(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383456
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20180820BHJP
C07C 213/10 20060101ALI20180820BHJP
A61P 3/08 20060101ALI20180820BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20180820BHJP
A61K 31/133 20060101ALI20180820BHJP
B01D 15/40 20060101ALI20180820BHJP
B01J 39/04 20170101ALI20180820BHJP
B01J 39/18 20170101ALI20180820BHJP
B01J 49/53 20170101ALI20180820BHJP
B01D 15/02 20060101ALI20180820BHJP
B01D 11/00 20060101ALI20180820BHJP
C07C 215/24 20060101ALI20180820BHJP
A61K 35/20 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
A23L33/10
C07C213/10
A61P3/08
A61P17/00
A61K31/133
B01D15/40
B01J39/04
B01J39/18
B01J49/53
B01D15/02 102
B01D11/00
C07C215/24
A61K35/20
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-92808(P2017-92808)
(22)【出願日】2017年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-52912(P2018-52912A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-112784(P2016-112784)
(32)【優先日】2016年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-187014(P2016-187014)
(32)【優先日】2016年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 愛
(72)【発明者】
【氏名】塩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】今井 麻友美
【審査官】
市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−035794(JP,A)
【文献】
J. Biol. Chem.,1956年,Vol.221,pp.879-884
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 31/00−33/29
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)の工程を含む、スフィンゴイド塩基を含む抽出物の製造方法。
(1)乳リン脂質濃縮物を、酸濃度を0.001〜10Mとしたエタノール又はエタノール水溶液に溶解または分散し、30℃〜100℃で30分〜数日間加熱して酸加水分解する工程
【請求項2】
さらに下記(2)の工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
(2)工程(1)により得られた加水分解物からイオン交換樹脂による抽出、超臨界流体による抽出、及び珪藻土若しくは活性白土への吸着を利用した抽出からなる群のいずれか1以上の抽出によりスフィンゴイド塩基を得る工程
【請求項3】
工程(1)の酸加水分解で用いる酸は、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、硝酸、フマル酸等の酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(2)のイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂である請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
陽イオン交換樹脂からの溶出は、塩濃度および/またはpHを変化させることにより行う請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
陽イオン交換樹脂からの溶出は、電解質により、イオン強度が0.00001から1までの溶液を用いた溶出液によるものである請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(2)の超臨界流体抽出は、超臨界流体クロマトグラフィーまたは超臨界流体抽出装置を用いる請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
