【文献】
Org. Biomol. Chem.,2008年,6,296−307
【文献】
J. Org. Chem.,1980年,45,4275−4277
【文献】
Chem. Lett.,1979年,97−98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
[工程(1)]
ルイス酸化合物の使用量は、芳香族複素環化合物が有するフェノール性ヒドロキシ基1モルに対して1〜10モルが好ましく、1〜8モルがより好ましく、1〜5モルがさらに好ましい。
【0008】
チオール化合物の使用量は、芳香族複素環化合物が有するフェノール性ヒドロキシ基1モルに対して1〜10モルが好ましく、1〜8モルがより好ましく、1〜5モルがさらに好ましい。また、ルイス酸化合物1モルに対して1〜10モルが好ましく、1〜6モルがより好ましく、1〜4モルがさらに好ましい。
【0009】
ルイス酸化合物と、チオール化合物とは好ましくは溶媒中で混合される。
溶媒としては、ルイス酸化合物に対して不活性なものであれば、特に制限されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、フェノール、クロロベンゼン及び、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒、並びに、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素及び、トリクロロエタン等の含ハロゲン溶媒が挙げられる。好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン及び、これらの混合溶媒であり、より好ましくは、クロロベンゼンである。溶媒には、これらの溶媒を単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。これらの溶媒は、ルイス酸化合物の溶解性が高く、取り扱いが容易なため好ましい。
【0010】
溶媒量は、ルイス酸化合物1質量部に対して、好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは2〜8質量部である。また、ルイス酸化合物が完溶する量であると好ましい。
【0011】
混合する温度は、−20〜120℃が好ましく、0〜100℃がより好ましく、0〜80℃がさらに好ましい。
混合は、ルイス酸化合物が溶解するまで行うのが好ましい。
【0012】
ルイス酸化合物としては、塩化アルミニウム、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三塩化ホウ素、四塩化チタン及び、四塩化スズ等が挙げられ、好ましくは塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、四塩化チタン及び、四塩化スズであり、より好ましくは塩化アルミニウムである。
【0013】
チオール化合物としては、ベンゼンチオール、ベンゼンジチオール及び、フェニルエタンチオール等の芳香族チオール類、エタンチオール、プロパンチオール、t−ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、エイコサンチオール、ヘントリアコンタンチオール等のアルキルチオール類、並びに、エタンジチオール、プロパンジチオール及び、エタントリチオール等の多官能アルキルチオール類等が挙げられる。好ましくはアルキルチオール類であり、より好ましくは式(C)で表される化合物(以下「化合物(C)」という場合がある)である。
[式中、R
0は炭素数1〜31のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる炭素原子は、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。]
【0014】
R
0は好ましくは炭素数6〜31のアルキル基であり、より好ましくは炭素数8〜22のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数10〜16のアルキル基である。また、好ましくは酸素原子及び、硫黄原子を含まないアルキル基である。炭素数が10以上のアルキル基であると、臭気がなく取扱いが容易であるため好ましい。
R
0としては、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、エイコシル基、ヘントリアコンチル基等が挙げられる。
【0015】
[工程(2)]
工程(2)で用いられる溶媒は、ルイス酸化合物に不活性なものであれば、特に制限されないが、好ましくは、エーテル構造を有する芳香族複素環化合物の溶解性が高い溶媒である。工程(1)において、溶媒を用いた場合には、該溶媒と同一であると好ましい。
具体的には、前記した溶媒と同じものが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数組合わせて用いてもよい。
【0016】
溶媒量は、エーテル構造を有する芳香族複素環化合物1質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは2〜10質量部である。
【0017】
工程(1)及び工程(2)で使用する溶媒の含水率は、0.03重量%以下であると好ましい。含水率が0.03重量%以下であると、ルイス酸化合物の活性が低下しないため好ましい。溶媒の含水率が0.03重量%よりも高い場合は、脱水還流等の手段を用いて脱水することが好ましい。
【0018】
エーテル構造を有する芳香族複素環化合物としては、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−1級炭素原子、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−2級炭素原子、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−3級炭素原子、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−4級炭素原子、又は、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−芳香族炭素原子で表される構造を有する化合物が挙げられる。好ましくは芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−1級炭素原子、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−2級炭素原子又は、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−3級炭素原子で表される構造を有する化合物であり、より好ましくは芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−1級炭素原子又は、芳香族複素環が有する炭素原子−酸素原子−2級炭素原子で表される構造を有する化合物である。
