特許第6383983号(P6383983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383983金属酸化物膜形成用組成物及び金属酸化物膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383983
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】金属酸化物膜形成用組成物及び金属酸化物膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/04 20060101AFI20180827BHJP
   C09D 185/00 20060101ALI20180827BHJP
   C09D 183/02 20060101ALI20180827BHJP
   C01B 33/12 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C09D183/04
   C09D185/00
   C09D183/02
   C01B33/12 A
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-522967(P2015-522967)
(86)(22)【出願日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】JP2014066236
(87)【国際公開番号】WO2014203951
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-128468(P2013-128468)
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】大田 政太郎
(72)【発明者】
【氏名】元山 賢一
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−128991(JP,A)
【文献】 特開昭61−051066(JP,A)
【文献】 特開2013−053305(JP,A)
【文献】 特開2009−108154(JP,A)
【文献】 特開2008−274119(JP,A)
【文献】 特開平07−246364(JP,A)
【文献】 特開2002−317151(JP,A)
【文献】 特開2010−070719(JP,A)
【文献】 特開平03−126780(JP,A)
【文献】 特開平02−258646(JP,A)
【文献】 特開平03−190984(JP,A)
【文献】 特開昭61−043666(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/115333(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子と、
アルミニウム化合物と、
を含む金属酸化物膜形成用組成物であって、
アルミニウム化合物は、アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とポリシロキサンとの反応物であるアルミニウム含有ポリシロキサンを含む
金属酸化物膜形成用組成物
【請求項2】
アルミニウム含有ポリシロキサンは、
塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、スルファミン酸塩、スルホン酸塩、アセト酢酸塩及びこれらの塩基性塩からなる群より選択される少なくとも1種であるアルミニウム塩並びにアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、
下記式(I)で示されるアルコキシシランの縮合重合物であるポリシロキサンとの反応物である請求項1に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
Si(OR(4−k) (I)
(式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよく且つヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。kは0〜3の整数を表す)
【請求項3】
アルミニウム含有ポリシロキサンは、酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの酸化ケイ素(SiO)に換算したポリシロキサンに対する含有比率(アルミニウム/ポリシロキサン)がモル基準で、50/50〜80/20である請求項1又は請求項2に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項4】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、ポリシロキサンとシリカ粒子との反応物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項5】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、下記式(I)で示されるアルコキシシランの縮合重合物であるポリシロキサンとシリカ粒子との反応物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
Si(OR(4−k) (I)
(式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよく且つヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。kは0〜3の整数を表す)
【請求項6】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子の平均粒径が、1nm〜200nmである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項7】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、シリカ粒子のポリシロキサンに対する含有比率(シリカ粒子/ポリシロキサン)がモル基準で、50/50〜80/20である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項8】
酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの含有率が、酸化ケイ素(SiO)に換算したポリシロキサン及びシリカ粒子の総量に対して、1モル%〜20モル%である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項9】
沸点が170℃以上の有機溶剤を更に含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物の硬化物である金属酸化物膜。
【請求項11】
基材と、基材上に配置される請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物の硬化物とを含む金属酸化物膜付基材。
【請求項12】