超臨界流体クロマトグラフィーは、超臨界流体として二酸化炭素を用い、エントレーナーとしてエタノールを用いて溶出させる請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
エタノールを用いた溶出が、エタノール濃度を5%から50%の範囲で変化させる溶出である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
エントレーナーを塩基性にして溶出させる請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
工程(2)の珪藻土若しくは活性白土への吸着を利用した抽出は、加水分解溶液を珪藻土若しくは活性白土を含むエタノール水溶液に分散し、不溶物を珪藻土若しくは活性白土に吸着させることによる抽出である請求項2に記載の製造方法。
【請求項12】
エタノール水溶液のエタノール濃度は、60%以下である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
スフィンゴイド塩基が、ジヒドロスフィンゴシン、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン及び、乳由来リン脂質から生じるアミノ基が1つ、ヒドロキシ基が2若しくは3つ結合し、二重結合が一つ以上若しくは存在しない構造を有するスフィンゴイド塩基、からなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
副生成物としてエタノールとスフィンゴイド塩基のエーテル化合物を生成する請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
副生成物の生成量が10%以下である請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスフィンゴ脂質含有素材からスフィンゴイド塩基含有抽出物を製造する方法に関する。より詳しくは、スフィンゴ脂質含有食品素材から、食品素材として許容できる方法でスフィンゴイド塩基含有抽出物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴイド塩基は、スフィンゴ脂質の骨格構造の長鎖塩基である。スフィンゴ脂質は、動物や植物や微生物に広く存在し、スフィンゴイド塩基を骨格構造とし、それに脂肪酸が結合したセラミド、さらにセラミドにリン酸や糖が結合したスフィンゴミエリンやグルコシルセラミド等が存在する。
スフィンゴイド塩基は近年様々な食品化学的活性および生理活性を有することが報告されている。
特許文献1には、スフィンゴイド塩基が血糖の組織取り込みを調節するホルモンの分泌促進作用を有することを記載している。特許文献2には、スフィンゴイド塩基にはコラーゲン産生促進作用があることを記載している。
スフィンゴ脂質は経口摂取されると、消化管内で加水分解され、少なくとも一部はスフィンゴイド塩基にまで消化されることが知られている。消化管内で加水分解されて生じたスフィンゴイド塩基は小腸上皮細胞から体内へ吸収されるものと考えられている。しかし、スフィンゴ脂質は、グリセロ脂質と比べて消化管内での加水分解を受けにくく、小腸での体内への吸収もされにくい。動物細胞に主要なスフィンゴイド塩基と植物細胞に主要なスフィンゴイド塩基を比較すると、動物細胞に主要なスフィンゴイド塩基の方が小腸上皮細胞にて吸収されやすいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2013/111823号パンフレット
【特許文献2】特開2010−095499号公報
【特許文献3】特許第5357011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、スフィンゴイド塩基は、様々な生理活性や食品化学的活性を有することが報告されているが、スフィンゴイド塩基の食品への応用はほとんど進んでこなかった。
これまでは、食品素材として使用できるような方法で抽出・精製されたスフィンゴイド塩基素材がなく、非常に高価な合成品、抽出・精製の過程でメタノールを用いた食品素材として望ましくない素材(特許文献1、2)、組換え微生物等により製造した素材(特許文献3)のみであった。メタノールを用いた加水分解によるスフィンゴイド塩基の抽出方法は、後述する実施例に示すように副生成物の多い方法であることもわかった。
そこで、我々はスフィンゴ脂質含有素材からスフィンゴイド塩基を食品素材として使用できる方法で安価に簡便に大量かつ副生物の少ない効率的な抽出・精製方法を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鋭意検討した結果、酸とエタノール若しくはエタノール水溶液を用いた化学的な加水分解及び、イオン交換樹脂や超臨界流体抽出や珪藻土や活性白土への吸着等の方法による精製を組み合わせることにより、食品素材として使用できる方法でスフィンゴイド塩基の抽出・精製が可能であることを発見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
