(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アプリケーション装置が備える振動部の構成を示す構成情報と、入力される第1の振動データとに基づいて、前記第1の振動データを、前記振動部の振動状態により振動の定位を制御する第2の振動データに変換する変換処理部と、を備え、
前記振動部の構成には、前記振動部の数が含まれ、
前記第1の振動データには、1または複数のチャンネルによって構成されるデータが含まれ、
前記変換処理部は、前記第1の振動データの前記チャンネル数と前記アプリケーション装置が備える前記振動部の数を示す前記構成情報とに基づいて、前記第1の振動データから前記第2の振動データに変換する、
データ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、振動を発生させて定位感および移動感などを生じさせることにより、ユーザが得られる演出効果を「振動エフェクト」という。ここで、定位感とは、ファントム・センセーション(Phantom Sensation)、すなわち、「皮膚の2点を同時に振動させた(刺激した)場合に、その2点の間に在る特定の位置に、あたかも振動の定位があるようにユーザが感じる感覚」である。また、移動感とは、仮現運動(Apparent Movement)、すなわち、「皮膚の2点を位相差および出力差を持たせて振動させた(刺激した)場合に、振動の定位が移動しているようにユーザが感じる感覚」である。
【0011】
以下、振動エフェクトを得ることができるよう処理が施された、非圧縮の波形データとしてのPCM(Pulse Code Modulation)データを、「VPCMデータ」という。また、例えば、振動エフェクトを得ることができるよう処理が施された、圧縮の波形データとしてのAAC(Advanced Audio Coding)データを、「VAACデータ」という。なお、振動エフェクトをより得ることができるよう、これらの波形データには、トーンバーストが含められてもよい。
【0012】
以下、振動エフェクトを得ることができるよう処理が施された波形データ(例えば、VPCMデータ、VAACデータ)を、予め定められたフォーマット(
図3〜
図5を用いて後述する)に則って含むデータを、「振動データ(VIBデータ)」という。ここで、VIBとは、振動(vibration)を示す略称である。以下、振動データを含むファイルを、「振動ファイル(VIBファイル)」という。
【0013】
図1は、本実施形態におけるアプリケーションシステム100の構成の一例を示す構成図である。アプリケーションシステム100は、データ処理装置1と、操作部2と、表示部3と、音声出力部4と、振動発生部5とを備えている。このうち、操作部2は、ユーザが入力操作等を行うためのキーボード、ポインティングデバイス、コントローラ等を備える。表示部3は、ディスプレイ装置等を備え、画像を表示するように構成される。音声出力部4は、スピーカ等を備えて、音声を出力するように構成される。振動発生部5は、振動子を備え、ユーザが振動による演出効果を得るために振動を発生させるように構成される。振動子は、ボイスコイルモータ(VCM)によって構成されていてもよいし、スピーカによって構成されていてもよい。
【0014】
データ処理装置1は、振動データ、音声データ、画像データを処理するように構成される。このデータ処理装置1は、入力ファイル(第1の振動ファイル)を出力ファイル(第2の振動ファイル)に変換するように構成される。ここで、入力ファイルは、WAVファイル6と、MOVファイル7と、VIBファイル8とを含む。また、出力ファイルは、MOVファイル9と、VIBファイル10とを含む。
【0015】
WAVファイル6とは、音声データが記録されたファイルである。このWAVファイル6は、1または複数のチャンネル(以下の説明においてchともいう。)によって音声データを記録する。MOVファイル7とは、画像データ、音声データのうち、少なくとも1つのデータが含まれるマルチメディアコンテナファイルである。このMOVファイル7は、1または複数のチャンネルによって画像データ、音声データのうち、少なくとも1つのデータを記録する。VIBファイル8とは、振動データが記録されたファイルである。このVIBファイル8は、1または複数のチャンネルによって振動データを記録する。VIBファイル10とは、振動発生部5が備える振動子の配置に対応する振動データが記録されたファイルである。このVIBファイル10は、振動発生部5が備える振動子の数に対応する数のチャンネルによって、振動データを記録する。MOVファイル9とは、データ処理装置1によって、振動データを含まないMOVファイル7に対して、VIBファイル10に記録される振動データ(すなわち、振動発生部5が備える振動子の配置に対応する振動データ)を追加して生成したファイルである。このMOVファイル9は、振動発生部5が備える振動子の数に対応する数のチャンネルによって、振動データを記録する。
