特許第6382417号(P6382417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382417安定性が向上されたCW DUVレーザー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382417
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】安定性が向上されたCW DUVレーザー
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/37 20060101AFI20180820BHJP
   H01S 3/109 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G02F1/37
   H01S3/109
   H01L21/66 J
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-174729(P2017-174729)
(22)【出願日】2017年9月12日
(62)【分割の表示】特願2016-519621(P2016-519621)の分割
【原出願日】2014年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-219870(P2017-219870A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】61/833,716
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/294,019
(32)【優先日】2014年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュワーン ユン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ シヤオシュイ
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−086193(JP,A)
【文献】 特開2003−161974(JP,A)
【文献】 特表2012−522375(JP,A)
【文献】 特開2011−215472(JP,A)
【文献】 特開2002−258339(JP,A)
【文献】 特開2000−338530(JP,A)
【文献】 特表2016−526699(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/154468(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0211773(US,A1)
【文献】 米国特許第06005878(US,A)
【文献】 米国特許第05742626(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0067035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/37
H01L 21/66
H01S 3/109
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザーであって、
約1μm〜1.1μmの対応する波長を持つ基本波周波数を発生させるように構成された基本波CWレーザーと、
記基本波周波数の第1の部分を使用して、3次高調波を発生させるように構成された3次高調波発生器モジュールと、
次高調波発生器モジュールであって、
前記基本波周波数に対応する波長で共振する空洞を形成し、前記3次高調波と前記基本波周波数の第2の部分とを前記空洞内で操作可能に結合するように構成された複数の光学素子と、
操作可能に前記空洞に配置され、前記第2の基本波周波数部分と前記3次高調波とを組み合わせることにより、5次高調波を発生させるように集合的に構成された、第1の非線形光学(NLO)結晶と第2の非線形光学(NLO)結晶と、
を有する次高調波発生器モジュールと、
を備える、レーザー。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザーであって、前記空洞を形成する前記複数の光学素子のうち第1の光学素子は入力結合器を含み、前記5次高調波発生器モジュールは、前記入力結合器を通って、前記空洞内に前記第2の基本波周波数部分を集束および結合させるように構成されたモード整合レンズをさらに含む、レーザー。
【請求項3】
請求項1に記載のレーザーであって、前記複数の光学素子のうち第2の光学素子は、前記第2の基本波周波数部分を空洞光路に沿って反射させ、前記3次高調波が、前記第1の非線形光学(NLO)結晶内で前記第2の基本波周波数部分と重なり合うように、前記空洞を通過するように構成されたダイクロイック曲面鏡を含み、
前記5次高調波発生器モジュールは、前記第1の非線形光学(NLO)結晶内に前記3次高調波を集束させるように構成された1以上の第1のレンズをさらに備える、レーザー。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザーであって、前記第1の非線形光学(NLO)結晶は、前記第2の基本波周波数部分と前記3次高調波とを加算することにより、4次高調波を発生させるように構成された、レーザー。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザーであって、前記第1の非線形光学(NLO)結晶は、CLBO、CBO、LBO、LB4、およびBBOのうち1つを含む、レーザー。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザーであって、前記5次高調波発生器モジュールは、前記空洞光路に操作可能に配置され、前記第1の非線形光学(NLO)結晶を通過した未消費の3次高調波を前記空洞外へそらすように構成された、第1のビームスプリッタをさらに含む、レーザー。
【請求項7】
請求項4に記載のレーザーであって、前記5次高調波発生器モジュールは、前記第1の非線形光学(NLO)結晶と前記第2の非線形光学(NLO)結晶との間の前記空洞光路に配置され、未消費の基本波周波数部分と前記第4次高調波との周波数加算により前記第5次高調波を発生させるように、前記第2の基本波周波数部分の未消費部分と前記4次高調波を前記第2の非線形光学(NLO)結晶内に集束するように構成される、1以上の第2のレンズをさらに含む、レーザー。
【請求項8】
請求項7に記載のレーザーであって、前記1以上の第2のレンズは、1以上のアクロマティックレンズを含む、レーザー。
【請求項9】
請求項1に記載のレーザーであって、前記第2の非線形光学(NLO)結晶は、CLBO、LB4、およびBBOのうち1つを含む、レーザー。
【請求項10】
請求項1に記載のレーザーであって、前記5次高調波発生器モジュールは、前記第2の非線形光学(NLO)結晶を通過した前記基本波周波数の第2の未消費部分を前記空洞光路に沿って透過させ、前記5次高調波と前記4次高調波の未消費部分を前記空洞外へそらすように構成された第2のビームスプリッタをさらに含む、レーザー。
【請求項11】
深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザーであって、
約1μm〜1.1μmの対応する波長を持つ基本波周波数を発生させるように構成された基本波CWレーザーと、
前記基本波周波数の第1の部分を使用して、3次高調波を発生させるように構成された3次高調波発生器モジュールと、
5次高調波発生器モジュールであって、
ボウタイ空洞の光路を有し、前記基本波周波数の前記対応する波長に共振する空洞を形成するように構成された複数の光学素子を含み、前記複数の光学素子のうち少なくとも1つは、前記基本波周波数の第2の部分と前記3次高調波とを前記空洞内に操作可能に結合するように構成され、さらに、
前記空洞光路に配置される第1の非線形光学(NLO)結晶と、
前記3次高調波を前記第1の非線形光学(NLO)結晶内に集束するように構成され、前記第1の非線形光学(NLO)結晶は、前記第2の基本波周波数部分と前記3次高調波とを組み合わせて、4次高調波を発生させるように構成された、1以上の第1のレンズと、
前記空洞光路に配置された第2の非線形光学(NLO)結晶と、
前記4次高調波を前記第2の非線形光学(NLO)結晶内に集束するように構成され、前記第2の非線形光学(NLO)結晶は、未消費の基本波周波数部分と前記4次高調波とを組み合わせて周波数加算により5次高調波を発生させるように構成された、1以上の第2のレンズと、
を有する5次高調波発生器モジュールと、
を備える、レーザー。
【請求項12】
深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザー照射を発生させる方法であって、
それぞれが約1μm〜1.1μmの対応する波長を持つ基本波周波数を有する、第1の基本波周波数部分と第2の基本波周波数部分とを発生させることと、
前記第1の基本波周波数部分を3次高調波に変換させることと、
空洞に操作可能に配置され、前記第2の基本波周波数部分と前記3次高調波との和周波発生を実行するように構成された第1の非線形光学(NLO)結晶内に前記3次高調波を集束させることにより、4次高調波を発生させることと、
前記空洞に操作可能に配置され、前記第2の基本波周波数部分の未消費部分と前記4次高調波との和周波発生を実行するように構成された、第2の非線形光学(NLO)結晶内に前記4次高調波を集束させることにより、5次高調波を発生させることと、
前記5次高調波と前記4次高調波の未消費部分とを前記空洞外へそらすことと、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記4次高調波の前記発生は、入力結合器を使用して前記第2の基本波周波数部分を前記空洞内に結合させ、前記第2の基本波周波数部分が空洞光路に沿ってダイクロイック曲面鏡の方へ向けられるようにすることと、
