【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値は以下の測定方法により測定されたものを意味する。
【0060】
[織物及び不織布の坪量(g/m
2)]
JIS P8124に準じて測定する。
【0061】
[織物及び不織布の厚さ(mm)、密度(g/m
3)]
得られた織物及び不織布を標準環境下(温度20℃、相対湿度65%)に4時間以上放置した後、PEACOCK Dial-Thickness Gauge H Type(株式会社安田精機製作所製;φ10mm×180g/cm
2)にて5ヶ所厚さを測定し、平均値を不織布の厚さとして表す。なお、密度は坪量を厚さで除して算出する。
【0062】
[PVBの酸価(mgKOH/g)]
JIS K6728:1977の規定に基づき測定する。
【0063】
[PVBのブチルアルデヒド含有量(質量ppm)]
測定装置として島津製作所製ヘッドスペースガスクロマトグラフィーGC−14Bを用い、カラムとしてGL Science Inc製TC−1(内径0.25mm.長さ30m)を用いて測定する。
【0064】
[臭気判定]
得られた織物及び不織布の取扱い時において、それらの臭気を官能試験により確認し、下記の基準にしたがって評価した。
A:臭気がほとんど感じられなかった。
B:臭気が少し感じられた。
C:臭気が感じられた。
【0065】
[解舒性]
PVBフィラメントを捲き取った糸巻きから、捲取機を使用し、200m/分の速度で解舒したPVB繊維を捲取る。以下の基準にしたがって解舒性評価を行った。
○;解舒スピード200m/分で300分間解舒を行ったところ、断糸が発生せず、得られた繊維に毛羽・ループが発生しなかった。解舒性は良好であった。
×;解舒スピード200m/分で300分間解舒を行ったところ、断糸が1回以上発生し、得られた繊維に毛羽やループが1個以上発生した。解舒性は不良であった。
【0066】
[紡糸性判定]
メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を製造する際の連続紡糸可能時間を評価した。具体的には、紡糸を開始してから、紡糸ノズルに熱劣化した樹脂(ポリマー塊状物)が発生してノズル汚れや糸切れを起こすまでの時間を測定した。
【0067】
[内装材(積層体)の厚さ(mm)、内装材(積層体)の密度(g/m
3)]
成形後の内装材(積層体)を標準環境下(温度20℃、相対湿度65%)に4時間以上放置した後、PEACOCK MODEL PDN12(株式会社安田精機製作所製;φ16mm×550g/cm
2)にて5ヶ所厚さを測定し、平均値を内装材(積層体)の厚さとして表す。なお、密度は内装材(積層体)の坪量を厚さで除して算出する。
【0068】
[剥離強力(接着強力)(N/15mm)]
図1に示される成形後の内装材10において、積層体を幅15mmにカットし、内装材10(積層体)中の発泡体層1(ウレタン発泡体)とガラス繊維層2との剥離強力をインストロン製5543にて、両方のチャックに試料の引裂く箇所の端部を挟み、試験速度100mm/minで測定する。
【0069】
[曲げ弾性勾配(N/50mm/cm)、最大曲げ荷重(N/50mm)]
成形後の内装材(積層体)試料(幅50mm×長さ150mm)をサンプル受け(先端R5×幅50mm;ピッチ100mm)の上に置き、内装材(積層体)試料の中心(サンプル受けのピッチの中心付近)を、サンプル受けと同様の形のサンプル押え(先端R5×幅50mm)によって上方から押え速度50mm/minで押えたときのチャートから初期勾配に沿って直線を引き、荷重(N)を読み取り、曲げ弾性勾配とする。また得られたチャートより最大荷重(N)を読み取り、最大曲げ荷重とする。
【0070】
[吸音率(%)]
JIS A1405に準じて、垂直入射法吸音率を測定する。代表値として1000Hzと2000Hzの時の吸音率の平均値を用いる。
【0071】
[実施例1]
(PVB粉体の製造)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、ポリビニルアルコール(重合度300、けん化度98モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5質量%)を形成した。形成したPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌を続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド58g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20質量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して100倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3質量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに100倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、ポリビニルブチラールの粉体(水分含有量1.0質量%)を得た。
【0072】
(PVBペレットの製造)
溶融押出し機として、ベント部が2つ設けられ、該ベント部内の圧力をホッパー側からそれぞれ0.005及び0.003MPaに減圧した、L/D=54の同方向回転2軸型押出し機(東芝機械社製)を用い、これに上記で得られたポリビニルブチラールの粉体を導入した。ダイホールから出てきたストランド状の溶融樹脂を水槽で冷却した後、ペレタイザーでカッティングして、直径1.6mm、長さ1.6mmのペレット状のポリビニルブチラール樹脂(水分含有量0.2質量%)を得た。溶融樹脂の押出し条件は、スクリュー回転数300回/分、樹脂速度120kg/時間、樹脂温度200℃であった。
【0073】
(PVBペレットの分析)
