(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の正帯電性シリカ粒子において、BET比表面積は特に限定されないが、15〜350m
2/gであることが好ましく、20〜250m
2/gであることが更に好ましい。比表面積が上記範囲を超えて大きくなると、トナー用外添剤として用いた場合にトナーの母材である樹脂にシリカが次第に埋没し易くなり、流動性が次第に低下する。また、上記範囲を超えて小さくなると、トナー用外添剤として用いた場合に効果的な流動性を付与することができなくなる。
【0020】
本発明の正帯電性シリカ粒子において、基材となるシリカ粒子は、含水量が少ないことから、乾式シリカであることが好ましい。乾式シリカは、火炎中にケイ素化合物を供給して製造されるものであり、かかるシリカ粒子は、水分や粗大粒子が少なく、外添剤として用いた場合、トナー樹脂の流動性付与効果や、帯電性付与に優れる。特に、一般的にヒュームドシリカと呼ばれるクロロシランの火炎熱分解によって製造されるシリカ粒子が好ましい。
【0021】
上記乾式シリカの好適な製造方法を例示すれば、特開2008−19157号に記載されている製造方法が挙げられる。即ち、中心管とその外周に形成された第1環状管を有する多重管構造のバーナーを使用し、シロキサン化合物のガスと酸素ガスとを含む混合ガスを前記バーナーの中心管に供給し、且つ水素ガスまたは炭化水素ガスを可燃性成分として含む補助ガスを前記バーナーの第1の環状管に供給して燃焼を行うことにより乾式シリカの粒子を製造する方法が挙げられる。また、一般的にヒュームドシリカと呼ばれるクロロシランの火炎熱分解によって製造する方法も挙げられる。
【0022】
シリカ粒子の比表面積は、表面処理によるシリカ粒子の比表面積の変化を勘案して、決定すればよい。即ち、前記アミノ基含有基の付与、及び疎水正の置換シリル基の付与、更にシリコーンオイルの被覆によって、シリカ粒子の比表面積は若干低下し、また、その傾向も、比表面積が大きくなるほど大きいため、使用する原料のシリカ粒子の比表面積は、かかる点を勘案して、目的とする表面処理シリカ粒子の比表面積となるように適宜決定すればよい。
【0023】
本発明において上記基材となるシリカ粒子の表面には、アミノ基含有基が共有結合により導入されてなる。斯様にアミノ基含有基が導入されることにより、シリカ粒子の表面は、正帯電性の外添剤に求められるプラスに帯電したものになる。
【0024】
ここで、アミノ基含有基は、アミノ基の他、該アミノ基を含有する基も含む。具体的には、アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−(2−アミノエチル)アミノ基等のアルキルアミノ基;これらのアミノ基又はアルキルアミノ基を置換基として有するアルキルシリル基等が挙げられる。上記アミノ基又はアルキルアミノ基を置換基として有するアルキルシリル基において、アミノ基やアルキルアミノ基の窒素原子とシリル基(珪素原子)とを繋ぐアルキレン基は、炭素数1〜5のものが好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
【0025】
上記アミノ基含有基は、後述するようにシリカ粒子の表面シラノール基に、アミノシランカップリング剤や、環状シラザンを反応させることにより導入することができる。この導入は、シリカ粒子の全表面に均一に導入するのが好ましい。その存在量は、表面をプラスに帯電し、正帯電性シリカ粒子として機能するのに十分な量であれば特に制限されない。一般には、シリカ粒子の比表面積によっても多少異なるが、アミノ基の窒素原子として、0.05〜0.5重量%、より好適には0.2〜0.4重量%の存在量であるのが好ましい。かかる窒素原子量の確認は、元素分析装置を使用して行うことが可能である。
【0026】
このようにアミノ基含有基が導入されたシリカ粒子では、該アミノ基含有基の導入に表面シラノール基を利用するため、当該表面シラノール基の存在量は低減しているが、それでも正帯電性の外添剤に必要なアミノ基含有基の導入量程度では、通常、まだ相当量残存している。しかも、アミノ基は親水性であるため、斯様にアミノ基含有基を導入しても、シリカ粒子の表面は親水性である。これらから表面が親水性のシリカ粒子を外添剤として使用した場合、トナー樹脂との親和性が悪くなり、樹脂表面に均一に付着し難くなる。また、高温高湿環境下に長期間保管すると結露によるトナーの性能劣化が生じるようになる。
【0027】
以上から、アミノ基含有基を表面に導入したシリカ粒子では、その表面が疎水性を呈するように改質することが求められる。而して、本発明の最大の特徴は、このアミノ基含有基を導入したシリカ粒子の疎水化を、
・表面に、疎水性の置換シリル基も共有結合により導入する手法と、
・更に、その表面の少なくとも一部をシリコーンオイルで被覆する手法