前記ダイクロイック曲面鏡を使用して、前記第2の基本波周波数部分を反射させるとともに前記3次高調波を前記空洞内に結合させ、前記第2の部分と前記3次高調波がいずれも前記空洞光路の一部に沿って前記第1の線形光学(NLO)結晶の方へ向けられるようにすることを含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記4次高調波の前記発生は、1以上の第1のレンズを使用して、前記3次高調波が前記第1の非線形光学(NLO)結晶内で前記第2の基本波周波数部分と重なり合うように、前記3次高調波を前記第1の非線形光学(NLO)結晶内に集束させることをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、前記第1の非線形光学(NLO)結晶から出た前記3次高調波の未消費部分をそらし、前記未消費の3次高周波部分が前記空洞内で再循環しないようにすることをさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、前記5次高調波の前記発生は、1以上の第2のレンズを使用して、前記第2の基本波周波数部分の未消費部分と前記4次高調波との周波数加算により前記5次高調波を発生させるように、前記第2の非線形光学(NLO)結晶内に前記4次高調波を集束させることを含む、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法であって、前記未消費の4次高調波部分は前記空洞内で再循環しないように、前記第2の非線形光学(NLO)結晶から出た前記4次高調波の未消費部分をそらすことをさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記未消費部分をそらすことは、ダイクロイック鏡およびプリズムのうち1つを使用して、未消費の基本波周波数を前記空洞光路に沿って循環可能にしつつ、前記4次高調波の前記未消費部分と前記5次高調波との両方を前記空洞外へそらすることをさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法であって、前記4次高調波の前記発生は、水素アニールされたCLBO、CBO、LBO、LB4、およびBBOのうち1つを含むバルク単結晶を使用することを含む、方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法であって、前記5次高調波の前記発生は、水素アニールされたCLBO、LB4、およびBBOのうち1つを含むバルク単結晶を使用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、Chuang et al.によって2013年6月11日に出願された「CW DUV Laser with Improved Stability」と題された米国仮特許出願第61/833,716号の優先権を主張し、同出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体の検査及び計測は、微小欠陥を検出するため及び/または微小寸法の非常に正確な測定を行うために、非常に安定した、低ノイズの光源を必要とする。UV光源、すなわち100〜400nmの波長を持つ光源が重要である理由は、一般に、短波長は微小な欠陥または寸法に対するよりよい感度を提供するからである。
【0003】
低ノイズ、高安定性のレーザーは、可視及び近赤外の波長については入手可能である。しかしながら、250mWを超えるパワーを有する入手可能な深UV CWレーザーは、非常に少なく、それらのレーザーは、高価で、高ノイズであり、長期安定性が悪く、頻繁な調節または保守を必要とし得る。
【0004】
現在入手可能な深UV(DUV)、すなわち300nmより短波長の、CWレーザーは、赤外(IR)基本波レーザーの4次高調波を発生させることによって動作する。2つの周波数変換ステージが使用される。第1のステージは、2次高調波を発生させ、第2のステージは、4次高調波を発生させる。各周波数変換ステージは、非線形光学(NLO)結晶を使用する。
【0005】
周波数2倍化プロセスは、電界強度の2乗に依存する。結晶内のパワー密度が低い場合、変換プロセスは、非常に非効率的である。数ワットまたは数十ワットのパワーの赤外レーザーは、NLO結晶内に集束される場合、低パワー密度のため、非常にわずかな2次高調波しかもたらさない。これは、相当量の2次高調波をもたらすことができる(最良の場合、入力のほぼ50%が2次高調波に変換され得る)同様の平均パワーレベルを有するパルスレーザーとは対照的であるが、その理由は、ピークパワー密度は、平均パワー密度より何倍も高いからである。
【0006】
DUV CW(連続波)レーザーは、変換効率を向上させるために、共振空洞を使用してNLO結晶内のパワー密度を上昇させる。2次高調波に変換されることなくNLO結晶を通過する光のほとんどは、パワー密度を蓄積させるために、共振空洞内で再循環させられる。2次高調波は、共振空洞から脱出することができる。最終的に、パワー密度は、2次高調波として共振空洞を離脱するパワーと共振空洞内の損失との和が入力パワーに等しくなるレベルにまで増大する。したがって、深UV波長を発生させるためには、これらの空洞の2つが直列に接続されなければならない。第1の共振空洞は、IR基本波を再循環させることによって2次高調波(すなわち、可視波長、典型的には532nm等のグリーン波長)を発生させ、第2の共振空洞は、2次高調波を再循環させることによって4次高調波(すなわち、266nm等の深UV波長)を発生させる。
【0007】
図1は、2つの共振空洞を含む、例示的な深UV CWレーザー100を図示する。レーザー100において、2次高調波を発生させるための第1の空洞は、鏡110、111、112、及び113、ならびにNLO結晶115を含む。4次高調波を発生させるための第2の空洞は、鏡130、131、132、及び133、ならびにNLO結晶135を含む。とりわけ、これらの空洞は、積極的に制御されなければならない。第1の空洞のための制御は、発振器104(周波数f1で信号を発生させる)、変調器103、フォトダイオード105、及び同期検出器106(鏡111の位置を制御するためのアクチュエータ制御信号107を発生させる)を含む。第2の空洞のための制御は、発振器124(周波数f2で信号を発生させる)、変調器123、フォトダイオード125、及び同期検出器126(鏡131の位置を制御するためのアクチュエータ制御信号127を発生させる)を含む。
【0008】
レーザー100は、1064nmの波長でIR光を発生させる基本波レーザー101を含む。このIR光は、鏡110を介して第1の空洞に入り、鏡111及び112から反射した後、NLO結晶115に入る。結晶115に入るIR光の一部は、532nmの波長の2次高調波に変換される。532nmの光は、鏡113を通過し、第2の空洞に方向付けされる。NLO結晶115を通過するIR光のほとんどは、変換されることなくNLO結晶から出現し、1064nmの光を反射させる一方で532nmの光を透過させるように被膜された鏡113から反射される。鏡113から反射された光は、入力鏡110に再び到来する。鏡110上の被膜は、鏡113からの光線の入射角で到来するIRに対しては高反射性となる一方で、基本波レーザー101から到来する入来IR照射に対しては高透過性となるように設計される。
【0009】
第1の空洞で高いパワー密度を蓄積するためには、第1の空洞内を循環してきたIR照射が、入来する照射と同位相で鏡110に到来することが重要である。この同位相の到来は、正確な空洞光路長を維持するために鏡111を機械的に動かすサーボ制御(例えば、圧電トランスデューサまたはボイスコイルによって)を使用することによって達成され得る。フォトダイオード105は、サーボ制御に信号を提供するために、第1の空洞内を循環する光のわずかな部分を監視する。入力レーザービームは、第1の空洞が調節される必要があるか、及びもしそうであればどの方向へかを判定するためにサーボ制御によって使用される時変信号を提供するために、変調器103によって周波数f1で変調される。第1の空洞のための上述のサーボ制御ループは、一般的に使用され、パウンド−ドレバー−ホール(PDH)制御として知られている。その理論は、Drever et al.,「Laser phase and frequency stabilization using an optical resonator」,Appl.Phys.B 31,pp97−105(1983)によって記載されている。追加の詳細は、例えば、1994年11月22日に交付され、「Laser light beam generating apparatus」と題された米国特許第5,367,531号、及びBlackによるLIGO Technical note LIGO−T980045−00−D(1998)に見ることができる。
【0010】
レーザーサーボ制御ループで一般的に使用される別の方式は、ヘンシュ−クイヨー(HC)技術である。この方式では、空洞に入る前のビームについては変調は不要である。しかしながら、これは、偏光感受型の空洞についてのみ機能する。この方式は、反射されたまたは透過された全ビームの偏光変化を検出して、空洞が共振しているか否かを判定する。この方式に関するさらなる詳細は、Hansch及びCouillaudによる「Laser frequency stabilization by polarization spectroscopy of a reflecting reference cavity」,Opt.Commun.35(3),441(1980)に見ることができる。
【0011】
第2の空洞は、入力波長が532nmであり出力波長が266nmであることを除いて、第1の空洞と実質的に同様の方法で動作する。第2空洞コンポーネントの被膜及び材料は、それらの波長のために適切に選択される。レーザー100において、第2の変調器123は、光を、第2の空洞に入る前に、周波数f2で変調する。光は、鏡130を通じて第2の空洞に入り、鏡131及び132から反射した後、NLO結晶135に入る。結晶135に入る光の一部は、266nmの波長の4次高調波に変換される。266nmの光は、鏡133を通過し、レーザー100の出力に方向付けされる。NLO結晶135を通過する光のほとんどは、変換されることなくNLO結晶から出現し、532nmの光を反射させる一方で266nmの光を透過させるように被膜された鏡133から反射される。鏡133から反射された光は、入力鏡130に再び到来する。鏡130上の被膜は、鏡133からの光線の入射角で到来する光に対しては高反射性となる一方で、変調器123から到来する入来光に対しては高透過性となるように設計される。フォトダイオード125は、循環する光のわずかな部分を検出する。125からの信号は、空洞の正確な光路長を維持するために鏡131の位置を制御する制御信号127を発生させるために、同期検出器126によって使用される。
【0012】
一部の実施形態(図示せず)では、変調器123及び発振器124は、省かれており、したがって、サーボループの両方は、同じ変調周波数で動作する。さらに他の実施形態(図示せず)では、変調器103及び123の両方は、省かれている。この場合、基本波レーザー101は、2つのモードが発生するようにレーザーを動作させることによって、変調出力を発生させる。それらの2つのモードは、2つのモード間のビートによって適切に変調された出力が発生するように、波長分離及び相対振幅を有するように選択することができる。
【0013】
1つまたは両方の空洞は、4つではなく2つまたは3つの鏡を備え得ることに留意されたい。
【0014】