基材上に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の金属酸化物膜形成用組成物を付与することと、基材上に付与された金属酸化物膜形成用組成物に熱を付与することとを含む金属酸化物膜付基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物膜形成用組成物及び金属酸化物膜に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、携帯電話、テレビ等のような情報端末の表示装置として、液晶ディスプレイが用いられている。一般に、液晶ディスプレイは透明電極が形成された1対の基板間に液晶が封入された構造を有している。この基板としてはソーダライムガラス、無アルカリガラス等で形成されたガラス基板が用いられている。
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管表示装置(CRT)、エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)、タッチパネル等に代表される表示装置などに用いられる透明電極付きガラス基板などの透明性基材は、その片面でおよそ4%の反射光を発生しており、視認性及び透過率低下の要因となっている。そこで、基材からの反射光量を低減し、視認性及び透過率を向上させる目的で、基材表面に基材よりも低い屈折率の被膜、いわゆる反射防止膜を形成し、反射率を低下させる方法が用いられている。
低屈折率の被膜を得る為に、5nm〜30nmの粒子径を有するシリカゾルと、アルコキシシランの加水分解物、金属アルコキシドの加水分解物及び金属塩からなる群より選ばれた2種以上の成分を一定割合で含有する塗布液が提案されている(例えば、特開平8−122501号公報参照)。
一方、低屈折率被膜と高屈折率被膜とを基材上に、交互に積層し多層化することによっても、高い反射防止効果を得られることが知られている(例えば、特開2012−252305号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−122501号公報
【特許文献2】特開2012−252305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平8−122501号公報に記載の塗布液を用いることで、ある程度低い屈折率の反射防止膜が得られるものの、より低い屈折率を有する反射防止膜が求められている。また特開2012−252305号公報に記載の手法では、低屈折率被膜と高屈折率被膜とを別々に形成する必要があり、プロセス効率上の問題があった。
本発明の目的は、低屈折率の反射防止膜を簡便に形成可能な金属酸化物膜形成用組成物及びそれを用いて形成される金属酸化物膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子と、少なくとも1種のアルミニウム化合物とを含む金属酸化物膜形成用組成物を用いて金属酸化物膜を形成することにより、上記の課題を両立させることが出来ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下を要旨とする。
(1) 表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子と、アルミニウム化合物と、を含む金属酸化物膜形成用組成物である。
(2) アルミニウム化合物は、アルミニウム含有ポリシロキサンを含む前記(1)に記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(3) アルミニウム含有ポリシロキサンは、アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とポリシロキサンとの反応物である前記(2)に記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(4) アルミニウム含有ポリシロキサンは、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、スルファミン酸塩、スルホン酸塩、アセト酢酸塩及びこれらの塩基性塩からなる群より選択される少なくとも1種であるアルミニウム塩並びにアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、下記式(I)で示されるアルコキシシランの縮合重合物であるポリシロキサンとの反応物である前記(2)又は(3)に記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
Si(OR(4−k) (I)
(式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよく且つヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。kは0〜3の整数を表す)
(5) アルミニウム含有ポリシロキサンは、酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの酸化ケイ素(SiO)に換算したポリシロキサンに対する含有比率(アルミニウム/ポリシロキサン)がモル基準で、50/50〜80/20である前記(2)〜(4)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(6) 表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、ポリシロキサンとシリカ粒子との反応物である前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(7) 表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、下記式(I)で示されるアルコキシシランの縮合重合物であるポリシロキサンとシリカ粒子との反応物である前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
Si(OR(4−k) (I)
(式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよく且つヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。kは0〜3の整数を表す)
(8) 表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子の平均粒径が、1nm〜200nmである前記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(9) 表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、シリカ粒子のポリシロキサンに対する含有比率(シリカ粒子/ポリシロキサン)がモル基準で、50/50〜80/20である前記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(10) 酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの含有率が、酸化ケイ素(SiO)に換算したポリシロキサン及びシリカ粒子の総量に対して、1モル%〜20モル%である前記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(11) 沸点が170℃以上の有機溶剤を更に含む前記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物である。