【0016】
データ処理装置1は、アプリケーション実行部11と、入力部12と、変換処理部13と、音声処理部14と、画像処理部15と、出力部16とを備えている。アプリケーション実行部11は、WAVファイル6、または、MOVファイル7およびVIBファイル8を入力してアプリケーションを実行するように構成される。入力部12は、これらの入力ファイルを読み込むことによりデータを取得するように構成される。音声処理部14は、入力部12において取得されたデータのうち、音声データについて処理を行うように構成される。画像処理部15は、入力部12において取得されたデータのうち、画像データについて処理を行うように構成される。出力部16は、MOVファイル9、およびVIBファイル10に対してデータの書き込みを行うように構成される。変換処理部13は、入力部12において取得されたデータのうち、音声データおよび振動データについて処理を行うように構成される。この変換処理部13の構成について、
図2を参照して説明する。
【0017】
図2は、本実施形態の変換処理部13の構成の一例を示す構成図である。変換処理部13は、ファイル操作部131と、データ操作部132と、記憶部136とを備えている。記憶部136には、ファイルの変換処理に用いられる情報が記憶されている。例えば、記憶部136には、振動発生部5が備える振動子の構成を示す構成情報が記憶されている。ここで、振動発生部5が備える振動子の構成とは、例えば、振動発生部5が備える振動子の数、および振動発生部5が備える振動子の配置(座標、または位置)である。
【0018】
ファイル操作部131は、WAVファイル6、MOVファイル7、VIBファイル8、MOVファイル9、およびVIBファイル10に対するファイル操作を行うように構成される。具体的には、ファイル操作部131は、WAVファイル6およびMOVファイル7の音声データ、またはVIBファイル8の振動データを、入力部12を介して読み出す。また、ファイル操作部131は、出力部16を介して、MOVファイル9またはVIBファイル10に振動データを書き込むように構成される。データ操作部132は、ファイル操作部131が読み出した音声データおよび振動データを振動発生部5が備える振動子の構成に応じた振動データに変換するなどのデータ操作を行うように構成される。このデータ操作部132は、チャンネル数変換部133と、チャンネルポジション変換部134と、ファイル形式変換部135とを備えている。
【0019】
チャンネル数変換部133は、入力ファイルのチャンネル数を変換して、変換したチャンネル数を有する出力ファイルを生成するように構成される。具体的には、チャンネル数変換部133は、入力ファイルのチャンネル数と、振動発生部5が備える振動子の数を示す構成情報とに基づいて入力ファイルのチャンネル数を変換する。このチャンネル数変換部133が、ファイルを変換する仕組みについては、後述する動作の説明において詳細に説明する。
【0020】
チャンネルポジション変換部134は、入力ファイルが有する各チャンネルの音声(または振動)の定位(すなわち、チャンネルポジション)を変換して、変換したチャンネルポジションを有する出力ファイルを生成するように構成される。具体的には、チャンネルポジション変換部134は、振動発生部5が備える振動子の配置(座標、または位置)を示す構成情報と、入力ファイルが有する各チャンネルの定位情報とに基づいて、入力ファイルのチャンネルポジションを変換する。チャンネルポジション変換部134が、ファイルを変換する仕組みについては、後述する動作の説明において詳細に説明する。
【0021】
ファイル形式変換部135は、WAVファイル形式またはMOVファイル形式のファイルを、VIBファイル形式のファイルに変換するように構成される。また、ファイル形式変換部135は、WAVファイル形式またはVIBファイル形式のファイルを、MOVファイル形式のファイルに変換するように構成される。
【0022】
次に、振動発生部5の構成について説明する。振動発生部5は、変換処理部13が変換した出力ファイルの振動データに応じた振動を発生させる振動子を備えている。この振動発生部5の具体的な構成について、
図3を参照して説明する。
【0023】
