(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る第一実施形態であるカメラ1を概念的に示す図である。
なお、
図1および
図2には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とし、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。
また、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。このZプラス方向を被写体側、Zマイナス方向を像側ともいう。さらに、光軸OA(すなわちZ軸)と平行な方向の移動を「直進」、光軸OAを中心とする回動を「回転」という。
【0011】
カメラ1は、カメラ本体10と、レンズ鏡筒100と、によって構成されている。
レンズ鏡筒100は、焦点距離を可変調整可能ないわゆるズームレンズである。レンズ鏡筒100は、撮影光学系を構成する複数のレンズ(L1〜L5)と、開口径を変化させて入射光量を調整する絞り装置222と、を備えている。
また、レンズ鏡筒100は、カメラマウントCMと着脱可能に係合するレンズマウント113を備えており、このレンズマウント113によってカメラ本体10に着脱可能に装着される。これにより、カメラ1は、用途に応じて異なるレンズ鏡筒を交換して撮影することができるようになっている。
【0012】
カメラ本体10は、クイックリターンミラー11,ファインダスクリーン12,ペンタプリズム13,接眼光学系14,シャッター15,撮像素子16,表示装置17、制御装置18、測距センサ19等を備えている。
【0013】
クイックリターンミラー11は、レンズ鏡筒100によって集光された被写体像の光路を、ファインダスクリーン12に向けて屈曲させるためにカメラ本体10内に揺動可能に設けられたミラーである。クイックリターンミラー11は、レリーズ操作に応じて、被写体光の撮像素子16への入射を妨げない退避位置(
図1中に二点鎖線で示す)に移動する。
【0014】
また、クイックリターンミラー11は、一部がハーフミラーとなっており、そのハーフミラー部位と対応する裏面部位に、サブミラー11Aが配設されている。サブミラー11Aは、クイックリターンミラー11におけるハーフミラー部位を透過した被写体像光を測距センサ19に導く。サブミラー11Aは、クイックリターンミラー11の退避位置への移動に伴って、クイックリターンミラー11の裏面に沿うように移動する。
【0015】
ファインダスクリーン12は、クイックリターンミラー11により反射された被写体像を結像させるスクリーンであり、クイックリターンミラー11とペンタプリズム13との間に配置されている。
ペンタプリズム13は、断面形状が五角形のプリズムであって、カメラ本体10を横位置に構えた状態の上部に配設されている。ペンタプリズム13は、ファインダスクリーン12に結像した像を正立像として接眼光学系14へと導く。
【0016】
接眼光学系14は、ペンタプリズム13により正立像となった被写体像を、拡大観察するための光学系であり、ペンタプリズム13の像側(撮影者側)に配置されている。
シャッター15は、レリーズ操作に応じて開閉し、撮像素子16に結像する被写体像光の露光時間を制御する。
【0017】
撮像素子16は、レンズ鏡筒100によって結像された被写体像を電気信号に変換する、たとえば、CCD等の光電変換素子である。撮像素子16は、カメラ本体10の内部に、受光面を光軸OAに対して直交させた状態で設けられている。
【0018】
表示装置17は、カメラ本体10の外側の撮影者側に設けられた液晶等の表示パネルを備えている。表示装置17は、表示パネルに撮影画像や、露光時間等の撮影に関する情報等を表示する。
制御装置18は、CPU等を備えて構成され、前述した当該カメラ本体10の各構成要素およびカメラ本体10に装着されたレンズ鏡筒100を統括的に制御する。
測距センサ19は、サブミラー11Aを介して入射された被写体像光から被写体までの距離情報を検出し、その距離情報を制御装置18に出力する。
【0019】
カメラ本体10は、前述したようにレンズ鏡筒100が一体に結合されてカメラ1を構成する。結合状態では、カメラ本体10の制御装置18および図示しない電源が図示しない接続端子を介してレンズ鏡筒100と接続され、制御装置18と、後述するレンズ鏡筒100内の鏡筒制御部123とが接続される。
【0020】
カメラ1は、撮影時において下記のように作用する。
カメラ本体10が備える図示しないシャッターボタンが押圧操作(レリーズ操作)されると、クイックリターンミラー11が退避位置に移動する。シャッター15は、レリーズ操作に応じて開閉し、撮像素子16に被写体像光を所定時間露光させる。撮像素子16は、被写体像光を電気信号に変換して撮像する。撮像素子16によって撮像された撮像データは、図示しない記録部に記録される。
【0021】
このように撮影が行われるが、この撮影時において、制御装置18は、カメラ本体10が備える図示しない測光センサによる測光情報に基づいて絞り装置222を制御すると共に、オートフォーカス作動時には測距センサ19からの測距情報に基づいてリニアアクチュエータ125A,125B,125Cの駆動量を鏡筒制御部123に送信する。
【0022】
つぎに、前述した
図1に加えて
図2〜
図6を参照して、レンズ鏡筒100についてより詳細に説明する。
図2は、
図1のレンズ鏡筒100におけるレンズ枠190をA−A方向から見た図である。
図3はレンズ鏡筒100の
図2おけるB−B線に沿った断面図である。
図4は、レンズ鏡筒100の
図2おけるC−C線に沿った断面図である。なお、
図1は
図2におけるD−D線に沿った方向の断面図である。
【0023】
