(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成においては、イオンビームの照射により、試料の先端部の表面にイオンが注入され、この注入イオンによってダメージ層が形成されてしまうという問題がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明は、試料の表面におけるダメージ層の形成を抑制することが可能な荷電粒子ビーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る荷電粒子ビーム装置は、試料の先端部を針状に加工する荷電粒子ビーム装置であって、第一照射軸を有する電子ビームを試料に照射する電子ビーム照射部と、前記試料を保持可能であり、前記第一照射軸に対して直交する方向に回転軸を有する回転ステージと、前記回転軸に平行な第二照射軸を有するイオンビームを前記試料に照射するイオンビーム照射部と、前記イオンビーム及び前記電子ビームの照射によって前記試料を介して生じる荷電粒子及び光のうち少なくとも一方を検出する検出部と、前記試料に気体イオンビームを照射する気体イオンビーム照射部と、を備え、前記回転ステージにより前記試料を回転させ、前記イオンビームにより針状試料を形成し、さらに、前記回転ステージにより前記試料を回転させ、前記気体イオンビームにより前記針状試料
の先端部の周方向の全体にわたって均一に仕上げ加工を施す。
【0009】
本発明によれば、気体イオンビーム照射部を用いて試料に気体イオンビームを照射することにより、イオンビームの照射によって試料の表面に注入された注入イオンを除去することができる。しかも、本発明では、回転ステージによって試料を回転させることができるため、試料の全面に亘って注入イオンの除去を行うことができる。これにより、ダメージ層の形成を抑制することが可能となる。
【0010】
上記の荷電粒子ビーム装置は、前記回転ステージを所定角度回動させる回動動作と、前記気体イオンビーム照射部から前記気体イオンビームを
所定時間照射させる照射動作とを交互に行わせる制御部を更に備える。
本発明によれば、回転ステージを所定角度回動させる回動動作と、気体イオンビーム照射部から気体イオンビームを照射させる照射動作とを交互に行うことにより、効率的に試料から注入イオンを除去することができる。
【0011】
上記の荷電粒子ビーム装置において、前記検出部は、X線または、前記荷電粒子として、前記試料から発生する二次電子、二次イオン、後方散乱電子、前記試料を透過する透過電子のうち少なくとも1つを検出可能である。
本発明によれば、検出部が、荷電粒子として様々な種類の荷電粒子を検出することが可能であるため、試料の多面的な観察が可能となる。
【0012】
上記の荷電粒子ビーム装置において、前記試料として、例えば、半導体材料が用いられる。
半導体材料を含む試料は、イオンビームの照射によるイオン注入の影響を受けやすいことが知られている。本発明によれば、半導体材料を含む試料の表面において、注入イオンによるダメージ層の形成を抑制することが可能となるため、高品質の試料を作製することができる。
【0013】
上記の荷電粒子ビーム装置において、前記イオンビーム照射部のイオン源として、液体ガリウムイオン源が用いられ、前記半導体材料は、例えば、Siを含む。
本発明によれば、イオンビーム照射部のイオン源として、液体ガリウムイオン源が用いられるため、Siを含む試料にGaイオンが注入されることになる。この場合、Gaイオンのダメージ層により、半導体試料の特性が変化する場合がある。本発明によれば、注入されたGaイオンを除去することが可能となるため、半導体試料への影響を低減することができる。
【0014】
上記の荷電粒子ビーム装置において、前記試料は、先端部が針状に形成されている。
本発明によれば、先端部が針状に形成された試料であっても、気体イオンビームを照射することにより、注入イオンを除去することができる。これにより、先端部におけるダメージ層の形成が抑制される。
【0015】
上記の荷電粒子ビーム装置において、前記試料は、アトムプローブ分析に用いられる。
本発明によれば、先端部が針状に形成された試料であっても、先端部におけるダメージ層の形成が抑制されるため、アトムプローブ分析に用いられる、先端の直径が100nm程度の針状試料であっても容易に作製することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転ステージによって試料を回転させ、試料の全面に亘って注入イオンの除去を行うことができるため、試料の表面におけるダメージ層の形成を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る荷電粒子ビーム装置100の構成を示す模式図である。
図1に示す荷電粒子ビーム装置100は、アトムプローブ分析法に用いられる針状の試料Sを作製する。試料Sの構成材料としては、例えば金属や半導体などが挙げられる。試料Sは、荷電粒子ビーム装置100により、先端部Saの直径が100nm程度となるように先鋭化される。
