(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドーピング媒体の形態における印刷可能な高粘度酸化物媒体(粘度>500mPas)の調製方法であって、無水ゾル−ゲルベースの合成が、アルコキシシランおよび/またはアルコキシアルキルシランの、以下:
強カルボン酸
i.ホウ素含有化合物の存在下において
および/または
ii.リン含有化合物の存在下において、
との縮合により行われ、
ここで、用いられる強カルボン酸が、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、モノ、ジ、およびトリクロロ酢酸、グリオキサル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、2−オキソグルタル酸の群からの酸であること、
ならびに、ペースト形態の高粘度ドーピング媒体(ドーピングペースト)が、制御されたゲル化により調製されること、
を特徴とする、前記方法。
用いられるアルコキシシランおよび/またはアルコキシ−アルキルシランが、個々の、または異なる、飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状の、脂肪族、脂環式または芳香族ラジカルを含み、これらは、順に、アルコキシドラジカルの任意の所望される位置において、O、N、S、Cl、Brの群から選択されるヘテロ原子により、官能化されていてもよい、請求項1に記載の方法。
リン含有化合物が、アルファおよびベータ位においてシロキサン官能化基を含む、リン(V)酸化物、リン酸、ポリリン酸、リン酸エステルおよびホスホン酸エステルの群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
酸化物媒体が、ゲル化されて高粘度のほぼガラス様の材料を生じ、生じる生成物は、好適な溶媒により再溶解されるか、または高剪断混合デバイスによりゾル状態に再変換されて、部分的もしくは完全な構造回復により再び再変換される(ゲル化)ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
酸化物媒体の安定性が、アセトキシトリアルキルシラン、アルコキシトリアルキルシラン、ハロトリアルキルシランおよびこれらの誘導体の群から選択される「キャッピング剤」の添加により改善されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
本発明による酸化物媒体の印刷、その乾燥および圧縮および/または温度処理によるドーピングの後で、形成されるガラス層を、フッ化水素酸および任意にリン酸を含む酸混合物でエッチングし、疎水性のシリコンウェハ表面が得られ、ここで、用いられるエッチング混合物が、エッチング液として、0.001〜10重量%または0.001〜10重量%の濃度におけるフッ化水素酸と0.001〜10重量%のリン酸とを混合物において含むことを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の使用。
【背景技術】
【0002】
単純な太陽電池または現在市場において最大の市場占有率により表わされる太陽電池の製造は、以下に概説される必須の製造工程を含む:
1.ソーダメージエッチングおよびテクスチャ
シリコンウェハ(単結晶、多結晶または準単結晶、ベースドーピングpまたはn型)は、エッチング方法により粘着性のソーダメージから切り離され、一般的には同じエッチング槽において「同時に」テクスチャ化される。テクスチャ化は、この場合において、エッチング工程の結果としての優先的に整列させた表面(性質(nature))の作製、または単にウェハ表面の意図的なではあるが特に整列させたものではない粗化を意味するものと考えられる。テクスチャ化の結果として、ウェハの表面は、今や拡散反射器として作用し、したがって、方向づけられた反射を減少させる。これは、波長に対しておよび入射角に対して依存的であり、最終的には、表面上で吸収される光入射の割合の増加をもたらし、したがって同じセルの転換効率の増大をもたらす。
【0003】
シリコンウェハの処理のための上述のエッチング溶液は、単結晶ウェハの場合は典型的には、希水酸化カリウム溶液に溶媒としてイソプロピルアルコールが添加されたものからなる。イソプロピルアルコールより高い蒸気圧またはより高い沸点を有する他のアルコールもまた、これが所望されるエッチングの結果の達成を可能にする場合は、代わりに添加することができる。得られる所望されるエッチングの結果は、典型的には、無作為に配置された、厳密には元の表面にエッチングされた、正方形の基部を有するピラミッドにより特徴づけられる形態である。ピラミッドの密度、高さ、およびしたがって基部の面積は、部分的に、エッチング溶液の上述の成分の好適な選択肢、エッチング温度、およびウェハのエッチングタンク中の滞在時間により影響を受ける。単結晶ウェハのテクスチャ化は、典型的には70〜<90℃の温度範囲において行われ、ここで、ウェハ側面あたり10μmまでのエッチング除去速度を達成することができる。
【0004】
多結晶シリコンウェハの場合、エッチング溶液は、中程度の濃度(10〜15%)を有する水酸化カリウム溶液からなってもよい。しかし、このエッチング技術は、工業的実施においては今では殆ど用いられていない。より頻繁には、硝酸、フッ化水素酸および水からなるエッチング溶液が用いられる。このエッチング溶液は、例えば硫酸、リン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、およびまた特にエッチング溶液のウェッティング特性を可能にし、そのエッチング速度にもまた特に影響を及ぼす界面活性剤などの、多様な添加物により変更することができる。これらの酸性のエッチング混合物は、表面上の入れ子式(nested)エッチング溝の形態を提供する。エッチングは、典型的には4℃〜<10℃の範囲の温度において行われ、ここでのエッチング除去速度は、一般的に4μm〜6μmである。
【0005】
テクスチャ化の直後に、シリコンウェハを水で集中的に洗浄し、その前の処理工程の結果として形成される化学酸化物層、ならびにその中およびまたその上に吸収および吸着された夾雑物を取り除くために、その後の高温処理のための準備において、希フッ化水素酸で処理する。
【0006】
2.拡散およびドーピング
先の工程(この場合はp型ベースドーピング)においてエッチングおよび洗浄されたウェハを、酸化リンからなる蒸気で、典型的には750℃〜<1000℃の高温において処理する。この操作の間に、ウェハを、管状炉中の石英管中で、乾燥窒素、乾燥酸素および塩化ホスホリルからなる制御された雰囲気に暴露する。この目的のために、ウェハを、600〜700℃の温度において石英管に導入する。気体混合物を、石英管を通して輸送する。強く加温された管を通しての気体混合物の輸送の間に、塩化ホスホリルが分解して、酸化リン(例えばP2O5)および塩素ガスからなる蒸気を生じる。酸化リンの蒸気は、特に、ウェハ表面上で凝結する(コーティング)。同時に、シリコン表面は、これらの温度において酸化され、薄い酸化物層を形成する。沈澱した酸化リンは、この層において包埋され、二酸化ケイ素と酸化リンとの混合酸化物をウェハ表面上に形成させる。この混合酸化物は、リンケイ酸塩ガラス(PSG)として知られる。このPSGガラスは、存在する酸化リンの濃度に依存して、酸化リンに関して、異なる軟化点および異なる拡散定数を有する。混合酸化物は、シリコンウェハの拡散ソースとしての役割を果たし、ここで酸化リンは、PSGガラスとシリコンウェハとの間の境界面の方向における拡散の経過において拡散し、ここにおいて、それはウェハ表面におけるシリコンとの反応により、リンに還元される(ケイ素熱力学的(silicothermally)に)。この方法において形成されるリンは、シリコン中で可溶性を有し、これは、それが形成されたガラスマトリックス中でのものよりも数桁高く、したがって、非常に高い偏析計数に起因して、シリコン中に優先的に溶解する。溶解の後で、リンは、シリコンの容積中への濃度勾配に沿ってシリコン中に拡散する。この拡散プロセスにおいて、10
21原子/cm
2の典型的な表面濃度と、10
16原子/cm
2の領域におけるベースドーピングとの間で、10
5の次数における濃度勾配が形成する。典型的な拡散深度は、250〜500nmであり、選択される拡散温度(例えば880℃)、および強力に加温された雰囲気中でのウェハの合計暴露時間(加熱&コーティング相&注入相&冷却)に依存的である。
【0007】
コーティング相の間に、典型的には40〜60nmの層厚みを有するPSG層が形成する。PSGガラスによるウェハのコーティングの間に、シリコンの容積中への拡散もまた既に行われ、その後で注入相を行う。これは、コーティング相から分離していてもよいが、実際においては一般に、時間の観点からコーティングに直接的に共役し、したがって、通常はまた同じ温度において行われる。ここでの気体混合物の組成は、塩化ホスホリルのさらなる供給が抑制されるように、適応させられる。注入の間に、シリコンの表面は、気体混合物中に存在する酸素によりさらに酸化され、酸化リンが枯渇した二酸化ケイ素層を生じ、これは同様に、実際のドーピングソースである高度に酸化リンが濃縮されたPSGガラスとシリコンウェハとの間で生じることになる、酸化リンを含む。この層の成長は、ソース(PSGガラス)からのドーパントの質量流量と比較して非常に速い。なぜならば、酸化物の成長は、ウェハ自体の高い表面ドーピングにより加速されるからである(1〜2桁の加速)。このことは、特定の様式において達成されるべきドーピングソースの枯渇または分離を可能にし、拡散する酸化リンによるその浸透は、材料流量により影響を受け、これは温度およびしたがって拡散計数に依存的である。このように、シリコンのドーピングは、特定の限界において制御され得る。コーティング相および注入相からなる典型的な拡散期間は、例えば25分間である。この処理の後で、管状炉は自動的に冷却され、ウェハは、600℃〜700℃の温度で、処理管から取り除くことができる。
【0008】
n型ベースドーピングの形態におけるウェハのホウ素ドーピングの場合、異なる方法を行い、これはここでは別には説明されない。この場合におけるドーピングは、例えば三塩化ホウ素または三臭化ホウ素により行う。ドーピングのために使用される気体雰囲気の組成の選択に依存して、ウェハ上のいわゆるボロンスキン(boron skin)の形成が観察される場合もある。このボロンスキンは、多様な影響要因:決定的にはドーピング雰囲気、温度、ドーピング期間、ソース濃度および共役する(または直線的に組み合わされる)上述のパラメータに依存的である。
【0009】
かかる拡散プロセスにおいて、言うまでもなく、基板が対応する前処理(例えば、拡散を阻害および/または抑制する層および材料によるその構造化)に予め供されていない場合、用いられるウェハは、好ましい拡散およびドーピングの領域を含むことはできない(不均一な気体の流れおよびその結果生じる不均一な組成物の気体ポケットにより形成されるものを別として)。
【0010】
完全性のために、またここで、シリコンに基づく結晶太陽電池の製造において様々な程度まで確立されている、さらなる拡散およびドーピング技術もまた存在することが指摘されるべきである。したがって、以下について言及することができる:
−イオンインプランテーション、
−APCVD、PECVD、MOCVDおよびLPCVDプロセスによる、混合酸化物の気相堆積(deposition)を介して促進されるドーピング(例えばPSGおよびBSG(ホウケイ酸ガラス)のものなど)、
−混合酸化物および/またはセラミック材料および硬質材料(例えば窒化ホウ素)の(コ)スパッタリング、
−最後の二つの気相堆積、
−固体ドーパントソース(例えば酸化ホウ素および窒化ホウ素)から開始する、純粋に熱による気相堆積、ならびに
−ドーピング液体(インク)およびペーストの液相堆積。
後者は、いわゆるインラインドーピング(inline doping)において頻繁に用いられ、ここで対応するペーストおよびインクは、好適な方法により、ドーピングされるべきウェハ側面に適用される。適用の後またはその間でさえも、ドーピングのために使用される組成物中に存在する溶媒は、温度および/または真空処理により取り除かれる。これにより、ウェハ表面上に実際のドーパントが残る。使用することができる液体ドーピングソースは、例えば、リン酸またはホウ酸の希溶液であり、およびまたゾル−ゲルベースの系、あるいはポリマー性
ボラジン化合物である。対応するドーピングペーストは、さらなる濃縮化ポリマーの使用により、実質的に排他的に特徴づけられ、好適な形態におけるドーパントを含む。上述のドーピング媒体からの溶媒の蒸発の後で、通常、高温での処理を行い、この間に、望ましくない干渉性の添加物であるが配合のために必要であるものを、「燃やす」および/または熱分解(pyrolyse)する。溶媒の除去および焼尽(burning-out)は、同時に行うことができるが、そうしなければならないわけではない。コーティングされた基板は、その後通常は、流入炉(flow-through furnace)を800℃〜1000℃の温度において通過させ、ここで温度は、通過時間を短縮するために、管状炉における気相拡散と比較して、やや上昇していてもよい。流入炉において支配的な気体雰囲気は、ドーピングの要件にしたがって異なり得、乾燥窒素、乾燥空気、乾燥酸素と乾燥窒素の混合物、および/または、通過することになる炉の設計に依存して、上述の気体雰囲気のうちの1つまたは他のものの帯域(zones)からなってもよい。さらなる気体混合物は、考えられ得るが、現在工業的に主要な重要性を有しない。インライン拡散の特徴は、コーティングおよびドーパントの注入を、原則的に互いに分離して行うことができることである。
【0011】
3.ドーパントソースの除去および任意の端面絶縁