【0019】
1級炭素を構成する基としては、メチル基が挙げられる。
2級炭素を構成する基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及び、オクチル基等が挙げられる。
3級炭素を構成する基としては、イソプロピル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
4級炭素を構成する基としては、tert-ブチル基等が挙げられる。
芳香族炭素を構成する基としては、フェニル基、ナフチル基及び、ピリジル基等が挙げられる。
【0020】
芳香族複素環は、好ましくは、少なくとも一つの−NH−、−N<、−N=、−P<、−O−又は、−S−で表される構造を有する化合物であり、より好ましくは、少なくとも一つの−NH−、−N<又は、−N=で表される構造を有する化合物であり、さらに好ましくは、少なくとも一つの−N=で表される構造を有する化合物である。
【0021】
エーテル基を有する芳香族複素環化合物は、特に好ましくは式(B)で表される化合物(以下「化合物(B)」という場合がある)である。
[式中、Q
1は、−CR
1R
2−、−S−、−NR
1−、−CO−又は−O−を表す。Y
1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Z
1及びZ
2は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0022】
Q
1は、好ましくは−O−又は、−S−である。
Z
1及びZ
2はそれぞれ独立に、好ましくはエーテル結合に隣接する炭素原子が1級炭素であるアルキル基、及び、エーテル結合に隣接する炭素原子が2級炭素であるアルキル基である。より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及び、ヘキシル基であり、さらに好ましくはメチル基及び、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0023】
Y
1で表される、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基及び、置換基を有していてもよい芳香族複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、−R
3、シアノ基、ニトロ基、−SO
2R
4、−SOR
4、−SR
4、−OR
4、カルボキシ基及び−NR
1R
5が挙げられる。R
3及びR
4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0024】
Y
1は好ましくは、式(Y
1−1)〜式(Y
1−7)表される基である。
[式(Y
1−1)〜式(Y
1−7)中、Z
3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、−R
3、シアノ基、ニトロ基、−SO
2R
4、−SOR
4、−SR
4、−OR
4、カルボキシ基又は−NR
4R
5を表す。
V
1及びV
2は、それぞれ独立に−CO−、−NR
1−、−SO
2−、又は16族元素を表す。
W
1〜W
6は、それぞれ独立に、−CH=又は−N=を表す。
R
1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
aは、0〜5の整数を表す。
bは、0〜3の整数を表す。
cは、0〜2の整数を表す。
a又はbが2以上の整数である場合、複数のZ
3は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
*は結合手を表す。]
【0025】
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。好ましくは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、それぞれ独立に、炭素数1〜2のアルキル基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立に、メチル基である。
【0026】
Y
1は、化合物の安定性に優れ、合成が容易である点で式(Y
2−1)〜式(Y
2−7)で表される基のいずれかであることがより好ましい。
【0027】
[式(Y
2−1)〜式(Y
2−7)中、Z
3、a、b、c及び*は、上記と同じ意味を表す。
J
1及びJ
2は、それぞれ独立に−CO−、−NR
1−、又は16族元素を表す。
L
1は、それぞれ独立に、−CH=又は−N=を表す。]
【0029】
Y
1は、より好ましくは、式(Y
3−1)〜式(Y
3−4)で表される基である。
[式(Y
3−1)〜式(Y
3−4)中、Z
3、a、b、c、J
1、及び*は、上記と同じ意味を表す。]
【0030】
Z
3における−SO
2R
4としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基及び、ヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
【0031】
Z
3における−SOR
4としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基及び、ヘキシル基スルフィニル等が挙げられる。
【0032】
Z
3における−SR
4としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、sec−ブチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基、ペンチルスルファニル基及び、ヘキシルスルファニル基等が挙げられる。
【0033】
Z
3における−OR
4としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基及び、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
Z
3における−NR
1R
5としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基及び、N−ヘキシルアミノ基等のN−モノアルキルアミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基及び、N,N−ジヘキシルアミノ基等のN,N−ジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0035】
Z
3としては、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シアノ基、ニトロ基、メチルスルホニル基、カルボキシ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルスルファニル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が特に好ましい。
【0036】
V
1及びV
2で表される16族元素としては、S、O及び、Seが挙げられる。V
1及びV
2は好ましくは、それぞれ独立に、−S−、−NR
1−又は−O−である。
【0037】
化合物(B)としては、具体的には、以下の化合物(B−001)〜化合物(B−076)が挙げられる。
【0039】
混合する温度は、−20〜120℃が好ましく、0〜100℃がより好ましく、0〜80℃がさらに好ましい。
混合は、エーテル構造を有する芳香族複素環化合物が溶解するまで行うのが好ましい。
【0040】
[工程(3)]
混合液(R)は、滴下によって加えるのが好ましい。
混合液(R)を加える速度は、通常、混合液(R)全量の0.08〜2質量%/分であり、好ましくは0.15〜2質量%/分である。また、好ましい加える速度は、加えられたエーテル構造を有する芳香族複素環化合物の80モル%以上が、加えられた後1分以内にフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物となる速度であり、より好ましくは10秒以内にフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物となる速度である。
加える時間は、混合液(R)の量と加える速度から決定されるが、通常1〜20時間であり、好ましくは1〜8時間である。
【0041】
混合する温度は、好ましくは−15〜120℃であり、より好ましくは0〜100℃であり、さらに好ましくは0〜80℃である。
【0042】
混合液(Q)に、混合液(R)を加えた後に、混合する時間は、好ましくは1〜72時間であり、より好ましくは2〜48時間である。
【0043】
混合液(Q)と、混合液(R)とを混合して反応させることで、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物が生成する。
【0044】
エーテル構造を有する芳香族複素環化合物と、ルイス酸化合物とを反応させると、エーテル構造を有する芳香族複素環化合物が有する、エーテル構造と、芳香族複素環構造との副反応によって副生成物を生じることがあり、かかる副反応によってフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物の収率が低下することがある。
例えば、化合物(B)とルイス酸との反応によって、化合物(A)と、副生成物として式(D)で表される化合物(以下「化合物(D)」という場合がある)を生成することがある。
[式中、Z
1、Z
2、Q
1及びY
1は上記と同じ意味を表す。]
【0045】
化合物(D)は溶解性が低く精製除去することが困難である。本発明の製造方法によれば、化合物(D)等の副生成物の生成を少なくすることができ、化合物(A)等のフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物を高い収率で得ることができる。
【0046】
生成したフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物の溶解性が高い場合は、反応混合液と、塩酸水溶液又は硫酸水溶液等の酸とを混合して前記反応混合液中のルイス酸化合物を失活させた後、分液洗浄を行うことでルイス酸化合物を除去することができる。ルイス酸化合物を除去した後、溶媒を留去する、貧溶媒を加えて晶析する、冷却することで晶析する、又は、一部の溶媒を蒸発することで晶析する等の方法によってフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物を得ることができる。
【0047】
生成したフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物の溶解性が低く、析出した場合は、析出した固形物を濾過することにより得られた固形物を塩酸水溶液若しくは硫酸水溶液等の酸で洗浄する、又は、該酸と水溶性有機溶媒との混合溶液で洗浄することによってフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物を得ることができる。また、得られた固体を、水溶性有機溶媒等の反応に用いた溶媒とは異なる溶媒に溶解させた後に、塩酸水溶液又は硫酸水溶液等の酸によって洗浄してもよい。洗浄後、溶媒を留去する、貧溶媒を加えて晶析する、冷却することで晶析する、又は、一部の溶媒を蒸発することで晶析する等の方法によってフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物を得ることができる。
【0048】
生成したフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物が、粘稠液体として混合液中で相分離した場合は、混合液中の溶媒層をデカンテーションにより除去することによって得られた粘稠液体を水溶性有機溶媒等の反応に用いた溶媒とは異なる溶媒に溶解させた後に、塩酸水溶液又は硫酸水溶液等の酸によって洗浄してもよい。洗浄後、溶媒を留去する、貧溶媒を加えて晶析する、冷却することで晶析する、又は、一部の溶媒を蒸発することで晶析する等の方法によってフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物を得ることができる。
【0049】
水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、並びに、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及び、N−メチルピロリドン等の溶媒が挙げられ、好ましくはメタノール、N,N−ジメチルホルムアミド及び、N−メチルピロリドンである。
【0050】
さらに、洗浄、再結晶又は、カラムクロマトグラフィー等で精製してもよい。
