(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、少なくとも1種の粉体を含有してなり、前記オルガノポリシロキサン(A)と少なくとも1種の粉体(B)の質量比が、(A)/(B)=70/30〜5/95の割合である請求項5に記載のゴム用配合剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のスルフィド基を有する有機基、長鎖アルキル基等の炭素数5〜10の一価炭化水素基、加水分解性基及び/又は水酸基をそれぞれ含有するオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)で表され、かつスルフィド当量が1,000g/mol以下である。
(A)
a(B)
b(C)
c(R
1)
dSiO
(4-2a-b-c-d)/2 (1)
(式中、Aはスルフィド基含有二価有機基であり、Bは炭素数5〜10の一価炭化水素基であり、Cは加水分解性基及び/又は水酸基であり、R
1は炭素数1〜4の一価炭化水素基であり、a、b、c、dは、0<2a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<2、且つ0<2a+b+c+d<4である。)
【0014】
上記式(1)中、Aはスルフィド基含有二価有機基であり、より具体的には、下記式(2)で表されるものが好ましい。
*−(CH
2)
n−S
x−(CH
2)
n−
* (2)
(式中、nは1〜10、好ましくは2〜4の整数であり、xは統計的平均値で1〜6、好ましくは2〜4を表す。
*−、−
*は結合手を示す。)
【0015】
前記スルフィド基含有二価有機基としては、
−CH
2−S
2−CH
2−、
−C
2H
4−S
2−C
2H
4−、
−C
3H
6−S
2−C
3H
6−、
−C
4H
8−S
2−C
4H
8−、
−CH
2−S
4−CH
2−、
−C
2H
4−S
4−C
2H
4−、
−C
3H
6−S
4−C
3H
6−、
−C
4H
8−S
4−C
4H
8−
等が挙げられる。
【0016】
また、Bは炭素数5〜10、好ましくは炭素数8〜10の一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては、炭素数5〜10の直鎖状、分岐状又は環状のペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、炭素数6〜10のフェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基などが挙げられ、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましく、中でもオクチル基、デシル基が好ましい。
【0017】
Cは加水分解性基及び/又は水酸基であり、より具体的には、下記式(3)で表されるものが好ましい。
*−OR
2 (3)
(式中、R
2は炭素数1〜20、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基、又は水素原子を表す。
*−は結合手を示す。この場合、−OR
2中、R
2が水素原子である−OH基の割合は、0〜30モル%、特に0〜10モル%であることが好ましい。)
【0018】
上記式(3)中、R
2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基などが挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基などが挙げられる。R
2としては、中でもエチル基が好ましい。
【0019】
上記式(1)中、R
1は炭素数1〜4の一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。中でもメチル基が好ましい。
【0020】
また、a、b、c、dは、0<2a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<2、且つ0<2a+b+c+d<4であり、後述するスルフィド当量の範囲内とするためには、好ましくは0.2≦2a≦0.95、0.05≦b≦0.8、1≦c≦2、0≦d≦0.1、且つ1.3≦2a+b+c+d<4であり、より好ましくは0.4≦2a≦0.95、0.05≦b≦0.6、1≦c≦1.7、0≦d≦0.05、且つ1.5≦2a+b+c+d<4である。
ここで、a、b、dは、ケイ素原子の合計モル数を1とした場合の各有機基の平均モル数を意味しており、各有機基が一分子中に平均何モル%含まれているかを示している。Aは二価の有機基を示すため2aという表記になる。また、cはケイ素原子1モルに対し、ケイ素原子上に加水分解性基が平均何モル%含まれているかを示している。
【0021】
本発明のオルガノポリシロキサンは、スルフィド当量が1,000g/mol以下、好ましくはスルフィド当量が500〜900g/mol、より好ましくはスルフィド当量が500〜800g/molのものである。
ここで、スルフィド当量について説明する。スルフィド当量とは、スルフィド基1molを含むオルガノポリシロキサンの質量のことを示し、下記式により導き出される。
スルフィド当量=32.1×e×100/f (g/mol)
(式中、eはスルフィド基の平均硫黄鎖長であり、fはオルガノポリシロキサン中の硫黄含有量(質量%)を示す。)
スルフィド当量が1,000g/molを超えると、フィラーの処理剤として用いた際のゴム中への分散性が不足したり、シリカ充填タイヤの耐磨耗性や転がり性に劣る場合があるなど、所望の効果が得られない。なお、本発明のオルガノポリシロキサンにおいて、スルフィド当量を上記範囲とするためには、上述した式(1)中のa〜dを上記範囲とすることが好ましく、この範囲とするためには、例えば、オルガノポリシロキサンを製造する際に、原料となる各種の有機ケイ素化合物の反応割合を上記a〜dの範囲内となるように調整することで達成できる。
【0022】
また、本発明のオルガノポリシロキサン中の硫黄含有量は、6〜30質量%であることが好ましく、7〜28質量%であることがより好ましい。硫黄含有量が少なすぎると上記スルフィド当量が大きくなるため所望のゴム物性が得られない場合があり、多すぎると効果が飽和し、非経済的となる場合がある。なお、硫黄含有量は、CARLO ERBA社製 Mod−1106等を用いた元素分析により測定した値である。
【0023】
更に、本発明のオルガノポリシロキサンの粘度は、好ましくは2mm
2/s〜10,000mm
2/sであり、より好ましくは10mm
2/s〜5,000mm
2/sである。粘度が大きすぎると、加工性が悪化する場合がある。なお、粘度は毛細管式動粘度計による25℃における測定に基づく。
【0024】
本発明のオルガノポリシロキサンの製造は、下記一般式(4)
【化1】
(式中、n、xは上記と同様であり、R
3は炭素数1〜20、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基であり、R
4は炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であり、yは1〜3の整数、特に2又は3を表す。)
で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(5)
【化2】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、pは5〜10、好ましくは8〜10の整数を表す。)
で表される有機ケイ素化合物と、必要により、下記一般式(6)
【化3】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、qは1〜4、好ましくは1〜3の整数を表す。)
で表される有機ケイ素化合物とを共加水分解縮合することにより行われる。
【0025】
上記式(4)〜(6)中、R
3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基などが挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基などが挙げられ、中でもエチル基が好ましい。
R
4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられ、中でもメチル基が好ましい。
【0026】
上記式(4)で表される有機ケイ素化合物としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどが挙げられる。