ドーピングの後で存在するウェハは、両側において、多かれ少なかれ、ガラスで表面の両側をコーティングされる。この場合の多かれ少なかれとは、ドーピングプロセスの間に適用することができる変更を指す:両面拡散、対、用いられるプロセスボートのうちの1つの位置における2枚のウェハの背面合わせの配置により促進される準片面(quasi-single-sided)拡散。後者の変形態様は、主に片面のドーピングを可能にするが、背面における拡散を完全には抑制しない。両方の場合において、現在、ドーピングの後で存在するガラスを、希フッ化水素酸中でのエッチングにより表面から取り除くことが、最先端の技術である。この目的のために、ウェハは、第1に、バッチにおいて、ウェットプロセスボート中に積み替えられ、それらの補助により、典型的には2%〜5%の希フッ化水素酸の溶液中に浸漬され、表面からガラスが完全になくなるまで、または、プロセス周期の期間(これは必要なエッチング期間と機械によるプロセス自動化との合計パラメータを表わす)が終了するまで、そこに静置される。ガラスの完全な除去は、例えば、希フッ化水素酸水溶液によるシリコンウェハ表面の完全なデウェッティングから確立することができる。PSGガラスの完全な除去は、これらのプロセス条件下において、例えば2%のフッ化水素酸溶液を用いて、室温において210秒間以内に達成される。対応するBSGガラスのエッチングは、よりゆっくりであり、より長いプロセス時間を必要とし、場合によってはまた、より高い温度のフッ化水素酸を用いることを必要とする。エッチングの後で、ウェハは水でリンスされる。
【0012】
一方、ウェハ表面上でのガラスのエッチングはまた、水平に作動するプロセスにおいても行うことができ、ここでウェハは、一定の流量においてエッチャ中に導入され、ここにおいてウェハは、対応するプロセスタンク(インライン機械)を水平に通過する。この場合、ウェハは、プロセスタンクおよびその中に存在するエッチング溶液を通してローラ上を搬送されるか、または、ローラ適用によりエッチング媒体がウェハ表面上に輸送される。PSGのエッチングの間のウェハの典型的な滞在時間は、約90秒間であり、用いられるフッ化水素酸は、より短い滞在時間を補填するために、増大したエッチング速度の結果として、バッチプロセスの場合よりも幾らかより高い濃度となる。フッ化水素酸の濃度は、典型的には5%である。タンク温度は、任意にさらに、室温と比較してやや高くともよい(>25℃<50℃)。
【0013】
最後に概説されたプロセスにおいて、いわゆる端面絶縁を、同時に連続的に行い、プロセスフローに僅かな変更:端面絶縁→ガラスエッチングを行うことが確立されている。端面絶縁は、プロセスエンジニアリングの必要性であって、両面拡散のシステムに固有の特徴から、意図的な片面連続拡散の場合においてもまた、発生するものである。大面積の寄生的(parasitic)なp−n接合は、太陽電池の(後の)裏において存在する。これは、プロセスエンジニアリングの理由のために、後のプロセッシングの間に、部分的に取り除かれるが、完全には取り除かれない。この結果として、太陽電池の前および裏は、寄生的および残留のp−n接合を介して短絡され(トンネルコンタクト)、これが、後の太陽電池の転換効率を低下させる。この接合を取り除くために、ウェハは、片側において、硝酸およびフッ化水素酸からなるエッチング溶液の上を通過させる。エッチング溶液は、例えば、硫酸およびリン酸を第2の構成要素として含んでもよい。あるいは、エッチング溶液は、ローラを介してウェハの裏に輸送(運搬)される。このプロセスにおいて典型的に達成されるエッチング除去速度は、4℃〜8℃の温度において、約1μmのシリコン(処理されることになる表面上に存在するガラス層を含む)である。このプロセスにおいて、ウェハの反対側の面の上になお存在するガラス層は、マスクとして作用し、これは、この面に対するエッチング浸食に対する特定の保護を提供する。このガラス層は、その後、既に記載されたガラスエッチングにより取り除かれる。
【0014】
さらに、端面絶縁はまた、プラズマエッチングプロセスにより行ってもよい。このプラズマエッチングは、次いで、一般にガラスエッチングの前に行われる。この目的のために、複数のウェハを互いに重ね合わせて、外側の端面をプラズマに暴露する。プラズマは、フッ化された気体、例えばテトラフルオロメタンにより供給される。これらの気体のプラズマ分解において生じる反応性種が、ウェハの端面をエッチングする。一般的に、プラズマエッチングの後に、次いでガラスエッチングを行う。
【0015】
4.反射防止層による前面のコーティング
ガラスのエッチングおよび任意の端面絶縁の後で、後の太陽電池の前面を、反射防止コーティングでコーティングし、これは通常、非晶質であり水素が豊富な窒化ケイ素からなる。代替的な反射防止コーティングが考えられ得る。可能なコーティングは、二酸化チタン、フッ化マグネシウム、二酸化スズであってもよく、および/または、二酸化ケイ素および窒化ケイ素の対応する重ね合わせた層からなる。しかし、異なる組成を有する反射防止コーティングもまた、技術的に可能である。上述の窒化ケイ素によるウェハ表面のコーティングは、本質的に、2つの機能を満たす:一方で、層は、多くの合同した正の電荷に起因する電界を発生させ、これは、表面から離れたシリコン中での電荷キャリアを保持することができ、シリコン表面におけるこれらの電荷キャリアの再結合率を相当に低下させることができ(電界効果不動態化)、他方、この層は、例えば屈折率および層厚みなどのその光学的パラメータに依存して、反射低下特性を生じ、これは、それがより多くの光が後の太陽電池中にカップリングされることを可能にするための一因となる。二つの効果は、太陽電池の転換効率を増大させ得る。現在用いられる層の典型的な特性は、以下である:上述の窒化ケイ素の排他的な使用において、約80nmの層厚みであり、これは約2.05の屈折率を有する。反射防止の低下は、600nmの光波長領域において、非常に明らかである。ここでの方向づけられたおよび方向づけられていない反射は、元の入射光(シリコンウェハの垂直な表面に対する垂直入射)の約1%〜3%の値を示す。
【0016】
上述の窒化ケイ素層は、現在一般に、直接的なPECVDプロセスにより表面上に堆積させる。この目的のために、シランおよびアンモニアが導入されるプラズマは、アルゴン気体雰囲気を発火させる。シランおよびアンモニアは、イオン反応およびフリーラジカル反応を介してプラズマ中で反応して窒化ケイ素を生じ、同時にウェハ表面上に堆積する。層の特性は、例えば反応物の個々のガスの流量を介して、調節および制御することができる。上述の窒化ケイ素層の堆積は、また、水素をキャリアガスとして用いても、および/または反応物単独でも行うことができる。典型的な堆積温度は、300℃〜400℃の範囲である。代替的な堆積方法は、例えば、LPCVDおよび/またはスパッタリングである。
【0017】
5.前面電極グリッドの製造
反射防止層の堆積の後で、前面電極は、窒化ケイ素でコーティングされたウェハ表面上において定義される。工業的実施において、金属焼結ペーストを用いるスクリーン印刷法により電極を製造することが確立されてきた。しかし、これは単に、所望される金属接点(contact)の製造のための多くの異なる可能性の一つである。
【0018】
スクリーン印刷メタライゼーションにおいて、銀粒子が非常に豊富であるペースト(銀含有量<=80%)が、一般に用いられる。残りの構成要素の合計は、例えば溶媒、結合剤および濃縮剤などの、ペーストの配合のために必要なレオロジー補助剤から生じる。さらに、銀ペーストは、特別なガラス−フリット混合物、通常は二酸化ケイ素、ホウケイ酸ガラス、ならびにまた鉛酸化物および/またはビスマス酸化物に基づく酸化物および混合酸化物を含む。ガラスフリットは、本質的に二つの機能を満たす:それは、一方で、ウェハ表面と焼結されるべき銀粒子の集団との間の粘着促進剤として作用し、他方で、下にあるシリコンとの直接的な通電接触(ohmic contact)を促進するための、窒化ケイ素最上層の浸透の原因となる。窒化ケイ素の浸透は、エッチングプロセスと、その後のガラス−フリットマトリックス中に溶解した銀のシリコン表面への拡散を介して行われ、これにより、通電接触の形成が達成される。実際には、銀ペーストは、スクリーン印刷によりウェハ表面上に堆積され、その後、約200℃〜300℃の温度において数分間乾燥される。完全性のために、二重印刷プロセスもまた工業的に用いられ、これが、第1の印刷工程の間に作製された電極グリッド上に、正確な位置合わせにより、第2の電極グリッドを印刷することを可能にすることに、言及すべきである。銀メタライゼーションの厚みは、このようにして増大し、これは、電極グリッドの導電率に対して、正の影響を有し得る。この乾燥の間に、ペースト中に存在する溶媒は、ペーストから排出される。印刷されたウェハは、その後、流入炉を通過する。この型の炉は、一般に、複数の加熱帯を有し、これらは、互いに独立して、活性化し、温度制御することができる。流入炉の不動態化の間に、ウェハは、約950℃までの温度まで加熱される。しかし、個々のウェハは、一般に、このピーク温度に数秒間供されるだけである。流入相の残りの間、ウェハは、600℃〜800℃の温度を有する。これらの温度において、銀ペースト中に存在する有機的な付随物質、例えば結合剤などは、焼尽し、窒化ケイ素層のエッチングが開始される。支配的なピーク温度の短時間の間隔の間に、シリコンとの接触の形成が行われる。ウェハは、その後、冷却される。
【0019】
この方法において簡単に概説された接触形成プロセスは、通常、2つの残りの接触形成と同時に行われ(6および7を参照)、これが、同時焼成(co-firing)プロセスという用語もこの場合において用いられる理由である。
【0020】
前面電極グリッドは、それ自体は、典型的には80μm〜140μmの幅を有する薄いフィンガー(典型的な数>=68)、およびまた1.2mm〜2.2mmの幅(それらの数(典型的には2〜3)に依存する)を有する母線からなる。印刷された銀元素の典型的な高さは、一般に、10μm〜25μmである。側面比は、0.3より高くなることは稀である。
【0021】
6.背面母線の製造
背面母線は、一般に、同様にスクリーン印刷プロセスにより適用され、定義される。この目的のために、前面メタライゼーションのために用いられたものと類似の銀ペーストが用いられる。このペーストは、類似の組成を有するが、アルミニウムの割合が典型的には2%となる銀とアルミニウムとの合金を含む。さらに、このペーストは、より低いガラス−フリット含有量を含む。一般に2単位の母線が、ポイント5下において既に記載されたように、スクリーン印刷により、ウェハの裏に、4mmの典型的な幅で印刷され、圧縮され、焼結される。
【0022】
7.背面電極の製造
背面電極は、母線の印刷の後で定義される。電極材料は、アルミニウムからなり、これが、アルミニウム含有ペーストが、ウェハの裏の残りのフリーの領域上に、電極の定義のために端面分離<1mmで、スクリーン印刷により印刷される理由である。ペーストは、<=80%のアルミニウムからなる。残りの構成要素は、ポイント5下において既に言及されているものである(例えば溶媒、結合剤など)。アルミニウムペーストは、同時焼成の間に、加温の間に溶融し始めるアルミニウム粒子および溶融アルミニウム中に溶解しているウェハからのシリコンにより、ウェハに結合する。溶融混合物は、ドーパントソースとして機能し、アルミニウムをシリコンに放出し(溶解度の限度:0.016原子%)、ここで、シリコンは、この注入の結果としてp
+ドーピングされる。ウェハの冷却の間に、アルミニウムとシリコンとの共融混合物(これは577℃で凝固し、0.12のSiのモル分率を有する組成を有する)は、特にウェハ表面上に堆積する。
【0023】
アルミニウムのシリコン中への注入の結果として、ある型の鏡(「電気的鏡(electric mirror)」)として、シリコン中の遊離電荷キャリアの部分に対して機能する、高度にドーピングされたp型層が、ウェハの裏に形成される。これらの電荷キャリアは、この電位の壁を超えることができず、したがって裏のウェハ表面から非常に効率的に遠ざけられ、これはしたがって、全体的に低下したこの表面における電荷キャリアの再結合率から明らかである。この電荷は、一般に、背面電界として言及される。
【0024】
ポイント5、6および7下において記載されるプロセスステップの順番は、ここで概説される順番に対応することができるが、そうしなければならないわけではない。概説されるプロセスステップの順番が、原則として、任意の考えられ得る組み合わせにおいて行い得ることは、当業者には明らかである。
【0025】
8.任意の端面絶縁
ポイント3下において記載されるようにウェハの端面絶縁が既に行われていない場合、これは、典型的には、レーザービーム法により、同時焼成の後で行われる。この目的のために、レーザービームは、太陽電池の前に対して向けられ、前面のp−n接合は、このビームによりカップリングされるエネルギーにより分離される。15μmまでの深さを有する切断溝が、ここでレーザーの作用の結果として生じる。シリコンは、アブレーション機構を介して処理部位から取り除かれるか、またはレーザー溝から投げ出される。このレーザー溝は、典型的には、30μm〜60μmの幅を有し、太陽電池の端面から約200μm離れている。
【0026】
製造の後で、太陽電池は、特徴づけられ、個々の性能のカテゴリーにおいて、それらの個々の性能に従って分類される。
【0027】
当業者は、n型およびまたp型ベース材料の両方を有する太陽電池の構成を知っている。これらの太陽電池の型として、特に、以下が挙げられる:
・PERC太陽電池
・PERL太陽電池
・PERT太陽電池
・MWT−PERTおよびそれから誘導されるMWT−PERL太陽電池
・二面(bifacial)太陽電池
・背面接点電池
・インターデジタル接点を有する背面接点電池。
【0028】
