特許第6384468号(P6384468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384468
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180827BHJP
   C09K 11/86 20060101ALI20180827BHJP
   C09K 11/66 20060101ALI20180827BHJP
   C09K 11/61 20060101ALI20180827BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20180827BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20180827BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20180827BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01L33/50
   C09K11/86CPG
   C09K11/86CPS
   C09K11/66CPT
   C09K11/61CQD
   C09K11/80CPM
   C09K11/64CPF
   C09K11/08 J
   H05B33/14 Z
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-249862(P2015-249862)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-117875(P2017-117875A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】浅井 謙次
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0184813(US,A1)
【文献】 特開2015−228419(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/203841(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0349213(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
440nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、
下記式(I)で表される組成を有し、650nm以上に発光ピーク波長を有する第一蛍光体及び下記式(II)で表される組成を有し、610nm以上650nm以下に発光ピーク波長を有する第二蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体、
下記式(III)で表される組成を有し、480nm以上630nm以下に発光ピーク波長を有する第三蛍光体、
下記式(IV)で表わされる組成を有し、620nm以上650nm以下に発光ピーク波長を有する第四蛍光体、並びに
下記式(V)で表わされる組成を有し、510nm以上540nm以下に発光ピーク波長を有する第五蛍光体を含む蛍光部材と、
を備え、
前記蛍光部材が第一蛍光体を含む場合、第一蛍光体の総蛍光体に対する含有率が4質量%以上48質量%以下であり、
前記蛍光部材が第二蛍光体を含む場合、第二蛍光体の総蛍光体に対する含有率が8質量%以上29質量%以下であり、
前記蛍光部材が第一蛍光体及び第二蛍光体を含む場合、第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の総蛍光体に対する含有率が25質量%以上45質量%以下であり、
前記蛍光部材中の第三蛍光体の総蛍光体に対する含有率が30質量%以上90質量%以下であり、
前記蛍光部材中の第四蛍光体の総蛍光体に対する含有率が1質量%以上20質量%以下であり、
前記蛍光部材中の第五蛍光体の総蛍光体に対する含有率が1質量%以上20質量%以下であり、
相関色温度が2000K以上3500K以下の光を発し、
前記蛍光部材が第一蛍光体を含み、第二蛍光体を含まないとき、
相関色温度が2850K以上3500K以下の場合に、第一蛍光体の総蛍光体に対する含有率が15質量%以上45質量%以下であり、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.2以上1.0以下であり、
相関色温度が2000K以上2850K未満の場合に、第一蛍光体の総蛍光体に対する含有率が30質量%以上48質量%以下であり、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.6以上1.5以下であり、
前記蛍光部材が第二蛍光体を含み、第一蛍光体を含まないとき、
相関色温度が2850K以上3500K以下の場合に、第二蛍光体の総蛍光体に対する含有率が8質量%以上20質量%以下であり、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.1以上0.4以下であり、
相関色温度が2000K以上2850K未満の場合に、第二蛍光体の総蛍光体に対する含有率が25質量%以上35質量%以下であり、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.3以上0.6以下であり、
前記蛍光部材が第一蛍光体及び第二蛍光体を含み、
相関色温度が2850K以上3500K以下の場合に、第一蛍光体及び第二蛍光体の総蛍光体に対する含有率が25質量%以上42質量%以下であり、第二蛍光体に対する第一蛍光体の含有比が0.4以上1.6以下であり、第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の第三蛍光体の含有量に対する含有比が0.4以上1.0以下であり、
相関色温度が2000K以上2850K未満の場合に、第一蛍光体及び第二蛍光体の総蛍光体に対する含有率が30質量%以上45質量%以下であり、第二蛍光体に対する第一蛍光体の含有比が0.22以上0.8以下であり、第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の第三蛍光体の含有量に対する含有比が0.5以上0.9以下である発光装置。
(x-s)MgO・(s/2)Sc・yMgF・uCaF・(1-t)GeO・(t/2)M:zMn4+ (I)
[M1-p]:pMn4+ (II)
LuAl12:Ce (III)
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (IV)
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (V)
(式中、MtはAl、Ga及Inからなる群から選択される少なくとも1種であり、x、y、z、s、t及びuはそれぞれ、2≦x≦4、0<y<1.5、0<z<0.05、0≦s<0.5、0<t<0.5、及び0≦u<1.5を満たす。Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNHからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、pは0<p<0.2を満たす。)
【請求項2】
前記蛍光部材が前記第一蛍光体を含み、発光スペクトルにおける前記第一蛍光体の前記発光素子に対する発光ピークの強度比が、1.60以上2.65以下又は2.75以上3.50以下である請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記蛍光部材が前記第二蛍光体を含み、発光スペクトルにおける前記第二蛍光体の前記発光素子に対する発光ピークの強度比が、3.0以上5.0以下又は7.0以上9.0以下である請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記蛍光部材が前記第一蛍光体及び前記第二蛍光体を含み、前記第一蛍光体の総蛍光体に対する含有率が6質量%以上25質量%以下であり、前記第二蛍光体の総蛍光体に対する含有率が15質量%以上27質量%以下である請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記蛍光部材が前記第一蛍光体及び前記第二蛍光体を含み、前記第一蛍光体の前記第三蛍光体に対する含有比が0.12以上0.51以下であり、前記第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.32以上0.49以下である請求項1又はに記載の発光装置。
【請求項6】