レンズ鏡筒100は、前述したように、共通の光軸OAに沿って、順次配列された5群のレンズL1,L2,L3,L4,L5を備える。レンズL1,L2,L3,L4,L5は、それぞれ第1レンズ枠160,第2レンズ枠190,第3レンズ枠70,第4レンズ枠80,第5レンズ枠90に保持される。
【0024】
なお、レンズ鏡筒100は、レンズL2を合焦レンズとする内焦式ズームレンズであって、各レンズL1,L2,L3,L4,L5が光軸OA方向(Z方向)に各々所定量移動することでレンズ鏡筒100全体としての焦点距離が連続的に変化する。
レンズL2は、フォーカスレンズで、このレンズL2が光軸OA方向に移動することで、焦点位置が変化する。さらに、レンズL4を保持する第4レンズ枠80は、レンズL4を含む光学系の光路径を変化させる絞り装置222を備えている。
【0025】
レンズ鏡筒100は、カメラ本体10に対して着脱可能なレンズマウント113が固定される固定筒110を有する。固定筒110の被写体側には、互いに同軸な内筒140、中筒150、外筒161およびズーム環130が内側からこの順に配置されている。
【0026】
固定筒110内側には、固定筒110に対して回転自在なカム筒170が配置される。また、カム筒170の更に内側には、光軸OAと平行に配された3本のガイドバーである、第1ガイドバー101(
図1,
図2,
図3)、第2ガイドバー102(
図2,
図3)、および第3ガイドバー103(
図2,
図4)が配置されている。これに限定されるものではないが、本実施形態において、これらの3本のガイドバー101,102,103は同じ太さである。
【0027】
固定筒110は、直進溝111、カムピン112、レンズマウント113および第1支持部114A、第2支持部114Bおよび第3支持部114Cを有する。直進溝111は、レンズ鏡筒100の光軸OA方向に延在する。カムピン112は、固定筒110の内周面から径方向内側に向かって突出し、後述するカム筒170のカム溝173に係合する。
【0028】
レンズマウント113をカメラマウントCMに係合させることにより、固定筒110はカメラ本体10に対して固定される。カメラ本体10に固定された固定筒110において、固定筒110後端のマウント面115は、カメラ本体10におけるカメラマウントCMの前面に密接される。これにより、レンズ鏡筒100全体が、カメラ本体10に対して位置決めされる。
【0029】
支持部114A,114B,114Cは、固定筒110の内周面から径方向内側に向かって突出して、ガイドバー101,102,103をそれぞれ支持する。
図1および
図3で上側に配された第1ガイドバー101を支持する第1支持部114Aは、第1ガイドバー101の外周の形状と相補的な形状の嵌合穴117BAを有する。第1ガイドバー101は、嵌合穴117Bに挿通されて支持される。
なお、第2ガイドバー102を支持する第2支持部114B、および第3ガイドバー103を支持する第3支持部114Cについても第1支持部114Aと同様であるので説明を省略する。
【0030】
内筒140は、カムフォロワ142、逃げ穴144、直進溝146および係合突起148を有する。カムフォロワ142は、内筒140の後端近傍において、レンズ鏡筒100の径方向内側に向かって突出する。直進溝146は、レンズ鏡筒100の光軸OA方向に延在する。係合突起148も、レンズ鏡筒100の径方向外側に向かって突出する。
【0031】
カムフォロワ142は、直進溝111を貫通して、後述するカム筒170のカム溝171に係合する。これにより、カム筒170が回転した場合に、内筒140は、光軸OA回りの回転が規制される。また、内筒140を光軸OA方向に移動させる駆動カが、カム溝171からカムフォロワ142に伝えられる。
逃げ穴144は、レンズ鏡筒100の周方向について直進溝146とは異なる位置に配置される。逃げ穴144には、後述するカム筒170のカムフォロワ172が挿通される。
【0032】
中筒150は、カムフォロワ152、カム溝154、直進溝156および係合周溝158を有する。カムフォロワ152は、レンズ鏡筒100の径方向外側に向かって突出して、ズーム環130の案内溝132に係合する。カム溝154は、光軸OAに対して傾斜して延在する。
直進溝156は、レンズ鏡筒100の周方向についてカム溝154と異なる位置に配置される。直進溝156は、光軸OA方向に延在して、後述するカム筒170のカムフォロワ172に係合する。
【0033】
係合周溝158は、中筒150の内周面に、光軸OAに直交する面に沿って形成される。係合周溝158は、内筒140の係合突起148と係合する。これにより、中筒150は、光軸OA方向については内筒140と一体的に移動しつつ、光軸OA回りについては内筒140とは個別に回転自在となる。
【0034】
外筒161は、カムフォロワ162を有する。カムフォロワ162は、レンズ鏡筒100の径方向内側に突出して、中筒150のカム溝154と、内筒140の直進溝146とに係合する。これにより、中筒150が光軸OA回りに回転した場合に、カムフォロワ162は、外筒161が光軸OA回りに回転することを規制しつつ、外筒161に光軸OA方向の駆動力を伝える。
また、外筒161は、レンズL1を保持する第1レンズ枠160に結合される。これにより、外筒161が光軸OA方向に移動した場合は、レンズL1も光軸OAに沿って移動する。
【0035】
カム筒170は、固定筒110の内側に回転自在に配置される。カム筒170は、複数のカム溝171,173およびカムフォロワ172を有する。カム溝171,173は、それぞれ、光軸OAに対して傾斜して形成される。カム溝171は、内筒140のカムフォロワ142と係合する。カム溝173は、固定筒110のカムピン112と、係合する。
【0036】