【0019】
図1に示すように、荷電粒子ビーム装置100は、集束イオンビームFBを照射するイオンビーム照射部10と、電子ビームEBを照射する電子ビーム照射部20と、二次荷電粒子検出部30と、EBSD検出部40と、EDS検出部50と、STEM検出部60と、試料Sを保持する試料ステージSTと、真空チャンバーCBと、制御部CRと、表示部DPとを有している。
【0020】
荷電粒子ビーム装置100のうち、イオンビーム照射部10、気体イオンビーム照射部15、電子ビーム照射部20、二次荷電粒子検出部30、EBSD検出部40、EDS検出部50、STEM検出部60及び試料ステージSTについては、一部または全部が真空チャンバーCBの内部に配置されている。真空チャンバーCBには、不図示の真空ポンプが設けられており、内部CBaを高真空雰囲気まで排気可能である。
【0021】
図2は、荷電粒子ビーム装置100の概略断面図である。
図2は、イオンビーム照射部10、電子ビーム照射部20及び真空チャンバーCBについての断面構成のみを示しており、他の構成については模式的に示している。なお、
図2ではXYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、イオンビーム照射部10から照射される集束イオンビームFBの照射方向をX方向とし、電子ビーム照射部20から照射される電子ビームEBの照射方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。また、X軸回りの方向についてはθX方向と表記する。
【0022】
図2に示すように、イオンビーム照射部10は、イオンビーム鏡筒11と、イオンビーム発生源12と、イオンビーム光学系13とを備えている。イオンビーム鏡筒11は、円筒状に形成されており、中心軸がX方向に平行に配置されている。イオンビーム発生源12としては、例えば液体ガリウムイオン源などを用いることができる。イオンビーム発生源12及びイオンビーム光学系13は、イオンビーム鏡筒11の内部に配置されている。イオンビーム照射部10は、イオンビーム発生源12で発生させたイオンのビームをイオンビーム光学系13で細く絞って集束イオンビームFBとし、当該集束イオンビームFBをイオンビーム鏡筒11の+X側端部に配置された射出口11aから+X方向に射出する構成である。このように、イオンビーム照射部10から照射された集束イオンビームFBの照射軸は、X軸に平行である。
【0023】
気体イオンビーム照射部15は、例えばアルゴンイオンビームなどの気体イオンビームGBを照射する。気体イオンビーム照射部15による気体イオンビームGBの照射角度は、特に限定されない。気体イオンビームGBは、集束イオンビームFBに比べて集束性が低いため、試料表面におけるエッチングレートも低くなっている。
【0024】
電子ビーム照射部20は、電子ビーム鏡筒21と、電子ビーム発生源22と、電子ビーム光学系23とを備えている。電子ビーム鏡筒21は、円筒状に形成されており、中心軸がY方向に平行に配置されている。電子ビーム発生源22及び電子ビーム光学系23は、鏡筒21の内部に配置されている。電子ビーム照射部20は、電子ビーム発生源22で発生させた電子のビームを電子ビーム光学系23で細く絞って電子ビームEBとし、当該電子ビームEBを電子ビーム鏡筒21の+Y側端部に配置された射出口21aから+Y方向に射出する構成である。このように、電子ビーム照射部20から照射された電子ビームEBの照射軸は、Y軸に平行である。また、上記のように、電子ビームEBの照射軸は、集束イオンビームFBの照射軸と直交している。なお、電子ビーム鏡筒21の内部には、試料Sの先端部Saで発生し当該電子ビーム鏡筒21の内部に到達した反射電子Erを検出する二次電子検出部24が設けられている。
【0025】
このように、イオンビーム照射部10及び電子ビーム照射部20は、集束イオンビームFB及び電子ビームEBが直交する方向に照射されるように配置されている。試料ステージSTは、集束イオンビームFB及び電子ビームEBの交差する位置またはその近傍に試料Sの先端部Saが配置されるように試料Sを保持している。
【0026】
本実施形態では、試料ステージSTは、試料Sの先端部Saが−X方向を向くように試料Sを保持している。このため、集束イオンビームFBは、試料Sの先端側から先端部Saに照射されるようになっている。また、電子ビームEBは、集束イオンビームFBに直交する方向に照射されるため、集束イオンビームFBが照射される先端部Saに対して電子ビームEBを照射できる。このため、集束イオンビームFBによる加工中の先端部Saを観察することが可能となる。更に、試料ステージSTは、X軸に平行な回転軸AXを中心として回転可能に設けられている。
【0027】