前記蛍光部材が前記第一蛍光体及び前記第二蛍光体を含み、発光スペクトルにおける前記第二蛍光体の前記第一蛍光体に対する発光ピークの強度比が2.2以上3.5以下である請求項1、4又は5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第一蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅が45nm以下であり、
前記第二蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅が10nm以下であり、
前記第三蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅が53nm以上73nm以下であり、
前記第四蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅が80nm以上100nm以下であり、
前記第五蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅が50nm以上75nm以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
平均演色評価数Raが90以上である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
特殊演色評価数R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15が、いずれも80以上である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
特殊演色評価数R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15の総和が645以上である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」とも記載する。)と呼ばれる発光素子を用いる発光装置が注目されている。LEDを用いる白色系の光を発する発光装置には、種々の方式が知られている。例えば、青色に発光するLEDと黄色発光の蛍光体とを組み合わせた発光装置である。これは、青色LEDの青色光と、その光によって励起された蛍光体の黄色発光とが混色することにより白色光を放出する発光装置である。
【0003】
青色光を発する発光素子と黄色に発光する蛍光体とを組み合わせた発光装置では、可視光領域における放射強度が強く発光効率は高いが、青緑色領域及び赤色領域における放射強度が充分に得られない場合があった。そのため照射物の色の見え方(演色性)の指数である平均演色評価指数に更なる改良の余地があった。
【0004】
光源の演色性の評価手順はJIS Z8726によって、所定の反射率特性を有する試験色(R1〜R15)を、試験光源と基準光源とでそれぞれ測色した場合の色差ΔEi(iは1から15の整数)がどうなるかを数値計算して算出すると定められている。ここで演色評価数Ri(iは1から15の整数)の上限は100である。つまり、試験光源とそれに対応する色温度の基準光源の色差が小さいほど、演色性評価値は100に近づき高くなる。
【0005】
上記に関連して、青色に発光するLEDと、黄色から緑色に発光する2種類の蛍光体とを用いる発光装置が提案され、高度な色の再現性が達成できるとされている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2003−535477号公報
【特許文献2】特表2003−535478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば欧米などで特に好まれる色温度である電球色の基準光源に対して各Riの色差が小さい光源を得ようとした場合、励起光源である発光素子の発光強度、特に長波側の蛍光体における発光強度の制御は容易ではない。それは、対象の光源の色温度が電球色であるとき、少なくとも赤色に発光する蛍光体が必要となることに起因する。その赤色に発光する蛍光体の発光ピークの半値幅は広くブロードなものが一般的であり、ある特定のRiの色差を小さくすることが容易にできても、全てのRi、つまりR1〜R15の色差全てを小さくすることは容易ではなく、基準光源に近づいたスペクトルを得ることは困難であった。
【0008】
本開示の一実施形態は、優れた演色性を達成可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りであり、本開示に係る実施形態は以下の態様を包含する。
発光ピーク波長が430nm以上470nm以下の波長範囲にある発光素子と、
下記式(I)で表される組成を有する第一蛍光体及び下記式(II)で表される組成を有する第二蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体、下記式(III)で表される組成を有する第三蛍光体、下記式(IV)で表わされる組成を有する第四蛍光体、並びに下記式(V)で表わされる組成を有する第五蛍光体を含む蛍光部材と、を備える発光装置である。
(x-s)MgO・(s/2)Sc・yMgF・uCaF・(1-t)GeO・(t/2)M:zMn4+ (I)
[M1-p]:pMn4+ (II)
LuAl12:Ce (III)
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (IV)
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (V)
(式中、MはAl、Ga及Inからなる群から選択される少なくとも1種であり、x、y、z、s、t及びuはそれぞれ、2≦x≦4、0<y<1.5、0<z<0.05、0≦s<0.5、0<t<0.5、及び0≦u<1.5を満たす。Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNHからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、pは0<p<0.2を満たす。)
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る一実施形態によれば、優れた演色性を達成可能な発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る発光装置の一例を示す概略断面図である。
図2】実施例1から5に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図3】実施例6から9に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図4】実施例10から12に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図5】比較例1及び2に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図6】比較例3及び4に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図7】比較例5及び6に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図8】実施例13から15に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図9】実施例16から18に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
図10】実施例19から21に係る発光装置の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る発光装置を、実施の形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定するものではない。なお、本明細書において色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。蛍光体の平均粒径は、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザーズ・ナンバー(Fisher Sub Sieve Sizer's No.)と呼ばれる数値であり、空気透過法を用いて測定される。
【0013】
[発光装置]
発光装置は、発光ピーク波長が430nm以上470nm以下の波長範囲内にある発光素子と、下記式(I)で表される組成を有する第一蛍光体及び下記式(II)で表される組成を有する第二蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体、下記式(III)で表される組成を有する第三蛍光体、下記式(IV)で表わされる組成を有する第四蛍光体、並びに下記式(V)で表わされる組成を有する第五蛍光体を含む蛍光部材と、を備える。