(12) 前記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物の硬化物である金属酸化物膜である。
(13) 基材と、基材上に配置される前記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物の硬化物とを含む金属酸化物膜付基材である。
(14) 基材上に、前記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の金属酸化物膜形成用組成物を付与することと、基材上に付与された金属酸化物膜形成用組成物に熱を付与することとを含む金属酸化物膜付基材の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低屈折率の反射防止膜を簡便に形成可能な金属酸化物膜形成用組成物及びそれを用いて形成される金属酸化物膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0008】
<金属酸化物膜形成用組成物>
本発明の金属酸化物膜形成用組成物は、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子(以下「A成分」ともいう)と、アルミニウム化合物(以下「B成分」ともいう)と、を含むことを特徴とする。表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子とアルミニウム化合物(好ましくは、アルミニウム含有ポリシロキサン)とを含むことで、これを基材上に付与して硬化物を形成する場合に、屈折率が低く、優れた硬度を有する金属酸化物膜である反射防止膜を簡便な手法で形成することができる。更に本発明の金属酸化物膜形成用組成物を用いてガラス基材上に金属酸化物膜を形成すると経時によるガラス基材の白化現象を効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明の金属酸化物膜形成用組成物によって形成される金属酸化物膜が、低屈折率を示す理由の詳細は明確ではないが例えば以下のように考えられる。
すなわち、金属酸化物膜形成用組成物から形成される金属酸化物膜は、従来の金属酸化物膜形成用組成物から形成される金属酸化物膜に比べて、金属酸化物膜中に存在する微細な空隙が多く、この空隙により、低屈折率を達成することができると考えられる。
一般的に、膜中に空隙を有する金属酸化物膜を形成する方法として、膜形成用の組成物に界面活性剤を含有させておき、製膜後に加熱して界面活性剤を膜中から除去することによって空隙を形成する手法が知られている。この場合、高温での加熱が必要となるため、プロセス効率上の問題があり、得られる膜の硬度を充分に高くすることが難しい場合がある。
しかし、本発明の金属酸化物膜形成用組成物から形成される金属酸化物膜は、ポリシロキサンを表面に有するシリカ粒子とアルミニウム化合物とから形成されることで、優れた膜硬度を保ちつつも、膜中に微細な空隙が形成されていると考えられる。
また、本発明の金属酸化物膜形成用組成物をガラス基材に付与して金属酸化物膜を形成すると、詳細なメカニズムは不明ではあるが、アルミニウム化合物の作用により、ガラス基材の高温高湿の環境下における白化が抑制される上に、より低い屈折率が達成できると考えることができる。
【0010】
[A成分]
金属酸化物膜形成用組成物は、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子(以下、「特定シリカ粒子」ともいう)の少なくとも1種を含む。一般にシリカ粒子を含むことで、形成される金属酸化物膜の表面形状及び屈折率を調整すること、並びにその他の所望の機能を付与することが可能となる。本発明においては、シリカ粒子が表面にポリシロキサンを有していることで、より屈折率が低く、硬度に優れる金属酸化物膜を形成できると考えられる。
【0011】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、例えば、ポリシロキサンとシリカ粒子とを接触させることで得ることができる。すなわち、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子はポリシロキサンとシリカ粒子との反応物であることが好ましく、下記式(I)で示されるアルコキシシランの縮合重合物であるポリシロキサンとシリカ粒子との反応物であることがより好ましい。
【0012】
Si(OR(4−k) (I)
式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよく且つヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。kは0〜3の整数を表す。
【0013】
で表されるアルキル基は炭素数が1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。Rで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等を挙げることができる。
式(I)で示されるアルコキシシランにおいて、Rが2以上存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0014】
で表される炭化水素基としては、アルキル基及びアリール基を挙げることができる。
で表される炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;アミノ基;ヒドロキシ基;スルファニル基(メルカプト基);シアノ基;アミド基;ウレイド基;アクリロイルオキシ基;メタクリロイルオキシ基;グリシジル基;などを挙げることができる。置換基は可能であれば更に置換基を有していてもよい。Rで表される炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。ヘテロ原子としては、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等を挙げることができる。
【0015】
で表される炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、ビニル基、クロロプロピル基、ヒドロキシプロピル基、グリシジルオキシプロピル基、メタクリルオキシプロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等を挙げることができる。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができ、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
式(I)で示されるアルコキシシランにおいて、Rが2以上存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0016】
kは0〜3の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0017】
式(I)で示され、kが0であるアルコキシシランとして具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。
式(I)で示され、kが1であるアルコキシシランとして具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(I)で示され、kが2であるアルコキシシランとして具体的には、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