とを組み合わせて実施したことにある。この結果、得られる表面処理シリカ粒子は、前記問題であった、トナー樹脂との親和性や保管時の吸湿性を大きく改善できるのに加えて、現像機内において、長期に渡り機械的ストレスや熱的ストレスに曝されても、プラス帯電特性を安定して維持できる効果も達成できるものになる。
【0028】
ここで、前者の疎水化手法は、アミノ基含有基の導入だけでは残存する表面シラノール基を利用して、ここに疎水性基を導入することにより実施できる。導入する疎水性の置換シリル基は、Si元素に少なくとも1つの炭化水素基が結合したシリル基が該当する。この炭化水素基は、疎水性を呈するために、アミノ基のような親水性基は非含有のものになる。また、炭化水素基は、炭素数1〜6であるのが好ましい。
【0029】
こうした疎水性の置換シリル基としては、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、モノアルキルシリル基、アリールシリル基、アルケニルシリル基等が挙げられる。具体的には、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、モノメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジエチルシリル基、モノエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、フェニルシリル基、ビニルシリル基等である。なかでも、効率良く疎水性が付与できることから、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0030】
上記疎水性の置換シリル基は、前記アミノ基含有基を導入したシリカ粒子に残存する表面シラノール基に、疎水性のシリル化剤を反応させることにより導入することができる。この導入は、シリカ粒子の全表面に均一に導入するのが好ましい。その存在量は、シリカ表面のシラノール基が全て不活化されればよく、一般には、シリカ粒子の比表面積によっても多少異なるが、炭素原子として、0.3〜3.0重量%、より好適には0.8〜1.6重量%のであるが好ましい。
【0031】
こうしてアミノ基含有基だけでなく、疎水性のシリル基をも導入した表面処理シリカ粒子の表面性状はかなり疎水的になり、トナー樹脂との親和性や保管時の吸湿性はある程度改善できるが、それでもまだ十分ではない。また、前記したように表面処理シリカ粒子では、長期の帯電安定性が低くなる。この長期の帯電安定性の低さは、上記アミノ基含有基が、シリカ粒子の表面に露出していることが主因であり、現像機内で受ける機械的ストレスや熱的ストレスを受けて、アミノ基が変性もしくは解離するため、または表面処理シリカ粒子の表面の一部が欠損するためではないかと考えられる。
【0032】
こうした状況にあって本発明では、前述した疎水化手法の後者として、これら表面処理シリカ粒子の表面の少なくとも一部をシリコーンオイルで被覆することにより、これらの問題を高度に改善する。すなわち、疎水性の更なる向上により、トナー樹脂との親和性や保管時の耐吸湿性は更に向上する。さらに、該シリコーンオイルの被覆により、アミノ基に対する機械的ストレスや熱的ストレスの影響が緩和されることにより、長期の帯電安定性が高度に改善する。
【0033】
このシリコーオイルによる被覆では、シリカ粒子の表面に、前記疎水性のシリル基の導入によっても未反応であった表面シラノール基が僅かに残る場合、それと水素結合等の弱い化学結合により一部が固定化される。しかし、大部分は、単なる物理吸着により、遊離した状態で、表面処理シリカの表面を覆う状態にある。
【0034】
この被覆するシリコーンオイルの内、遊離シリコーンオイルの量が、基材となるシリカ粒子の単位表面積当たり、0.1〜1.1mg/m
2、特には0.1〜0.9mg/m
2、最も好適には0.2〜0.7mg/m
2であるのが望ましい。一般には、シリカ粒子の比表面積が100m
2/g以下の場合には、特に0.1〜0.8mg/m
2であることが好ましく、100m
2/g以上の場合には、特に0.2〜0.7mg/m
2であることが好ましい。遊離シリコーンオイル量が、上記範囲であることにより高い疎水性を呈するものにでき、トナー樹脂粒子に添加した際の流動性の付与効果が特に高く、長期に渡ってより安定にプラスの帯電特性を維持することが可能になる。なお、本発明の表面処理シリカは、前記疎水性のシリル基の導入により、既に相当に疎水化できており、その上で、被覆するシリコーンオイルは大部分が自由度の大きい、上記遊離シリコーンオイルになるため、その被覆は上記少なめの範囲を好適として部分的であっても、十分に前記アミノ基に対する機械的ストレスや熱的ストレスの緩和作用は良好に発揮される。そして、斯様に遊離シリコーンオイルの被覆量が少なめの好適範囲であった場合には、トナー樹脂粒子やシリカ粒子の凝集体の生成も良好に抑制できるものになり望ましい。
【0035】