既に初めに記載された気相ドーピングに対する代替としての代替的なドーピング技術の選択肢は、一般に、シリコン基板に対する局所的に異なるドーピングを有する領域の製造の問題を解決することができない。ここで言及され得る代替的な技術は、PECVDおよびAPCVDプロセスによる、ドーピングされたガラスの、または無水混合酸化物の堆積である。これらのガラスの下に位置するシリコンの熱により誘導されるドーピングは、これらのガラスから容易に達成することができる。しかし、局所的に異なるドーピングを有する領域を製造するためには、これらのガラスは、対応する構造をこれらから調製するために、マスクプロセスによりエッチングしなければならない。あるいは、構造化された拡散障壁を、ガラスの堆積の前に、ドーピングされるべき領域をそれにより定義するために、シリコンウェハ上に堆積させてもよい。しかし、各々の場合において1つのみの極性(nまたはp)のドーピングしか達成できないことが、このプロセスの欠点である。ドーピングソースの、または任意の拡散障壁の構造化よりも、幾らか単純であるのは、前もってウェハ表面上に堆積させたドーパントソースからのドーパントの直接的なレーザービーム支援型注入である。このプロセスは、高価な構造化の工程を省くことができる。しかしながら、可能であれば望ましい同じ表面上での同時の2つの極性の同時ドーピング(共拡散(co-diffusion))の欠点は、補償することができない。なぜならば、このプロセスは同様にドーパントソースの事前の堆積に基づき、これは、ドーパントの放出に引き続いてのみ活性化されるからである。かかるソースからのこの(事後)ドーピングの欠点は、不可避の基板のレーザー損傷である:レーザービームは、照射の吸収により、熱に変換されなければならない。従来のドーパントソースは、シリコンと注入されるべきドーパントとの混合酸化物、すなわちホウ素の場合は酸化ホウ素からなるので、これらの混合酸化物の光学的特性は、結果として、酸化ケイ素の光学的特性とかなり類似する。これらのガラス(混合酸化物)は、したがって、関連する波長範囲において、照射について非常に低い係数を有する。この吸収の理由のために、光学的に透明なガラス下に置かれたシリコンが、吸収ソースとして用いられる。シリコンは、幾つかの場合において、それが溶融するまでここで加熱され、その結果として、その上に位置するガラスを加温する。それが、ドーパントの拡散を、通常の拡散温度において期待されるであろうよりも数倍速く促進し、したがってシリコンについては非常に短い拡散時間が生じる(1秒未満)。シリコンは、レーザー照射の吸収の後で、残りの、照射されていないシリコンの容積への、強力な熱の輸送の結果として、相対的に素早く再び冷却されることを意図され、同時に、溶融していない材料上にエピタクティカルに(epitactically)凝固する。しかし、全体的なプロセスは、現実には、レーザー照射に誘導される欠陥の形成を伴い、これは、不完全なエピタクティック(epitactic)凝固および結晶欠陥の形成の原因となり得る。このことは、例えば転位および空隙の形成、およびプロセスのショック様の進行の結果としてのヒビの原因となり得る。レーザービーム支援型拡散のさらなる欠点は、相対的に大きな面積が迅速にドーピングされる場合の、相対的な非効率性である。なぜならば、レーザーシステムは、ドットグリッド(dot-grid)プロセスにおいて、表面をスキャンするからである。この欠点は、狭い領域がドーピングされるべき場合には重要ではない。しかし、レーザードーピングは、後処理可能なガラスの連続的な堆積を必要とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1:例2によるドーピングペーストを印刷して乾燥させたウェハの写真。
【
図2】
図2:片側において研磨され、例2によるペーストで10分間ドーピングされたウェハの顕微鏡写真。写真は、クリーニング後のウェハ表面を示す。
【
図3】
図3:片側において研磨され、例2によるペーストで20分間ドーピングされたウェハの顕微鏡写真。写真は、クリーニング後のウェハ表面を示す。
【
図4】
図4:片側において研磨され、例2によるペーストで30分間ドーピングされたウェハの顕微鏡写真。写真は、クリーニング後のウェハ表面および印刷された領域と印刷されていない領域との間の境界を示す。
【
図5】
図5:片側において研磨され、例2によるペーストで10分間ドーピングされたウェハの顕微鏡写真。写真は、クリーニング後のウェハ表面および印刷された領域と印刷されていない領域との間の境界を示す。
【
図6】
図6:片側において研磨された単結晶ウェハの、例3によるドーピングペーストによる、マッフル炉中での900℃で40分間にわたる処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。
【
図7】
図7:片側において研磨された単結晶ウェハの、例3によるドーピングペーストによる、マッフル炉中での900℃で40分間にわたる処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。
【
図8】
図8:片側において研磨された単結晶ウェハの、例8によるドーピングペーストによる、マッフル炉中での900℃で20分間にわたる処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。ペーストの印刷された領域におけるプロファイルを測定した;シート抵抗:23Ω/sqr。
【
図9】
図9:片側において研磨された単結晶ウェハの、例8によるドーピングペーストの、マッフル炉中での900℃で20分間にわたる作用の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素);ペーストを印刷した領域の約4mmの外側の距離におけるプロファイルの写真;シート抵抗:54Ω/sqr。
【
図10】
図10:テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の写真。ホットプレート上で2分間にわたる加熱後。
【
図11】
図11:テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の顕微鏡写真。ホットプレート上で2分間にわたる加熱後。
【
図12】
図12:テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の、マッフル炉におけるドーピングの後の写真。
【
図13】
図13:片側において研磨された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の、ホットプレート上での2分間にわたる加熱の後の顕微鏡写真。
【
図14】
図14:片側において研磨され、本発明によるドーピングペーストを印刷されたシリコンウェハのドーピングプロファイル(ECV測定)(シート抵抗平均26Ω/sqr)。
【
図15】
図15:テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷を用いて例17によるドーピングペーストを印刷した領域の、ホットプレート上での乾燥後の写真。
【0034】
発明の詳細な説明
上記の問題が、印刷可能な高粘度酸化物媒体(粘度>500mPas)の調製方法により、ペースト形態の高粘度媒体(ペースト)を、対称性におよび/または非対称性に2〜4置換されたアルコキシシランおよび/またはアルコキシアルキルシランと、
a)対称性および/または非対称性カルボン酸無水物との、
あるいは、
b)強カルボン酸との、
任意に
d)変形態様a)およびb)の組み合わせと共の
縮合による、
ならびに、制御されたゲル化による、
無水ゾル−ゲルベースの合成において調製する場合、解決できることを見出した。
このことに関して、ペーストは、ゾル−ゲルベースの合成に起因して、500mPasより高い高粘度を有し、もはや流動可能でない組成物を意味するものと考えられる。
【0035】
本発明により、調製された酸化物媒体は、対称性におよび非対称性に2〜4置換されたアルコキシシランおよびアルコキシアルキルシランの、以下:
a)対称性または非対称性の
カルボン酸無水物
i.ホウ素含有化合物の存在下において
および/または
ii.リン含有化合物の存在下において
あるいは
b)強カルボン酸
iii.ホウ素含有化合物の存在下において
および/または
iv.リン含有化合物の存在下において
あるいは
c)変形態様a)およびb)の組み合わせ
v.ホウ素含有化合物の存在下において
および/または
vi.リン含有化合物の存在下において
との縮合により、無水ゾル−ゲルベースの合成を行うことにより調製されたドーピングペーストであり、
本発明によるペースト形態の高粘度ドーピング媒体(ドーピングペースト)は、制御されたゲル化により調製される。
【0036】
記載される方法を実施するために、用いられる対称性におよび非対称性に2〜4置換されたアルコキシシランおよびアルコキシアルキルシランは、個々の、または異なる、飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状の、脂肪族、脂環式または芳香族ラジカルを含んでもよく、これは、次いで、アルコキシドラジカルの任意の所望される位置において、O、N、S、Cl、Brの群より選択されるヘテロ原子により官能化されてもよい。
方法を実施するために、用いられるホウ素含有化合物は、好ましくは、酸化ホウ素、ホウ酸およびホウ酸エステルの群より選択されるものである。
【0037】
本発明による方法においてリン含有化合物が用いられる場合、リン含有化合物が、アルファおよびベータ位においてシロキサン官能化基を含むリン(V)酸化物、リン酸、ポリリン酸、リン酸エステルおよびホスホン酸エステルの群より選択される場合、良好な特性を有する酸化物媒体が得られる。
【0038】
本発明による方法における使用のために特に好適である強カルボン酸は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、モノ、ジ、およびトリクロロ酢酸、グリオキサル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、2−オキソグルタル酸の群からの酸である。記載される方法は、印刷可能な酸化物媒体を、ハイブリッドゾルおよび/またはゲルに基づくドーピング媒体の形態において
、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、亜鉛、スズ、チタン、ジルコニウム、ヒ素もしくは鉛の、
アルコラート、エステル、水酸化物もしくは酸化物、およびこれらの混合物(「ハイブリッド」ゾルまたは「ハイブリッド」ゲル)を用いて、調製することを可能にする。
【0039】
好適なマスキング剤、錯化剤およびキレート剤の、化学量論比以下または完全に化学量論比における、添加は、一方では、これらのハイブリッドゾルおよびゲルを立体的に安定化させることを可能にし、他方で、それらの縮合およびゲル化速度に関してのみならず、レオロジー特性に関してもまた、特別に影響を及ぼし、制御する。好適なマスキング剤および錯化剤ならびにキレート剤は、特許出願WO 2012/119686 A、WO2012119685 A1およびWO2012119684 Aにおいて提供される。これらの明細書の内容は、したがって、本願の開示内容中に、参照により組み込まれる。
【0040】
本発明により、酸化物媒体は、ゲル化されて、高粘度の、ほぼガラス様の材料を生じ、生じる生成物は、好適な溶媒または溶媒混合物の添加により再溶解されるか、または高剪断混合デバイスによりゾル状態に再変換されて、再びの部分的または完全な構造回復(ゲル化)により戻されて、均質なゲルを生じる。
【0041】
本発明による方法は、特に高粘度酸化物媒体の配合が増粘剤の添加なしに行われるという事実を通して、特に有利であることが判明した。このように、少なくとも3か月間の時間にわたり保存において安定である安定な混合物が、本発明による方法により調製される。アセトキシトリアルキルシラン、アルコキシトリアルキルシラン、ハロトリアルキルシランおよびこれらの誘導体の群より選択される「キャッピング剤」が、酸化物媒体の調製の間に添加される場合、これは、得られる媒体の安定性の改善をもたらす。この方法において調製された酸化物媒体は、光起電性、マイクロエレクトロニクス、マイクロメカニカルおよびマイクロ光学的適用のためのシリコンウェハの処理におけるドーピング媒体としての使用のために、特に好適である。
【0042】
本発明により調製された酸化物媒体は、粘稠度(consistency)に依存して、すなわち、例えばそれらの粘度などのそれらのレオロジー特性に依存して、スピンまたはディップコーティング、ドロップキャスティング、カーテンまたはスロット−ダイコーティング、スクリーンまたはフレキソ印刷、グラビア、インクジェットまたはエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロコンタクト印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラまたはスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド印刷またはロータリースクリーン印刷により、印刷することができる。高粘度のドーピング酸化物媒体は、好ましくは、スクリーン印刷により処理される。
【0043】
対応して調製される酸化物媒体は、PERC、PERL、PERT、IBC太陽電池(BJBCまたはBCBJ)その他の製造のために特に好適であり、ここで、太陽電池は、MWT、EWT、選択的エミッタ、選択的表面電界、選択的背面電界および二面性などの、さらなる構造の特徴を有する。さらに、本発明による酸化物媒体は、LCD技術において熱処理の結果としてナトリウムおよびカリウムの拡散障壁として作用する、薄い高密度なガラス層の製造のために、特に、ドーピングされたSiO
2からなる、カバーガラスから液晶相中へのイオンの拡散を防止する、ディスプレイのカバーガラス上の薄い高密度なガラス層の製造のために、用いることができる。
【0044】
本発明は、したがってまた、本発明により調製される新規の酸化物媒体に関し、これは、上記の方法により調製され、SiO