カムフォロワ172は、連結部材174により径方向外側に突き出され、内筒140の逃げ穴144を通じて、中筒150の直進溝156に係合する。これにより、中筒150が光軸OA回りに回転した場合に、カム筒170を回転させる駆動力が、カムフォロワ172からカム筒170に伝達される。
【0037】
なお、カム筒170は、他のレンズL3,L4,L5を保持する第3レンズ枠70,第4レンズ枠80,第5レンズ枠90を移動させる駆動力を発生するために、図示していない他のカム溝等を更に備える。また、カム筒170は、重量の低減等を目的として、カム溝等を形成しない領域を取り除く場合がある。このため、完全な円筒をなすとは限らない。
【0038】
ズーム環130は、固定筒110の外周面に沿って、光軸OAの回りに回転するように装着される。また、ズーム環130は、案内溝132を内周面に有する。案内溝132は、光軸OA方向と平行に直線状に延在する。案内溝132は、中筒150のカムフォロワ152に係合する。これにより、ズーム環130が回転操作された場合、中筒150も光軸OAの回りに回転する。
【0039】
ズーム環130の内側には、ズーム環移転量検出部133が配置される。ズーム環移転量検出部133は、外部からの回転操作により回転されたズーム環130の回転量を検出して、回転量に応じた回転量信号を後述する鏡筒制御部123に送信する。
【0040】
ズーム環移転量検出部133は、たとえば、ズーム環130と共に回転するロータリスケールと、ロータリスケールの目盛りを計数する光学センサを用いて形成できる。また、ズーム環130と共に回転する磁性体と、当該磁性体の移動により生じる磁界の変化を計測する磁気センサを用いても形成できる。なお、これらの構造は例に過ぎず、他の構造でもよい。
【0041】
また、レンズ鏡筒100の外周面において、ズーム環130の像側(図中右方)にはピントリング120が配置される。ピントリング120は、固定筒110の外周面に沿って、光軸OAの回りに回転自在に装着される。
【0042】
ピントリング120の内側には、ピントリング回転量検出部121が配置される。
ピントリング回転量検出部121は、外部からの回転操作により回転されたピントリング120の回転量を検出して、その回転量に応じた回転量信号を後述する鏡筒制御部123に送信する。
【0043】
ピントリング回転量検出部121は、たとえば、ピントリング120と共に回転するロータリスケールと、ロータリスケールの目盛りを計数する光学センサを用いて形成できる。また、ピントリング120と共に回転する磁性体と、当該磁性体の移動により生じる磁界の変化を計測する磁気センサを用いても形成できる。なお、これらの構造は例に過ぎず、他の構造でもよい。
【0044】
ガイドバー101,102,103は、被写体側の端部において、第2レンズ枠190を保持している。
図5(a)は第1ガイドバー101の保持状態を示すもので、
図3における領域Xの拡大図である。
図5(b)は第2ガイドバー102の保持状態を示すものであり、
図3における領域Yの拡大図である。
図5(c)は第3ガイドバー103の保持状態を示すもので、
図4における領域Zの拡大図である。
図6は、
図2における第2レンズ枠190のみを示した図である。
【0045】
図5(a)、(b)および(c)に示すように、ガイドバー101,102,103は、本体部101c,102c,103cと、その被写体側の端部に設けられ、それぞれの本体部101c,102c,103cと同軸でそれらよりも細い小径部101a,102a,103aがそれぞれ形成されている。これらの小径部101a,102a,103aは、第2レンズ枠190の厚さよりも長くなっており、その内部には被写体側から像側に向かってねじ穴101b,102b,103bが形成されている。
【0046】
一方、第2レンズ枠190には、
図2及び
図6に示すように、第2レンズ枠190の中心(光軸OA)からの径方向の距離が略等しくなるようにして、3つの穴201,202,203が周方向に均等に設けられている。すなわち、それらの3つの穴を結ぶと略正三角形となるように配置されている。
【0047】
(第1穴)
3つの穴のうちの第1穴201は第2レンズ枠190のYプラス方向上部に設けられた円形穴であり、その径は、小径部101aの径よりわずかに大きい。
図5に示すように、第1ガイドバー101の小径部101aは第1穴201に嵌合され、ねじ穴101bに螺合するねじ部301aを有するねじ301が、被写体側からねじ込まれている。
【0048】
そして、小径部101aの外周であって、小径部101aと本体部101cとの間の段部と、レンズ枠190の一方の側壁との間に、付勢ばね401が配置されている。また、小径部101aの外周であって、ねじ頭301bと、レンズ枠190の他方の側壁との間にも、付勢ばね401が配置されている。これによりレンズ枠190は付勢ばね401によって、光軸方向に付勢されている。
【0049】
付勢ばね401は、本実施形態では、ウエーブワッシャを用いるが、これに限定されず、コイルバネ等の他の付勢部材であっても良い。また、本実施形態では、レンズ枠190を挟んだ両側に付勢ばね401が配置されているが、どちらか一方でも良い。
【0050】
(第2穴)
第2穴202は、第2レンズ枠190のYマイナス側のXマイナス側に設けられた長穴であり、その長径は、第1穴201の径よりも大きい。
図6に示すように、第2穴202の長径を延長した直線は、第1穴201の中心も通るように形成されている。
そして、第2ガイドバー102の小径部102aが第2穴202に必要最小限の隙間を設けて嵌合され、ねじ穴102bに螺合するねじ部302aを有するねじ302が、被写体側からねじ込まれている。
小径部102aの外周にも、小径部101aと同様の2箇所に付勢ばね402が配置されている。
【0051】