本発明において、上記遊離シリコーンオイルの被覆量は、表面処理シリカ粒子をノルマルヘキサンに浸漬して溶出するシリコーンオイル量を測定することにより求めた値であり、具体的には以下の方法により算出できる。すなわち、まず、容量50mlの遠心管に、試料の正帯電性シリカ粒子0.5gとノルマルヘキサン32mlを入れ、超音波洗浄器(例えば、ヤマト科学製超音波洗浄器1510JMTH)にて30分間超音波洗浄し、懸濁させる。得られた懸濁液を遠心分離して、固相(シリカ)を分離回収する。回収したシリカに対し、さらにノルマルヘキサンを32ml加え、超音波洗浄及び遠心分離の操作を計3回繰り返し固相(シリカ)を分離回収し、減圧乾燥(120℃、12時間)して乾燥粉末を得る。この粉末の炭素含有量を、酸素循環燃焼方式による全窒素・全炭素測定装置(例えば、株式会社住化分析センター製スミグラフNC−22F)を用いて測定する。予め、試料0.5g中の総炭素含有量を測定しておき、該総炭素含有量との差分から、抽出された遊離シリコーンオイルの量を算出する。具体的には、上記差分に相当する炭素分をジメチルシロキサンを主鎖とするシリコーンオイル(構造式:−(Si(CH
3)
2−O)
n−)量に換算し、遊離シリコーンオイル量とすれば良い。
【0036】
本発明の正帯電性シリカ粒子の疎水度(M値)は、後述する疎水度の測定方法で、40〜70であることが好ましく、45〜65であることが更に好ましい。
【0037】
正帯電性シリカ粒子の帯電量は、後述の測定方法において、たとえば10分間回転・混合した高帯電疑似トナーの場合、+20〜80μC/gのものを得ることができる。上記高帯電疑似トナーの帯電量が+20μC/gを下回る場合、正帯電性シリカ粒子として十分な帯電量を有しておらず、トナー外添剤として用いた際にかぶりなどの画像不良を生じる虞がある。帯電量の上限については特に制限はないが、上記アミノシラン処理を行うことによって、基材となるシリカの比表面積に応じた正帯電量を得ることができる。
【0038】
次に、以上の構成の正帯電性シリカ粒子の製造方法について説明する。本発明において、正帯電性シリカ粒子の製造方法は、特に限定されないが、代表的な製造方法を例示すれば、シリカ粒子に、アミノシランカップリング剤または環状シラザンを接触させてその表面にアミノ基含有基を共有結合により導入した後、さらに疎水性のシリル化剤と接触させてその表面に、疎水性の置換シリル基を共有結合により導入し、次いで得られた、アミノ基含有基と、疎水性の置換シリル基とが夫々共有結合により導入された表面処理シリカ粒子をシリコーンオイルと接触させて、その表面の少なくとも一部にシリコーンオイルを被覆することを特徴とする正帯電性シリカ粒子の製造方法が挙げられる。
【0039】
前記表面処理シリカ粒子の製造方法では、先ず、シリカ粒子に、アミノシランカップリング剤または環状シラザンを接触させてその表面にアミノ基含有基を共有結合により導入する。ここで、アミノシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基またはハロゲン原子が結合した珪素原子と窒素原子を含有する官能基を含む化学構造を有するものである。
【0040】
使用するアミノシランカップリング剤としては、下記式(1)のものを挙げることができる。
【0042】
(式中、nは1〜5であり、R
1は、塩素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、これらケイ素原子に結合した3つのR
1の内、少なくとも一つは、塩素原子又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、R
2は、水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアミノアルキル基、又はフェニル基であり、同一であっても異なっていても良く、互いに連結して炭素数3〜15の環を形成していても良い。)
前記式(1)で示されるアミノシランカップリング剤としては、R
1が塩素原子であるよりも、アルコキシ基である方が腐食性ガスである塩化水素が発生しないため、好ましい。
【0043】
前記式(1)で示される好ましいアミノシランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0044】
環状シラザンとしては、具体的には、N−メチル−アザ−2,2,4−トリメチルシラシクロペンタン、N−アミノエチル−アザ−2,2,4−トリメチルシラシクロペンタン、N−n−ブチル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン、N−(3−アミノプロピルジメチルシラ)アザ−2,2−ジメチル−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。
【0045】
アミノシランカップリング剤または環状シラザンの使用量は、使用するシリカ粒子の比表面積に応じて適宜調整すれば良いが、少なすぎるとシリカ粒子表面を十分に処理できず、プラスの飽和帯電量が低くなり、多すぎると過剰のアミノシランカップリング剤または環状シラザンが反応系内に残存し、精製操作が煩雑となるため、使用するシリカ粒子100質量部に対し、0.5〜30質量部、より好ましくは、1〜15質量部とするのが良い。