一部の先行技術の装置では、DUV出力波長は、NLO結晶135と鏡133との間に設けられたビームスプリッタ(図示せず)によって、再循環する可視光から分離され得る。一部の先行技術の装置では、周期分極反転非線形光学(NLO)材料は、擬似位相整合によりグリーン及び/またはUVのCW光を発生させるために、周波数変換に使用される。現在、半導体検査に有用なパワーレベルでDUV光を発生させることのできる入手可能な周期分極反転材料は存在しない。
【0015】
上で説明したように、先行技術の装置では、2つの周波数2倍化用空洞が直列で使用され得る。この場合、第1の空洞は、IR領域の波長に対応する基本波周波数で共振し、第2の空洞は、IR光の波長の半分の波長を有する2次高調波周波数で共振する。同じ量の空洞の光路長変化に対して、第2の空洞の相変化は、第1の空洞と比較して2倍である。結果として、第2の空洞は、そのより高い感度のため、安定化させるのがより困難である。さらに、第1の空洞からのノイズは、典型的に、第2の空洞内へ結合し、安定性に著しい影響を及ぼし得、それにより第2の空洞の変換効率を損なう。とりわけ、第2の空洞のフィードバックループは、その入力光からのノイズと空洞自体からのノイズとを区別することができない。したがって、第2の空洞は、不整合を補償しようと絶えず試みる。結果として、この種の先行技術のCW DUVレーザーは、典型的に、非常に高ノイズであり、安定性のために複雑なサーボループを必要とする。
【0016】
先行技術の装置に関する別の制限は、空洞のフィードバックループが、空洞の光路長変化を補償するために空洞長を調節することしかできないことである。空洞の焦点または非点収差の変化は、空洞長を調節することによっては補償できない。
【0017】
例えば、非線形結晶内部の温度勾配は、その結晶内において不均一な屈折率分布を作り出す。結晶の平均屈折率のいかなる変化も、空洞の平均光路長を変化させ、物理的な空洞長の変化によって補償し得る。しかしながら、屈折率の空間的変動は、空洞内の光学系の焦点距離を変化させ得、及び/または循環するレーザービームの焦点に非点収差を作り出し得る。焦点の変化は、原則として、空洞が焦点の変化を検出し得るセンサを組み込んでいる場合は、空洞長の変化によって補償し得るが、必要とされる空洞長の変化は、光路長を維持し空洞を共振状態に保つために必要とされる空洞長の変化と同じではないであろう。したがって、焦点の補正は、レーザーの出力パワーを減少または不安定化させるであろう。非点収差は、異なる方向における異なる焦点位置によって引き起こされるため、いかなる空洞長の変化も、非点収差を補償することはできない。焦点及び非点収差の変化は、典型的に、第1よりも第2の空洞においてより深刻な問題であるが、その理由は、DUV光が、基本波または2次高調波の光によって誘起されるよりも大きなNLO結晶特性の変化を誘起し得るからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−086193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、約250mWを超えるパワーレベルを有し、低ノイズで、良好な長期安定性を有しながら、上記の欠点の一部または全部を克服するDUV CWレーザーの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本明細書に記載される向上されたレーザーシステム及び関連技術に従って、IRレーザーの基本波周波数の4次または5次高調波に対応する周波数を有する深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザーシステムは、ただ1つの共振空洞または2つのIR共振空洞により発生させることができる。向上されたレーザーシステムは、先行技術のDUV CWレーザーと比較して、より複雑でないフィードバックループ及びはるかに良好な安定性を有する。
【0021】
DUV CWレーザーシステムは、基本波CWレーザー、3次高調波発生器、及び4次高調波発生器を含む。基本波CWレーザーは、約1μm〜1.1μmの対応する波長を有する基本波周波数を発生させるように構成される。3次高調波発生器モジュールは、3次高調波を発生させるための、少なくとも1つの周期分極反転非線形光学(NLO)結晶を含む。4次高調波発生器モジュールは、基本波周波数で共振する空洞を含む。4次高調波発生器モジュールは、基本波周波数と3次高調波とを組み合わせて4次高調波を発生させるように構成される。
【0022】
別のDUV CWレーザーシステムは、基本波CWレーザー、3次高調波発生器、及び5次高調波発生器を含む。基本波CWレーザーは、約1μm〜1.1μmの対応する波長を有する基本波周波数を発生させるように構成される。3次高調波発生器モジュールは、3次高調波を発生させるための、少なくとも1つの周期分極反転NLO結晶を含む。5次高調波発生器モジュールは、基本波周波数と3次高調波とを組み合わせて5次高調波を発生させるための、基本波周波数で共振する空洞を含む。
【0023】
さらに別のDUV CWレーザーシステムは、基本波CWレーザー、3次高調波発生器、及び5次高調波発生器を含む。基本波CWレーザーは、約1μm〜1.1μmの対応する波長を有する基本波周波数を発生させるように構成される。3次高調波発生器モジュールは、2次高調波及び3次高調波を発生させるための、少なくとも1つの周期分極反転NLO結晶を含む。5次高調波発生器モジュールは、2次高調波と3次高調波とを組み合わせて5次高調波を発生させるための、2次高調波周波数で共振する空洞を含む。
【0024】
様々な実施形態は、以下の特徴を有し得る。3次高調波発生器モジュールは、共振空洞を使用しなくてもよい。3次高調波発生器モジュールはさらに、基本波周波数で共振する空洞を含み得る。少なくとも1つの周期分極反転NLO結晶は、2次高調波または3次高調波を発生させ得る。少なくとも1つの周期分極反転NLO結晶は、3次高調波の直接発生のために二重周期の分極反転結晶を含み得る。3次高調波発生器モジュールは、2つの周期分極反転NLO結晶を含み得る。少なくとも1つの周期分極反転NLO結晶は、3次高調波発生効率を最大化するために温度制御され得る。基本波周波数は、少なくとも1つの周期分極反転NLO結晶の分極反転深さに実質的に平行な短軸を有する楕円ビームに集束され得る。3次高調波発生器モジュールは、3次高調波の和周波発生のための3次擬似位相整合を達成するために、2μmより長いドメイン周期を有する周期分極反転NLO結晶を使用し得る。電気光学変調は、3次高調波変換効率を高めるために使用され得る。4次高調波発生器モジュールは、3次高調波を空洞内で再循環させなくてもよい。5次高調波発生器モジュールは、3次高調波を空洞内で再循環させなくてもよい。
【0025】
約1〜1.1μmの波長に対応する基本波周波数から4次高調波を発生させる方法が記載される。2次高調波周波数は、周期分極反転NLO結晶を使用して基本波周波数の一部を変換することによって作り出される。基本波周波数の別の一部は、2次高調波と組み合わせられて3次高調波を発生させる。4次高調波は、基本波周波数で共振する空洞において基本波周波数の別の一部と3次高調波とを組み合わせることによって作り出される。この方法では、基本波の空洞と2次高調波の空洞とを直列で使用する先行技術のシステムと比較すると、2次高調波で共振する空洞は、使用されない。2次高調波は、基本波周波数の波長の半分の波長を有するため、2次高調波周波数で共振する空洞は、基本波周波数で共振する空洞よりも不安定であり、ドリフト及び不安定性をより発生させやすい。
【0026】
約1〜1.1μmの波長に対応する基本波周波数から5次高調波を発生させる方法が記載される。基本波周波数の一部は、周期分極反転NLO結晶を使用して2次高調波に変換される。基本波周波数の別の一部は、2次高調波と組み合わせられて3次高調波を発生させる。4次高調波は、基本波周波数で共振する空洞において基本波周波数の別の一部と3次高調波とを組み合わせることによって発生する。5次高調波は、共振空洞内で4次高調波と再循環する基本波周波数とを組み合わせることによって発生する。
【0027】
約1〜1.1μmの波長に対応する基本波周波数から5次高調波を発生させる方法が記載される。基本波周波数の一部は、周期分極反転NLO結晶を使用して2次高調波に変換される。基本波周波数の別の一部は、2次高調波と組み合わせられて3次高調波を発生させる。5次高調波は、2次高調波周波数で共振する空洞内で2次高調波と3次高調波とを組み合わせることによって発生する。
【0028】
一実施形態では、2次高調波を発生させるNLO結晶は、いずれの共振空洞内にも設けられない。この実施形態では、1つの共振空洞、すなわち4次及び5次高調波を発生させる空洞のみが使用される。別の実施形態では、2次及び3次高調波を発生させるNLO結晶は、基本波周波数で共振する空洞に収容される。この実施形態では、2つの共振空洞が使用され、両方の空洞は、基本波周波数でのみ共振する。
【0029】
一実施形態では、2次及び3次高調波周波数を発生させるNLO結晶は、いずれの共振空洞内にも設けられない。この実施形態では、2次高調波周波数で共振する1つの共振空洞のみが使用される。5次高調波を発生させる空洞である。別の実施形態では、2次及び3次高調波を発生させるNLO結晶は、基本波周波数で共振する空洞に収容される。この実施形態では、2つの共振空洞が使用される。先行技術の装置のように、基本波周波数で共振する1つのものの後に、2次高調波周波数で共振する別のものが続く。とりわけ、この構成は、先行技術の装置と比較して、より高い周波数を発生させる。
【0030】
基本波レーザーが1064nmの波長を発生させる場合、4次高調波周波数が266nmの波長に対応し、5次高調波周波数が約213nmの波長に対応することに留意されたい。基本波レーザーのレーザー媒質は、イッテルビウムドープファイバ、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット結晶、ネオジムドープオルトバナジン酸イットリウム、またはネオジムドープバナジウム酸ガドリニウムを含み得る。
【0031】
3次高調波の直接発生は、光学媒質のχ(3)の低い非線形性及び位相整合の制約のため、困難である。したがって、本明細書で開示される向上されたレーザーでは、3次高調波発生は、入力ビームの周波数2倍化に始まり和周波発生がそれに続く縦続接続プロセスとして実現され、両方のプロセスは、χ(2)の非線形性を有する非線形結晶材料に基づく。
【0032】
3次高調波発生器モジュールの一実施形態では、周期分極反転結晶は、擬似位相整合(QPM)のために使用される。バルクNLO結晶による完全に位相整合された場合と比較して、QPMは、全ての相互作用する波に対して同じ偏光方向を使用することを可能にし、これは、しばしば、非線形テンソルのより強力な要素を使用することに対応する。変換効率は、臨界位相整合の場合よりも著しく高くなり得る。伝搬方向は、空間的ウォークオフが回避され、受光角が広くなるように、結晶の光軸沿いであり得る。さらに、周期分極反転結晶は、低減された光屈折を有し得るが、その理由は、配向の異なるドメインにおける効果は互いに打ち消し合う傾向があるからである。