〔1〕
下記(1)の工程を含む、スフィンゴイド塩基を含む抽出物の製造方法。
(1)スフィンゴ脂質含有素材を0.001〜10Mの酸性エタノール又は酸性エタノール水溶液に溶解または分散し、30℃から100℃で30分から数日間加熱して酸加水分解する工程
〔2〕
さらに下記(2)の工程を含む、〔1〕に記載の製造方法。
(2)工程(1)により得られた加水分解物からイオン交換樹脂による抽出、超臨界流体による抽出、及び珪藻土若しくは活性白土への吸着を利用した抽出からなる群のいずれか1以上の抽出によりスフィンゴイド塩基を得る工程
〔3〕
工程(1)の酸加水分解で用いる酸は、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、硝酸、フマル酸等の酸から選ばれる少なくとも一種である〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
工程(2)のイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕
陽イオン交換樹脂からの溶出は、塩濃度および/またはpHを変化させることにより行う〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕
陽イオン交換樹脂からの溶出は、NaClなどの電解質により、イオン強度が0.00001から1までの溶液を用いた溶出液によるものである〔4〕または〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕
工程(2)の超臨界流体抽出は、超臨界流体クロマトグラフィーまたは超臨界流体抽出装置を用いる〔2〕から〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕
超臨界流体クロマトグラフィーは、超臨界流体として二酸化炭素を用い、エントレーナーとしてエタノールを用いて溶出させる〔7〕に記載の製造方法。
〔9〕
エタノールを用いた溶出が、エタノール濃度を5%から50%の範囲で変化させる溶出である〔8〕に記載の製造方法。
〔10〕
エントレーナーを塩基性にして溶出させる〔8〕又は〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕
工程(2)の珪藻土若しくは活性白土への吸着を利用した抽出は、加水分解溶液を珪藻土若しくは活性白土を含むエタノール水溶液に分散し、不溶物を珪藻土若しくは活性白土に吸着させることによる抽出である〔2〕又は〔3〕に記載の製造方法。
〔12〕
エタノール水溶液のエタノール濃度は、60%以下である〔11〕に記載の製造方法。
〔13〕
スフィンゴ脂質含有素材は、動物由来、植物由来又は微生物由来である〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の製造方法。
〔14〕
スフィンゴイド塩基が、ジヒドロスフィンゴシン、スフィンゴシン、N,N−ジメチルスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、4−スフィンゲニン、8−スフィンゲニン、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、4,8−スフィンガジエニン、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、9−メチル−4,8−スフィンガジエニン、4,8,10−スフィンガトリエニン、9−メチル−4,8,10−スフィンガトリエニン、及び、アミノ基が1つ、ヒドロキシ基が2若しくは3つ結合し、二重結合が一つ以上若しくは存在しない構造を有するスフィンゴイド塩基、からなる群から選ばれる一種以上である〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の製造方法。
〔15〕
副生成物としてエタノールとスフィンゴイド塩基のエーテル化合物を生成する〔1〕〜〔14〕に記載の製造方法。
〔16〕
副生成物であるエーテル化合物の総和が、スフィンゴイド塩基の生成量1に対して0.1以下である〔1〕〜〔15〕に記載の製造方法。
〔17〕
〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の製造方法により得られたスフィンゴイド塩基を含む抽出物を添加する工程を含む飲食品の製造方法。
〔18〕
〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の製造方法により得られたスフィンゴイド塩基を含む抽出物。
〔19〕
〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の製造方法により得られたスフィンゴイド塩基を含む抽出物を含む飲食品。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスフィンゴイド塩基含有抽出物の製造方法によれば、食品素材として使用可能な安全かつ簡便な方法によりスフィンゴイド塩基抽出物が得られる。したがって、本方法により製造された抽出物は食品素材として様々な飲食品、機能性食品に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】乳リン脂質濃縮物由来のスフィンゴイド塩基のGCクロマトグラムである。
【
図2】スフィンゴイド塩基の調製にエタノールを用いた場合の副生成物であるエーテル化合物の構造を示す図である。
【
図3】スフィンゴイド塩基の調製にメタノールを用いた場合の副生成物であるエーテル化合物の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のスフィンゴイド塩基を含む抽出物の製造方法を、以下に詳しく説明する。
【0009】
本発明のスフィンゴイド塩基を含む抽出物の製造方法に使用する原料は、スフィンゴ脂質を含む素材であれば特に限定されない。この素材の例としては、牛乳、ウシの脳、卵、畜肉等の動物由来、小麦、トウモロコシ、豆等の植物由来または酵母等が生産する微生物由来の素材が挙げられる。特に好ましくは、乳リン脂質濃縮物である。
乳リン脂質濃縮物としては、例えば、乳やホエータンパク質濃縮物(WPC)等の乳製品をエーテルやアセトンで抽出する方法(特開平3−47192号公報)により得られる乳リン脂質含有画分、バターを加温融解することで得られるバターカードやバターセーラムを含む水性画分、また、バターミルクやバターセーラム中に含まれる乳脂肪球皮膜画分が挙げられる。そして、これらのリン脂質画分を透析、硫安分画、ゲル濾過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画等の手法により精製することにより純度を高めたリン脂質濃縮物を利用することができる。また、乳リン脂質濃縮物として市販品を利用することもでき、ミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)、SM−2(コールマン社製)が挙げられる。
【0010】
また、本発明で得られるスフィンゴイド塩基は、スフィンゴ塩基構造を有していればよく、例えば、ジヒドロスフィンゴシン、スフィンゴシン、N,N−ジメチルスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、4−スフィンゲニン、8−スフィンゲニン、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、4,8−スフィンガジエニン、9−メチル−4,8−スフィンガジエニン、4,8,10−スフィンガトリエニン、9−メチル−4,8,10−スフィンガトリエニンが挙げられる。その他にも、アミノ基が1つ、ヒドロキシ基が2または3つ結合し、二重結合が一つ以上もしくは存在しない構造を有するスフィンゴイド塩基でもよい。すなわち、鎖長、ヒドロキシ基の位置や数、二重結合の位置や数が異なる、様々なスフィンゴイド塩基を得ることができる。
【0011】
本発明のスフィンゴイド塩基を含む抽出物の製造方法は、少なくとも次の(1)の工程を含み、さらに精製する工程を含む。また、精製する工程は、次の(2)の工程が望ましい。
(1)スフィンゴ脂質含有素材を0.001〜10Mの酸性エタノール又は酸性エタノール水溶液に溶解または分散し、30℃から100℃で30分から数日間加熱して酸加水分解する工程
(2)工程(1)により得られた加水分解溶液からイオン交換樹脂による抽出、超臨界流体による抽出、及び珪藻土若しくは活性白土への吸着を利用した抽出からなる群のいずれか1以上の抽出によりスフィンゴイド塩基を得る工程
【0012】
(1)の「スフィンゴ脂質含有素材を0.001〜10Mの酸性エタノール又は酸性エタノール水溶液に溶解または分散する」方法としては、前記スフィンゴ脂質含有素材からまずエタノールを用いて、スフィンゴ脂質を含むエタノール可溶性成分を抽出し、次に得られたエタノール可溶性成分に酸及び必要に応じて水を加えて、酸の最終濃度を0.001〜10Mの酸性とする方法がある。他に、あらかじめ0.001〜10Mの酸性エタノール水溶液を調整し、これにスフィンゴ脂質含有素材を溶解または分散させる方法がある。
エタノールまたはエタノール水溶液を酸性とする酸としては、例えば塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、硝酸、フマル酸等が挙げられ、これから選ばれる少なくとも一種を用いることができるが、より好ましくは塩酸である。
酸性エタノール水溶液を用いる場合の水の含有量は、5〜30%が好ましく、7〜20%がより好ましく、10〜15%がよりいっそう好ましく、10%がもっとも好ましい。次に、このようにして調整した溶解液または分散液を、30℃から100℃で30分から数日間加熱して加水分解を行う。なお、加水分解後のアルカリ水溶液による中和の有無は任意である。