【0046】
前記方法において、シリカ粒子とアミノシランカップリング剤または環状シラザンを接触させる方法は特に限定されないが、水や有機溶媒中で接触させるよりも、溶媒等は使用せず、乾式で接触させる方法が残溶剤等の不純物の残存の問題もなく、好ましい。具体的には、ミキサー中で攪拌流動化した状態のシリカ粒子に、アミノシランカップリング剤または環状シラザンの原液を噴霧する方法、又はアミノシランカップリング剤または環状シラザンの蒸気をミキサー内に導入する方法が、簡単に実施でき、反応効率も高く、好適である。
【0047】
上記のミキサー中での攪拌においては、シリカ粒子が流動化し、且つ安定化した攪拌状態が得られるように、攪拌の回転数及び攪拌羽の形状を選定することが好ましい。
【0048】
また、シリカ粒子とアミノシランカップリング剤または環状シラザンとの接触は、密閉容器内で実施する方法が、反応率を向上させることが可能であり、好ましい。特には、ミキサー内を窒素ガス等の不活性ガスで置換した後に、密閉し、反応する方法が、安全性、アミノシランカップリング剤または環状シラザンの分解抑制の点から好ましい。
【0049】
反応温度は、低すぎると反応の進行が遅く、高すぎるとアミノシランカップリング剤または環状シラザンの分解を促進するため、100〜500℃、好ましくは、150〜400℃、更に好ましくは、180〜350℃で行うのが良い。
【0050】
反応時間は、使用するアミノシランカップリング剤または環状シラザンの反応性に応じて、適宜決定すれば良いが、通常24時間以内で十分な反応率を得ることが可能である。
【0051】
反応後は、ミキサー内の圧を大気圧に戻した後、窒素等の不活性ガスを導入、流通することにより、副生したアルコール等の低沸点不純物を除去する方法が、次工程のシリル化反応が効率良く進行するため好ましい。
【0052】
前記のようにして得られたアミノシラン処理されたシリカは、親水性である。かかる親水性のシリカでは、高湿環境において吸湿し、トナーの流動性を低下させるため、続くシリル化処理により、疎水化を行い、シリカ粒子表面のシラノール基を不活化する必要がある。
【0053】
尚、上記アミノシラン処理より先にシリル化処理を行うと、表面が疎水化されてしまい、アミノシラン処理を十分行うことが困難となり、十分なプラス帯電性を付与することが難しい。
【0054】
前記正帯電性シリカ粒子の製造方法において、シリル化処理で使用する疎水性のシリル化剤は、前述の疎水性の置換シリル基を付与できるものであれば特に限定されず、公知のものが使用できる。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類や、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のシラザン類等が挙げられる。特に、反応性や取扱いの容易さの観点から、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のクロロシラン類や、ヘキサメチルジシラザンを使用するのが好ましい。
【0055】
前記シリル化剤の使用量は、使用するシリカ粒子の比表面積に応じて適宜調整すれば良いが、少なすぎるとシリカ粒子表面を十分に処理できず、十分な疎水性が得られず、多すぎると過剰のシリル化剤が反応系内に残存し、精製操作が面倒となるため、使用するシリカ粒子100質量部に対し、2〜50質量部、より好ましくは5〜40質量部とするのが良い。
【0056】
前記方法において、シリカ粒子とシリル化剤を接触させる方法は、特に限定されないが、水や有機溶媒中で接触させるよりも、溶媒等は使用せず、乾式で接触させる方が残溶剤等の不純物の残存の問題もなく、好ましい。具体的には、ミキサー中で攪拌流動化した状態のシリカ粒子に、シリル化剤の原液を噴霧する方法、又はシリル化剤の蒸気をミキサー内に導入する方法が、簡単に実施でき、反応効率も高く、好適である。
【0057】
また、場合によって、シリル化剤を投入する前に、水蒸気を投入し、アミノシラン処理シリカ表面に残存するアルコキシ基等の反応性基をシラノールに変換しても良い。
【0058】
上記のミキサー中での攪拌においては、シリカ粒子が流動化し、且つ安定化した攪拌状態が得られるように、攪拌の回転数及び攪拌羽の形状を選定することが好ましい。
【0059】
また、アミノ基を導入したシリカとシリル化剤との接触は、密閉容器内で実施する方法が、反応率を向上させることが可能であり、好ましい。特には、ミキサー内を窒素ガス等の不活性ガスで置換した後に、密閉し、反応する方法が、安全性、シリル化剤の分解抑制の点から好ましい。
【0060】
反応温度は、低すぎると反応の進行が遅く、高すぎるとシリル化剤の分解を促進するため、100〜500℃、好ましくは、150〜400℃、更に好ましくは、180〜350℃で行うのが良い。
【0061】