2−P
2O
5、SiO
2−B
2O
3、SiO
2−P
2O
5−B
2O
3およびSiO
2−Al
2O
3−B
2O
3、ならびに/または、調製の間
のアルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、亜鉛、スズ、チタン、ジルコニウムもしくは鉛の、
アルコラート、エステル、
アセテート、水酸化物もしくは酸化物の使用を通して生じる、より高次の混合物の群からの、2成分または3成分の系を含む。既に上で記述されたとおり、好適なマスキング剤、錯化剤およびキレート剤の、化学量論比以下から完全に化学量論比における添加は、一方において、これらのハイブリッドゾルを立体的に安定化させることを可能にし、他方で、それらの縮合およびゲル化速度に関してのみならず、レオロジー特性に関してもまた、特別に影響を受け、制御される。好適なマスキング剤および錯化剤ならびにキレート剤は、特許出願WO 2012/119686 A、WO2012119685 A1およびWO2012119684 Aにおいて提供される。
【0045】
この方法において入手される酸化物媒体は、シリコンウェハ上に耐取扱いおよび耐摩耗性の層を製造することを可能にする。これは、本発明による方法により調製され、表面上に印刷された酸化物媒体が、50℃〜750℃、好ましくは50℃〜500℃、特に好ましくは50℃〜400℃の温度範囲において、連続的に行われるべき1または2以上の加熱ステップ(ステップ関数による加熱)および/または加熱ランプを用いて、ガラス化のために乾燥および圧縮されて、500nmまでの厚みを有する耐取扱いおよび耐摩耗性の層を形成する方法において行われる。
【0046】
表面上でガラス化した層の熱処理が、次いで、750℃〜1100℃、好ましくは850℃〜1100℃、特に好ましくは850℃〜1000℃の範囲の温度において行われる。その結果として、ホウ素および/またはリンなどのシリコンに対するドーピング作用を有する原子が、基板表面に、その上のそれらの酸化物のケイ素熱力学的還元により、放出され、それにより、シリコン基板の導電率に特に有利に影響を及ぼす。ここで、印刷された基板の熱処理に起因して、ドーパントは、処理期間に依存して1μmまでの深さにおいて輸送され、10Ω/sqr未満の電気的シート抵抗が達成されることは、特に有利である。ここでのドーパントの表面濃度は、1*10
19〜1*10
21原子/cm
3以上の値をとり得、印刷可能な酸化物媒体において用いられるドーパントの性質に依存的である。ここで、意図的には保護(マスク)されておらず、印刷可能な酸化物媒体でカバーされていない、シリコン基板の表面領域の寄生的ドーピングの表面濃度は、その結果として、その後、印刷可能な酸化物媒体で特に印刷されている領域のものと少なくとも10の2乗、異なることが、特に有利であることが判明した。さらに、この結果は、酸化物媒体を、ドーピング媒体として、親水性のシリコンウェハ表面(湿式化学および/または自然酸化物により提供されるもの)および/または疎水性のシリコンウェハ表面(シラン終端化(termination)により提供されるもの)上へ、印刷することにより、達成することができる。基板表面に適用された酸化物媒体から形成される薄い酸化物層が、したがって、処理期間および温度の選択を介して、ドーパントの、例えばリンの拡散率、および薄い酸化物層中での偏析計数を介して間接的に、影響を及ぼされるべき、および制御されるべき、シリコンウェハ表面の効果的なドーピング用量を可能にする。
【0047】
一般的用語において、シリコンおよびシリコンウェハに対するドーピング作用を有する、耐取扱いおよび耐摩耗性の酸化層の製造のためのこの方法は、以下において特徴づけることができる:
a)酸化物媒体は、シリコンウェハの印刷のためのn型ドーピング媒体として用いられ、印刷されたドーピング媒体は、乾燥され、圧縮され、その後、塩化ホスホリルによるその後の気相拡散に供されて、印刷された領域における高いドーピングレベル、および、気相拡散に排他的に供された領域におけるより低いドーピングレベルを生じる、
または
【0048】
b)シリコンウェハに、ホウ素含有前駆体の場合はp型酸化物媒体として、酸化物媒体を印刷し、印刷されたドーピング媒体は、乾燥され、圧縮され、その後、三塩化ホウ素または三臭化ホウ素によるその後の気相拡散に供されて、印刷された領域における高いドーピングレベルおよび気相拡散に排他的に供された領域におけるより低いドーピングレベルを生じる、
または
【0049】
c)シリコンウェハに、構造的な様式において、n型またはp型ドーピング媒体として酸化物媒体を印刷し、印刷されたドーピング媒体は、乾燥され、圧縮され、その後、n型ドーピング媒体が用いられる場合は例えば塩化ホスホリルによる、またはp型ドーピング媒体が用いられる場合は例えば三塩化ホウ素または三臭化ホウ素による、その後の気相拡散に供されて、印刷されていない領域において高いドーピングレベルが得られること、および印刷された領域においてより低いドーピングレベルが得られることを可能にし、制御された様式において、合成の結果として、用いられる酸化物ドーピング媒体のソース濃度をこの程度まで低く保持し、ドーピング媒体から得られるガラスは、気相からウェハ表面に輸送されて堆積する気相拡散物質に対する拡散障壁を表わす、
または
【0050】
d)シリコンウェハに、ホウ素含有前駆体の場合はp型ドーピング媒体として酸化物媒体を印刷し、印刷されたドーピング媒体は、乾燥され、圧縮され、その後、三塩化ホウ素または三臭化ホウ素によるその後の気相拡散に供されて、印刷された領域における高いドーピングレベル、および気相拡散に排他的に供された領域におけるより低いドーピングレベルを生じ、この場合にウェハ表面上において得られたボロンスキンは、その後、例えば、硝酸およびフッ化水素酸による連続的湿式化学処理により、ウェハ表面から取り除かれる、
または
【0051】
e)ドーピング媒体としてシリコンウェハの表面全体にわたり堆積した酸化物媒体は、乾燥および/または圧縮され、その下の基板材料の局所ドーピングが、圧縮されたドーピング酸化物媒体から、レーザー照射により開始される、
または
【0052】
f)ドーピング媒体としてシリコンウェハの表面全体に堆積した酸化物媒体は、乾燥および圧縮され、その下の基板のドーピングが、圧縮されたドーピング酸化物媒体から、好適な熱処理により開始され、その下の基板材料の局所ドーピングは、このドーピングプロセスの後で、その後の局所レーザー照射により増強され、ドーパントは、基板の容積中により深く注入される、
または
【0053】
g)シリコンウェハに、表面全体にわたり、または局所的に、任意に構造を変えることにより、ドーピング媒体(これはnまたはp−ドーピング媒体であってよい)として酸化物媒体を印刷し、印刷された構造は、乾燥および圧縮されて、ゾル−ゲルベースの二酸化ケイ素層、スパッタリングされた、またはAPCVDもしくはPECVDベースの二酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素層などの拡散障壁材料で被包され、好適な熱処理の結果としてドーピング酸化物媒体により基板のドーピングをもたらす、
または
【0054】
h)シリコンウェハに、表面全体にわたり、または局所的に、任意に構造を変えることにより、ドーピング媒体(これはnまたはp−ドーピング媒体であってよい)として酸化物媒体を印刷し、印刷された構造は、乾燥および圧縮されて、好適な熱処理の結果として基板のドーピングをもたらす、
または
【0055】
i)シリコンウェハに、表面全体にわたり、または局所的に、ドーピング媒体として酸化物媒体を印刷する。これは、nまたはp−ドーピング媒体であってよく、任意に、交互の構造列、例えば、任意の所望される構造幅(例えば線の幅)の、印刷されていないシリコン表面(任意の所望される構造幅により同様に特徴づけられる)に隣接する印刷されたnドーピング酸化物媒体などにおけるものであってよく、印刷された構造は、乾燥および圧縮され、その後、ウェハ表面に、表面全体にわたりドーピング媒体を提供してもよく、これは、既に印刷されたウェハ表面に、反対の多数電荷キャリアの極性を誘導し、ここで最後に言及されたドーピング媒体は、ドーパント、およびまた従来の気相拡散およびドーピングからのドーパントを備えた、印刷可能なゾル−ゲルベースの酸化物ドーピング材料、他の印刷可能なドーピングインクおよび/またはペースト、APCVDおよび/またはPECVDガラスであってよく、オーバーラップする様式において配置され、ドーピング作用を有するドーピング媒体により、好適な熱処理の結果として基板のドーピングがもたらされ、およびこれに関して、それぞれに最下層の、印刷された、ドーピング酸化物媒体は、好適な偏析計数および適切でない拡散長の結果として、上にあるドーピング媒体(これは反対の多数電荷キャリアの極性をもたらす)に対する拡散障壁として挙動するはずである;ここでさらに、ウェハ表面の他方の側を、異なる、別の方法で堆積した(印刷、CVD、PVD)拡散障壁、例えば二酸化ケイ素または窒化ケイ素または酸窒化ケイ素などによりカバーしてもよいが、かならずしもそうしなければならないわけではない、
または
【0056】
j)シリコンウェハに、表面全体にわたり、または局所的に、ドーピング媒体(これはnまたはp−ドーピング媒体であってよい)として酸化物媒体を印刷する。これは、任意に、交互の構造列、例えば、任意の所望される構造幅(例えば線の幅)の、印刷されていないシリコン表面(任意の所望される構造幅により同様に特徴づけられる)に隣接する印刷されたnドーピング酸化物媒体などにおけるものであってよく、印刷された構造は、乾燥および圧縮され、その後、ウェハ表面に、表面全体にわたりドーピング媒体を提供してもよく、これは、既に印刷されたウェハ表面に、反対の多数電荷キャリアの極性を誘導し、ここで最後に言及されたドーピング媒体は、ドーパント、およびまた従来の気相拡散およびドーピングからのドーパントを備えた、印刷可能なゾル−ゲルベースの酸化物ドーピング材料、他の印刷可能なドーピングインクおよび/またはペースト、APCVDおよび/またはPECVDガラスであってよく、オーバーラップする様式において配置され、ドーピング作用を有するドーピング媒体により、好適な熱処理の結果として基板のドーピングがもたらされ、およびこれに関して、それぞれに最下層の、印刷された、ドーピング酸化物媒体は、好適な偏析計数および適切でない拡散長の結果として、上にあるドーピング媒体(これは反対の多数電荷キャリアの極性を誘導する)に対する拡散障壁として挙動するはずである;ここでさらに、ウェハ表面の他方の側を、異なる、別の方法で堆積したドーパントソース(ドーパントを備えた、印刷可能なゾル−ゲルベースの酸化物ドーピング材料、他の印刷可能なドーピングインクおよび/またはペースト、APCVDおよび/またはPECVDガラス、およびまた従来の気相拡散からのドーパント)によりカバーしてもよく、これは、反対のウェハ表面上の最下層からのものに対して同じまたは反対のドーピングを誘導することができるが、かならずしもそうしなければならないわけではない。
【0057】
この方法における特徴づけにおいて、印刷された酸化物媒体から形成される層の温度処理により、単純な様式において、同時の共拡散が行われ、nおよびp型層または単一の多数電荷キャリアの極性のみの層が形成され、これは、異なる用量のドーパントを有し得る。
【0058】
疎水性のシリコンウェハ表面の形成のために、この方法において、本発明による酸化物媒体の印刷、その乾燥および圧縮および/または温度処理によるドーピングの後で形成されるガラス層を、フッ化水素酸および任意にリン酸を含む酸混合物でエッチングし、ここで用いられるエッチング混合物は、0.001〜10重量%または0.001〜10重量%の濃度におけるフッ化水素酸と0.001〜10重量%のリン酸とを混合物において含んでもよい。乾燥され、圧縮されたドーピングガラスを、さらに、以下のエッチング混合物を用いてウェハ表面から取り除くことができる:緩衝化されたフッ化水素酸混合物(BHF)、緩衝化された酸化物エッチング混合物、フッ化水素酸および硝酸からなるエッチング混合物、例えば、いわゆるpエッチング、Rエッチング、Sエッチングまたはエッチング混合物など、フッ化水素酸および硫酸からなるエッチング混合物、ここで上述のリストは、完全性を主張しない。
【0059】
初めに既に言及されている代替的なドーピング技術は、いわゆるインライン拡散である。これは、シリコンウェハ上でのドーパントソースの堆積に基づき、その後、これらは、対応する長さおよび温度のベルト式炉を通過し、この処理の結果として、所望されるドーパントをシリコンウェハに放出する。インライン拡散は、原則的に、2方向からの相当なコスト圧下において数十億の単位で製造される成分の工業的な大量製造を勘案して、シリコンウェハのドーピングの最高の性能の変形態様である。コスト圧は、非常に明白な政治的におよびまた市場参加型の両方の競合状況に起因して生じる。インライン拡散は、従来の平行式管状炉プラントの通常のスループット率よりも通常15〜25%高い工業的スループット率を達成することができる(ここで、用いられるインライン拡散可能な炉のシステムは、典型的な平行式管状炉プラントよりも一般に安価である)。インライン拡散は、従って、原則的に、従来用いられているドーピング技術に対して、相当な本質的なコストの利点を生み出すことができるはずである。しかしながら、この利点は、これまで実質的には一度も現実に効率的に実行されたことがない。このことについての理由は、多種多様である。このことについての主要な理由は、例えばドーパントソースの堆積に存在する。インライン拡散におけるドーパントソースは、通常、好適なコーティング方法(スプレー式、ローラコーティング、スクリーン印刷など)により、湿った状態でウェハに適用され、熱により乾燥され、圧縮されて、拡散のために炉システム中に導入される。典型的かつ頻繁に用いられるドーパントソースは、リン酸またはホウ酸の希アルコール性溶液(エタノールまたはイソプロパノール中のもの)または水溶液であるが、これらに限定されない。これらの溶液は、シリコンへのドーパントの均一な放出を可能にするために、最適には、シリコン表面上に均質な膜をもたらすべきである。一般的に、多様な理由により、テクスチャ化されたシリコンウェハ表面のものなどの非常に粗い表面においては特に、均質なコーティングは達成されない。リン酸およびホウ酸は、溶液の乾燥およびポリマー種への熱変換の後で、次第に酸性の特徴を増す。該当する酸化物は、容易に揮発性であり、したがって、非常に簡単に、元々均質でなくドーパントソースにカバーされている基板の領域の自己ドーピングの一因となる。しかし、揮発性はまた、それがドーパント種の空間的制御をもたらすことをより困難にし、その移動性が処理された表面自体に対するドーピングの一因となる(有利)のみならず、また直接にはソースが提供されていないウェハおよびその表面のドーピングの一因となる(従来の気相ドーピングと類似する)。前記の液相ドーピング媒体の使用に起因して、プロセスエンジニアリングの問題(堆積単位の、および炉システムの腐食など)もまた生じる。腐食は、例えば、典型的に用いられるスプレーノズル、およびまたウェハ運搬システム上の両方の場合において明らかである。金属イオンは、これによりドーパントソースに侵入し、これが次いで、その後の高温プロセスにおいてシリコン中に注入される(下を参照)。