【0033】
分極反転周期は、ある特定の非線形プロセスの疑似位相整合を行うことのできる波長を決定する。正しい分極反転周期の計算は、例えば、セルマイヤーの近似式から得られる屈折率の値に基づく。
【0034】
基本波周波数を発生させ、高品質の周期分極反転結晶を使用する高パワーの単周波数IRレーザー源の場合、単一パス方式は、後続の和周波発生ステージのための十分な3次高調波周波数を発生させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】2つの共振空洞を含む、例示的な先行技術の深UV CWレーザーを図示する。
図2A】単一パス構成の例示的な3次高調波発生器モジュールを図示する。
図2B】効率的な3次高調波発生のために単結晶を有する別の例示的な3次高調波発生器モジュールを図示する。
図2C】3次高調波発生用の基本波パワーを高めるために共振空洞を含む、さらに別の例示的な3次高調波発生器モジュールを図示する。
図3】ボウタイ空洞を含む、例示的な4次高調波発生器モジュールを図示する。
図4】ボウタイ空洞において4次高調波発生器モジュールからの4次高調波と基本波の未消費部分とを組み合わせて5次高調波を発生させるように構成された、例示的な5次高調波発生器モジュールを図示する。
図5】3次高調波発生器モジュールからの3次高調波と2次高調波の未消費部分(及び/または2次高調波)とを組み合わせて5次高調波を発生させる際に和周波発生を実行するように構成された、別の例示的な5次高調波発生器モジュールを図示する。
図6】基材からの透過及び反射光を測定するように構成された、例示的なレチクルまたはフォトマスク検査システムを図示する。
図7】異なる波長範囲に対して最適化された異なる対物で異なる波長または波長範囲を有する複数の光源を含む、例示的な検査システムを図示する。
図8】暗視野及び明視野検査モードを有する、例示的な反射屈折結像システムを図示する。
図9A】斜線照明を有する暗視野検査システムを図示する。
図9B】斜線照明を有する暗視野検査システムを図示する。
図10】表面上の異常を検査するために使用することのできる表面検査システムを図示する。
図11】垂直及び斜行照明ビームを使用して異常検出を実現するように構成された検査システムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2Aは、単一ポンピングパス構成の例示的な3次高調波発生器モジュール200を図示する。この実施形態では、周波数ωで動作する基本波レーザー201は、基本波202を発生させる。レンズ203は、2次高調波発生(SHG)のために、基本波202を第1の周期分極反転NLO結晶204に集束させるように位置決めされる。アクロマティックレンズ206は、和周波発生(SFG)のために、未消費の基本波(ω)とNLO結晶204から発生した2次高調波(2ω)205とを第2の周期分極反転NLO結晶207上に集束させるように位置決めされる。レンズ206は、一部の実施形態では、ダブレットを備え得る。NLO結晶204、207、及び/またはレンズ203、206の表面は、1つ以上の周波数における高透過性のために適切に被膜され得ることに留意されたい。ビームスプリッタ対208(またはプリズム)を使用して、発生した3次高調波(3ω)209、未消費の2次高調波(2ω)210、及び未消費の基本波(ω)211を分離させ得る。
【0037】
一部の実施形態では、1つ以上のNLO結晶204、207は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、定比タンタル酸リチウム(SLT)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リン酸チタニルカリウム(KTP)、砒素酸チタニルカリウム(KTA)、及び/または酸化マグネシウムドープニオブ酸リチウム(MgO:LiNbO)もしくは酸化マグネシウムドープ定比タンタル酸リチウム(MgO:SLT)等のドープ材料を含み得る。本明細書に記載される向上されたレーザーシステムの一部の実施形態では、10mmより長い結晶を使用して0.012%/Wより高い変換効率を達成し得る。
【0038】
一実施形態では、NLO結晶204、207の温度を制御して位相整合効率が最大化される。別の実施形態では、レンズ203、206は、それらの各ビームを周期分極反転NLO結晶の深さ方向に沿った短軸を有する楕円形に集束させ得るが、その理由は、特に必要な分極反転周期が短い場合に、結晶内部深くよりも表面付近で欠陥が少なく、分極反転周期がより均一になり得るからである。例えば、基本波及び2次高調波を約200μmのビーム直径に集束させる代わりに、それらは、結晶の頂面に対して実質的に平行に配向された約400μmの長軸と結晶の頂面に対して実質的に垂直な約100μmの短軸とを有する楕円形に集束させ得る。分極反転結晶の最も均一な領域は、表面から約100μm以内にあり得るため、楕円の短軸を約100μm以下に保つことは、変換効率及び結晶寿命を向上させ得る。好ましい実施形態では、2つの高調波の微小な相対変位が変換効率に与える影響が最小限に抑えられるように、高調波のうちの1つは、他方よりもわずかに広いスポットに集束されることになる。利用可能な基本波のパワーは、2次高調波のパワーよりも大きいため、2次高調波を基本波よりも密に集束させることが好ましい。例えば、基本波は、約400μm×約100μmの楕円に集束させ得る一方で、2次高調波は、約380μm×約80μmの楕円に集束される。
【0039】
UV和周波の効率的発生のための1次疑似位相整合(QPM)条件は、典型的に、約2μm未満のドメイン周期を含む。一部の実施形態は、2μmよりも長いドメイン周期とともに和周波発生ステージの3次疑似位相整合を使用する。3次疑似位相整合は、所与の結晶長に対してより低い変換効率という結果を生じさせるが、この長いドメイン周期は、3次高調波発生器モジュールのために十分な効率をもたらし得る一方で、周期分極反転NLO結晶の作製を単純化する。
【0040】
図2Bは、効率的な3次高調波発生のために単結晶を有する別の3次高調波発生器モジュール220を図示する。この実施形態では、周波数ωで動作する基本波レーザー221は、基本波222を発生させる。レンズ223は、2次及び3次高調波を発生させるために、基本波222を二重周期の分極反転NLO結晶224に集束させるように位置決めされる。このような結晶は、2つの別々の光パラメトリックプロセス、すなわち周波数2倍化と和周波発生とを、縦続接続の疑似位相整合の相互作用を通じて結合することを可能にし、それにより超格子結晶サンプルから3次高調波を直接発生させることを可能にする。二重周期及び超格子の分極反転NLO材料の理論的説明は、Antonosyan et al.,「Phase−reversed structures in superlattice of nonlinear materials」,http://arxiv.org/abs/1109.2751v1(2011)に見ることができる。二重周期のタンタル酸リチウム構造の例は、Liu et al.,「Quasi−Cw Ultraviolet Generation in a Dual−periodic LiTaO Superlattice by Frequency Tripling」,Japanese Journal of Applied Physics,vol.40,pp6841−6844(2001)に見ることができる。これらの論文の両方は、参照により本明細書に組み込まれる。二重周期の分極反転NLO224は、2つのバルク結晶または周期分極反転結晶を直列で使用するものよりも、3次高調波発生において、より高い効率性及びより単純な光路を有し得る。二重周期の分極反転NLO結晶224及び/またはレンズ223の表面は、1つ以上の周波数における高透過性のために適切に被膜され得る。ビームスプリッタ対225(またはプリズム)を使用して、発生した3次高調波(3ω)226、未消費の2次高調波(2ω)227、及び未消費の基本波(ω)228を分離させ得る。
【0041】
一部の実施形態では、電気光学効果を用いて結合波の位相整合条件及びエネルギー分布を操作し、非線形変換効率を高め得る。これは、NLO結晶の長手方向に沿って直流電界を印加することによって達成され得る。これがどのように非線形変換を高めることができるかの説明は、Huang et al.,「Effect of electro−optic modulation on coupled quasi−phase−matched frequency conversion」,Applied Optics,vol.23,pp4980−4984(2005)に見ることができ、同論文は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
図2Cは、3次高調波発生のための基本波パワーを高めるための共振空洞を含む、さらに別の例示的な3次高調波発生器モジュール230を図示する。この実施形態では、周波数ωで動作する基本波レーザー231は、基本波232を発生させる。曲面鏡等の入力結合器233は、2次高調波発生のために、基本波232を第1の周期分極反転NLO結晶234に集束させるように位置決めされる。アクロマティックレンズ236(またはダブレット)は、和周波発生のために、NLO結晶234から発生した2次高調波(2ω)と未消費の基本波(ω)235とを第2の周期分極反転NLO結晶237に集束させるように位置決めされる。NLO結晶234、237、及び/またはレンズ236の表面は、1つ以上の周波数における高透過性のために適切に被膜され得る。第2及び第3高調波周波数は、空洞の外で出力結合器238を通じて結合され、出力結合器238は、基本波(ω)に対して高反射性であり、2次高調波(2ω)及び3次高調波(3ω)に対して高透過性である。一実施形態では、出力結合器238は、鏡によって実現される。ビームスプリッタ対239(またはプリズム)は、未消費の2次高調波(2ω)240及び3次高調波(3ω)241を分離させ得る。出力結合器238からの反射後、残存基本波(ω)242は、それがプリズム243を通過する際に平行化され、入力結合器233に戻り、空洞内部を循環する。一実施形態では、プリズム243は、空洞長のフィードバック制御のために圧電トランスデューサ(PZT)244に装着される。
【0043】