反応時間は、使用するシリル化剤の反応性に応じて、適宜決定すれば良いが、通常24時間以内で十分な反応率を得ることが可能である。
【0062】
反応後は、ミキサー内の圧を大気圧に戻した後、窒素等の不活性ガスを導入、流通することにより、副生したアンモニア等の低沸点不純物を除去する方法が、簡便な精製法であり好ましい。
本発明では、アミノ基とシリル基を導入した表面処理シリカ粒子に対し、さらにシリコーンオイルを添加し、表面を被覆する。本発明において使用するシリコーンオイルは、特に限定されず、公知ものを制限なく使用することができる。具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0063】
上記シリコーンオイルの粘度は特に制限されないが、20〜500cStのものを好適に用いることが可能である。シリコーンオイルの粘度がこの範囲を超えて小さい場合には、シリコーンオイルが揮発性になるため、所定の量をシリカ粒子表面に付着させにくい傾向にあり、またこの範囲を超えて大きくなると、処理が不均一になる傾向にある。また、官能基の異なる2種類以上のシリコーンオイルを混合して用いてもよいし、同じ官能基を持ち、粘度や分子量分布が異なる2種類以上のシリコーンオイルを混合して用いてもよい。
本発明において、シリコーンオイルの添加量は、シリカ粒子表面に十分な疎水性を付与できればよく、使用するシリコーンオイルの種類や、シリカ粒子の比表面積によって異なるため一概にはいえないが、例えば、基材のシリカ粒子の比表面積が200m
2/gの場合であれば、基材のシリカ100質量部に対して2〜22部、より好ましくは4〜16質量部、比表面積が85m
2/gの場合であれば、シリカ100質量部に対して1〜10部、より好ましくは2〜7質量部添加することが好ましい。特に、得られる表面処理シリカ粒子の遊離シリコーンオイル量が、前述の範囲となる量であることが好ましく、例えば、上記遊離シリコーンオイル量が基材となるシリカ粒子の単位表面積あたり0.1〜1.1mg/m
2とする場合には0.1〜1.2mg/m
2程度、0.1〜0.9mg/m
2である場合には0.2〜1.0mg/m
2程度であり、0.2〜0.7mg/m
2である場合には0.2〜0.8mg/m
2程度被覆させてやればよい。
【0064】
上記シリコーンオイルの被覆方法は、アミノ基とシリル基を有するシリカ粒子の表面をシリコーンオイルで被覆できればよいのであって特に限定されず、処理方法として、トルエン等の溶媒中にシリコーンオイルを溶解させ、該溶液中にシリカ粒子を分散させ、溶媒を蒸発させることによりシリカ粒子表面にシリコーンオイルを付着させ、更に所定の熱処理を行うことによる方法(湿式処理法)、及びミキサー、あるいは流動層中で混合しながらシリカ粒子に対してシリコーンオイルを噴霧し、シリカ粒子表面にシリコーンオイルを付着させ、所定の熱処理を行うことによる方法(乾式処理法)が挙げられる。
【0065】
上記湿式処理法、乾式処理法のうち、より均一に処理されたシリカ粒子が得られる理由、及び有機溶媒を使用しないため、コスト面、安全面、環境面において優れている理由から乾式処理法を用いることが好ましい。
【0066】
前記乾式処理法において、良好な混合状態でシリコーンオイルを噴霧することは、均一なシリコーンオイル処理を行う上で重要である。シリカ微粉末を混合する方法としては、ミキサーが好ましい。ミキサーによる混合は、流動層による混合と比較してシリカ粒子同士の衝突頻度が高く、シリカ粒子間でのシリコーンオイルのやり取りが頻繁に行われるため、より均一に処理された表面処理シリカ粒子が得られる傾向にある。
【0067】
上記シリコーンオイル処理におけるミキサー中での攪拌においては、シリカ粒子が流動化し、且つ安定化した攪拌状態が得られるように、攪拌の回転数及び攪拌羽の形状を選定することが好ましい。容器は密閉していても、していなくても、どちらでも良い。
【0068】
本発明において、シリコーンオイル処理を前記乾式処理法により行う場合に、シリコーンオイルを噴霧する際の噴霧粒径は、80μm以下であることが好ましい。噴霧粒径をこの範囲内とすることにより、均一な処理を行ない易い。シリコーンオイルの噴霧装置は、1流体ノズル、2流体ノズル等を用いることが可能である。より小さな粒径で噴霧が可能である理由から、2流体ノズルにより行うことが好ましい。
【0069】
本発明において、シリコーンオイル処理は、シリカ粒子表面にシリコーンオイルを付着させた後に、所定の熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、特に限定されないが、好ましくは100℃〜300℃の環境下で行うことができる。
【0070】
反応時間は、使用するシリコーンオイルの反応性に応じて、適宜決定すれば良いが、通常24時間以内で十分な反応率を得ることが可能である。
【0071】
反応後は、窒素等の不活性ガスを導入、流通して反応を完結し、残留溶媒を除去する。
【0072】
本発明において、前述の表面処理シリカ粒子は、電子写真トナー用の外添剤として、好適に使用できる。