これらのアルコキシシランの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の炭素数が1〜3のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランを好ましく用いることができる。
ポリシロキサンを構成するアルコキシシランは1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0019】
ポリシロキサンの分子量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。ポリシロキサンの分子量は、保存安定性の観点から、数平均分子量が1000〜20000であることが好ましく、1000〜8000であることがより好ましい。ポリシロキサンの数平均分子量はGPCを用いて常法により測定することができる。
ポリシロキサンは後述する製造方法で製造したものであっても、市販のものであってもよい。
【0020】
(ポリシロキサンの調製方法)
ポリシロキサンを調製する方法は特に限定されず、通常用いられる調製方法から適宜選択することができる。例えば、上記式(I)で示されるアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種のアルコキシシランを溶媒中で縮合重合することで調製することができる。通常、ポリシロキサンは、上記アルコキシシランを溶媒中で縮合重合して、溶媒に溶解した溶液として得られることが好ましい。
【0021】
アルコキシシランを縮合重合する方法として具体的には例えば、アルコキシシランをアルコール又はグリコールなどの溶媒中で加水分解して、縮合重合する方法が挙げられる。加水分解反応は、部分加水分解及び完全加水分解のいずれであってもよい。完全加水分解の場合は、理論上、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5倍モルの水を加えればよいが、通常は0.5倍モルより過剰量の水を加えることが好ましい。
上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5〜2.5倍モルであることが好ましい。
【0022】
また、加水分解反応及び縮合重合反応を促進する等の目的で、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸等の有機酸;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン等の塩基(アルカリ);塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の金属塩;などの触媒を用いてもよい。また、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、更に、加水分解反応及び縮合重合反応を促進させることもできる。その際、加熱温度及び加熱時間は所望により適宜選択できる。例えば、50℃で24時間加熱及び撹拌する方法、還流下で1〜3時間加熱及び撹拌する方法などが挙げられる。
【0023】
また、別法として、例えば、アルコキシシラン、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して重縮合する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめアルコールに蓚酸を加えて蓚酸のアルコール溶液とした後、該溶液を加熱した状態で、アルコキシシランを混合する方法である。その際、用いる蓚酸の量は、アルコキシシランが有する全アルコキシ基の1モルに対して0.2〜2モルとすることが好ましい。この方法における加熱は、液温50〜180℃で行うことができる。好ましくは、液の蒸発、揮散などが起こらないように、還流下で数十分〜十数時間加熱する方法である。
【0024】
ポリシロキサンを調製する際に、アルコキシシランを複数種用いる場合は、複数種のアルコキシシランをあらかじめ混合した混合物として用いてもよいし、複数種のアルコキシシランを順次混合して用いてもよい。
【0025】
アルコキシシランを縮合重合する際に用いられる溶媒(以下、重合溶媒ともいう)は、アルコキシシランを溶解する溶媒であれば特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない場合でも、アルコキシシランの縮合重合反応の進行とともに溶解する溶媒であればよい。一般的には、アルコキシシランの縮合重合反応によりアルコールが生成するため、アルコール溶剤、グリコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、又はアルコール溶剤と相溶性の良好な有機溶剤が用いられる。
【0026】
上記重合溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール,ジアセトンアルコール等のアルコール溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾールなどの有機溶剤が挙げられる。
重合溶媒は1種単独でも、複数種を混合して用いてもよい。
【0027】
(シリカ粒子)
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子の調製に用いるシリカ粒子は特に制限されず、通常用いられるシリカ粒子から適宜選択することができる。中でもシリカ粒子は、形成される金属酸化物膜の表面形状及び屈折率を調整する観点から、その平均粒径が1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜50nmであることが更に好ましく、9nm〜45nmであることが特に好ましい。シリカ粒子の平均粒径が200nm以下であると形成される金属酸化物膜に充分な透明性を付与することができる。またシリカ粒子の平均粒径が1nm以上であるとシリカ粒子の凝集が抑制される傾向がある。
シリカ粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて粒度分布を測定し、小粒径側からの体積累積50%に相当する粒子径として測定される体積平均粒径である。
【0028】
シリカ粒子は、コロイド溶液(シリカゾル)の状態で用いることが好ましい。シリカ粒子のコロイド溶液は、通常用いられる方法でシリカ粒子を分散媒に分散したものであっても、市販のシリカ粒子コロイド溶液(いわゆるコロイダルシリカ等)であってもよい。コロイド溶液中のシリカ粒子は、鎖状のものであっても球状のものであってもよく、本発明の効果をより効果的に得る観点から、鎖状のものであることが好ましい。
【0029】
シリカ粒子としてコロイド溶液を用いる場合、金属酸化物形成用組成物の安定性の観点から、pH又はpKaが1〜10に調整されていることが好ましく、2〜7であることより好ましい。
【0030】
シリカ粒子としてコロイド溶液を用いる場合、シリカ粒子の分散媒としては、水及び有機溶剤を挙げることができる。
コロイド溶液の分散媒に用いる有機溶剤としては、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル溶剤;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル溶剤を挙げることができる。これらの中で、アルコール溶剤及びケトン溶剤が好ましい。これら有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して分散媒として使用することができる