【0027】
上記式(5)で表される有機ケイ素化合物としては、特に限定されないが、具体的には、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルメチルジメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルメチルジメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0028】
上記式(6)で表される有機ケイ素化合物としては、特に限定されないが、具体的には、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0029】
ここで、上記式(4)、(5)、(6)の有機ケイ素化合物の使用量は、式(1)において、a〜dが上述した数となるように選択される。具体的には、式(4)、(5)、(6)の有機ケイ素化合物全体に対し、式(4)の有機ケイ素化合物は10〜93モル%、特に20〜93モル%であることが好ましく、式(5)の有機ケイ素化合物は5〜80モル%、特に5〜70モル%、とりわけ5〜60モル%であることが好ましく、式(6)の有機ケイ素化合物は0〜10モル%、特に0〜5モル%であることが好ましい。
【0030】
共加水分解縮合は、公知の方法によって行うことができ、使用する水の量も公知の量とすることができ、通常、有機ケイ素化合物中の加水分解性シリル基の合計1モルに対し、0.5〜0.99モルであり、より好ましくは0.5〜0.9モル使用することができる。
【0031】
本発明のオルガノポリシロキサンの製造には、必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。溶媒としては特に限定されないが、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。中でも、加水分解反応性に優れるという観点から、エタノール、i−プロパノールが好ましい。上記溶媒を使用する場合、その使用量は特に限定されないが、上記有機ケイ素化合物の質量の2倍量以下程度が好適であり、好ましくは有機ケイ素化合物の質量と同量以下程度である。
【0032】
また、本発明のオルガノポリシロキサンの製造には、必要に応じて触媒を用いてもよい。触媒としては特に限定されないが、具体的には、塩酸、酢酸などの酸性触媒、テトラブチルオルトチタネート、アンモニウムフルオリドなどのルイス酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物が挙げられる。シランの加水分解反応(及び/又は一部縮合)の触媒として、例えば塩酸を使用し、シラノールの縮合(オリゴマー化)の触媒として、例えば水酸化カリウムを使用することができる。触媒の量(シランの加水分解反応の触媒とシラノールの縮合反応の触媒を併用する場合はそれぞれの量)は、反応性に優れるという観点から、有機ケイ素化合物中の加水分解性シリル基の合計1モルに対し0.001〜0.05(単位:モル当量)であるのが好ましい。
【0033】
なお、共加水分解縮合は、通常、20〜100℃、特に60〜85℃にて30分〜20時間、特に1分〜10時間行うことができる。
【0034】
本発明のゴム用配合剤は、本発明のオルガノポリシロキサン(A)を含むものである。また、本発明のオルガノポリシロキサン(A)を予め少なくとも1種の粉体(B)と混合したものをゴム用配合剤として使用することも可能である。粉体(B)としては、カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム等が挙げられる。補強性の観点からシリカ及び水酸化アルミニウムが好ましく、シリカが特に好ましい。
【0035】
粉体(B)の配合量は、(A)成分と(B)成分の質量比((A)/(B))で好ましくは70/30〜5/95、更に好ましくは60/40〜10/90の割合である。粉体(B)の量が少なすぎるとゴム用配合剤が液状となり、ゴム混練機への仕込みが困難となる場合がある。粉体(B)の量が多すぎるとゴム用配合剤の有効量に対し、全体量が多くなってしまい輸送費用が高くなる場合がある。
【0036】
本発明のゴム用配合剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体等の有機ポリマーやゴムと混合されたものでもよく、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合してもよく、その形態として液体状でも固体状でもよく、更に有機溶剤に希釈したものでもよく、またエマルジョン化したものでもよい。
【0037】
本発明のゴム用配合剤は、フィラー、特にシリカ配合のゴム組成物に対して好適に用いられる。
この場合、上記ゴム用配合剤の添加量はゴム組成物に配合されるフィラー100質量部に対して本発明のオルガノポリシロキサンを0.2〜30質量部、特に1〜20質量部添加するのが望ましい。オルガノポリシロキサンの添加量が少なすぎると所望のゴム物性が得られない場合がある。逆に多すぎると添加量に対して効果が飽和し、非経済的である。
【0038】
ここで、本発明のゴム用配合剤を用いるゴム組成物に主成分として配合されるゴムとしては、従来から各種ゴム組成物に一般的に配合されている任意のゴム、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムやエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR,EPDM)などを単独又は任意のブレンドとして使用することができる。また、配合されるフィラーとしては、シリカ、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。なお、フィラーの配合量は本発明の目的に反しない限り従来の一般的な配合量とすることができる。
【0039】
本発明のゴム用配合剤を用いるゴム組成物には、前述した必須成分に加えて、カーボンブラック、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。これら添加剤の配合量も本発明の目的に反しない限り従来の一般的な配合量とすることができる。
【0040】
なお、これらのゴム組成物において、本発明のオルガノポリシロキサンは、公知のシランカップリング剤の代わりをなすことも可能であるが、更に他のシランカップリング剤の添加は任意であり、従来からシリカ充填剤と併用される任意のシランカップリング剤を添加してもよい。それらの典型例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド、ビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド等を挙げることができる。
【0041】
本発明のゴム用配合剤を配合してなるゴム組成物は、一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋して使用することができる。
【0042】
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いることを特徴とし、上記のゴム組成物がトレッドに用いられていることが好ましい。本発明のタイヤは、転がり抵抗が大幅に低減されていることに加え、耐磨耗性も大幅に向上していることから、所望の低燃費性を実現できる。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤが空気入りのタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体として通常のあるいは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例において、部は質量部であり、Etはエチル基を示し、元素分析はCARLO ERBA社製 Mod−1106により測定したものである。粘度は毛細管式動粘度計を用いて25℃で測定した値である。
【0044】