図3は、本実施形態における振動発生部5の配置の一例を示す外観図である。振動発生部5は、一例として、その筐体(5)の四隅に、振動子(振動デバイス)51(FL:左前)、振動子52(FR:右前)、振動子53(RL:左後ろ)および振動子54(RR:右後ろ)をそれぞれ備える。振動発生部5は、VPCMデータ又はVAACデータ(すなわち、振動データ)に基づいて各振動子51〜54を振動させることにより、振動発生部5の筐体を振動させるように構成される。
【0024】
図4は、ユーザが移動感を得ることができる仮現運動の例を示す図である。ここで、説明のため、振動発生部5の筐体の中心を原点とする座標系(x,y)=(−1.0〜+1.0,−1.0〜+1.0)を定義する。振動子51(チャンネル1)は、一例として、座標(−0.9,+0.9)に配置されている。また、振動子52(チャンネル2)は、一例として、座標(+0.9,+0.9)に配置されている。また、振動子53(チャンネル3)は、一例として、座標(−0.9,−0.9)に配置されている。また、振動子54(チャンネル4)は、一例として、座標(+0.9,−0.9)に配置されている。上述したように、変換処理部13の記憶部136には、これらの各振動子の配置を示す座標情報が構成情報として予め記憶されている。
【0025】
図4では、一例として、始点座標(+0.4,+0.2)から終点座標(−0.3,−0.55)まで振動の定位が直線的に移動するような移動感を、ユーザは得ることができる。以下、始点座標から終点座標まで振動の定位が移動する場合、この始点座標および終点座標を含む情報を、「ベクトル情報」という。ここで、始点座標および終点座標は、相対座標により表現されてもよい。また、ベクトル情報には、振動部が振動を継続させる振動時間(鳴動時間[ms])を示す情報が含まれてもよい。
【0026】
次に、
図5〜
図7を参照して、
図1に示す振動ファイル(VIBファイル)について説明する。
図5、
図6および
図7は、それぞれ、VIBファイルのファイル構造を示す図である。ここでは、3つの図面に分けて図示するが、実際のVIBファイルは、1つのファイルによって構成される。VIBファイルは、チャンク構造を有するファイルである。VIBファイルは、リストタイプ「INFO」を示す情報と、作成日を示す情報と、ファイル所有者を示す情報と、ファイル作成者を示す情報と、タイトル(表題)を示す情報と、コメントを示す情報とを含む。
【0027】
また、VIBファイルは、リストタイプ「vibl」を示す情報と、VIBデータのフォーマットのバージョンを示す情報と、作成時分(作成時刻)を示す情報と、更新日を示す情報と、更新時分(更新時刻)を示す情報と、エンコードツール(ツール名称など)を示す情報と、ジャンル(例えば、映像、音声、ハプティック(Haptic)、ゲーム)を示す情報と、VIBファイルのメーカーコードを示す情報と、保護情報(プロテクトの有無)を示す情報と、振動時間(再生時間)を示す情報と、振動子デバイス情報(例えば、振動部のメーカーの識別情報)と、振動ch(チャンネル)割当を示す情報と、振動周波数帯域(単一周波数、広帯域)を示す情報と、ユーザコメントを示す情報と、GPS(Global Positioning System)情報(ジオタグ)とを含む。
【0028】
また、VIBファイルは、VIBファイル(VIBデータ)自体のバージョンを示す情報と、データ領域(
図7では、「ckData」により示される領域)に含まれている波形データの種別(例えば、PCMフォーマットを有するVPCM、AACフォーマットを有するVAAC)を示す情報と、振動ch(チャンネル)の数を示す情報と、サンプリングレート(波形データのサンプリング周波数)を示す情報と、サンプリングビット(波形データの量子化ビット数)を示す情報とを含む。
【0029】
以下、作成日を示す情報と、作成時分(作成時刻)を示す情報と、更新日を示す情報と、更新時分(更新時刻)を示す情報と、VIBデータのフォーマットのバージョンを示す情報と、VIBファイル(VIBデータ)自体のバージョンを示す情報と、データ領域に含まれている波形データの種別を示す情報と、振動chの数を示す情報と、サンプリングレートを示す情報と、サンプリングビットを示す情報と、ファイル所有者を示す情報と、ファイル作成者を示す情報と、タイトルを示す情報と、コメントを示す情報と、エンコードツールを示す情報と、ジャンルを示す情報と、VIBファイルのメーカーコードを示す情報と、保護情報を示す情報と、振動時間を示す情報と、振動子デバイス情報と、振動ch割当を示す情報と、振動周波数帯域を示す情報と、ユーザコメントを示す情報と、GPS情報(ジオタグ)とをまとめて、「VIB情報」という。