【0031】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子は、ポリシロキサンとシリカ粒子とを接触させることで調製することができる。ポリシロキサンとシリカ粒子とを接触させると、例えば、ポリシロキサン中のシラノール基又はアルコキシシリル基が、シリカ粒子表面に存在するヒドロキシ基と縮合反応して表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子が形成されると考えられる。
具体的には例えば、シリカ粒子のコロイド溶液と、予め準備したポリシロキサン溶液とを混合することで、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子を調製することができる。コロイド溶液とポリシロキサン溶液の混合は常温で行ってもよく、加熱しながら行ってもよい。反応効率の観点から、混合は加熱しながら行うことが好ましい。混合を加熱しながら行う場合、その加熱温度は溶媒等に応じて適宜選択することができる。加熱温度は例えば、60℃以上とすることができ、溶媒の還流温度であることが好ましい。
【0032】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子を調製する際のポリシロキサンとシリカ粒子との混合割合は、目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、シリカ粒子のポリシロキサンに対するモル比(シリカ粒子/ポリシロキサン)が、50/50〜80/20であることが好ましく、50/50〜70/30であることがより好ましく、60/40〜70/30であることが更に好ましい。ここで、ポリシロキサンのモル数は、原料として仕込んだアルコキシシランの総モル数として算出し、シリカ粒子のモル数は、シリカ粒子の組成式をSiOとして算出する。
【0033】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子の体積平均粒径は目的等に応じて適宜選択できる。中でも体積平均粒径は、形成される金属酸化物膜の屈折率を調整する観点から、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、9nm〜60nmであることが更に好ましく、9nm〜45nmであることが特に好ましい。
なお、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定される。
【0034】
[B成分]
金属酸化物膜形成用組成物は、アルミニウム化合物の少なくとも1種を含む。金属酸化物膜形成用組成物が、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子に加えて、アルミニウム化合物を含むことで、低屈折率でありながら、硬度に優れ、更にガラス基材の白化を抑制可能な金属酸化物膜を簡便な手法で形成することができる。
【0035】
B成分におけるアルミニウム化合物としては、アルミニウム塩、アルミニウム含有ポリシロキサン等を挙げることができ、アルミニウム含有ポリシロキサンを含むことが好ましい。
アルミニウム塩は、ポリシロキサンと反応可能であれば特に制限されず、通常用いられるアルミニウム塩から適宜選択して用いることができる。アルミニウム塩として具体的には、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、スルファミン酸塩、スルホン酸塩、アセト酢酸塩及びこれらの塩基性塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0036】
アルミニウム含有ポリシロキサンは、例えば、アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種の化合物とポリシロキサンとを接触させることで得ることができる。すなわち、アルミニウム含有ポリシロキサンは、アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種の化合物とポリシロキサンとの反応物であることが好ましく、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、スルファミン酸塩、スルホン酸塩、アセト酢酸塩及びこれらの塩基性塩からなる群より選択される少なくとも1種であるアルミニウム塩並びにアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、下記式(I)で示されるアルコキシシランの縮合重合物であるポリシロキサンとの反応物であることがより好ましい。
【0037】
Si(OR(4−k) (I)
式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよく且つヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。kは0〜3の整数を表す。
式(I)で示されるアルコキシシランの好ましい態様及びその縮合重合物であるポリシロキサンの好ましい態様は、A成分におけるポリシロキサンと同様である。
【0038】
ポリシロキサンとともにアルミニウム含有ポリシロキサンを形成する化合物は、アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。アルミニウム塩については既述の通りである。
またアルミニウムアルコキシドは、ポリシロキサンと反応可能であれば特に制限されず、通常用いられるアルミニウムアルコキシドから適宜選択して用いることができる。アルミニウムアルコキシドにおけるアルコキシ基は、炭素数が1〜4であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。アルミニウムアルコキシドとして具体的には、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。中でも、アルミニウムトリイソプロポキシドが好ましい。
アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドは、1種単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
【0039】
アルミニウム含有ポリシロキサンを調製する際のポリシロキサンとアルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドからなる群より選択される化合物(以下、「特定アルミニウム化合物」ともいう)との混合割合は、目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリシロキサンに対する特定アルミニウム化合物のモル比(特定アルミニウム化合物/ポリシロキサン)が、50/50〜80/20であることが好ましく、50/50〜70/30であることがより好ましく、60/40〜70/30であることが更に好ましい。ここで、ポリシロキサンのモル数は、原料として仕込んだアルコキシシランの総モル数として算出される。また、特定アルミニウム化合物のモル数は、原料として仕込んだ特定アルミニウム化合物の総モル数を酸化アルミニウム(Al)に相当するモル数に換算して算出される。すなわち、仕込んだ特定アルミニウム化合物に含まれるアルミニウム原子の総モル数の1/2を特定アルミニウム化合物のモル数とする。