【0073】
本発明の電子写真トナー用外添剤は、トナーの構成材料に関しても特に限定されず、公知のものを任意に配合したものに対して添加することができる。例えば、黒トナー、及び、カラートナーのいずれにも使用でき、また、磁性一成分、非磁性一成分、二成分等のいずれの電子写真システムにも使用可能である。トナーのバインダー樹脂も、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等、特に制限なく公知のものを使用できる。
【0074】
また、トナーの製造方法も、粉砕・混練法はもとより、懸濁重合や乳化重合等の重合法で得られたトナー等特に限定なく適用できる。本発明の外添剤は、その他のトナーの構成材料に関しても、公知のものを任意意に配合したトナーに対して適用することができる。黒の着色剤やシアン、マゼンタ、イエロー等のカラー着色剤、帯電制御剤、ワックス等の離型剤も当該分野で通常使用される材料を何ら制限なく使用できる。キャリアも例えばフェライトキャリア、鉄粉キャリア等、特に制限なく使用でき、これらにシリコーンやフッ素樹脂等のコーティングが施されていても良い。
【0075】
本発明の外添剤のトナーに対する添加量は、得られるトナーが所望する特性となるような量であれば特に制限はされないが、通常0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%とするのが好ましく、公知の方法でトナーに添加できる。
【0076】
一般に、トナー用外添剤として、粒子径が比較的小さい表面処理シリカ粒子、即ち、比表面積が100m
2/g以上の粒子は、トナーの流動性付与効果が高く、また、粒子径が比較的大きい表面処理シリカ粒子、即ち、比表面積が100m
2/g以下の粒子は、流動性を付与する上記小粒系の粒子がトナー樹脂中に埋没することを防ぐスペーサーとしての機能を有する。したがって、トナーを製造する際には、本発明の外添剤は、単独で使用されるものとは限らず、比表面積の異なる2種類以上のシリカが添加されても良い。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
【0078】
なお、本発明の表面処理シリカ粒子の物性及び応用特性は、以下の方法により測定した。
【0079】
(比表面積の測定)
得られた表面処理シリカの比表面積は、柴田科学器械工業性比表面積測定装置SA−1000を用い、窒素吸着量によるBET1点法により測定した。
【0080】
(炭素含有量の測定)
得られた表面処理シリカの炭素含有量は、株式会社住化分析センター製のスミグラフNC−22Fにより測定した。
【0081】
(疎水度の測定)
試料0.2gを容量250mlのビーカーに移し、50mlの水を加え、マグネティックスターラーで攪拌した。これにビュレットを使用してメタノールを加え、試料粉末の全量がビーカー内の溶媒に濡れて懸濁した時点を終点として、滴定した。この際、メタノールが直接試料に触れないように、チューブで溶液内に導いた。終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの容量%を疎水度(M値)とした。
(遊離シリコーンオイルの算出方法)
容量50mlの遠心管に、試料0.5gとノルマルヘキサン32mlを入れ、ヤマト科学製超音波洗浄器1510JMTHにて30分間超音波分散し、懸濁させる。得られた懸濁液を遠心分離して、固相(シリカ)を分離回収した。回収したシリカに対し、さらにノルマルヘキサンを32ml加え、超音波分散及び遠心分離の操作を計3回繰り返し、減圧乾燥(120℃、12時間)して乾燥粉末を得る。この粉末の炭素含有量を株式会社住化分析センター製スミグラフNC−22Fを用いて測定する。予め、試料0.5g中の総炭素含有量を測定し、該総炭素含有量との差分から、抽出された遊離シリコーンオイル量を算出した。
【0082】
具体的には、上記差分に相当する炭素分をジメチルシロキサンを主鎖とするシリコーンオイル(構造式:−(Si(CH
3)
2−O)
n−)に換算し、遊離シリコーンオイル量とした。
(圧縮度の測定)
スチレン−アクリル樹脂(ガラス転移点61℃)をジェットミルで粉砕し、平均粒径6μmの樹脂粉を得た。この樹脂粉35gと得られた表面処理シリカ0.7g、さらに5mmのガラスビーズ200gをポリ容器に移し、1時間振とうさせ、ガラスビーズを篩分けた後、25℃50%相対湿度の条件下で24時間以上放置した。これを擬似トナーとして回収した。この擬似トナーを用いて、パウダテスタ(ホソカワミクロン社製、PT−R型)にて圧縮度を測定した。圧縮度は次式で示される。なお、該圧縮度の値が小さいほど、トナー外添剤として使用したときに、トナーの流動性が良好であると評価できる。
【0083】
圧縮度(%)=(固め見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/固め見掛け比重×100
(式中のゆるみ見掛け比重、固め見掛け比重とは、それぞれ、以下の通りである。)