このように、第2穴202は長穴であって、その長径を延長した直線は第1穴201の中心も通るように形成されている。したがって、第2ガイドバー102が、第1ガイドバー101との相対距離が設計値に対してある程度誤差を生じていても第2穴202に挿入可能となる。
【0052】
(第3穴)
第3穴203は、第2レンズ枠190のYマイナス側のXプラス側に設けられた円形穴であり、第3ガイドバー103の小径部103aに対し、過剰拘束を回避するに必要十分な隙間を有する。
そして、第1ガイドバー101および第2ガイドバー102と同様に、小径部103aが第3穴203に挿入され、ねじ穴103bに螺合するねじ部303aを有するねじ303が、被写体側からねじ込まれている。
小径部103aの外周にも、小径部101aと同様の2箇所に付勢ばね403が配置されている。
【0053】
このように、第3穴203の径は、第3ガイドバー103の小径部103a及び第1穴201よりも大きいので、第1ガイドバー101及び第2ガイドバー102に対する第3ガイドバー103の相対距離が、設計値に対してある程度誤差を生じていても第3ガイドバー103を第3穴203に挿入可能となる。
【0054】
本実施形態によると、ねじ301,302,303によって、第2レンズ枠190に対する第1ガイドバー101,第2ガイドバー102,第3ガイドバー103の抜けがそれぞれ防止されている。
また、第1ガイドバー101,第2ガイドバー102,第3ガイドバー103は、第2レンズ枠190に対して弾性的ではあるが固定されている。したがって、第1ガイドバー101,第2ガイドバー102,第3ガイドバー103は、第2レンズ枠190と光軸方向および光軸と垂直な方向に対して共に移動する。
【0055】
さらに、小径部101a,102a,103aの外周であってレンズ枠190を挟んだ両側に、それぞれ、付勢ばね401,402,403が配置されている。これにより、レンズ枠190はガイドバー101,102,103に対して完全に固定ではなく、光軸方向に付勢された状態で弾性的に固定されている。このため、第2レンズ枠190は、第1ガイドバー103,第2ガイドバー102,第3ガイドバー103に対してある程度傾くことができるようになっている。
【0056】
図1,3,4に戻り、レンズ鏡筒100は、固定筒110の内側の被写体側に、第1リニアアクチュエータ125A、第2リニアアクチュエータ125Bおよび第3リニアアクチュエータ125C、備える。
【0057】
リニアアクチュエータ125A,125B,125Cは、それぞれガイドバー101,102,103を被写体側において支持する支持部114A,114B,114Cの像側に配設されている。リニアアクチュエータ125A,125B,125Cは、その駆動によってガイドバー101,102,103を、それぞれ光軸OA方向に移動可能である。
リニアアクチュエータ125A,125B,125Cは、すべて同出力のものを設置してもよいし、また出力に差をつけてもよい。
【0058】
このリニアアクチュエータ125A,125B,125Cによるガイドバー101,102,103の駆動により、ガイドバー101,102,103に結合された第2レンズ枠190と第2レンズ枠190に保持されたレンズL2が光軸OA方向に移動する。
【0059】
リニアアクチュエータ125A,125B,125CによるレンズL2の移動構成は、他のレンズL1,L3,L4,L5の移動構成とは機構的に全く独立している。従って、レンズL2は、他のレンズL1,L3,L4,L5とは無関係に単独で移動し得るようになっている。
【0060】
レンズ鏡筒100は、さらに固定筒110の内側の像側に、第1ガイドバー101、第2ガイドバー102、第3ガイドバー103の位置をそれぞれ検出する、第1位置検出部127A、第2位置検出部127Bおよび第3位置検出部127Cを備える。
第1位置検出部127A、第2位置検出部127Bおよび第3位置検出部127Cは、それぞれガイドバー101,102,103を像側において支持する支持部116A,116B,116Cの像側に配設されている。
【0061】
位置検出部127A,127B,127Cは、レンズ鏡筒の固定筒110に対する絶対位置が検出可能なものである。たとえば、第1ガイドバー101と一体的に移動するリニアスケールと、そのスケールを計数する光学センサとにより構成される。また、第1ガイドバー101と共に移動する磁性体と、当該磁性体の移動により生じる磁界の変化を計測する磁気センサにとによって構成されるものであっても良い。ただし、これらは一例に過ぎず、他の構成であっても良い。
【0062】
リニアアクチュエータ125A、125B,125Cが、それぞれガイドバー101,102,103を移動させる場合に、位置検出部127A,127B,127Cはそれぞれ動作してれガイドバー101,102,103の位置を検出する。
【0063】
鏡筒制御部123は、ズーム環移転量検出部133から入力されるズーム環130の回転量情報と、ピントリング回転量検出部121から入力されるピントリング120の回転量情報と、カメラ本体10から入力される合焦情報と、に基づいて、リニアアクチュエータ125A,125B,125Cを駆動制御する。
また鏡筒制御部123は内部にメモリ123aを備えている。
【0064】
レンズL3,L4,L5は、それぞれの第3レンズ枠70,第4レンズ枠80,第5レンズ枠90が、ズーム環130の回転によって回転操作されるカム筒170と連動機構を介して連結されている。連動機構は、既存の駆動機構を任意に選択して利用できる。これにより、レンズL3,L4,L5は、ズーム環130の回転操作によって、それぞれ光軸OA方向に所定の関係で移動される。
【0065】
外筒161およびズーム環130の間には、固定筒110に対して同軸に装着されたカバー筒165が配されている。カバー筒165は、外筒161に連れ従って進退し得て、外筒161およびズーム環130の間を封止する。これにより、カバー筒165が、レンズ鏡筒100の内部に塵芥が浸入すること防止する。