[実施例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)161.7g(0.3mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)165.9g(0.6mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水16.2g(水0.9mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液7.8gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が80mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は14.7質量%であり、スルフィド当量は870g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー1とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.25(-C
8H
17)
0.50(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0045】
[実施例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)161.7g(0.3mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)138.3g(0.5mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水14.9g(水0.83mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液7.2gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が220mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は16.1質量%であり、スルフィド当量は796g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー2とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.27(-C
8H
17)
0.45(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0046】
[実施例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)161.7g(0.3mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)110.6g(0.4mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水13.5g(水0.75mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液6.5gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が800mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は17.8質量%であり、スルフィド当量は723g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー3とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.30(-C
8H
17)
0.40(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0047】
[実施例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)161.7g(0.3mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)83.0g(0.3mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水12.2g(水0.68mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液5.9gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が2,000mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は19.8質量%であり、スルフィド当量は649g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー4とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.33(-C
8H
17)
0.33(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0048】
[実施例5]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)210.2g(0.39mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)83.0g(0.3mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水13.0g(水0.72mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液6.3gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が70mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は20.9質量%であり、スルフィド当量は615g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー5とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.36(-C
8H
17)
0.28(-OC
2H
5)
1.67SiO
0.67
【0049】
[実施例6]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)231.8g(0.43mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)83.0g(0.3mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水13.9g(水0.77mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液6.7gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が220mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は21.4質量%であり、スルフィド当量は599g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー6とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.37(-C
8H
17)
0.26(-OC
2H
5)
1.67SiO
0.67
【0050】
[実施例7]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)247.9g(0.46mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)83.0g(0.3mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水14.6g(水0.81mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液7.0gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が2,600mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は21.8質量%であり、スルフィド当量は589g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー7とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.38(-C
8H
17)
0.25(-OC
2H
5)
1.67SiO
0.67
【0051】