【0014】
(x-s)MgO・(s/2)Sc・yMgF・uCaF・(1-t)GeO・(t/2)M:zMn4+ (I)
[M1-p]:pMn4+ (II)
LuAl12:Ce (III)
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (IV)
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (V)
【0015】
式中、MはAl、Ga及Inからなる群から選択される少なくとも1種であり、x、y、z、s、t及びuはそれぞれ、2≦x≦4、0<y<1.5、0<z<0.05、0≦s<0.5、0<t<0.5、及び0≦u<1.5を満たす。Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNHからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、pは0<p<0.2を満たす。
【0016】
発光ピーク波長が430nm以上470nm以下の青紫色から青色に発光する発光素子に、黄色発光の第三蛍光体、赤色発光の第四蛍光体、緑色発光の第五蛍光体に加えて、深赤色発光の第一蛍光体及び赤色発光の第二蛍光体の少なくとも一方を組み合わせて用いることで、長波側における発光スペクトルの連続性を大きく向上させることができる。これにより電球色の色温度において得られる発光スペクトルが、基準光源に近似したものとなり優れた演色性を達成することが可能となる。
【0017】
演色性についてCIE(国際照明委員会)は、蛍光ランプが具備すべき演色性の指針を1986年に公表しており、その指針によれば、使用される場所に応じた好ましい平均演色評価数(以下、Raと記載する)は、一般作業を行う工場では60以上80未満、住宅、ホテル、レストラン、店舗、オフィス、学校、病院、精密作業を行う工場などでは80以上90未満、高い演色性が求められる臨床検査を行う場所、美術館などでは90以上とされている。
【0018】
本実施形態の発光装置は優れた演色性を示す。具体的には、発光装置のRaは例えば80以上であり、90以上が好ましく、95以上がより好ましい。なおRaの上限は100である。また特殊演色評価数はR9からR15の評価数で表わされ、R9は赤色、R10は黄色、R11は緑色、R12は青色、R13は西洋人の肌の色、R14は木の葉の色、R15は日本人の肌の色とされている。中でも食肉などを扱う環境下で使用される照明装置ではR9の評価数が着目されたり、アパレルや写真撮影関連の環境下では、各色に対する見え方の忠実度が要求されたりすることが多い。特殊演色性評価数においても高いほど好ましいとされ、本実施形態の発光装置のR9〜R15は例えば、50以上であり、60以上が好ましく、70以上がより好ましく、80以上が更に好ましい。R9〜R15の上限はそれぞれ100である。
【0019】
発光装置が発する光は、発光素子の光と、第一蛍光体及び第二蛍光体の少なくとも一方、第三蛍光体、第四蛍光体並びに第五蛍光体とが発する蛍光との混合色であり、例えば、CIE1931に規定される色度座標が、x=0.00から0.50且つy=0.00から0.50の範囲に含まれる光とすることができ、x=0.33から0.50且つy=0.33から0.45の範囲に含まれる光とすることもできる。
発光装置が発する光の相関色温度は、例えば2000K以上とすることができ、2500K以上とすることもでる。また相関色温度は3500K以下とすることができ、3000K以下とすることもできる。
【0020】
発光装置の形式としては、ピン貫通型、表面実装型等を挙げることができる。一般にピン貫通型とは、実装基板に設けられたスルーホールに発光装置のリード(ピン)を貫通させて発光装置を固定するものを指す。また表面実装型とは、実装基板の表面において発光装置のリードを固定するものを指す。
【0021】
本発明の一本実施形態に係る発光装置100を図面に基づいて説明する。図1は、発光装置100を示す概略断面図である。発光装置100は、表面実装型発光装置の一例である。
発光装置100は、可視光の短波長側(例えば、380nm以上485nm以下の範囲)の光を発し、発光ピーク波長が430nm以上470nm以下の範囲内にある窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10と、発光素子10を載置する成形体40と、を有する。成形体40は、第1のリード20及び第2のリード30と、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む樹脂部42とが一体的に成形されてなるものである。成形体40は底面と側面を持つ凹部を形成しており、凹部の底面に発光素子10が載置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第1のリード20及び第2のリード30とワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50は例えば、発光素子10からの光を波長変換する蛍光体70として、第一蛍光体及び第二蛍光体の少なくとも1種を含む赤色蛍光体71、第三蛍光体72、第四蛍光体73並びに第五蛍光体74と、樹脂とを含有してなる。
【0022】
蛍光部材50は、発光素子10が発する光を波長変換するだけではなく、外部環境から発光素子10を保護するための部材としても機能する。図1では、蛍光体70は蛍光部材50中で偏在している。このように発光素子10に接近して蛍光体70を配置することにより、発光素子10からの光を効率よく波長変換することができ、発光効率の優れた発光装置とできる。なお、蛍光体70を含む蛍光部材50と、発光素子10との配置は、それらを接近して配置させる形態に限定されることなく、蛍光体70への熱の影響を考慮して、蛍光部材50中で発光素子10と、蛍光体70との間隔を空けて配置することもできる。また蛍光体70を蛍光部材50の全体にほぼ均一の割合で混合することによって、色ムラがより抑制された光を得るようにすることもできる。
【0023】
(発光素子)
発光素子の発光ピーク波長は、430nm以上470nm以下の範囲にあり、発光効率と演色性の観点から、440nm以上460nm以下の範囲にあることが好ましく、445nm以上455nm以下の範囲にあることがより好ましい。このような発光素子を励起光源として用い、発光素子からの光と蛍光体からの蛍光との混色光を発する発光装置を構成する。
【0024】
発光素子の発光スペクトルの半値幅は、例えば、30nm以下とすることができる。
発光素子にはLEDなどの半導体発光素子を用いることが好ましい。光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
半導体発光素子としては、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、ここでX及びYは、0≦X、0≦Y、X+Y≦1を満たす)を用いた青色等に発光する半導体発光素子を用いることができる。
【0025】
(蛍光体)
発光装置は、発光素子から発せられる光を吸収し、下記式(I)で表される組成を有し、深赤色に発光する第一蛍光体及び下記式(II)で表される組成を有し、赤色に発光する第二蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の赤色蛍光体と、下記式(III)で表される組成を有し、黄色に発光する第三蛍光体の少なくとも1種と、下記式(IV)で表される組成を有し、赤色に発光する第四蛍光体の少なくとも1種と、下記式(V)で表される組成を有し、緑色に発光する第五蛍光体の少なくとも1種を含む。第一蛍光体、第二蛍光体、第三蛍光体、第四蛍光体及び第五蛍光体はそれぞれ特定の組成を有している。第一蛍光体、第二蛍光体、第三蛍光体、第四蛍光体及び第五蛍光体の構成比率を適宜選択することで発光装置の発光効率、演色性等の特性を所望の範囲とすることができる。
【0026】
第一蛍光体
第一蛍光体は下記式(I)で表される組成を有する4価のマンガンで賦活される赤色発光の蛍光体である。第一蛍光体は、650nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
(x-s)MgO・(s/2)Sc・yMgF・uCaF・(1-t)GeO・(t/2)M:zMn4+ (I)
ただし、式(I)中、x、y、z、s、t及びuは、2.0≦x≦4.0、0<y<1.5、0<z<0.05、0≦s<0.5、0<t<0.5、0≦u<1.5を満たし、y+u<1.5を満たすことが好ましい。また上記一般式(I)中のMはAl、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0027】