一部の実施形態では、2次(2ω)及び3次高調波(3ω)光はまた、出力結合器238に対する複雑な被膜及び破損の可能性を回避するために出力結合器238の前にビームスプリッタを追加することによって、共振基本波(ω)から分離され得る。図2Cは、入力結合器233、出力結合器238、及びプリズム243を含む三角空洞を示しているが、ボウタイ空洞または方形空洞を含む任意の形状の空洞を使用し得ることに留意されたい。
【0044】
一実施形態では、プリズム243は、1つ以上の鏡によって置き換えられ得る。別の実施形態では、プリズム243は、入射及び出射面をブリュースター角またはその近似角で有し、それにより反射防止膜を不要としている。プリズム243は、空洞長制御のために前後に移動させ得るが、プリズム243外部の経路方向は、変化しないことに留意されたい。さらに別の実施形態では、上で図2Bを参照して説明されたように、二重周期の分極反転NLO結晶が、空洞内で2つの周期分極反転NLO結晶の代わりに使用され得、それによりより高い効率性及びより単純な光路を提供する。
【0045】
図3は、ボウタイ空洞を含む4次高調波発生器モジュール300を図示する。この実施形態では、基本波(ω)301は、基本波301をボウタイ空洞内へ集束及び結合させるために、ボウタイ空洞に入る前に1つ以上のモード整合レンズ302を通過する。ボウタイ空洞は、入力結合器303、鏡304、305、306、及びNLO結晶309を含む。一実施形態では、入力結合器303は、鏡によって実現される。モジュール300において、3次高調波(3ω)307は、鏡305、例えばダイクロイック曲面鏡を通じてボウタイ空洞に入り、和周波発生のためにNLO結晶309内部で基本波周波数(ω)と重なり合う。鏡305は、3次高調波を効率的に通過させることができる一方で基本波を高効率で反射するように、適切に被膜される。
【0046】
好ましい実施形態では、NLO結晶309は、水素アニールホウ酸セシウムリチウム(CLBO)、三ホウ酸セシウム(CBO)、三ホウ酸リチウム(LBO)、四ホウ酸リチウム(LB4)またはベータホウ酸バリウム(BBO)等の材料を含むバルク単結晶である。NLO結晶309としてのバルク単結晶の利点は、周期分極反転結晶において短波長の4次高調波を発生させるためには非常に短い分極反転周期が必要とされるであろうということである。このような短い分極反転周期を必要な品質とともに作製することは、困難または高価になり得る。NLO結晶309の両面は、基本波(ω)に対してブリュースターカットであり得、3次(3ω)高調波及び4次高調波(4ω)の高透過性のための適切な被膜を有する。
【0047】
レンズ(複数可)308は、3次高調波(3ω)をNLO結晶309の中心近傍に集束させる。ビームスプリッタ310(またはプリズムもしくはダイクロイック鏡)は、4次高調波(4ω)312及び未消費の3次高調波(3ω)313を空洞外へ反射させ得る。4次高調波312及び3次高調波313はさらに、ビームスプリッタ311(またはプリズム)により分離される。この実施形態では、未消費の基本波(ω)314は、ビームスプリッタ310を通過し、空洞内部を循環して強度を蓄積する。基本波(ω)314が十分に強い場合、3次高調波光(3ω)から4次高調波(4ω)への変換効率は、非常に高い。この実施形態では、4次高調波周波数は、基本波周波数で共振する空洞のみを使用して発生する。
【0048】
一部の実施形態では、ボウタイ空洞の代わりに、デルタ形状等の他の形状の空洞または定在波の空洞が使用される。定在波の空洞が使用される場合、4次高調波は、入射される3次高調波光と同じ方向に発生する。
【0049】
上述のように発生した2次、3次、及び4次高調波周波数を使用して、基本波の5次高調波に対応する波長のようなより短い波長を発生させることが可能である。より短い波長は、様々な検査用途のために解像度をさらに向上させることができる。
【0050】
図4は、ボウタイ空洞において4次高調波発生器モジュール(例えば、図3を参照)からの4次高調波と基本波の未消費部分とを組み合わせて5次高調波を発生させるように構成された、例示的な5次高調波発生器モジュール400を図示する。位相整合レンズ402(またはレンズ)は、基本波401を空洞内へ集束及び結合させる。鏡403(入力結合器)、404、405、406を含む空洞は、基本波周波数で共振する。3次高調波(3ω)407は、鏡405(例えば、ダイクロイック曲面鏡)を通過し、第1のNLO結晶409内で基本波周波数(ω)と重なり合う。レンズ408は、3次高調波(3ω)をNLO結晶409の中央近傍に集束させる。NLO結晶409は、基本波周波数(ω)と3次高調波(3ω)とを加算して4次高調波(4ω)を作り出す。ビームスプリッタ410は、いかなる未消費の3次高調波(3ω)411も反射させる一方で、4次高調波(4ω)及び未消費の基本波(ω)を効率的に透過させる。アクロマティックレンズ412(またはダブレット)は、未消費の基本波(ω)と4次高調波(4ω)とを第2のNLO結晶413の中心近傍に集束させ、周波数加算によって5次高調波(5ω)を発生させる。NLO結晶409は、CLBO、CBO、LBO、LB4、BBO等を含み得る一方、NLO結晶413は、CLBO、LB4、またはBBOを含み得る。ビームスプリッタ414(またはダイクロイック鏡もしくはプリズム)を使用して、基本波(ω)418を通過させ、発生した5次高調波(5ω)417及びいかなる未消費の4次高調波(4ω)416も空洞外へそらす。ダイクロイックビームスプリッタ415(またはプリズム)はさらに、4次高調波416及び5次高調波417を分離させる。一部の実施形態では、基本波、4次高調波、及び5次高調波は、単一のビームスプリッタ(またはプリズム)により、互いに分離され得る。ビームスプリッタ414を通過する未消費の基本波光(ω)418は、ボウタイ空洞内部を循環する。この実施形態では、5次高調波周波数は、基本波周波数で共振する空洞を使用することのみにより発生する。
【0051】
図5は、別の例示的な5次高調波発生器モジュール500を図示する。この実施形態では、NLO結晶509は、3次高調波発生器モジュール(例えば、図2Bを参照)からの3次高調波(3ω)507と2次高調波(2ω)513の未消費部分(及び/または2次高調波501)とを組み合わせる際に、和周波発生を実行して5次高調波514を発生させることができる。変換効率を高めるために、2次高調波501は、鏡503(入力結合器)、504、505、506、及びNLO結晶509を備える共振空洞内へ結合される。3次高調波(3ω)507は、鏡505(例えば、ダイクロイック曲面鏡)を通じて空洞に入り、NLO結晶509内部で2次高調波(2ω)513と重なり合う。鏡505は、3次高調波507を効率的に通過させる一方で2次高調波501,513を効率的に反射するように、被膜される。したがって、この構成は、空洞が基本波(ω)の代わりに2次高調波(2ω)と共振することを除いて、4次高調波発生器モジュール(例えば、図3に示される)と実質的に同様である。一実施形態では、NLO結晶509は、BBOを含むが、その理由は、BBOは、2次及び3次高調波の周波数加算のための位相整合を行うことができるからである。NLO結晶509の両面は、2次高調波(2ω)に対してブリュースターカットであり得、3次高調波(3ω)及び5次高調波(5ω)の高透過性のために適切に被膜され得る。モード整合レンズ502(またはレンズ)は、2次高調波501を空洞内へと集束及び結合させる。レンズ(複数可)508は、3次高調波(3ω)507をNLO結晶509の中心近傍に集束させる。ビームスプリッタ510(またはダイクロイック鏡もしくはプリズム)は、5次高調波(5ω)514及び未消費の3次高調波(3ω)512を空洞外へ反射させる。これら2つの異なる高調波512及び514はさらに、別のビームスプリッタまたはプリズム511により分離され得る。一部の実施形態では、2次、3次、及び5次高調波は、単一のプリズムまたはビームスプリッタによって、互いに分離され得る。
【0052】
5次高調波発生器モジュール500が200または220の3次高調波発生器モジュール(そのどちらも空洞を使用しない)と組み合わせられる場合、5次高調波は、先行技術の装置における少なくとも2つの空洞と比較して、1つの空洞のみを使用して発生することに留意されたい。5次高調波発生器モジュール500が3次高調波発生器モジュール230(これは、単一の空洞を使用する)と組み合わせられる場合、5次高調波は、基本波周波数で共振する1つの空洞と2次高調波周波数で共振する第2の空洞とにより発生する。2つの共振空洞を使用する先行技術のCWレーザーは、4次高調波のみを発生させる。したがって、基本波及び2次高調波でそれぞれ共振する2つの空洞を含む実施形態は、空洞の数は同じでありながら、より短い波長を発生させるという利点を有する。
【0053】
先行技術のCWレーザーと同様に、空洞は、標準的なPDH(パウンド−ドレバー−ホール)またはHC(ヘンシュ−クイヨー)ロック技術により、安定化させることができる。空洞長は、鏡(図3の鏡304、図4の鏡404、もしくは図5の鏡504等)またはプリズム(図2Bのプリズム225等)の位置を制御信号(図示せず)を通じて調節することによって、共振を維持するために調節される。PZT、ボイスコイル、または他の機構を使用して、可動コンポーネントの位置を調整し得る。
【0054】
該当分野の熟練者は、3次高調波発生及び後続の和周波発生ステージのための他の変換効率向上方法は本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0055】
基本波IRレーザーの4次高調波を発生させる、本明細書に記載される向上されたレーザーの実施形態は、基本波周波数で共振する空洞よりも不安定であり、ドリフトをより発生させやすい2次高調波周波数で共振する空洞を必要としない。一実施形態では、基本波周波数で共振する1つの空洞のみを使用して、基本波IRレーザーの4次高調波を発生させる。別の実施形態では、2つの共振空洞を使用して、基本波IRレーザーの4次高調波を発生させるが、両方の空洞が、基本波周波数でのみ共振する。
【0056】
基本波IRレーザーの5次高調波を発生させる、本明細書に記載される向上されたレーザーの実施形態は、2つの空洞を使用する先行技術の装置よりも短い波長を発生させる。基本波IRレーザーの5次高調波を発生させる第1の実施形態は、基本波周波数で共振する1つの空洞のみを使用する。基本波IRレーザーの5次高調波を発生させる第2の実施形態は、基本波周波数で共振する2つの空洞を使用する。基本波IRレーザーの5次高調波を発生させる第3の実施形態は、2次高調波で共振する1つの空洞のみを使用する。基本波IRレーザーの5次高調波を発生させる第4の実施形態は、基本波周波数で共振する空洞を2次高調波周波数で共振する空洞の前に使用することによって、5次高調波においてより高いパワーを発生させることができる。
【0057】
先行技術の装置と比較して、向上されたCW DUVレーザーシステムは、より複雑でないフィードバックループ及びはるかに良好な安定性を有し、及び/またはより短い波長に対応するより高い周波を発生させることになる。