【0030】
また、以下、振動発生部5(
図3および
図4を参照)における振動子の配置(座標、または位置ともいう。)を示す情報と、振動ch(チャンネル)の数を示す情報と、サンプリングレート(PCMデータのサンプリング周波数)を示す情報と、サンプリングビット(PCMデータの量子化ビット数)を示す情報とをまとめて、「構成情報」という。ここで、振動ch(チャンネル)の数、サンプリングレートおよびサンプリングビットは、VIB情報に基づいて、それぞれ定められる。
【0031】
次に、
図8を参照して、データ処理装置1によるファイル変換処理の動作について説明する。
図8は、本実施形態のデータ処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、アプリケーション実行部11は、表示部3にユーザ操作画面を表示する(ステップS1)。この表示部3に表示されるユーザ操作画面とは、例えば、
図10に示す画面である。
【0032】
図10は、本実施形態の表示部3に表示されるユーザ操作画面の一例を示す図である。ユーザ操作画面には、処理の機能を選択するボタンがあり、ユーザは、操作部2を操作して処理の機能のいずれか一方を選択する。選択可能な処理の機能には、以下の2つの機能がある。第1の機能は、WAVファイル6からVIBファイル10にファイルを変換する機能(VIB生成機能)である。第2の機能は、MOVファイル7から振動データを取り出して、取り出した振動データをMOVファイル9に変換する機能(MOV生成機能)である。この第2の機能には、VIBファイル8の振動データをMOVファイル9に変換する機能も含まれる。
【0033】
ユーザ操作画面には、入力ファイル名を入力する入力ファイル名入力欄と、出力ファイル名を入力する出力ファイル名入力欄とが設けられている。選択された処理の機能が、「VIB生成」機能である場合、入力ファイル名として、WAVファイル6のファイル名を入力ファイル名入力欄に入力し、出力ファイル名として、VIBファイル10のファイル名を出力ファイル名入力欄に入力する。
【0034】
一方、選択された処理の機能が、「MOV生成」機能である場合、入力ファイル名として、MOVファイル7のファイル名を入力ファイル名入力欄に入力し、出力ファイル名として、MOVファイル9のファイル名を出力ファイル名入力欄に入力する。
【0035】
なお、選択された処理の機能が、「MOV生成」機能である場合、MOVファイル7のファイル名に代えて、またはMOVファイル7のファイル名とともに、入力ファイル名として、VIBファイル8のファイル名を入力ファイル名入力欄に入力してもよい。
【0036】
図8に戻り、データ処理装置1によるファイル変換処理の動作の説明を続ける。ユーザがユーザ操作画面内の「VIB生成」ボタンまたは「MOV生成」ボタンを押すと、アプリケーション実行部11は、ユーザ操作画面内の入力情報(選択された機能、入出力ファイル名)を読み取る(ステップS2)。ここで、ボタンを押すとは、例えば、マウスなどのポインティングデバイスによってユーザ操作画面内のボタンをクリックすることである。
【0037】
次に、アプリケーション実行部11は、選択された機能が「MOV生成」であるか否かを判定する(ステップS3)。この判定の結果、選択された機能が「MOV生成」であった場合(ステップS3:YES)、アプリケーション実行部11は、処理をステップS4に進める。一方、選択された機能が「MOV生成」でなかった場合、すなわち選択された機能が「VIB生成」であった場合(ステップS3:NO)、アプリケーション実行部11は、処理をステップS5に進める。
【0038】
ステップS4において、アプリケーション実行部11は、入力部12に対して、入力ファイル名入力欄に入力されたMOVファイル名で特定されるMOVファイル(ここでは、MOVファイル7)を読み込む指示を出す。これを受けて、入力部12は、MOVファイル7を読み込む。続いて、アプリケーション実行部11は、処理をステップS6に進める。
【0039】
なお、ステップS4において、アプリケーション実行部11は、入力ファイル名入力欄にVIBファイル名が入力されている場合には、VIBファイル名で特定されるVIBファイル(ここでは、VIBファイル8)を読み込む指示を出す。これを受けて、入力部12は、VIBファイル8を読み込む。続いて、アプリケーション実行部11は、処理をステップS6に進める。
【0040】