式(I)において、好ましくは0.05≦s≦0.3、0.05≦t<0.3であり、これによりさらに輝度も向上させることができる。更に式(I)は、
3.4MgO・0.1Sc・0.5MgF・0.885GeO・0.1Ga:0.015Mn4+
で表わされることが好ましい。以下、この特定組成の第一蛍光体を「MGF」ともいう。
【0028】
第一蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば45nm以下であり、40nm以下であることが好ましい。また第一蛍光体の発光スペクトルは、最大発光強度を100%とした場合に、600nm以上620nm以下の範囲における平均発光強度が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0029】
第一蛍光体の平均粒径は、例えば5μm以上30μm以下であり、15μm以上25μm以下が好ましい。
発光装置は第一蛍光体を1種単独でも、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
【0030】
蛍光部材が第一蛍光体を含む場合、第一蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は演色性の観点から、例えば1質量%以上であり、2質量%以上であり、4質量%以上であり、6質量%以上であり、9質量%以上であり、15質量%以上であり、30質量%以上である。また第一蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は演色性の観点から、例えば60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、48質量%以下であり、45質量%以下であり、25質量%以下である。
【0031】
第一蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、発光装置が目的とする相関色温度に応じて、選択してもよい。例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とし、蛍光部材が第二蛍光体を含まない場合、第一蛍光体の含有比率は演色性の観点から、例えば2質量%以上であり、4質量%以上であり、6質量%以上であり、15質量%以上であり、例えば55質量%以下であり、50質量%以下であり、48質量%以下であり、45質量%以下であり、25質量%以下である。
また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とし、第二蛍光体を含まない場合、第一蛍光体の含有比率は演色性の観点から、例えば30質量%以上であり、34質量%以上であり、例えば55質量%以下であり、50質量%以下であり、48質量%以下である。
【0032】
第二蛍光体
第二蛍光体は下記式(II)で表される組成を有する4価のマンガンで賦活される赤色発光の蛍光体である。第二蛍光体は、610nm以上650nm以下の範囲に発光ピーク波長を有することが好ましい。
[M1-p]:pMn4+ (II)
ただし、上記式(II)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNHからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、pは0<p<0.2を満たす数を示す。
【0033】
第二蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅は、小さいことが好ましく、例えば10nm以下である。
【0034】
第二蛍光体の平均粒径は、例えば5μm以上50μm以下であり、10μm以上30μm以下が好ましい。
発光装置は第二蛍光体を1種単独でも、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
【0035】
蛍光部材が第二蛍光体を含む場合、第二蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、演色性の観点から、例えば1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、8質量%以上であり、15質量%以上あり、25質量%以上である。また第二蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、演色性の観点から、50質量%以下であり、45質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、29質量%以下であり、27質量%以下であり、20質量%以下である。
【0036】
第二蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、発光装置が目的とする相関色温度に応じて、選択してもよい。例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とし、蛍光部材が第一蛍光体を含まない場合、第二蛍光体の含有比率は演色性の観点から、例えば2質量%以上であり、3質量%以上であり、8質量%以上であり、15質量%以上であり、例えば50質量%以下であり、35質量%以下であり、27質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とし、第一蛍光体を含まない場合、第二蛍光体の含有比率は演色性の観点から、例えば8質量%以上であり、15質量%以上であり、25質量%以上であり、例えば45質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下である。
【0037】
蛍光部材は、第一蛍光体の少なくとも1種と、第二蛍光体の少なくとも1種とを含んでいてもよい。蛍光部材が第一蛍光体及び第二蛍光体を含む場合、第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の総蛍光体量に対する含有比率は演色性の観点から、例えば15質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上である。また第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の総蛍光体量に対する含有比率は演色性の観点から、例えば60質量%以下であり、45質量%以下であり、43質量%以下である。
また、蛍光部材における第二蛍光体に対する第一蛍光体の含有比(第一蛍光体/第二蛍光体)は、例えば0.2以上2.0以下であり、0.22以上1.6以下である。
【0038】
第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、発光装置が目的とする相関色温度に応じて、選択してもよい。例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とする場合、第一蛍光体及び第二蛍光体の含有比率は演色性の観点から、例えば20質量%以上であり、25質量%以上であり、28質量%以上であり、例えば50質量%以下であり、45質量%以下であり、42質量%以下である。
また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とする場合、第一蛍光体及び第二蛍光体の含有比率は演色性の観点から、例えば25質量%以上であり、30質量%以上であり、例えば45質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下である。
また、蛍光部材における第二蛍光体に対する第一蛍光体の含有比(第一蛍光体/第二蛍光体)は、例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とする場合、例えば0.22以上2.0以下であり、0.4以上1.6以下である。また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とする場合、例えば0.20以上1.6以下であり、0.22以上0.8以下である。
【0039】
第三蛍光体
第三蛍光体は下記式(III)で表される組成を有する3価のセリウムで賦活される黄色発光の蛍光体である。
LuAl12:Ce (III)
【0040】