[比較例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)107.8g(0.2mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)276.5g(1.0mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水18.9g(水1.05mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液9.1gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が10mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は8.4質量%であり、スルフィド当量は1,533g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー8とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.14(-C
8H
17)
0.71(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0052】
[比較例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)107.8g(0.2mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)221.2g(0.8mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水16.2g(水0.9mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液7.8gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が20mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は9.8質量%であり、スルフィド当量は1,312g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー9とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.17(-C
8H
17)
0.67(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0053】
[比較例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)107.8g(0.2mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3083)165.9g(0.6mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水13.5g(水0.75mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液6.5gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が35mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は11.8質量%であり、スルフィド当量は1,091g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー10とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.20(-C
8H
17)
0.60(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0054】
[比較例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)161.7g(0.3mol)、プロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3033)61.9g(0.3mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水12.2g(水0.68mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液5.9gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が350mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は22.2質量%であり、スルフィド当量は579g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー11とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.33(-C
3H
7)
0.33(-OC
2H
5)
1.50SiO
0.75
【0055】
[比較例5]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業(株)製、KBE−846)247.9g(0.46mol)、プロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBE−3033)61.9g(0.3mol)、エタノール162.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水14.6g(水0.81mol)を滴下した。次いで、80℃にて2時間撹拌した。その後、濾過、5質量%KOH/EtOH溶液7.0gを滴下し、80℃で2時間撹拌した。更に、減圧濃縮、濾過することで、粘度が800mm
2/sの褐色透明液体を得た。元素分析の結果、得られたシリコーンオリゴマーの硫黄含有量は23.6質量%であり、スルフィド当量は543g/molであり、下記平均組成式で示されるものであった。得られたオリゴマーをオリゴマー12とする。
(-C
3H
6-S
4-C
3H
6-)
0.38(-C
3H
7)
0.25(-OC
2H
5)
1.67SiO
0.67
【0056】
[実施例8〜14、比較例6〜11]
表1,2に示すように、油展エマルジョン重合SBR(JSR(株)製#1712)110部、NR(一般的なRSS#3グレード)20部、カーボンブラック(一般的なN234グレード)20部、シリカ(日本シリカ工業(株)製ニプシルAQ)50部、実施例1〜7及び比較例1〜5のオリゴマー又は下記に示す比較化合物A6.5部、ステアリン酸1部、老化防止剤6C(大内新興化学工業(株)製ノクラック6C)1部を配合してマスターバッチを調製した。これに亜鉛華3部、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)0.5部、加硫促進剤NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1部、硫黄1.5部を加えて混練し、ゴム組成物を得た。
【0057】
〔比較化合物A〕
【化4】
【0058】
次に、ゴム組成物の未加硫又は加硫物性を下記の方法で測定した。結果を表1,2に示す。
【0059】
〔未加硫物性〕
(1)ムーニー粘度
JIS K 6300に準拠し、余熱1分、測定4分、温度130℃にて測定し、比較例11を100として指数で表した。指数値が小さいほど、ムーニー粘度が低く加工性に優れている。
【0060】
〔加硫物性〕
(2)動的粘弾性
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、引張の動歪5%、周波数15Hz、60℃の条件にて測定した。なお、試験片は厚さ0.2cm、幅0.5cmのシートを用い、使用挟み間距離2cmとして初期荷重を160gとした。tanδの値は比較例11を100として指数で表した。指数値が小さいほど、ヒステリシスロスが小さく低発熱性である。
【0061】
(3)耐磨耗性
JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン型磨耗試験機を用いて室温、スリップ率25%の条件で試験を行い、比較例11の磨耗量の逆数を100として指数で表した。指数値が大きいほど、磨耗量が少なく耐磨耗性に優れることを示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】