得られたPVBペレットは、ブチラール化度が68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位)の含有率が2モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率が30モル%であった。また、ブチルアルデヒドの含有量は3.5質量ppm、酸価は0.09mgKOH/gであった。
【0074】
(PVBフィラメントの製造)
上記PVBペレットを使用し、孔数24個の口金を用いて紡糸温度205℃、単孔吐出量1.57g/分で溶融紡出した。紡出直後の糸条に、温度20℃、湿度60%の冷却風を0.5m/秒の速度で吹付け、当該糸条を50℃以下にした後、紡糸口金下方1.2mの位置に設置した長さ1.0m、入口ガイド径8mm、出口ガイド径10mm、内径30mmφのチューブヒーター(内温130℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた糸条にオイリングノズルで給油し2個の引き取りローラーを介して3500m/分の速度で捲取り84T/24fのPVBフィラメントを得た。捲取られた繊維の解舒性を評価した結果を表1に示す。
【0075】
(積層体の製造)
上記で得られたPVB繊維を使用し、坪量44.1g/m
2、厚さ0.237mmの平織物を得た。得られた織物を
図1のように接着層6として使用し、層状に積層させた。このとき発泡体層1には、坪量180g/m
2、厚さ6mmのポリエーテル系硬質ウレタン発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製)を用い、ガラス繊維層3(日本バイリーン株式会社製)には、坪量100g/m
2、厚さ20mmのものを用いた。また、内装材10の裏面を構成する表面材層5には坪量25g/m
2のポリエステル繊維不織布(前田工繊株式会社製)を使用し、内装材10の表面を構成する表面材層4には坪量220g/m
2のポリエステル繊維不織布(前田工繊株式会社製)を用いた。これらを積層し、プレス温度130℃にてプレス時間30秒、圧力0.3kg/cm
2のプレス条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0076】
[実施例2]
実施例1と同じPVBペレットを使用して、同じ紡糸温度、同じ紡糸条件によりPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量23.3g/m
2、厚さ0.177mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として使用し、実施例1と同じ層構成及び条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0077】
[実施例3]
実施例1と同じPVBペレットを使用して、紡糸温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量30.2g/m
2、厚さ0.441mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として、実施例1と同じ層構成で積層し、プレス温度140℃、プレス時間25秒、圧力0.2kg/cm
2のプレス条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0078】
[実施例4]
実施例1と同じPVBペレットを使用して、紡糸温度を230℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量24.0g/m
2、厚さ0.242mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として、実施例1と同じ層構成及び条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0079】
[実施例5]
実施例1と同じPVBペレットを用いて、鞘がPVBであり芯がPPである複合繊維とし、紡糸温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量30.2g/m
2、厚さ0.445mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として、実施例1と同じ層構成、実施例3と同じプレス条件にてプレス成形を行い、内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0080】
[比較例1]
実施例1において、溶融押出機のベント部内の圧力をホッパー側からそれぞれ0.02及び0.01MPa(ゲージ圧でそれぞれ0.08及び0.09MPa)に減圧した以外は実施例1と同等にしてPVBペレットを製造した。得られたPVBペレットは、ブチラール化度が68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位)の含有率が2モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率が30モル%であった。また、ブチルアルデヒドの含有量は15質量ppm、酸価は0.31mgKOH/gであった。こうして得られたPVBペレットを用いた以外は実施例1と同様にしてPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量23.0g/m
2、厚さ0.233mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として、実施例1と同じ層構成及び条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0081】
[比較例2]
実施例1と同じPVBペレットを使用して、紡糸温度を240℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量24.5g/m
2、厚さ0.250mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として、実施例1と同じ層構成及び条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0082】