【0058】
図6〜11は、本明細書に記載される向上されたDUV CWレーザーを含み得る例示的なウエハ検査、レチクルまたはフォトマスクの検査及び計測システムを図示する。検査または計測システムにおいて使用される場合、これらのレーザーは、2009年9月29日に出願された「ILLUMINATION SUBSYSTEMS OF A METROLOGY SYSTEM,METROLOGY SYSTEMS,AND METHODS FOR ILLUMINATING A SPECIMEN FOR METROLOGY MEASUREMENTS」と題された同時係属中のPCT出願公開第WO2010/037106号と、2011年9月22日に出願された「ILLUMINATING A SPECIMEN FOR METROLOGY OR INSPECTION」と題された同時係属中の米国特許出願第13/073,986号とで開示されているコヒーレンス及びスペックルを低減する装置及び方法と有利に組み合わせることができ、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
図6は、基材からの透過及び反射光を測定するように構成された、例示的なレチクルまたはフォトマスクの検査システム600を図示する。システム600は、一般的に、第1の光学配置651及び第2の光学配置657を含む。示されているように、第1の光学配置651は、少なくとも1つの光源652、検査光学系654、及び基準光学系656を含む一方で、第2の光学配置657は、少なくとも透過光光学系658、透過光検出器660、反射光光学系662、及び反射光検出器664を含む。好ましい一構成では、光源652は、上述の向上されたレーザーのうちの1つを含む。
【0060】
光源652は、音響光学装置670を通過する光ビームを射出するように構成され、音響光学装置670は、光ビームを偏向及び集束させるように配置される。音響光学装置670は、光ビームをY方向に偏向させZ方向に集束させる1対の音響光学素子、例えば音響光学プリスキャナ及び音響光学スキャナを含み得る。例として、ほとんどの音響光学装置は、RF信号を石英またはTeO等の結晶に送ることによって、動作する。このRF信号により、音波が結晶中を移動する。移動する音波のため、結晶は、非対称となり、これは、結晶全体を通じて屈折率を変化させる。この変化により、入射ビームは、振動式に偏向される集束移動スポットを形成する。
【0061】
光ビームが音響光学装置670から出現すると、それは、その後、1対の1/4波長板672及びリレーレンズ674を通過する。リレーレンズ674は、光ビームを平行化するように配置される。平行化された光ビームは、その後、その経路上を進み続けて回折格子676に到達する。回折格子676は、光ビームをラッパ状に広げるように、より具体的には、光ビームを、互いに空間的に識別可能な(すなわち、空間的に別個の)3つの別個のビームへと分離させるように、配置される。ほとんどの場合、空間的に別個のビームはまた、等間隔で隔てられ、実質的に等しい光強度を有するように、配置される。
【0062】
回折格子676を出た後、3つのビームは、開口部680を通過し、その後、進み続けてビームスプリッタキューブ682に到達する。ビームスプリッタキューブ682は(1/4波長板672と組み合わせて)、ビームを2つの経路、すなわち、一方が下向きのものと他方が右向き(図6に示される構成)のものとに分けるように、配置される。下向きの経路は、ビームの第1の光部分を基材612に対して分配するために使用される一方、右向きの経路は、ビームの第2の光部分を基準光学系656に対して分配するために使用される。ほとんどの実施形態では、ほとんどの光は、基材612に対して分配され、小さい割合の光は、基準光学系656に対して分配されるが、百分率比は、各光学検査システムの具体的設計に従って変わり得る。一実施形態では、基準光学系656は、基準集光レンズ614及び基準検出器616を含み得る。基準集光レンズ614は、ビームの1部分を基準検出器616上に集光及び方向付けするように配置され、基準検出器616は、光の強度を測定するように配置される。基準光学系は、一般的に、当業界でよく知られており、簡潔さのため、詳細には論じない。
【0063】
ビームスプリッタ682からの下向きの3つのビームは、光を再方向付け及び拡大する複数のレンズ素子を含む望遠鏡688によって受光される。一実施形態では、望遠鏡688は、タレット上で回転する複数の望遠鏡を含む望遠鏡システムの一部である。例えば、3つの望遠鏡が使用され得る。これらの望遠鏡の目的は、基材上の走査スポットのサイズを変化させることであり、それにより検出可能な最小欠陥サイズの選択を可能にする。より具体的には、それぞれの望遠鏡は、一般的に、異なるピクセルサイズを表す。したがって、ある望遠鏡は、検査をより高速かつより低感度(例えば、低解像度)にする、より大きなスポットサイズを発生させ得る一方で、別の望遠鏡は、検査をより低速かつより高感度(例えば、高解像度)にする、より小さいスポットサイズを発生させ得る。
【0064】
望遠鏡688から、3つのビームは、ビームを基材612の表面上に集束させるように配置された、対物レンズ690を通過する。ビームが3つの別個のスポットとして表面と交差する際、反射光ビームと透過光ビームとの両方が発生し得る。透過光ビームは、基材612を通過する一方で、反射光ビームは、表面で反射される。例として、反射光ビームは、基材の不透明な表面で反射され得、透過光ビームは、基材の透明な区域を透過し得る。透過光ビームは、透過光光学系658によって集光され、反射光ビームは、反射光光学系662によって集光される。
【0065】
透過光光学系658に関しては、透過光ビームは、基材612を通過した後、第1の透過レンズ696によって集光され、球面収差補正レンズ698の援助により透過プリズム610上に集束される。プリズム610は、透過光ビーム毎に1つの切子面を有するように構成され得、切子面は、透過光ビームを再位置付け及び曲折させるように配置される。ほとんどの場合、プリズム610は、各ビームが透過光検出器配置660(3つの個別の検出器として示される)中の単一の検出器に当たるように、ビームを分離させるために使用される。したがって、ビームがプリズム610を出ると、ビームは、第2の透過レンズ602を通過し、第2の透過レンズ602は、分離された各ビームを3つの検出器のうちの1つにそれぞれ集束させるが、各検出器は、透過光の強度を測定するように配置される。
【0066】
反射光光学系662に関しては、基材612で反射された後の反射光ビームは、対物レンズ690によって集光され、対物レンズ690は、その後、ビームを望遠鏡688に方向付けする。望遠鏡688に到達する前に、ビームはまた、1/4波長板604を通過する。一般論としては、対物レンズ690及び望遠鏡688は、入射ビームが操作される仕方に対して光学的に反対の方法で、集光されたビームを操作する。つまり、対物レンズ690は、ビームを再平行化し、望遠鏡688は、それらのサイズを低減させる。ビームが望遠鏡688を出ると、ビームは、(後方へ)進み続けてビームスプリッタキューブ682に到達する。ビームスプリッタ682は、1/4波長板604とともに機能してビームを中央経路606上に方向付けするように構成される。
【0067】
経路606上を進み続けるビームは、その後、第1の反射レンズ608によって集光され、第1の反射レンズ608は、各ビームを反射プリズム609上に集束させるが、反射プリズム609は、各反射光ビームのための切子面を含む。反射プリズム609は、反射光ビームを再位置付け及び曲折させるように配置される。透過プリズムと610と同様に、反射プリズム609は、各ビームが反射光検出器配置664中の単一の検出器に当たるように、ビームを分離させるために使用される。示されているように、反射光検出器配置664は、3つのそれぞれ別個の検出器を含む。ビームが反射プリズム609を出ると、ビームは、第2の反射レンズ611を通過し、第2の反射レンズ611は、分離された各ビームをこれら3つの検出器のうちの1つにそれぞれ集束させるが、各検出器は、反射光の強度を測定するように配置される。
【0068】
上記光学アセンブリによって容易化され得る検査モードは、複数存在する。例として、光学アセンブリは、透過光検査モード、反射光検査モード、及び同時検査モードを容易化し得る。透過光検査モードに関しては、透過モード検出は、典型的に、透明区域と不透明区域とを有する従来の光マスク等の基材上の欠陥検出のために使用される。光ビームがマスク(または基材612)を走査する際、光は、透明ポイントでマスクを貫通し、透過光検出器660によって検出されるが、透過光検出器660は、マスクの背後に位置し、第1の透過レンズ696、第2の透過レンズ602、球面収差レンズ698、及びプリズム610を含む透過光光学系658によって集光される各光ビームの強度を測定する。
【0069】
反射光検査モードに関しては、反射光検査は、クロム、現像されたフォトレジスト、または他の特徴の形で画像情報を含有する透明または不透明な基材上で実行され得る。基材612によって反射された光は、検査光学系654と同じ光路に沿って後方へ進むが、その後、偏向ビームスプリッタ682によって検出器664内へ外らされる。より具体的には、第1の反射レンズ608、プリズム609、及び第2の反射レンズ611は、反らされた光ビームからの光を検出器664上に投射する。反射光検査はまた、不透明な基材頂面上への異物混入を検出するために使用され得る。
【0070】
同時検査モードに関しては、透過光と反射光との両方が、欠陥の存在及び/または種類を判定するために利用される。システムの2つの測定値は、透過光検出器660によって検知される、基材612を通じて透過される光ビームの強度、及び反射光検出器664によって検出される、反射光ビームの強度である。それら2つの測定値は、その後、基材612上の対応するポイントにおける欠陥(もしあれば)の種類を判定するために、処理され得る。
【0071】
より具体的には、透過及び反射の同時検出は、透過検出器によって検知される不透明な欠陥の存在を開示し得る一方で、反射検出器の出力は、欠陥の種類を開示するために使用され得る。一例として、基材上にクロムのドットまたは粒子のいずれかがあると、両方とも、透過検出器で低い透過光表示という結果が生じ得るが、反射性のクロム欠陥があると、高い反射光表示という結果が生じ得、粒子があると、同じ反射光検出器でより低い反射光表示という結果が生じ得る。したがって、反射及び透過検出の両方を使用することによって、欠陥の反射または透過特性のみが吟味される場合は発見されないであろうような、クロムの幾何形状上の粒子を発見し得る。加えて、反射及び透過光の強度比等、ある特定の種類の欠陥に関する識別特性を判定し得る。この情報は、その後、欠陥を自動的に分類するために使用され得る。
【0072】