【0066】
上記のように構成されたレンズ鏡筒100は、ズーム環130が回転操作されると、下記のように作用して、広角側端と望遠側端との間で焦点距離が連続的に変化する。
【0067】
レンズ鏡筒100は、ズーム環130が外部から回転操作されて光軸OAの回りに回転すると、案内溝132に係合するカムフォロワ152を通じて中筒150に回転駆動力が伝達される。中筒150が回転すると、カム溝154から外筒161のカムフォロワ162に駆動力が伝達される。
【0068】
駆動力を受けたカムフォロワ162は、内筒140の直進溝146に案内され、直進移動(光軸OA方向に移動)する。これにより、外筒161の先端に結合された第1レンズ枠160と、第1レンズ枠160に保持されたレンズL1とは、一体的に直進移動する。
【0069】
また、中筒150が回転すると、直進溝156に係合するカムフォロワ172にも回転駆動力が伝達される。これにより、カム筒170は、固定筒110の内周面に沿って、光軸OAの回りに回転する。
【0070】
カム筒170が回転すると、カム溝171に係合するカムフォロワ142に駆動力が伝達される。カムフォロワ142は、固定筒110の直進溝111に案内されて、直進移動する。これにより、内筒140と、係合周溝158により内筒140に係合する中筒150が直進移動する。
また、カム筒170が回転すると、カム溝173に係合する固定筒110のカムピン112に駆動され、カム筒170自体も直進移動する。
【0071】
このように、ズーム環130が回転操作された場合には、レンズL1,L3,L4,L5が移動して相互の間隔が変化する。
また、ズーム環130が回転操作されると、鏡筒制御部123は、ズーム環移転量検出部133から入力されるズーム環130の回転量に基づいてリニアアクチュエータ125A,125B,125Cを制御し、レンズL2をズーム環130の回転に応じた所定位置に移動する。
【0072】
これらの一連の動作により、レンズ鏡筒100は延伸または短縮され、レンズL1,L2,L3,L4およびレンズL5の間隔が変化して、光学系全体の焦点距離が変化する。
【0073】
また、レンズ鏡筒100は、ピントリング120が回転操作されると、下記のように作用して、合焦距離が変化する。
すなわち、ピントリング120が回転操作されると、鏡筒制御部123にはピントリング回転量検出部121からピントリング120の回転量情報が入力される。鏡筒制御部123は、このピントリング120の回転量情報に基づいて、リニアアクチュエータ125A,125B,125Cを制御する。
【0074】
これにより、ガイドバー101,102,103は、レンズL2を保持した第2レンズ枠190の光軸OA方向への移動を案内し、レンズL2が光軸OA方向に移動して、合焦距離が変化する。
【0075】
前述したように、リニアアクチュエータ125A,125B,125CによるレンズL2の移動構成は、他のレンズL1,L3,L4,L5の移動構成とは機構的には全く独立しているため、ピントリング120の回転操作時においてレンズL2以外のレンズL1,L3,L4,L5が移動することはない。
【0076】
ここで、本実施形態では第2レンズ枠190(すなわち第2レンズ群L2)は、それぞれガイドバー101,102,103で支持されている。
そしてガイドバー101,102,103における第2レンズ枠190の支持位置は、ガイドバー101,102,103の小径部101b,102b,103bで決定されている。
【0077】
そして、小径部101a,102a,103aの外周であって、小径部101a,102a,103aと本体部101c,102c,103cとの間の段部と、レンズ枠190の一方の側壁との間に、付勢ばね401が配置されている。また、小径部101a,102a,103aの外周であって、ねじ頭301b,302a,303aと、レンズ枠190の他方の側壁との間にも、付勢ばね401が配置されている。これによりレンズ枠190は付勢ばね401,402,403によって、光軸方向に付勢されている。
したがって、3本のガイドバー101,102,103の光軸に沿った方向の互いの位置関係を変えると、第2レンズ枠190は光軸に対して傾けることができる。
【0078】
ここで、レンズ鏡筒100は、図示するように複数のレンズによって構成されている。レンズ鏡筒100を組み立てる際には、製造誤差や組立誤差が累積する。レンズ鏡筒製造後にはそれらの誤差が累積し、レンズのティルト・シフトによってレンズ鏡筒100としての光学性能が劣化する可能性がある。
しかし、本実施形態では、ガイドバー101,102,103のそれぞれの相対的位置関係を変えてレンズL2を光軸に対して傾けることができる。この傾きによって、これらの累積誤差に起因する光学性能の劣化を解消させることができる。
【0079】
本実施形態においては、レンズL2の光軸方向における複数位置で、予め撮像素子16による撮像を行い、レンズ鏡筒100の光学性能(すなわちレンズL1,L2,L3,L4およびレンズL5からなる光学系としての性能)が最適となるような傾きをレンズL2に生じさせるガイドバー101,102,103の相対的位置情報を求め、それらの相対位置情報を鏡筒制御部123のメモリ123aに記憶させておく。
なお、ズーム環130の操作に伴い光学系全体の焦点距離が変化する場合、レンズL1,L2,L3,L4およびレンズL5のそれぞれに光軸方向位置が変化する。すなわち、焦点距離が変化することによって、光学系全体としての光学性能が変化する場合がある。そこで、複数の焦点距離において、予め撮像素子16による撮像を行い、光学性能が最適となるような傾きをレンズL2に生じさせるガイドバー101,102,103の相対的位置情報を求め、それらの相対位置情報を鏡筒制御部123のメモリ123aに記憶させておいてもよい。