第三蛍光体の極大励起波長は、220nm以上490nm以下が好ましく、430nm以上470nm以下がより好ましい。第三蛍光体の発光ピーク波長は、480nm以上630nm以下が好ましく、500nm以上560nm以下がより好ましい。第三蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば53nm以上73nm以下であり、58nm以上68nm以下が好ましい。
【0041】
第三蛍光体の平均粒径は、例えば5μm以上30μm以下であり、20μm以上25μm以下が好ましい。
蛍光部材は第三蛍光体を1種単独でも、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
【0042】
蛍光部材中の第三蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、演色性の観点から、例えば30質量%以上であり、38質量%以上である。第三蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は、演色性の観点から、例えば90質量%以下であり、80質量%以下である。
【0043】
第四蛍光体
第四蛍光体は下記式(IV)で表される組成を有する2価のユーロピウムで賦活される赤色発光の蛍光体である。
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (IV)
第四蛍光体はSr及びCaからなる群から選択される少なくとも1種を含むが、SrとCaの両方を含むことが好ましく、Sr及びCaのうちのSr含有率が0.8モル%以上であることがより好ましい。
【0044】
第四蛍光体の発光ピーク波長は、620nm以上650nm以下が好ましく、630nm以上645nm以下がより好ましい。第四蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば80nm以上100nm以下であり、85nm以上95nm以下が好ましい。
【0045】
第四蛍光体の平均粒径は、例えば5μm以上15μm以下であり、8μm以上12μm以下が好ましい。
蛍光部材は第四蛍光体を1種単独でも、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
【0046】
発光装置に含まれる第四蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は演色性の観点から、例えば1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上である。また第四蛍光体の含有比率は、演色性の観点から、20質量%以下であり、15質量%以下であり、10質量%以下である。
【0047】
第五蛍光体
第五蛍光体は下記式(V)で表される組成を有する2価のユーロピウムで賦活される緑色発光の蛍光体である。
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (V)
第五蛍光体はCa、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むが、少なくともCaを含むことが好ましく、Ca、Sr及びBaのうちのCa含有率が90モル%以上であることがより好ましい。第五蛍光体はF、Cl及びBrからなる群から選択される少なくとも1種を含むが、少なくともClを含むことが好ましく、F、Cl及びBrのうちのCl含有率が90モル%以上であることがより好ましい。
【0048】
第五蛍光体の発光ピーク波長は、510nm以上540nm以下が好ましく、520nm以上530nm以下がより好ましい。第五蛍光体の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば50nm以上75nm以下であり、58nm以上68nm以下が好ましい。
【0049】
第五蛍光体の平均粒径は、例えば5μm以上20μm以下であり、10μm以上15μm以下が好ましい。
蛍光部材は第五蛍光体を1種単独でも、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
【0050】
蛍光部材に含まれる第五蛍光体の含有量の総蛍光体量に対する含有比率は演色性の観点から、例えば1質量%以上であり、2質量%以上であり、4質量%以上である。また第五蛍光体の含有比率は、演色性の観点から、20質量%以下であり、15%質量以下であり、10質量%以下である。
【0051】
蛍光部材が第一蛍光体を含む場合、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比(第一蛍光体/第三蛍光体)は、所望の発光特性に応じて適宜選択すればよい。第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、例えば演色性の観点から、0.03以上1.5以下であり、0.1以上1.4以下であり、0.2以上1.25以下である。
蛍光部材が第一蛍光体を含み、第二蛍光体を含まない場合、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、例えば演色性の観点から、0.03以上1.5以下であり、0.2以上1.4以下であり、0.2以上1.25以下である。
【0052】
第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、発光装置が目的とする相関色温度に応じて選択してもよい。例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とする場合、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は演色性の観点から、例えば0.03以上1.5以下であり、0.1以上1.4以下であり、0.2以上1.25以下であり、0.2以上1.0以下である。
また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とする場合、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は演色性の観点から、例えば0.6以上1.5以下であり、0.7以上1.3以下であり、0.8以上1.0以下である。
【0053】
蛍光部材が第二蛍光体を含む場合、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比(第二蛍光体/第三蛍光体)は、所望の発光特性に応じて適宜選択すればよい。第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、例えば演色性の観点から、0.01以上0.8以下であり、0.05以上0.65以下であり、0.1以上0.5以下である。
蛍光部材が第二蛍光体を含み、第一蛍光体を含まない場合、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、例えば演色性の観点から、0.01以上0.8以下であり、0.03以上0.65以下であり、0.05以上0.6以下であり、0.1以上0.5以下であり、0.1以上0.35以下である。
【0054】
第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、発光装置が目的とする相関色温度に応じて選択してもよい。例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とする場合、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は演色性の観点から、例えば0.03以上1.0以下であり、0.03以上0.6以下であり、0.1以上0.5以下であり、0.1以上0.4以下である。
また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とする場合、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は演色性の観点から、例えば0.1以上1.0以下であり、0.2以上0.9以下であり、0.2以上0.8以下であり、0.3以上0.6以下である。
【0055】
蛍光部材が第一蛍光体及び第二蛍光体を含む場合、第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の第三蛍光体の含有量に対する含有比((第一蛍光体+第二蛍光体)/第三蛍光体)は、例えば演色性の観点から、0.4以上1.0以下であり、0.45以上0.9以下であり、0.55以上0.75以下である。
さらに第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、例えば、0.1以上0.6以下であり、0.12以上0.51以下である。また第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比は、例えば0.3以上0.6以下であり、0.32以上0.49以下である。