2008年4月1日に交付された「MULTIPLE BEAM INSPECTION APPARATUS」と題された米国特許第7,352,457号は、システム600に関するさらなる詳細を記載しており、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の発明的レーザーを使用し得るレチクル及びフォトマスク検査システムに関するさらなる詳細については、米国特許第5,563,702号も参照されたいが、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の向上されたレーザーを利用するレチクルまたはフォトマスク検査システムは、米国特許第7,528,943号で記載されているように、レチクルまたはフォトマスクからの反射及び透過画像を単一の検出器上で同時に検出し得、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
図7は、異なる波長範囲に対して最適化された異なる対物で異なる波長または波長範囲を有する複数の光源を含む、例示的な検査システム700を図示する。システム700において、レーザー源701からの照明は、照明サブシステムの複数のセクションに送られる。照明サブシステムの第1のセクションは、素子702a〜706aを含む。レンズ702aは、レーザー701からの光を集束させる。レンズ702aからの光は、その後、鏡703aから反射される。鏡703aは、図示の目的のためにこの場所に設けられており、別の場所に位置決めされ得る。鏡703aからの光は、その後、照明瞳面705aを形成するレンズ704aによって集光される。検査モードの要件に応じて、光を修正するための開口部、フィルタ、または他の装置を瞳面705a内に設け得る。瞳面705aからの光は、その後、レンズ706aを通過し、照明フィールド面707を形成する。
【0074】
照明サブシステムの第2のセクションは、素子702b〜706bを含む。レンズ702bは、レーザー701からの光を集束させる。レンズ702bからの光は、その後、鏡703bから反射される。鏡703bからの光は、その後、照明瞳面705bを形成するレンズ704bによって集光される。検査モードの要件に応じて、光を修正するための開口部、フィルタ、または他の装置を瞳面705b内に設け得る。瞳面705bからの光は、その後、レンズ706bを通過し、照明フィールド面707を形成する。第2のセクションからの光は、その後、照明フィールド面707における照明フィールド光エネルギーが照明セクションの組み合わせからなるように、鏡または反射面によって再方向付けされる。
【0075】
フィールド面光は、その後、レンズ709によって集光されてから、ビームスプリッタ710で反射される。レンズ706a及び709は、第1の照明瞳面705aの画像を対物瞳面711において形成する。同様に、レンズ706b及び709は、第2の照明瞳面705bの画像を対物瞳面711において形成する。対物712(または代替として713)は、その後、瞳光を受け、照明フィールド707の画像をサンプル714において形成する。対物712または対物713は、サンプル714に近接して位置決めされ得る。サンプル714は、サンプルを所望の場所に位置決めするステージ(図示せず)上を移動し得る。サンプル714から反射及び散乱された光は、高NAの反射屈折対物712または対物713によって集光される。反射された光瞳を対物瞳面711において形成した後、光エネルギーは、ビームスプリッタ710及びレンズ715を通過してから、結像システム内に内部フィールド716を形成する。この内部結像フィールドは、サンプル714及び対応する照明フィールド707の画像である。このフィールドは、照明フィールドに対応する複数のフィールドへと空間的に分離され得る。これらの各フィールドは、別々の結像モードを支援し得る。
【0076】
これらのフィールドのうちの1つは、鏡717を使用して再方向付けされ得る。再方向付けされた光は、その後、レンズ718bを通過してから、別の結像瞳719bを形成する。この結像瞳は、瞳711及び対応する照明瞳705bの画像である。検査モードの要件に応じて、光を修正するための開口部、フィルタ、または他の装置を瞳面719b内に設け得る。瞳面719bからの光は、その後、レンズ720bを通過し、センサ721b上に画像を形成する。同様の方法で、鏡または反射面717を通り過ぎる光は、レンズ718aによって集光され、結像瞳719aを形成する。結像瞳719aからの光は、その後、レンズ720aによって集光されてから、検出器721a上に画像を形成する。検出器721a上に結像される光は、センサ721b上に結像される光とは異なる結像モードのために使用され得る。
【0077】
システム700で用いられる照明サブシステムは、レーザー源701、集光光学系702a、702b、703a、703b、704a、704b、瞳面705aと705bに近接して設けられるビーム整形コンポーネント、ならびにリレー光学系706a、706b及び709から構成される。内部フィールド面707は、レンズ706a、706bと709との間に位置する。一構成では、レーザー源701は、上述の向上されたレーザーのうちの1つを含み得る。
【0078】
レーザー源701に関しては、2つの透過ポイントまたは透過角度を有する単一の均一なブロックとして図示されているが、現実には、これは、2つの照明チャネル、例えば、素子702a〜706aを通過する第1の周波数のレーザー光エネルギー等の、第1の光エネルギーチャネルと、素子702b〜706bを通過する第2の周波数のレーザー光エネルギー等の、第2の光エネルギーチャネルと、を提供することができるレーザー源を表す。1つのチャネルにおいて明視野照明及び他方のチャネルにおいて暗視野モード等、異なる光照明モードを用い得る。
【0079】
レーザー源701からの光エネルギーは、90度離して射出されるように示され、素子702a〜706a及び702b〜706bは、90度の角度で配向されるが、現実には、光は、必ずしも2次元ではない様々な配向において射出され得、コンポーネントは、示されているのとは異なって配向され得る。図7は、したがって、用いられるコンポーネントの単なる表示であり、示されている角度または距離は、縮尺ではなく、また特に設計に必要でもない。
【0080】
瞳面705a、705bに近接して設けられる素子は、現在のシステムにおいて、成形開口の概念を使用して用いられ得る。この設計を使用すると、均一な照明または均一に近い照明、及び個別ポイント照明、リング照明、4極照明、または他の望ましいパターンもまた実現され得る。
【0081】
対物に関する様々な実装は、一般的な結像サブシステムにおいて用いられ得る。単一の固定対物が使用され得る。単一の対物は、すべての所望の結像及び検査モードを支援し得る。このような設計は、結像システムが比較的広いフィールドサイズ及び比較的高い開口数を支援する場合に、達成可能である。開口数は、瞳面705a、705b、719a、及び719bに設けられた内部開口部を使用することによって、所望の値へ低減され得る。
【0082】
図7に示されているように、複数の対物も使用され得る。例えば、2つの対物712及び713が示されているが、任意の数が可能である。このような設計における各対物は、レーザー源701によってもたらされる各波長に対して最適化され得る。これらの対物712及び713は、固定位置を有するか、またはサンプル714に近接する位置へ移動され得る。複数の対物をサンプルに近接して移動させるためには、標準的顕微鏡で一般的であるように、回転タレットが使用され得る。複数の対物をサンプルに近接して移動させるための他の設計は、利用可能であり、対物をステージ上で横に移動させること及び角度計を使用して対物を円弧上で移動させることを含むが、これらには限定されない。加えて、本システムによれば、固定対物とタレット上の複数の対物との任意の組み合わせが達成可能である。
【0083】
この構成の最大開口数は、0.97に接近またはそれを超過し得るが、ある特定の例では、より高くなり得る。この高NA反射屈折結像システムにおいて可能な幅広い照明及び集光角度は、その広いフィールドサイズとの組み合わせにより、システムが複数の検査モードを同時に支援することを可能にする。上の段落から理解され得るように、複数の結像モードは、単一の光学システムまたは機械を照明装置と接続して使用することで実現され得る。開示される照明及び集光用の高NAは、同じ光学システムを使用して結像モードを実現することを可能にし、それにより異なる種類の欠陥またはサンプルに対して結像を最適化することを可能にする。
【0084】
結像サブシステムはまた、中間画像形成光学系715を含む。画像形成光学系715の目的は、サンプル714の内部画像716を形成することである。この内部画像716には、検査モードのうちの1つに対応する光を再方向付けするために、鏡717が設けられ得る。この場所で光を再方向付けすることが可能である理由は、結像モードのための光は空間的に別々であるからである。画像形成光学系718(718a及び718b)ならびに720(720a及び720b)は、可変焦点ズーム、集束光学系を有する複数のアフォーカルチューブレンズ、または複数の画像形成マグチューブを含む、いくつかの異なる形で実現され得る。2009年7月16日に公開された「SPLIT FIELD INSPECTION SYSTEM USING SMALL CATADIOPTRIC OBJECTIVES」と題された米国公開出願第2009/0180176号は、検査システム700をより詳細に記載しており、同出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
図8は、暗視野及び明視野検査モードを有する、例示的な反射屈折結像システム800を図示する。システム800において、照明ブロックは、レーザー801、検査中の表面上の照明ビームサイズ及びプロファイルを制御するための適合光学系802、機構収容部804内の開口部及び窓803、ならびにサンプル808の表面に対して垂直入射の光軸に沿ってレーザーを再方向付けするためのプリズム805を含む。プリズム805はまた、サンプル808の表面特徴からの鏡面反射と対物806の光学的表面からの反射とを光路に沿って結像面809に方向付けする。対物806のレンズは、反射屈折対物、集束レンズ群、及びズームチューブレンズセクション807という一般的な形で提供され得る。好ましい実施形態では、レーザー801は、上述の向上されたレーザーのうちの1つによって実現され得る。図8は、2007年1月4日に公開された「Beam delivery system for laser dark−field illumination in a catadioptric optical system」と題された米国公開出願第2007/0002465号でさらに詳細に記載されており、同出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