【0060】
上で既に言及した新規の太陽電池の構造に戻ると、これらの全ての一般的特徴は、それらが原則的に、構造化された基板に基づくということである。しかし、構造化はまた、原則的には所望される場合であるが、しばしば交互に、異なるドーピングを順番に有する領域の生成に関し、ここで、高い程度もしくは低い程度までドーピングされた1つの極性(nまたはp型)の領域、または代替的に、変動する極性(p型上のn、またはその反対)のドーピングされた領域が交互に存在する。かかる構造の生成のために、基板の構造化、およびまた薄い機能性層の堆積の両方が考えられ得る。
【0061】
前記の構造化の必要条件と、例えばインライン拡散との間のギャップは、好適なドーピング媒体が、これら2つの概念が少なくとも以下の必要条件を満たす場合、これらを組み合わせることができるという理由により、架橋される:
・ドーパントソースは、プレ堆積と拡散との分離を促進するために、印刷可能でなければならない。これにより、異なる極性のドーパントソースが、2つの連続する印刷工程において、ウェハ表面上の小構造において堆積することができる。
・印刷可能なドーパントソースは、その後のドーピングされた領域の通電性接触(ohmic contacting)のために、ドーパントの適切な表面濃度を促進する能力を提供する。
・印刷可能なドーパントソースは、共拡散の工程において、したがって同時に、処理されたシリコンウェハ中に注入することができなければならない。
・排他的に鋭い区切り、およびそれによる局所的ドーピングを達成するために、低い気相濃縮(ソースからの蒸発)を有する。
・印刷可能なドーパントソースは、半導体成分の処理のために絶対的に必要である、それらの必要な配合において、適切な化学的純度を有していなければならない。
【0062】
液相ドーパントソースの選択は、ドーピングソースの構造化された適用を可能にするが、これらの媒体のドーピング作用は、しかし一般に既に上で記載したように、これらの構造化された領域に限定されないままである。ドーピングソースからのドーパントの相当な濃縮(自己および近接ドーピング)が観察され、これは、構造化された堆積の利点を無効化する。現在までに知られている解決法では、ドーピングは、したがって、沈着領域に特には限定され得ない。
【0063】
既知のドーピング媒体は、さらに、相当な適用の制限を伴う多数のさらなる重要な欠点を有する。かかるドーピング媒体における典型的な副作用は、処理されたシリコンウェハの少数キャリアの寿命の著しい低下の発生である。少数キャリア寿命は、太陽電池の転換効率を決定する必須の基礎パラメータである:短い寿命は、低い効率と等しく、逆もまた然りである。当業者のために、全てが、現在までに知られている印刷可能なドーピング媒体の使用に対して反論する。キャリア寿命に対する不利な影響は、明らかに、ドーピング媒体の調製のために用いられる原材料により引き起こされる。特にペースト配合のために必要な補助剤、およびここで特にポリマー性結合剤は、シリコンの電子的性能に対して有害効果を有する、制御が困難な混入源を表わす。これらの補助剤は、望ましくない、有害な金属および金属イオンを含み得、それらの濃度は、典型的には、千分の1の範囲でしかない。しかし、シリコンは、ppb〜数ppmの範囲における金属混入物に対して、非常に高感度に反応する。シリコンの処理の後に、高温相が続く(これは、シリコンの容積中のこの有害混入物の極めて効果的な分布を(拡散および「ドーピング」を介して)促進する)場合は特にそうである。ウェハ中のかかる拡散は、典型的には、高温プロセスの結果として起こる。高温プロセスの目的は、シリコン結晶の電子的および電気的特性に影響を及ぼし、これらを制御するために、ドーパントの注入をもたらすこと、すなわち、ドーピング媒体をウェハ表面上に堆積させた理由である。典型的かつ特に有害な混入物は、例えば、鉄、銅、チタン、ニッケル、および元素の周期表のこの群からのさらなる遷移金属である。これらの金属は、同時に、中程度に迅速に〜非常に迅速にシリコン中で拡散する(拡散係数は、一般に、意図的に注入されるべきドーパントのものよりも5〜6桁大きい)ドーパントに属し、したがって、それらは、ドーピングの暴露期間の間に、容積中に、所望されるドーパント自体よりも、はるかにより深く浸透することができ、それにより、シリコンの表面のみならず、その容積全体を損なう。したがって、圧倒的に最も広く普及している混入物であり、最も高い濃度において直面する鉄の場合、典型的な拡散条件(例えば30分間における900℃でのプラトー時間など)下における、180μm以下の通常のシリコンウェハの厚みを容易に数倍上回ることができる典型的な理論上の拡散深度が、予測され得る。結果は、上述の少数キャリア寿命の減少、および(太陽電池は「容積成分」を表わすので)全体としての太陽電池の効率の低下である。
【0064】
ペーストの配合の間に添加される結合剤は、一般に、化学的に精製することまたはそれらの金属微量元素の負荷から解放することが、非常に困難であるか、または不可能ですらある。それらの精製のための努力は高く、高いコストに起因して、安価な、およびしたがって競争的な、例えばスクリーン印刷可能な、ドーパントのソースの作製の要求に対して、釣り合わない。これらの補助剤は、したがって、それにより金属種の形態における望ましくない混入が強力に支持される、定常的な混入源を表わす。
【0065】
さらなる欠点は、適用の経過における媒体の取扱い期間の延長により生じる。延長された取扱いは、例えば、スクリーン印刷のスクリーン上での、その凝集またはその迅速な部分的乾燥(完全に乾き切ること)をもたらし、これは、複雑な印刷スクリーンからの残渣の除去を必要とし、印刷プロセスを時間的にドリフトさせる場合がある。印刷の後で、ペーストは、ウェハ表面上で乾燥させ、最終的に、ペースト特性を達成するための配合補助剤を除去するために、焼尽プロセスに供さなければならない。焼尽は、しばしば完全には達成することができず、このことが、ウェハの熱処理の後の、複雑なペースト残渣の除去を必要としている。両方の現象が知られている。例えば、ウェハ表面上の部分的に焼尽されたペースト残渣の存続も、同様に、他の問題の他にも、効果的なキャリア寿命の減少の可能性をもたらす。キャリア寿命は、シリコンの容積中の少数電荷キャリアの時間依存的な再結合により、また、ウェハの表面における再結合の結果としても、決定される。混入物は、一般に、キャリア寿命を制限するので、ウェハ表面に接着したものはまた、ウェハ表面上における再結合の速度を劇的に増大することにより、寿命の減少をもたらす。
【0066】
驚くべきことに、これらの問題は、本発明により、より正確には、本発明による印刷可能な粘性の酸化物媒体により解決することができ、これは、ゾル−ゲル法により調製することができる。本発明の経過において、これらの酸化物媒体は、印刷可能なドーピング媒体(ドーピングペースト)として、対応する添加剤により、調製することができる。対応して適応された方法および最適化された合成アプローチは、以下の印刷可能なドーピング媒体の調製を可能にする:
・優れた貯蔵安定性を有するもの、
・スクリーン上での凝集およびクランピングが起こらず、優れた印刷性能を示すもの、
・非常に低い本質的な金属種の混入負荷を有し、したがって、処理されたシリコンウェハの寿命に有害に影響を及ぼさないもの、
・テクスチャ化されたシリコンウェハ上に、低通電性のエミッタですら、容易に製造することができるために、適切なドーピング能力を有するもの、
・ドーピングプロファイルおよび関連する電気的シート抵抗を、広範囲において非常に良好に設定および制御することができるように、ドーパントの含有量を調整することができるもの、
・処理されたシリコンウェハの、非常に均質なドーピングが可能であるもの、
・処理されたウェハ表面から、熱処理の後で、残渣を非常に容易に取り除くことができるもの、ならびに
・最適化された合成管理に起因して、特に低い、いわゆる自己ドーピングを有するもの、ならびに
・その調製のために、従来から知られている増粘剤を必要とせず、代わりにその使用を完全に省略することができるもの。
【0067】
新規の高粘度ドーピングペーストは、ゾル−ゲル法に基づいて合成することができ、これが必要である場合は、さらに配合することができる。
【0068】
ゾルおよび/またはゲルの合成は、例えばカルボン酸無水物および/または強カルボン酸など(水は除外する)の縮合開始剤の添加により、特異的に制御することができる。粘度は、したがって、化学量論を介して、正確には、例えば酸の無水物の添加により、制御することができる。化学量論以上(super-stoichiometric)の量の添加は、シリカ粒子の架橋の程度を調整することを可能にし、これは、ペースト形態のゲルの形態における、高膨張した印刷可能なネットワークの形成を可能にし、これは、表面上に、好ましくはシリコンウェハ表面上に、多様な印刷プロセスにより、印刷することができる。
【0069】
所望される粘稠度に達した場合、ゾル−ゲル反応は、少量のプロトン性溶媒の添加により、例えば、分枝状および非分枝状の、脂肪族の、環式の、飽和および不飽和の、ならびに芳香族のモノ、ジ、トリおよびポリオール(アルコール)、ならびにそのグリコール、モノエーテル、モノアセテートなど、ポリエチレングリコール、そのモノエーテルおよびモノアセテート、ならびに、任意の所望される容積および/または重量混合比における、かかる溶媒の2成分、3成分、4成分およびそれ以上の混合物の添加により、停止させることができ、ここで、前記プロトン性溶媒は、所望される場合、極性または非極性の非プロトン性溶媒と組み合わせてもよい。
【0070】
さらなる有機金属化合物の存在下において、幾つかの場合には酸性条件下において、アルコキシシランおよび/またはアルコキシアルキルシランを用いるゾル−ゲル合成の様式は、一般に、文献において当業者に公知である。多かれ少なかれ変更された形式において行うことができ、本発明によるペーストをもたらす、本発明の調製の例を添付する。
【0071】
本発明によるペーストのために好適な印刷プロセスは、以下であってよい:スピンまたはディップコーティング、ドロップキャスティング、カーテンコーティングまたはスロット−ダイコーティング、スクリーンまたはフレキソ印刷、グラビアまたはインクジェットまたはエアロゾルジェット印刷、オフセット印刷、マイクロコンタクト印刷、電気流体力学ディスペンシング、ローラまたはスプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、パイプジェッティング、レーザー転写印刷、パッド印刷およびロータリースクリーン印刷。
このリストは決定的なものではなく、他の印刷プロセスもまた、好適である場合がある。
【0072】
さらに、本発明によるドーピング媒体の特性は、さらなる添加剤の添加により、それらが、特定の印刷プロセスのために、およびそれらが強力な相互作用を行うことになり得る特定の表面への適用のために、さらに理想的に好適となるように、より特異的に調整することができる。このように、例えば表面張力、粘度、ウェッティング挙動、乾燥挙動および粘着能力などの特性を、特異的に調整することができる。調製されるドーピング媒体の必要条件に依存して、さらなる添加剤もまた添加してもよい。これらは、以下であってよい:
・ウェッティングおよび乾燥挙動に影響を及ぼすための、界面活性剤、張力活性(tensioactive)化合物、
・乾燥挙動に影響を及ぼすための、消泡剤および脱気剤、
・粒子サイズ分布、プレ縮合の程度、縮合、ウェッティングおよび乾燥挙動ならびに印刷挙動に影響を及ぼすための、さらなる高および低沸点の極性のプロトン性および非プロトン性溶媒、
・粒子サイズ分布、プレ縮合の程度、縮合、ウェッティングおよび乾燥挙動および印刷挙動に影響を及ぼすための、さらなる高および低沸点の非極性の溶媒、
・レオロジー特性に影響を及ぼすための粒子性添加剤、
・乾燥の後で生じる乾燥膜の厚み、ならびにその形態に影響を及ぼすための、粒子性添加剤(例えば水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム、二酸化ケイ素)、
・乾燥された膜のスクラッチ耐性に影響を及ぼすための、粒子性添加剤(例えば水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、
・ハイブリッドゾルの配合のための、ホウ素、ガリウム、シリコン、ゲルマニウム、亜鉛、スズ、リン、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ニッケル、コバルト、鉄、セリウム、ニオブ、ヒ素、鉛および他のものの、酸化物、水酸化物、塩基性酸化物、アルコキシド、プレ縮合されたアルコキシド、