【0056】
第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の第三蛍光体の含有量に対する含有比は、発光装置が目的とする相関色温度に応じて選択してもよい。例えば相関色温度を2850K以上3500K以下とする場合、第一蛍光体及び第二蛍光体の総含有量の第三蛍光体の含有量に対する含有比は演色性の観点から、例えば0.4以上1.0以下であり、0.45以上0.9以下であり、0.5以上0.8以下であり、0.55以上0.75以下である。
また例えば相関色温度を2000K以上2850K未満とする場合、第二蛍光体の第三蛍光体の含有比は演色性の観点から、例えば0.4以上1.0以下であり、0.5以上0.9以下であり、0.5以上0.8以下であり、0.5以上0.75以下である。
【0057】
蛍光部材が第一蛍光体を含む発光装置より得られる横軸に波長、縦軸に発光強度を採った発光スペクトルにおいて、第一蛍光体の発光素子に対する発光ピーク強度比は、所望の発光特性に応じて適宜選択すればよい。第一蛍光体の発光素子に対する発光ピーク強度比は、例えば演色性の観点から、発光素子の発光ピーク強度を1とする場合に、1以上5以下であり、1.3以上4以下であり、1.5以上3.5以下であり、1.6以上2.65以下であり、2.75以上3.5以下である。特に、1.60以上2.65以下又は2.75以上3.50以下であることが好ましい。
【0058】
蛍光部材が第二蛍光体を含む発光装置より得られる発光スペクトルにおいて、第二蛍光体の発光素子に対する発光ピーク強度比は、所望の発光特性に応じて適宜選択すればよい。第二蛍光体の発光素子に対する発光ピーク強度比は、例えば演色性の観点から、発光素子の発光ピーク強度を1とする場合に、1以上11以下であり、2以上10以下であり、3以上9以下であり、3以上5以下であり、7以上9以下である。特に、3.0以上5.0以下又は7.0以上9.0以下であることが好ましい。

【0059】
蛍光部材が第一蛍光体及び第二蛍光体を含む発光装置より得られる発光スペクトルにおいて、第二蛍光体の発光ピーク強度の第一蛍光体の発光ピーク強度に対する強度比は、所望の発光特性に応じて適宜選択すればよい。第二蛍光体の第一蛍光体に対する発光ピーク強度比は、例えば演色性の観点から、1以上4.5以下であり、2.2以上3.5以下であり、2.5以上3.4以下である。
【0060】
その他の蛍光体
発光装置は、第一蛍光体から第五蛍光体以外のその他の蛍光体を必要に応じて含んでいてもよい。その他の蛍光体としては、(Sr、Ba、Ca)10(PO(Br、Cl):Eu、(Y,Gd,Tb,Lu)(Al,Ga)12:Ce、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、(La,Y)Si11:Ce、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si12:Eu、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Ca,Sr,Ba)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)Ga:Eu等を挙げることができる。発光装置がその他の蛍光体を含む場合、その含有量は本発明の発光特性が得られるように適宜調整される。
【0061】
例えば、以下のようにして蛍光体を製造することができる。蛍光体の組成に含有される元素の単体や酸化物、炭酸塩、窒化物、塩化物、フッ化物、硫化物などを原料とし、これらの各原料を所定の組成比となるように秤量する。また、原料にさらにフラックスなどの添加材料を適宜加え、混合機を用いて湿式又は乾式で混合する。これにより、固相反応を促進させて均一な大きさの粒子を形成することが可能となる。また、混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いてもよい。粉砕機を用いて粉砕することで比表面積を大きくすることもできる。また、粉末の比表面積を一定範囲とするために、工業的に通常用いられている沈降槽、ハイドロサイクロン、遠心分離器などの湿式分離機、サイクロン、エアセパレータなどの乾式分級機を用いて分級することもできる。上記の混合した原料をSiC、石英、アルミナ、BN等の坩堝に詰め、アルゴン、窒素などの不活性雰囲気、水素を含む還元雰囲気にて焼成を行う。焼成は所定の温度及び時間で行う。焼成されたものを粉砕、分散、濾過等して目的の蛍光体粉末を得る。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどの工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。
【0062】
蛍光部材
発光装置は、例えば、蛍光体及び樹脂を含み、発光素子を被覆する蛍光部材を備える。蛍光部材を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂として、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂等の変性シリコーン樹脂などを挙げることができる。
蛍光部材は、蛍光体及び樹脂に加えてその他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。その他の成分としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等のフィラー、光安定化剤、着色剤等を挙げることができる。蛍光部材がその他の成分を含む場合、その含有量は目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、その他の成分として、フィラーを含む場合、その含有量は樹脂に対して、0.01から20質量%とすることができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0064】
(蛍光体)
発光装置の製造に先立ち、実施例及び比較例に用いる蛍光体として以下に示す蛍光体をそれぞれ準備した。
第一蛍光体として、下記式(I)で表される組成を有し、発光ピーク波長を658nm付近に有する深赤色発光の蛍光体(以下、「MGF」ともいう。)を準備した。
3.4MgO・0.1Sc・0.5MgF・0.885GeO・0.1Ga:0.015Mn4+ (I)
第二蛍光体として、下記式(II)で表される組成を有し、発光ピーク波長を630nm付近に有するフッ化物蛍光体(以下、「KSF」ともいう。)を準備した。
SiF:Mn4+ (II)
第三蛍光体として、式(III)で表される組成を有し、発光ピーク波長を520nm付近に有する希土類アルミニウムガーネット蛍光体(以下、「LAG」ともいう。)を準備した。
LuAl12:Ce (III)
第四蛍光体として、式(IV)で表される組成を有し、発光ピーク波長を635nm付近に有する赤色発光の窒化物蛍光体(以下、「SCASN」ともいう。)を準備した。
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (IV)
第五蛍光体として、下記式(Va)で表わされる組成を有し、発光ピーク波長を521nm付近に有する緑色発光のシリケート蛍光体(以下、「クロロシリケート」ともいう。)を準備した。
CaMgSi16Cll2:Eu (Va)
なお、各蛍光体の発光ピーク波長、半値幅等は蛍光体の製造条件、組成変更等により調整することが可能である。
【0065】
発光素子としては、発光ピーク波長が445nm、450nm又は455nmである窒化ガリウム系の半導体発光素子をそれぞれ準備した。
【0066】
(実施例1)
発光装置の作製
発光波長450nmの青色発光LED(発光素子)に、第一蛍光体であるMGF、第三蛍光体であるLAG、第四蛍光体であるSCASN及び第五蛍光体であるクロロシリケートを組合せて、発光装置を作製した。
MGFの総蛍光体に対する含有比率が3質量%となり、相関色温度が3000K付近になるように配合した蛍光体をシリコーン樹脂に添加し、混合分散した後、更に脱泡することにより蛍光体含有樹脂組成物を得た。次にこの蛍光体含有樹脂組成物を発光素子の上に注入、充填し、さらに加熱することで樹脂組成物を硬化させた。このような工程により発光装置を作製した。
【0067】
(実施例2から5)
各蛍光体の含有比率が以下の表1に示す値となるように蛍光体の量を変更したこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0068】