【0040】
アルミニウム含有ポリシロキサンの調製方法として具体的には、予め調製したポリシロキサンと特定アルミニウム化合物とを接触させることで調製する方法、特定アルミニウム化合物の存在下にポリシロキサンを構成するアルコキシシランを縮合重合する方法等を挙げることができ、特定アルミニウム化合物の存在下にポリシロキサンを構成するアルコキシシランを縮合重合する方法であることが好ましい。
特定アルミニウム化合物の存在下にポリシロキサンを構成するアルコキシシランを縮合重合する方法としては、アルコキシシランと特定アルミニウム化合物との混合物を加熱処理する方法であることが好ましい。アルコキシシランとしては既述のポリシロキサンの調製方法に用いられるアルコキシシランを好適に用いることができる。アルコキシシランと特定アルミニウム化合物との混合物は、必要に応じて有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては既述のポリシロキサンの調製方法における重合溶媒から適宜選択することができる。また加熱処理の条件としては、既述のポリシロキサンの調製方法における加熱処理の条件を好適に適用することができる。
【0041】
金属酸化物膜形成用組成物における表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子及びアルミニウム化合物の含有比率は目的等に応じて適宜選択できる。含有比率は、形成される金属酸化物の屈折率、硬度及びガラス基材に対する白化抑制の観点から、酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの含有率が、酸化ケイ素(SiO)に換算したポリシロキサン及びシリカ粒子の総量に対して、1モル%〜20モル%となるように選択することが好ましく、1モル%〜10モル%となるように選択することがより好ましく、3モル%〜10モル%となるように選択することが更に好ましい。なお、ここでアルミニウム化合物がポリシロキサンを含む場合、アルミニウム化合物に含まれるポリシロキサンの量は考慮しない。
酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの含有率が1モル%以上であると、より低い屈折率を達成できる傾向があり、また、20モル%以下であると金属酸化物膜形成用組成物の保存安定性が向上する傾向がある。
酸化アルミニウム(Al)に換算したアルミニウムの含有率は、既述のように仕込み原料から算出できるが、通常用いられる測定方法によりアルミニウム原子とケイ素原子との含有比を算出して、その含有比から求めることもできる。
【0042】
[その他の成分]
金属酸化物膜形成用組成物は、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子、アルミニウム化合物に加え、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分としては、有機溶剤、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子以外の無機粒子(以下、単に「無機粒子」ともいう)等を挙げることができる。
【0043】
(有機溶剤)
金属酸化物膜形成用組成物は、有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。有機溶剤は、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子及びアルミニウム含有ポリシロキサンの調製に用いられた有機溶剤であってもよく、また別途添加される有機溶剤であってもよい。
有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、へキシレングリコール等のグリコール溶剤;ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル誘導体;ジエチレングリコールモノアセテート等のグリコールエステル誘導体;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
これらの中でも、より低屈折率を得る観点から、1−ヘプタノール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、へキシレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1,4−ブタンジオール等の沸点170℃以上の有機溶剤を含むことが好ましい。
これらの有機溶剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
金属酸化物膜形成用組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有量は、金属酸化物膜形成用組成物の総固形分濃度が0.5質量%〜20質量%の範囲となる量であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲となる量であることがより好ましい。金属酸化物膜形成用組成物の総固形分濃度が0.5質量%以上であると、形成される金属酸化物膜の膜厚を所望の範囲に制御することが容易になり、金属酸化物膜の製造工程が簡略化できる。また金属酸化物膜形成用組成物の総固形分濃度が20質量%以下であると、金属酸化物膜形成用組成物の貯蔵安定性が向上し、更に形成される金属酸化物膜の膜厚制御が容易になる傾向がある。
なお、金属酸化物膜形成用組成物の総固形分濃度は、仕込み原料であるポリシロキサン及びシリカ粒子を酸化ケイ素(SiO)に、アルミニウム化合物を酸化アルミニウム(Al)にそれぞれ換算して算出できる。また、金属酸化物膜形成用組成物の不揮発性成分の総質量から算出することができる。
【0045】
(無機粒子)
金属酸化物膜形成用組成物は、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子以外の無機粒子を更に含んでいてもよい。無機粒子としては例えば、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化モリブデン、酸化ランタン等の金属酸化物粒子が挙げられる。
無機粒子の平均粒径は、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜50nmであることがより好ましい。
金属酸化物膜形成用組成物が無機粒子を含む場合、その含有率は総固形分中に90質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。含有率の下限値は特に制限されないが、50質量%以上であることが好ましい。
【0046】
<金属酸化物膜形成用組成物の製造方法>
アルミニウム化合物としてアルミニウム含有ポリシロキサンを含む金属酸化物膜形成用組成物の製造方法は、ポリシロキサンとシリカ粒子とを接触させて表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子を得ることと、アルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種の化合物とポリシロキサンとを接触させてアルミニウム含有ポリシロキサンを得ることと、表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子とアルミニウム含有ポリシロキサンとを混合することと、を含むことが好ましい。表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子及びアルミニウム含有ポリシロキサンをそれぞれ調製した後、これらを混合することで、所望の構成を有する金属酸化物膜形成用組成物を効率よく製造することができる。