イオンビーム照射部10は、試料Sの先端部Saに対して、集束イオンビームFBの照射位置を移動させることができるようになっている。
【0028】
試料Sの先端部Saに集束イオンビームFBや電子ビームEBが照射されると、先端部Saからは二次電子Esや後方散乱電子Ed、二次イオンなどの荷電粒子が発生する。また、先端部SaからX線Rが放出される。一方、先端部Saを透過する透過電子Etも発生する。
【0029】
二次荷電粒子検出部30は、試料Sの先端部Saで発生した二次電子Esや二次イオンを検出する。二次荷電粒子検出部30は、二次電子Esのうち二次電子検出部24とは異なる角度の電子を検出する。二次荷電粒子検出部30による検出結果を用いることにより、先端部Saの凹凸形状などを観察することができる。
【0030】
EBSD検出部40は、試料Sの先端部Saで発生した回折電子Edを検出する。EBSD検出部40は、電子線後方散乱回折法の原理に基づいた検出を行う。電子線後方散乱回折法は、電子ビームEBの照射によって生じた回折電子の回折パターンを解析する手法である。結晶性を有する試料に対して電子ビームを照射すると、上記のように回折電子が生じる。この回折電子は、試料の結晶格子面により回折される。回折された回折電子は、所定の面上に帯状の回折パターンを形成する。この回折パターンを検出することにより、結晶構造や結晶方位を求めることができる。
【0031】
EBSD検出部40は、回折パターンが形成されるための検出面40aを有している。EBSD検出部40は、検出面40aに形成された回折電子の回折パターンを検出可能である。検出面40aは、平面状に形成されており、−Z側に向けられている。検出面40aは、Z方向視で円形である。検出面40aは、試料Sの先端部Saから見て+Z方向上に配置されている。
【0032】
EDS検出部50は、試料Sの先端部Saで発生したX線Rを検出する。X線Rは、元素毎に異なる特性X線である。EDS検出部50では、このような特性X線を検出可能であるため、先端部Saに含まれる元素を検出可能となる。なお、EDS検出部50は、検出結果の方位依存性が低いため、検出面が試料S側に向けられていればよい。EDS検出部50を用いることにより、先端部Saのうち組成が異なる界面を加工する場合における加工の様子を観察できる。
【0033】
STEM検出部60は、試料Sの先端部Saを透過した透過電子Etを検出する。STEM検出部60では、先端部Saの結晶状態や組成情報などを検出可能である。また、制御部CRでは、STEM検出部60の検出結果に基づいて、先端部Saの三次元の情報を得ることが可能である。先端部Saが十分に加工されていない段階では、先端部Saの径が大きいため、透過電子Etが少なく、検出精度はそれほど高くはならない。一方、先端部Saの加工が進むと、先端部Saの径が小さくなる(100nmに近くなる)ため、透過電子Etが多くなり、検出精度が高くなる。したがって、本実施形態では、先端部Saの加工の途中以降(例えば、最終段階)で好適に用いられる。
【0034】
制御部CRは、上述した各構成部を総合的に制御していると共に、イオンビーム照射部10の鏡筒11及び電子ビーム照射部20の電子ビーム鏡筒21の加速電圧やビーム電流を変化させることができるようになっている。制御部CRは、イオンビーム照射部10の加速電圧やビーム量を変化させることで、集束イオンビームFBのビーム径を自在に調整できるようになっている。これにより、観察画像を取得するだけでなく、試料Sを局所的にエッチング加工することができるようになっている。しかも、エッチング加工する際に、ビーム径を調整することで粗加工から仕上げ加工まで加工精度を自由に変えることが可能とされている。
【0035】
また、制御部CRは、気体イオンビーム照射部15から照射される気体イオンビームGBの照射時間、照射のタイミング、照射エネルギーなどを調整可能である。また、制御部CRは、試料ステージSTのXYZ方向における位置、回転角度、回転のタイミング、回転速度、回転方向などを調整可能である。
【0036】
また、制御部CRは、二次電子検出部24、二次荷電粒子検出部30、EBSD検出部40、EDS検出部50及びSTEM検出部60の各部で検出された検出結果を信号に変換し、観察画像データを生成することができる。制御部CRは、観察画像データを生成した後、この観察画像データに基づいて表示部DPに観察画像を出力させることができるようになっている。
【0037】
また、制御部CRには、オペレータが入力可能な入力部IPが接続されている。制御部CRは、入力部IPによって入力された信号に基づいて各構成品を制御可能である。例えば、オペレータは、入力部IPを介して、集束イオンビームFB及び電子ビームEBの照射位置やビーム径を調整可能である。この場合、オペレータは、先端部Saのうち所望の領域に集束イオンビームFBを照射してエッチング加工を行ったり、所望の領域に電子ビームEBを照射して観察したりすることができるようになっている。また、オペレータは、入力部IPを介して、気体イオンビームGBの照射を行わせることができる。