・特に、半導体に対する、特にシリコンに対するドーピング作用を有する配合物の配合のための、単純なポリマー性の、ホウ素およびリンの酸化物、水酸化物、アルコキシド。
【0073】
このことに関して、言うまでもないことであるが、各々の印刷およびコーティング方法は、その独自の印刷されるべきペーストの必要条件を作る。典型的には、特定の印刷方法のために個別に設定されるべきパラメータは、ペーストの表面張力、粘度および総蒸気圧などのものである。
【0074】
ドーピングソースとしてのそれらの使用の他に、印刷可能な媒体は、例えば金属工業における成分の製造において、好ましくはエレクトロニクス工業において、およびこの場合においては特にマイクロエレクトロニクス、光起電性および微小電子機械(MEMS)成分の製造において、スクラッチ保護および腐食保護層として用いることができる。このことに関する光起電性成分とは、特に、太陽電池およびモジュールを意味するものと考えられる。エレクトロニクス工業における適用は、以下の領域における前記ペーストの使用により、さらに特徴付けられる;これらは例として言及されるが、包括的に列記されるものではない:薄膜太陽モジュールからの薄膜太陽電池の製造、有機太陽電池の製造、プリント回路および有機エレクトロニクスの製造、薄膜トランジスタ(TFT)の技術に基づいたディスプレイエレメントの製造、液晶(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)およびタッチセンシティブ容量式および抵抗式センサー。
【0075】
本説明は、当業者が本発明を包括的に適用することを可能にする。さらなるコメントなしでも、したがって、当業者は、上の記載を最も広い範囲において利用することができるであろうことが推測される。
【0076】
明瞭さが欠如する場合、言うまでもないことであるが、引用される刊行物および特許文献を調べるべきである。したがって、これらの文書は、本説明の開示内容の一部であるものとみなされる。
【0077】
よりよい理解のため、および本発明を説明するために、以下に、本発明の範囲内である例を提供する。これらの例はまた、可能な変形態様を説明するためにも役立つ。説明された発明の原理の一般的な確実性に起因して、しかし、例は、本願の保護の範囲をこれらのみに減少させるためには好適ではない。
【0078】
さらに、当業者には言うまでもないことであるが、示される例において、およびまた説明の残りにおいて、組成物中に存在する成分量は、常に、全組成に基づいて100重量%、モル%、または容積%までのみ加えられ、示されるパーセント範囲からより高い値が生じ得る場合であっても、これを超えることはできない。他に記載されない限り、%のデータは、したがって、重量%、モル%、または容積%とみなされる。
例および説明、ならびに請求の範囲において示される温度は、常に℃におけるものである。
【0079】
高粘度ドーピング媒体の例
例1:
166gのエチレングリコールモノブチルエーテルを、初めにビーカー中に導入し、5gの五酸化リン(P4O10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび12gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストを、その後、スクリーンプリンタを用いて、シリコンウェハ上に印刷する。この目的のために、以下のパラメータを有するスクリーンを用いる:230メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で10+/−2μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2つの母線および典型的な数(例えば68)の集合的な電極フィンガーを有する典型的な前表面メタライゼーションに相当する。電極フィンガーの基準開き幅は、100μmである。フィンガーは、印刷の間に、少数のみのプリントの後では、構造中で乾燥するペーストにより、目詰まりを起こす。10未満の基板に、ヒビなしで印刷することができる。
【0080】
例2:
83gのエチレングリコールモノブチルエーテルおよび83gのジエチレングリコールモノエチルエーテルを、初めにビーカー中に導入し、5gの五酸化リン(P4O10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび12gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定した場合、5Pa*sの動粘度を有する。ペーストを、その後、スクリーンプリンタを用いて、シリコンウェハ上に印刷する。以下のパラメータを有するスクリーンを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、4cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃において2分間乾燥させ、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に導入する。ドーピング作用を、マッフル炉中での暴露期間の関数として評価する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液でエッチングし、その後、50℃まで加温された超音波と共役した水槽中で5分間処理し、最終的に、5%フッ化水素酸で再びエッチングする。ウェハに対するクリーニング作用は、マッフル炉中でのそれらの暴露期間に依存的である。
図1は、例2によりドーピングペーストを印刷して乾燥させたウェハの写真を示す。
【0081】
【表1】
表1:テクスチャ化された単結晶ウェハの使用に対する例2によるドーピングペーストの使用による、マッフル炉中でのドーピング期間の関数としてのクリーニング結果
【0082】
【表2】
表2:テクスチャ化された単結晶ウェハの使用に対する例2によるドーピングペーストの使用による、マッフル炉中でのドーピング期間の関数としてのドーピング性能
【0083】
片側において研磨されたシリコンウェハの使用について、用いられるウェハのクリーニング能力の同一の依存性は、同じ処理条件下において、明らかである。
【0084】
図2は、片側において研磨され、上記のパラメータを保持して10分間、例2によるペーストを用いてドーピングされたウェハの顕微鏡写真を示す。写真は、クリーニング後のウェハ表面を示す。
【0085】
図3は、片側において研磨され、上記のパラメータを用いて20分間、例2によるペーストを用いてドーピングされたウェハの顕微鏡写真を示す。写真は、クリーニング後のウェハ表面を示す。
【0086】
図4は、片側において研磨され、上記のパラメータを用いて30分間、例2によるペーストを用いてドーピングされたウェハの顕微鏡写真を示す。写真は、クリーニング後のウェハ表面、および印刷された領域と印刷されていない領域との間の境界を示す。
【0087】
図5は、片側において研磨され、上記のパラメータを用いて10分間、例2によるペーストを用いてドーピングされたウェハの顕微鏡写真を示す。写真は、クリーニング後のウェハ表面、および印刷された領域と印刷されていない領域との間の境界を示す。
【0088】
上で概説される条件によるドーピングペーストの作用の後で、片側において研磨された単結晶ウェハ上で以下のシート抵抗が生じる。
【表3】
表3:片側において研磨された単結晶ウェハの使用に対する例2によるドーピングペーストの使用による、マッフル炉中での暴露期間の関数としてのドーピング性能。
【0089】
ペーストのドーピング作用は、明らかに、用いられる基板のそれぞれの典型的な表面形態に依存的である。テクスチャ化された単結晶ウェハの場合、実際の領域の含有率と見かけ上のそれとの間の因数は、1.73である;すなわち、同一の濃度のペースト中のドーパントとそれから生じるものは、(同じ印刷プロセスにより本質的に定義される同じ量が同じ材料の適用のために作用することを前提として)、異なる量のシリコンをドーピングし、これが、用いられるウェハの型に対するドーピング作用の依存性を生じさせる。焼尽の後で、ドーピングペーストは、重量により29.2%の二酸化ケイ素および70.2%の酸化リンの名目上の含有量を有する(全有機材料を完全に取り除いた場合、およびP4O10の相対的に高い蒸気圧にもかかわらず、焼尽の間の揮発性の結果として後者がいかなる重量の減少をも受けないことを前提として)。
【0090】
全ての実験において、意図的に印刷され、したがってドーピングされることになる領域の外側で、寄生的同時ドーピングが観察される。
【0091】
100回の印刷実験の経過において、ペーストの動粘度は、始めの4.4Pa*sから5.2Pa*sまで変化し、このことは、溶媒の連続的な減少を示唆する。
数日間の貯蔵期間の後で、ドーピングペーストは、不安定なゼリー状の粘稠度を有し、これはさらに凝固して、相対的に固いゲルを形成する。
【0092】
例3:
83gのエチレングリコールモノブチルエーテルおよび83gのジエチレングリコールモノエチルエーテルを、初めにビーカー中に導入し、2.5gの五酸化リン(P4O10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび12.3gのエチルセルロースを溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定した場合に5.1Pa*sの動粘度、および不安定なゼリー状の粘稠度を有する。焼尽の後で、ドーピングペーストは、45.2%の二酸化ケイ素および54.8%の酸化リンの見かけ上の重量による含有量を有する(全有機材料を完全に取り除いた場合、およびP4O10の相対的に高い蒸気圧にもかかわらず、焼尽の間の揮発性の結果として後者がいかなる重量の減少をも受けないことを前提として)。ペーストを、その後、スクリーンプリンタを用いて、シリコンウェハ上に印刷する。以下のパラメータを有するスクリーンを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、4cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃において2分間乾燥させ、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に導入する。ドーピング作用を、その後、マッフル炉中での暴露期間の関数として評価する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液でエッチングし、その後、50℃まで加温された超音波と共役した水槽中で5分間処理し、最終的に、5%フッ化水素酸で再度エッチングする。ウェハに対するクリーニング作用は、それらのマッフル炉中での暴露時間に依存的である。
【0093】
【表4】
表4:片側において研磨された単結晶ウェハの使用に対する例3によるドーピングペーストの使用による、マッフル炉中での暴露期間の関数としてのドーピング性能。
【0094】
図6は、片側において研磨された単結晶ウェハの、例12によるドーピングペーストによる、マッフル炉中で900℃で40分間の処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)を示す(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。
【0095】
全ての実験において、意図的に印刷され、したがってドーピングされることになる領域の外側で、寄生的同時ドーピングが観察される。
【0096】
例4:
83gのエチレングリコールモノブチルエーテルおよび83gのジエチレングリコールモノエチルエーテルを、初めにビーカー中に導入し、3.75gの五酸化リン(P4O10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび12.3gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定した場合に5.1Pa*sの動粘度、および不安定なゼリー状の粘稠度を有し、数日間の貯蔵時間において凝固してゲルを形成する。焼尽の後で、ドーピングペーストは、34.5%の二酸化ケイ素および64.5%の酸化リンの見かけ上の重量による含有量を有する(全有機材料を完全に取り除いた場合、およびP4O10の相対的に高い蒸気圧にもかかわらず、焼尽の間の揮発性の結果として後者がいかなる重量の減少をも受けないことを前提として)。ペーストを、その後、スクリーンプリンタを用いて、シリコンウェハ上に印刷する。以下のパラメータを有するスクリーンを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、4cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃において2分間乾燥させ、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に導入する。ドーピング作用を、マッフル炉中での暴露期間の関数として氷解する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液でエッチングし、その後5分間にわたり50℃まで加温された超音波と共役した水槽において後処理し、最終的に、5%フッ化水素酸で再度エッチングする。ウェハに対するクリーニング作用は、マッフル炉中でのそれらの暴露期間に依存的である。
【表5】
表5:片側において研磨された単結晶ウェハの使用に対する例4によるドーピングペーストの使用による、マッフル炉中での暴露期間の関数としてのドーピング性能。
【0097】
図7は、片側において研磨された単結晶ウェハの、例13によるドーピングペーストによる、マッフル炉中での900℃で40分間にわたる処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)を示す(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。