ステップS5において、アプリケーション実行部11は、入力部12に対して、入力ファイル名入力欄に入力されたWAVファイル名で特定されるWAVファイル(ここでは、WAVファイル6)を読み込む指示を出す。これを受けて、入力部12は、WAVファイル6を読み込む。続いて、アプリケーション実行部11は、処理をステップS6に進める。
【0041】
次に、アプリケーション実行部11は、変換処理部13にファイル変換処理を実行させる(ステップS6)。このファイル変換処理の詳細な動作について、
図9を参照して説明する。
【0042】
図9は、本実施形態の変換処理部13が行うファイル変換処理の動作の一例を示すフローチャートである。変換処理部13のファイル操作部131は、入力ファイルを取得する。次に、データ操作部132のチャンネル数変換部133は、ファイル操作部131が取得した入力ファイルのチャンネル数が、記憶部136に記憶されている構成情報が示す、振動発生部5が備える振動子の数と一致するか否かを判定する(ステップS60)。
【0043】
ここで、入力ファイル(WAVファイル6、MOVファイル7、または、VIBファイル8)には、予めチャンネル数が定められている。例えば、左右の2スピーカを備えるステレオ音響システム用に生成されたWAVファイルの場合のチャンネル数とは、2チャンネルである。また、例えば、左前、右前、中前、および後の4スピーカを備えるサラウンド音響システム用に生成されたWAVファイルの場合のチャンネル数とは、4チャンネルである。また、振動発生部5が備える振動子の数とは、例えば、上述したように4個である。
【0044】
チャンネル数変換部133は、入力ファイルのチャンネル数が2チャンネルであり、振動子の数が4個であって、入力ファイルのチャンネル数と振動発生部5が備える振動子の数とが一致しないと判定した場合(ステップS60:NO)、処理をステップS61に進める。一方、チャンネル数変換部133は、入力ファイルのチャンネル数が4チャンネルであり、振動子の数が4個であって、入力ファイルのチャンネル数と振動発生部5が備える振動子の数とが一致する判定した場合(ステップS60:YES)、処理をステップS62に進める。
【0045】
ステップS61において、チャンネル数変換部133は、チャンネル数変換処理を行う。具体的には、チャンネル数変換部133は、入力ファイルのチャンネル数が2チャンネルであり、振動子の数が4個である場合、チャンネル数を2チャンネルから4チャンネルに拡張する処理を行う。例えば、チャンネル数変換部133は、入力ファイルの2チャンネルのデータに対して位相変換演算を行って、新たに2チャンネルのデータを生成することにより、チャンネル数を2チャンネルから4チャンネルに拡張する。続いて、チャンネル数変換部133は、処理をステップS62に進める。
【0046】
なお、ここでは、チャンネル数変換部133は、チャンネル数を拡張する処理を行う例について説明したが、これに限られない。例えば、チャンネル数変換部133は、チャンネル数を縮小する処理を行ってもよい。具体的には、チャンネル数変換部133は、入力ファイルのチャンネル数が4チャンネルであり、振動子の数が2個である場合には、チャンネル数を4チャンネルから5チャンネルに縮小する処理を行う。この場合、チャンネル数変換部133は、入力ファイルの各チャンネルのデータを2チャンネルごとに加算する演算を行うことにより、チャンネル数を4チャンネルから2チャンネルに縮小する。
【0047】
次に、データ操作部132のチャンネルポジション変換部134は、入力ファイル(ステップS61においてチャンネル数の変換が行われた場合には、変換後のファイル。以下、ステップS62およびステップS63においてチャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルと記載する。)の各チャンネルのチャンネルポジションが、記憶部136に記憶されている構成情報が示す、振動発生部5が備える振動子の配置と一致するか否かを判定する(ステップS62)。
【0048】
ここで、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルには、予め各チャンネルのチャンネルポジションが定められている。例えば、左右の2スピーカを備えるステレオ音響システム用に生成された2チャンネルのWAVファイルの場合、チャンネルポジションとは、第1チャンネルが左LEFT、第2チャンネルが右RIGHTである。また、例えば、左前、右前、中前、および後の4スピーカを備えるサラウンド音響システム用に生成された4チャンネルのWAVファイルの場合、チャンネルポジションとは、第1チャンネルが左前FL、第2チャンネルが右前FR、第3チャンネルが中前FC、第4チャンネルが後Rである。また、振動発生部5が備える振動子の配置とは、例えば、上述したように振動子51が左前FL、振動子52が右前FR、振動子53が左後RL、および振動子54が右後RRである。