【0051】
かくして、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物が得られる。フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物としては、例えば、式(A)で表される化合物(以下「化合物(A)」という場合がある)が挙げられる。
[式中、Q
1および、Y
1は上記と同じ意味を表す。]
【0052】
フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族複素環化合物は、特開2010−31223号公報等に記載の液晶化合物等の原料として使用することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」は、特記ない限り、質量%である。
【0054】
液体クロマトグラフ(LC)測定は以下に示す条件で行った。
使用カラム:Kinetex、2.6μm、C18、100Å、50×4.mm
カラム温度:40℃
移動相:(A液)0.1%(v/v)−TFA/水
(B液)0.1%(v/v)−TFA/アセトニトリル
グラジェンと条件 0min A液98%、B液2%
30min A液0%、B液100%
35min A液0%、B液100%
流量:1.0mL/min
注入量:5μL
検出方法:UV(254nm)
【0055】
(実施例1)
<化合物(A−036)の合成例−1>
化合物(A−036)を以下のスキームにしたがって合成した。
塩化アルミニウム1.65gと、ドデカンチオール2.5gとをクロロベンゼン6gに溶解させた後、60℃に加熱し混合物(Q−1)を得た。一方、化合物(B−036)2gとクロロベンゼン16gとを混合し混合物(R−1)を得た。得られた混合物(Q−1)に、混合物(R−1)を4時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。得られた混合物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−036)のLC面積%は98.52%であり、化合物(D−036)のLC面積%は0%であった。得られた混合物を室温に冷却した後、析出した固形物を濾過し、得られた固形物を1mol/L硫酸とN,N−ジメチルホルムアミドとの混合溶液及び、水で洗浄し、さらに真空乾燥をすることによって、黄色粉末の固形物(1)1.73gを得た。
得られた固形物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−036)のLC面積%は98.81%であり、化合物(D−036)のLC面積%は0%であった。
化合物(B−036)を基準とした化合物(A−036)の収率は93.17%であった。なお、収率は、得量とLC面積%とを積し、理論得量で除することで算出した。
得られた固形物(1)の
1H−NMR(DMSO):δ(ppm)2.43(s、3H)、2.52(s、3H)、6.71〜6.80(m、2H)、7.00(s、1H)、7.36(s、1H)、7.76(s、1H)、9.58(s、1H)、9.90(s、1H)
【0056】
(参考例1)
<化合物(A−036)の合成例−2>
塩化アルミニウム2.5gと、ドデカンチオール3.8gとをクロロベンゼン6gに溶解させ、混合物(Q−3)を得た。一方、化合物(B−036)3gとクロロベンゼン18gとを混合し、60℃に加熱して混合物(R−3)を得た。得られた混合液(R−3)に、混合物(Q−3)を加えて反応させた。反応後、得られた混合物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−036)のLC面積%は78.2%であり、化合物(D−036)のLC面積%は13.1%であった。得られた混合物を、実施例1と同様の方法で精製することによって固形分(2)2.05gを得た。
得られた固形物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−036)のLC面積%は85.3%であり、化合物(D−036)のLC面積%は12.8%であった。
化合物(B−036)を基準とした化合物(A−036)の収率は63.53%であった。なお、収率は、得量とLC面積%とを積し、理論得量で除することで算出した。
【0057】
(実施例2)
<化合物(A−001)の合成例−1>
化合物(A−001)を以下のスキームにしたがって合成した。
【0058】
塩化アルミニウム30.3gと、ドデカンチオール46gとをクロロベンゼン60gに溶解させた後、60℃に加熱し混合物(Q−2)を得た。一方、化合物(B−001)30gとクロロベンゼン180gとを混合し混合物(R−2)を得た。得られた混合物(Q−2)に、混合物(R−2)を4時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。得られた混合物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−001)のLC面積%は98.07%であり、化合物(D−001)のLC面積%は0%であった。得られた混合物を室温に冷却した後、析出した固形物を濾過し、得られた固形物を1mol/L硫酸とN,N−ジメチルホルムアミドとの混合溶液及び、水で洗浄し、さらに真空乾燥することによって、黄色粉末の固形物(3)26.3g得た。
得られた固形物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−001)のLC面積%は97.52%であり、化合物(D−001)のLC面積%は0%であった。
化合物(B−001)を基準とした化合物(A−001)の収率は95.12%であった。なお、収率は、得量とLC面積%とを積し、理論得量で除することで算出した。
得られた固形物(2)の
1H−NMR(DMSO):δ(ppm)6.65〜6.74(m、2H)、7.21〜7.24(m、1H)、7.77〜7.79(dd、1H)、7.81〜7.83(dd、1H)。
【0059】
(参考例2)
<化合物(A−001)の合成例−2>
塩化アルミニウム5gと、ドデカンチオール7.7gとを、クロロベンゼン10gに溶解させ、混合物(Q−4)を得た。一方、化合物(B−001)5gとクロロベンゼン30gとを混合し、60℃に加熱して混合物(R−4)を得た。得られた混合液(R−4)に、混合物(Q−4)を加えて反応させた。反応後、得られた混合物についてLC測定を行ったところ、化合物(A−001)のLC面積%は77.3%であり、化合物(D−001)のLC面積%は16.7%であった。