・ゆるみ見掛け比重:100mlのカップに試料粉を入れ、タッピングをしない状態で測定した見掛け比重
・固め見掛け比重:100mlのカップに試料粉を入れ、180回タッピングした後の見掛け比重
(凝集度の評価)
上記で得られた擬似トナー2gを用いて、パウダテスタ(ホソカワミクロン社製、PT−R型)にて凝集度の評価を行った。篩の目開きは、上から150μm、75μm、45μmのものを用いた。振動時間は30秒とした。凝集度は次式で示される。該凝集度の値が小さいほど、トナーやシリカの凝集量が少なく良好と評価できる。
【0084】
凝集度(%)=(A+0.6×B+0.2×C)/2×100
式中のA、B、Cの値は以下の通りである。
【0085】
A:150μm上の疑似トナー篩残量(g)
B:75μm上の疑似トナー篩残量(g)
C:45μm上の疑似トナー篩残量(g)
(ストレス付与)
表面処理シリカ20g、5mmのジルコニアビーズ200gを500mlのポリ容器に移し、腕振り型振とう混合機(ヤヨイ社製YS−8D)にて、振り角度30度、振とう速度200回/分にて8時間振とうさせることによって機械的ストレスを与え、これを劣化後表面処理シリカとした。また、この劣化後表面処理シリカを用いて作製した疑似トナーを劣化後疑似トナーとした。ストレスを与えていない表面処理シリカは劣化前表面処理シリカであり、該劣化前表面処理シリカを用いて作製した疑似トナーは劣化前疑似トナーである。
(帯電量の測定)
帯電量の測定は、前記劣化前後それぞれの疑似トナーについて、帯電の処理時間を変えた下記高帯電疑似トナーと低帯電疑似トナーについてそれぞれ測定した。
【0086】
劣化前後それぞれの疑似トナー1gとフェライトキャリア99gを入れたサンプル瓶をそれぞれ2本づつ作成し、該サンプル瓶を25℃50%相対湿度の条件下で24時間以上放置した。次に、該サンプル瓶を、卓上ローラーミルにて、100rpmにて10分間回転・混合したものを高帯電疑似トナー、30分間回転・混合したものを低帯電疑似トナーとし、それぞれ、ブローオフ粉体帯電測定装置(東芝ケミカル株式会社製TB−200型)にてブローガス圧10kPa、引きガス圧−5kPa、ブロー時間10秒間の条件で帯電量を測定した。
【0087】
実施例1
比表面積200m
2/gの親水性フュームドシリカ400gを容積20Lのミキサーに入れて撹拌し、窒素雰囲気に置換すると同時に、250℃に加熱した。ミキサーを密閉し、アミノ基を導入するための処理剤として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン40gを1流体ノズルで噴霧した。噴霧後、1時間撹拌状態を保ち、その後ミキサーを開放して窒素置換を行った。次に、ミキサーを再度密閉し、シリル基を導入するための処理剤として、ヘキサメチルジシラザン120gを1流体ノズルで噴霧した。噴霧後、1時間撹拌状態を保ち、その後ミキサーを開放して窒素置換を行った。さらに、ミキサーを開放したまま、シリコーンオイルとして、ジメチルシリコーンオイル20gを2流体ノズルで噴霧した。噴霧後、1時間撹拌状態を保ち、表面処理シリカを得た。被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量(表中、被処理シリカ比オイル量)は0.2mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量(表中、被処理シリカ比遊離オイル量)は0.2mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0088】
実施例2
ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を40gとした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.5mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.4mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0089】
実施例3
ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を60gとした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.8mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.7mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0090】
実施例4
親水性ヒュームドシリカとして、比表面積85m
2/gのシリカを使用し、ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を4gとした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.1mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.1mg/m
