特許第6383977号(P6383977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383977
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ガラス基板の切断方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/02 20060101AFI20180827BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20180827BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20180827BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20180827BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20180827BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20180827BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20180827BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C03B33/02
   C03C15/00 D
   C03C23/00 D
   B23K26/53
   B23K26/00 M
   B23K26/067
   B23K26/064 A
   B28D5/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-132889(P2014-132889)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-11219(P2016-11219A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】益田 英尚
【審査官】 飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−219960(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/040166(WO,A1)
【文献】 特開2012−076949(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/060875(WO,A1)
【文献】 特開2009−202218(JP,A)
【文献】 特開2004−330310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
C03B 40/00−40/04
C03C 15/00−23/00
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚方向に対向する2つの透光面を備える第1のガラス基板にレーザ光を照射し、前記第1のガラス基板の切断予定ラインに沿って前記第1のガラス基板の板厚方向内部に切断起点となる異質領域を形成する工程と、前記異質領域が形成された前記第1のガラス基板にエッチングを施すことによって切断予定ラインで前記第1のガラス基板を切断する、切断工程とを有する、ガラス基板の切断方法であって、
前記ガラスの切断方法は、
第1のガラス基板と、前記第1のガラス基板と同一の第2のガラス基板を用意する工程と、
切断予定ラインに沿って第2のガラス基板の内部にレーザ照射で仮の異質領域を形成する工程と、
前記仮の異質領域を形成した第2のガラス基板をエッチング処理により切断する工程と、
前記仮の異質領域を形成する工程で形成した仮の異質領域の形状と前記エッチング処理により切断する工程で形成した切断面の形状との変化量を測定する工程と、
前記変化量を測定する工程にて得られた変化量から所望の切断面の形状を得るための異質領域の形状を決定する工程と、
前記異質領域の形状を決定する工程にて求めた形状の異質領域を第1のガラス基板の切断予定ラインに沿って第1のガラス基板の内部に形成する工程と、
内部に異質領域を形成した第1のガラス基板をエッチング処理により切断する切断工程とを備えることを特徴とする、
ガラス基板の切断方法。
【請求項2】
切断後のガラス基板において、前記切断予定ラインと直交する方向の断面の形状がR面、C面、テーパー状、真直状及び凹凸形状のうちいずれか1つ又はこれらの組み合わせの形状を有するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項3】
前記異質領域は、ガラス基板の板厚方向に対向する2つの透光面のうち、少なくとも1つの面に達していることを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項4】
前記異質領域は、板厚方向に対向する2つの透光面のどちらにも達していないことを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項5】
前記異質領域を、切断ラインごと、もしくは切断ラインの中で変化させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法ガラス基板の切断方法。
【請求項6】
前記レーザ光は、ガラス基板の板厚方向に複数の集光点を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項7】
前記エッチング工程において、ガラス表面をマスキングすることで切断面の形状を所望の形状に形成することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項8】