【0098】
全ての実験において、意図的に印刷され、したがってドーピングされることになる領域の外側で、寄生的同時ドーピングが観察される。
【0099】
例5:
83gのジエチレングリコールモノエチルエーテル、41.5gのエチレングリコールモノフェニルエーテルおよび41.5gのテルピネオールを、初めにビーカー中に導入し、3.75gの五酸化リン(P4O10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび12.3gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定した場合に9.7Pa*sの動粘度、および不安定なゼリー状の粘稠度を有し、数日間の貯蔵時間において凝固してゲルを形成する。ペーストを、その後、スクリーンプリンタを用いて、シリコンウェハ上に印刷する。以下のパラメータを有するスクリーンを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、4cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃において2分間乾燥させ、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に導入する。ドーピング作用を、マッフル炉中での暴露期間の関数として評価する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。
【0100】
【表6】
表6:片側において研磨された単結晶ウェハの使用に対する例5によるドーピングペーストの使用による、マッフル炉中での暴露期間の関数としてのドーピング性能。
【0101】
数週間の貯蔵期間の後で、ペーストは、微細に分散した白色結晶または凝集体(agglomerate)の形成を示す。
【0102】
全ての実験において、意図的に印刷され、したがってドーピングされることになる領域の外側で、寄生的同時ドーピングが観察される。
【0103】
例6:
33gのエチレングリコールモノフェニルエーテル、33gのテキサノール、50gのジベンジルエーテル、50gの安息香酸ブチルを、初めにビーカー中に導入し、3.75gの五酸化リン(P
4O
10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび8gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定された場合に10Pa*sの動粘度を有する。数日間の貯蔵期間の後で、ペーストは、微細に分散した白色結晶または凝集体の形成を示す。
【0104】
例7:
33gのエチレングリコールモノフェニルエーテル、42gのテキサノール、42gのジベンジルエーテル、50gの安息香酸ブチルを、初めにビーカー中に導入し、3.75gの五酸化リン(P4O10)を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび8gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定された場合に9Pa*sの動粘度を有する。僅か数日間の貯蔵期間の後で、ペーストは、微細に分散した白色結晶または凝集体の形成を示す。
【0105】
例8:
33gのエチレングリコールモノフェニルエーテル、42gのテキサノール、42gのジベンジルエーテル、50gの安息香酸ブチルを、初めにビーカー中に導入し、5gのポリリン酸を、激しく攪拌しながら導入する。混合物を五酸化リンが完全に溶解するまで攪拌する。わずかに黄色っぽい溶液が形成される。7.15gのオルトケイ酸テトラエチルおよび8gのエチルセルロースを、この溶液に添加し、混合物をペースト状材料が形成されるまで攪拌する。ペーストは、25 1/sの剪断速度において測定された場合に9Pa*sの動粘度を有する。ペーストを、その後、スクリーンプリンタを用いて、シリコンウェハ上に印刷する。以下のパラメータを有するスクリーンを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、4cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃において2分間乾燥させ、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に20分間導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定は、23Ω/sqrの値を示す。約4mmの分離を維持したペーストを印刷した領域の外のシート抵抗の決定は、54Ω/sqrのシート抵抗を示す。
【0106】
図8は、片側において研磨された単結晶ウェハの、例8によるドーピングペーストによる、マッフル炉中での900℃で20分間にわたる処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)を示す(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。ペーストを印刷した領域におけるプロファイルを測定した。23Ω/sqrのシート抵抗が得られる。
【0107】
図9は、片側において研磨された単結晶ウェハの、例8ドーピングペーストによる、マッフル炉中での900℃で20分間にわたる処理の後での、ドーピングプロファイル(ECVプロファイル)を示す
(青=リンドーピング、赤=ベースドーピング、ホウ素)。ペーストを印刷した領域の約4mm外側の距離におけるプロファイルを測定した。54Ω/sqrのシート抵抗が得られる。
【0108】
例9:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、155gのジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加する。23gのテトラエチルオルトシリケート、19gのDL−乳酸および4.8gの水を溶液に添加し、混合物を、攪拌しながら30時間にわたり125℃で加温する。滑らかな無色の僅かに濁ったゲル様材料が形成される。ゲルを、テクスチャ化された単結晶ウェハ上にスクリーン印刷により印刷する。この目的のために、以下のスクリーンおよび印刷パラメータを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃において2分間乾燥させ、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に20分間導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。
【0109】
ウェハ上に印刷された図は、灰色っぽい白色を有する。方法において形成された層は、ホットプレート上での乾燥の後で強く擦ることにより、容易に取り除くことができる。ペーストを印刷した領域において、ドーピング後の4点測定によりシート抵抗を決定することは可能でない。
【0110】
図10は、テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の写真を示す。写真は、ホットプレート上で2分間にわたりウェハを加熱した後で撮影した。白っぽい灰色の層は、耐取扱いおよび耐摩耗性ではない。
【0111】
例10:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、155gのジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび19gの乳酸を溶液に添加し、混合物を、攪拌しながら70時間にわたり90℃で加温する。滑らかな粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ロータリーエバポレータにおける処理の前後でのゲルの重量差の決定は、8gの重量減少を示す。ゲルは、したがって、ペーストの3.4%のSiO
2の見かけ上の含有量、ならびにガラスマトリックス中58.7%のSiO
2および41.3%の酸化リンの見かけ上の含有量を有する(ペーストの有機構成要素が完全に焼尽され、焼尽の間にペースト中に存在する酸化リンの減少が起こらないことを仮定して)ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、均質にし、1日間にわたり静置し、その後、スクリーンプリンタにより、片側において研磨されたテクスチャ化された単結晶ウェハ上に印刷する。この目的のために、以下のスクリーンおよび印刷パラメータを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃で2分間にわたり乾燥し(耐取扱いおよび耐摩耗性)、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に20分間導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定(多重決定)は、26、38、41、41、37および38Ω/sqrの値を示す。印刷された図の外側のシート抵抗は、>1000Ω/sqrである。
【0112】
図11は、テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の顕微鏡写真を示す。写真は、ホットプレート上での2分間のウェハの加熱の後で撮影した。
【0113】
図12は、テクスチャ化された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の写真を示す。写真は、マッフル炉におけるウェハのドーピングの後で撮影した。ドーピングペーストを印刷した領域の青っぽい色は、はっきりと明らかである。着色は緩衝効果に起因し、したがって、明らかに、ペーストがウェハ表面上に均質に堆積したことを示す。
【0114】
ペーストの調製はまた、異なる含有量のリン酸を用いても行うことができる。したがって、8.1gおよび9.7gの結晶質リン酸の含有量を有するペースト混合物を用いて、類似のドーピングの結果が見出される。最後に言及された量のリン酸を用いて調製されたペーストは、25 1/sの剪断速度において測定された場合に5Pa*sの動粘度を有する。
【0115】
さらに、以下の酸を、本発明によるペーストの調製のために首尾よく使用することができる:ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、モノ、ジ、およびトリクロロ酢酸、α−クロロ酪酸、グリコール酸、グリオキサル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、ピルビン酸、リンゴ酸および2−オキソグルタル酸。ここで、ペーストの合成は、50℃〜150℃の温度範囲において行うことができる。ここでのそれぞれの反応期間は、反応温度依存的であり、4時間〜400時間の間である。代替的な酸の使用は、匹敵する印刷およびドーピングの結果を示す。
【0116】
この方法において調製されたペーストは、保存において安定であり、凝集体の形成およびそれらのドーピング作用の低下を全く示さない。これらは、それぞれの貯蔵期間に依存する。さらに、例10により調製されたペーストは、一官能性または一反応性(キャッピング剤)シロキサンの特別な添加により変更してもよく、これは、ドーピング媒体の貯蔵安定性を特に延長することを可能にする。この型の一官能性シロキサンは、以下であってよい:アセトキシトリアルキルシラン、アルコキシトリアルキルシラン、ハロトリアルキルシランなど。
【0117】
図13は、片側において研磨された単結晶シリコンウェハの、スクリーン印刷によりドーピングペーストを印刷された領域の顕微鏡写真を示す。写真は、ホットプレート上での2分間のウェハの加熱の後で撮影した。
【0118】
図14は、片側において研磨された、本発明によるドーピングペーストを印刷されたシリコンウェハの、ドーピングプロファイル(ECV測定)を示す。平均26Ω/sqrのシート抵抗が得られる。
【0119】
例11:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、155gのジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび19gのシュウ酸を溶液に添加し、混合物を攪拌しながら4時間にわたり140℃で加温する。滑らかな粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して、均質にし、1日間にわたり静置し、その後、スクリーンプリンタによりテクスチャ化された片側において研磨された単結晶ウェハ上に印刷する。この目的のために、以下のスクリーンおよび印刷パラメータを用いる:280メッシュ、25μmワイヤ直径(ステンレススチール)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃で2分間にわたり乾燥し(耐取扱いおよび耐摩耗性)、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に20分間導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定(多重決定)は、平均32Ω/sqrの値を示す。印刷された図の外側のシート抵抗は、>1000Ω/sqrである。
【0120】