【0047】
ポリシロキサンとシリカ粒子とを接触させて表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子を得ることの詳細及びアルミニウム塩及びアルミニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種の化合物とポリシロキサンとを接触させてアルミニウム含有ポリシロキサンを得ることの詳細については既述の通りである。
【0048】
表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子とアルミニウム含有ポリシロキサンとを混合する方法は特に制限されず、通常用いられる混合方法から適宜選択することができる。また混合する際には、有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤は既述の有機溶剤から適宜選択して用いることができる。また混合温度は特に制限されず、例えば20〜100℃とすることができる。
【0049】
本発明の金属酸化物膜形成用組成物は、屈折率が低く、硬度に優れる金属酸化物膜を形成可能であることから、画像表示装置等に用いられる反射防止膜、保護膜等の形成に好適的に適用することができる。特にガラス基材(好ましくはソーダライムガラス)上に本発明の金属酸化物膜形成用組成物を用いて金属酸化物膜を形成することで、低屈折率且つ高硬度で、高温高湿環境下における白化を効果的に抑制可能な反射防止膜を形成することができる。
【0050】
<金属酸化物膜>
本発明の金属酸化物膜は、本発明の金属酸化物膜形成用組成物の硬化物である。金属酸化物膜は例えば、金属酸化物膜形成用組成物に熱を付与して硬化させることで形成することができる。したがって本発明の態様は、金属酸化物膜の製造における金属酸化物膜形成用組成物の使用を包含する。
熱を付与する方法、条件等の詳細は後述する。
【0051】
<金属酸化物膜付基材>
本発明の金属酸化物膜付基材は、基材と、基材上に配置される金属酸化物膜形成用組成物の硬化物とを含む。本発明の金属酸化物形成用組成物の硬化物である金属酸化物膜は、低屈折率で高硬度であることから、基材の反射防止膜として好適である。
基材としては、例えば、プラスティック、ガラス等を挙げることができ、液晶表示装置(LCD)、ブラウン管表示装置(CRT)等の表示装置の表面基材、レンズなどであることが好ましい。
【0052】
基材上に配置される金属酸化物膜形成用組成物の硬化物の膜厚は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。硬化物(金属酸化物膜)の膜厚は例えば、50nm〜200nmとすることができ、100nm〜110nmとすることが好ましい。
基材上に配置される金属酸化物膜形成用組成物の硬化物の屈折率は、1.45以下であることが好ましく、1.23〜1.36であることがより好ましい。基材上に配置される金属酸化物膜形成用組成物の硬化物の硬度は、JIS K5400に準じて測定される鉛筆硬度が、B以上であることが好ましく、HB以上であることがより好ましく、H以上であることが更に好ましい。
【0053】
<金属酸化物膜付基材の製造方法>
金属酸化物膜付基材の製造方法は、基材上に金属酸化物膜形成用組成物を付与することと、基材上に付与された金属酸化物膜形成用組成物に熱を付与することとを含む。本発明の金属酸化物膜形成用組成物を用いることで、低屈折率で高硬度の金属酸化物膜を簡便な手法で形成することができる。
したがって本発明の態様は、金属酸化物膜付基材の製造における金属酸化物膜形成用組成物の使用を包含する。
【0054】
金属酸化物膜形成用組成物の基材上への付与方法は特に制限されず、基材、膜厚等に応じて通常用いられる塗布方法から適宜選択することができる。付与方法としては例えば、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、刷毛塗り法、ロール転写法、スクリーン印刷法、インクジェット法、フレキソ印刷法等を挙げることができる。
【0055】
基材上に付与された金属酸化物膜形成用組成物に熱を付与することで、金属酸化物膜を形成することができる。金属酸化物膜形成用組成物への熱の付与方法は特に制限されず、基材の種類、目的等に応じて通所用いられる加熱手段から適宜選択することができる。加熱手段として具体的には、オーブン炉、ホットプレート等の加熱装置を挙げることができる。
硬化物を形成する加熱温度は例えば、100℃以上とすることができ、100〜600℃であることが好ましい。また加熱温度を100〜500℃とすることもできる。また、加熱時間としては例えば、0.5時間〜2時間とすることができる。
【0056】
金属酸化物膜付基材の製造方法は、硬化物の形成に先立って、基材上へ付与された金属酸化物膜形成用組成物から、溶媒の少なくとも一部を除去する乾燥工程を含んでいてもよい。乾燥工程は例えば、金属酸化物膜形成用組成物に熱を付与することで行うことができる。乾燥工程における加熱温度は例えば、80〜150℃とすることができる。また加熱時間は30秒〜10分間とすることができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【0058】
以下の実施例等において用いられる略称等は以下の通りである。
TEOS:テトラエトキシシラン
AN:硝酸アルミニウム・9水和物
MeOH:メタノール(沸点64.7℃)
EtOH:エタノール(沸点78.4℃)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)
HG:ヘキシレングリコール(沸点198℃)
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)
1−Hp:1−ヘプタノール(沸点176℃)
1−Pen:1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)
GEDME:ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)
MeOH−ST:平均粒子径12nm、SiOとして30%のシリカ粒子を含有し、メタノールを分散媒とするシリカゾル。
MA−ST−UP:平均粒子径12nm、鎖状に連なった形状をもつ。SiOとして20質量%のシリカ粒子を含有し、メタノールを分散媒とするシリカゾル。
MA−ST−S:平均粒子径9nm、SiOとして20質量%のシリカ粒子を含有し、メタノールを分散媒とするシリカゾル。
MA−ST−M:平均粒子径20nm、SiOとして40質量%のシリカ粒子を含有し、メタノールを分散媒とするシリカゾル。
MA−ST−L:平均粒子径45nm、SiOとして40質量%のシリカ粒子を含有し、メタノールを分散媒とするシリカゾル。
【0059】
[残存アルコキシシラン測定法]
実施例等において形成される反応溶液中に残存する、残存アルコキシシランの含有量を、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと称す)を用いて以下のようにして測定した。