前記エッチング工程は、ウェットエッチングであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項9】
前記エッチング工程は、ドライエッチングであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項10】
前記ガラス基板は、軟化点が300〜1000℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板の切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板等の切断方法として、ステルスダイシング(登録商標)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この切断方法は、半導体基板(例えば、シリコン基板)を透過する波長のレーザ光を半導体基板内部に集光させて改質領域(キズ領域)を形成し、その後、テープエキスパンドなど外部応力を加えることにより、改質領域を起点として亀裂を生じさせて半導体基板を切断する技術である。
【0003】
この切断方法は、半導体基板の表面にダメージを与えずに半導体基板内部に局所的・選択的に改質領域を形成できるため、一般的なブレードダイシングで問題となる半導体基板の表面にチッピング等の不具合の発生を低減することができる。また、切削加工と異なり発塵などの問題も少ない。このため、近年では、半導体基板に限られず、ガラス基板の切断など広く用いられるようになっている。
【0004】
ガラス基板の用途によっては、ガラス基板を他の部材と組み合わせる際に、ガラス基板の稜線や側面を用いて位置決めすることがある。そのため、最終製品内部での他の部品との組合せ位置の形状によって、組合せ易いように形状を変更できることがさらに好ましい。しかし、前述のレーザ光を用いた切断方法やダイシングブレードを用いた切断方法では、通常のレーザ光照射では、上記のようにクラックの伸長方向が一定にならないことや、蛇行する恐れがあるという理由より、精密な形状を形成することは不可能であった。
【0005】
また、エッチングのみでガラスを切断し、且つ切断面を所望の形状にする方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、切断面が所望の形状になるまで、ガラスをエッチング液に浸漬しておかなければならず、場合によっては長時間かかる可能性もある。さらに、切断予定ライン以外を全てマスキングする必要もあり、手間もかかる。マスキングの精度によっては、所望の切断面の形状が得られない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−135342号公報
【特許文献2】特開2013−241297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、寸法精度が高く、ガラス基板の切断ラインと直交する方向の断面の形状を、所望の形状にすることができるガラスの切断方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)板厚方向に対向する2つの透光面を備える第1のガラス基板にレーザ光を照射し、前記第1のガラス基板の切断予定ラインに沿って前記第1のガラス基板の板厚方向内部に切断起点となる異質領域を形成する工程と、前記異質領域が形成された前記第1のガラス基板にエッチングを施すことによって切断予定ラインで前記第1のガラス基板を切断する、切断工程とを有する、ガラス基板の切断方法であって、
前記ガラスの切断方法は、
第1のガラス基板と、前記第1のガラス基板と同一の第2のガラス基板を用意する工程と、
切断予定ラインに沿って第2のガラス基板の内部にレーザ照射で仮の異質領域を形成する工程と、
前記仮の異質領域を形成した第2のガラス基板をエッチング処理により切断する工程と、
前記仮の異質領域を形成する工程で形成した仮の異質領域の形状と前記エッチング処理により切断する工程で形成した切断面の形状との変化量を測定する工程と、
前記変化量を測定する工程にて得られた変化量から所望の切断面の形状を得るための異質領域の形状を決定する工程と、
前記異質領域の形状を決定する工程にて求めた形状の異質領域を第1のガラス基板の切断予定ラインに沿って第1のガラス基板の内部に形成する工程と、
内部に異質領域を形成した第1のガラス基板をエッチング処理により切断する切断工程とを備えることを特徴とする、
ガラス基板の切断方法。
【0009】
(2)切断後のガラス基板において、前記切断予定ラインで切断した断面の形状がR面、C面、テーパー状、真直状及び凹凸形状のうちいずれか1つ又はこれらの組み合わせの形状を有するように形成されることを特徴とする、(1)に記載のガラス基板の切断方法。
【0011】
(3)前記異質領域は、ガラス基板の板厚方向に対向する2つの透光面のうち、少なくとも1つの面に達していることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれか1つに記載のガラス基板の切断方法。
【0012】
(4)前記異質領域は、板厚方向に対向する2つの透光面のどちらにも達していないことを特徴とする、(1)〜(2)のいずれか1つに記載のガラス基板の切断方法。
【0013】
(5)前記異質領域を、切断ラインごと、もしくは切断ラインの中で変化させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかのガラス基板の切断方法ガラス基板の切断方法。
【0014】
(6)前記レーザ光は、ガラス基板の板厚方向に複数の集光点を備えることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかのガラス基板の切断方法。