【0049】
一例として、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルが、4チャンネルのWAVファイルであって、第1チャンネルが左前FL、第2チャンネルが右前FR、第3チャンネルが中前FC、第4チャンネルが後Rである場合について説明する。この場合、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルのチャンネルポジションは、左前FL、右前FR、中前FC、後Rであるのに対し、振動子の配置が、左前FL、右前FR、左後RL、右後RRである。すなわち、チャンネルポジションのうち中前FC、後Rと、振動子の配置のうち左後RL、右後RRとが相違する。したがってこの場合、チャンネルポジション変換部134は、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルのチャンネルポジションと、振動子の配置とが一致しないと判定し(ステップS62:NO)、処理をステップS63に進める。
【0050】
一方、チャンネルポジション変換部134は、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルのチャンネルポジションと振動子の配置とが一致したと判定した場合(ステップS62:YES)には、処理をステップS64に進める。
【0051】
ステップS63において、チャンネルポジション変換部134は、チャンネルポジション変換処理を行う。上述したように、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルのチャンネルポジションが、左前FL、右前FR、中前FC、後Rであり、振動子の配置が、左前FL、右前FR、左後RL、右後RRである場合、チャンネルポジション変換部134は、振動子の配置に応じて、このファイルに対して振動の定位を変換する処理を行う。具体的には、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルのチャンネルポジションのうち、第3チャンネル(中前FC)のデータを、左前FL、右前FRの各チャンネルのデータに加算する演算を行う。また、チャンネルポジション変換部134の判定対象のファイルのチャンネルポジションのうち、第4チャンネル(後R)のデータを、左後RL、右後RRの各チャンネルのデータに分割する演算を行う。続いて、チャンネルポジション変換部134は、処理をステップS64に進める。
【0052】
次に、データ操作部132のファイル形式変換部135は、入力ファイル(ステップS61においてチャンネル数の変換が行われた場合には、チャンネル数変換後のファイルを判定対象とする。さらに、ステップS63においてチャンネルポジションの変換が行われた場合には、チャンネルポジション変換後のファイルを判定対象とする。以下、ステップS64およびステップS65においてファイル形式変換部135の判定対象のファイルと記載する。)が出力ファイルの形式と一致しているか否かを判定する(ステップS64)。ここでは、ユーザによってVIB生成機能が選択されている場合、すなわち、出力ファイルの形式がVIBファイルである場合について説明する。
【0053】
ファイル形式変換部135は、ファイル形式変換部135の判定対象のファイルがVIBファイルであると判定した場合(ステップS64:YES)、当該ファイルをVIBファイル10として出力部16に出力して、処理を終了する。一方、ファイル形式変換部135は、ファイル形式変換部135の判定対象のファイルがVIBファイルでないと判定した場合(ステップS64:NO)、処理をステップS65に進める。
【0054】
ステップS65において、ファイル形式変換部135は、ファイル形式変換部135の判定対象のファイルをVIBファイルに変換し、変換したVIBファイルをVIBファイル10として出力部16に出力して、処理を終了する。
【0055】