図9A及び9Bは、斜線照明を有する暗視野検査システムを図示する。この検査システムは、示されているような軸外れ及び垂直近傍の集光を含む、2つまたは3つの異なる集光システムを有し得る。この暗視野検査システムはまた、垂直入射線照明(図示せず)を含み得る。図9A及び9Bに示されるシステムの説明を含むさらなる詳細は、2009年4月28日に交付された「Surface inspection system using laser line illumination with two dimensional imaging」と題された米国特許第7,525,649号でさらに詳細に記載されており、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
図9Aは、表面911の区域を検査するための、照明システム901及び集光システム910を含む表面検査装置900を図示する。図9Aに示されているように、レーザーシステム920は、ビーム整形光学系903を通じて光ビーム902を方向付けする。好ましい実施形態では、レーザーシステム920は、上述のレーザーのうちの1つを含む。第1のビーム整形光学系903は、レーザーシステムからのビームを受光するように構成され得、ビームは、表面911上に集束される。
【0088】
ビーム整形光学系903は、その主面がサンプル表面911に対して実質的に平行になるように、及び結果として、照明線905が表面911上でビーム整形光学系903の焦点面に形成されるように、配向される。加えて、光ビーム902及び集束されたビーム904は、表面911に対して非直交入射角で方向付けされる。特に、光ビーム902及び集束されたビーム904は、表面911に対して垂直方向から約1度〜約85度の角度で方向付けされ得る。このように、照明線905は、実質的に、集束されたビーム904の入射面内にある。
【0089】
集光システム910は、照明線905からの散乱光を集光するためのレンズ912と、感光性検出器のアレイを備える電荷結合素子(CCD)914等の装置上にレンズ912から出てくる光を集束させるためのレンズ913とを含む。一実施形態では、CCD914は、検出器の線形アレイを含み得る。このような場合、CCD914内の検出器の線形アレイは、照明線905に対して平行に配向され得る。一実施形態では、複数の集光システムが含められ得、各集光システムは、同様のコンポーネントを含むが、配向が異なる。
【0090】
例えば、図9Bは、表面検査システムのための、集光システム931、932、及び933の例示的なアレイを図示する(ここで、その照明システム、例えば照明システム901と同様のものは、簡略化のために示されていない)。集光システム931内の第1の光学系は、サンプルの表面911から第1の方向に散乱された光を集光する。集光システム932内の第2の光学系は、サンプルの表面911から第2の方向に散乱された光を集光する。集光システム933内の第3の光学系は、サンプルの表面911から第3の方向に散乱された光を集光する。第1、第2、及び第3の経路は、該サンプルの表面911に対して異なる反射角にあることに留意されたい。サンプル911を支持する台座921は、サンプル911の全表面が走査され得るように、光学系とサンプル911との間の相対運動を引き起こすために使用され得る。
【0091】
このレーザーはまた、図10及び11に示されているもののような、パターン化されていないウエハのための検査システムにおいて使用され得る。このような検査システムは、これらの図に示されているように、斜行及び/または垂直入射照明ならびに散乱光のための大きい集光立体角を組み込み得る。
【0092】
図10は、表面1001上の異常を検査するために使用され得る表面検査システム1000を図示する。この実施形態では、表面1001は、上述の向上されたレーザーのうちの1つによって発生されるレーザービームを含む、レーザーシステム1030の実質的に静止した照明装置部分によって照明され得る。レーザーシステム1030の出力は、ビームを拡大及び集束させるために、偏向光学系1021、ビ−ムエキスパンダ及び開口部1022、ならびにビーム形成光学系1023を連続的に通過させられ得る。
【0093】
結果として生じる集束されたレーザービーム1002は、その後、ビーム折り畳みコンポーネント1003及びビーム偏向器1004によって反射され、表面を照明するためにビーム1005を表面1001に方向付けする。好ましい実施形態では、ビーム1005は、表面1001に対して実質的に垂直または直角であるが、他の実施形態では、ビーム1005は、表面1001に対して斜角であり得る。
【0094】
一実施形態では、ビーム1005は、表面1001に対して実質的に直角または垂直であり、ビーム偏向器1004は、表面1001からのビームの鏡面反射をビーム折り返しコンポーネント1003へ反射させ、それにより鏡面反射が検出器に到達するのを防止する遮蔽物として機能する。鏡面反射の方向は、サンプルの表面1001に対して垂直である、線SR沿いである。ビーム1005が表面1001に対して垂直である一実施形態では、この線SRは、照明ビーム1005の方向と一致し、この共通の基準線または方向は、本明細書において検査システム1000の軸と称される。ビーム1005が表面1001に対して斜角である場合、鏡面反射の方向SRは、ビーム1005の入来方向とは一致しないであろう。このような場合、表面垂直の方向を示す線SRは、検査システム1000の集光部分の主軸と称される。
【0095】
微小粒子によって散乱される光は、鏡1006によって集光され、開口部1007及び検出器1008に方向付けされる。大粒子によって散乱される光は、レンズ1009によって集光され、開口部1010及び検出器1011に方向付けされる。一部の大粒子は、同じく集光され検出器1008に方向付けされる光を散乱させることになり、同様に一部の微小粒子は、同じく集光され検出器1011に方向付けされる光を散乱させることになるが、このような光は、各検出器が検出するように設計される散乱光の強度と比較すると比較的低強度であることに留意されたい。一実施形態では、検出器1011は、感光性素子のアレイを含み得、感光性素子のアレイの各感光性素子は、照明線の拡大画像の対応する部分を検出するように構成される。一実施形態では、検査システムは、パターン化されていないウエハ上の欠陥を検出する際の使用のために構成され得る。図10は、2001年8月7日に交付された「Process and assembly for non−destructive surface inspection」と題された米国特許第6,271,916号でさらに詳細に記載されており、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
図11は、垂直及び斜行の両方の照明ビームを使用して異常検出を実現するように構成された検査システム1100を図示する。この構成では、上述の向上されたレーザーのうちの1つを含むレーザーシステム1130が、レーザービーム1101を提供し得る。レンズ1102は、ビーム1101を空間フィルタ1103を通じて集束させ、レンズ1104は、ビームを平行化し、それを偏向ビームスプリッタ1105へ伝える。ビームスプリッタ1105は、第1の偏光コンポーネントを垂直照明チャネルへ通し、第2の偏光コンポーネントを斜行照明チャネルへ通すが、ここで、第1及び第2のコンポーネントは、直交している。垂直照明チャネル1106では、第1の偏光コンポーネントは、光学系1107によって集光され、鏡1108によってサンプル1109の表面へ反射される。サンプル1109によって散乱された照射は、放物面鏡1110によって集光され、光電子増倍管または検出器1111に集束される。
【0097】
斜行照明チャネル1112では、第2の偏光コンポーネントは、ビームスプリッタ1105によって、このようなビームを1/2波長板1114を通じて反射させる鏡1113へと反射され、光学系1115によってサンプル1109に集束される。斜行チャネル1112の斜行照明ビームに由来し、サンプル1109によって散乱される照射はまた、放物面鏡1110によって集光され、検出器1111に集束される。一部の実施形態では、検出器1111は、光電子増倍管、アバランシェ検出器、線形アレイ検出器、電子衝撃型の線形アレイ検出器、及び画像強調型の線形アレイ検出器のうちの1つを備える。検出器1111は、その入口に開口部を有することに留意されたい。開口部ならびに(表面1109上の垂直及び斜行照明チャネルから)照明されるスポットまたは線は、好ましくは、放物面鏡1110の焦点にある。
【0098】
放物面鏡1110は、サンプル1109からの散乱された照射を平行化し、平行化されたビーム1116とする。平行化されたビーム1116は、その後、対物1117によって、及び分析器1118を通じて、検出器1111に集束される。放物面形状以外の形状を有する曲面鏡の表面もまた用いられ得ることに留意されたい。器具1120は、ビームがサンプル1109の表面にわたって走査されるように、ビームとサンプル1109との間の相対運動を提供し得る。図11に示されているものと同様の検査システムは、2001年3月13日に交付された「Sample inspection system」と題された米国特許第6,201,601でさらに詳細に記載されており、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
上述された本発明の構造及び方法の様々な実施形態は、本発明の原理をただ例示するものであり、本発明の範囲を記載されている特定の実施形態に限定することを意図したものではない。例えば、基本波レーザーは、上に列挙されている具体的なレーザーの種類に限定される必要はない。上の基本波レーザーの種類に加えて、基本波レーザーは、ダイオードレーザー、ファイバレーザー、ネオジムドープフッ化イットリウムリチウムレーザー、または約1μm〜約1.1μmの波長に対応する基本波周波数を発生させる任意の種類のレーザーを含み得る。上に列挙されたもの以外の種類のNLO結晶は、1つ以上の高調波発生器モジュールにおいて代用し得る。上述の高調波発生器モジュールのうちの一部は、共振空洞を含む。2つ、3つ、または4つの鏡またはプリズムを備えるもの等、当業界で知られている任意の種類の光共振空洞が使用され得る。任意のレンズ、プリズム、ビームスプリッタ、または他の光学コンポーネントは、2014年4月29日にArmstrongに対して交付された「High damage threshold frequency conversion system」と題された米国特許第8,711,460号に記載されているもの等のブリュースター角光学系を備え得、同特許は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11