さらに、レンズL2の光軸方向における複数位置のそれぞれにおいて、焦点距離を変化させて撮像を行い、光学性能が最適となるような傾きをレンズL2に生じさせるガイドバー101,102,103の相対的位置情報を求め、それらの相対位置情報を鏡筒制御部123のメモリ123aに記憶させておいてもよい。
【0080】
そして、実際の撮影動作において、レンズL2の位置(あるいは焦点距離)に応じて、メモリ123aに記憶されている情報に基づいて、ガイドバー101,102,103の相対的位置関係を位置検出部127A,127B,127Cからの位置情報を基に変化させ、レンズL2の位置(あるいは焦点距離)に応じてレンズL2に最適な傾きを生じさせる。
なお、焦点距離に応じて(あるいはレンズL2の位置と焦点距離との両方に応じて)、レンズL2に最適な傾きを生じさせる制御を行う場合は、ズーム環130の回転量を検出する検出部を設け、検出された回転量情報を鏡筒制御部123に入力する構成とすればよい。
【0081】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)3本のガイドバー101,102,103をそれぞれ光軸方向に駆動する3つのリニアアクチュエータ125A,125B,125Cを備える。そしてこれらのリニアアクチュエータ125A,125B,125Cを制御して3本のガイドバー101,102,103の光軸方向の駆動量をそれぞれ調整し、レンズ枠190を前記光軸に対して直交する方向から傾かせる。これによって合焦レンズL2の光軸方向の位置によってレンズ鏡筒100の光学性能が最適となるような傾きを生じさせることができる。
【0082】
(2)ガイドバー101,102,103は、レンズL2を保持した第2レンズ枠190の光軸OA方向への移動を案内する。この際、第2レンズ枠190は3本のガイドバー101,102,103保持されているため、レンズL2の光軸と垂直な方向への回転が防止される。これによりバランスの良いレンズ駆動が可能となる。
【0083】
(3)第2レンズ枠190に設けられている第1穴201は第1ガイドバー101が第2レンズ枠190に対して光軸と垂直な方向への移動しないように嵌合されているが、第2穴202は長穴であり、また第3穴はガイドバーにおける第2レンズ枠190を挿通する小径部よりも径が大きい。
【0084】
したがって、製造誤差により、ガイドバー101,102,103の光軸と垂直な面内における相対位置が多少ずれていても、第2レンズ枠190の穴201,202,203に入らなくなることがない。すなわち、ガイドバー101,102,103が過剰拘束されることがない。
【0085】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の部分は同一の符号を付し、説明を省略する。
図7は、本発明に係る一実施形態であるカメラ1を概念的に示す図である。
図8は、
図7のレンズ鏡筒100’におけるレンズ枠190’をA−A方向から見た図である。
図9はレンズ鏡筒100’の
図8おけるB−B線に沿った断面図である。
図10は、レンズ鏡筒100’の
図8おけるC−C線に沿った断面図である。なお、
図7は
図8におけるD−D線に沿った方向の断面図である。
【0086】
第2実施形態のガイドバー101’,102’,103’も、被写体側の端部において、第2レンズ枠190’を保持している。
図11(a)は第1ガイドバー101’の保持状態を示すもので、
図9における領域Xの拡大図である。
図11(b)は第2ガイドバー102’の保持状態を示すものであり、
図9における領域Yの拡大図である。
図11(c)は第3ガイドバー103’の保持状態を示すもので、
図10における領域Zの拡大図である。
図12は、
図8における第2レンズ枠190’のみを示した図である。
【0087】
第2実施形態において第1実施形態と異なり、位置検出部(移動量検出部)127’は一つであって、第1ガイドバー101’に設けられている。
また、
図11(a)、(b)および(c)に示すように、本体部101c’,102c’,103c’の被写体側の端部に設けられ、それぞれの本体部101c’,102c’,103c’と同軸でそれらよりも細い小径部101a’,102a’,103a’が、第2レンズ枠190’の厚さと略同じ長さである点も異なる。
【0088】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第2レンズ枠190’には、
図8及び
図12に示すように、3つの穴201’,202’,203’が設けられている。以下、これらの穴の第1実施形態との相違点について説明する。
【0089】
(第1穴)
第1実施形態と同様に3つの穴のうちの第1穴201’は第2レンズ枠190’のYプラス方向上部に設けられた円形穴であるが、第1実施形態と異なる点は、その径は、小径部101a’の径と略同じである点である。また、第1実施形態の付勢ばね401も設けられていない。
そして、第1ガイドバー101’の端面とねじ301の側面は当接している。
また、小径部101a’と第2レンズ枠190’との光軸方向の間にはズーミングにより第2レンズ枠190’が光軸方向に移動する際に、過剰拘束とならない必要最小限の隙間が設けられている。ただし、これに限定されず、第1ガイドバー101’においては、以下説明する第2ガイドバー102’及び第3ガイドバー103’の場合と異なり、小径部101a’と第2レンズ枠190’との光軸方向の間に隙間を設けず、固定してもよい。
【0090】
(第2穴)
第2穴202’は、第2レンズ枠190’のYマイナス側のXマイナス側に設けられたU字溝202’である。その幅(対向する側面間の距離)は、小径部102a’の径と略同じである。