なお、ユーザによってMOV生成機能が選択されている場合、すなわち、出力ファイルの形式がMOVファイルである場合には、ファイル形式変換部135は、上述のステップS64において、ファイル形式変換部135の判定対象のファイルがMOVファイルであるか否かを判定する。また、出力ファイルの形式がMOVファイルである場合には、ファイル形式変換部135は、ファイル形式変換部135の判定対象のファイルがMOVファイルであると判定した場合、当該ファイルをMOVファイル9として出力部16に出力して、処理を終了する。また、出力ファイルの形式がMOVファイルである場合には、ファイル形式変換部135は、上述のステップS65において、ファイル形式変換部135の判定対象のファイルをMOVファイルに変換し、変換したMOVファイルをMOVファイル9として出力部16に出力して、処理を終了する。
【0056】
これにより、変換処理部13によって、振動発生部5の構成に適合したVIBファイル10、またはMOVファイル9が生成されることになる。
【0057】
次に、
図11を参照して、振動データがユーザ領域に書き込まれたマルチメディアコンテナ(MOVファイル)を再生する動作を説明する。
図11は、本実施形態のデータ処理装置1が、振動データがユーザ領域に書き込まれたマルチメディアコンテナファイル(MOVファイル)を再生する動作の一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、ユーザが操作部2を操作して、振動データを含むMOVファイル9の再生を実行する操作が行われると、アプリケーション実行部11は、入力部12に対して、MOVファイルの読み込みを指示する。これを受けて、入力部12は、再生実行が行われた振動データを含むMOVファイル9を読み込む(ステップS11)。そして、アプリケーション実行部11は、変換処理部13、音声処理部14及び画像処理部15に対して、再生処理の実行を指示する。これを受けて、画像処理部15は、入力部12において入力したMOVファイル9のデータのうち、画像データを取り出して、表示部3の表示するフォーマットに変換し、出力部16を介して表示部3へ出力することにより画像の再生を行う(ステップS12)。
【0059】
この画像再生と同期して、音声処理部14は、入力部12において入力したMOVファイル9のデータのうち、音声データを取り出す。そして、音声出力部4から出力可能なフォーマットに変換し、出力部16を介して音声出力部4へ出力することにより、画像再生と同期して音声の再生を行う(ステップS13)。
【0060】
さらに、画像再生と同期して、変換処理部13のデータ操作部132は、入力部12において入力したMOVファイル9のデータのうち、振動データを取り出す。そして、振動発生部5において振動を発生することが可能なフォーマットに変換し、出力部16を介して振動発生部5へ出力することにより、画像再生と同期して振動を発生する(ステップS14)。振動データは、画像再生に合わせて振動の定位や振動源の移動を制御する。例えば、振動データを画像中の物体の動きに合わせて、振動の定位や振動源の位置を制御する。これにより、画像中に自動車が映し出されているときに、画像中の自動車の動きに合わせて振動源の位置と移動量を制御することにより、あたかもその場にユーザがいるような場面を作り出すことができる。
【0061】
次に、アプリケーション実行部11は、MOVファイル9の最後まで読み出したか否かを判定し(ステップS15)、最後でなければ次のデータを読み出して、画像と音声と振動を同期して再生する処理を繰り返す。一方、MOVファイル9の最後まで読み出した場合は処理を終了する。
【0062】
このように、画像と音声と振動とを同期して再生することができるため、画像と音声に加えて、振動による演出効果を得ることが可能となる。また、ユーザは、当該演出効果により、画像と音声に対して従来よりもリアリティを感じることができる。
【0063】
なお、前述した説明においては、マルチメディアコンテナファイルの例として、MOVファイルを用いる例を説明したが、振動データを追加するマルチメディアコンテナファイルは、MOVファイルに限定するものではなく、既存の他のマルチメディアコンテナファイルであってもよい。すなわち、ユーザ領域を設けることが可能で、このユーザ領域に振動データを書き込むことが可能であれば、マルチメディアコンテナファイルは何でもよい。
【0064】
また、ここでは、アプリケーション実行部11がMOVファイル9を再生する場合を一例にして説明したが、アプリケーション実行部11は、VIBファイル10を再生してもよい。このようにしても、アプリケーション実行部11は、振動の定位や振動源の位置を制御することができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態のデータ処理装置1が備える変換処理部13は、振動発生部5(振動部)の構成を示す構成情報と、入力されるWAVファイル6、MOVファイル7、またはVIBファイル8(第1の振動データ)とに基づいて、第1の振動データを、振動発生部5の振動状態により振動の定位を制御するMOVファイル9またはVIBファイル10(第2の振動データ)に変換する。これにより、データ処理装置1は、振動発生部5の構成に適合したMOVファイル9、またはVIBファイル10を生成することができる。すなわち、データ処理装置1は、出力対象のマルチチャンネルシステムの種類を拡張することができる。