【0038】
次に、このように構成された荷電粒子ビーム装置100を用いて、試料Sを針状に加工する試料作成方法について説明する。始めに、試料Sを試料ステージSTに保持させると共に、真空チャンバーCB内を真空状態にセットする初期設定を行う。この初期設定が終了した後、試料Sに集束イオンビームFBを照射して試料Sの先端部Saを針状に加工する工程を行う。
【0039】
制御部CRは、試料ステージSTを動作させて試料Sの先端部Saの位置を調整させる。その後、制御部CRは、イオンビーム照射部10から試料Sに向けて集束イオンビームFBを照射させる。
【0040】
図3は、イオンビーム照射部10によって先端部Saを加工する様子を示す図である。
図3に示すように、イオンビーム照射部10は、先端部Saに対して+X方向に集束イオンビームFBを照射する。このとき、集束イオンビームFBは、X方向視において先端部Saの中心部からずれた位置に照射される。先端部Saのうち集束イオンビームFBが照射された部分は、集束イオンビームFBによって選択的にエッチングされる。
【0041】
先端部Saの一部分に集束イオンビームFBが照射された後、制御部CRは、集束イオンビームFBの照射位置をθX方向にずらして集束イオンビームFBを照射させる。このように、集束イオンビームFBの照射領域をθX方向にずらしながら上記のエッチングを行わせる。この処理を繰り返し行うことにより、試料Sの先端部Saは、徐々に先鋭化され、針状に形成される。
【0042】
試料Sの回転角度や集束イオンビームFBのビーム径、照射時間などについては、オペレータによって設定可能としてもよいし、予め所定の値が設定されており、当該所定値を用いるようにしてもよい。所定値が設定されている場合、所定値を変更できるようにしてもよい。
【0043】
また、試料Sを加工しているときに、観察画像を確認したい場合には、適宜電子ビーム照射部20から電子ビームEBを照射させるようにすればよい。
図3では、電子ビームEBによって発生した帯電粒子Eが各種検出部(二次電子検出部24、二次荷電粒子検出部30、EBSD検出部40、EDS検出部50及びSTEM検出部60)によって検出される様子が示されている。
【0044】
制御部CRは、この各検出部における検出結果に基づいた観察画像データを生成し、観察画像を表示部DPに表示させる。オペレータは、表示部DPに表示された観察画像により、試料Sの先端部Saの状態を観察することができる。また、オペレータは、どの検出器の観察画像を表示部DPに表示させるかを選択することができる。
【0045】
また、本実施形態では集束イオンビームFBの照射軸と試料ステージSTの回転軸とが平行であるため、試料ステージSTの回転中心を観察することができる(SIM観察)。この観察結果に基づいて、制御部CRあるいはオペレータは、試料ステージSTの回転軸上に試料Sを配置する(センターポジション算出機能)。これにより、軸ズレを防ぐことができるため、試料Sを回転させながら加工観察することができる。また、加工と観察とを交互に実施することにより、加工終点を検出することもできる。
【0046】
試料Sの先端部Saを針状に形成した後、最終仕上げを行う。上記の集束イオンビームFBの照射により、先端部Saの表面にはガリウムイオンが注入された状態となっている。
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)は、試料Sの先端部Saの状態を示す原子マップである。なお、試料SとしてSiを用いており、
図4(a)〜
図4(c)に示す原子マップは、このSiの先端の様子を観察するものである。
図4(a)は全ての原子について示すものであり、
図4(b)はシリコン原子について示すものであり、
図4(c)はガリウム原子について示すものである。
図4(a)〜
図4(c)、特に
図4(c)に示すように、先端部Saの表面はガリウム原子(ガリウムイオン)が多数注入された状態となっている。このようなガリウム原子(ガリウムイオン)により、先端部Saの表面にダメージ層が形成されてしまう。最終仕上げでは、先端部Saの表面に注入されたガリウム原子(ガリウムイオン)を除去する。
【0047】
図5は、先端部Saの表面に注入されたガリウムイオンを除去する様子を示す斜視図である。
図5に示すように、ガリウムイオンを除去する場合、気体イオンビーム照射部15から先端部Saに対して気体イオンビームGBを照射する。気体イオンビームGBは、集束イオンビームFBよりもエッチングレートが低いため、先端部Saの形状が変化することなく、先端部Saの表面のみがエッチングされる。これにより、先端部Saの表面に注入されたガリウム原子(ガリウムイオン)がエッチングによって除去される。
【0048】
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は、試料Sの先端部Saの状態を示す原子マップである。