U字溝202’は、開口の幅方向の中心から底部の中心へ向かう直線P(U字溝におけるU字を形成する断面上での対称軸)が、第1穴201’の中心も通るように形成されている。
そして、第2ガイドバー102’の小径部102a’が第2穴(U字溝)202’に嵌合されている。ここで、ガイドバー102’の端面とねじ302の側面は当接している。また、小径部102a’と第2レンズ枠190’との光軸方向の間にはズーミングにより第2レンズ枠190’が光軸方向に移動する際に、過剰拘束とならない必要最小限の隙間が設けられている。
これにより、第2ガイドバー102’は、第1ガイドバーとの相対距離が設計値に対してある程度誤差を生じていても第2穴202’に挿入可能となる。
【0091】
(第3穴)
第3穴203’は、第2レンズ枠190’のYマイナス側のXプラス側に設けられた円形穴であり、その径は、第3ガイドバー103’の小径部103a’よりも大きい。
そして、ガイドバー103’の端面とねじ303の側面とは当接している。また、小径部103a’と第2レンズ枠190’との光軸方向の間にはズーミングにより第2レンズ枠190’が光軸方向に移動する際に、過剰拘束とならない必要最小限の隙間が設けられている。
以上、第1ガイドバー101’及び第2ガイドバー102’に対する第3ガイドバー103’の相対距離が、設計値に対してある程度誤差を生じていても第3ガイドバー103’を第3穴203’に挿入可能となる。
【0092】
リニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’は、後述する鏡筒制御部123’から出力された駆動信号に応じた駆動量で動作して、ガイドバー101’,102’,103’をそれぞれ駆動する。
本構成のレンズ鏡筒100’においては、焦点距離変更(ズーミング)時および合焦時におけるレンズL2の移動は、この鏡筒制御部123’によって制御されたリニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’によって行われる。
【0093】
位置検出部127’は、第1ガイドバー101’を像側において支持する支持部114の像側に配設されている。位置検出部127’は、リニアアクチュエータ125が第1ガイドバー101’を移動させる場合に動作し、固定筒110に対する第1ガイドバー101’の光軸OA方向の移動量を検出して、移動量に応じた移動量信号を鏡筒制御部123’に送信する。
【0094】
鏡筒制御部123’は、ズーム環移転量検出部133から入力されるズーム環130の回転量情報と、ピントリング回転量検出部121から入力されるピントリング120の回転量情報と、位置検出部127’から入力される第1リニアアクチュエータ125A’の移動量情報と、に基づいて、リニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’を駆動制御する。
【0095】
すなわち、鏡筒制御部123’は、ズーム環130の回転量に対するレンズL2の位置を演算する演算情報を備えており、ズーム環130の回転時には、ズーム環移転量検出部133から入力されるその回転量情報に基づいて、レンズL2の位置を演算し、その位置にレンズL2を移動させるようにリニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’を駆動する。
また、鏡筒制御部123’は、ピントリング120の回転量に対するレンズL2の位置を演算する演算情報を備えており、ピントリング120の回転時には、ピントリング回転量検出部121から入力されるその回転量情報に基づいて、レンズL2の位置を演算し、その位置にレンズL2を移動させるようにリニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’を駆動する。
【0096】
ここで、ズーム環130の回転に応じたレンズL2の所定位置とは、ズーム環130の回転量に基づく焦点距離の変更に必要な移動量に、合焦距離(ピント位置)を変化させないための合焦調整補正量を加えた量、移動した位置である。
すなわち、レンズL2が合焦レンズである本構成のレンズ鏡筒100’では、焦点距離が変化すると、最近接距離から無限遠に至るレンズL2の移動距離(合焦移動範囲)が変化する(焦点距離が長くなると移動距離が大きくなる)。このため、鏡筒制御部123’は、焦点距離の変化時(ズーミング操作時)において、レンズL2を、その焦点距離の変化に対応する移動に、さらに、ズーミング操作以前における合焦位置にズレを生じさせないための合焦調整補正を加えた量、移動する。これにより、ズーミング操作によっても、合焦位置は維持されることとなってピントズレを生ずることがない。
【0097】
ここで、鏡筒制御部123’は、焦点距離に拘わらず常に一定のピントリング120の回転量(回転角度)で、最近接距離と無限遠との間でレンズL2が移動するように、リニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’を制御する。つまり、当該レンズ鏡筒100’では、前述したように、最近接距離から無限遠に至るレンズL2の合焦移動範囲(移動量)が焦点距離によって変化するが、鏡筒制御部123’は、焦点距離に応じてピントリング120の回転量に対するレンズL2の移動量の割合を変化させ、最近接距離と無限遠との間におけるピントリング120の回転量が焦点距離に拘わらず常に一定となるように制御する。
【0098】
また、鏡筒制御部123’は、位置検出部127’から受信した移動量信号を参照して、発生する駆動信号を補正する。これにより、外乱によるガイドバー101’,102’,103’の移動量誤差を補正してレンズL2を正確に移動させ、レンズ鏡筒100’を迅速且つ高精度に合焦させることができる。