【0066】
また、変換処理部13は、さらに入力されるWAVファイル6、MOVファイル7、またはVIBファイル8(第1の振動データ)のチャンネル数と、振動発生部5が備える振動素子の数を示す情報とに基づいて、入力ファイル(第1の振動データ)から出力ファイル(第2の振動データ)に変換する。これにより、変換処理部13は、振動素子の数に応じたチャンネル数を有する出力ファイルを生成することができる。
【0067】
また、変換処理部13は、振動発生部5が備える振動素子の数と、入力されるWAVファイル6、MOVファイル7、またはVIBファイル8(第1の振動データ)のチャンネル数とが相違する場合には、振動発生部5が備える振動素子の数に応じて、入力ファイル(第1の振動データ)のチャンネル数を変換する。これにより、変換処理部13は、振動素子の数に応じたチャンネル数を有する出力ファイルを生成することができる。したがって、この変換処理部13を備えない場合に比べて、ユーザが感じる振動の定位感および移動感をさらに向上させることができる。
【0068】
また、変換処理部13は、さらに振動発生部5が備える振動素子の位置を示す情報と、入力されるWAVファイル6、MOVファイル7、またはVIBファイル8(第1の振動データ)の各チャンネルの定位を示す定位情報とに基づいて、入力ファイル(第1の振動データ)から出力ファイル(第2の振動データ)に変換する。これにより、変換処理部13は、振動素子の配置に応じた振動の定位情報を有する出力ファイルを生成することができる。
【0069】
また、変換処理部13は、振動発生部5が備える振動素子の位置と、定位情報が示す入力されるWAVファイル6、MOVファイル7、またはVIBファイル8(第1の振動データ)の各チャンネルの定位とが相違する場合には、振動素子の位置に応じて、入力ファイルの各チャンネルの定位を変換する。これにより、変換処理部13は、振動素子の配置に応じた振動の定位情報を有する出力ファイルを生成することができる。したがって、この変換処理部13を備えない場合に比べて、ユーザが感じる振動の定位感および移動感をさらに向上させることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、音声データが記録されたファイルとしてWAVファイルを用いた例について説明したが、音声データが記録されたファイルはWAVファイルに限定されるものではない。例えば、既存の他の音声データが記録されたファイルを用いてもよい。
【0071】
なお、データ処理装置1が、アプリケーション実行部11と変換処理部13とを備え、変換処理部13が変換(生成)したMOVファイル9、またはVIBファイル10を、アプリケーション実行部11が振動発生部5に供給して振動させる構成を一例に説明したが、これに限られない。例えば、アプリケーション実行部11と、変換処理部13とは、互いに異なる装置に備えられていてもよい。すなわち、第1のデータ処理装置が、変換処理部13を少なくとも備え、第2のデータ処理装置が、アプリケーション実行部11と振動発生部5とを少なくとも備える構成であってもよい。この場合、第2のデータ処理装置とは、アプリケーション装置である。このように構成しても、第1のデータ処理装置の変換処理部13が変換(生成)したMOVファイル9、またはVIBファイル10を、第2のデータ処理装置のアプリケーション実行部11に供給することにより、上述の効果を奏することができる。このように構成することにより、第1のデータ処理装置、および第2のデータ処理装置をいずれも小型化することができる。
【0072】
なお、
図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりファイル操作処理及びデータ操作処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0073】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0074】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。