[比較例3]
比較例1と同じPVBを使用し、紡糸温度240℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPVBフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量31.2g/m
2、厚さ0.451mmの織物を得た。得られた織物を
図1に示す接着層6として、実施例1と同じ層構成、実施例3と同じプレス条件にてプレス成形を行い、内装材10を得た。得られた織物のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0083】
[比較例4]
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製)を使用し、紡糸温度280℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPPフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量24.0g/m
2、厚さ0.202mmの織物を得た。得られた織物を接着層6として使用し、実施例1と同じ層構成及び条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物の臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0084】
[比較例5]
ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製)を使用し、紡糸温度260℃に変更した以外は実施例1と同様にしてPEフィラメントを得た。得られた繊維の解舒性を表1に示す。また得られた繊維を使用して、坪量30.1g/m
2、厚さ0.231mmの織物を得た。得られた織物を接着層6として使用し、実施例1と同じ層構成、実施例3と同じプレス条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られた織物の臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示されるとおり、酸価が0.2mgKOH/g以下のPVBペレットを使用し、240℃未満の紡糸温度で製造した繊維からなる実施例1〜5の織物はブチルアルデヒド含有量が低く、臭気が著しく改善されており、また繊維の解除性も良好であった。該織物を接着層として使用することにより、得られた内装材は低温・低圧のプレス条件下においても、0.5N/15mm以上の剥離強力(接着強力)を有し、また吸音率も65%以上を確保し、弾性勾配、最大曲げ荷重も優れる値を示した。
【0087】
一方、表1に示されるとおり、酸価が0.2mgKOH/gを超えるPVBペレットを使用したか、240℃以上の温度で紡糸した比較例1〜3は、得られた織物のブチルアルデヒド含有量が高く、臭気が感じられ、解舒性も不良であった。また、ポリプロピレン織物やポリエチレン織物を用いた比較例4及び5は、剥離強力(接着強力)が0.5N/15mm以下であり、かつ積層体としての剛性が不足し、剥がれ易くなっており、しかも、吸音率が65%以下であり、吸音性の面でも快適性が劣るものであった。
【0088】
[実施例6]
実施例1で得られたPVBペレットを使用し、メルトブローン不織布を製造した。直径0.4mmのノズル孔が幅1m当たり1000個設けられた紡糸ノズルを用い、紡糸温度205℃、吐出量0.5g/分/孔で樹脂を押出した。ノズル1m幅当たり、12Nm
3/minの熱風を吹き付けて延伸した。このようにして、繊維径5μm、坪量46.4g/m
2、厚さ0.296mmのメルトブローン不織布が得られた。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は16時間以上であった。得られたメルトブローン不織布を
図1のように接着層6として使用し、実施例1と同様にプレス成形して内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0089】
[実施例7]
実施例6と同じPVBペレットを使用し、同じ紡糸温度で、坪量24.5g/m
2、厚さ0.221mmのメルトブローン不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は16時間以上であった。得られたメルトブローン不織布を
図1に示す接着層6として使用し、実施例6と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0090】
[実施例8]
実施例6と同じPVBペレットを使用し、紡糸温度を230に変えて、坪量25.3g/m
2、厚さ0.242mmのメルトブローン不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は11時間であった。得られたメルトブローン不織布を
図1に示す接着層6として使用し、実施例6と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0091】
[実施例9]
実施例1において、溶融押出機のベント部内の圧力をホッパー側からそれぞれ0.006及び0.004MPaに減圧した以外は実施例1と同等にしてPVBペレットを製造した。得られたPVBペレットは、ブチラール化度が68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位)の含有率が2モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率が30モル%であった。また、ブチルアルデヒドの含有量は10質量ppm、酸価は0.16mgKOH/gであった。こうして得られたPVBペレットを用いた以外は実施例6と同様にして、坪量25.3g/m
2、厚さ0.242mmのメルトブローン不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は12時間であった。得られたメルトブローン不織布を