実施例1から5により得られた発光装置について、発光色の色度座標、相関色温度(Tcp;K)、平均演色評価数(Ra)、特殊演色評価数(R1〜R15)を測定した。以下では、平均演色評価数及び特殊演色評価数を併せて、単に「演色評価数」ともいう。
発光装置の発光スペクトルは、日立ハイテクノロジーズ製の分光蛍光光度計F−4500を用いて測定した。なお、以下に述べる他の実施例および比較例についても同様に測定した。
演色評価数以外の結果は以下の表1に、演色評価数の結果は以下の表2に示す。また、表2におけるRtはR9からR15までの各演色評価数の総和を表わす。なお、以下の表中の蛍光体含有比率(%)は質量基準である。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
表1及び2より、実施例1から5は比較例2に対して、第一蛍光体であるMGFを加えることにより、Ra及びR9を向上させ、R10〜R15においても80以上の高い演色性値を有することができた。つまり、第一蛍光体であるMGFは加える量によりその発光特性を任意に調整することが可能で、所望の特性を得ることが容易である。
発光装置より得られる演色性の観点から、総蛍光体量に対する第一蛍光体(MGF)の含有比率が15質量%以上48質量%以下であり、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.2以上1.25以下である範囲に含まれる実施例2、3、4は、Rtの数値が655以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
図2は、実施例1から5に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図2の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。表1及び2に示されるように、発光スペクトルにおける第一蛍光体の発光素子に対する発光ピークの強度比が、1.60以上2.65以下である実施例2、3、4は、Rtの数値が655以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
【0072】
(実施例6から9)
第一蛍光体の代わりに第二蛍光体を用いて、各蛍光体の含有比率が以下の表3に示す値となるように蛍光体の量を変更したこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
演色評価数以外の評価結果を以下の表3に、演色評価数の結果を以下の表4に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表3及び4より、実施例6から9は比較例2に対して、第二蛍光体であるKSFを加えることにより、Ra及びR9を向上させ、R10〜R15においても80以上の高い演色性値を有することができた。つまり、第二蛍光体であるKSFは加える量によりその発光特性を任意に調整することが可能で、所望の特性を得ることが容易である。
発光装置より得られる演色性の観点から、総蛍光体量に対する第二蛍光体(KSF)の含有比率が8質量%以上29質量%以下であり、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.1以上0.5以下である実施例7および8は、Rtの数値が650以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
図3は、実施例6から9に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図3の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。表3及び4に示されるように、発光スペクトルにおける第二蛍光体の発光素子に対する発光ピークの強度比が、3.0以上5.0以下である実施例7および8は、Rtの数値が650以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
【0076】
(実施例10から12)
第一蛍光体及び第二蛍光体を併用し、各蛍光体の含有比率が以下の表5に示す値となるように蛍光体の量を変更したこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
演色評価数以外の結果を以下の表5に、演色評価数の結果を以下の表6に示す。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
表5及び6より、実施例10から12は比較例2に対して、第一蛍光体であるMGF及び第二蛍光体であるKSFを加えることにより、Ra及びR9を向上させ、R10〜R15においても80以上の高い演色性値を有することができた。つまり、第一蛍光体であるMGF及び第二蛍光体であるKSFは加える量によりその発光特性を任意に調整することが可能で、所望の特性を得ることが容易である。
発光装置より得られる演色性の観点から、総蛍光体量に対する第一蛍光体(MGF)の含有比率が6質量%以上25質量%以下であり、総蛍光体量に対する第二蛍光体(KSF)の含有比率が15質量%以上27質量%以下である実施例10、11、12は、Rtの数値が645以上を示しており、演色性に優れることが分かる。なお、これらの実施例10、11、12は、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.12以上0.51以下であり、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.32以上0.49以下である。
図5は、実施例10から12に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図5の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。表5及び6に示されるように、発光スペクトルにおける第二蛍光体の第一蛍光体に対する発光ピークの強度比が、2.2以上3.5以下である実施例10から12は、Rtの数値が645以上を示しており、演色性に優れることが分かる。
【0080】
(比較例1)
蛍光体として、第一蛍光体、第二蛍光体、第三蛍光体及び第五蛍光体を用いずに、発光ピーク波長を555nm付近に有する希土類アルミニウムガーネット蛍光体(以下、「YAG」ともいう。)と、第四蛍光体のSCASNとを組み合わせて用いたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0081】
(比較例2)
蛍光体として、第一蛍光体及び第二蛍光体を用いずに、LAGとSCASNとクロロシリケートを組み合わせて用いたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0082】
比較例1及び2により得られた発光装置について、演色評価数以外の結果を以下の表7に、演色評価数の結果を以下の表8に示す。
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
表5及び6より、比較例1のRaは80前後、R9は10前後である。比較例2は、YAGよりも短波に発光ピーク波長を有するLAGを用いることで、スペクトルの幅が広がり、さらに緑色発光を有するクロロシリケートを用いることでさらなる補色効果を有するため、Raは98前後と高いが、R9は比較例1に対して向上は見られるものの55前後と改善の余地があり、高演色の基準を、例えばRa≧90且つR9からR15≧80とした場合に、高演色であるということができない。
図6は、比較例1及び2に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図6の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。
【0086】
(比較例3)
蛍光体として、第一蛍光体及び第二蛍光体を用いずに、LAGとSCASNとクロロシリケートを組み合わせて用いたことと、発光素子を発光ピーク波長が445nmであるものに代えたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0087】
(比較例4)
蛍光体として、第一蛍光体及び第二蛍光体を用いずに、LAGとSCASNとクロロシリケートを組み合わせて用いたことと、発光素子を発光ピーク波長が455nmであるものに代えたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0088】
比較例3及び4により得られた発光装置について、演色評価数以外の結果を以下の表9に、演色評価数の結果を以下の表10に示す。
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