【0013】
(2)の工程は、(1)の工程により得られた加水分解溶液を、イオン交換樹脂による抽出、超臨界流体による抽出、超臨界流体クロマトグラフィーによる抽出、超臨界二酸化炭素あるいは液体二酸化炭素による抽出、及び珪藻土若しくは活性白土への吸着を利用した抽出からなる群のいずれか1以上の抽出によりスフィンゴイド塩基を分画する工程である。
イオン交換樹脂を用いる場合は、陽イオン交換樹脂が望ましく、溶出液は塩濃度および/又はpHを変化させた溶液を用いる。場合によっては、塩の濃度を段階的に変化させ、溶出する。溶出液の調製に用いる塩にはNaやKやCaなどを含む塩を用いることができる。溶出液のイオン強度は0.00001から1までの範囲において分画が可能である。NaClを溶出液の塩として用いる場合、スフィンゴイド塩基はNaCl濃度0.01mMから1Mまでに溶出される。
また、イオン交換樹脂に対する吸着をよくするために、電気透析を行うことも好ましい。
【0014】
超臨界抽出装置を用いる場合は、超臨界抽出装置または超臨界流体クロマトグラフィーを用いる。超臨界抽出装置または超臨界流体クロマトグラフィーは、超臨界流体として二酸化炭素を用い、エントレーナーとしてエタノールを用いる。超臨界流体クロマトグラフィーでは、エタノールが5%から50%の範囲でスフィンゴイド塩基が溶出される。
また、超臨界流体クロマトグラフィーでは、エントレーナーを塩基性にすることで分離効率を高めることができる。
【0015】
超臨界二酸化炭素抽出装置あるいは液体二酸化炭素抽出装置を用いて抽出を行う場合は、試料の前処理として、(1)の工程に以下の工程を加える。まず、(1)の工程により得られた加水分解溶液から減圧濃縮によりエタノールを除去し、アルカリ性水溶液を添加してpHを中性〜塩基性に調整する。次に、これを遠心分離にかけて油層、水層、ゲル状の中間層の三層に分離し、ろ過により中間層を回収する。このとき、中間層の収率を上げるためには、pHを7〜9に調整することが好ましい。回収した中間層は、酸性水溶液を添加して抽出に適したpHに調整し、凍結乾燥を行う。抽出に適したpHとは、pH5〜9であり、pH6.6〜8がより好ましく、pH6.6が特に好ましい。
超臨界二酸化炭素抽出あるいは液体二酸化炭素抽出を行う場合は、エントレーナーとしてエタノールを使用する。また、超臨界二酸化炭素抽出を行う場合、系内の圧力は7.5〜30MPa、特に15〜25MPaが好ましく、温度は32〜60℃、特に45〜60℃が好ましい。液体二酸化炭素抽出を行う場合、系内の圧力は5〜30MPa、特に15〜25MPaが好ましく、温度は10〜30℃、特に15〜25℃が好ましい。スフィンゴイド塩基を高純度に抽出するためには、まず、エタノール比率が0〜5%の移動相で抽出を行い、その後、エタノール比率を10〜50%の範囲で段階的に上げてスフィンゴイド塩基濃縮画分を得る。
【0016】
超臨界流体クロマトグラフィー、超臨界二酸化炭素抽出、液体二酸化炭素抽出を行う場合、サンプルを圧力容器に仕込む際、吸湿剤、緩衝材として珪藻土や海砂を混合してもよい。また、これらの操作により得られた分離された抽出物は、スフィンゴイド塩基を主成分として含む抽出物であり、エタノールや食塩が混在している場合は、揮発や脱塩操作により除くことによって、より純度の高いスフィンゴイド塩基含有抽出物が得られる。
【0017】
吸着法を用いた抽出法では、珪藻土や活性白土等の吸着作用のある物質を使用できる。吸着作用のある物質であれば、珪藻土や活性白土に限らず使用できる。珪藻土を用いる抽出の場合は、加水分解溶液を珪藻土を含むエタノール水溶液に分散し、不溶物を含む溶解性の低い物質を珪藻土に吸着させる。珪藻土に不溶物を吸着させることで、スフィンゴイド塩基を含む抽出物と夾雑物が分離できる。この場合のエタノール水溶液のエタノール濃度は60%以下の範囲がより好ましい。
スフィンゴイド塩基含有抽出物は、分離や精製度を高度に行った場合には、スフィンゴイド塩基を高純度で含むことから、本明細書中では特に断らない限りは、スフィンゴイド類あるいはスフィンゴイド塩基と同義で用いるものとする。
【0018】
本発明の製造方法は、スフィンゴイド脂質を含有する食品素材から食品として許容できるような安全な方法により製造する方法であるから、本製造方法により得られたスフィンゴイド塩基含有抽出物は、様々な食品に使用できる。使用する食品に制限はない。例えば、ヨーグルト、牛乳等の乳製品、ジュース、お茶等の飲料、菓子類、その他にも様々な飲食品に使用できる。また、抽出物をそのままサプリメントとして、錠剤、カプセル剤、散剤等に製剤することも可能である。
また、スフィンゴイド塩基が有する食品化学的活性、生理活性の利用を目的として、経口医薬品、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、美容用食品として使用することも可能である。
また、本発明の製造方法により得られたスフィンゴイド塩基含有抽出物は、動物用の飼料や動物用の医薬品としても利用することが可能である。