図6(a)は全ての原子について示すものであり、
図6(b)はシリコン原子について示すものであり、
図6(c)はガリウム原子について示すものである。
図6(a)〜
図6(c)、特に
図6(c)に示すように、先端部Saの表面にはガリウム原子(ガリウムイオン)が存在しない状態となっている。このように、最終仕上げによって先端部Saの表面に注入されたガリウム原子(ガリウムイオン)が除去される。
【0049】
この最終仕上げ工程において、制御部CRは、気体イオンビームGBの照射動作と、試料ステージSTをθX方向に所定角度回動させる回動動作とを交互に行わせる。例えば、気体イオンビームGBを1回照射させた後、試料ステージSTをθX方向に30°回動させる。試料ステージSTを回動させた後、気体イオンビームGBを1回照射させる。
【0050】
このように、気体イオンビームGBを1回照射する毎に、試料ステージSTをθX方向に30°ずつ回動させる。この動作を繰り返し行わせ、試料ステージSTがθX方向に360°回転したところで最終仕上げを終了する。このとき、最終仕上げ開始から終了までの時間を予め設定することにより、気体イオンビームGBの各照射動作の期間と、試料ステージSTの各回転動作の期間とがそれぞれ各回について均等になるように自動的に設定される。このように、回転角度、回転動作の時間、気体イオンビームGBの照射時間を調整することにより、先端部Saの周方向の全体にわたって均一にクリーニングを行うことが可能となる。なお、
図5に示すように、最終仕上げ工程を行う際に、電子ビーム照射部20から電子ビームEBを照射し、各種検出部で先端部Saの状態を観察してもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態では、気体イオンビーム照射部15を用いて試料Sに気体イオンビームGBを照射することにより、集束イオンビームFBの照射によって試料Sの表面に注入されたガリウムイオンを除去することができる。しかも、本実施形態では、試料ステージSTによって試料Sを回転させることができるため、試料Sの全面に亘ってガリウムイオンの除去を行うことができる。これにより、試料Sの表面におけるダメージ層の形成を抑制することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、試料ステージSTを所定角度回動させる回動動作と、気体イオンビーム照射部15から気体イオンビームGBを照射させる照射動作とを交互に行うことにより、効率的に試料Sからガリウムイオンを除去することができる。なお、交互ではなく回転動作と照射動作を同時に実施することもできる。
【0053】
また、本実施形態では、試料から発生する二次電子、二次イオン、後方散乱電子、試料Sを透過する透過電子のうち少なくとも1つを検出可能であり、また、X線を検出可能であるため、試料Sの多面的な観察が可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、試料Sの材料として、Siなどの半導体材料を例に挙げて説明したが、このような半導体材料含む試料Sは、イオンビームの照射によるイオン注入の影響を受けやすい。本実施形態によれば、半導体材料を含む試料Sの表面において、イオンによるダメージ層の形成を抑制することが可能となるため、高品質の試料Sを作製することができる。
【0055】
しかも、イオンビーム照射部10のイオン源として、液体ガリウムイオン源が用いられるため、Siを含む試料にガリウムイオンが注入されることになる場合であっても、注入されたガリウムイオンを除去することが可能となる。これにより、ガリウムイオンによるダメージ層の形成を抑制できるため、試料Sの特性が変化するのを防ぐことができる。
特に、試料ステージSTの回転中心合わせを行い、集束イオンビームFB加工を実施するので、ダメージ層が均等に形成され、さらに、気体イオンビームGBにより、先端部Saの周方向の全体にわたって均一にクリーニングを行うことができるので、微細な先端であってもダメージ層の抑制した高品質な試料を作製することができる。
【0056】
また、本実施形態では、先端部Saが針状に形成された試料Sであっても、気体イオンビームGBを照射することにより、表面のガリウムイオンを除去することができる。これにより、先端部Saが針状に形成された試料であっても、先端部Saにおけるダメージ層の形成が抑制される。このため、アトムプローブ分析に用いられる、先端の直径が100nm程度の針状試料であっても容易に作製することができる。
【0057】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、気体イオンビームGBを構成する気体として、アルゴンを例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、このような気体として、アルゴンの他に、ネオンやキセノンなどの希ガスや、窒素などの不活性ガスなどを用いてもよい。