収体30A及び第2層吸収体30Bのいずれか一方のみが配置されている領域における両側縁30Eを含む幅方向W外側に配置されるように構成されていてもよい。
【0056】
かかる構成によれば、吸収体30が配置されている領域のうち、第1層吸収体30A及び第2層吸収体30Bのいずれか一方のみが配置されている領域に弾性部材FGが備わることで、1つの層のみの吸収体30が配置されている領域があることによる吸収体30着用者の身体へのフィット性を高めつつ、比較的に皺が生じ易い1つの層のみの吸収体30が配置されている領域に皺が形成されるのを防止し、吸収体30の有効吸収幅を効果的に確保することができる。
【0057】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0058】
1…パンツ型おむつ
10、41…バックシート
20、40…トップシート
3…吸収体本体
30…吸収体
30A…第1層吸収体
30B…第2層吸収体
30E…両側縁
4…前胴回り部材
5…後胴回り部材
50…接合部分
A…伸縮域
B…非伸縮域
FG、WG、LG…弾性部材
S1…両側部
LSG…防漏カフ
LSG1…固定端
LSG2…自由端
H1…脚開口部
H2…ウエスト開口部
図1
図2
図3
図4