以下に、実施例および試験例を示し、より詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/イオン交換樹脂による抽出〕
1.スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造方法
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、0.2M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を75℃12時間加熱し、加水分解反応を行った。
反応液に水を40%となるように添加し、水相を分取した。得られた水相を陽イオン交換樹脂(Inert Sep PRS、GLサイエンス社製)に吸着させ、100mMのNaClを加えた溶出液にて溶出させた。得られた溶出液を膜処理にて脱塩し、エタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。得られた抽出物の純度は80%であった。
【0020】
2.スフィンゴイド塩基含有抽出物の塩基組成
得られたスフィンゴイド塩基抽出物について、スフィンゴイド塩基組成を調べた。上記1.により得られたスフィンゴイド塩基抽出物からクロロホルム/メタノール混合溶液にて脂質を抽出した。得られたクロロホルム画分を窒素で濃縮後、トリメチルシリル(TMS)化処理をした。TMS化処理後の誘導体溶液をGC−MSに導入し、スフィンゴイド塩基の組成を確認した。
乳リン脂質由来スフィンゴイド塩基のGC−MSクロマトグラムを
図1に、各ピークの同定結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【実施例2】
【0022】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/イオン交換樹脂による抽出〕
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸と水を加えて、水を10%の割合で含む0.2M塩酸/エタノール水溶液とした。この塩酸/含水エタノール溶液を75℃24時間加熱し、加水分解反応を行った。
反応液に水を40%となるように添加して遠心分離し、油膜を除去することにより水相を回収した。得られた水相について、実施例1と同様に陽イオン交換と脱塩処理を行い、エタノールを揮発させることでスフィンゴイド塩基抽出物を得た。得られた抽出物の純度は97%であった。
【実施例3】
【0023】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/イオン交換樹脂による抽出〕
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、0.005M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を100℃24時間加熱し、加水分解反応を行った。
反応液に水を40%となるように添加し、水相を分取した。得られた水相を陽イオン交換樹脂(Inert Sep PRS、GLサイエンス社製)に吸着させ、1MのNaClを加えた溶出液にて溶出させた。得られた溶出液を膜処理にて脱塩し、エタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。得られた抽出物の純度は60%であった。
【実施例4】
【0024】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/イオン交換樹脂による抽出〕
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、10M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を30℃1時間加熱し、加水分解反応を行った。
反応液に水を40%となるように添加し、水相を分取した。得られた水相を陽イオン交換樹脂(Inert Sep PRS、GLサイエンス社製)に吸着させ、0.1mMのNaClを加えた溶出液にて溶出させた。得られた溶出液を膜処理にて脱塩し、エタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。得られた抽出物の純度は60%であった。
【実施例5】
【0025】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/イオン交換樹脂による抽出〕
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、0.2M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を70℃18時間加熱し、加水分解反応を行った。