図1に示す接着層6として使用し、実施例6と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0092】
[比較例6]
比較例1と同じPVBペレットを使用した以外は実施例6と同様にして、坪量24.2g/m
2、厚さ0.233mmのメルトブローン不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は6時間であった。得られたメルトブローン不織布を
図1に示す接着層6として使用し、実施例6と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0093】
[比較例7]
実施例6と同じPVBペレットを使用して、紡糸温度を240℃に変更した以外は実施例1と同様にして、坪量25.8g/m
2、厚さ0.25mmのメルトブローン不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は5時間であった。得られたメルトブローン不織布を
図1に示す接着層6として使用し、実施例6と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0094】
[比較例8]
共重合ポリプロピレンを使用し、紡糸温度285℃で、坪量25.2g/m
2、厚さ0.253mmのメルトブローン不織布を得た。得られた不織布を接着層6として使用し、実施例6と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたメルトブローン不織布の臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表2に示されるとおり、酸価が0.2mgKOH/g以下のPVBペレットを使用し、240℃未満の紡糸温度で製造した実施例6〜9のメルトブローン不織布は、ブチルアルデヒド含有量が低く、臭気が著しく改善されていた。該メルトブローン不織布を接着層として使用することにより得られた積層体は、低温・低圧のプレス条件下においても、優れた力学物性を示し、吸音性にも優れていた。一方、酸価が0.2mgKOH/gを超えるPVBペレットを使用した比較例6、及び240℃以上の温度で紡糸した比較例7は、得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量が高く、臭気が感じられた。また、ポリプロピレン製の不織布を用いた比較例8の積層体は、力学物性や吸音性が不十分であった。
【0097】
[実施例10]
実施例1で得られたPVBペレットを使用し、スパンボンド不織布を製造した。直径0.4mmのノズル孔が幅1m当たり1000個設けられた紡糸ノズルを用い、紡糸温度200℃、吐出量1.0g/分/孔で樹脂を押出しドラフト延伸させた。このようにして、繊維径15μm、坪量30.0g/m
2、厚さ0.441mmのスパンボンド不織布が得られた。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は16時間以上であった。得られたスパンボンド不織布を
図1に示す接着層6として、実施例6と同じ層構成で積層し、プレス温度140℃、プレス時間25秒、圧力0.2kg/cm
2のプレス条件にてプレス成形を行い内装材10を得た。得られたスパンボンド不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表3に示す。
【0098】
[実施例11]
実施例1と同じPVBペレットを用いて、鞘がPVBであり芯がPPである複合繊維とし、紡糸温度210℃に変更した以外は実施例10と同様にして、坪量30.2g/m
2、厚さ0.445mmのスパンボンド不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は16時間以上であった。得られたスパンボンド不織布を
図1に示す接着層6として、実施例10と同様にプレス成形を行い、内装材10を得た。得られたスパンボンド不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表3に示す。
【0099】
[比較例9]
実施例1と同じPVBペレットを使用して、紡糸温度を240℃に変更した以外は実施例10と同様にして、坪量31.2g/m
2、厚さ0.451mmのスパンボンド不織布を得た。紡糸を開始してから塊状物が発生するまでの時間は2時間であった。得られたスパンボンド不織布を
図1に示す接着層6として使用し、実施例10と同様にプレス成形を行い内装材10を得た。得られたスパンボンド不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表3に示す。
【0100】
[比較例10]
接着層6に変性ポリエステル繊維からなる、坪量30.0g/m
2、厚さ0.230mmの蜘蛛の巣状スパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製「ダイナックG0030」)を使用し、実施例10と同一組成、実施例11と同一プレス条件にてプレス成形を行い、内装材10を得た。得られたスパンボンド不織布のブチルアルデヒド含有量および臭気判定結果と内装材10の性能測定結果を表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
表3に示されるとおり、酸価が0.2mgKOH/g以下のPVBペレットを使用し、240℃未満の紡糸温度で製造した実施例10及び11のスパンボンド不織布は、ブチルアルデヒド含有量が低く、臭気が著しく改善されていた。該スパンボンド不織布を接着層として使用することにより得られた積層体は、低温・低圧のプレス条件下においても、優れた力学物性を示し、吸音性にも優れていた。一方、酸価が0.2mgKOH/gを超えるPVBペレットを240℃以上の温度で紡糸した比較例9は、得られたメルトブローン不織布のブチルアルデヒド含有量が高く、臭気が感じられた。また、ポリエステル製不織布を用いた比較例10の積層体は力学物性や吸音性が不十分であった。