【0099】
なお、レンズ鏡筒100’が、
図1に示すカメラ本体10の制御装置18によるオートフォーカス制御によって合焦する場合、ピントリング120は回転操作されない。このような場合は、レンズ鏡筒100’を合焦させるために求められるレンズL2の移動量が、カメラ本体10の制御装置18から要求移動量信号として鏡筒制御部123’に送信される。要求移動量信号を受信した鏡筒制御部123’は、要求移動量に見合った駆動信号を発生して、リニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’に供給する。
【0100】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)ガイドバー101’,102’,103’は、レンズL2を保持した第2レンズ枠190’の光軸OA方向への移動を案内する。この際、第2レンズ枠190’は3本のガイドバー101’,102’,103’保持されているため、レンズL2の光軸と垂直な方向への回転が防止される。これによりバランスの良いレンズ駆動が可能となる。
【0101】
(2)ガイドバー101’,102’,103’は、固定筒110に対して光軸方向の移動は可能であるが、光軸と垂直な方向の移動は規制されるように保持されている。すなわち、ガイドバー101’,102’,103’は、固定筒110の支持部114によって光軸と垂直な方向の相対的位置関係が固定されている。しかし、これらの相対的位置関係は、製造上の誤差等により、レンズ鏡筒によって異なる可能性がある。
【0102】
このため、ガイドバー101’,102’,103’を挿通させる第2レンズ枠190’の穴201’,202’,203’が、ある程度の製造上の誤差を許容できるように形成されていない場合、第2レンズ枠190’の穴にガイドバー101’,102’,103’が挿入できない可能性がある。
【0103】
本実施形態によると、第2レンズ枠190’に設けられている第1穴201’は第1ガイドバー101’が第2レンズ枠190’に対して光軸と垂直な方向への移動しないように嵌合されているが、第2穴202’はU字溝であり、また第3穴はガイドバーにおける第2レンズ枠190’を挿通する小径部よりも径が大きい。
【0104】
したがって、製造誤差により、ガイドバー101’,102’,103’の光軸と垂直な面内における相対位置が多少ずれていても、第2レンズ枠190’の穴201’,202’,203’に入らなくなることがない。すなわち、ガイドバー101’,102’,103’が過剰拘束されることがない。
【0105】
(3)穴201’,202’,203’は、誤差を吸収するための最小限の方向のみに許容可能な形状となっているため、ガイドバー101’,102’,103’によるレンズ枠190’の保持においてぐらつくことがない。
【0106】
(4)ガイドバー101’,102’,103’のそれぞれにリニアアクチュエータ125A’,125B’,125C’を設けたので、大きな駆動力の確保が可能となる。
【0107】
(変形形態)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上述の実施形態では、リニアアクチュエータ125は、すべて同出力のもの用いたが、これに限定されない。
たとえば、第1リニアアクチュエータ125Aを他より高出力とすることができる。この場合、第2実施形態において、第2レンズ枠190’の駆動付加が小さい、たとえばレンズが水平に移動させる場合には第1リニアアクチュエータ125A’のみで駆動し、駆動負荷が大きい、たとえばレンズを垂直方向に移動させる時には、第2リニアアクチュエータ125B’,第3リニアアクチュエータ125C’も駆動させるようにしてもよい。この際、カメラに姿勢検出装置が設けられている場合、この姿勢検出装置の出力により駆動するリニアアクチュエータの数を選択するようにしても良い。
【0108】
(2)上述の実施形態では、レンズL2を光軸OA方向に移動可能に支持するガイドバー101,102,103を移動駆動するリニアアクチュエータ125A,125B,125Cは、ガイドバー102をその被写体側で支持する支持部114の像側に配設されている。第1ガイドバー101の光軸OA方向の移動量を検出する位置検出部127A,127B,127Cは、第1ガイドバー101を像側において支持する支持部114Aの像側に配設されている。しかし、これらリニアアクチュエータ125A,125B,125Cおよび位置検出部127の配設位置は、これに限らず、適宜設定可能である。
【0109】
(3)上述の実施形態では、ガイドバー101,102,103は太さの等しいものを用いたが、これに限定されない。例えば、第2ガイドバー102及び第3ガイドバー103を第1ガイドバー101より細いものを用いてもよい。第1ガイドバー101をメインのガイドバーとして用い、細い第2ガイドバー及び第3ガイドバーを補助的に用いることで、3本同じ太さとするよりも軽量化が図られる。
【0110】
(4)第1実施形態では、レンズL2の光軸方向の複数位置で、予め撮像素子16による撮像を行い、レンズ鏡筒100の光学性能が最適となるような傾きをレンズL2に生じさせるガイドバー101,102,103の相対的位置情報を鏡筒制御部123のメモリ123aに記憶させるようにしたが、カメラ10に装着した撮影状態(使用状態)で、撮像素子16による撮像を行って、レンズ鏡筒100の光学性能が最適となるようにレンズL2の傾きを制御するようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態および変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。