反応液に水を40%となるように添加し、水相を分取した。水相から塩酸を除き、イオン交換樹脂に対する吸着をよくするために、電気透析を実施した。機器は、マイクロアシライザーS1(アストム社製)を用いた。電気透析後の反応液を陽イオン交換樹脂(Inert Sep PRS、GLサイエンス社製)に吸着させ、50mMのNaClを加えた溶出液にて溶出させた。得られた溶出液を膜処理にて脱塩し、エタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。得られた抽出物の純度は80%であった。
【実施例6】
【0026】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/超臨界流体クロマトグラフィーによる抽出〕
実施例1と同様にして得られた加水分解反応液を超臨界抽出クロマトグラフィー装置(ACQUITY UPC2システム、Waters社製)に供した。超臨界流体は二酸化炭素を用い、エントレーナーはエタノールを用いた。カラムはACQUITY UPC2 BEH 2−Ethylpyridine 1.7μm,3.0×100mm(Waters社製)を用いた。流速は1.2mL/分、カラム温度は40℃、サンプル注入量は1μLであった。エントレーナーのエタノール濃度を10%から50%まで変化させて溶出した。なお、エントレーナーを塩基性にすることで、さらによく分離できた。得られた溶出物から二酸化炭素とエタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。得られた抽出物の純度は99%であった。
【実施例7】
【0027】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/超臨界二酸化炭素による抽出〕
実施例1と同様にして得られた加水分解液から減圧濃縮によりエタノールを除去した後、NaOH水溶液を加えてpH 8に調整した。これを遠心分離により三層に分離し、ろ過によりゲル状の中間層を回収し、凍結乾燥して超臨界二酸化炭素抽出に供した。超臨界二酸化炭素抽出は、エントレーナーにエタノールを使用し、圧力は25 MPa、温度は60℃、移動相の流速10mL/分で実施した。まず、低極性の夾雑物を除去するために、エタノール導入率を0〜5%に設定し、抽出を行った。その後、エタノール導入率を10〜20%の範囲で段階的に上げて抽出を行い、得られた溶出物から二酸化炭素とエタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。スフィンゴイド塩基の純度は、エタノール10%の溶出画分が最も高く、80%であった。
【実施例8】
【0028】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/液体二酸化炭素による抽出〕
実施例1と同様にして得られた加水分解液を減圧濃縮にかけてエタノールを除去した後、NaOH水溶液を加えてpH 8に調整した。これを遠心分離により三層に分離し、ろ過によりゲル状の中間層を回収した。これにHCl水溶液を加えてpH 6.6に調整し、凍結乾燥したものを液体二酸化炭素抽出に供した。液体二酸化炭素抽出は、エントレーナーにエタノールを使用し、圧力は25 MPa、温度は25℃、移動相の流速は10mL/分で実施した。まず、低極性の夾雑物を除去するために、エタノール導入率を0〜5%に設定し、抽出を行った。その後、エタノール導入率を10〜20%の範囲で段階的に上げて抽出を行い、得られた溶出物から二酸化炭素とエタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。スフィンゴイド塩基の純度は、エタノール15%の画分が最も高く、70%であった。
【実施例9】
【0029】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/珪藻土による抽出〕
加水分解反応液を、珪藻土を用いた抽出に供した。
実施例1と同様にして得られた加水分解反応液を40%エタノール水溶液となるように水で希釈し、これを珪藻土(関東化学製)に分散させて、攪拌して一晩反応させた後、ろ過により珪藻土とろ液を分離した。その結果、ろ液中にスフィンゴイド塩基が存在した。ろ液中のエタノールを揮発させることで、スフィンゴイド塩基抽出物が得られた。得られた抽出物の純度は40%であった。
【実施例10】
【0030】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/珪藻土による抽出〕
加水分解溶液を5%エタノール溶液となるように水で希釈した以外は、実施例7と同様に珪藻土を用いてスフィンゴイド塩基抽出物を得た。得られた抽出物の純度は30%であった。
【実施例11】
【0031】
〔スフィンゴイド塩基含有抽出物の製造/珪藻土による抽出〕
加水分解溶液を70%エタノール溶液となるように水で希釈した以外は、実施例7と同様に珪藻土を用いてスフィンゴイド塩基抽出物を得た。得られた抽出物の純度は10%であった。
【実施例12】
【0032】
〔副生成物の検討〕
特許文献2や特許文献3などで知られている従来のスフィンゴ脂質のメタノールを用いた加水分解では、副生成物が生起することが報告されているため(Chemistry and Physics of Lipids 5巻,1970)、対して本願のエタノールを用いた加水分解における副生成物の生起について検討を行った。