GC測定は、島津製作所社製 Shimadzu GC−14Bを用い、下記の条件で測定した。
カラム:キャピラリーカラム CBP1−W25−100(長さ25mm、直径0.53mm、肉厚1μm)
カラム温度:開始温度50℃から15℃/分で昇温して到達温度290℃(保持時間3分)とした。
サンプル注入量:1μL、インジェクション温度:240℃、検出器温度:290℃、キャリヤーガス:窒素(流量30mL/分)、検出方法:FID法。
【0060】
[調製例1−1]ポリシロキサンS1の調製
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコに溶媒としてEtOH(36.36g)、アルコキシシランとしてTEOS(34.72g)を投入し、攪拌した。次いで溶媒としてEtOH(18.18g)、水(9.00g)、10分の1に希釈した60%硝酸(1.75g)の混合物を滴下し、30分攪拌した。攪拌後、3時間還流、室温まで放冷した。得られた溶液60gに対してEtOH40gを加えて希釈することでポリシロキサン(S1)溶液を調製した。この溶液を上述した測定方法によりGCで測定したところ、アルコキシシランは検出されなかった。
【0061】
[調製例2−1]表面にポリシロキサンを有するシリカ粒子(T1、以下「特定シリカ粒子T1」ともいう)の調製
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコに有機溶剤(D1)としてEtOH(48.45g)、水(4.05g)、シリカ粒子としてシリカゾルMeOH−ST(14.00g)を投入し、攪拌後、2時間還流し、ポリシロキサンS1の溶液(30.00g)を滴下し、1時間還流し、特定シリカ粒子T1を調製した。特定シリカ粒子T1の各成分であるポリシロキサン、シリカゾル、有機溶媒(D1)を添加量とともに表1にまとめて示す。
【0062】
[調製例2−2〜2−13]特定シリカ粒子T2〜T13の調製
調製例2−1において、ポリシロキサン、シリカゾル、有機溶剤(D1)の種類及び添加量を表1に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして、特定シリカ粒子T2〜T13をそれぞれ調製した。
【0063】
【表1】
【0064】
[調製例3−1]アルミニウム含有ポリシロキサンU1の調製
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコに溶媒として有機溶剤(D2)としてMeOH(19.68g)、アルコキシシランとしてTEOS(18.75g)を投入し、攪拌した。次いで有機溶剤(D3)としてMeOH(19.68g)、アルミニウム化合物(C)としてAN(33.78g)、水(1.62g)の混合物を滴下し、30分攪拌した。攪拌後、1時間還流、室温まで放冷した。得られた溶液60gに対してEtOH40gを加えて希釈することでルコキシシランの加水分解物及びアルミニウム塩からなる組成物溶液としてアルミニウム含有ポリシロキサンU1を調製した。この溶液を上述した測定方法によりGCで測定したところ、アルコキシシランは検出されなかった。
【0065】
[調製例3−2、3−3]アルミニウム含有ポリシロキサンU2及びU3の調製
調製例3−1において、アルコキシシラン、アルミニウム化合物(C)及び有機溶剤(D2、D3)の種類及び添加量を表2に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして、アルミニウム含有ポリシロキサンU2及びU3をそれぞれ調製した。
【0066】
【表2】
【0067】
<実施例1>
上記で得られた特定シリカ粒子T1(47g)と、アルミニウム含有ポリシロキサンU1(3g)と、有機溶剤(D4)としてHG(10g)/BCS(10g)/PGME(30g)の混合溶媒とを室温(25℃)で10分間混合することで金属酸化物形成用組成物として、コーティング用組成物を調製した。
【0068】
<実施例2〜13>
実施例1において、特定シリカ粒子、アルミニウム含有ポリシロキサン及び有機溶剤(D4)の種類及び添加量を表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング用組成物をそれぞれ調製した。
【0069】
<比較例1〜15>
実施例1において、アルミニウム含有ポリシロキサンを使用せず、特定シリカ粒子及び有機溶剤(D4)の種類及び添加量を表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング用組成物をそれぞれ調製した。
なお、表3中における「−」は、当該成分が使用されなかったことを示す。
【0070】
<比較例16〜20>
上述の実施例1〜13及び比較例1〜15のように特定シリカ粒子を使用する代わりに、表4に示すポリシロキサン、シリカゾル、アルミニウム含有ポリシロキサン及び有機溶剤(D4)を、常温(25℃)で10分間、混合することでコーティング用組成物をそれぞれ調製した。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
<評価>
(金属酸化物膜の形成)
上記で得られたコーティング用組成物を、スピンコーターを用いて基材であるソーダライムガラス(ガラス厚0.7mm)上及びシリコン基板(厚み0.5mm)上に、それぞれ塗布して塗膜を形成した。その後ホットプレート上、80℃3分間乾燥処理した後、クリーンオーブン中、300℃30分間で熱処理して硬化させて、厚み100nmの金属酸化物膜を得た。
【0074】
(鉛筆硬度測定)
株式会社安田精機製作所製のNo.553−M、三菱鉛筆株式会社のハイユニを用い、JIS K5400準じて、鉛筆硬度を測定した。その結果を表5に示す。
【0075】
<屈折率測定>
シリコン基板上に形成した金属酸化物膜について、株式会社溝尻光学工業所製の自動エリプソメータDVA−FLVWを用いて、屈折率を測定した。その結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
表5から、本発明の金属酸化物膜形成用組成物を用いて形成された金属酸化物膜は、屈折率が低く、かつ硬度が高く、低屈折率と高硬度が両立できることが分かる。
【0078】
(高温高湿下における白化評価)
上述した実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5のコーティング組成物を用いて形成された金属酸化物膜を形成したソーダライムガラス基板を用いて、以下のようにして高温高湿下における白化評価を行った。
エスペック株式会社製小型環境試験器SH−221にて温度85℃、湿度85%の条件で1000時間の高温高湿試験を実施した。そして、その高温高湿試験の前及び後におけるソーダライムガラス基板についてそれぞれHAZE値の測定を行った。HAZE値の測定は、有限会社東京電色製の分光ヘーズメーターTC−1800Hを用いて行った。結果を表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
表6から、本発明の金属酸化物膜形成用組成物を用いてガラス基板上に金属酸化物膜を形成することで、ガラス基板の白化を抑制できることが分かる。
【0081】
日本国特許出願2013−128468号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。