2であった。その他、物性等表1、表2に示す。
【0091】
実施例5
ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を8gとした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.2mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.1mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0092】
実施例6
ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を20gとした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.6mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.4mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0093】
実施例7
ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を40gとした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は1.2mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.9mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0094】
比較例1
ジメチルシリコーンオイルの噴霧を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に処理を行った。
【0095】
比較例2
ジメチルシリコーンオイルの噴霧を行わなかったこと以外は、実施例4と同様に処理を行った。
【0096】
比較例3
シリル基の導入は行わず、ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を40gとした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.5mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.1mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0097】
比較例4
シリル基の導入は行わず、ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を80gとした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は1.0mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.4mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0098】
比較例5
シリル基の導入は行わず、ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を20gとした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は0.6mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.1mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0099】
比較例6
シリル基の導入は行わず、ジメチルシリコーンオイルの噴霧量を40gとした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた表面処理シリカの、被処理シリカ単位面積当たりの含有シリコーンオイル量は1.1mg/m
2、被処理シリカ単位面積当たりの遊離シリコーンオイル量は、0.4mg/m
2であった。その他物性等、表1、表2に示す。
【0100】
実施例1〜7は、疑似トナーの凝集度が低く、且つ劣化後疑似トナーは正帯電を維持した。比較例1〜5は、劣化後疑似トナーが正帯電を維持できなかった。比較例3,5は、表面処理シリカのM値がゼロとなり、疎水性を示さず、樹脂に付着する量が少なかった。そのため、劣化前の疑似トナーの時点で、すでに十分な正帯電強度を維持できず、疑似トナーの凝集度も著しく高かった。比較例6は、劣化後疑似トナーは正帯電を維持できたものの、疑似トナーの凝集度が著しく高かった。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】