【0015】
(7)前記エッチング工程において、ガラス板厚方向に対向する2つの透光面のうち少なくとも1つの透光面をマスキングすることで透光面のうち少なくとも1つの面および切断面形状を所望の形状に形成することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかのガラス基板の切断方法。
【0016】
(8)前記エッチング工程は、ウェットエッチングであることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかのガラス基板の切断方法。
【0017】
(9)前記エッチング工程は、ドライエッチングであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかのガラス基板の切断方法。
【0018】
(10)前記ガラス基板は、軟化点が300〜1000℃であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかのガラス基板の切断方法。

【発明の効果】
【0019】
本発明は、寸法精度が高く、ガラス基板の切断ラインと直交する方向の切断面の形状を、所望の形状に形成することができるガラス基板の切断方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明における、ガラス基板の切断プロセスのフロー図である。
図2】(A)本発明のレーザ照射工程においてガラス内部に異質領域を形成する工程の図である。(B)本発明のレーザ照射工程においてガラス内部に連続的に異質領域を形成する工程のA−A´断面図の一例である。(C)本発明のレーザ照射工程においてガラス内部に断続的に異質領域を形成する工程のA−A´断面図の一例である。
図3】本発明において形成可能な切断予定ラインと直交する方向の断面の形状の一例である。
図4】本発明の異質領域の形状を決定する工程の一例である
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、[図1]に示した板厚方向に対向する2つの透光面を有するガラス基板の切断方法に関し、ガラス基板の切断予定ラインに対し、
板厚方向内部に向かってレーザを照射し、切断予定ラインに異質領域を形成するレーザ照射工程と、ガラス基板に対しエッチングを行い、切断予定ラインでガラスを切断するエッチング工程とを備える。
【0022】
まず、レーザ照射工程においては、板厚方向に対向する2つの透光面を有するガラス基板1の板厚方向内部に集光点を合わせ、レーザ光2を照射することで、ガラス基板の内部に異質領域3を形成する。そして、[図2](A)のように、切断予定ライン10に沿ってレーザ光照射装置9を移動し、レーザ光の照射位置を変えることで、[図2](B)のように連続的、又は[図2](C)のように断続的に異質領域3を形成する。
【0023】
所定のエネルギー強度を有するレーザ光2を、ガラス基板1の内部に集光するように照射すると、レーザ光2が集光された部分にはレーザ光2により非常に短い時間に高いエネルギーが付与される。そのとき、照射時間が短いほど、レーザ光2が集光された部分は、熱応力に起因するクラックがほとんど発生しない状態で脆弱化する。この現象については、詳細には確認できていないが、レーザ光2が集光された部分は、レーザ光2によるエネルギーによって、ガラス構造が分子レベルで部分的に切断されていると考えられる。
【0024】
なお、本願発明における異質領域3とは、レーザ光2の照射によりガラス基板1の内部に何らかの性質変化が起きた領域をいう。そのため、レーザ光の集光形状4と異質領域3の形状とは略同一であると考えられる。また、何らかの性質変化が起きた領域とは、レーザ光2の照射前後において、前述の脆弱化が生じた領域や光学的(例えば、屈折率など)に変化が生じた領域をいうものである。
【0025】
前述の通り、異質領域3の形状はレーザ光の集光形状4に依存するため、所望の形状の異質領域3は、レーザ光の集光形状4を制御することで形成される。レーザ光の集光形状4の制御は、レーザ光をホログラムレンズなど回折格子を透過させることで制御する方法、レーザ光2を位相変調型液晶空間光変調器(浜松ホトニクス社製、LCOS−SLMなど)を透過または反射させることで制御する方法等を使用する。レーザ光の集光形状4を制御することで、切断後のガラス基板1において、前記切断予定ライン10と直交する方向の断面の形状が[図3]のような、R面、C面、テーパー状、真直状及び凹凸形状のうちいずれか又はこれらの組み合わせの形状を有するように形成することができる。ここで、R面は稜線が緩やかなカーブ状になった面、C面は稜線が斜めになった面、テーパー状は幅や径や厚みが先細りとなっている面、真直状は直線形状を有する面、凹凸形状は高低差や格差がある形状を指す。これらの形状は切断面の一部分に形成されていてもよい。これらの形状を形成することにより、衝突時の欠けを防止、他部材と干渉しない配置の自由度の向上、及び3次元造形の製作等の実現が可能となる。なお、本明細書において特に断りのない限り、切断予定ライン10で切断した場合の断面の形状のことを、切断面形状という。また、レーザ光の集光形状4とは、ガラスの屈折率などを考慮して装置側で調整された設定の集光形状をいうものである。
【0026】
上記の切断面を得るために、レーザ光照射によって形成する異質領域3の形状は、求める切断面の形状によって[図1]及び[図4]のプロセスに従って決定する。まず、切断するガラス基板1(以下、第1のガラス基板ともいう)と同一のガラス基板1´(以下、第2のガラス基板ともいう)を用意し、要求する切断面形状に近い形状の仮の異質領域をレーザ照射により形成する。これにエッチングを行い、形成した切断面形状に対し、要求形状との変化量を測定する。次に、最初に形成した異質領域3に対し、前記変化量を考慮して、異質領域3の形状を修正する。修正した異質領域3の形状をレーザ照射によりガラス基板に形成し、エッチングを行い、ガラス基板を切断する。このプロセスで所望の切断面形状が得られない場合は、異質領域3の形状を決定するまでの工程を繰り返し行う。なお、本発明でいう第2のガラス基板1´は、第1のガラス基板1と組成、大きさ、厚み、形状等が全く同一のガラスのことを指す。また、本発明でいうガラス基板は、第1のガラス基板1及び第2のガラス基板1´の両方に該当する。