【0033】
1.試験方法
1−1.加水分解反応
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、0.2M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を75℃24時間加熱し、加水分解反応を行った。また、同量のミルクセラミドMC−5を原料として、上記の方法のエタノールをメタノールに置換した方法で加水分解反応を行った。
1−2.副生成物の同定
得られた加水分解物からクロロホルム/メタノール混合溶液にて脂質を抽出し、窒素で濃縮後、薄層クロマトグラフィーにより成分を分離した。薄層クロマトグラフィーの展開溶媒にはクロロホルム/アセトン/メタノール/酢酸/水=10/4/2/2/1を用いた。展開後のプレートを風乾し、プリムリン試薬を噴霧してUV照射によりスポットを検出した。スポットをかきとってクロロホルム/メタノール混合溶媒により抽出し、インフュージョン法によりLC−MS/MSに導入して化合物を同定した。
1−3.副生成物の定量
上記と同様にして、薄層クロマトグラフィーにより成分を分離した。展開後のプレートを風乾し、硫酸を噴霧して加熱することによりスポットを検出した。副生成物の定量はデンシトメトリー法により行った。
2.試験結果
加水分解反応後の混合物について、スフィンゴイド塩基の生成量1に対して、エーテル化合物の総和の生成量を表2に示す。本結果によれば、メタノールを用いた加水分解は、報告のとおり副生成物が0.4も発生したが、これに対して本願のエタノールを用いた加水分解では0.1にとどまった。一方で、両試験間では、スフィンゴイド塩基の収量には差がなかった。
定性試験の結果、スフィンゴイド塩基の調製にエタノールを用いた場合の副生成物は
図2に示すエーテル化合物であった。一方、スフィンゴイド塩基の調製にメタノールを用いた場合の副生成物は
図3に示すエーテル化合物であった。なお、スフィンゴイド塩基の調製にエタノールを用いた場合の副生成物中には
図3は検出されなかった。
【0034】
【表2】
【実施例13】
【0035】
〔副生成物の脂質酸化に及ぼす影響評価〕
1.試験方法
実施例10で確認された副生成物の主成分であるエーテル化合物(
図2、又は
図3に示す化合物のいずれかひとつ)1mgを魚油99mgと混合し供試試料とした。魚油は高度不飽和脂肪酸であるDHAを10%含有するものである。
供試試料を分析用バイアル瓶(5mL)に精秤した後、ブチルセプタムゴムおよびアルミシールバイアルで栓をした。50℃、暗所にてインキュベートした後、一定時間ごとにバイアル瓶上部の空気40μLを採取して、熱伝導度検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフ装置に注入し、酸素および窒素量を測定した。酸素と窒素のピーク比の変化により魚油の酸化による酸素消費量を算出した。
保存50時間後の酸素残存量(%)を表3に示した。
[GCの分析条件]
装置: 島津GC−14B型ガスクロマトグラフ[島津製作所(株)]、インテグレーター:島津 C−R8A 型クロマトデータ処理装置[島津製作所(株)]、電圧機:AMP−7B[島津製作所(株)] 、検出器:TCD、カラム:Molecular sieves−5A(60/80mesh;3ミリ)、カラム温度:50℃、注入口温度:100℃、検出口温度:100℃、キャリアガス:ヘリウムガス、ヘリウム圧:50kPa
【0036】
【表3】
【0037】
2.試験結果
表3に示した各試料はいずれも経時的に酸化が進行し、バイアル瓶上部に残存する酸素量が減少した。
50時間後の酸素残存量は、副生成物であるエーテル化合物を添加した試料の方が魚油のみの試料よりも少なかったことから、エーテル化合物には高度不飽和脂肪酸含有油脂である魚油の酸化を促進する作用があることが確認された。なお、エタノール由来のエーテル化合物とメタノール由来のエーテル化合物の酸素残存量は同等であったことから、これらの化合物の酸化促進作用はほぼ同等であると考えられた。
スフィンゴイド塩基を食品に配合する際には、油脂が共存する場合が多く、油脂酸化の進行は異風味等の品質劣化の原因となる。
したがって、本願のエタノールを溶剤としてスフィンゴイド塩基を調製する方法は、従来法であるメタノールを溶剤として調製する方法と比較して、油脂を酸化させる因子であるエーテル化合物の生成が少ないことから、添加する食品の劣化防止に有利である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の製造方法により得られたスフィンゴイド塩基抽出物は、食品化学的活性、生理活性を有するので、その効果を得る目的で、飲食品に配合したり、サプリメント等の有効成分として利用したりすることができる。また、油脂を酸化させる副生成物の含量が少ないことから、油脂を含む飲食品に配合する添加剤として望ましく利用することができる。