例12:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、120gのジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび40gのテトラメチロールプロパンを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび19gのギ酸を溶液に添加し、混合物を攪拌しながら2時間還流する。粘着性の粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間、75℃で処理し、その間に、8gの重量減少が起こる。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して均質にし、1日間にわたり静置し、その後、スクリーンプリンタによりテクスチャ化された片側において研磨された単結晶ウェハ上に印刷する。この目的のために、以下のスクリーンおよび印刷パラメータを用いる:メッシュカウント165cm
−1、27μmの糸直径(ポリエステル)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃で2分間にわたり乾燥し(耐取扱いおよび耐摩耗性)、その後ただちに900℃まで加熱したマッフル炉中に20分間導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定(多重決定)は、平均35Ω/sqrの値を示す。印刷された図の外側のシート抵抗は、>1000Ω/sqrである。
【0121】
例13:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、61gのジエチレングリコールモノエチルエーテル、77gのテトラエチレングリコールおよび13gのジベンジルエーテルを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび19gのギ酸を、この溶液に添加し、混合物を攪拌しながら30分間にわたり還流する。滑らかな粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して均質にする。
【0122】
例14:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、80gのジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび80gの1,3−ブタンジオールを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび19gのギ酸を溶液に添加し、混合物を攪拌しながら30分間にわたり還流する。滑らかな粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して均質にする。
【0123】
例15:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、38gの1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、61gのエチレングリコールおよび15gのジベンジルエーテルを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび23gのグリオキサル酸を溶液に添加し、混合物を攪拌しながら8時間にわたり還流する。滑らかな粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して均質にする。
【0124】
例16:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、80gのジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび80gの2−((2−ブトキシ)エトキシ)エチレングリコールアセテートを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび19gのグリコール酸を、この溶液に添加し、混合物を攪拌しながら45分間にわたり還流する。滑らかな粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して均質にする。
【0125】
例17:
デシケータ中で予め乾燥させた6.45gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、80gのジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび80gのグリセロールを添加する。23gのオルトケイ酸テトラエチルおよび21gのマロン酸を溶液に添加し、混合物を攪拌しながら180分間にわたり還流する。僅かに粘着性の粘稠度を有する透明なゲルが形成される。混合物を、その後、ロータリーエバポレータにおいて60mbarで1時間にわたり75℃で処理する。ゲルを、その後、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して均質にし、1日間にわたり静置し、その後、スクリーンプリンタによりテクスチャ化された片側において研磨された単結晶ウェハ上に印刷する。この目的のために、以下のスクリーンおよび印刷パラメータを用いる:メッシュカウント165cm
−1、27μmの糸直径(ポリエステル)、取り付け角度22.5°、ファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃で2分間にわたり乾燥し(耐取扱いおよび耐摩耗性)、その後ただちに、900℃まで加熱されたマッフル炉中に20分間にわたり導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定(多重決定)は、平均43Ω/sqrの値を示す。印刷された図の外側のシート抵抗は、>1000Ω/sqrである。
【0126】
例18:
デシケータ中で予め乾燥させた59.6gの結晶質リン酸を、丸底フラスコ中に計り入れ、110gのテトラヒドロフランを添加する(反応混合物1)。リン酸を、反応混合物を攪拌および還流しながら溶解させ、89gの無水酢酸を添加する。103gのテトラヒドロフランおよび103gのオルトケイ酸テトラエチルからなる混合物を、その後、添加が5分間以内に完了するように十分に迅速な連続滴下(drop sequence)において、反応混合物に添加する。反応混合物を、その後、さらに60分間にわたり還流し、次いで冷却させる。123gのジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび10gのグリオキサル酸を、水分離器および滴下漏斗が取り付けられた攪拌装置中に計り入れ、混合物を、その後、油槽により125℃まで加熱する。テトラヒドロフラン、無水酢酸、およびリン酸とオルトケイ酸テトラエチルとの縮合物からなる79gの反応混合物(反応混合物1)を、滴下漏斗中に導入する。上述の所望される反応温度に到達した場合、滴下漏斗中に位置する混合物を、激しく攪拌しながら攪拌装置に迅速に滴加する。滴加の後で、反応混合物は、沸騰し始め、縮合物が水分離器中に集まる。蒸留の収率を増大させるために、第2の反応混合物の添加の後で、油槽の温度を150℃まで上昇させる。蒸留の開始から反応バッチのゲル化までの時間をモニタリングする。混合物のゲル化は、45分後に起こる。ゲル形成の後で、熱源を取り除き、ゲルをそのまま装置中で冷却させる。97gの重量の蒸留物が、水分離器中に集まる。冷却されたペーストを、その後、ロータリーエバポレータ中で60℃において30mbarまで真空にし、その間に、5gのさらなる重量減少が起こる。ペーストを、次いで冷却させる。ペーストは、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して、均質にしてもよいが、必ずしもそうしなければならないわけではない。エトキシトリメチルシランの添加はまた、60℃での1時間にわたる再加温の間に行われてもよい。ペーストは、滑らかかつクリーミーであり、スクリーン印刷により非常に容易に処理することができる。この目的のために、165cm
−1のメッシュカウント、27μmの糸直径(ポリエステル)、22.5°の取り付け角度、およびファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚を有する印刷スクリーンを用いる。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の間のフィルム湿重量の出力は、印刷パラメータの特定の影響の結果として、0.6mg/cm
2〜1.5mg/cm
2で変化し得る。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃で2分間にわたり乾燥し(耐取扱いおよび耐摩耗性)、その後ただちに、950℃まで加熱されたマッフル炉中に15分間にわたり導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定(多重決定)は、平均33Ω/sqrの値を示す。印刷された図の外側のシート抵抗は、>1000Ω/sqrであった。
【0127】
例19:
123gのジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび11gのマロン酸を、水分離器および滴下漏斗が取り付けられた攪拌装置中に計り入れる。混合物を、その後、油槽により125℃まで加熱する。例18による79gの反応混合物1を、滴下漏斗中に導入する。上述の所望される反応温度に到達した場合、滴下漏斗中に位置する混合物を、激しく攪拌しながら攪拌装置に迅速に滴加する。滴加の後で、反応混合物は、沸騰し始め、縮合物が水分離器中に集まる。蒸留の収率を増大させるために、第2の反応混合物の添加の後で、油槽の温度を150℃まで上昇させる。蒸留の開始から反応バッチのゲル化までの時間をモニタリングする。混合物のゲル化は、約57分後に起こる。ゲル形成の後で、熱源を取り除き、ゲルを装置中で冷却させる。約89gの重量の蒸留物が、水分離器中に集まる。冷却されたペーストを、その後、ロータリーエバポレータ中で60℃において30mbarまで真空にし、その間に、3gのさらなる重量減少が起こる。ペーストを、次いで冷却させる。得られたペーストは、ミキサーにおいて、高剪断の作用下において、2mlのエトキシトリメチルシランを添加して、均質にしてもよいが、必ずしもそうしなければならないわけではない。エトキシトリメチルシランの添加はまた、60℃での1時間にわたる再加温の間に行われてもよい。ペーストは、滑らかかつクリーミーであり、スクリーン印刷により非常に容易に処理することができる。この目的のために、165cm
−1のメッシュカウント、27μmの糸直径(ポリエステル)、22.5°の取り付け角度、およびファブリック上で8〜12μmのエマルジョン厚を有する印刷スクリーンを用いる。分離は1.1mmであり、ドクターブレード圧は1バールである。印刷レイアウトは、2cmの端面長を有する正方形に相当する。印刷の間のフィルム湿重量の出力は、印刷パラメータの特定の影響の結果として、0.6mg/cm
2〜1.5mg/cm
2で変化し得る。印刷の後で、ウェハをホットプレート上で300℃で2分間にわたり乾燥し(耐取扱いおよび耐摩耗性)、その後ただちに、950℃まで加熱されたマッフル炉中に15分間にわたり導入する。ウェハのドーピングの後で、後者を5%フッ化水素酸溶液で2分間エッチングし、その後、水で徹底的にリンスする。ペーストを印刷した領域におけるシート抵抗の決定(多重決定)は、平均37Ω/sqrの値を示す。印刷された図の外側のシート抵抗は、>1000Ω/sqrである。
【0128】
例18による反応混合物1中の無水酢酸の含有量は、変化し得る。この目的のために、50g〜204gの重量の反応物を用いることが有利であることが判明している。反応混合物中に初めに導入された無水酢酸の量が100gを超える場合、オルトケイ酸テトラエチルを、また、テトラヒドロフランを添加せずに、温かい反応混合物に滴加してもよい。さらに、全反応物の完全な添加後の還流の期間は、30分間〜240分間であってよい。好適な不活性な溶媒は、テトラヒドロフランの他には、さらに十分に極性であり非プロトン性の可溶化剤、例えば、1,4−ジオキサンおよびジベンジルエーテルなどであり、ここで、他の匹敵する溶媒もまた、この目的のために使用することができる。ドーピングペーストの合成は、任意にまた、変更された形態において行ってもよく、この目的のために、油槽により50℃〜140℃まで予熱された対応する量のオルトケイ酸テトラエチルを、攪拌装置において使用してもよい。テトラヒドロフラン中に溶解した対応する量のリン酸と無水酢酸との混合物を、次いで、加温され、激しく攪拌されたテトラエチルオルトシリケートに、ゆっくり慎重に滴加する。反応は、滴加の間にただちに開始し、発熱性が高い。予め加温されたオルトケイ酸テトラエチルの温度は、用いられるべき滴加速度を決定する上で重要な役割を果たし、ここで、温かいほどに、滴加の連続性が遅くなる。回避しなければならない自発的に発生する沈殿の形成は、特にここで、液滴が進入する地点において、特に注意しなければならない。反応の実施の間、および選択される温度に依存して、水分離器により反応混合物から有利に取り除くことができる低沸点成分を、取り除く。反応の進行を、粘度の増大からモニタリングすることができる。残りの反応混合物がシロップ様の特徴を取り始めたらすぐに、それを、滴下漏斗を用いて、上述の例において示される溶媒および溶媒混合物、ならびにまた同じ例において言及されるカルボン酸の溶液からなる第2の反応混合物によりすばやく被覆し、シロップ様の反応材料は、流入する反応混合物中で滑らかに溶解する。シロップ様の反応混合物からのガラス様の材料の形成は、全ての状況下において回避すべきである。被覆の後で、ゲル化が始まるまで反応を続ける。全ての場合におけるゲル化は、選択された反応温度が高いほど、および使用されたカルボン酸の量が多いほど、迅速に進行する。また、記載される2mlより多い量を用いて、ドーピングペーストのエンドキャッピングを行ってもよい(通常、上記のバッチサイズあたり2ml〜5ml)。言うまでもないことであるが、記載される全てのペーストの合成は、また、リン前駆体の代用となるホウ素含有前駆体により行ってもよい。