表9及び10より、発光装置の発光スペクトルは、発光素子の発光ピーク波長の影響を大きく受けることが分かる。比較例3は、比較例4よりもRa及びR9などの演色性が低い。これは、演色性値計算に係るスペクトル成分は発光素子が短波になるほど少なくなるためであるが、トレードオフとして発光素子の発光強度は強くなるため発光効率は向上する。すなわち、発光素子の発光ピーク波長が短波になるほど発光効率が向上し、長波になるほど演色性が向上する傾向が確認されている。このことと、発光効率と演色性はトレードオフの関係にあることから、発光素子の発光ピーク波長が40nm以上460nm以下の範囲で、高演色の発光装置とすることができると考えられる。
図7は、比較例3及び4に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図7の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。
【0092】
(比較例5)
蛍光体として、第一蛍光体、第二蛍光体、第三蛍光体及び第五蛍光体を用いずに、YAGと、第四蛍光体であるSCASNとを組み合わせて用いたことと、相関色温度を2700Kに合わせたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0093】
(比較例6)
蛍光体として、第一蛍光体及び第二蛍光体を用いずに、LAGとSCASNとクロロシリケートとを組み合わせて用いたことと、相関色温度を2700Kに合わせたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した
【0094】
比較例5及び6により得られた発光装置について、演色評価数以外の結果を以下の表11に、演色評価数の結果を以下の表12に示す。
【0095】
【表11】
【0096】
【表12】
【0097】
表11及び12より、比較例5及び6は、比較例1及び2と同様の傾向を示すことが分かる。
図8は、比較例5及び6に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図8の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。
【0098】
(実施例13乃至15)
各蛍光体の含有比率が以下の表13に示す値となるように蛍光体の量を変更したことと、相関色温度を2700Kに合わせたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
実施例13から15により得られた発光装置について、演色評価数以外の結果を以下の表13に、演色評価数の結果を以下の表14に示す。
【0099】
【表13】
【0100】
【表14】
【0101】
表13及び14より、実施例13から15は比較例6に対して、第一蛍光体であるMGFを加えることにより、Ra及びR9を向上させ、R10〜R15においても80以上の高い演色性値を有することができた。つまり、第一蛍光体であるMGFは加える量によりその発光特性を任意に調整することが可能で、所望の特性を得ることが容易である。
発光装置より得られる演色性の観点から、総蛍光体量に対する第一蛍光体(MGF)の含有比率が30質量%以上50質量%以下、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が、0.2以上1.25以下の範囲に含まれる実施例13、14、15は、Rtの数値が650以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
図9は、実施例13から15に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図9の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。表13及び14に示されるように、発光スペクトルにおける第一蛍光体の発光素子に対する発光ピークの強度比が、2.75以上3.50以下である実施例13、14、15は、Rtの数値が650以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
【0102】
(実施例16から18)
第一蛍光体の代わりに第二蛍光体を用いて、各蛍光体の含有比率が以下の表15に示す値となるように蛍光体の量を変更したことと、相関色温度を2700Kに合わせたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
実施例16から18により得られた発光装置について、演色評価数以外の結果を以下の表15に、演色評価数の結果を以下の表16に示す。
【0103】
【表15】
【0104】
【表16】
【0105】
表15及び16より、実施例16から18は比較例6に対して、第二蛍光体であるKSFを加えることにより、Ra及びR9を向上させ、R10〜R15においても80以上の高い演色性値を有することができた。つまり、第二蛍光体であるKSFは加える重量によりその発光特性を任意に調整することが可能で、所望の特性を得ることが容易である。
発光装置より得られる演色性の観点から、総蛍光体量に対する第二蛍光体(KSF)の含有比率が8質量%以上29質量%以下であり、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.1以上0.5以下である実施例16および17は、Rtの数値が640以上を示しており、演色性が優れることが分かる。
図10は、実施例16から18に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図10の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。表15及び16に示されるように、発光スペクトルにおける第二蛍光体の発光素子に対する発光ピークの強度比が、7.0以上9.0以下である実施例17は、Rtの数値が660以上を示しており、演色性が特に優れることが分かる。
【0106】
(実施例19から21)
第一蛍光体及び第二蛍光体を併用し、各蛍光体の含有率が以下の表17に示す値となるように蛍光体の量を変更したことと、相関色温度を2700Kに合わせたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
演色評価数以外の結果を以下の表17に、演色評価数の結果を以下の表18に示す。
【0107】
【表17】
【0108】
【表18】
【0109】
表15及び16より、実施例13から15は比較例10に対して、第一蛍光体であるMGF及び第二蛍光体であるKSFを加えることにより、Ra及びR9を向上させ、R10〜R15においても80以上の高い演色性値を有することができた。つまり、第一蛍光体であるMGF及び第二蛍光体であるKSFは加える量によりその発光特性を任意に調整することが可能で、所望の特性を得ることが容易である。
発光装置より得られる演色性の観点から、総蛍光体量に対する第一蛍光体(MGF)の含有比率が6質量%以上25質量%以下であり、総蛍光体量に対する第二蛍光体(KSF)の含有比率が15質量%以上27質量%以下である実施例19、20、21は、Rtの数値が645以上を示しており、演色性に優れることが分かる。なお、これらの実施例19、20、21は、第一蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.12以上0.51以下であり、第二蛍光体の第三蛍光体に対する含有比が0.32以上0.49以下である。
図11は、実施例19から21に係る発光装置の発光スペクトルをそれぞれ規格化して比較した図である。図11の発光スペクトルは、波長に対する相対発光強度を示す。表17及び18に示されるように、発光スペクトルにおける第二蛍光体の第一蛍光体に対する発光ピークの強度比が、2.2以上3.5以下である実施例19、20、21は、Rtの数値が645以上を示しており、演色性に優れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示の発光装置は、青色発光ダイオード又は紫外線発光ダイオードを励起光源とする発光特性に優れた照明器具、LEDディスプレイ、カメラのフラッシュライトなどに利用することができる。特に、高い演色性が求められる照明装置や光源に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10:発光素子、50:蛍光部材、70:蛍光体、71:第一蛍光体又は第二蛍光体、72:第三蛍光体、73:第四蛍光体、74:第五蛍光体、100:発光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10