【0027】
前記プロセスにより形成した異質領域3は、レーザ光入射側の透光面6とレーザ光入射側の透光面と対向する透光面7に到達していてもよいし、どちらか一方のみに到達していてもよいし、どちらにも到達していなくてもよい。透光面に到達しない場合や決定された異質領域3の形状によって、レーザ光入射側の透光面から異質領域までの距離5と、レーザ光入射側の透光面と対向する透光面から異質領域までの距離8は適宜決定することができる。異質領域の形状や位置は、所望の切断面形状に合わせて、変更する必要がある。異質領域が形成されていない部分は、後工程のエッチングにより除去することができる。また、透光面において、エッチングによって除去せずに残す部分については、マスキングを行うことが出来る。
【0028】
レーザ光2は、複数の焦点に分割されたマルチ焦点レーザを用いてもよい。これにより、集光形状4を制御した上述の板厚方向に長い集光形状4のレーザ光と同様に、レーザ光を切断予定ライン10に沿って1回又は複数回走査することで、所望の異質領域3を形成することが可能である。なお、複数の焦点に分割されたマルチ焦点レーザとは、レーザ光の集光点がガラス基板の板厚方向に複数存在するように1本のレーザ光を分割したものである。
【0029】
レーザ光2を複数の焦光点に分割するには、レーザ光をプリズム等の光学要素を用いる等の公知の方法によって行うことが可能である。
【0030】
レーザ光2は、時間幅が400ピコ秒未満のパルスレーザを用いる。理由としては、レーザ光2の時間幅が400ピコ秒を超えると、レーザ光2によって形成されるガラス基板1の内部に熱応力に起因する複数のクラックが生じるためである。また、レーザ光2としては、ピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いてもよい。
【0031】
前記集光形状4は、レーザ照射中でも変更することは可能である。切断面形状は切断ラインごと、切断ライン内でも適宜変更させることもできる。以上の制御をおこなう場合は、LCOS−SLMのようなコンピュータ制御で集光形状4を変化させることのできる方式を用いる必要がある。また、照射するレーザ出力を適宜変更することでも、形状変更が可能である。
【0032】
以上の異質領域を形成する工程によって異質領域3を形成したガラス基板について、次にエッチングを行ってガラス基板を切断する。異質領域3はレーザ照射によってガラス構造の結合が切れていることにより、異質領域3が形成されていない部分と比較して腐食が進み易い。そのため、エッチングが進行しやすくなっており、異質領域3と類似する切断面形状を得ることができる。また、短時間のエッチングでガラス基板の切断が可能である。
【0033】
エッチング工程では、ガラス基板にマスキングを行っても良い。マスキングを行うことで、[図3]の一例のように、レーザ光2で形成した切断面形状にさらに形状を形成することや、ガラス基板1の透光面にも所望の形状を形成することで三次元的な造形を行うことも可能である。
【0034】
本発明のエッチング工程は、ウェットエッチングとドライエッチングのどちらでも行うことが出来る。ウェットエッチングを行う場合、エッチング液は材料により最適なものを用いることが好ましいが、例えばフッ酸、硫酸、塩酸、水酸化カリウムなどを適宜含む液体を用いることが好ましい。ドライエッチングを行う場合、四フッ化炭素などフッ化物を含む気体を用い、反応室内において電磁波などでプラズマ化して行う(反応性イオンエッチング)ことが好ましい。ウェットエッチングの場合、ドライエッチングに比べて一度に大量の基板の処理が可能であるという利点がある。ドライエッチングの場合、ウェットエッチングに比べて微細な加工がしやすく、また、ウェットエッチングでは必要であった後工程の洗浄が不要であるという利点がある。
【0035】
また、ガラス基板の軟化点が1000℃を超えると、レーザ光2にてガラス基板1に異質領域3が形成されにくいため、ガラス基板の切断が難しくなるおそれがある。一方、ガラス基板の軟化点が300℃未満であると、レーザ光2にてガラス基板に異質領域3を形成する際、異質領域3のクラックが過大となり、切断後のガラス基板の寸法精度や曲げ強度が著しく低下する。
【0036】
ガラス基板としては、これらの物性が得られるガラスであれば、どのような組成のガラスを用いてもよい。例えば、フツリン酸ガラス、リン酸ガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、石英、サファイアガラス等である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、寸法精度が高く、ガラス基板の切断ラインと直交する方向の断面の形状を、所望の形状に形成することができるガラスの切断方法を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:第1のガラス基板、1´:第2のガラス基板、2:レーザ光、3:異質領域、4:レーザ光の集光形状、5:レーザ光入射側の透光面から異質領域までの距離、6:レーザ光入射側の透光面、7:レーザ光入射側の透光面と対向する透光面、8:レーザ光入射側の透光面と対向する透光面から異質領域までの距離、9:レーザ光照射装置、10:切断予定ライン、11:レーザ光の移動方向
図1
図2
図3
図4